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技術 耐食皮膜の腐食制御効果の評価方法と装置

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 松田恭司
出願日 1995年5月23日 (25年5ヶ月経過) 出願番号 1995-124082
公開日 1996年11月29日 (23年11ヶ月経過) 公開番号 1996-313440
状態 未査定
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析
主要キーワード 腐食皮膜 オーステナイト系ステンレス鋼材 検査量 高温純水中 ラマンシフト量 耐食皮膜 レーザーラマン分光 酸化皮膜処理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年11月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

目的

被測定物腐食抑制効果を実環境下にさらすことなく非破壊で評価でき、製造品品質管理利用可能な評価方法とその装置を提供する。

構成

皮膜の緻密さを示す固有格子振動数と酸化皮膜腐食制御効果の大きさとの関係式を作成しておき、この後、被測定物の振動モードの固有格子振動数を測定し、得られた測定値と前記関係式により、前記耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを非破壊で求める。

概要

背景

最近ではステンレス鋼腐食抑制効果の向上のために、MnCr2O4 、Cr2O3 、NiCr2O4 、Ti2O3 等の酸化皮膜をステンレス鋼の表面に生成させる方法が用いられている。

従来、そのような酸化皮膜を備えたステンレス鋼の腐食抑制効果を評価する場合、実際の試料を使用腐食環境下にさらし長期間にわたり腐食させた後、重量変化を測定し、酸化皮膜の形成処理、つまり酸化皮膜処理を施さない場合に対し、どれだけ抑制されているかによりその腐食抑制効果を評価していた。

例えば、防食技術、39(1990)254 に記載されている「各種酸化皮膜処理したSUS304Lステンレス鋼の皮膜構造高温純水中耐食性」と題する論文には被測定物高温水浸漬試験により腐食抑制効果を評価している例が報告されている。

概要

被測定物の腐食抑制効果を実環境下にさらすことなく非破壊で評価でき、製造品品質管理利用可能な評価方法とその装置を提供する。

皮膜の緻密さを示す固有格子振動数と酸化皮膜の腐食制御効果の大きさとの関係式を作成しておき、この後、被測定物の振動モードの固有格子振動数を測定し、得られた測定値と前記関係式により、前記耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを非破壊で求める。

目的

本発明の目的は、上記した課題に鑑み、被測定物の腐食抑制効果を実環境下にさらすことなく非破壊で評価でき、製造品の品質管理に利用可能な評価方法とその装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

耐食皮膜固有格子振動数と該耐食皮膜の腐食制御効果の大きさとの関係式を作成しておき、被測定物振動モードの固有格子振動数を測定し、得られた測定値に基づいて前記関係式により、前記被測定物の耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを非破壊で求めることを特徴とする耐食皮膜の腐食抑制効果評価法

請求項2

レーザー発振器ラマン分光光度計とを備え、かつ前記レーザー発振器からのレーザー光光源として、前記ラマン分光光度計によって測定した振動モードの固有格子振動数から耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを演算する演算手段を備えていることを特徴とする耐食皮膜の腐食抑制効果の評価装置

技術分野

0001

本発明は、被測定物腐食抑制効果を評価する場合に、被測定物を実際の腐食環境(以下、実環境という)下にさらすことなく非破壊で腐食抑制効果を評価できる方法およびそのための装置に関する。

背景技術

0002

最近ではステンレス鋼の腐食抑制効果の向上のために、MnCr2O4 、Cr2O3 、NiCr2O4 、Ti2O3 等の酸化皮膜をステンレス鋼の表面に生成させる方法が用いられている。

0003

従来、そのような酸化皮膜を備えたステンレス鋼の腐食抑制効果を評価する場合、実際の試料を使用腐食環境下にさらし長期間にわたり腐食させた後、重量変化を測定し、酸化皮膜の形成処理、つまり酸化皮膜処理を施さない場合に対し、どれだけ抑制されているかによりその腐食抑制効果を評価していた。

0004

例えば、防食技術、39(1990)254 に記載されている「各種酸化皮膜処理したSUS304Lステンレス鋼の皮膜構造高温純水中耐食性」と題する論文には被測定物を高温水浸漬試験により腐食抑制効果を評価している例が報告されている。

発明が解決しようとする課題

0005

上記した評価方法では被測定物を実環境下に長時間さらした後、重量を測定する必要があるが、測定時間がかかることや、被測定物は破壊されることから製造品すべての耐食性を実際に評価することができず、そのため皮膜処理むらがある場合、必ずしも正当な評価とならないことがあった。

0006

本発明の目的は、上記した課題に鑑み、被測定物の腐食抑制効果を実環境下にさらすことなく非破壊で評価でき、製造品の品質管理利用可能な評価方法とその装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

そこで本発明者らは、上述の課題達成のために種々検討を重ね、鋼板表面にレーザー光照射した場合、いわゆるラマン効果による散乱光周波数のずれ、つまりラマンシフト量から得られる固有格子振動数が鋼板表面の酸化皮膜の緻密さを表わし、これと腐食抑制効果との間に一定の相関があることを知り、本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は、耐食皮膜の緻密さを示す固有格子振動数とその耐食皮膜の腐食制御効果の大きさとの関係式を予め作成しておき、被測定物の振動モードの固有格子振動数を測定し、得られた測定値に基づいて前記関係式により、前記被測定物の耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを非破壊で求めることを特徴とする耐食皮膜の腐食抑制効果評価法である。

0009

また、別の面からは、本発明は、レーザー発振器ラマン分光光度計とを備え、かつ前記レーザー発振器からのレーザー光を光源として、前記ラマン分光光度計によって測定した振動モードの固有格子振動数から耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを演算する演算手段を備えていることを特徴とする耐食皮膜の腐食抑制効果の評価装置である。

0010

本発明によれば、上述のように、例えば鋼板表面の酸化皮膜の緻密さを示す固有格子振動数と酸化皮膜の腐食抑制効果の大きさとの関係式を予め導きだしておき、この後、被測定物の振動モードの固有格子振動数を測定し、そのとき得られた測定値に基づいて前記関係式により、前記酸化皮膜の腐食抑制効果の大きさを非破壊で求められる。

0011

ここで本発明における測定原理を説明する。耐食性の良い表面皮膜は、緻密な皮膜である必要がある。緻密な皮膜が生成されると、その結果、皮膜は生成時の温度と使用時の温度差による皮膜と下地熱膨張係数差により応力Xが加わる状態となる。なお、以下にあっては耐食皮膜としてステンレス鋼板表面に形成した酸化皮膜を例にとって本発明を説明する。

0012

例えばステンレス鋼の場合、ステンレス鋼と酸化皮膜との熱膨張係数差による応力値は、酸化熱処理温度と室温との差ΔTを与えたときに酸化物中に発生する応力値をXとすると次式のように示される。
X=E・ (αO −αM ) ・ΔT (1)
ここで、αO は酸化物の平均熱膨張係数、αM は金属の平均熱膨張係数、Eは酸化皮膜の弾性定数である。

0013

一方、気孔がない酸化物の弾性定数をEO とすると気孔率Pになった場合の酸化皮膜の弾性定数Eは次のような式で示される。
E=Eo ・exp (−b・P) (2)
ここで、bは定数である。

0014

また、腐食抑制効果Rと気孔率Pとの関係を次のように示す。
R=a・P (3)
ここで、aは定数である。

0015

一方、酸化皮膜に応力Xが加わると格子定数が変化し、結合力が変化することから固有格子振動数ωも、変化する。固有格子振動数ωが固有格子振動数変化量Δωだけ変化、すなわち固有格子振動数ω+Δωに変化するとすると、Δωと応力Xとの関係は次式で表される。
Δω/ω=−k・X (4)
ここで、kは定数である。

0016

ところで、腐食抑制のために生成した皮膜は高温処理で行われ、使用時は室温である。従って、酸化皮膜中熱応力Xが加わる。また、酸化処理条件によっては、酸化皮膜に気孔ができてしまい腐食抑制効果が小さくなる場合がある。

0017

したがって、上述の関係式(1) 〜(4) は実際の酸化皮膜の腐食抑制効果を反映しており、ここにこれらの(1) 〜(4) 式より次の関係式が得られる。
Eo・exp(−b・R/a)・(αo−αM)・ΔT=−1/k・Δω/ω (5)
そこで、
Xo =Eo ・ (αo −αM ) ・ΔT (6)
c=b/a (7)
と置くと式(5) は次のように示される。

0018

Xo ・k・exp(−c・R) =−Δω/ω (8)
式(8) が本発明でいう酸化皮膜の固有格子振動数と腐食抑制効果の大きさとの関係を示す式である。

0019

式(8) のk、cは2種類の酸化処理した皮膜の腐食抑制効果とその固有振動数ω+Δωをあらかじめ測定することにより求まる。一度これらの定数を求めると、生成した酸化皮膜の固有振動数ω+Δωを測定すれば、(8) 式より腐食抑制効果の大きさを求めることができる。他の条件である温度や下地の合金が異なる場合でも、生成させた酸化皮膜と同じ構造の酸化物に着目するかぎり、k、cの値は、既知の値を用いることができる。

0020

また、ラマン分光測定によりΔω/ωを求め、一方、そのときの腐食抑制効果Rを実環境下での腐食試験によって求めることにより、この式(8) において定数cが求めることができ、Δω/ωからその皮膜の腐食抑制効果の大きさを知ることができる。

0021

また、上記測定原理によれば、目的とする腐食皮膜の腐食抑制効果の大きさが実際に腐食試験を行うことなく非破壊で予測できる。そのため、本発明にかかる方法は1つの被測定物の腐食性皮膜の評価だけでなくすべての製品について適用可能であるから、品質管理にも適用できる。

0022

すなわち、耐食皮膜の腐食抑制効果を評価する場合、レーザー発振器とラマン分光光度計とを備え、かつ該ラマン分光光度計によって、測定した振動モードのラマンシフト量から被測定物の腐食抑制効果を演算する演算手段を備えた測定装置を使用すれば、レーザー発振器からのレーザー光を被測定物に照射した時の該被測定物からのラマンスペクトルを前記ラマン分光光度計によって測定することができ、固有振動数標準値からのずれΔωを測定することができる。そして、前記測定装置には、ラマン分光測定により測定した固有格子振動数の標準値からのずれΔω/ωから、被測定物の腐食抑制効果の大きさを演算する演算手段が備えられているので、この演算手段によって容易に被測定物の腐食抑制効果の大きさを評価でき品質管理にも利用しうる。

0023

以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。図1において、1はレーザー発振器、2はラマン分光光度計である。レーザー発振器1と試料3との間には集光ミラー4が所定の位置に配置され、試料3は試料ホルダー6に置かれ、この試料ホルダー6は駆動機構5によって駆動される。駆動機構5とレーザーラマン分光光度計2とは連動させられている。

0024

したがって、レーザー発振器1から試料3に照射されたレーザー光8は試料3の表面でラマン散乱を生じる。このラマン散乱によって生じた散乱光9は集光ミラー4によって集められ、ラマン分光光度計2に集められる。

0025

また、中央制御装置7はレーザーラマン分光光度計2からの測定データに基づいて演算処理を行う。ここで、Ni基合金真空中で700 ℃で熱処理した場合における耐食皮膜の腐食抑制効果の評価手段を具体的に説明する。

0026

まず、合金上にMnCr204 とCr203 からなる酸化皮膜が生成される。真空度を変化させることにより、酸化皮膜の緻密差を変化させ、皮膜のラマンスペクトルを測定し皮膜構造を確認した後、Cr2O3 についてみられるω=555 cm-1付近ピークに着目し、固有格子振動数変化Δωを上記装置で求めた。

0027

また、このときの腐食抑制効果Rを2000時間高温純水中での腐食試験の後の重量変化で求めた。すなわち、 Cr2O3のω=555 cm-1として、Ni基合金を真空中で700 ℃で15時間処理した場合に形成される皮膜の固有格子振動数変化Δωは次の通りであった。

0028

真空度10-5TorrにおけるCr2O3 のΔω=5.6 cm-1
真空度10-4TorrにおけるCr2O3 のΔω=2.8 cm-1
このときの腐食抑制効果は、それぞれ0.2 と0.55であった。

0029

これを式(8) に代入すると、以下のように式(9) のように定数が求まる。Ni合金熱膨張係数11.5×10-6/K、Cr2O3 の熱膨張係数 8.7×10-6/K、Cr2O3の弾性定数は 1.7×1012 (dye/cm2)、ΔT=675 ℃から
Xo =− 3.2×109 (dye/cm2)
となる。

0030

Xo ・k・exp(−c・R) =−Δω/ω (8)
一方、Δω/ω=0.01のときR=0.2 、Δω/ω=0.005 のときR=0.55、という実験値により、Cr2O3 の場合、
k=0.46×10-11 c=1.97 (9)
となる。

0031

次に、オーステナイト系ステンレス鋼材料を1000℃で熱処理を施すことにより生成させた酸化皮膜の固有格子振動数を上記測定装置で求め、式(8) と定数(9)を用い演算することにより求めた腐食抑制効果と2000時間におよぶ高温純水中試験後の重量変化で求めた腐食抑制効果の値との比較を下掲の表1に示した。このとき、オーステナイト系ステンレス鋼材料の熱膨張係数17.5×10-6/K、ΔT=975 ℃である。

0032

0033

表1の結果からも、本発明による予測と実際の腐食試験の結果とはよく一致しており、したがって、本発明に係る耐食皮膜の腐食抑制効果の評価方法は、腐食皮膜の緻密さを示す固有格子振動数と耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさとの関係式を導き、この後、被測定物の振動モードの固有格子振動数を測定し、得られた測定値と理論式により、前記耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを求める方法であるため、被測定物の腐食抑制効果を実環境下にさらすことなく非破壊で簡単に短時間で評価できる。本発明は、このように、検量線も必要なく簡易かつ有効な手段をあたえるものである。

0034

また、本発明に係る耐食皮膜の腐食抑制効果の評価装置はレーザー発振器とラマン分光光度計とを備え、かつ該ラマン分光光度計によって測定した振動モードの固有格子振動数から被測定物の耐食皮膜の腐食抑制効果の大きさを演算する演算手段を備えているので、被測定物を実環境下にさらすことなく非破壊で容易に素早く被測定物の全表面の腐食抑制効果を測定することができる。したがって、本発明は、品質管理にも適用できる。

発明の効果

0035

以上の説明により明らかなように、本発明によれば被測定物の腐食抑制効果を実際の環境下にさらすことなく非破壊で簡単に短時間で評価できる簡易かつ有効な手段をあたえるものである。また、検査量も必要としない。したがって、耐食性皮膜の品質管理にも適用できる。

図面の簡単な説明

0036

図1本発明に係る耐食皮膜の腐食抑制効果の評価装置の概略ブロック図である。

--

0037

1:レーザー発振器2:ラマン分光光度計
3:試料4:集光ミラー
5:駆動機構6:試料ホルダー
7:中央制御装置8:レーザー光
9:散乱光

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