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技術 光学フィルムの製造方法

出願人 JXTGエネルギー株式会社
発明者 飯田重樹小堀良浩
出願日 1995年4月20日 (26年2ヶ月経過) 出願番号 1995-130932
公開日 1996年11月5日 (24年8ヶ月経過) 公開番号 1996-292432
状態 拒絶査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 液晶2(構造一般、スペーサ、注入口及び封止部材) 液晶3(基板、絶縁膜及び配向部材) 液晶4(光学部材との組合せ) 偏光要素 液晶2(構造一般、スペーサ、注入口及びシール材) 液晶4(光学部材との組合せ) 液晶3-2(配向部材) 液晶物質
主要キーワード 工程パターン 光反応性高分子 概説図 光反応性部位 界面効果 金属箔基板 ストライプパターン状 液晶性芳香族ポリエステル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年11月5日)のものです。
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図面 (3)

目的

同一面内で複数の光学性能を有する光学素子に有用な光学フィルムの製造方法を提供する。

構成

配向基板上で、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性高分子からなる膜を形成し、該液晶性高分子材料液晶状態において配向せしめた後、その配向形態を固定化する光学フィルムの製造方法において、液晶性高分子が光照射によって配向形態が変化する性質を有するものであり、該液晶性高分子を用いて配向基板上に膜を形成した後から、配向形態を固定化するまでの間に、該基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、配向形態を制御する。

概要

背景

液晶性高分子は、光学的に異方性を持ち、一般の高分子と比較すると多様な分子配向形態をとることが可能である。そのため、これらの配向形態を固定化して得られた高分子フィルムを用いた光学素子は、様々な光学素子に利用できることが知られている。特にねじれ構造を有する液晶性高分子が用いられた光学素子は、これまでの光学素子では得ることができない諸特性を付与した光学素子を作製することが可能である。

上記の如き、ねじれ構造を有する液晶性高分子を用いた光学素子としては、液晶表示素子用補償板(特開平3−87720号公報)および旋光性光学素子(特開平4−22917号公報)などが提案されている。

これらの光学素子は、従来の光学素子では成し得なかった高い性能を持つと共に、高分子フィルム上に作製されたものは、軽く、薄く、可とう性に富むなどの高分子フィルム特有の特性を合わせ持つ画期的なものであった。

しかしながら、上記の光学素子に用いられた高分子フィルムでは、該光学素子面内全面にわたって同一の光学性能を有するものであり、同一面内で複数の光学性能を有する液晶性高分子型光学素子は、その作製のために保護層を設けてレジストなどを用いるという複雑なプロセスや高度な印刷技術が必要とされ、また、微細な領域毎での光学性能の制御が困難であるなどの多くの問題点があり、未だ実現されていない。

概要

同一面内で複数の光学性能を有する光学素子に有用な光学フィルムの製造方法を提供する。

配向基板上で、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性高分子からなる膜を形成し、該液晶性高分子材料液晶状態において配向せしめた後、その配向形態を固定化する光学フィルムの製造方法において、液晶性高分子が光照射によって配向形態が変化する性質を有するものであり、該液晶性高分子を用いて配向基板上に膜を形成した後から、配向形態を固定化するまでの間に、該基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、配向形態を制御する。

目的

本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、特に同一面内で複数の光学性能を有する光学素子に有用な光学フィルムの製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
15件

この技術が所属する分野

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請求項1

配向基板上に、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性高分子からなる膜を形成し、該液晶性高分子を液晶状態において配向せしめた後、その配向形態を固定化する光学フィルムの製造方法において、液晶性高分子が光照射によって配向形態が変化する性質を有するものであり、該液晶性高分子を用いて配向基板上に膜を形成した後から、配向形態を固定化するまでの間に、該基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、配向形態を制御することを特徴とする光学フィルムの製造方法。

請求項2

該基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、該照射部分の配向形態を光照射と同時または光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった配向形態に制御し、その配向形態を固定化せしめることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。

請求項3

液晶性高分子が、液晶状態においてねじれ構造を有する配向形態を形成する性質を持つ液晶性高分子であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。

請求項4

配向形態の制御を、液晶性高分子の光照射によるねじれ角の変化によって行うことを特徴とする請求項1、2または3に記載の光学フィルムの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ディスプレイ光エレクトロニクス光学分野で有用な液晶表示素子用補償板、液晶表示素子用視野角改良板、光学位相差板旋光子、λ/4板、λ/2板などの光学素子に用いられる光学フィルムの製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶性高分子は、光学的に異方性を持ち、一般の高分子と比較すると多様な分子配向形態をとることが可能である。そのため、これらの配向形態を固定化して得られた高分子フィルムを用いた光学素子は、様々な光学素子に利用できることが知られている。特にねじれ構造を有する液晶性高分子が用いられた光学素子は、これまでの光学素子では得ることができない諸特性を付与した光学素子を作製することが可能である。

0003

上記の如き、ねじれ構造を有する液晶性高分子を用いた光学素子としては、液晶表示素子用補償板(特開平3−87720号公報)および旋光性光学素子(特開平4−22917号公報)などが提案されている。

0004

これらの光学素子は、従来の光学素子では成し得なかった高い性能を持つと共に、高分子フィルム上に作製されたものは、軽く、薄く、可とう性に富むなどの高分子フィルム特有の特性を合わせ持つ画期的なものであった。

0005

しかしながら、上記の光学素子に用いられた高分子フィルムでは、該光学素子面内全面にわたって同一の光学性能を有するものであり、同一面内で複数の光学性能を有する液晶性高分子型光学素子は、その作製のために保護層を設けてレジストなどを用いるという複雑なプロセスや高度な印刷技術が必要とされ、また、微細な領域毎での光学性能の制御が困難であるなどの多くの問題点があり、未だ実現されていない。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、特に同一面内で複数の光学性能を有する光学素子に有用な光学フィルムの製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0007

すなわち本発明の第1は、配向基板上に、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性高分子の膜を形成し、該液晶性高分子膜を液晶状態において配向せしめた後、その配向形態を固定化する光学フィルムの製造方法において、該液晶性高分子の膜形成後から配向形態を固定化するまでの間に、該基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、配向形態を制御することを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。

0008

また本発明の第2は、基板上に形成された液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射し、該照射部分の配向形態を光照射と同時にまたは光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった形態に制御し、その配向形態を固定化せしめることを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。

0009

また本発明の第3は、液晶性高分子が、液晶状態においてねじれ構造を有する配向形態を形成する性質を持つ液晶性高分子であることを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。

0010

さらに本発明の第4は、配向形態の制御を、液晶性高分子の光照射によるねじれ角の変化によって行う光学フィルムの製造方法に関する。

0011

以下、本発明についてさらに詳しく説明する。

0012

先ず本発明に用いられる液晶性高分子は、光照射によって配向形態が変化する性質、具体的には、光照射によって該液晶性高分子の配向の形態を光照射と同時または光照射した後に液晶状態において光照射前とは異なった形態に変化する性質を有するものである。配向形態の変化には、例えば、液晶性高分子のオーダーパラメータ、ねじれ角、チルト角などの変化があり、その変化に伴って光学的性質の変化が生じる。本発明においては、光照射によって、液晶性高分子のねじれ角の変化が生じる性質を有するものが好ましい。

0013

さらに、液晶状態における配向形態を固定化する際において、安定した固定化を行うために、液晶転移点以下の温度では、ガラス状態となり、液晶の相系列でみた場合に、液晶相より低温部に結晶相を持たないことが重要である。結晶相が存在する場合、固定化のために、例えば、冷却した際、必然的に結晶相を通過することになり、結果的に液晶状態において形成された配向形態が破壊されてしまう。したがって本発明に用いる液晶性高分子は、界面効果による良好な配向性を有すると共に、液晶相より低温部にガラス相を有するものが好ましい。

0014

本発明に用いられる上記の如き性質を持つ液晶性高分子とは、
少なくとも1種の液晶性高分子化合物または少なくとも1種の液晶性高分子化合物を含む液晶性高分子組成物ベースポリマーとし、該ベースポリマーが液晶状態において形成した配向形態を光照射によって、光照射と同時または光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった形態に変化させうる性質を持った少なくとも1種の光反応性化合物をベースポリマーに配合した組成物
光照射によって光照射と同時または光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった配向形態に変化させうる性質を持った光反応性部位の1つ若しくは複数を、ベースポリマーの側鎖若しくは主鎖に導入した、光反応性を有する液晶性高分子化合物または該光反応性を有する液晶性高分子化合物を少なくとも1種含む組成物、および、これらの混合物、などのサーモトロピックまたはライオトロピック液晶性高分子化合物若しくは組成物である。

0015

上記ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物が有する液晶相は、その種類に特に制限はなく、例えばネマチック相スメクチック相ディスコティック相やそれらのカイラル相を有するものが挙げられるが、ねじれ構造を有する配向形態を形成する液晶相を有するものが好ましく、この観点からカイラル相を有する液晶性高分子が、なかでもカイラルネマチック相を有する液晶性高分子化合物が本発明においては好ましい。

0016

上記ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物は、液晶転移点以下でガラス状態となるものであれば本質的にはすべて使用することができ、なかでも液晶状態において、ネマチック配向、または、ねじれネマチック配向を形成するものが好ましい。また、配向基板平面と平行ではなく、あるチルト角をもって配向するものであってももちろん問題なく使用できる。

0017

ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物としては、主鎖型液晶性高分子化合物液晶性ポリエステル液晶性ポリアミド、液晶性ポリエステルイミド、液晶性ポリカーボネート、およびこれらの混合物など)、および側鎖型液晶性高分子化合物液晶性ポリアクリレート、液晶性ポリメタクリレート、液晶性ポリマロネート、液晶性ポリシロキサン、およびこれらの混合物など)を挙げることができる。これらの中で、合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などの要件から主鎖型液晶性高分子化合物、具体的には液晶性ポリエステルが好ましく、その中でも半または全芳香族ポリエステルなどの液晶性芳香族ポリエステルが好ましい。

0018

上記液晶性芳香族ポリエステルとしては、オルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリエステルが望ましく、またオルソ置換芳香族単位の代わりに、かさ高い置換基を有する芳香族あるいはフッ素または含フッ素置換基を有する芳香族単位などを構成成分として含むものも用いることができる。

0019

前記オルソ置換芳香族単位とは主鎖をなす結合を互いにオルソ位とする構造単位を意味する。

0020

これらの例としては

0021

0022

(式中、Xは水素、Cl、Br等のハロゲン炭素数が1から4のアルキル基もしくはアルコキシ基またはフェニル基を示す。またkは0〜2の整数である。)などがある。これらのなかでも、特に好ましい例として次のようなものを例示することができる。

0023

0024

(式中、Me;メチル基、Et;エチル基、Bu;ブチル基をそれぞれ表す。)

0025

本発明において、ベースポリマーの液晶性高分子化合物として好適な液晶性芳香族ポリエステルとしては、(a)ジオール類より誘導される構造単位(以下ジオール成分という)およびジカルボン酸類より誘導される構造単位(以下ジカルボン酸成分という)および/または(b)一つの単位中にカルボン酸水酸基を同時に含むオキシカルボン酸類より誘導される構造単位(以下オキシカルボン酸成分という)を構成成分として含み、好ましくはさらに前記オルソ置換芳香族単位を含む該ポリエステルを挙げることができる。

0026

上記(a)ジオール成分としては、次のような芳香族および脂肪族のジオールを挙げることができる。

0027

0028

(式中、Yは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数1から4のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を示す。1は0〜2の整数である。)

0029

0030

(式中、nは2〜12の整数である。)

0031

0032

が挙げられ、なかでも

0033

0034

などが好ましく用いられる。

0035

また(b)ジカルボン酸成分としては、次のようなものを例示することができる。

0036

0037

(式中、Zは水素、Cl、Br等のハロゲン、炭素数が1から4のアルキル基もしくはアルコキシまたはフェニル基を示す。mは0〜2の整数である。)

0038

0039

が挙げられ、なかでも

0040

0041

などが好ましい。

0042

さらに(c)オキシカルボン酸成分としては、具体的には次のような単位を例示することができる。

0043

0044

ジカルボン酸とジオールのモル比(オキシカルボン酸を用いている場合は、カルボン酸基と水酸基の割合)は、一般のポリエステルと同様大略1:1である。

0045

また、液晶性ポリエステル中に占めるオルソ置換芳香族単位の割合は、通常5モル%から40モル%の範囲が好ましく、さらに好ましくは10モル%から30モル%の範囲である。5モル%より少ない場合は、ネマチック相の下に結晶相が現れる場合がある。また40モル%より多い場合は、ポリマーが液晶性を示さなくなる場合がある。

0046

具体的に液晶性芳香族ポリエステルとしては、次のような構造単位から構成される該ポリエステルを例示することができる。

0047

0048

0049

0050

0051

0052

0053

0054

0055

また、オルソ置換芳香族単位に変えて、次に示すようなかさ高い置換基を含む芳香族単位あるいはフッ素または含フッ素置換基を含む芳香族単位を構成成分とする液晶性芳香族ポリエステルもまた好ましく用いられる。

0056

0057

0058

以上説明した液晶性芳香族ポリエステルの分子量は、各種溶媒中、例えばフェノールテトラクロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒中30℃で測定した対数粘度が、通常0.05〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07〜2.0の範囲にあるものである。対数粘度が0.05より小さい場合、得られた液晶性ポリエステルの強度が弱くなり好ましくない場合がある。また3.0より大きい場合には、液晶状態時の粘性が高すぎ、その結果、配向性の低下や配向に要する時間の増加などの問題が生じる場合がある。

0059

これら液晶性芳香族ポリエステルの合成法は、特に制限されるものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法を用いることにより得ることができる。また溶融重合法で合成する場合には、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオールのアセチル化物高温下あるいは場合によっては高温高真空下で重合させることによって製造することができる。

0060

上記重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナトリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的の液晶性芳香族ポリエステルを得ることができる。

0061

また、該ポリエステルの分子量の調節は、重合時間のコントロールあるいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。

0062

さらに本発明においては、上述のベースポリマーとなる液晶性高分子化合物以外に、該液晶性高分子化合物の主鎖または側鎖に、光学活性単位を含む光学活性な液晶性高分子化合物や上述のベースポリマーとなる液晶性高分子化合物に1種もしくは複数の低分子または高分子の光学活性な化合物を配合した、光学活性な液晶性高分子組成物などもベースポリマーとして用いることができる。

0063

先ず、光学活性な液晶性高分子化合物について説明する。該高分子化合物は、ポリマー骨格中に光学活性部位を構造単位として含んだものであり、本発明に用いられる光学活性な液晶性高分子化合物は、自身で均一でモノドメインな配向をし、かつガラス相を有することによりその配向形態を容易に固定化できるものが好ましく用いられる。これらの例としては、光学活性な主鎖型液晶性高分子化合物(液晶性ポリエステル、液晶性ポリアミド、液晶性ポリエステルイミド、液晶性ポリカーボネートおよびこれらの混合物など)、あるいは光学活性な側鎖型液晶性高分子化合物(液晶性ポリアクリレート、液晶性ポリメタクリレート、液晶性ポリマロネート、液晶性ポリシロキサンおよびこれらの混合物など)が挙げられる。

0064

上記光学活性な液晶性高分子化合物において、合成の容易さ、配向性、ガラス転移点などから光学活性な主鎖型液晶性高分子化合物が好ましく、なかでも光学活性な液晶性ポリエステルが特に好ましく、この中でも光学活性な液晶性芳香族ポリエステルがさらに好ましく用いられる。用いられる該液晶性芳香族ポリエステルとしては、オルソ置換芳香族単位を構成成分として含むポリマーが最も好ましいが、オルソ置換芳香族単位を含まなくても上述した要件を満たすものであれば使用することができる。

0065

光学活性な液晶性ポリエステルは、上述において説明した液晶性芳香族ポリエステルに、以下に示す光学活性なジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸などの光学活性基を1種または複数導入することにより得ることができる(式中、*印は光学活性炭素を示す)。

0066

0067

0068

など。

0069

これらの光学活性な液晶性芳香族ポリエステル中に占める光学活性な基の割合は、通常0.05〜80モル%であり、好ましくは0.5〜60モル%である。上記光学活性な液晶性芳香族ポリエステルの分子量は、各種溶媒中たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40)の混合溶媒中30℃で測定した対数粘度が、0.05〜3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07〜2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場合、得られた液晶性ポリエステルの強度が弱くなる場合があり、また3.0より大きい場合、液晶状態時の粘性が高すぎて配向性の低下や配向に要する時間の増加などの問題が生じる場合がある。該ポリエステルの重合は、溶融重縮合法あるいは酸クロライド法など従来公知の方法によって行うことができる。

0070

次に、光学活性な液晶性高分子組成物について説明する。該液晶性高分子組成物は、上述した液晶性高分子化合物に光学活性化合物を混合することによって得ることができる。該光学活性化合物としては、低分子量、高分子量を問わず、光学活性な部位を有する化合物であれば、いずれも使用することができ、具体的には次のような化合物を挙げることができる。

0071

低分子化合物の例としては、

0072

0073

0074

コレステロール誘導体などが挙げられ、これらの化合物を1種または複数配合する。

0075

次に高分子化合物の例としては、光学活性な基を有する高分子化合物、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリペプチドセルロース、およびこれらの混合物なども用いることができる。これら光学活性な基を有する高分子化合物または混合物は、それ自体が液晶性を示す化合物または混合物であることが望ましいが、該化合物または混合物自体は液晶性を示さないが、上述したベースポリマーとの組成物にした際、その組成物が均一な液晶相を示すものであれば本発明において用いることができる。

0076

上記光学活性な基を有する高分子化合物において、好ましくは液晶性を示すポリエステル、なかでも芳香族主体の光学活性な液晶性芳香族ポリエステルが最も好ましく、具体的には次のような構造単位から構成される該ポリエステルを例示することができる。

0077

0078

0079

0080

0081

0082

0083

0084

0085

0086

0087

0088

上記の如き光学活性な基を有する液晶性芳香族ポリエステルの分子量は、各種溶媒中たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40)の混合溶媒中30℃で測定した対数粘度が0.01〜10.0が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3.0の範囲である。対数粘度がこの範囲にない場合、ベースポリマーと混合した際に相分離する恐れがある。該ポリエステルの重合は、溶融重縮合法あるいは酸クロライド法など従来公知の方法によって行うことができる。

0089

こうして得られた光学活性な基を有する液晶性芳香族ポリエステルは、ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物に混合され、本発明に好適に用いられる。以上説明した、光学活性な液晶性高分子組成物中に占める光学活性化合物の割合は、通常0.05〜80モル%であり、好ましくは0.5〜60モル%である。

0090

次に、光照射により配向形態の制御を司る光反応性部位および該部位を有する光反応性化合物について説明する。

0091

光反応性部位とは、ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物、例えば、液晶性芳香族ポリエステル、光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどに光反応性部位を有する光反応性化合物を配合または該部位を主鎖若しくは側鎖に導入することによって、その例えば光反応性部位を有する該化合物が配合された液晶性芳香族ポリエステル組成物若しくは光学活性な液晶性芳香族ポリエステル組成物、または、光反応性部位を導入した液晶性芳香族ポリエステル若しくは光学活性な液晶性芳香族ポリエステルが、液晶状態において形成せしめる配向形態を光照射によって、液晶状態において光照射前とは異なった配向形態に変化させうる性質を有する部位であり、光照射による配向形態の制御を司る部分である。

0092

本発明において、用いることができる光反応性部位および光反応性化合物は、上記の如き性質を持つ光反応性部位であればどのようなものでも使用することができるが、なかでも光照射した結果、液晶性高分子化合物、例えば液晶性芳香族ポリエステル、光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどのねじれ角を変化させるような性質を持つものが好ましい。具体的には、光照射によりキラリティーが変化するような性質を持つ光反応性光学活性部位、光照射によって立体構造が変化する性質を有する光反応性部位、および、これらの部位を1種または複数有する光反応性化合物を好ましく用いることができる。

0093

先ず、光照射によりキラリティーが変化することによって、結果として液晶状態における配向形態、特にねじれ角の変化を伴う配向形態の制御を司る光反応性部位について説明する。該光反応性部位の例としては、光照射により光学活註中心の結合が開裂するような構造、また光照射によって光学活性中心エピ化、ラセミ化がおこるような構造、あるいは光照射によって光学活性中心の反転が起こるような構造、さらには分子軸上に光学活性中心がある結果、他の部位が異性化すると結果的に光学活性部位の反転が起こったことになるような構造などを有するものを挙げることができる。このような構造としては、

0094

0095

および

0096

0097

をもつ構造〔下線はその部分の構造が組み込まれることを意味する〕

0098

0099

および

0100

0101

をもつ構造さらには、

0102

0103

および

0104

0105

をもつ構造などが挙げられる(式中、*印は光学活性炭素を示す)。

0106

次に、光照射により立体構造が変化することによって、結果として液晶状態における液晶性高分子化合物、例えば液晶性芳香族ポリエステル、光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどの配向形態を変化させうる性質を持つ光反応性部位について説明する。このような光反応性部位の構造例としては、光照射により異性化するような構造が挙げられる。該構造として具体的には、

0107

0108

および

0109

0110

をもつ構造などを挙げることができる。

0111

上記の如き立体構造が変化する光反応性部位は、光学活性でない化合物中に存在しても有効に作用するが、光学活性化合物中に、その中でも光学活性高分子化合物中に存在するほうが有効に作用するため好ましく、特に光学活性中心に近接して存在する方が光照射による配向形態の変化効果の点で好ましい。

0112

またキラリティーおよび立体構造が変化する光反応性部位は、光照射による配向形態の変化効果の点で、液晶性を示す化合物、特に液晶性高分子化合物中に存在することが望ましい。しかし光反応性部位を有する化合物が液晶性を示さなくても、該化合物を上述したベースポリマーとなる液晶性高分子化合物、例えば液晶性芳香族ポリエステル、光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどに混合した際、均一な液晶相を形成するのであるならば特に問題なく使用できる。

0113

以上説明した光反応性部位は、該光反応性部位を有する化合物を上述のベースポリマーとなる液晶性高分子化合物、例えば液晶性芳香族ポリエステル、光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどに1種または複数配合したもの、または、光反応性部位を上記の如きベースポリマーの主鎖あるいは側鎖に共有結合あるいはイオン結合などで1種または複数導入したもの、などいずれの場合においても本発明の光学フィルムを好適に得ることができる。

0114

次に光反応性部位を有する光反応性化合物について説明する。該化合物は、上記の如き光反応性部位を有する低分子および/または高分子化合物であり、その中でも液晶性を示す低分子および/または高分子化合物が本発明においては望ましいが、上記の説明でもしたようにベースポリマーとなる液晶性高分子化合物、例えば液晶性芳香族ポリエステルや光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどに混合した際、均一な液晶相を形成するのであるならば特に問題なく使用することができる。

0115

該化合物の低分子化合物としては、

0116

0117

0118

0119

などを挙げることができるが、本発明においてはある程度分子量が高い化合物を用いることが望ましく、以下に説明する高分子化合物を用いることが好ましい。

0120

該化合物の高分子化合物の例としては、上記の如き各種構造の光反応性部位を有する低分子化合物の二量体三量体四量体および重合体などの高分子化合物を用いることができ、具体的には、

0121

0122

を単位とする、

0123

0124

の如き二量体、三量体、四量体およひ重合体などの高分子化合物の他に、上述の光反応性部位を有するポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリペプチド、セルロースおよびこれらの混合物などを挙げることができる。なかでもポリエステルが、特に芳香族主体のポリエステルが好ましく、具体的には次のようなポリエステルを例示することができる。

0125

0126

0127

0128

上記ポリマー中に占める光反応性部位の割合は、光反応性部位のねじれ角に与える影響の程度や所望する変化量の割合により、適宜に選択する必要があるが、通常0.1モル%〜80モル%であり、好ましくは0.5モル%〜50モル%が望ましい。0.1モルより少ない場合には、十分な変化量を得ることが難しくなる場合があり、80モル%より多い場合には、ベースポリマーとなる液晶性高分子化合物に配合した際、例えば液晶性芳香族ポリエステルや光学活性な液晶性芳香族ポリエステルなどとの相分離が起こりやすくなる場合がある。

0129

これらのポリマーの分子量は、たとえばフェノール/テトラクロロエタン中30℃で測定した対数粘度が、0.05から5.0の範囲が好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合は、粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招き好ましくない場合があり、また0.05より小さい場合は、組成のコントロールが難しくなる場合がある。

0130

上記化合物は、ベースポリマーである、少なくとも1種の液晶性高分子化合物若しくは少なくとも1種の液晶性高分子化合物を含む組成物に、1種または複数配合することができ、本発明の効果を損なうことがない範囲内であれば、異なった種類の光反応性化合物を複数配合しても何ら問題ない。

0131

尚、該化合物とベースポリマーとなる少なくとも1種の液晶性高分子化合物または少なくとも1種の液晶性高分子化合物を含む組成物との混合は、固体混合溶液混合、あるいはメルト混合などの方法で行える。

0132

次に、主鎖あるいは側鎖に光反応性部位を有する液晶性高分子化合物について説明する。該液晶性高分子化合物とは、上記の如き性質を有する光反応性部位を、上述において説明したベースポリマーの側鎖または主鎖に導入したものであり、例えば液晶性ポリエステル、光学活性な液晶性ポリエステルなどに光反応性部位を持つジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸などを導入することによって得ることができる。具体的には、以下に示すような光照射によってそのキラリティーが変化する光反応性の光学活性部位を持つジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸や、光照射によって立体構造が変化するジオール、ジカルボン酸、オキシカルボン酸などを導入する(式中、*印は光反応性光学活性炭素を示す)。

0133

0134

0135

0136

0137

これらの光反応性部位が液晶性高分子化合物中に占める割合は、通常0.1モル%〜80モル%であり、好ましくは0.5モル%〜50モル%、より好ましくは1モル%〜30モル%、さらに好ましくは5モル%〜25モル%である。0.1モル%より少ない場合は、十分な変化量を得ることが難しくなる場合があり、80モル%より多い場合には、配向性に悪影響を及ぼす場合がある。

0138

この光反応性部位を導入した液晶性高分子化合物の分子量は、たとえばフェノール/テトラクロロエタン中30℃で測定した対数粘度が、0.05から5.0の範囲が好ましい。対数粘度が5.0より大きい場合は、粘性が高すぎて結果的に配向性の低下を招く場合があり、また0・05より小さい場合は、組成のコントロールが難しくなる場合がある。

0139

上記の如き光反応性部位を導入した液晶性高分子化合物および光反応性部位を導入した液晶性高分子化合物を少なくとも1種含む組成物には、上記において説明した光学活性な低分子および/または高分子化合物を、全体として均一な液晶相を示す組成物となるのであるならば何ら問題なく配合することができる。

0140

以上説明したように、本発明に用いられる液晶性高分子とは、少なくとも1種の液晶性高分子化合物、または、少なくとも1種の液晶性高分子化合物を含む液晶性高分子組成物をベースポリマーとし、該ベースポリマーが液晶状態において形成する配向形態を光照射によって、光照射と同時、または、光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった形態に変化させうる性質を持った、少なくとも1種の光反応性化合物をベースボリマーに配合した組成物、光照射によって光照射と同時または光照射した後に、液晶状態において光照射前とは異なった配向形態に変化させうる性質を持った光反応性部位の1つ若しくは複数を、ベースポリマーの側鎖若しくは主鎖に導入した、光反応性を有する液晶性高分子化合物または光反応性を有する液晶性高分子化合物を少なくとも1種含む組成物、および、これらの混合物などである。

0141

以下に、本発明に用いられる液晶性高分子の代表的な具体例を挙げる。

0142

0143

で示されるポリマー(m/n=通常99.9/0.1〜80/20、好ましくは99.5/0.5〜90/10、さらに好ましくは99/1〜95/5)

0144

0145

で示されるポリマー(m/n=0.5/99.5〜10/90好ましくは1/99〜5/95)

0146

0147

で示されるポリマー(m/n=0.5/99.5〜20/80、好ましくは1/99〜10/90)

0148

0149

で示されるポリマー(k=1+m+n、k/n=99.5/0.5〜50/50、好ましくは99/1〜80/20、1/m=5/95〜95/5)

0150

0151

で示されるポリマー(k=1+m+n、k/n=99.5/0.5〜90/10、好ましくは99/1〜95/5、1/m=50/50〜95/5)

0152

0153

で示される組成物((A)/(B)=通常99.9/0.1〜70/30(重量比)、好ましくは99.5/0.5〜80/20、さらに好ましくは99/1〜90/10、m=k+1、k/1=75/25〜25/75、p=q+r、q/r=80/20〜20/80)

0154

0155

で示される組成物((A)/(B)=通常99.9/0.1〜80/20(重量比)、好ましくは99.5/0.5〜90/10、好ましくは99/1〜95/5、k=1+m、1/m=80/20〜20/80)

0156

0157

で示される組成物((A)/(B)=通常99.9/0.1〜50/50(重量比)、好ましくは99.5/0.5〜70/30、好ましくは99/1〜80/20、k=1+m、1/m=25/75〜75/25、p=q+r、q/r=20/80〜80/20、p/s=99/1〜70/30)

0158

0159

で示されるポリマー(k+n=1+m、k/n=通常99/1〜30/70、好ましくは95/5〜50/50、1/m=75/25〜25/75)

0160

0161

で示される組成物((A)/(B)=通常1/99〜40/60(重量比)、好ましくは5/95〜20/80、m=k+1、k/1=99.5/0.5〜0/100、好ましくは90/10〜10/90、p=q+r、q/r=20/80〜80/20)

0162

0163

で示されるポリマー(k+m=1+n、k/m=1/99〜90/10、好ましくは5/95〜20/80、1/n=25/75〜75/25)
(式中、*印は光反応性光学活性炭素を、+印は光非反応性光学活性炭素をそれぞれ示す。また下線は、光反応性部位単位または光反応性部位を有する化合物をそれぞれ示す。)

0164

尚、以上説明した光照射によって配向形態が変化しうる性質を有す液晶性高分子には、例えば、界面活性剤色素などそれ自体では液晶性を示さない添加物を、該添加物を含む液晶性高分子が全体として液晶性を示し、本発明の効果を損なわなければ特に問題なく添加することができる。

0165

本発明の光学フィルムは、以上の液晶性高分子を配向基板上で膜を形成させた後、該液晶性高分子膜の少なくとも一部に光を照射して液晶性高分子膜の液晶状態における配向形態を変化させ、その配向形態を固定化した、光学性能を全面または部分的に制御することができる光学フィルムである。

0166

本発明において用いられる配向基板としては、プラスチックフィルム基板アルカリガラスホウ珪酸ガラスプリントガラスなどのガラス基板アルミ、鉄、銅などの金属箔基板、好ましくは、ラビング処理を施したポリイミド膜ポリビニルアルコール膜などの有機薄膜あるいは二酸化珪素斜め蒸着膜などを有するガラス基板、プラスチックフイルム基板または金属箔基板、延伸処理または表面を直接ラビング処理したプラスチックフィルム基板、さらには表面を直接ラビング処理した金属箔基板などを挙げることができる。上記プラスチックフィルムとしては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂ポリビニルアルコールポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォンポリフェニレンサルファイドポリオレフィンポリイミドポリアミドイミドポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトンポリエーテルエーテルケトンポリケトンサルファイドポリスフォンポリフェニレンオキサイドポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリアセタールエポキシ樹脂フェノール樹脂などが挙げられる。尚、配向基板に配向能を付加するためのラビングなどの配向処理は、基板の任意の方向に対して施すことができる。

0167

次に配向基板上に液晶性高分子の膜を形成する方法について説明する。膜形成は任意の方法で行うことができ、例えば溶液塗布溶融塗布などの方法を例示することができる。膜厚などの品質の点から、液晶性高分子を適宜の溶媒に溶解し、塗布設備を用いて塗布し、乾燥して液晶性高分子膜を形成する方法が適当である。

0168

液晶性高分子溶液を調製する場合、用いることのできる溶媒は用いられる液晶性高分子の種類によって異なるが、通常はクロロホルムジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレンテトラクロロエチレンオルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化炭化水素とフェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類との混合溶媒、テトラヒドロフランジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどである。

0169

また溶液の濃度は、液晶性高分子と溶媒の組み合わせにより異なるが、通常は1〜60%の範囲で使用され、好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜30%の範囲である。また塗布方法には、スピンコート法プリント法、浸漬引き上げ法、ロールコート法カーテンコート法、スロットコート法などを採用することができる。

0170

配向基板上に上記の方法などによって液晶性高分子膜を形成した後、該液晶性高分子膜を配向させる目的で熱処理をおこなう。該熱処理の条件は、界面効果による配向を助ける意味で配向形成時の液晶性高分子の粘性は低い方がよく、従って熱処理温度は高い方が好ましいが、本発明において用いられる液晶性高分子は、液晶相より高温部等方相を有する場合が多いために、等方相への転移温度より低い温度で行うほうが好ましい。一般的には、50℃〜300℃の範囲が好適であり、特に100℃〜260℃の範囲が好適である。

0171

配向基板上で十分な配向形態を得るために必要な熱処理時間は、用いる液晶性高分子の種類、熱処理温度などにより異なり、一概にはいえないが、10秒〜120分の範囲が好ましく、特に30秒〜60分の範囲が好ましい。

0172

次に本発明において、液晶性高分子膜に照射する光は、例えば太陽光紫外線ハロゲンランプキセノンランプなどを挙げることができ、使用する液晶性高分子の種類により適宜選択する必要がある。通常、本発明においては紫外光が好適に用いられ、好ましくは200〜400nmの紫外光が、より好ましくは300〜400nmの紫外光が、さらに好ましくは330〜380nmの紫外光が好適に用いられる。

0173

光の照射量は、使用する光反応性部位の種類や高分子液晶の膜厚によって異なるが、通常1mJ/cm2〜500J/cm2、好ましくは5mJ/cm2〜100J/cm2、さらに好ましくは10mJ/cm2〜30J/cm2の範囲で選択できる。

0174

部分的に光を照射する方法は、特に制限はなく、目的とする要求性能などに応じて適宜選択できる。具体的には、レジストなどの露光を行うようにフォトマスクを有する露光機を用いる方法、ステッパを用いる方法およびレーザーなど微細に絞りこんだ光束を用いる方法などを挙げることができる。いずれの方法を用いても特に問題はないが、量産性の観点からフォトマスクを用いた露光機を用いる方法が好ましい。この場合、数10μm程度の微細加工も可能であり、露光量を変えたり光透過率が異なる複数の領域を有する階調マスクを用いることなどによって、微細なパターン毎に光学性能、特に液晶性高分子のねじれ角の変化に伴う配向形態の制御を微細なパターン毎に施した大面積の光学フィルムを得ることが可能となる。尚パターンの形状としては、ストライプ状、モザイク状格子状など用途に応じて任意の形状を採用することができる。

0175

上記の方法を用いるなどして、微細領域毎に異なった量の光を照射することにより、例えば、微細領域毎に配向形態が異なった光学性能、具体的には、異なったねじれ角を有するミクロ光学素子アレイに好適に用いることができる光学フィルムを得ることが可能となる。このとき、光反応性化合物における光学活性部位および光反応性を示さない化合物の光学活性部位の種類をそれぞれ適宜に選択することにより、ねじれ構造を有する配向形態を形成する液晶性高分子のねじれの方向を、右回りおよび左回りのいずれをも実現することができる。

0176

本発明の方法で製造される光学フィルムのねじれ角の範囲には、特に制限はなく、目的とする光学素子に要求される光学性能により、光未反応性の光学活性部位や光反応性光学活性部位の種類、それらの光学純度や液晶性高分子中の濃度、さらには光学フィルムの膜厚などにより、適宜に選択できるが、通常5万゜〜−5万゜、好ましくは1万゜〜−1万゜、さらに好ましくは5,000゜〜−5,000゜の範囲が適当である。5万゜を超えたり−5万゜未満のものを製造することもできるが、フィルムの膜厚を厚くしたり、光未反応性の光学活性部位や光反応性光学活性部位の濃度を高くする必要があり、また、その結果、配向性が弱まる恐れがある。尚、配向基板上の液晶性高分子の膜全面に光を均一に照射することによって、全面が同じ光学性能を持つ光学フィルムの作製ももちろん可能である。

0177

本発明において光を照射する時期は、塗布を行い高分子液晶の膜を形成した後から、配向形態を固定化するまでの間であればいずれでもよい。熱処理中に光照射することも可能であるが、熱処理中、液晶性高分子は液晶状態であり、これと上記のマスクなどを接触させると、均一な膜形成が困難となる場合がある。また、液晶性高分子膜とマスクとの間に接触しない程度一定間隔を設け、光照射をした場合、特に微細領域に光照射をした際など、正確性に欠ける恐れがあり、工程の複雑化が懸念される。したがって本発明においては、熱処理を開始する前、またはいったん熱処理し、該膜を固定化させた後に光照射を行う方が、マスクなどを液晶性高分子膜に接触させて使用できる、など工程の簡便さ、また光照射領域の正確性といった観点から好ましい。

0178

本発明の光学フィルムは、液晶性高分子膜の状態に関わらず、光を照射した後に、液晶性高分子を液晶状態にして配向せしめ、その後、該配向形態を固定化する、「光照射→配向→固定化」という工程を繰り返し行って製造することが可能である。具体的に本発明の光学フィルムの製造工程を説明すると、
無配向(固体状態)→光照射→配向(液晶状態)→固定化(固体状態)
配向(液晶状態)→固定化(固体状態)→光照射→配向(液晶状態)→固定化(固体状態)
配向(液晶状態)→光照射→配向(液晶状態)→固定化(固体状態)
無配向(固体状態)→光照射→配向(液晶状態)→固定化(固体状態)→光照射→配向(液晶状態)→固定化(固体状態)
という工程パターンが考えられる。尚、無配向とは、配向基板上に液晶性高分子の膜を形成し、配向を形成せずに固体状態となったフィルム、またはポリドメイン状態のフィルムである。本発明の製造方法は、上記工程パターンに限定されるものではない。該工程パターンにおいて、最後の固定化の後、再度、光を照射し、液晶状態にして配向させ、固定化する、という工程を繰り返し行うことができる。

0179

本発明において、光照射によって配向形態を制御する時期は、目的とする光学フィルムの種類、液晶性高分子の種類、製造ラインなどに応じて適宜に選択する必要があるが、大きく分けると配向基板上に形成された液晶性高分子膜が呈している状態、すなわち液晶状態、固体状態によって異なる。液晶性高分子膜が液晶状態を呈している場合には、光照射と同時に、配向形態の制御を行うことができる。また液晶性高分子膜が固体状態にあるときは、具体的に説明すると、配向基板上に液晶性高分子の膜を形成した後、いったん配向形態を例えば熱処理を行って形成し、それを固定化して得られた固体状態を呈している液晶性高分子膜、または、配向基板上に液晶性高分子の膜を形成し、その後、固体状態とした無配向の液晶性高分子膜に光を照射する。光を照射すると、光照射部分は、光照射前と固体状態においては見かけ同一ではあるが、この液晶性高分子膜に対し、液晶状態を示す温度の熱を加える、詳しくは上記にて説明した熱処理を行うことによって、光照射部分の光反応性部位または光反応性部位を有する化合物の作用により、液晶状態において配向形態の変化が起こり、光照射前とは異なった配向形態に制御することができる。

0180

以上のようにして得られた、ある領域毎若しくは微細領域毎にそれぞれ配向形態が異なる液晶性高分子膜、または、全面が同一の配向形態である液晶性高分子膜が形成した、ねじれネマチック配向、ネマチック配向、ねじれチルト配向など、それぞれの配向形態を、液晶性高分子のガラス転移点以下の温度に冷却することにより固定化することが本発明において好ましく、この方法を用いることにより配向形態を損なわずに固定化された光学フィルムを得ることができる。

0181

一般的に液晶相より低温部に結晶相を持っている液晶性高分子を用いた場合、液晶状態における配向は、冷却することにより壊れてしまう恐れがある。本発明においては、液晶相を示す温度領域より下の温度においてガラス相を有するポリマー系を使用するためにそのような現象が生じることがなく、配向形態を壊すことなく固定化することができる。

0182

冷却する速度は特に制限はなく、加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるために、空冷水冷などの強制冷却を行っても良い。但し、使用する液晶性高分子の種類によっては、ねじれ角が冷却速度によって若干変化することがある。このような液晶性高分子を使用する場合、冷却操作は該液晶性高分子の性質に応じた条件下で行うことが好ましい。

0183

固定化後の液晶性高分子膜、すなわち本発明の光学フィルムの膜厚は特に制限はない。該フィルムの複屈折によっても異なるが、0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。0.01μm未満では精度のよい膜厚の調製が困難となるので好ましくない。またあまり厚くなると配向の規制力が弱まり好ましくなく、この観点から100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下の範囲が適当である。

0184

以上の工程によって得られた本発明の光学フィルムは、配向基板上で流動性を示さず、仮に配向基板を剥離したとしても、フィルム形状および配向形態を形成したままの状態を保つことができ、最終的に製品として使用しても差し支えない状態に固定化されたものである。

0185

本発明の光学フィルムを、種々の光学素子に用いる場合、光学フィルムが実用上十分な自己支持性を有している場合には、フィルム単体で使用しても何ら差し支えない。また、自己支持性を持たない場合には、配向基板が透明で光学的に等方であるか、あるいは光学的に異方であったり不透明である場合でも目的とする光学素子としての使用に問題とならないものであれば、そのまま目的とする光学素子として使用することができる。

0186

例えば、金属薄膜のように不透明な基板を用いている場合でも、反射特性を利用する用途には使用できる。一方、配向基板上で液晶性高分子膜を配向固定化した後、この該膜を基板から剥離して光学用途に、より適した別の基板上に移しかえることもできる。

0187

例えば、使用する配向基板が、配向形態を得るために必要なものであるが光学素子として使用する場合の性質に好ましくない影響を与えるような場合、その基板を配向固定化後の光学フィルムから除去して用いることができる。具体的には次のような方法を採ることができる。

0188

目的とする光学素子に適した基板(以下、第2の基板と言う)と配向基板上の光学フィルムとを、接着剤または粘着剤を用いて貼りつける。次に、配向基板と本発明の光学フィルムの界面で剥離し、光学フィルムを光学素子に適した第2の基板側に転写して目的とする光学素子を製造する。

0189

転写に用いられる第2の基板としては、適度な平面性を有するものであれば特に限定されない。例えば、透過型の光学素子の場合には、ガラスや透明で光学的等方性を有するプラスチックフィルムが好ましい。かかるプラスチックフィルムの例としては、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレートアモルファスポリオレフィントリアセチルセルロースあるいはエポキシ樹脂などをあげることができる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルフォンなどが好ましく用いられる。また、光学的に異方性であっても、目的とする光学素子としての使用に問題とならないものであれば使用することができる。このような例としては、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリカーボネートなどの位相差フィルムがあげられる。

0190

また用いられる透光性基板の別な種類として偏光フィルムを例示することができる。偏光フィルムは液晶ディスプレイに必須な光学素子であり、基板として偏光フィルムを用いれば、本発明の光学フィルムと偏光フィルムが一体化された新たな光学素子とすることができ、極めて好都合である。

0191

さらに用いられる第2の基板の例として液晶表示セルそのものをあげることができる。液晶表示セルは、上下2枚の電極付きガラス基板を用いており、この上下いずれかあるいは両面のガラス上に本発明の光学フィルムを転写すれば、表示セル基板ガラスそのものが目的の光学素子となる。また表示セルを形成するガラス基板そのものを配向基板として本発明の光学フィルムを製造することももちろん可能であるし、該光学フィルムを表示セル内部に組み込んで用いることもできる。

0192

一方、反射型の光学素子に本発明の光学フィルムを用いる場合においては、転写に用いられる基板として、透明および不透明なガラス板、プラスチックフィルム、金属板を例示できる。かかる金属板としては銅、ステンレスアルミニウムなどをあげることができる。

0193

転写に用いられる第2の基板と本発明の光学フィルムとを貼りつける接着剤または粘着剤は、光学グレードのものであれば特に制限はないが、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢ビ共重合体系、ゴム系などを用いることができる。

0194

本発明の光学フィルムを用いた光学素子に適した第2の基板への転写は、接着後配向基板を該光学フィルムとの界面で剥離することにより行える。剥離の方法は、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬したのち機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該光学フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのものまたは配向基板上の配向膜溶解除去する方法などを例示することができる。剥離性は、用いる液晶性高分子と配向基板の密着性によって異なるため、その系に最も適した方法を採用すべきである。

0195

次に、本発明の方法で製造された同一面内に異なった光学性能を示す複数の領域を有する光学フィルムを用いた光学素子の応用について例をあげて説明する。例えば、液晶ディスプレイの視野角改良板としての応用について例示できる。液晶ディスプレイの視野角改良法としては、液晶セル中の画素を分割して、それぞれ別の配向制御を行う方法が提案されているが(例えば、特開平5−224207号公報など)、製造法が繁雑になることからコスト的に問題があった。一方、ねじれネマチック液晶の補償層を用いて視野角特性を改良する方法も提案されているが(例えば、特開平5−40277号公報など)、提案されている方法での視野角改良効果は視野角を全方位にわたって改良するものではなく、視野角の良好な方位を移動させるにすぎず、この点で視野角特性改良の技術としては制限があった。しかしながら、本発明の光学フィルムを用いた光学素子を用いることにより、容易に視野角を全方位にわたり改良できる。すなわち、フォトマスクを通して光を照射することによりねじれネマチック液晶からなる光学素子のねじれ角やねじれ方向などを調節して、液晶ディスプレイに組み込んだ時に、たとえば上方向に視野角が改良される光学特性をもつ領域と下方向に視野角が改良される光学特性を持つ領域の両領域が一つの画素内に存在するような構造を持つミクロ光学素子を本発明の光学フィルムを用いることで作製することができる。この光学素子を用いることにより、たとえば上と下や左と右といった複数の方位に対し視野角特性を改良した液晶ディスプレイを作製することができる。

0196

また、3次元液晶ディスプレイへの応用について例示することもできる。本発明の方法で、ストライプ状やモザイク状など液晶ディスプレイの画素レベルのミクロな領域毎に旋光能を制御した光学フィルムを作製し、それを用いることによりミクロ旋光子を作製することが可能である。液晶ディスプレイに組み込んだ時に出射される光が画素領域毎に直交するようなミクロ旋光子を用いれば、右目用左目用の情報の分離が可能となり、3Dディスプレイに応用できる。

0197

また、液晶ディスプレイ用新規カラーフィルターとしての応用を例示することもできる。すなわち、マスクを用いて紫外光を照射するなどの方法によって高分子液晶層のねじれ角を画素単位で調節し、偏光板間で複屈折効果によってそれぞれR,G,Bの3原色表現できるように3種類の領域を設定すれば、本発明の光学フィルムを用いた液晶ディスプレイ用のカラーフィルターを得ることができる。このとき、紫外光の透過光量が画素毎に3段階に変化している階調マスクを用いて画素毎のねじれ角を制御すれば、1回の露光でR,G,Bの3原色の設定が可能であり、より効果的な製造ができる。

0198

また、液晶ディスプレイ用色補償板への応用も例示できる。STN液晶ディスプレイ用色補償板において、一部分だけが異なったねじれ角を有する光学フィルムを用いて補償板を作製し、それ用いることにより、STN液晶ディスプレイ上で一部分だけ異なった色の表示が可能になる。この表示によって、情報内容区分が可能となり、多彩な表示が実現される。

0199

さらに、反射型液晶ディスプレイ用のカラー反射板としての応用について例示することもできる。ねじれネマチック液晶においては、そのねじれのピッチ平均屈折率の積が可視光範囲にある場合に、選択反射によって鮮やかなコレステリックカラーを観察することができる。光が照射することにより高分子液晶層のねじれ角を画素毎に調節して、それぞれR,G,Bの3原色の波長領域で選択反射するように設定した本発明の方法で作製した光学フィルムを用いたミクロ光学素子を、反射型液晶ディスプレイの反射板のかわりに組み込めば、カラー表示が実現される。このときλ/4板と一対になった構造のミクロ光学素子を用いればより効果的である。

0200

本発明の製造方法では、同一面内に光学的性質が異なる複数の領域を有する光学フィルムを製造することが可能であり、種々の光学素子への利用が可能な光学フィルムを容易に製造することができる。

0201

以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお実施例で用いた各分析法は以下の通りである。
(1)液晶性高分子化合物の組成の決定
液晶性高分子化合物を、重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、400MHzの1H−NMR日本電子製JNM−GX400)で測定して決定した。
(2)対数粘度の測定
ベローデ型粘度計を用いフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中30℃で測定した。
(3)液晶相系列の決定
DSC(DuPont 990 Thermal Analizer)測定およびホットステージメトラーFP82)を装着した偏光顕微鏡オリンパスBH2)観察により決定した。
(4)ねじれ角およびΔn・dの決定
ねじれ角は、偏光解析あるいは選択反射波長から求め、またΔn・dはエリプソメータにより測定したデータを解析処理して決定した。

0202

(実施例1)液晶性高分子化合物A(対数粘度0.15)、光反応性化合物Bを98:2の重量比で含む液晶性高分子組成物の17wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を、15cm×23cmの大きさでラビング処理したポリイミド層を有する厚さ1mmのガラス板上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した後に乾燥し、光反応性の液晶性高分子の膜を得た。これに、幅100μm、間隔100μmのストライプパターンを持つフォトマスクをあて高圧水銀灯を用いて10J/cm2の紫外光を照射した後、200℃で10分間熱処理を行い、ねじれネマチック配向を形成し、次いで冷却して、該配向形態を固定化した。この光学フィルムのΔn・dは880nmであり、ねじれ角は紫外光照射部で−130゜、紫外光未照射部(マスク部)で−200°であった。この光学フィルムを基板上に形成したままの状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、ストライプパターン状に異なった色が観察され、ミクロ光学素子として良好な性能を示した。

0203

0204

(比較例1)光反応性化合物Bを含まない他は、実施例1と同じ操作を行い、液晶性高分子化合物Aを用いて光学フィルムを得た。この光学フィルムのパラメータは、Δn.d=890nm、ねじれ角=0°で全面同じであり、紫外光照射部と未照射部との間に差は認められなかった。この光学フィルムを基板上に形成したままの状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、全面同じ色が観察され、ミクロ光学素子には用いることができないフィルムであった。

0205

(実施例2)液晶性高分子化合物C(対数粘度0.16)、光反応性高分子化合物D(対数粘度0.18)を96:4の重量比で含む光反応性の液晶性高分子の15wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を、15cm×15cmの大きさで直接ラビング処理したポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後に乾燥し、液晶性高分子組成物の膜を得た。これに、幅100μm、間隔100μmのストライプパターンを持つフォトマスクをあて高圧水銀灯を用いて20J/cm2の紫外光を照射した後、210℃で10分間熱処理を行いねじれネマチック配向を形成し、次いで冷却して、該配向形態を固定化した。この光学フィルムの上にUV硬化アクリル系接着剤を用いて同サイズの厚さ50μmの第2の基板ポリエーテルスルフォン(PES)フィルムを張り付けて接着した。次に配向基板として用いたPEEKフィルム基板を静かに剥し光学フィルムをPESフィルム基板上に転写した。この光学フィルムのΔn・dは720nmであり、ねじれ角は紫外光照射部で−90°、紫外光未照射部(マスク部)で−260°であった。この光学フィルムをPESフィルム基板上に転写したままの状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、ストライプパターン状に異なった色が観察され、同一面内に異なった光学性能をもつ光学素子に有効に用いることができる光学フィルムであることが確認できた。

0206

0207

(実施例3)液晶性高分子化合物E(対数粘度0.16)、および光反応性部位を有する液晶性高分子化合物F(0.20)を98:2の重量比で含む、光反応性の液晶性高分子の20wt%のN−メチルピロリドン溶液を調製した。この溶液を、15cm×15cmの大きさで直接ラビング処理したポリイミド(PI)フィルム基板上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した後に乾燥し、液晶性高分子組成物の膜を得た。これに、幅100μm、間隔100μmのストライプパターンを持つフォトマスクをあて高圧水銀灯を用いて30J/cm2の紫外光を照射した後、210℃で10分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。この光学フィルムの上に、UV硬化型アクリル系接着剤を用いて同サイズの厚さ50μmの第2の基板ポリカーボネート(PC)フィルムを張り付けて接着した。次いで、配向基板として用いたPIフィルム基板を静かに剥し光学フィルムをPCフィルム上に転写した。この光学フィルムのΔn・dは1.06μmであり、ねじれ角は紫外光照射部で0゜、紫外光未照射部(マスク部)で−90°であった。このPCフィルム基板上に形成した光学フィルムに、ラビング方向と平行な直線偏光入射して、出射光の状態を偏光板を回転させながら観察したところ、紫外線照射部では、出射光側の偏光板の透過軸入射光偏光方向と平行のとき光が透過し、直交のとき暗視野となった。これに対し、マスク部では逆に出射光側の偏光板の透過軸が入射光の偏光方向と平行のとき暗視野となり、直交のとき光が透過し、ストライプ状のミクロ旋光子としての性能を持つ光学素子に有効に用いることができる光学フィルムであることが確認できた(概略図1)。

0208

0209

(比較例2)光反応性部位を有する液晶性高分子化合物Fのかわりに、光非反応性の液晶性高分子化合物G(対数粘度0.19)を用いた他は、実施例3と同じ操作を行って光学フィルムを得た。この光学フィルムのパラメータは、Δn.d=1・04μm、ねじれ角=−92°で全面同じであり、紫外光照射部と未照射部との間に差は認められなかった。これを実施例3と同様に光学性能を観察したところ、全面同一の光学性能しか持たず、ミクロ旋光子に用いることができない光学フィルムであることが確認できた。

0210

0211

(実施例4)光反応性の液晶性高分子化合物H(対数粘度0.17)の15wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を、15cm×23cmの大きさでラビング処理したポリイミド層を有する厚さ1mmのガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後に乾燥し、光反応性の液晶性高分子の膜を得た。これに、幅100μm、間隔100μmのストライプパターンを持つフォトマスクをあて高圧水銀灯を用いて20J/cm2の紫外光を照射した後、220℃で10分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。この光学フィルムのΔn・dは、300nmであり、ねじれ角は紫外光照射部で−170°、紫外光末照射部(マスク部)で−210°であった。この光学フィルムを、ポリイミド層を有するガラス基板上に形成した状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、ストライプパターン状に異なった色が観察され、ミクロ光学素子に有効に用いることができる光学フィルムであることが確認された。

0212

0213

(比較例3)光反応性部位を有しない液晶性高分子化合物I(対数粘度0.17)を用い、実施例4と同じ操作を行って、光学フィルムを得た。この光学フィルムのパラメータはΔn・d=300μm、ねじれ角=−150°で全面同じであり、紫外光照射部と未照射部との間に差は認められなかった。これを実施例4と同様に、偏光板にはさみ、透過光の色を観察したところ、全面同じ色が観察され、ミクロ光学素子に用いることができないフィルムであることが確認された。

0214

0215

(実施例5)液晶性高分子化合物J(対数粘度0.20)、光反応性の液晶性高分子化合物Kを97:3の重量比で含む、光反応性の液晶性高分子の20wt%のジメチルホルムアミド溶液を調製した。この溶液を、15cm×23cmの大きさでラビング処理したポリイミド層を有する厚さ1mmのガラス基板上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した後に乾燥し、光反応性の液晶性高分子の膜を得た。膜の半面をアルミ箔で覆い、高圧水銀灯を用いて1J/cm2の紫外光を照射した後、80℃で15分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。この光学フィルムのΔn・dは880nmであり、ねじれ角は紫外光照射部で−50°、紫外光未照射部(マスク部)で−70°であった。この光学フィルムをラビング処理したポリイミド層を有するガラス基板上に形成したままの状態で、STNディスプレイの液晶セルと偏光板の間に組み込んだところ、光照射部と非照射部とでは異なった色が表示された。

0216

0217

(比較例4)光を照射しない他は、実施例5と同じ操作を行い、光学フィルムを得た。この光学フィルムのパラメータは、Δn・d=890nm、ねじれ角=−72°で全面同じであった。この光学フィルムを、実施例5と同様にSTNディスプレイの液晶セルと偏光板の間に組み込んだところ、全面同じ色の表示色しか得られず、所望の光学性能をもたないものであった。

0218

(実施例6)液晶性高分子化合物L(対数粘度0.18)、光反応性の液晶性高分子化合物M(対数粘度0.17)を98:2の重量比で含む光反応性の液晶性高分子の15wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を、15cm×15cmの大きさで直接ラビング処理したポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後に乾燥し、液晶性高分子膜を得た。これに、縦1mm、横1mmのモザイク状のパターンを持ち、光透過率が3段階に変化している階調フォトマスクをあて、高圧水銀灯を用いて10J/cm2の紫外光を照射した後、210℃で10分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。この光学フィルムの上にエポキシ系接着剤を用いて同サイズの厚さ50μmの第2の基板ポリカーボネート(PC)フィルム基板を張り付けて接着した。次に配向基板として用いたPEEKフィルム基板を静かに剥し光学フィルムをPESフィルム基板上に転写した。この光学フィルムのΔn・dは720nmであり、ねじれ角は光透過率の異なる3つの領域でそれぞれ−186°、−200゜、−215°であった。この光学フィルムを、PESフィルム上に形成したままの状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、モザイクパターン状に3種類の異なった色が観察され、同一面内に3種類の異なった光学性能をもつ光学素子に用いることができる光学フィルムであることが確認できた。

0219

0220

(実施例7)液晶性高分子化合物N(対数粘度0.19)、光反応性の液晶性高分子化合物O(対数粘度0.16)を90:10の重量比で含む光反応性の液晶性高分子の13Wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調製した。この溶液を、15cm×23cmの大きさでラビング処理したポリイミド層を有する厚さ1mmのガラス基板上に、スクリーン印刷機を用いて塗布した後に乾燥し、光反応性の液晶性高分子の膜を得た。これに、縦1mm、横1mmのモザイク状のパターンを持ち、光透過率が3段階に変化している階調フォトマスクをあて、高圧水銀灯を用いて5J/cm2の紫外光を照射した後、210℃で10分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。この光学フィルムのΔn・dは、500nmであり、ねじれ角は光透過率の異なる3つの領域でそれぞれ−242°、−263°、−280°であった。この光学フィルムを、ラビング処理したポリイミド層を有するガラス基板に形成したままの状態で、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、モザイクパターン状に3種類の異なった色が観察され、同一面内に3種類の異なった光学性能をもつ光学素子に用いることができる光学フィルムであることが確認できた(概説図2)。

0221

0222

(比較例5)液晶性高分子化合物Nのかわりに液晶性高分子化合物P(対数粘度0.19)を用いた他は、実施例7と同様の操作を行い、熱処理後冷却して配向を固定化しようとしたが、得られた光学フィルムは、透明性のない白濁したものとなった。この光学フィルムを実施例7と同様に、偏光板に挟み、観察したところ、大部分の配向が乱れており、光学素子に用いることができないフィルムであることが確認された。この液晶性高分子の相系列を調べたところ、液晶相より低温部にガラス相を持たず、結晶相を有していた。

0223

0224

(実施例8)光反応性の液晶性高分子化合物Q(対数粘度0.17)を用いて、紫外光の照射量を4J/cm2にした他は、実施例4と同じ操作を行い、光学フィルムを得た。この光学フィルムのΔn・dは、250nmであり、ねじれ角は紫外光照射部で−55°、紫外光未照射部(マスク部)で−70゜であった。この光学フィルムを実施例4と同様、偏光板に挟み、透過光の色を観察したところ、ストライプパターン状に異なった色が観察され、ミクロ光学素子に用いる光学フィルムとして良好な性能を示した。

0225

0226

(実施例9)ポリマーR(対数粘度0.16)の17wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)溶液を調整した。この溶液を、15cm×23cmの大きさでラビング処理したポリイミド層を有する厚さ1mmのガラス板上に、スピンコーターを用いて塗布した後に乾燥し、液晶性高分子膜を得た。これに、縦1cm、横1cmのモザイク状のパターンを持つフォトマスクをあて、高圧水銀灯を用いて20J/cm2の紫外光を照射した後、230℃で20分間熱処理を行い、次に冷却して配向を固定化した。このガラス基板上の光学フィルムの膜厚は3μmであった。この光学フィルムの選択反射波長を分光光度計日立自記分光光度計330型)で調べたところ、紫外線照射部で560nm、紫外線未照射部(マスク部)で450nmであり、ねじれ角は、紫外線照射部で3200°、紫外線未照射部(マスク部)で4000。であった。この光学フィルムを白色光下で観察したところ、モザイクパターン状に、異なった色の反射光が観察され、ミクロ光学素子として良好な性能を示した。

0227

発明の効果

0228

本発明は、液晶ディスプレイ用の視野角改良板やカラーフィルターやカラー反射板、ミクロ旋光子、3Dディスプレイなど広範囲の用途に応用される、同一面内に複数の異なった光学性能を有するミクロ光学素子に用いることができる光学フィルムを、容易に、且つ、高精度に製造できる、という格別の効果を奏する。

図面の簡単な説明

0229

図1実施例3のミクロ旋光子の概略図。
図2実施例7の光学素子の概略図。

--

0230

1PCフィルム(第2の基板)
2接着剤
3高分子液晶
4配向基板側の高分子液晶分子の配向方向をあらわす
5 配向基板側と逆側表面の高分子液晶分子の配向方向をあらわす

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