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技術 プレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 勝見俊之宮内優二郎金井洋圓山勝俊
出願日 1995年4月24日 (24年2ヶ月経過) 出願番号 1995-120403
公開日 1996年11月5日 (22年8ヶ月経過) 公開番号 1996-290109
状態 特許登録済
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 金属への塗装 表面反応による電解被覆 金属の化成処理
主要キーワード 塗装線 対流運動 導電性物 被膜温度 変形熱 水系エマルジョン塗料 成型加工物 潤滑性塗料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年11月5日)のものです。
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図面 (8)

目的

本発明は、プレス加工特性の優れた家電建材自動車等の部品に利用する表面処理鋼板およびその製造法に関するものである。

構成

高速めっき塗装ラインにおいて、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテルエステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を10〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる潤滑膜厚0.3〜5μmとし、当該潤滑層中に潤滑剤を粒子濃度10〜30%分散させ、当該潤滑層上に第3層としての表面潤滑層厚み0.04〜1μm設けてなることを特徴とする。

概要

背景

従来、加工性の優れた潤滑樹脂処理鋼板として被膜中潤滑剤を分散させることで加工潤滑特性を持たせているものであるが、プレスによる金型温度の上昇により加工性が一般に劣化することが知られている。これは特にベース樹脂軟化することで粘着性を帯び金型との潤滑性が損なわれるためであるといわれている。これらの解決法として、高ガラス転温度を含有する樹脂を用いた特開平1−301333号公報のように、めっき鋼板の片面に水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂とシリカ固形潤滑剤とを含む樹脂混合物または複合物ガラス転移点が70℃以上である樹脂被膜を有し、他面には、水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂とシリカを含む樹脂被膜を有する成形性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板とか、被膜厚よりも大きな粒子径を持つ潤滑剤を用いる方法ないしは高融点潤滑剤の採用等が図られている。しかしこれらの技術については選択可能な樹脂の種類が限定され、かつ、伸び特性が十分に確保できないこと、塗料が分離し易いという作業性の問題が有り、また、膜厚に応じて潤滑剤の最適粒径が変化する等の問題がある。

そこで、本出願人らは特開平6−155184号公報に記載するように、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテルエステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を10〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる膜厚0.2〜5μmの被膜を設けたプレス油省略可能非脱膜型潤滑めっき鋼板をすでに提案している。

概要

本発明は、プレス加工特性の優れた家電建材自動車等の部品に利用する表面処理鋼板およびその製造法に関するものである。

高速めっき塗装ラインにおいて、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜の化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格、エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を10〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる潤滑膜厚0.3〜5μmとし、当該潤滑層中に潤滑剤を粒子濃度10〜30%分散させ、当該潤滑層上に第3層としての表面潤滑層厚み0.04〜1μm設けてなることを特徴とする。

目的

従って、これらの問題を解決するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、表面の潤滑剤層が樹脂と金型の直接接触を防ぎ、また被膜中に分散する粒子深絞り加工などによって激しく被膜が変形した時も潤滑剤の供給源となり、良好な潤滑加工性が保持される構造を持つ被膜を、高温短時間焼き付け設備で製造可能とした加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

高速めっき塗装ラインにおいて、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテルエステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を10〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる潤滑膜厚0.3〜5μmとし、当該潤滑層中に潤滑剤を粒子濃度10〜30%分散させ、当該潤滑層上に第3層としての表面潤滑層厚み0.04〜1μm設けてなることを特徴とするプレス加工特性の優れた表面処理鋼板の製造方法。

請求項2

請求項1記載の製造方法において、塗装時の板温が40℃から60℃の間に有ることを特徴とするプレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、プレス加工特性の優れた家電建材自動車当の部品に利用する表面処理鋼板およびその製造法に関するものである。

背景技術

0002

従来、加工性の優れた潤滑樹脂処理鋼板として被膜中潤滑剤を分散させることで加工潤滑特性を持たせているものであるが、プレスによる金型温度の上昇により加工性が一般に劣化することが知られている。これは特にベース樹脂軟化することで粘着性を帯び金型との潤滑性が損なわれるためであるといわれている。これらの解決法として、高ガラス転温度を含有する樹脂を用いた特開平1−301333号公報のように、めっき鋼板の片面に水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂とシリカ固形潤滑剤とを含む樹脂混合物または複合物ガラス転移点が70℃以上である樹脂被膜を有し、他面には、水酸基および/またはカルボキシル基を有する樹脂とシリカを含む樹脂被膜を有する成形性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板とか、被膜厚よりも大きな粒子径を持つ潤滑剤を用いる方法ないしは高融点潤滑剤の採用等が図られている。しかしこれらの技術については選択可能な樹脂の種類が限定され、かつ、伸び特性が十分に確保できないこと、塗料が分離し易いという作業性の問題が有り、また、膜厚に応じて潤滑剤の最適粒径が変化する等の問題がある。

0003

そこで、本出願人らは特開平6−155184号公報に記載するように、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテルエステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、ポリオレフィンワックス(c)を10〜30重量%、粒径3〜30nmのシリカ(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる膜厚0.2〜5μmの被膜を設けたプレス油省略可能非脱膜型潤滑めっき鋼板をすでに提案している。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上述した特開平6−155184号公報では、図6に示すように、薄鋼板1の上にめっき被膜2、クロメートもしくはりん酸塩被膜の化成被膜3、潤滑被膜4からなる被膜構造において、潤滑被膜4中に潤滑剤5を分散させることで加工潤滑特性を持たせているが、プレスによる金型温度の上昇によって加工性が劣化し充分な潤滑性が得られないという問題が生じる。

0005

一方、これらの塗装鋼板を得るためには、塗装線設備としてのオフラインでの処理、またはメッキライン内の設備では大規模な設備での処理が必要となるため、その通板速度塗装焼き付け工程に大きく律速されるのが実情である。そこで潤滑被膜4の表面に特に潤滑性能の高い層を形成する方法が提案されている。

0006

図7は従来の潤滑被膜の形成過程表面状態を示す概念図である。図7に示すように、原板7上の潤滑被膜4が水系エマルジョン塗料の場合に焼き付けを高温急速加熱により高速で行おうとすると、最表面の水の急激な蒸発により表面に皮張り8が発生する。この表面の皮張り8は内部からの蒸発水分によりガス抜け孔9を形成するが、特に潤滑鋼板においては、この表面の皮張り現象によって表面潤滑層の形成が阻害されるという問題が有り、高速加熱条件下においては潤滑性能の高い被膜を形成することができない。

0007

従って、これらの問題を解決するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、表面の潤滑剤層が樹脂と金型の直接接触を防ぎ、また被膜中に分散する粒子深絞り加工などによって激しく被膜が変形した時も潤滑剤の供給源となり、良好な潤滑加工性が保持される構造を持つ被膜を、高温短時間焼き付け設備で製造可能とした加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、上述のような従来技術の課題を有利に解決するものであって、その発明の要旨とするところは、
(1)高速めっき塗装ラインにおいて、めっき鋼板の表面に第1層としてCr付着量5〜100mg/m2のクロメート被膜もしくは付着量0.2〜2.0g/m2のりん酸塩被膜の化成被膜、第2層としてビスフェノール型骨格、エステル骨格およびカルボキシル基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の総和(a+b)が全固形分に対して50〜85重量%、(d)を10〜40重量%含有する水性潤滑塗料を塗布・焼き付けて得られる潤滑膜厚0.3〜5μmとし、当該潤滑層中に潤滑剤を粒子濃度10〜30%分散させ、当該潤滑層上に第3層としての表面潤滑層厚み0.04〜1μm設けてなることを特徴とするプレス加工特性の優れた表面処理鋼板の製造方法。
(2)(1)記載の方法において、塗装時の板温が40℃から60℃の間に有ることを特徴とするプレス加工性の優れた表面処理鋼板の製造方法にある。

0009

以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。図1は本発明に係るプレス加工性の優れた表面処理鋼板の被膜構造を示す断面図である。すなわち、薄鋼板1の上にめっき被膜2、クロメートもしくはりん酸塩被膜の化成被膜3、潤滑被膜4および表面潤滑被覆層6からなる被膜構造から成り、潤滑被膜4中に潤滑剤5が分散した状態で存在する。この各被膜は用途に応じて両面もしくは片面もしくは表裏の膜厚、被膜組成の異なる構成をとることが可能である。また、例えば潤滑被膜は樹脂+シリカ+ポリオレフィンワックス0.3〜5.0μm、化成被膜Cr5〜100mg/m2もしくはりん酸塩0.2〜2.0g/m2、めっきはZn,Zn合金、Al,Al合金のめっき、めっき量5〜200g/m2から成る。

0010

本発明は基本的にはすべての薄鋼板即ちアルミキルド鋼板、極低炭素鋼板高張力鋼板に適用できる。

0011

めっきは電気めっき、溶融めっき気相めっきで得られる亜鉛亜鉛合金めっき、および複層めっき鋼板アルミニウムアルミニウム合金めっきおよび複層めっき鋼板である。

0012

化成被膜としてはクロメート被膜もしくはりん酸塩被膜を用いる。化成被膜はめっき面と潤滑被膜の間に位置し、加工時の密着性、耐食性等を与える。クロメートは3価クロム水和酸化物を主性分とする後水洗型の電解還元クロメート、3価クロムと6価クロム水和酸化物を主成分とする後水洗型のエッチングクロメート液を塗布し乾燥する無水洗型の塗布クロメート被膜を採用できる。付着量はCr換算で5〜100mg/m2である。5mg/m2未満では耐食性が得られないので好ましくない。100mg/m2超ではクロメート自身の凝集破壊が生じ易く密着性が得られない。クロメート被膜は3価クロム/6価クロム比率の高い水系潤滑塗料に溶解しにくいものが望ましい。

0013

りん酸塩被膜は亜鉛、鉄、ニッケルマンガンカルシウム等のりん酸塩で構成されるものである。付着量は、0.3〜2.0g/m2の範囲が耐食性および密着性の理由で望ましい。0.3g/m2未満では耐食性が得られない。2.0g/m2ではりん酸塩被膜の凝集破壊により、厳しい加工で密着性が得られない。

0014

本発明の潤滑被膜について以下説明する。本発明に係る樹脂としては、ベース樹脂として適切な種類の樹脂を一定重量比で配合させることにある。この樹脂は、密着性、伸びせん断強度、耐食性、耐摩耗性耐薬品性バランスの取れた成分にする必要がある。これらの性能を満足するためには、本発明の樹脂の組み合わせ使用が好ましいのである。本発明者らは、既にウレタン樹脂とエポキシ樹脂を配合しかつ特定のポリオレフィンワックスを配合することにより強度の加工性と耐食性を得ることを達成していたが、さらに鋭意研究の結果、ウレタン樹脂の構造を特定することにより、特に優れた性能を発揮することを見いだした。

0015

高加工性高耐食性を達成するためには、塗膜が均一でありかつ密着性が優れていることが前提であり、かつ強度と伸びのバランスが取れていることが重要である。分子量の大きいウレタン樹脂と、エポキシ樹脂とを併用することで、低分子量同士の樹脂の架橋によってできた膜より基本的な物性を制御しやすく、かつ塗膜量で0.3〜5μmの薄膜でも、均一物性が得られ易いことを見いだした。なお、低分子量のウレタン樹脂とは、各種イソシアネート系の架橋剤含む種類の者である。樹脂として、分子量3000以上の耐摩耗性に優れたウレタン樹脂と密着性または膜強度の向上に優れたエポキシ樹脂を配合した樹脂系の組み合わせが特に高加工性と耐食性等の諸特性を発揮するのに適したベース樹脂である。

0016

本発明のウレタン樹脂は、分子量が3000以上でビスフェノール型骨格とエステル骨格を有しかつカルボキシル基を有する水分散性のエーテル・エステル型ウレタン樹脂(a)で、エポキシ樹脂(b)は、グリコール骨格またはビスフェノール骨格を有するタイプであって、(a)のカルボキシル基の20〜100%を反応させる比率で配合されたものである。本発明の高分子ウレタン樹脂を使用することで薄膜での均一な成膜性が得られ本発明の目的は達成されるが、より好ましくは塗膜の伸びが100%以上でかつ抗張力が100kg/cm2以上になる樹脂を適用すれば、最高の高加工性が得られる。

0017

本発明に使用するウレタン樹脂骨格ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールプロピレングリコールビスフェノールAなどの低分子グリコール類にエチレンオキサイドプロピレンオキサイドなどを付加したポリオールポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられるが、特にビスフェノールA骨格を有するポリエーテルポリオールが好適である。ポリエステルポリオールとしては、低分子グリコール類と2塩基酸との脱水縮合反応によって得られるポリエステル類およびε−カプロラクタムなどのラクタム類を低分子グリコールの存在下で開環重合したラクタムポリオール類が挙げられる。

0018

ウレタン樹脂のエステル骨格とエーテル骨格を結合させるイソシアネート基としては、トリレジイソシアネート、ジフェニルメタジイソシアネートキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート単量体、2量体、3量体、およびそれらとポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどとの反応物、およびそれらの水素添加誘導体である脂環族イソシアネートイソホロンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂環族、および脂肪族イソシアネートの単量体、2量体、3量体とポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどとの反応物、およびそれらの混合物も使用できる。配合量は、使用するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび後述するカルボキシル基導入成分の分子量との比率によるが、NCO換算でウレタン樹脂の5〜20重量%が、樹脂物性として最適の加工特性を得られる。

0019

カルボキシル基は、自己乳化するための官能基であると共に金属表面との密着性に大きな寄与を発揮する。カルボキシル基の導入成分としては、2個以上のヒドロキシル基、またはアミノ基と1個以上のカルボキシル基を含む化合物であり、2,2−ジメチロールプロピオン酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸などのジヒドロキシカルボン酸リジンアルギニンなどのジアミノカルボン酸類が挙げられる。これらから選ばれるカルボキシル基化合物は、前記ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールとの組み合わせでイソシアネート化合物高分子化される。この方法により、本発明で使用する分子量が3000以上のカルボキシル基を有するエーテル・エステル型ウレタン樹脂ができる。

0020

前記のウレタン樹脂を水に分散する方法としては、カルボキシル基をアンモニアトリメチルアミン等のアルカリ中和して自己乳化する方法、または乳化材を用いてエマルジョン分散する方法が挙げられる。作業環境対策としては、水系化以前のウレタン製造工程中に含有する溶剤回収して、最終的に無溶剤タイプ水分散体を得ることが最も好ましい。カルボキシル基の量は、ウレタン固形分当り酸価で10〜50であることが適切である。10未満の場合、密着性が不十分で加工性及び耐食性が劣る。50を超える場合、耐水性耐アルカリ性が劣るため耐食性が低下する。

0021

反応性の官能基(水酸基,エポキシ基など)を有するエポキシ樹脂の配合量としては、好ましくはウレタン樹脂のカルボキシル基の20〜100%が反応する比率で配合するのが適切である。20%未満では配合効果が乏しく、100%を超える量ではエポキシ樹脂が可塑剤役割となるため硬度の加工性が低下する。なお、エポキシ樹脂は、耐薬品性、耐食性向上効果が大きい。エポキシ樹脂にビスフェノールA型骨格を有する構造物を用いると、密着性及び耐食性向上効果が特に大きい。環境対策として無溶剤タイプ及び塗膜性能低下を防ぐため無乳化剤タイプが必要であるときは、グリコール骨格で親水性を付与することにより水溶性エポキシ樹脂を得ることができる。

0022

ウレタン樹脂の酸価に応じてエポキシ樹脂の配合量を決定する必要があり、その計算方法は、次の通りである。ウレタン樹脂のカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基が当量で反応するとして、所定の酸価(AV)を有するウレタン樹脂に対し、100%の反応をするためのエポキシ樹脂の必要量を求めた式が(1)である。

0023

エポキシ固形分重量(g)
=ウレタン樹脂のAV値×(1/56)/1000×
エポキシ当量×ウレタン樹脂配合重量(g) …(1)
本発明で配合されるエポキシ基はカルボキシル基と架橋するため、密着性に寄与するカルボキシル基は反応相当分なくなるが、エポキシ基の開環によりOH基が生ずるため密着性は確保される。また、エポキシ樹脂の配合により、耐食性も大きく向上する。分子量が3000未満のウレタン樹脂と上記エポキシ樹脂の組み合わせでは、安定して高加工性が達成されない。また、分子量3000以上のウレタン樹脂単独の成膜では、高度の加工性及び耐食性が得られない。

0024

本発明の水系潤滑塗料組成物のウレタン樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の合計重量は、全固形分に対する固形分比で50〜85%が適切である。50%未満の場合および85%を超える場合、耐食性と加工性が不十分である。しかし、これらの樹脂系被膜のみでは目的の加工性を達成することはできないため、潤滑添加物の併用が必要となる。

0025

潤滑添加物としては、公知のフッ素系,炭化水素系,脂肪酸アミド系,エステル系アルコール系,金属石鹸系および無機系等の滑剤が挙げられる。加工性向上のための潤滑添加物の選択基準としては、添加した滑剤が成膜した樹脂膜に分散して存在するよりも樹脂膜表面に存在するような物質を選択するのが、成型加工物の表面と金型の摩擦を低減させ潤滑効果最大限発揮させる点から必要である。即ち、滑剤が成膜した樹脂膜に分散して存在する場合、表面摩擦係数が高く樹脂膜が破壊されやすく粉状物質剥離堆積してパウダリング現象と言われる外観不良および加工性低下を生じる。樹脂膜表面に存在するような物質としては、樹脂に相溶せずかつ表面エネルギーの小さいものが選ばれる。

0026

本発明者らが検討した結果、ポリオレフィンワックスを使用すると、加工性が大きく向上し、加工後の耐食性及び耐薬品性等の性能も良好にすることがわかった。このワックスとしては、パラフィンマイクロクリスタリンまたはポリエチレン等の炭化水素系のワックスが上げられる。加工時には、素材変形熱摩擦熱によって被膜温度が上昇するため、ワックスの融点は70〜160℃が適切であり、70℃未満では加工時に軟化溶融して固体潤滑添加物としての優れた特性が発揮されない。また、160℃を超える融点のものは、硬い粒子が表面に存在することとなり摩擦特性を低下させるので高度の成形加工性は得られない。

0027

好ましくは、ポリオレフィンワックスのケン化価としては、30以下または0であり、かつ分岐構造を有するものを使用することが好ましい。ケン化価が30を超えるものは、極性が大きく樹脂に相溶しやすいため、成膜時に樹脂表面に存在しにくくなるため、高度な加工性能ベルが必要な場合には適切とは言えない。特に好ましいのは、樹脂との相溶性のより小さいエステル結合を持たないケン化価が0のワックスである。

0028

これらのワックスの粒径は、0.1〜7.0μmが適切である。7.0μmを超えるものは、固体化したワックスの分布が不均一となるため好ましくない。また、0.1μm未満の場合は、加工性が不十分である。潤滑添加物の量は、潤滑性塗料全固形分重量に対して固形分比で3〜30%を添加する。3%未満の場合、加工性向上効果が小さく、30%を超える量では、加工性および耐食性が低下する。

0029

その他の添加物として、耐食性の向上のためSiO2を全固形分に対して10〜40%を添加する。SiO2の添加により、耐食性の大幅な向上及び加工性の向上効果がある。10%未満の場合耐食性及び加工性の向上効果が小さく、40%を超える量では樹脂のバインダー効果が小さくなり耐食性が低下すると共に樹脂の伸びと強度が低下するため加工性が低下する。SiO2の粒径については、3〜30μmが適切である。30μmを超える場合及び3μm未満の場合、より高度の加工性及び耐食性が得られない。シリカの種類としては、液相コロイダルシリカおよび気相シリカがあるが、本発明では特に限定するものではない。また、溶接性の向上のために導電性物または意匠性向上のため着色顔料物を添加することもある。また、沈降防止剤レベリング剤増粘剤など各種添加剤を添加し得る。

0030

本発明の潤滑被膜の膜厚範囲は0.3〜5.0μmである。最適な膜厚はプレスの形態によって異なり、限定するのが難しいが、深絞りには膜厚が、L曲げには薄膜が有利である。0.3μm未満では潤滑性能が不安定である。5.0μm長ではコイルブロッキングやプレスかすが多量に発生し好ましくない。

0031

図2は本発明における潤滑鋼板の被膜形成過程を示す図である。塗装直後、40度以上の板温を確保することで塗膜中の対流運動が発生、潤滑剤粒子塗膜表面露出・固定され、その後炉内で焼き付けが行われる。従って炉内の急速加熱処理により皮張りが生じてもすでに被膜表面に潤滑剤が固定されているため、そのまま潤滑剤の融点以上の温度で焼き付けられることで被膜表面で融解し潤滑剤の層を形成する。

0032

図3は本発明に係る塗装時の板温と表面潤滑被覆層厚みとの関係を示したものである。この図によれば塗装時の板温を40℃以上とすることで本発明の潤滑被覆層厚さ0.04μmを確保できる。また、45℃以上では潤滑被覆層厚さはほぼ飽和状態となり、それ以上の膜厚を得ることはできない。また塗料の劣化、コーターロール損耗等を抑制する上でも塗装時の板温は60℃以下が望ましい。

0033

図4本発明方法における塗装時の板温と潤滑特性の関係を示す図である。この図に示すように、本発明に係る製造条件において極めて良好な潤滑性能を示していることがわかる。

0034

同様に、図5は本発明方法における塗装時の板温と加工特性の関係を示す図である。この図に示すように、本発明に係る製造条件において加工評点5という極めて良好な加工性能を示している。

0035

以下、本発明について電気亜鉛めっき鋼板に適用した実施例によって具体的に説明する。Cr付着量40mg/m2の電解型クロメート処理を施した電気亜鉛めっき鋼板にめっきラインの塗装焼き付け設備でラインスピード100pmpにおいて、分子量5000のエーテルエステルウレタン樹脂(ビスフェノールAエーテル:酸化18、エーテル/エステル比30/70、イソシアネート含有率8)とエポキシ樹脂(エポキシ当量220)に平均粒径8nmのシリカゾルを25%、粒径0.6μmのポリエチレンワックス比重0.93、軟化点115℃)13%を配合した潤滑塗料を塗布し、塗装時の板温を(a)40℃、(b)50℃及び(c)60℃、焼き付け板温140℃、焼き付け時間4秒にて処理した膜厚3μm、表層潤滑層厚みにして(a)0.05μm、(b)0.7μm及び(c)0.9μmの潤滑鋼板を作成した。得られた潤滑鋼板の潤滑特性である摩擦係数は(a)0.07、(b)及び(c)は0.05という良好な潤滑特性を得た。また、加工性の評価はそれぞれ評点5と極めて良好な加工性能が得られた。

発明の効果

0036

以上述べたように、本発明によって表面の潤滑層が樹脂と金型の直接接触を防ぎ、また被膜中に分散した潤滑剤粒子が、深絞り加工のように被膜が激しく変形するときにも潤滑剤を供給し良好な潤滑加工性を保持することができ、かつ、加工による被膜の劣化が少なく汎用性の優れたプレス加工特性に優れた表面処理鋼板を製造することができる。これによって高温短時間での焼き付け処理が可能になり、しかもメッキライン内の簡便な塗装焼き付け設備による高生産性並びに炉調の短縮設備が可能になったことは工業上極めて有効である。

図面の簡単な説明

0037

図1本発明に係わるプレス加工性の優れた表面処理鋼板の被膜構造を示す断面図である。
図2本発明に係わる潤滑鋼板の被膜形成過程を示す図である。
図3本発明に係わる潤滑鋼板の塗装時の板温と表面潤滑被覆層厚みとの関係を示す図である。
図4本発明に係わる潤滑鋼板の塗装時の板温と潤滑特性との関係を示す図である。
図5本発明に係わる潤滑鋼板の塗装時の板温と加工特性との関係を示す図である。
図6従来のプレス加工用表面処理鋼板の被膜構造を示す概念図である。
図7従来の潤滑被膜の表面状態を示す概念図である。

--

0038

1薄鋼板
2 めっき被膜
3化成被膜
4潤滑被膜
5潤滑剤
表面潤滑剤被覆層
7原板
8皮張り
ガス抜け穴
10 高沸点溶媒

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