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技術 電界効果型化学物質検出装置およびそれを用いたDNA配列決定装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 白井正敬植松千宗嶋田寿一宇佐川利幸
出願日 1995年4月7日 (24年4ヶ月経過) 出願番号 1995-082263
公開日 1996年10月22日 (22年9ヶ月経過) 公開番号 1996-278281
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 電気化学的な材料の調査、分析 酵素、微生物を含む測定、試験 動作に特徴のある半導体 ナノ構造物
主要キーワード テレグラフ 度細線 入射時刻 周期パルス 量子化準位 化学物質検出装置 ゲートキャパシタ 誤り信号
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

目的

選択性電界効果型化学物質検出素子検出感度を向上させ、処理速度の速いDNA配列決定装置を提供する。

構成

イオン選択性電界効果電極チャネル幅を擬1次元的にまで短くする。さらにチャネルとなる細線長手方向に伝導電子正孔)の受けるポテンシャル変調するような構造をとる。このイオン検出素子を用いて端から分解されたDNA構成要素の種類を順次検出することによってDNAの配列を決定する。

効果

S/N比は、移動度の高い細線の場合にはチャネル幅の比の平方根に比例して向上し、細線中にポテンシャルの変調がある場合はその平均的な周期とチャネル幅の比に比例してさらに向上する。

概要

背景

現在、電界効果型化学物質検出素子イオン選択性電界効果型電極を利用したものが知られている。これはトランジスタFET)のゲート部に検出すべきイオンと選択的に反応する感応膜を塗布した構造を持っていることを特徴としている[文献1アイ・イー・イー・イートランザクションオンバイオメディカルエンジニアリング(IEEE Trans. Biomed)70巻1号(1970),1388−1395参照]。またDNA配列決定装置は、電気泳動と特定の塩基のところでDNAを切る酵素を利用したものが知られている[文献2:プロシーディングオブナシナルアカデミーオブ サイエンシーズオブ ザ ユー・エスエイ(Proc. Natl. Acad. Sci.)74巻12号1977),5463−5467参照]。

概要

選択性電界効果型化学物質検出素子の検出感度を向上させ、処理速度の速いDNA配列決定装置を提供する。

イオン選択性電界効果電極チャネル幅を擬1次元的にまで短くする。さらにチャネルとなる細線長手方向に伝導電子正孔)の受けるポテンシャル変調するような構造をとる。このイオン検出素子を用いて端から分解されたDNA構成要素の種類を順次検出することによってDNAの配列を決定する。

S/N比は、移動度の高い細線の場合にはチャネル幅の比の平方根に比例して向上し、細線中にポテンシャルの変調がある場合はその平均的な周期とチャネル幅の比に比例してさらに向上する。

目的

本発明の目的は検出感度のリソグラフィーからの制限を緩和し、検出感度を向上するとともに、これによって常温もしくはそれ以下の温度で1価のイオンまで検出可能な電界効果型検出素子を提供することにある。

本発明の第二の目的は検出感度のリソグラフィーからの制限を緩和し、検出感度を向上するとともに、これによって常温もしくはそれ以下の温度でイオン化されていない1分子または1原子まで検出可能な電界効果型検出素子を提供することにある。

本発明の第三の目的はクーロンブロケード効果を利用してさらに検出感度を向上させた電界効果型化学物質検出素子を提供することにある。

本発明の第四の目的は一度に並列に処理することのできるDNA一本鎖の種類の数と塩基配列の数に対する制限を取り除く方法および単位時間あたりに決定できる塩基の数を多くする方法を安価で取り扱いやすい大きさの装置に対して実現し、提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
2件

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請求項1

半導体表面に形成した細線状電子もしくは正孔の流れるチャネル層と、細線状の前記チャネル層の両端にそれぞれの細線について独立に、もしくは何本かまとめて形成した電極と、前記チャネル層の伝導性を変化させる手段とを含むことを特徴とする電界効果型化学物質検出装置

請求項2

請求項1において、前記導電性を変化させる手段は、検出すべきイオンもしくは検出すべき化学物質によって2次的に発生したイオンあるいは電子を保持する層を持つことによって実現する電界効果型化学物質検出装置。

請求項3

請求項2において、前記検出すべきイオンもしくは検出すべき化学物質によって2次的に発生したイオンあるいは電子を保持する層が、前記イオンあるいは電子と結合する絶縁性薄膜、あるいは絶縁性薄膜上に固定化された前記イオンと結合する化学物質で構成される電界効果型化学物質検出装置。

請求項4

請求項1において、前記細線状のチャネル層に多結晶Siを利用した電界効果型化学物質検出装置。

請求項5

請求項1において、前記細線状のチャネル層に金属微粒子を一方向に並べたものを利用する電界効果型化学物質検出装置。

請求項6

一本鎖のDNAもしくはそれを分解した構成要素を一定方向に導くための管状の構造と、前記一本鎖のDNAを分解するための酵素を前記管状の構造の特定の領域に保持しておく機構と、前記管状の構造の内壁の一部に、半導体表面に形成した細線状に電子もしくは正孔の流れるチャネル層と、細線状の前記チャネル層の両端にそれぞれの細線について独立に、もしくは何本かまとめて形成した電極と、前記チャネル層の伝導性を変化させる手段とを含んで構成もされた電界効果型化学物質検出装置を用いたことを特徴とするDNA配列決定装置

請求項7

請求項6において、前記一本鎖のDNAもしくはそれを分解した構成要素を一定方向に導くための手段として、前記管状の構造の中に一本鎖のDNAを中に取り込むための電極と、一本鎖のDNAもしくはそれを分解した構成要素を一定方向に移動させるための電極を持つDNA配列決定装置。

技術分野

0001

本発明は溶液中もしくは気体中の化学物質高感度で検出できる電界効果型化学物質検出装置およびそれを用いたDNA配列決定装置に関する。

背景技術

0002

現在、電界効果型化学物質検出素子イオン選択性電界効果型電極を利用したものが知られている。これはトランジスタFET)のゲート部に検出すべきイオンと選択的に反応する感応膜を塗布した構造を持っていることを特徴としている[文献1アイ・イー・イー・イートランザクションオンバイオメディカルエンジニアリング(IEEE Trans. Biomed)70巻1号(1970),1388−1395参照]。またDNA配列決定装置は、電気泳動と特定の塩基のところでDNAを切る酵素を利用したものが知られている[文献2:プロシーディングオブナシナルアカデミーオブ サイエンシーズオブ ザ ユー・エスエイ(Proc. Natl. Acad. Sci.)74巻12号1977),5463−5467参照]。

発明が解決しようとする課題

0003

電界効果型化学物質検出素子の問題点は検出感度向上に技術的制限があることである。この検出素子では、図1に示すように、感応膜が塗布された絶縁膜105は小さいほど感度は良くなるが、その大きさはリソグラフィーの技術による制限がある。このため検出感度にも制限が生じる。またDNA配列決定装置については、一度に決定することのできる配列の長さは数百塩基に制限され、しかも一つの装置の中で並列に処理できるDNAの数も数十に制限されているという欠点を持ち、このことから処理に時間がかかりすぎるという問題がある。従来の技術での処理速度は、1時間に数万塩基程度である。

0004

本発明の目的は検出感度のリソグラフィーからの制限を緩和し、検出感度を向上するとともに、これによって常温もしくはそれ以下の温度で1価のイオンまで検出可能な電界効果型検出素子を提供することにある。

0005

本発明の第二の目的は検出感度のリソグラフィーからの制限を緩和し、検出感度を向上するとともに、これによって常温もしくはそれ以下の温度でイオン化されていない1分子または1原子まで検出可能な電界効果型検出素子を提供することにある。

0006

本発明の第三の目的はクーロンブロケード効果を利用してさらに検出感度を向上させた電界効果型化学物質検出素子を提供することにある。

0007

本発明の第四の目的は一度に並列に処理することのできるDNA一本鎖の種類の数と塩基配列の数に対する制限を取り除く方法および単位時間あたりに決定できる塩基の数を多くする方法を安価で取り扱いやすい大きさの装置に対して実現し、提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明によれば、半導体表面に形成した細線状電子もしくは正孔の流れるチャネル層と、細線状の前記チャネル層の両端にそれぞれの細線について独立に、もしくは何本かまとめて形成した電極と、前記チャネル層の伝導性を変化させる手段とを含んだ構成とすることにより検出感度の向上した電界効果型化学物質検出装置が提供される。

0009

本発明によれば上記検出素子において細線を流れる荷電粒子が受けるポテンシャル周期的もしくはランダムに変化しており、伝導に寄与する粒子にとって古典的には存在し得ない領域によって細線があちこちで分断されているように構成された細線を持つことによってさらに検出感度を向上させた素子が提供される。

0010

本発明によれば、一本鎖のDNAを図8の803で示した管の中に電界を使って引き込む手段を設ける。この時、溶媒中のDNA濃度は10−11 M以下の状態にしておく。そうすることによってDNAを統計的に1分子ずつの図8の803の奥の方(図の右の方)へ誘導することが可能となり、そのための手段を設ける。

0011

この1分子のDNAを図8の812の領域に誘導し、この領域に固定化されたエクソヌクレアーゼ活性のあるDNA分解酵素で、このDNAを3′or5′末端から分解する。分解されたDNAは順番に時間の遅れを持ってさらに図の右の方に誘導されるため、ある程度の空間的に隔たりを持った状態で領域813に送られる。ここに分解されたDNAの塩基の種類を検出する手段を設け、領域812に保持されたDNA塩基配列を決定する。このことによって一度に決定することのできるDNAの塩基数に対する制限がないDNA配列決定装置を提供することができる。

0012

特定の種類のDNAが管803に誘導される図8に示した一組のDNA配列決定装置(ユニット)を幾つも並べるとことによって並列に処理することのできる分子の数についての制限がなく、またこのユニット自体の寸法が小さく、異なるユニットの設置はほぼ独立であるため装置全体もあまり大型にならなく一定時間に決定することのできる配列数が非常に多いDNA配列決定装置を提供することができる。

0013

図1に従来のイオン選択性電界効果型電極を用いた検出素子の概略図を示す。イオン選択性電界効果型電極を用いた検出素子では感応膜がイオンと接触すると感応表面電位が変化し、この変化をソースドレインの二つの電極間を流れる電流の変化として検出する。本発明では図2(a)で示すように、チャネル層が細線で構成されているため、イオン感応部でイオンは位置を変えずに保持されたイオンの担体との間のキャパシタンスは小さくなる。たとえばチャネルの幅が1/Nになったとすると、キャパシタンスは約1/Nになる。この時同時に細線の抵抗はN倍になっており、雑音が細線の抵抗の作る白色雑音から来るとするとS/N比(信号/雑音)はソース・ドレイン間の電流を信号とするとき√N倍になり感度が向上する。

0014

さらに細線がその長手方向に周期的もしくは非周期的伝導電子の受けるポテンシャルが変調しており、伝導電子は細線中で島状に分布しており、この島と島の間を電荷熱的励起もしくはトンネリングによって通過することによって電流が生じているような構造を有する細線で素子が構成されることによって、この島の大きさが従来の2次元のチャネル層を持つ素子の1/Mであったとするとイオンの担体との間のキャパシタンスは1/NM倍となる。するとS/N比は上記と同様にM×√N倍になる。このような構成例を図2(b)に示す。

0015

また2次元チャネルを細線に分割することによってもイオン濃度がある程度高く各細線それぞれが同様に感応する場合は、細線の幅と細線間のスペースの比の平方根だけ感度の向上が期待される。

0016

さらに細線中にある島に着目してその両端のポテンシャルの高い部分をトンネル接合(301,302)、島とイオン担体の間の絶縁膜をゲートキャパシタ(303)と見ることができ、細線の一部分を取り出してみると図3(a)のような回路になっている。いまイオン担体と島の間のキャパシタンスが十分小さくなり、(1/C1+1/C2+1/Cg)e^2/2>kT(k:ボルツマン定数,T:絶対温度,e:電荷素量)が成立しているとすると、クーロンブロッケード効果によりさらに感度が向上する。

0017

図3の306のように微小な電荷によるゲート電極電位の変化に対するソース・ドレインの変化の比は利得gmである。また量子力学によれば十分小さくなった島の中の電子の準位は離散的で小さなゲート電圧の変化に対しては十分な利得はとれない(304)。しかし十分小さな島では島間および島とイオン担体との間のキャパシタンスが十分小さくなって、クーロンブロッケード効果によりゲートの電位がある値から少しずれただけで電流がf×e(f:伝導に寄与する電子が一つの島から隣の島に遷移するまでの平均の時間)だけ変化する。これによってゲート電位がある特定の値に対しては実効的に利得が大きくなったのと同じ効果が得られる(305)。これによって同様にS/N比はr×M×√N倍(rは古典的描像とクーロンブロッケード効果を入れた場合との利得の比)になる。また検出すべき原子もしくは分子と反応してイオンを生成する化学物質を含む層をイオン感応膜の上に構成することによって特定の中性粒子についてはイオンと同様の高い感度で検出することが可能である。

0018

高感度のイオン検出素子を利用してDNAの1次構造の決定をすることができる。

0019

図8の803で示した管の中に一本鎖のDNAを取り込み、統計的にほぼ1分子ずつ右の方へ輸送しなければならない。さらに酵素が固定されている領域に一本のDNA分子を保持し、他のDNA分子はこの領域に来ないようにしなければならない。これを実行するために二つ以上の電極を図9のような構造で配列することによって管803中の電位分布を変化させる。

0020

まず、図8について811の領域での電位分布の変化のさせかたについて説明する。分子量10^5のDNA分子の移動度は10^(−5)(cm^2sec^(−1)V^(−1)) 以下である。それ故1秒間に管803の入り口に入射する分子の数は溶液濃度を10^(−11)Mとして、電界がE=1Vcm^(−1)のとき6.0×10^(−2)個以下である。ここで入り口を1μm×1μmとした。またこの設定では熱運動を無視している。

0021

今、管803に入って来るDNA分子の数をさらにコントロールするために、管803の入り口付近に配置された二つ以上の電極で図9の領域811での電位分布を、DNA分子を導きたいときには、図10の(a),(b)両図において、実線で示された分布に、導きたくないときには、点線で示された分布にする。実際にはDNA分子を導きたいときでも実線の電位分布と点線の電位分布は交互に周期的に切り替える。1周期の中で実線と点線の時間の割合について実線の方を少なくすることによって事実上いくらでも管803に入射する分子の数を減らすことができる。

0022

われわれの目的は管803の中の領域812に1分子のDNAを保持することであるから、最初に1分子のDNAが領域812に入ったら他の分子はこの812の領域には入ってこないようにブロックしなくてはならない。なぜなら、この領域で分解された1分子のDNAについての配列を図8のこの領域より右の方で実行し、ヌクレオチドに分解される時間の遅れを利用して配列(一次構造)を決定するからである。

0023

実際には、あるDNA分子が領域112の領域に入って3もしくは5末端のヌクレオチドが分解されてさらに右の方へ輸送されていき、この分解されたヌクレオチドからの信号が来るとすぐに新たに領域812に1分子たりとも一本鎖DNAが入ってこないようにブロックする。うまく検出できるためには領域812への平均1分子一本鎖DNA到来時間間隔は領域812から領域813の検出素子のある領域まで分解された塩基がドリフトする時間よりもずっと大きくなければならない。このような状況は上述の電極構成で実現することができる。

0024

さらに領域811の途中でDNA分子が壁面に吸着されたとしても別に問題はない。領域813にある素子からの信号が来るまで領域812にDNA分子を呼び込めばよい。しかし分子が領域812に入って信号が出され初めてからその領域の壁面に分子が(一本鎖も分解されたヌクレオチドも)吸着されてしまうことは致命的に良くない。

0025

上記のDNAのブロックは電極を利用して次のように行う。図10グラフで下のグラフのような電位分布とし、かつ入り口からさらに分子が入ってこないように点線の電位にする。図10の下のグラフで示した電位分布では812の領域では1分子一本鎖DNAは電場が弱くて、この領域に固定化された高分子にひっかかってほとんど動くことができない。しかし高分子に結びつけられた多数のDNA分解酵素によって分解されたヌクレオチドは速やかにさらに奥にドリフトしていくことができる。このDNA分解酵素はエクソ活性を持つようにしておき、一本鎖のDNAの3もしくは5末端から分解していく。そうすると現在知られている分解酵素ではドリフトを開始する時間について1秒程度の時間の遅れが隣りあうベースの間に生じる。この時間の差は管803をドリフトさせるときには空間的な隔たりとして現れる。

0026

あとに示すように、一つ一つのヌクレオチドは4種類のDNAが固定化された領域を通過することによって管803をドリフトしてきたベースが4種類の内どれであるのかを判定する。そして誤って判定する確率を下げるために、この4種類で1セットのものを管803に沿って幾つか並べる(現在の細線を作る技術ではSETもしくはテレグラフノイズ信号を検出するためにはある程度細線は短くなければならない)。そして順番に分解されたベースを順序よく検出するために4種の1セットの領域を通過する時間は分解の時間差よりもずっと大きいものにしておく。これによって熱および量子的な揺らぎによって一本鎖DNAのある連続する二つのペプチド結合が平均的な分解間隔よりも短い(長い)間隔で分解したとしても正しく読めるようにする。

0027

次に一つのヌクレオチドの種類を検出する仕組みを示す。図11がその検出するための1セットであり、アデニン(A)が固定化された領域と書いてあるところに図11のように一本鎖のDNAを曲げて先端にチミン(T)が相補的に結合するように固定化する。こうすることによって、スッタキングの効果により、より安定にチミンが相補的に結合する。このDNAが固定化された領域の真下には3nm程度の薄膜のSiO2 層を挟んで乱れた細線もしくはトンネルキャパシタ直列に繋がっているとみなせる細線が配置されている。

0028

いまこの細線には微小な電流をいつも流しておく。そしてたとえばチミンが固定化されるとその持っているリン酸イオンの電荷による電界のためにクーロンブロッケードが起こり、電流が大きく下がる。基本的にはこのことを塩基の種類の識別に利用する。今、溶液中のイオン濃度を1mMの程度にしておく。そうするとリン酸イオンの電荷はあまり遮蔽されずに細線の電流に影響を及ぼす。

0029

しかし溶液中の他のイオンからの信号や間違って相補的でない塩基からの信号を取り除くことが必要である。この問題を解決するためのいくつかの工夫を以下で説明する。

0030

まず管103の長手方向、DNAが固定化された面に近いところに塩基間のすべての水素結合共鳴エネルギを含むスペクトルを持つレーザ光が入射できるようにしておく。さらにこのレーザ光を周期パルス的に入射させる。今分解された塩基は管の中の上下方向の調整された弱い電場によってDNA固定面近傍図4の中の右の方にドリフトしている(図12)。塩基が固定化されたDNAと水素結合をしたときにも周期的に入射するパルスレーザによって完全に上記水素結合が切られる。

0031

レーザが入射していないとき電流信号落ちてかつレーザパルスが入射されているとき電流信号が回復する信号のみを塩基からの信号として取り出し、レーザの入射周期に無関係に変動する電流信号は無関係な信号として取り出さない。すなわち、周期的に入射するパルスレーザの入射時刻動機した適当な量の正の電流の時間微分が検出される時にDNAからの信号がきたとする。分解された塩基は適当な速度で図の右の方にドリフトさせて一つの塩基から数百から数千の信号が出るようにする。このような方式でどのくらい誤って信号を出力するかの確率を評価すると次のようになる。

0032

評価に用いた条件
ドリフト速度3.6×10-4cmsec-1
E=0.1V/cm
細線の幅=0.1μm,細線の長さ=1μm,管103の幅=1μm
イオン濃度0.1mM
固定化したDNAの近傍(数nm)に自由な分解された塩基がいるときそれらが水素結合する確率=1.6%
パルスレーザの周期=1μsec
このとき本発明が正しく塩基の種類を判定するならば、例えば、アデニンがドリフトしてきた場合には図15に示したようにTを固定化した領域からの信号の数は他の三つの領域からの信号の数よりも多いはずである。ここで信号の数の分布がポアソン分布に従うとする。また、ある一つの領域からの信号の数が他の領域からの信号の数よりも20個多い場合にその一つの領域の固定化されたDNAに相補的に結合する塩基が来たものとする。このとき正しい回答をシステムが出力する確率は1セット(4種類の素子)で検出部が構成されているときには図16に示した計算式から計算されるように1.0−1.3×10^(−6)となる。それゆえこの検出部セットを5セット用意して直列に接続すればシステムが間違った答えを出す確率は大凡10^(−11)のオーダになる。

0033

また管803の中を所望の速度で1分子DNAを輸送する方法としては次の方法が考えられる。この場合も図9でDNA分子は左から右に輸送するとする。今図9の902で示した電極にかけられる電圧は周期的に振動しており、位相が右に行くほど少しずつ遅らせてある。さらにDNA分子の取り込み口にもっとも近い一番左の電極は他の電極の周期の(大きな)自然数倍になっておりほとんどの時間の間はDNA分子が近寄らないような電位を与えられているとする。このようにすることによって1分子のDNAの輸送速度と分子の管803への取り込み確率を独立にコントロールすることができる。

0034

(実施例1)図4に素子の構造を示す。p型Si基板402上にソースおよびドレイン電極401とその間にSiO2 (405)を形成する。このSiO2 とSi基板の間にはD形nチャネル403ができるようにする。さらにその絶縁膜405上には細線を作るための電極404を形成し、チャネル403直上の406の部分はSiO2 表面が露出しておりH^(+)選択性イオン感応膜として働く。チャネル403を形成する細線の幅は0.05μm 、チャネル長は2μmである。これを用いて高感度のpHセンサを構成することができる。

0035

またSiO2 膜と電極404の間にSiO2 ,Al2O3,Na2O の3元素のNASガラス薄膜を形成して、Na^(+),K^(+)選択性感応膜とし、pNa,pKセンサに利用することが可能である。また、SiO2絶縁膜405をSiO2 ,Si3N4の2重膜とし、405および404上に電荷透過性有機薄膜上にペニシリナーゼを固定化して高感度のペニシリン検出器を得ることができる。レセプタに他の酵素を用いることによって様々な高感度酵素センサを実現することができる。

0036

実際、チャネル幅が0.05μm の細線から構成されたpHセンサを作製したところ、チャネル幅1μmの従来のセンサに比べて4倍程度の感度の向上が見られた。

0037

(実施例2)細線中の電子の受けるポテンシャルが長手方向に変調されている構造の実施例を示す。細線には0.05μm幅 ,膜厚5nmで、ノンドープグレインサイズの小さい多結晶Si細線を利用する(図7)。このSiグレインは直径の平均値が10nmであり、5nm程度のばらつきがある。このばらつきは量子化準位のばらつきをもたらし、そのばらつきは室温における熱エネルギよりも大きい。それゆえ電流が流れるチャネルは図7に示すようにほぼ1本である。それゆえ、0.1μm の線幅の細線を形成することによって実効的に10nmの線幅の1次元トンネル接合アレイを形成したことになる。

0038

この細線は図5に示すように、p型Si基板上501にSiO2 膜502を、高濃度nドープ多結晶Siのソース・ドレイン電極501直下の領域で1μm、チャネル直下の領域で50nmの膜厚で形成する(図5a)。さらにH^(+)イオン選択性感応膜として働くSiO2 膜を50nmデポする。その後、同図(b)のように506の領域にゲート電極を形成し、細線チャネル504中のキャリア密度の制御に利用する。

0039

また図6のように細線を多重にしても、イオンを一つ一つカウントするのでなければほぼ同様の感度の向上が得られる。

0040

実際にチャネル長1μmの素子を作製したところチャネル幅1μmの素子に比べて220倍程度の感度の向上が見られた。クーロンブロッケードの効果を用いてイオンのカウンティングを行うことができる可能性が示された。実際には広い意味でのイオン選択性の精度の悪さのためにカウントされる信号の大部分がH^(+)イオン以外からの信号であり、カウンティングには課題を残した。

0041

また上記細線は、金コロイドを細線状に並べることによって形成することもできる。

0042

(実施例3)一組の素子の断面図を図8に示す。この素子の基本的な構成は前述の通りである。管803は一辺1μmの管とし、領域811から領域812に通しての電極構成を図9に示す。検出部813は図11に示したとおりである。細線については実施例2と同様多結晶Siを利用している。そしてこの細線の上に固定化されたDNAと結合したヌクレオチド上のリン酸イオンによって、実効的なトンネル接合アレイによって形成された細線を流れる電流に影響が与えられる。この電流が一定時間の間に運ぶ電荷量の変化をみることによってヌクレオチドの到来からくる電荷として検出することができる。ヌクレオチド以外からの誤り信号押さえるために周期的に強度を変調し、かつ水素結合に共鳴する波長のレーザ光を813表面に照射してヌクレオチドの解離時定数を周期的に変化させ、ロックイン検出を行う。

0043

細線を流れる電流信号は、実際には基板上に作り込まれた小さなコンデンサに一定時間(レーザパルスの周期)で蓄えられる電荷量で検出する(図17)。

0044

次に製造方法についてであるが、大きく分けてプロセスは三つに分けることができる。まず管803より下の構造を形成する。これは普通のSiもしくは化合物半導体のプロセスで行う。次にSiO2 をデポして溝803を形成する。溝の中にはできる限り分子が吸着しないような表面処理を行う。さらに光学顕微鏡で覗きながら領域812の領域に高分子ゲルを固定する。例えばゲルは、ポリアクリルアミドを用い、架橋剤はアクリルアミド変性剤はトりメチルエチレンジアミンを使う。

0045

おおよそ0.1μm の径のゲルを溝のある領域に置いて酵素をよく浸透させた後、余分なゲルを取り除く。このときゲルが固定化される領域は数百nm程度の長さの領域になり、余ったゲルが蓋をするときにじゃまにならないように、ゲルをためる余分な溝を検出に必要な溝の近くに適宜設ける。さらに、領域813に所望のDNAを固定化する。固定化に際して(図13)は光の照射された領域のみにDNAを固定化する技術を用いる。最後に別の基板で蓋をして圧着する。

0046

(実施例4)本実施例はヌクレオチド識別装置で細線を並列に並べることによって検出感度を高めた実施例である。実施例3で図11に示されているヌクレオチド検出部で、一つの種類のヌクレオチドが相補的に結合するDNAが固定化された領域の直下にある細線を多数本にし、ヌクレオチドが輸送される配管の底面上の細線の密度を向上させることによって正確に検出する確率を向上させた。

0047

図14に細線の配置を示す。この方式を採用することによって細線幅0.05μmの細線を0.1μmピッチで6本並べたものを一組にし、これを三組、管の底面に配置することによってヌクレオチドの検出効率を4倍程度向上できた。

発明の効果

0048

イオン選択性電界効果型化学物質検出素子の感度をチャネルに量子細線を用いることによって向上することができる。

0049

またこの検出素子を用いて処理速度の速いDNA1次構造決定装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0050

図1従来のイオン選択性電界効果型化学物質検出素子の説明図。
図2細線をチャネルに利用したイオン選択性電界効果型化学物質検出素子の説明図。
図3ある条件下で成立する細線の一部に対する等価回路図といろいろな条件での細線の示すゲート電圧に対するソース・ドレイン電流の変化の説明図。
図4実施例1の説明図。
図5実施例2の説明図。
図6実施例2で細線を多重にした実施例の説明図。
図7多結晶Si細線の説明図。
図8DNA1次構造検出素子の説明図。
図9DNA分子輸送のための電極の配置図。
図10DNA分子輸送のための電界の分布図。
図11ヌクレオチドの種類の分別のための検出部の説明図。
図12ヌクレオチドの種類分別時の検出動作の説明図。
図13DNA固定化の方法の説明図。
図14実施例4の説明図。
図15信号解析の時の特性図。
図16ノイズの評価のための計算過程の説明図。
図17検出回路のブロック図。

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0051

101…ソース(ドレイン)、102…Si基板、103…チャネル、104…ゲート電極、105…絶縁膜。

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