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技術 ポリプロピレンシートの高周波溶着方法及びこの方法に用いる絶縁材

出願人 タキロンシーアイ株式会社
発明者 飯田浩介角野洋二宮浦克己
出願日 1995年3月31日 (25年8ヶ月経過) 出願番号 1995-099826
公開日 1996年10月15日 (24年2ヶ月経過) 公開番号 1996-267586
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等のライニング、接合
主要キーワード 高周波溶着装置 分子摩擦 ポリイミド粘着テープ 熱可塑性樹脂エラストマー 溶着温度 掴み具 連続使用温度 溶着面積
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年10月15日)のものです。
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図面 (5)

目的

高周波溶着が困難とされていたポリプロピレンシートを簡単に高周波溶着することができる方法と、これに用いる絶縁材を提供する。

構成

基台1の上にポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニス繊維基材含浸させた絶縁材5を載置すると共に、その上に複数枚のポリプロピレンシート6を載置し、50℃より高くポリプロピレンの融点より低い温度に加熱した金型2を上方からシート押付けて、金型と基台の間に高周波電圧印加する。

概要

背景

軟質ポリ塩化ビニルシートフィルムは、従来から文具類やその他の種々の用途に使用されている。けれども、ポリ塩化ビニルは、焼却時に有毒塩化水素ガスを発生するため、環境保全に悪影響を与えるという問題があり、また、多量に配合した可塑剤滲出するという問題もある。

このため最近では、軟質のポリ塩化ビニルシートやフィルムに代わるものとして、ハロゲン元素や可塑剤を含まない軟質のポリプロピレンシートやフィルムを使用することが多くなってきた。

概要

高周波溶着が困難とされていたポリプロピレンシートを簡単に高周波溶着することができる方法と、これに用いる絶縁材を提供する。

基台1の上にポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニス繊維基材含浸させた絶縁材5を載置すると共に、その上に複数枚のポリプロピレンシート6を載置し、50℃より高くポリプロピレンの融点より低い温度に加熱した金型2を上方からシート押付けて、金型と基台の間に高周波電圧印加する。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、これまで高周波溶着が困難とされていたポリプロピレンシートやフィルムを簡単に高周波溶着することができる新規な方法と、この方法に用いる絶縁材を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

基台の上にポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニス繊維基材含浸させた絶縁材を載置すると共に、その上に複数枚ポリプロピレンシートを載置し、50℃より高くポリプロピレンの融点より低い温度に加熱した金型を上方からポリプロピレンシートに押付けて、金型と基台の間に高周波電圧印加することを特徴とする、ポリプロピレンシートの高周波溶着方法。

請求項2

前記絶縁材が、ワニスを含浸させた繊維基材の表面に耐熱樹脂フィルムを重ねたものである、請求項1に記載の高周波溶着方法。

請求項3

前記絶縁材が、ワニスを含浸させた繊維基材の表面に耐熱樹脂フィルムを重ねると共に、裏面にクッション材を重ねたものである、請求項1に記載の高周波溶着方法。

請求項4

前記ポリプロピレンシートが、ポリプロピレンより誘電率の高い熱可塑性樹脂エラストマーを含有したものである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高周波溶着方法。

請求項5

繊維基材に、ポリプロピレンより誘電率の高いワニスを含浸させて成る高周波溶着用の絶縁材。

請求項6

表面に耐熱樹脂フィルムを重ねた請求項5に記載の絶縁材。

請求項7

表面に耐熱樹脂フィルムを重ねると共に、裏面にクッション材を重ねた請求項5に記載の絶縁材。

技術分野

0001

本発明は、ポリプロピレンシート高周波溶着方法と、この方法に用いる絶縁材に関する。

背景技術

0002

軟質ポリ塩化ビニルシートフィルムは、従来から文具類やその他の種々の用途に使用されている。けれども、ポリ塩化ビニルは、焼却時に有毒塩化水素ガスを発生するため、環境保全に悪影響を与えるという問題があり、また、多量に配合した可塑剤滲出するという問題もある。

0003

このため最近では、軟質のポリ塩化ビニルシートやフィルムに代わるものとして、ハロゲン元素や可塑剤を含まない軟質のポリプロピレンシートやフィルムを使用することが多くなってきた。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上記のポリプロピレンシートやフィルムは、誘電率、誘電損失が小さいため高周波溶着できないという大きな欠点があった。そのため、熱溶着などの手段を採用してポリプロピレンシートやフィルムを溶着しているが、熱溶着の際、溶着刃にポリプロピレンシートやフィルムが付着するという不都合があった。

0005

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、これまで高周波溶着が困難とされていたポリプロピレンシートやフィルムを簡単に高周波溶着することができる新規な方法と、この方法に用いる絶縁材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

前記目的を達成するため、本発明の高周波溶着方法は、基台の上にポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニス繊維基材含浸させた絶縁材を載置すると共に、その上に複数枚のポリプロピレンシートを載置し、50℃より高くポリプロピレンの融点より低い温度に加熱した金型を上方からポリプロピレンシートに押付けて、金型と基台の間に高周波電圧印加することを特徴としている。

0007

そして望ましくは、絶縁材として、ワニスを含浸させた繊維基材の表面に耐熱樹脂フィルムを重ねたものや、更にクッション材を裏面に重ねたものを使用し、ポリプロピレンシートとして、ポリプロピレンより誘電率の高い熱可塑性樹脂エラストマーを含有したシートを使用するものである。

0008

また、本発明の絶縁材は、上記のように繊維基材にポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニスを含浸させて成るものであり、望ましくは、その表面に耐熱樹脂フィルムを重ね、更に裏面にクッション材を重ねたものである。

0009

なお、本発明にいう「ポリプロピレンシート」には、薄いポリプロピレンフィルムも含まれる。

0010

本発明の高周波溶着方法のように、ポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニスを繊維基材に含浸させた絶縁材が基台とポリプロピレンシートの間に存在すると、基台と金型の間に高周波電圧を印加したときに、誘電率及び誘電損失の高いワニスが高周波電界によって分子回転運動を起こし、分子相互間の摩擦によって損失を生じて急速に加熱されるため、この熱によってポリプロピレンシートが軟化溶融する。このとき、ポリプロピレンシートは金型からも熱を受け、加熱が助長される。このように本発明の方法は、絶縁材に含まれるワニスの高周波による発熱と金型からの熱によって、ポリプロピレンシートが上下から加熱されるため、速やかに軟化、溶融して互いに溶着する。

0011

金型の温度が50℃以下であると、ポリプロピレンシートの加熱が助長されないばかりでなく、逆にポリプロピレンシートの熱が金型に奪われて冷却されることになるので溶着が困難となる。一方、金型がポリプロピレンの融点以上に加熱されていると、溶融したポリプロピレンが金型に付着するといった不都合を生じる。

0012

また、本発明の方法において、ワニスを含浸した繊維基材の表面に耐熱樹脂フィルムを重ねた絶縁材を用いると、絶縁材のワニスが発熱によって軟化、溶融するようなことがあったとしても、耐熱樹脂フィルムは軟化、溶融することがないので、高周波溶着を繰り返しても絶縁材とポリプロピレンシートがくっつく心配はなくなる。そして裏面に更にクッション材を重ねた絶縁材を用いると、そのクッション作用によって金型の押圧力がポリプロピレンシートに均一に加わるため、溶着部分の厚みや溶着強度ムラのない高周波溶着を行うことができ、また、クッション材によって基台と絶縁材との間の空気が排除されるので、高周波電圧印加時スパークの発生を防止することもできる。

0013

更に、本発明の方法において、ポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高い熱可塑性樹脂エラストマーを含有したポリプロピレンシートを用いると、高周波電圧を印加したとき該エラストマーも発熱するため、その熱によってポリプロピレンシートが内部から加熱されることになり、また、エラストマーの配合でシートの溶融温度が低下し溶着温度も低下することになるため、高周波溶着が一層容易となる。

0014

本発明の方法に用いる絶縁材は、ポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いワニスを繊維基材に含浸させたものであるから、上記のように高周波電圧を印加すると該ワニスが急速に加熱され、その熱でポリプロピレンシートを速やかに軟化、溶融させることができる。そして、表面に耐熱樹脂フィルムを重ねた絶縁材は、上記のように高周波溶着を繰り返しても、絶縁材とポリプロピレンシートがくっつくのを防止することができ、更にクッション材を裏面に重ねた絶縁材は、上記のように溶着部分の厚みや溶着強度にムラのない高周波溶着を可能にすると共に、スパークを防止することができる。

0015

以下、図面を参照して本発明の実施例を詳述する。

0016

図1は本発明の高周波溶着方法に用いる装置の部分説明図であって、1は一方の電極となる基台、2は他方の電極となる金型を示している。この金型2は、ヒーター3に直接取付けられて所望温度に加熱されるようになっている。そして、ヒーター3は熱が本体7に伝わらないようにセラミック連結部材4を介して本体7に取付けられている。

0017

この実施例の高周波溶着方法は、上記のような高周波溶着装置の基台1の上に絶縁材5を載置すると共に、その上に2枚のポリプロピレンシート6,6を載置し、加熱した金型2を下降させてポリプロピレンシート6,6に金型2を上方から押付け、金型2と基台1との間に高周波電圧を印加することによって実施される。

0018

この実施例に用いられる絶縁材5は繊維基材にワニスを含浸させたもので、該ワニスはポリプロピレンよりも高い誘電率と誘電損失を有する。図2は絶縁材5の概略断面図であって、5aは繊維基材、5bは含浸されたワニスを示している。

0019

繊維基材5aはワニス5bの含浸が可能なものであればよく、例えば、ガラス繊維等の無機繊維や、天然もしくは合成もくしは再生有機繊維から成る織布(クロス)、不織布、マット、紙などが使用される。特に、ガラス繊維を用いた基材耐熱性があり、長期の繰返し使用に耐えるので好ましい。繊維基材5aの厚みは特に制限されないが、100〜500μm程度のもの、好ましくは200〜300μm程度のものが使用される。

0020

この繊維基材5aに含浸されるワニス5bは、天然もしくは合成の樹脂などを乾性油と共に加熱融合し、溶剤希釈した油ワニスであり、上記のようにポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の高いものが使用される。ポリプロピレンより誘電率及び誘電損失の低いワニスを含浸させた絶縁材は、高周波電界が与えられても実質的に加熱されないので、使用することができない。ポリプロピレンより誘電率と誘電損失の高いワニスの例としては、アルキッド樹脂フェノール系樹脂アミノ樹脂ウレタン樹脂エポキシ樹脂などを、亜麻仁油桐油大豆油ヒマシ油ヤシ油魚油麻実油綿実油などの乾性油と共に加熱融合して、上記のように希釈調製したものが挙げられる。

0021

このような絶縁材5を基台1とポリプロピレンシート6の間に介在させて、基台1と金型2の間に高周波電圧を印加すると、ポリプロピレンシート6,6は誘電率が低いため殆ど誘電加熱されないが、絶縁材5に含まれる誘電率の高いワニス5bは高周波電界からエネルギーを吸収し、分子歪みや分子摩擦を起こして急速に加熱されるため、その熱でポリプロピレンシート6,6が軟化、溶融する。このとき、ポリプロピレンシート6,6は金型2からも熱を受け、加熱が助長されるので速やかに軟化、溶融し、金型2を押付けた部分が互いに溶着する。

0022

金型2は、ヒーター4によって50℃より高くポリプロピレンの融点より低い温度に加熱することが必要である。金型2の温度が50℃以下では、ポリプロピレンシート6の加熱が助長されないばかりでなく、逆にポリプロピレンシート6の熱が金型2に奪われて冷却されることになるので溶着が困難となる。一方、金型2の温度がポリプロピレンの融点以上であると、従来の熱溶着の場合と同様に、溶融したポリプロピレンが金型2に付着するといった不都合を生じる。ポリプロピレンの溶融温度は130〜160℃であるので、130℃以下が良い。

0023

金型2の押圧力や電圧印加時間は、用いるポリプロピレンの厚みや溶着面積によって異なるので特に限定されるものではない。また、使用する高周波数は40.46MHzと27.12MHzの2種がある。

0024

この高周波溶着方法は、50〜500μm程度の厚さを有する各種のポリプロピレンシートに適用することが最も適しており、ポリプロピレンの種類(タイプ)は問わない。即ち、ポリプロピレンシート6がプロピレンホモポリマーからなるシートであっても、エチレンとプロピレンのランダム又はブロック共重合体からなるシートであっても、エチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体からなるシートであっても、この方法を用いて高周波溶着することができる。このうち、後二者の共重合体よりなるシートは、前者のホモポリマーのシートよりも柔軟性があり、より強固に溶着できる利点がある。

0025

特に、ポリプロピレンシート6として、熱可塑性樹脂エラストマーを含有させたシートを用いると、該エラストマーの配合でシートの柔軟性が増し溶着温度が低下することになるため、高周波溶着を一層容易に行える利点がある。エラストマーの含有量は5〜40重量%程度が適当であり、5重量%未満では目立った効果がなく、40重量%より多くなるとポリプロピレンシートが柔らかくなりすぎて実用的でなくなる。

0026

熱可塑性樹脂エラストマーとしては、スチレン系エラストマースチレンブタジエン系、スチレン−イソプレン系、スチレン−エチレン−ブチレン系等)、オレフィン系エラストマーエチレン−プロピレンゴム系、エチレン−プロピレンターポリマー系等)などが使用されるが、この中では透明性に優れたスチレン系エラストマーが最適である。かかるスチレン系エラストマーを含有させたポリプロピレンシートは、ポリプロピレン単独のシートや他のエラストマーを含有させたシートよりもヘイズ度)が低く、透明性が良いからである。

0027

図3は本発明の高周波溶着方法に使用される絶縁材の他の実施例を示す概略断面図であって、この絶縁材50は、前記のワニス5bを含浸させた繊維基材5aの表面に、耐熱樹脂フィルム5cを重ねた二層構造をしている。

0028

耐熱樹脂フィルム5cは、ポリプロピレンより遥かに高い融点を有するポリイミドポリエーテルエーテルケトンアラミドポリエーテルサルフォンポリエーテルイミド等の連続使用温度が160℃以上の樹脂フィルムであり、特に20〜75μm程度の厚さを有するものが好適に使用される。20μmより薄い耐熱樹脂フィルムを用いると、高周波溶着操作の繰り返しによって該フィルムが破れるという不都合があり、一方、50μmより厚いフィルムを用いると、該フィルムによる断熱作用が増大し、高周波電圧印加時にワニス5bから発生した熱がポリプロピレンシートに伝わるのを妨害するため、溶着性の低下を招くという不都合が生じる。この耐熱樹脂フィルム5cは接着剤粘着剤で繊維基材5aに貼着してもよいが、このように貼着すると、接着剤や粘着剤によって熱の伝導が妨げられるので、単に重ね合わせるだけとする方が好ましい。

0029

上記のような絶縁材50を用いて本発明の高周波溶着方法を実施すると、絶縁材のワニス5bが発熱により軟化、溶融するようなことがあったとしても、耐熱樹脂フィルム5cは軟化、溶融することがないので、絶縁材50とポリプロピレンシート6がくっつくのを防止できる利点がある。従って、長期間に亘って何回溶着しても、絶縁材50より溶着したポリプロピレンシートをスムースに取り出すことができる。

0030

図4は絶縁材の更に他の実施例を示す概略断面図であって、この絶縁材500は、前記のワニス5bを含浸した繊維基材5aの表面に前記の耐熱樹脂フィルム5cを重ねると共に、裏面にクッション材5dを重ねた三層構造をしている。

0031

クッション材5dとしては、厚さ1〜3mm程度のリンター紙、クラフト紙、アラミド紙、アラミド不織布等が好適であり、これらのクッション材は接着剤や粘着剤で裏面に貼着してもよく、単に重ねるだけでもよい。

0032

このような絶縁材500を用いて本発明の高周波溶着方法を実施すると、クッション材5dのクッション作用によって、金型2の押圧力がポリプロピレンシート6,6に均一に加わるため、溶着部分の厚みや溶着強度にムラのない高周波溶着を行うことができ、また、クッション材5dによって基台1と絶縁材500との間の空気が排除されるので、高周波電圧印加時にスパークの発生を防止することもできるといった利点がある。

0033

次に、本発明の高周波溶着方法の更に具体的な実施例を説明する。

0034

[実施例1〜5]繊維基材の綿布にワニスを含浸させた新興化学工業(株)製のワニスクロスVC(厚さ250μm)の表面に厚さ50μmのポリイミドフィルムを重ねると共に、裏面に厚さ2mmのクラフト紙を重ねたものを絶縁材として使用し、ポリプロピレンシートとして、スチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン系)を20重量%配合した厚さ300μmのエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体より成るシートを使用して、金型の温度を種々変えながら高周波溶着実験を行った。

0035

即ち、高周波溶着装置の基台上に上記の絶縁材を載置すると共に、その上に上記のポリプロピレンシートを2枚重ねて載置し、下記の表1に示す温度に加熱した溶着面積1500mm2 の金型を約20kgf/cm2 の押圧力でポリプロピレンシートに押付け、表1に示す条件(印加時間、通電時間、冷却時間)を採用して40.46MHzの高周波電流で上記シートの溶着実験を行い、高周波溶着の可否を調べた。

0036

その結果は、下記の表1に示すように全て高周波溶着が可であり、ポリプロピレンが金型に付着することもなかった。金型温度が低くなるに従い、通電時間を長くしなければ溶着しないこともわかり、金型温度が50℃以下では実用的でないことも判った。

0037

[比較例1〜2]金型の温度と条件(印加時間、通電時間、冷却時間)を下記の表1に示すように変更した以外は実施例1〜5と同様にして、ポリプロピレンシートの高周波溶着実験を行った。

0038

その結果、金型の温度を常温(約10℃)にした比較例1の場合は、高周波溶着が不可であり、また、金型温度をポリプロピレンの融点より高い130〜135℃にした比較例2の場合は、溶着はできたがポリプロピレンが金型に付着し、実用できないことが判った。

0039

0040

[実施例6〜10]ポリプロピレンシートとして、スチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン系)を10重量%配合した厚さ300μmのエチレン−ブテン1−プロピレン三元共重合体よりなるシートを使用し、絶縁材の構成を下記の表2に示すように変更して高周波溶着実験を行った。

0041

即ち、溶着面積1000mm2 の金型を100〜105℃に加熱し、約15kgf/cm2 の押圧力でポリプロピレンシートに押付け、印加時間1.0秒、通電時間4.0秒、冷却時間1.0秒の条件下に40.46MHzの高周波電流でポリプロピレンシートを溶着し、溶着強度を測定した。その結果を下記の表2に示す。溶着温度は幅25mm、長さ100mmの寸法で採取した試験片を、溶着部を中央にして180度に開き、その両端を引張試験機掴み具に取付け、溶着部が破断するまで引張荷重を加えたときの最大荷重の値である。

0042

なお、表2において、ワニスクロスとは、繊維基材の綿布にワニスを含浸させた新興化学工業(株)製のワニスクロスVC(厚さ250μm)のことである。

0043

[比較例3〜4]絶縁材を下記の表2に示すものに変更した以外は実施例6〜10と同様にしてポリプロピレンシートの高周波溶着実験を行い、高周波溶着の可否や溶着強度を調べた。その結果を下記の表2に示す。

0044

0045

この表2を見ると、ワニスクロスを含む絶縁材を用いた実施例6〜10は、いずれも溶着強度が3kgf/25mm以上で堅固に溶着するが、エポキシシートを絶縁材として用いた比較例3は高周波溶着が不可であり、エポキシシートとクッション紙積層体を絶縁材として用いた比較例4は、溶着強度が0.233kgf/25mmで、溶着不良が甚だしい。このことから、満足な高周波溶着を行うためには、繊維基材にワニスを含浸させたものを絶縁材として使用しなければならないことが判る。

0046

また、実施例6,7,8,9を対比すると、ワニスクロスの上に耐熱樹脂フィルムを重ねない実施例6は溶着強度が最も大きく、実施例7,8,9の順に耐熱樹脂フィルムの厚さが増すほど、溶着強度が低下している。このことから、耐熱フィルムはワニスクロスで発生した熱がポリプロピレンシートへ伝導するのを妨げる作用があり、薄いフィルムの方が高周波溶着に有利であることが判る。

0047

更に、実施例7,10を対比すると、耐熱樹脂フィルムとしてポリイミド粘着テープを用いた実施例10は、同じ厚さのポリイミドフィルムを用いた実施例7よりも、溶着強度が小さくなっている。このことから、粘着テープはその粘着剤が熱の伝導を妨げる働きをし、高周波溶着には不利であることが判る。

0048

[実施例11〜14]実施例1〜5で用いた絶縁材を使用し、下記の表3に示す組成の厚さ300μmのポリプロピレンシートの高周波溶着実験を行った。

0049

即ち、溶着面積が1500mm2 の金型を約100℃に加熱し、金型を約20kgf/cm2 の押圧力でポリプロピレンシートに押付け、40.46MHzの高周波電流で下記の表3に示す溶着時間だけ溶着操作を行い、高周波溶着の可否を調べた。その結果を下記の表3に示す。

0050

0051

この表を見ると、熱可塑性エラストマーを含まないポリプロピレンシートを用いた実施例11は、高周波溶着に必要な溶着時間が最も長く、実施例12,13,14の順に熱可塑性エラストマーの配合量が増すほど、高周波溶着に必要な溶着時間が短縮されている。このことから、熱可塑性エラストマーを含むポリプロピレンシートは、ポリプロピレン単独のシートよりも高周波溶着性に優れ、本発明の方法において有利に使用されることが判る。

発明の効果

0052

以上の説明から理解できるように、本発明の高周波溶着方法は、金型の温度と絶縁材を工夫するだけで、従来高周波溶着が困難とされていたポリプロピレンシートを容易に高周波溶着することができ、従来の熱溶着方法で見られた金型への樹脂付着等の問題を解決できるといった顕著な効果が得られる。そして、ポリプロピレンシートとして熱可塑性エラストマーを含んだシートを使用する場合は、高周波溶着性が一層向上し、穏やかな条件下に短時間で効率良く溶着を行えるといった効果が得られる。

0053

また、表面に耐熱樹脂フィルムを重ねた絶縁材を用いると、絶縁材の繊維基材に含浸されたワニスが軟化、溶融することがあっても、ポリプロピレンシートと絶縁材がくっつくのを確実に防止することができ、更に、裏面にクッション材を重ねた絶縁材を用いると、金型の押圧力がポリプロピレンシートに均一にかかって溶着部分の厚みや溶着強度にムラのない高周波溶着が可能となり、スパークを防止することもできるといった効果が得られる。

図面の簡単な説明

0054

図1本発明の高周波溶着方法に用いる装置の部分説明図である。
図2本発明の絶縁材の一実施例を示す概略断面図である。
図3本発明の絶縁材の他の実施例を示す概略断面図である。
図4本発明の絶縁材の更に他の実施例を示す概略断面図である。

--

0055

1基台
2金型
4ヒーター
5,50,500絶縁材
5a繊維基材、
5bワニス、
5c耐熱樹脂フィルム、
5dクッション材、
6ポリプロピレンシート。

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