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目的
構成
繊維強化熱可塑性樹脂シート1を連続的に中空状体2に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3を供給・発泡させるとともに、中空状体2とその外周を規制するための規制部材107との間に潤滑剤を介在させた状態で、発泡圧により中空状体2を規制部材107に沿わせることで、所望断面形状に賦形する。
概要
背景
合成樹脂発泡体からなる芯材層の表面を、繊維強化合成樹脂からなる表面層で覆った長尺の繊維強化合成樹脂複合発泡体は、軽量で強度を要求される材料、例えば住宅用の構造材をはじめとして、既に多くの分野で利用されている。
このような繊維強化合成樹脂発泡複合体の製造方法としては、従来、あらかじめ所望の断面形状に賦形した合成樹脂発泡体の表面に、ハンドレイアップ法により繊維強化合成樹脂を積層する方法が多用されていた。しかし、この製造方法によると、繊維強化合成樹脂層の積層作業に相当の人手を要するとともに、バッチ式の生産方式であるが故に、成形後の合成樹脂発泡体をストックしておく必要がある等、同一品種の製品を大量に生産するには非能率的である。
このような問題を解決すべく、あらかじめ所望の断面形状に賦形した長尺の合成樹脂発泡体を、その長手方向に連続的に移送しつつ、その表面に熱硬化性樹脂を含浸させた連続繊維を供給し、引抜成形型に導いて加熱しながら引抜成形する方法が提案されている(特開平4−339635号)。
この提案によれば、従来のハンドレイアップ法を用いる場合に比して省力化を達成することができるとともに、合成樹脂発泡体の成形ラインと、熱硬化性合成樹脂を含浸した連続繊維の供給〜引抜成形ラインとを直結することで、一貫生産が可能となり、大量生産を行う際には製造コストを大幅に低減できるという利点がある。
概要
芯材層となる発泡性熱可塑性樹脂をあらかじめ成形することなく表皮層の繊維強化熱可塑性樹脂とともに一挙に成形することが可能で、かつ、複雑な断面形状を持つ製品でも表皮層が破れたり肉厚が不均一となることのない、繊維強化熱可塑性発泡体の製造方法を提供する。
繊維強化熱可塑性樹脂シート1を連続的に中空状体2に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3を供給・発泡させるとともに、中空状体2とその外周を規制するための規制部材107との間に潤滑剤を介在させた状態で、発泡圧により中空状体2を規制部材107に沿わせることで、所望断面形状に賦形する。
目的
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、発泡性熱可塑性樹脂をあらかじめ成形する必要がなく、しかも、複雑な断面形状を持つ製品でも表皮層の繊維強化樹脂層が破れたり肉厚が不均一となることがなく、もって比較的簡単な設備構成のもとに、均一な機械的強度を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を高能率かつ高歩留りで製造することのできる方法を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続的に中空状体に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら供給するとともに、その全体を外周規制部材へと導き、この規制部材と中空状体外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、上記発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧により中空状体外周面を規制部材に沿わせることで所望断面形状に賦形する、繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
請求項2
繊維強化熱可塑性樹脂シートを連続的に中空状体に賦形しつつ、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物を供給した後に当該中空状体内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させるとともに、その全体を外周規制部材へと導き、この規制部材と中空状体外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、上記発泡性熱可塑性樹脂発泡体の発泡圧により中空状体外周面を規制部材に沿わせることで所望断面形状に賦形する、繊維許可熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
合成樹脂発泡体からなる芯材層の表面を、繊維強化合成樹脂からなる表面層で覆った長尺の繊維強化合成樹脂複合発泡体は、軽量で強度を要求される材料、例えば住宅用の構造材をはじめとして、既に多くの分野で利用されている。
0003
このような繊維強化合成樹脂発泡複合体の製造方法としては、従来、あらかじめ所望の断面形状に賦形した合成樹脂発泡体の表面に、ハンドレイアップ法により繊維強化合成樹脂を積層する方法が多用されていた。しかし、この製造方法によると、繊維強化合成樹脂層の積層作業に相当の人手を要するとともに、バッチ式の生産方式であるが故に、成形後の合成樹脂発泡体をストックしておく必要がある等、同一品種の製品を大量に生産するには非能率的である。
0004
このような問題を解決すべく、あらかじめ所望の断面形状に賦形した長尺の合成樹脂発泡体を、その長手方向に連続的に移送しつつ、その表面に熱硬化性樹脂を含浸させた連続繊維を供給し、引抜成形型に導いて加熱しながら引抜成形する方法が提案されている(特開平4−339635号)。
0005
この提案によれば、従来のハンドレイアップ法を用いる場合に比して省力化を達成することができるとともに、合成樹脂発泡体の成形ラインと、熱硬化性合成樹脂を含浸した連続繊維の供給〜引抜成形ラインとを直結することで、一貫生産が可能となり、大量生産を行う際には製造コストを大幅に低減できるという利点がある。
発明が解決しようとする課題
0006
ところで、上記した提案方法によると、芯材層となる合成樹脂発泡体を、ほぼ製品断面に近い断面形状にあらかじめ成形する必要があるため、その成形ラインは依然として残り、これを表皮層の供給〜引抜ラインと直結しても、全体としての製造ラインは長大となって煩雑である。また、連続繊維に含浸させた熱硬化性樹脂は低粘度であるため、均一な肉厚の繊維強化合成樹脂層を得ることが困難であり、得られた製品が均一な機械的強度を発現することの妨げとなっていた。
0007
このような問題を解決するためには、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維強化熱可塑性シートを連続的に中空状体に賦形し、その中空状体の内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させ、その発泡圧により中空状体の外周面を引抜成形金型等の規制部材に沿わせ、所望の断面形状に賦形する方法が考えられる。
0008
ところが、この方法では、中空状体の外形形状と製品の断面形状とが大きく異なる場合には、引抜成形時において繊維強化熱可塑性樹脂シートは規制部材との間で、特に周方向に大きなせん断抵抗を受ける。そのため、規制部材によって断面積を大きく変化させたり、複雑な断面形状へ賦形しようとすると、繊維強化熱可塑性樹脂シートが破れてしまうという問題が生じる。この問題を解決する方法として、繊維強化熱可塑性樹脂シートを製品断面形状に近い断面形状の中空状体に賦形することが考えられるが、繊維強化熱可塑性樹脂シートを中空の状態で複雑な形状に賦形することは極めて困難であるし、その内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物を供給することも困難である。
0009
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、発泡性熱可塑性樹脂をあらかじめ成形する必要がなく、しかも、複雑な断面形状を持つ製品でも表皮層の繊維強化樹脂層が破れたり肉厚が不均一となることがなく、もって比較的簡単な設備構成のもとに、均一な機械的強度を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を高能率かつ高歩留りで製造することのできる方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0010
上記の目的を達成するため、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、実施例図面である図1,図2に示すように、繊維強化熱可塑性樹脂シート1を連続的に中空状体2に賦形しつつ、その中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂組成物3を発泡させながら供給するとともに、その全体を外周規制部材107へと導き、この規制部材107と中空状体2の外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、発泡性熱可塑性樹脂組成物3の発泡圧により中空状体2の外周面を規制部材107に沿わせることで所望断面形状に賦形することによって特徴づけられる。
0011
ここで、発泡性熱可塑性樹脂組成物3を、上記のように中空状体2内に発泡させながら供給することに代えて、中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂組成物3を供給した後に、中空状体2の内部で発泡させる方法を採用することができる。
0012
また、同様な目的を達成するために、他の実施例図面である図3に示すように、繊維強化熱可塑性樹脂層1aと発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aからなる複合シート10を、繊維強化熱可塑性樹脂層1aが外面となるように連続的に中空状体20に賦形した後に内面側の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させるとともに、上記各方法と同様の外周規制部材へと導き、この規制部材と中空状体20の外周面との間に潤滑剤を介在させた状態で、発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧により中空状体20の外周面を規制部材に沿わせることで所望断面形状に賦形する方法を採用することができる。
0014
本発明でいう中空状体2,20とは、シート1または10の側縁部どうしを相互に突き合わせもしくは重ね合わせた状態で、内側に空隙が形成されるように賦形された状態のもののほか、側縁部間に若干の隙間を生じている状態のものをも含む。
0015
そして、繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは複合シート10を、上記のような中空状体2,20に賦形する方法としては、合成樹脂製のシューやロールなどでシート1,10を徐々に曲げていく方法、および、シート1,10が徐々に曲げられて中空状体2,20に賦形されるようなシート1,10の通路が設けられた金型を用い、その金型内をシート1,10を通過させる方法などを採用することができる。中空状体2,20への賦形に際してシート1,10の割れや裂けを防止するため、遠赤外線ヒータや熱風ブロアで加熱し、熱可塑性樹脂を軟化状態としながら賦形を行うことが好ましい。
0016
ここで、軟化状態とは、JIS−K−7206に準じて測定された、ビカット軟化温度以上に熱可塑性樹脂が加熱された状態を指す。一般的には、熱可塑性樹脂が変形を始め、機械的性質が低下する温度まで加熱された状態を指す。
0017
中空状体2,20への賦形に用いるシート1,10は、1枚のシート1または10の両側縁部どうしを突き合わせ、あるいは重ね合わせ、もしくは若干の隙間を介して突き合わせるほか、複数枚のシート1,10を用いてこれらを互いに平行にした状態で、これらの側縁部どうしを突き合わせ、あるいは重ね合わせ、もしくは若干の隙間を介して突き合わせることで、全体として1つの中空状体2,20に賦形してもよい。
0018
また、本発明において、中空状体2,20を発泡圧によって賦形する際に用いられる外周規制部材107とは、賦形金型もくしはロール、シュー等をいい、金型を用いる場合、中空状体2,20を金型内に挿入し、その内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡圧で金型の内面に中空状体2,20を押し当てながら賦形すればよく、ロールやシューを用いる場合には、周囲から加熱して内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物を発泡させながら、中空状体2,20の外周をロールやシューで規制して賦形すればよい。なお、金型で賦形する場合には、真空引きや圧空により賦形を補助してもよい。
0019
ここで、中空状体2,20を、内側の発泡性熱可塑性樹脂組成物3あるいは発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aの発泡圧によって外周規制部材107に沿わせて所望断面形状に賦形するに当たり、発泡性熱可塑性樹脂組成物の発泡動作によって生じる発泡圧のみでは中空状体2,20を規制部材107に押しつけるだけの圧力が得られない場合、中空状体2,20の内側に補助的に別途圧力を付与してもよく、本発明各方法は、このような補助的な圧力を用いる場合をも含む。補助的な圧力を付与する場合、規制部材107の構造は、その内部を通じて中空状体2,20内部に気体を供給できるような配管を持つ構造とすることが望ましい。
0020
次に、本発明において用いられる繊維強化熱可塑性樹脂シート1および複合シート10の組成、構造、並びに製法等について述べる。本発明における繊維強化熱可塑性樹シート1、あるいは複合シート10の繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。また、これらの熱可塑性樹脂を構成するモノマーを主成分とする共重合体やグラフト樹脂あるいはブレンド樹脂、例えば塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、シラン変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンなども使用可能である。更に、熱可塑性エラストマーや架橋熱可塑性樹脂も使用可能である。これらの使用可能な樹脂のなかでも、成形温度を考慮すると、120〜250°Cといった比較的低温で成形可能な、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ウレタン−塩化ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、およびアクリロニトリル−スチレン共重合体を採用することが望ましい。
0021
また、本発明で使用する熱可塑性樹脂は、単独で使用しても複数のものを併用してもよく、物性を損なわない範囲内で、ジブチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ビス(モノアルキルマレート)などの有機錫マレート系、ジブチル錫ラウレート、モノブチル3メルカプトプロピオネートなどの有機錫メルカプト系、三塩基性硫酸鉛、塩基性亜硫酸鉛などの鉛基、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛などの金属石鹸といった熱安定剤、脂肪酸エステルワックス、低分子量ポリエチレンワックス、金属石鹸、多価アルコール、脂肪族アルコール、脂肪酸アミドなどの滑剤、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などの加工助剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、改質剤、着色剤のような添加剤、および、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、木粉、繊維強化熱硬化性樹脂粉砕粉などの充填材を配合したものでもよい。
0022
本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる繊維としては、本発明の製造工程にて加えられる熱により溶融軟化および炭化しないものであれば使用可能であり、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン・チタン・炭素繊維、ボロン繊維、微細な金属繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維、絹、綿、麻などの天然繊維を挙げることができるが、強度、コストを考慮すると、ガラス繊維、炭素繊維が好ましい。フィラメントの直径は1〜50μm、特に3〜23μmが好ましい。フィラメントの直径が1μmより小さい場合、繊維による補強効果が小さく、50μmを越えると、熱可塑性樹脂と繊維との接触面積が、同種同重量のより小径の繊維を用いる場合に比して小さくなるため、これも繊維による補強効果が小さくなって好ましくない。
0023
本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1a中の繊維の含有率は、5〜80重量%の範囲で、好ましくは10〜50重量%である。含有率が5重量%より少ないと補強効果は小さく、80重量%を越えると繊維間を結着する樹脂が少なくなるため、機械的強度は弱くなる。
0024
また、本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aの中の繊維の長さは、3mm以上が好ましく、連続繊維であることがより好ましい。強化繊維が長いほど、得られる製品である繊維強化熱可塑性樹脂発泡体の強度は強くなり、繊維長が3mmより短いと補強効果は小さい。また繊維強化熱可塑性樹脂シート1もしくは繊維強化熱可塑性樹脂層1aと発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aからなる複合シート10を展延させながら賦形するには、強化繊維が製造品長手方向に配向していることが好ましい。すなわち、連続繊維が製造品長手方向に配向していることが最も好ましい。
0025
本発明における繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹層1aの厚みは、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。厚みが0.1mmより薄いと繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは複合シート10の強度が弱く、中空状体2ないしは20への賦形に耐えることが困難となり、10mmより厚いと、中空状体2ないしは20への賦形が困難となる。
0026
そして、本発明において用いられる繊維強化熱可塑性樹脂シート1の製造方法の一例としては、ガラスフィラメント束等の強化繊維束をフィラメントに解し、一方向に引き揃えた後、熱可塑性樹脂製のフィルムを重ねて加熱ピンチロール間を通過させることにより、溶融熱可塑性樹脂を強化繊維のフィラメント間に侵入させる方法を挙げることができる。
0027
また、本発明において用いられる繊維強化熱可塑性樹脂シート1の製造方法の他の例として、一方向に引き揃えた連続強化繊維束を、粉体状熱可塑性樹脂が流動している槽内に引き込み、強化繊維束をフィラメントに解しながら、粉体状熱可塑性樹脂を付着させた後、加熱ピンチロール間を通過させ、熱可塑性樹脂を溶融させてフィラメント間に侵入させる方法を採用することができる。
0028
更に、本発明において用いられる繊維強化熱可塑性樹脂シート1として、強化繊維がランダムに配されたものとする場合には、上記と同様にして得られた粉体熱可塑性樹脂が付着した強化繊維束を、ロータリカッタで細断して無端ベルト上へ落下させて集積した後、その上方から別の無端ベルトを押しつけ、この上下の無端ベルトで挟みつつ加圧した状態で加熱炉内を通過させることにより、細断された強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させ、その後冷却ガイドロールを通過させてシート化する方法を採用することができる。
0029
一方、本発明において用いられる複合シート10の製造方法の一例としては、上記した各方法のいずれかにより得られた繊維強化熱可塑性樹脂シートの一面に、あらかじめ製造された発泡性樹脂組成物シートを加熱融着させる方法を挙げることができる。
0030
また、本発明において用いられる複合シート10の製造方法の他の例として、同じく上記した各方法のいずれかにより得られた繊維強化熱可塑性樹脂シートの一面に、未発泡の発泡性樹脂組成物をシート状に押し出して積層する方法を採用することもできる。
0031
次に、本発明において用いられる発泡性熱可塑性樹脂組成物3、あるいは複合シート10の発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aの組成、構造、および供給ないしは発泡のさせ方等について述べる。
0032
本発明における発泡性熱可塑性組成物3もしくは発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aとして用いられる熱可塑性樹脂としては、繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる熱可塑性樹脂と同様のものが使用可能であるが、繊維強化熱可塑性樹脂シート1ないしは繊維強化熱可塑性樹脂層1aに用いられる熱可塑性樹脂と熱融着可能な熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、互いに同じ種類の熱可塑性樹脂(同じモノマーより重合された熱可塑性樹脂)どうしを用いることが好ましい。異なる種類の熱可塑性樹脂を使用する場合の組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリエチレンと酢酸ビニル−エチレン共重合体、ポリエチレンと塩素化ポリエチレン、ポリスチレンとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレンとアクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニルと塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルとエチレン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルと酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとウレタン−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルとポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とアクリロニトリル−スチレン共重合体などを挙げることがてきる。また、熱可塑性樹脂と変性した同じ種類の熱可塑性樹脂の組み合わせも使用できる。この例としては、ポリエチレンとシラン変性ポリエチレン、ポリエチレンとアクリル酸変性ポリプロピレン、ポリエチレンとマレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
0033
また、このような発泡性熱可塑性樹脂組成物3に用いられる発泡剤としては、発泡させながら中空状体2内に供給する場合においては、熱により化学分解してガスを生成する分解型発泡剤と、揮発性液体のガス化を利用する揮発型発泡剤を使用することができる。あるいは、熱可塑性樹脂を溶融温度以上で混練しながら二酸化炭素や窒素などのガスを圧入することで樹脂内に分散させておき、中空状体2内への供給時に圧を開放して発泡させてもよい。一方、発泡性熱可塑性樹脂組成物3を中空状体2内に供給した後に発泡させる場合、および、複合シート10を中空状体20に賦形した後にその内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aを発泡させる場合には、分散型発泡剤と、熱可塑性樹脂に揮発型発泡剤や二酸化炭素や窒素などを溶け込ませて分散させた、いわゆる発泡ビーズを使用することができる。
0034
ここで、分散型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、pp′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
0035
揮発型発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、フプタンなどの脂肪族炭化水素、塩化メチル、二塩化メチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのフロンガス等が挙げられる。
0036
発泡剤の種類によって発生するガス量は異なるので、その配合量は種類に応じて適宜調整しなければならないが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、発泡剤0.5〜15重量部の範囲内で配合するのが好ましい。発泡剤の配合量が上記範囲より少ないと発泡した成形体は得られず、逆に発泡剤の配合量が多すぎるとセルが破泡して緻密なセルが得られない。例えばアゾジカルボンアミドを用いて発泡倍率10倍の熱可塑性樹脂発泡体を製造する場合、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜7.5重量部混合のが妥当である。
0037
発泡性熱可塑性樹脂組成物3あるいは発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aの発泡によって得られる成形品の内部発泡層(芯材層)の発泡倍率としては、製造品に要求される強度や比重、使用する熱可塑性樹脂の種類などで適宜選択されるべきであるが、1.2〜20倍の範囲とすることが好ましく、2〜10倍の範囲が特に好ましい。発泡倍率が1.2倍より小さいと、発泡させることによる軽量化の効果が小さく、発泡倍率が20倍より大きい場合には、強度が非常に弱いものとなって、いずれも好ましくない。
0038
そして、本発明において発泡性熱可塑性樹脂組成物3を中空状体2内に発泡させながら供給する方法として、繊維強化熱可塑性樹脂シート1の中空状体2への賦形途上の開口部分から、賦形後の中空状体2内に押出機のノズルを挿入し熱可塑性樹脂を発泡させながら押出す方法を採用することができる。
0039
この場合、押出機内で、分解型発泡剤もしくは揮発型発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹組成物3をガス発生温度以上で混練し、発生したガスを熱可塑性樹脂に分散させて、発泡性熱可塑性樹脂組成物の溶融温度以上に温度調節したノズルから中空状体2内部に供給する。もしくは、熱可塑性樹脂を溶融温度以上で混練しながら二酸化炭素や窒素などのガスを圧入して熱可塑性樹脂内に分散させ、これを熱可塑性樹脂の溶融温度以上に温度調節したノズルより中空状体2内に供給する。
0040
一方、中空状体2内に発泡性熱可塑性樹脂組成物3を供給した後に、中空状体2内でこれを発泡させる場合、発泡性熱可塑性樹脂組成物3を中空状体2内に供給する方法としては、上記の方法と同様にして中空状体2内に押出機のノズルを挿入して、熱可塑性樹脂の溶融温度以上で、かつ、発泡剤の分解温度以下で押出す方法や、あらかじめ製造した、発泡剤を含有するシート状またはペレット状、あるいは棒状の発泡性熱可塑性樹脂組成物、または発泡ビーズを、連続的に中空状体2内に供給する方法を採用することがてきる。
0041
また、上記のような方法で供給された発泡性熱可塑性樹脂組成物を、中空状体2の内部で発泡させる方法、および、複合シート10を中空状体20に賦形した後に内面側の発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aを発泡させる方法としては、全体を高温に加熱した金型に挿入する方法や、中空状体2または20内部に熱風を吹き込む方法を採用することができる。熱風を吹き込む場合には、中空状体2,20内への樹脂の供給口部分や規制部材107内部を通じて空気配管を施し、中空状体2,20内部に一様に熱風を供給できる構造とする必要がある。
0042
さて、本発明で用いられる潤滑剤は、中空状体2,20を構成する熱可塑性樹脂および強化繊維と化学的な反応を起こさないもので、中空状体2,20と規制部材107との間に介在する際に液体状または微粉末状のものである。
0043
具体的には、フッ素オイル、シリコンオイル、流動パラフィンなどの高分子流動体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールの共重合体、ポリアルキレングリコールの末端アルキルエステル化重合体などのポリエーテル系潤滑剤、多価アルコール、脂肪酸、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、脂肪酸アルコールアミド、脂肪酸アミド、ポリエステル系潤滑剤、ステアリン酸塩などの金属石鹸、アルカン、ハロゲン化アルカン、アルキルエーテルなどの有機溶剤、その他植物油、動物油などの天然オイル/ワックス、二硫化モリブデン、原油を精製して得られる鉱油などが挙げられる。また、このような潤滑剤を溶剤で希釈、分散させたものや、水で分散させたもの、更には水自体も潤滑剤として使用可能であるが、使用可能な温度範囲は沸点以下に制限される点に留意すべきである。
0044
本発明において用いるのに適した潤滑剤は、熱的に安定で、かつ、成形体や製造装置に対して粘着性がないものであり、このような観点から、潤滑性に優れる高分子流動体や鉱油、水溶性で製造後の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体から潤滑剤の除去が簡易なポリアルキレングリコール等が好ましいといえる。
0045
また、潤滑剤を中空状体2,20と規制部材107との間に介在させる方法としては、繊維強化熱可塑性樹脂シート1あるいは複合シート10の、後で規制部材107と接する面に前もって滴下もしくは塗布する方法、中空状体2,20内部で発泡性熱可塑性樹脂組成物3または同層3aを発泡させ、繊維強化熱可塑性シート1または複合シート10に発泡圧が加わり、かつ、未だ所望形状に賦形されていない状態で、規制部材より一定量ずつ滲みださせる方法などを挙げることができるが、中空状体2,20の発泡圧により断面の変形が行われる前に潤滑剤を介在させることができれば、潤滑剤の供給方法は特に制限されない。ただし、製品の表面状態を長手方向に均一なものとするためには、ポンプなどで潤滑剤を定量的に供給することが好ましい。
0046
繊維強化熱可塑性樹シート1または複合シート10を連続的に賦形して得られた中空状体2または20を、その内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物3または3aの発泡圧によって、潤滑剤を介して外周規制部材107に沿わせて所望断面形状に賦形することで、芯材層となる発泡性熱可塑性樹脂と、表皮層となる繊維強化熱可塑性樹脂との一体成形が可能となり、しかも、中空状体2,20と外周規制部材107との間に介在する潤滑剤により、規制部材107による賦形の際に生じるせん断抵抗が低減される結果、得ようとする製品の断面形状が複雑であったり、製品断面形状と中空状体2,20の断面輪郭形状とが大きく相違したり、また、中空状体2,20の展延を伴う賦形であっても、表皮層の繊維強化熱可塑性樹脂層が破れたり肉厚が不均一となることがない。
発明の効果
0047
本発明によれば、繊維強化熱可塑性シート、あるいはこれと発泡性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを積層した複合シートを、連続的に中空状体に賦形し、その中空状体内部に供給した発泡性熱可塑性樹脂組成物、あるいは複合シートの場合には中空状体の内側となっている発泡性熱可塑性樹脂組成物層の発泡圧によって、中空状体の外周を規制部材に沿わせて所望断面に賦形するとともに、その規制部材による賦形の際には、規制部材との間に潤滑剤を介在させるので、製品の断面形状が複雑で、特に中空状体の展延を伴うような賦形が必要な場合でも、繊維強化熱可塑性樹脂層が破れるたり肉厚が不均一となるような不具合が生じず、表皮層の繊維強化熱可塑性樹脂と芯材層の発泡熱可塑性樹脂とを一挙に、しかも、高い安定性のもとに一体成形することが可能となった。
0048
その結果、従来のように発泡体をあらかじめ成形しておく必要がなくなり、その分、工程を省略することができ、比較的簡単な設備構成のもとに、均一な機械的強度を持つ高品質の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を、良好な生産性のもとに製造することが可能となった。
0049
また、複合シートを用いる場合には、上記の効果と併せて、繊維強化熱可塑性樹脂層と発泡性熱可塑性樹脂組成物層との界面における、発泡性熱可塑性樹組成物から生じたガスの残存によるボイドの発生を防止することができ、表皮層である繊維強化熱可塑性樹脂と芯材層である熱可塑性樹脂発泡体の融着性に優れた繊維強化熱可塑性樹脂発泡体が得られるという効果を奏することができる。
0050
以下、本発明の各方法を用いて実際に繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を製造した例について、比較例とともに述べる。
<実施例1>
繊維強化熱可塑性樹脂シート
ガラス繊維束(日東紡績ガラスロービング、4400kg/km、フィラメント径23μ)4本を引き揃えて、ポリ塩化ビニル樹脂(下記の〔表1〕の配合を行ったもの)がエアにより流動している槽内に引き込み、ガラス繊維束をフィラメント単位に解しつつポリ塩化ビニル樹脂を付着させた。このポリ塩化ビニル樹脂が付着したガラス繊維を面状に引き揃えた状態で、220°Cに加熱されたピンチロールにより10kg/cm2 で加圧しながら加熱し、ポリ塩化ビニル樹脂を溶融させてガラス繊維間に侵入させた。次いで冷却ピンチロールで冷却し、幅100mmにトリミングして、厚み0.4mmのガラス繊維強化ポリ塩化ビニル樹脂シート(以下、このシートをもって繊維強化熱可塑性樹脂シート1と称する)を得た。
0051
0053
0055
繊維強化熱可塑性シート1は、シート繰り出し機101から順次繰り出され、ロールあるいはシュー(図示せず)によって図2(B)に示すように略逆U字形に賦形された後、中空状体賦形用金型102に導かれる。この中空状体賦形用金型102は、外側金型103とコア金型104によって構成され、これらの金型103,104の間を繊維強化熱可塑性樹脂シート1が通過することにより、図2(C),(D)に示すように、徐々にシート1の両側縁部が突き合わされて直径31.8mmの真円の円筒形状の中空状体2となる構造を有している。
0056
中空状体賦形用金型102のコア金型104は樹脂押出金型を兼ねており、その中心部に直径5mmの樹脂流路104aが形成されているとともに、中空状体2に賦形される途上のシート1の下方開口部分を通して押出機105に連結され、この押出機105から押出される発泡性熱可塑性樹脂組成物3を、樹脂流路104aを介して中空状体2内に押出すことができるようになっている。
0057
内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3が押出され、かつ、発泡することで図2(E)に示す状態となった中空状体2は、次いで潤滑剤供給金型106内に導かれる。この潤滑剤供給金型106は、断面が直径31.8mmの真円形の空洞を持つ金型であり、潤滑剤供給装置106aから毎時定量ずつ供給されてくる潤滑剤を、空洞内壁に設けられた複数の小孔から中空状体2の外周面全周にわたって均一に染みださせることのできる構造を持っている。
0058
内部に発泡性熱可塑性樹脂組成物3が押出され、かつ、外周面に潤滑剤が供給された中空状体2は、賦形金型107内に導入される。この賦形金型107は、その金型内面の断面形状が、入口部分が直径31.8mmの真円形であり、その真円形状から、徐々に図2(F)に示す最終製品断面形状の輪郭と同等の形状に変化しており、この賦形金型107を通過することにより、中空状体2およびその内部の発泡性熱可塑性樹脂組成物3は図2(E)から同図(F)のように次第に賦形されていく。
0059
賦形金型107の下流側には、その賦形金型107の最終の内面断面形状と同じ内面断面形状を持つ冷却金型108が配設されており、この冷却金型108によって、表面の繊維強化熱可塑性樹層とその内部の発泡樹脂とが冷却され、図2(F)に示したような、熱可塑性樹脂発泡体からなる芯材層Pの周囲を繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層Sで覆った構造の繊維強化熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
0060
冷却金型108の更に下流側には、製品引き取り装置109が配設されており、この引き取り装置109によって冷却後の製品を所定の力で矢印方向に引き取ることによって、前記した中空状体賦形用金型102および賦形金型107における賦形力が与えられるようになっている。
製造条件等
200°Cに温度調節した中空状体賦形用金型(兼押出金型)102に、繊維強化熱可塑性樹脂シート1を挿入して中空状体2とした後、その内部に〔表2〕で示したポリ塩化ビニルを主とする配合の発泡性熱可塑性樹脂組成物3を発泡させながら押し出した。その押し出し後、潤滑剤供給金型106により中空状体2の表面に、ポリアルキレングリコールを、表面積1m3 当たり15ccの割合で供給し、次いで180°Cに加熱した賦形金型107内に導入し、発泡圧によって中空状体2を賦形金型107の内面に押し当てて同金型の最終の断面形状と同等の断面形状となるように賦形した後、冷却金型108で冷却し、図2(F)に示す断面形状・構造を持つ製品を得た。ポリアルキレングリコールには、エチレングリコールとプロピレングリコールを等重量ずつ共重合させてなる、平均分子量1000のものを用いた。
<実施例2>
繊維強化熱可塑性樹脂シート、発泡性熱可塑性樹脂組成物、および製造装置並びに金型
先の実施例1と全く同様とした。
製造条件等
繊維強化熱可塑性樹脂シート1を上記実施例1と同様に略逆U字形に連続的に賦形した後、170°Cに温度調節した中空状体賦形用金型(兼押出金型)102に挿入して中空状体2とした後、その内部に前記と同様の発泡性熱可塑性樹脂組成物3を発泡させないで押出した。その押出し後、潤滑剤供給金型106により中空状体1の表面に、上記と同様のポリアルキレングリコールを同じく表面積1m3 当たり15ccの割合で供給し、220°Cに加熱した賦形金型107に導入して発泡性熱可塑性樹脂組成物3を発泡させ、その発泡圧により中空状体2を賦形金型107および冷却金型108の内面に押し当てて賦形し、上記例と同等の断面・構造を持つ製品を得た。
<実施例3>
複合シート
〔表2〕の配合の発泡性熱可塑性樹脂組成物を、押出機から170°Cに温度調節されたシート形状金型を通して、発泡させないで押出しながら、実施例1で成形した繊維強化熱可塑性樹脂シート1に積層することにより、図3(A)に示すような繊維強化熱可塑性樹脂層1aと発泡性熱可塑性樹脂組成物層3aとからなる複合シート10を得た。
製造装置並びに金型
実施例1で用いた製造装置および各金型のうち、押出機105を除いた構成のものを用いた。
製造条件等
複合シート10を、図3(B)に示すように略逆U字形に賦形した後に、170°Cに温度調節した中空状体賦形用金型102に挿入して、繊維強化熱可塑性樹脂層1aが外側となるように中空状体20(図3(C)参照)とした後、その中空状体20の表面に、先の各例で用いたものと同様のポリアルキレングリコールを潤滑剤供給金型106によって表面積1m3 当たり15ccの割合で供給し、220°Cに加熱した賦形金型107内に導入して、発泡性熱可塑性組成物層3aを発泡させ、その発泡圧により繊維強化熱可塑性樹脂層1aの外周を賦形金型107および冷却金型108の内面に押し当て、図2(F)に示したものと同等の断面・構造を持つ繊維強化熱可塑性樹脂発泡体を得た。
<比較例1>繊維強化熱可塑性樹脂シート、発泡性熱可塑性樹脂組成物、および製造装置並びに金型については、実施例1と全く同様とした。また、製造条件等については、潤滑剤供給金型106から中空状体2の表面に潤滑剤を供給しないことを除いて、実施例1と同等とした。
<比較例2>繊維強化熱可塑性樹脂シート、発泡性熱可塑性樹脂組成物、および製造装置並びに金型については、実施例2と全く同様とした。また、製造条件等については、潤滑剤供給金型106から中空状体2の表面に潤滑剤を供給しないことを除いて、実施例2と同等とした。
<比較例3>複合シート、製造装置並びに金型については、実施例3と全く同様とした。また、製造条件等については、潤滑剤供給金型106から中空状体20の表面に潤滑を供給しないことを除いて、実施例3と同等とした。
0061
さて、以上の各実施例および比較例により得られた各成形品の断面を観察したところ、実施例1〜3で得られた成形品には、表皮層Sである繊維強化熱可塑性樹脂の破れは認められなかったが、比較例1〜3で得られた成形品には、いずれも、繊維強化熱可塑性樹脂に破れた部分が見いだされた。
0062
また、以上の各実施例および比較例により得られた成形品について、繊維強化熱可塑性樹脂からなる表皮層Sの厚みを、図2(F)に示すa〜cの各点について測定した結果を下記の〔表3〕に示す。
0063
0064
以上の結果から、本発明の各製造方法で得られる繊維強化熱可塑性樹脂発泡体は、表皮層Sである繊維強化熱可塑性樹脂の破れがなく、しかもその厚みのばらつきが小さいことが明らかとなった。
図面の簡単な説明
0065
図1本発明実施例で用いられる製造装置の構成を示す模式的断面図
図2図1のA〜Fで示す各製造過程における材料もしくは製品形状を示す断面図
図3本発明の他の実施例の製造過程における材料形状を示す断面図
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0066
1繊維強化熱可塑性樹脂シート
2,20中空状体
3発泡性熱可塑性樹脂組成物
10複合シート
1a繊維強化熱可塑性樹脂層
3a 発泡性熱可塑性樹脂組成物層
101シート繰り出し機
102 中空状体賦形用金型
103外側金型
104コア金型(兼押出金型)
105押出機
106潤滑剤供給金型
106a潤滑剤供給装置
107賦形金型(外周規制部材)
108冷却金型
109引き取り装置
P芯材層(発泡性熱可塑性樹脂層)
S表皮層(繊維強化熱可塑性樹脂層)
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