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技術 異形断面中空繊維およびその製造方法

出願人 株式会社クラレ
発明者 大前好信大野義堅
出願日 1995年3月6日 (25年11ヶ月経過) 出願番号 1995-070484
公開日 1996年9月24日 (24年5ヶ月経過) 公開番号 1996-246225
状態 未査定
技術分野 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ 不織物 紡糸方法及び装置
主要キーワード 中空横断面 字型スリット 字形スリット 横断面形 略五角形状 直線状スリット 縫いぐるみ 空気吹
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年9月24日)のものです。
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図面 (6)

構成

最大の辺とそれよりも短い4つの辺からなる略五角形の断面形状を有し、最大の辺が10〜30μmの曲率半径で繊維の内側に湾曲し且つ5つの頂点に(高さ/幅)=0.6〜1.0の突起を有する異形断面中空繊維、並びに前記中空繊維を、C字形スリットにその両端部間の連結部を挟んで内側に向けて2個の平行なスリット(A1,A1)を有し、該C字形スリットの外側に5〜9個の直線状スリット(B1)を有し、C字形スリットの連結部の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が100°〜130°で且つ[スリット(A1)の面積a]/[直線状スリット(B1)の面積b]=0.3〜0.6の紡糸ノズルから溶融紡糸して製造する方法。

効果

本発明の略五角形の断面形状の異形断面中空繊維は、分離性開繊性嵩高性反発弾性回復性保温性ドレープ性等の諸特性に極めて優れており、詰め綿クッション材等として有効に使用することができる。

概要

背景

クッション用のクッション材人形布団などの詰め綿など用途分野では、従来、鳥類羽毛が多く使用されてきたが、天然の羽毛は、量的な制約品質の不均一、高価格などの理由によってその使用量が減少する傾向にあり、天然の羽毛の代わりに合成繊維ステープルファイバーが広く用いられるようになっている。しかし、通常の合成繊維のステープルファイバーは、嵩高性反発弾性回復性などの特性に劣るため、それらの特性を改良する目的で、円形横断面形状を有する合成繊維の紡糸時に一方向から急冷したり、粘度の異なる複数の重合体サイドバイサイド型複合紡糸して、繊維に潜在捲縮性を付与した後に三次元捲縮を発現させる方法、繊維表面にシリコン樹脂などの加工処理剤を塗布する方法などが広く採用されている。

ところが、例えば、一方向から急冷して常法により円形横断面の合成繊維を溶融紡糸する場合に、繊維の嵩高性、反発弾性、回復性を良くするために三次元捲縮性能を高くすると、繊維の分離性および開繊性が悪くなって集合体の形成(団塊化)が生じ易くなって、布団皮などの包皮内や型内への充填作業が行いにくくなり、しかも逆に嵩高性、反発弾性、回復性、保温性ドレープ性などの特性が低下するという欠点がある。また、繊維表面にシリコン樹脂などの加工処理剤を塗布する方法の場合も、繊維の乾燥後でも加工処理剤の粘着力が残り、それによって単繊維間接着が生じて、繊維の分離性および開繊性が悪くなったり、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などが低下するという欠点がある。

概要

最大の辺とそれよりも短い4つの辺からなる略五角形の断面形状を有し、最大の辺が10〜30μmの曲率半径で繊維の内側に湾曲し且つ5つの頂点に(高さ/幅)=0.6〜1.0の突起を有する異形断面中空繊維、並びに前記中空繊維を、C字形スリットにその両端部間の連結部を挟んで内側に向けて2個の平行なスリット(A1,A1)を有し、該C字形スリットの外側に5〜9個の直線状スリット(B1)を有し、C字形スリットの連結部の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が100°〜130°で且つ[スリット(A1)の面積a]/[直線状スリット(B1)の面積b]=0.3〜0.6の紡糸ノズルから溶融紡糸して製造する方法。

本発明の略五角形の断面形状の異形断面中空繊維は、分離性、開繊性、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性等の諸特性に極めて優れており、詰め綿やクッション材等として有効に使用することができる。

目的

したがって、本発明の目的は、繊維の分離性および開繊性が良好で、しかも嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性に優れる合成繊維、特に詰め綿やクッション材として適する合成繊維を提供することである。そして、本発明の目的は、そのような優れた諸特性を有する合成繊維を円滑に且つ確実に製造することのできる方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、そのような優れた特性を有する合成繊維からなる詰め綿およびクッション材を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
3件

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請求項1

五角形横断面形状を有する異形断面中空繊維であって、その横断面形状が、下記の(i)〜(iii)の要件;(i) 1つの最大の辺部(S1)とそれよりも短い4つの辺部(S2,S3,S4,S5)から構成されていて、最大の辺部(S1)の一方の端部から順に辺部(S2)、辺部(S3)、辺部(S4)および辺部(S5)が該最大の辺部(S1)のもう一方の端部へと連なって中空の略五角形の形状をなしている;(ii) 上記最大の辺部(S1)が、10〜30μmの曲率半径で繊維の内側に向かって湾曲している;および、(iii) 上記略五角形の5つの頂点に、幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.6〜1.0である突起部をそれぞれ有している;を満足する横断面形状であることを特徴とする略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維。

請求項2

辺部(S2)と辺部(S5)との長さ、および辺部(S3)と辺部(S4)との長さが、少なくともそれぞれ実質的に同じである請求項1の異形断面中空繊維。

請求項3

辺部(S2)〜辺部(S5)の1つまたは2つ以上に、1個または2個の突起部を更に有する請求項1または2の異形断面中空繊維。

請求項4

ターボオープナー開繊機による開繊後の開繊率が95.0%以上で、且つ比容積が105cm3/g以上である請求項1〜3のいずれか1項の異形断面中空繊維。

請求項5

最大の辺部(S1)における内部構造と残りの辺部(S2)〜辺部(S5)における内部構造が異なっており、高い潜在捲縮性を有する請求項1〜4のいずれか1項の異形断面中空繊維。

請求項6

捲縮を発現させた請求項5の異形断面中空繊維。

請求項7

繊維形成性熱可塑性重合体溶融紡糸して略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維の製造方法であって、紡糸口金に設けた下記の要件〜を備える紡糸ノズル;C字形スリットを有し、該C字形スリットの両端部の間にある連結部を挟んで内側に向けて2個の平行なスリット(A1,A1)をC字形スリットに連設してあり;上記C字形スリットに対して該C字形スリットの上記連結部を挟んで5〜9個の直線状スリット(B1)を外側に向けてC字形スリットに連設してあり;上記C字形スリットの上記連結部を挟んで該連結部の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が100°〜130°であり;そして上記のスリット(A1)の面積をa、上記の直線状スリット(B1)の面積をbとしたときに、a/bが0.3〜0.6である;から溶融した繊維形成性熱可塑性重合体を吐出して紡糸することを特徴とする略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維の製造方法。

請求項8

紡糸ノズルにおける5〜9個の直線状スリット(B1)がC字形スリットの連結部の中央を通る直線に対して線対称に設けてある、請求項7の製造方法。

請求項9

紡糸ノズルから吐出した繊維に対して最大の辺部(S1)の連結部の方向より冷却風を吹き付けて、繊維に高い潜在捲縮性を付与する請求項7または8の製造方法。

請求項10

紡糸時および/または繊維の巻取り後延伸を行った後、捲縮の発現およびステープルへの切断を更に行う請求項9の製造方法。

請求項11

請求項1〜6のいずれか1項の異形断面中空繊維からなる詰め綿

請求項12

請求項1〜6のいずれか1項の異形断面中空繊維を用いてなるクッション材

技術分野

0001

本発明は異形断面中空繊維、その製造方法、該異形断面中空繊維からなる詰め綿およびクッション材に関する。より詳細には、本発明は、繊維の分離性開繊性に優れ、且つ良好な嵩高性反発弾性回復性保温性ドレープ性などの優れた諸特性を備えている略五角形横断面形状を有する、詰め綿、クッション材等の用途に特に適している異形断面中空繊維、その製造方法、および該異形断面中空繊維からなる詰め綿およびクッション材に関する。

背景技術

0002

クッション用のクッション材、人形布団などの詰め綿など用途分野では、従来、鳥類羽毛が多く使用されてきたが、天然の羽毛は、量的な制約品質の不均一、高価格などの理由によってその使用量が減少する傾向にあり、天然の羽毛の代わりに合成繊維ステープルファイバーが広く用いられるようになっている。しかし、通常の合成繊維のステープルファイバーは、嵩高性、反発弾性、回復性などの特性に劣るため、それらの特性を改良する目的で、円形の横断面形状を有する合成繊維の紡糸時に一方向から急冷したり、粘度の異なる複数の重合体サイドバイサイド型複合紡糸して、繊維に潜在捲縮性を付与した後に三次元捲縮を発現させる方法、繊維表面にシリコン樹脂などの加工処理剤を塗布する方法などが広く採用されている。

0003

ところが、例えば、一方向から急冷して常法により円形横断面の合成繊維を溶融紡糸する場合に、繊維の嵩高性、反発弾性、回復性を良くするために三次元捲縮性能を高くすると、繊維の分離性および開繊性が悪くなって集合体の形成(団塊化)が生じ易くなって、布団皮などの包皮内や型内への充填作業が行いにくくなり、しかも逆に嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの特性が低下するという欠点がある。また、繊維表面にシリコン樹脂などの加工処理剤を塗布する方法の場合も、繊維の乾燥後でも加工処理剤の粘着力が残り、それによって単繊維間接着が生じて、繊維の分離性および開繊性が悪くなったり、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などが低下するという欠点がある。

発明が解決しようとする課題

0004

したがって、本発明の目的は、繊維の分離性および開繊性が良好で、しかも嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性に優れる合成繊維、特に詰め綿やクッション材として適する合成繊維を提供することである。そして、本発明の目的は、そのような優れた諸特性を有する合成繊維を円滑に且つ確実に製造することのできる方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、そのような優れた特性を有する合成繊維からなる詰め綿およびクッション材を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

上記の目的を達成すべく本発明者らが検討を重ねた結果、合成繊維の横断面形状を、その各頂点突起部を有し、且つその中央部に中空部を有する特定の略五角形の形状とすると、繊維の分離性および開繊性が良好で、しかも嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性に優れる合成繊維が得られること、そしてその略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維は、特に詰め綿やクッション材として適していることを見出した。更に、本発明者らは、そのような優れた諸特性を有する特定の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維は、その外方および内方に特定の寸法の突出スリットを有するC字形スリットからなる紡糸ノズルから繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸することによって得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。

0006

すなわち、本発明は、略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維であって、その横断面形状が、下記の(i)〜(iii)の要件
(i) 1つの最大の辺部(S1)とそれよりも短い4つの辺部(S2,S3,S4,S5)から構成されていて、最大の辺部(S1)の一方の端部から順に辺部(S2)、辺部(S3)、辺部(S4)および辺部(S5)が該最大の辺部(S1)のもう一方の端部へと連なって中空の略五角形の形状をなしている;
(ii) 上記最大の辺部(S1)が、10〜30μmの曲率半径で繊維の内側に向かって湾曲している;および、
(iii) 上記略五角形の5つの頂点に、幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.6〜1.0である突起部をそれぞれ有している;を満足する横断面形状であることを特徴とする略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維である。

0007

そして、本発明は、繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸して略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維の製造方法であって、紡糸口金に設けた下記の要件〜を備える紡糸ノズル;
C字形スリットを有し、該C字形スリットの両端部の間にある連結部を挟んで内側に向けて2個の平行なスリット(A1,A1)をC字形スリットに連設してあり;
上記C字形スリットに対して該C字形スリットの上記連結部を挟んで5〜9個の直線状スリット(B1)を外側に向けてC字形スリットに連設してあり;
上記C字形スリットの上記連結部を挟んで該連結部の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が100°〜130°であり;そして
上記のスリット(A1)の面積をa、上記の直線状スリット(B1)の面積をbとしたときに、a/bが0.3〜0.6である;から溶融した繊維形成性熱可塑性重合体を吐出して紡糸することを特徴とする略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維の製造方法である。

0008

さらに、本発明は、上記の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維からなる詰め綿および該異形断面中空繊維を用いてなるクッション材を包含する。

0009

限定されるものではないが、本発明について図を参照して詳細に説明する。本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維は、図1の(a)〜(e)で例示するように、1つの最大の辺部(S1)とそれよりも短い4つの辺部(S2,S3,S4,S5)から構成される略五角形の横断面形状を有していて、最大辺部(S1)の一方の端部から順に辺部(S2)、辺部(S3)、辺部(S4)および辺部(S5)が該最大の辺部(S1)のもう一方の端部へと連なって中空の五角形を形成しており[上記の要件(i)]、しかも最大の辺部(S1)が、10〜30μmの曲率半径(r)で繊維の内側に向かって湾曲している[上記の要件(ii)]。

0010

すなわち、本発明の異形断面中空繊維では、10〜30μmの曲率半径(r)で繊維の内側に向かって湾曲している辺部(S1)が、辺部(S1)〜辺部(S5)のうちで最大の長さを有していることが必要であり、それによって本発明の異形断面中空繊維の製造時に冷却風を辺部(S1)の方向から吹き付けた際に、冷却風が内側に湾曲した最大の辺部(S1)に効率よく当たると共に他の辺部に冷却風が直接吹き付けられることが少なくなって、最大の辺部(S1)と他の辺部(S2)〜辺部(S5)との間に大きな内部構造の違い(例えば結晶構造配向構造などの違い)が生じ、その結果、異形断面中空繊維に高い潜在捲縮能を付与することができる。

0011

また、本発明の異形断面中空繊維では、図2で代表して示すように、各辺部の底部に接線を引いて、それらの接線の交点間の長さから、辺部(S1)の長さs1、辺部(S2)の長さs2、辺部(S3)の長さs3、辺部(S4)の長さs4および辺部(S5)の長さs5をそれぞれ求めた場合に、最大の辺部(S1)の長さs1が、残りの4つの辺部(S2)〜辺部(S5)の長さs2、s3、s4、s5の約1.3〜2.3倍になるようにするのが、異形断面中空繊維の嵩高性、反発弾性および回復性を良好なものにすることができ、望ましい。

0012

さらに、本発明の異形断面中空繊維では、辺部(S2)の長さs2と辺部(S5)の長さs5を実質的に同じにし且つ辺部(S3)の長さs3と辺部(S4)の長さs4とを実質的に同じにするのが望ましく、そのようにすることによって、異形断面中空繊維の横断面形状が、辺部(S1)の中央をほぼ垂直に通る直線X−Xを挟んで線対称図1および図2でいうと左右対称)となって、異形断面中空繊維の形状および内部構造が一層バランスのとれたものとなるので、反発弾性、回復性、耐ヘタリ性などが一層良好になる。その場合に、辺部(S2)および辺部(S5)が、辺部(S1)に対してほぼ直角になっているような横断面形状にすると、反発弾性、回復性、耐ヘタリ性に一層優れた異形断面中空繊維を得ることができ、より望ましい。

0013

また、本発明の異形断面中空繊維では、内側に湾曲した最大の辺部(S1)の曲率半径(r)が、上記した10〜30μmの範囲にあることが必要であり、該曲率半径(r)が15〜25μmであるのが好ましい。辺部(S1)の曲率半径(r)が10μm未満であると、異形断面中空繊維における中空部の割合、すなわち中空率が小さくなって、嵩高性および保温性が不十分になり、詰め綿やクッション材としての適性に欠けるものとなる。一方、辺部(S1)の曲率半径(r)が30μmを超えると異形断面中空繊維の製造時、特に潜在捲縮能を付与するために吐出された繊維をその最大の辺部(S1)の方向から冷却風を吹き付けて冷却する際に、繊維のつぶれが多発して中空率が減少し、嵩高性、保温性、ドレープ性などが低下し、詰め綿やクッション材などの用途に適さなくなる。

0014

さらに、本発明の異形断面中空繊維は、上記した(i)および(ii)の要件と共に、略五角形の5つの頂点に、幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.6〜1.0である突起部(E1,E2,E3,E4,E5)をそれぞれ有していることが必要である。ここで、本発明でいう突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)とは、図2に示すように、各突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の両側の最も低い2つの谷部(d,e)を結ぶ直線の長さを示し、また突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の高さ(H)とは各突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の頂上点(f)から該2つの谷部(d,e)を結ぶ直線に下ろした垂線の長さをいう。

0015

突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.6未満であったり、または略五角形の各頂点に突起部がない場合は、繊維の分離性、開繊性が不十分になり、且つ嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などが不良となる。一方、突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が1.0を超えると、異形断面中空繊維の最大の辺部(S1)の方向から冷却風を吹き付けて溶融紡糸を行う際に繊維が中空にならずにいわゆるパンクした状態(中空割れの状態)になって、紡糸時の工程性が不良になり、しかも嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの特性が低下する。分離性および開繊性に優れ且つ嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性に優れる略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維を良好な工程性で得るためには、異形断面中空繊維の5つの頂点における各突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)が0.7〜0.8の範囲であるのがより好ましい。

0016

略五角形の5つの頂点に存在する突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の形状や大きさ[特に幅(W)および/または高さ(H)]は、同じであってもまたは異なっていてもよいが、ほぼ同じ形状および大きさにするのが望ましい。特に、辺部(S1)の中央を通る直線X−Xを挟んで線対称の位置にある突起部(E1)と(E5)が実質的に同じ形状および大きさであり、且つ突起部(E2)と突起部(E4)とが実質的に同じ形状および大きさであるのが、バランスのとれた良好な嵩高性、反発弾性、回復性、ドレープ性などの特性を有する異形断面中空繊維が得られる点から望ましい。また、限定されるものではないが、各突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の高さ(H)は、異形断面中空繊維の最大径(突起部をも含めた最大径)の約1/5〜1/8程度にしておくのが、分離性、開繊性、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの特性に優れる異形断面中空繊維を得る上で望ましい。

0017

また、本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維では、上記した5つの頂点に突起部(E1,E2,E3,E4,E5)を設けると共に、例えば図1の(c)〜(e)に例示するように、必要に応じて、辺部(S2)〜辺部(S5)の1つまたは2つ以上に、1個または2個の突起部を更に設けてもよい。その場合に、辺部(S2)〜辺部(S5)に設ける突起部の幅および高さは、5つの頂点に設ける突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)および高さ(H)の以下とするのが、異形断面中空繊維の分離性、開繊性、嵩高性などを良好なものとする上で望ましい。また、異形断面中空繊維の各頂点、または各頂点と辺部(S2)〜辺部(S5)における突起部の数は、合計で5個〜9個であるのが、異形断面中空繊維の分離性、開繊性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などを良好に保つ上から望ましい。

0018

本発明の異形断面中空繊維の太さ(単繊維繊度)は、用途などに応じて適宜調節することができるが、一般に、約3〜60デニール程度にしておくのが好ましい。また、本発明の異形断面中空繊維の中空率(繊維の横断面積より求めた中空部の面積割合)は、通常、約8〜40%程度にしておくのが、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの点から好ましい。

0019

本発明の異形断面中空繊維を構成する繊維形成性熱可塑性重合体は、溶融紡糸によって繊維を形成し得る熱可塑性重合体であればいずれでもよく、例えば、ポリエステル系重合体ポリオレフィン系重合体ポリアミド系重合体ポリビニルアルコール系重合体ポリウレタン系重合体などを挙げることができる。それらのうちでも繊維形成性のポリエステル系重合体、ポリオレフィン系重合体などが好ましく、繊維形成性ポリエステル系重合体がより好ましい。

0020

繊維形成性ポリエステル系重合体を用いる場合は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たるジカルボン酸成分とし、これにエチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分として反応させて得られるポリエチレンテレフタレート系重合体および/またはポリブチレンテレフタレート系重合体がより好ましく用いられる。そして、ポリエチレンテレフタレート系重合体および/またはポリブチレンテレフタレート系重合体を用いた場合には、分離性、開繊性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性に優れ、詰め綿、クッション材として極めて適する異形断面中空繊維を得ることができる。

0021

その際に、ポリエチレンテレフタレート系重合体および/またはポリブチレンテレフタレート系重合体は、必要に応じて少量の(通常30モル%以下)の他のジカルボン酸成分、オキシカルボン酸成分、他のジオール成分、ポリオール成分の1種または2種以上を共重合単位として有していてもよい。その場合の他のジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体;5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)などの金属スルホネート基含有芳香族カルボン酸誘導体シュウ酸アジピン酸セバシン酸ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。また、オキシカルボン酸成分の例としては、p−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸またはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。また、他のジオール成分としては、例えば1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール;1,4−ビス(β−オキシエトキシベンゼンポリエチレングリコールポリブチルグリコールなどを挙げることができる。また、ペンタエリスリトールなどのポリオール成分などによって変性されていてもよい。

0022

また、繊維形成性熱可塑性重合体としてポリオレフィン系重合体を用いる場合は、例えばポリプロピレンポリエチレンなどを、ポリアミド系重合体を用いる場合は、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、7−ナイロン、9−ナイロン、11−ナイロンなどを挙げることができる。

0023

更に、異形断面中空繊維は、1種類の繊維形成性熱可塑性重合体からなっていても、または2種以上の繊維形成性熱可塑性重合体のブレンド物であってもよい。また、繊維形成性熱可塑性重合体は、必要に応じて、繊維の製造に際して従来から用いられている、無機微粒子芳香剤抗菌剤難燃剤消臭剤顔料艶消剤熱安定剤光安定剤制電剤などの添加剤の1種または2種以上を含有していてもよい。また、本発明の異形断面中空繊維は、必要に応じて、シリコン樹脂などのドレープ性やフェザータッチ付与剤、抗菌剤、防虫剤防黴剤、難燃剤、消臭剤などの各種の処理剤表面処理加工処理を施してあってもよい。

0024

本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維は、それ自体で良好な嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性を有しており、詰め綿、クッション材、布帛用の繊維として有効に使用することができる。しかし、本発明の異形断面中空繊維を詰め綿やクッション材として使用する場合は、異形断面中空繊維の紡糸時に紡糸ノズルから吐出してされた繊維に、その最大の辺部(S1)の方向より一方的に冷却風を吹き付けて、辺部(S1)と、その他の辺部(S2)〜辺部(S5)とで内部構造(例えば結晶構造や配向構造等)に差を生じさせると、高い潜在捲縮能が繊維に付与され、その捲縮を発現させた繊維は極めて高い嵩高性、反発弾性、回復性、保温性を有するようになり、詰め綿やクッション材として用途に一層適したものとなる。

0025

本発明の異形断面中空繊維はフィラメント繊維の形態のままで、また切断してステープルにして使用することができ、特に詰め綿やクッション材として用いる場合は、通常、約20〜60mm程度のステープル状に切断し、ステープルへの切断前または切断後、或いは布団やクッションの表皮内や型内に充填されて後で、加熱処理などを施して捲縮を発現させて使用するとよい。

0026

円形や楕円形の横断面形状を有する中空繊維の場合は、繊維に潜在捲縮能を付与するために紡糸ノズルから吐出された繊維に一方から冷却風を吹き付けると、その中空部がつぶれて、分離性、開繊性、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などが低下するが、本発明の異形断面中空繊維は、上記した(i)〜(iii)の要件を満足する特定の略五角形の横断面形状を有していることにより、繊維に高い潜在捲縮能を付与するために繊維の最大の辺部(S1)の方向から冷却風を吹き付けながら紡糸を行っても、中空部の潰れや消失、中空割れなどが生じず、分離性、開繊性、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの特性に優れる繊維を円滑に得ることができる。そして、一般に、上記した要件を備える本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維は、下記の実施例の項で説明する方法でターボオープナー開繊機開繊した後に95.0%以上の高い開繊率を有し、しかもその比容積が105cm3/g以上であって、良好な開繊性および高い嵩高性を有している。

0027

本発明の異形断面中空繊維の製法は特に制限されず、上記した要件(i)〜(iii)を備える略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維を製造し得る方法であればいずれでもよい。特に、本発明の異形断面中空繊維は、下記の要件〜を備える紡糸ノズルを設けた紡糸口金から溶融した繊維形成性熱可塑性重合体を吐出して紡糸することによって円滑に製造することができるので、本発明はそのような紡糸方法(繊維の製造方法)を本発明の範囲に包含する。

0028

そこで、本発明の製造方法について図を参照して説明する。本発明の方法では、紡糸ノズルとして、図3の(a)〜(c)で例示するように、
円環状のスリットの一部にスリット状に切り欠かれていない連結部(D)を有するC字形スリット(C)を有し、該C字形スリットの両端部の間にある連結部(D)を挟んで内側に向けて2個の平行なスリット(A1,A1)をC字形スリット(C)に連設してあり;
上記C字形スリット(C)に対してその連結部(D)を挟んで5〜9個の直線状スリット(B1)を外側に向けて連設してあり;
上記C字形スリット(C)の上記連結部(D)を挟んで該連結部(D)の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が100°〜130°であり;そして
上記のスリット(A1)の面積をa、上記の直線状スリット(B1)の面積をbとしたときに、a/bが0.3〜0.6である;という要件〜要件を備える紡糸ノズルを設けた紡糸口金から溶融した繊維形成性熱可塑性重合体を吐出して紡糸することによって、上記した(i)〜(iii)の要件を備える本発明の異形断面中空繊維を円滑に製造することができる。

0029

ここで、2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)とは、図3に示すように、該2個の直線状スリット(B1,B1)のそれぞれの幅(Bw)の中央およびC字形スリット(C)の中心を通る2つの直線のなす角度をいう。また、スリット(A1)の面積aとはC字形スリット(C)の内周から内方に突出しているスリット(A1)の部分の面積(図3斜線で示す部分の面積)を、また直線状スリット(B1)の面積bとはC字形スリット(C)の外周から外方に突出しているスリット(B1)の部分の面積(図3の斜線で示す部分の面積)をいう。

0030

より具体的には、図3の(a)の紡糸ノズルを有する紡糸口金から溶融紡糸すると略五角形の5つの頂点に突起部(E1,E2,E3,E4,E5)を有する図1の(a)の異形断面中空繊維が形成され、図3の(b)の紡糸ノズルを有する紡糸口金から溶融紡糸すると略五角形の5つの頂点に突起部(E1,E2,E3,E4,E5)を有する図1の(b)の異形断面中空繊維が形成され、また図3の(c)の紡糸ノズルを有する紡糸口金から溶融紡糸すると略五角形の5つの頂点に突起部(E1,E2,E3,E4,E5)を有すると共に辺部(S2)および辺部(S5)にも突起部を有する図1の(c)の異形断面中空繊維が形成される。

0031

図3の(a)〜(c)で例示するような紡糸ノズルから繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸する場合に、紡糸口金における紡糸ノズルが、C字形スリット(C)に対してその連結部(D)を挟んで5〜9個の直線状スリット(B1)を外側に向けて連設されていない紡糸ノズル(上記の要件を満足しない紡糸ノズル)であると、五角形の横断面形状を有し且つその5つの頂点に突起部を有する異形断面中空繊維が得られなくなる。また、連結部(D)を挟んで該連結部(D)の最も近くに対称的に設けた2個の直線状スリット(B1,B1)のなす角(θ1)が、上記の要件から外れて、100°未満であると辺部(S1)が最大の辺部とならず、一方130°よりも大きいと繊維は偏平状になって中空部が円滑に形成されなくなる。

0032

また、C字形スリット(C)の両端部の間にある連結部(D)を挟んで内側に向けて設けたスリット(A1)の面積aとC字形スリット(C)の外側に向けて設けた直線状スリット(B1)の面積bとの比(a/b)が、上記の要件から外れて0.3未満であると、異形断面中空繊維における内側に湾曲した最大の辺部(S1)の曲率半径(r)が、上記した10〜30μmの範囲にならず、30μmよりも大きくなって、異形断面中空繊維の製造時、特に繊維に高い潜在捲縮能を付与するために最大の辺部(S1)の方向からの冷却風を吹き付けた場合に、繊維のつぶれが多発して中空率が減少して、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの低下し、詰め綿やクッション材などの用途に適さなくなる。一方、上記の比(a/b)が0.6よりも大きいと、異形断面中空繊維における内側に湾曲した最大の辺部(S1)の曲率半径(r)が10μm未満になって、異形断面中空繊維における中空率が小さくなって、やはり、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの特性が劣ったものになり、詰め綿やクッション材などとしての適性に欠けたものとなる。

0033

また、最大の辺部(S1)の曲率半径(r)を10〜30μmにするためには、スリット(A1)の面積aと直線状スリット(B1)の面積bの比(a/b)を0.3〜0.6にすると共に、スリット(A1)の長さ(Ah)をC字形スリット(C)の内径の約0.45〜0.75にし、スリット(A1)の幅(Aw)をスリット(A1)の高さ(Ah)の約0.37〜0.45にするのが好ましい。

0034

更に、図3の(a)〜(c)で例示するような紡糸ノズルから繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸するに際して、略五角形の5つの頂点にある突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)を上記した0.6〜1.0の範囲にするためには、各直線状スリット(B1)の幅(BW)に対する長さ(Bh)の比(Bh/BW)を約2.5〜4.0の範囲にするのが望ましく、またC字形スリット(C)の外径(Cr)に対する各直線状スリット(B1)の幅(BW)の比(Bw/Cr)を約0.11〜0.20の範囲にするのが望ましい。

0035

また、C字形スリット(C)の外径(Cr)および幅(Cw)は、製造しようとする異形断面中空繊維の単繊維繊度や繊維の用途などに応じて調節し得るが、通常、外径(Cr)を約1.0〜1.8mm程度、および幅(Cw)を約0.15〜0.30mm程度にしておくのが、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの特性に優れた異形断面中空繊維を得る上で好ましい。更に、C字形スリット(C)の連結部(D)の幅(Dw)は約0.15〜0.25mm程度にしておくのが、パンク、中空割れなどのない異形断面中空繊維を得る上で好ましい。

0036

また、上記した要件(i)〜(iii)を満足する本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維を得るためには、C字形スリット(C)の中心と連結部(D)の中央を通る直線X−XがC字形スリット(C)の外周と交わる箇所[C字形スリット(C)における連結部(D)の反対側]に1個の直線状スリット(B1)を設けると共に、該直線X−Xに対して線対称に(図3でいうと直線X−Xに対して左右に対称に)、それぞれ2〜4個の同じ数の直線状スリット(B1)を設けるのが好ましい。

0037

また、図3の(a)〜(c)で例示した紡糸ノズルではC字型スリット(C)がほぼ真円形をなしているが、それに限定されず、多少異なった形状であってもよく、紡糸ノズルの各部の寸法などが上記した要件〜を満足する限りは、例えば連結部(D)を挟んで対称的に縦長の円形(楕円形)の形状とした場合にも、上記した(i)〜(iii)の要件を満足する異形断面中空繊維を得ることができる。

0038

上記した紡糸ノズルを有する紡糸口金から繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸して本発明の異形断面中空繊維を製造するに当たっては、使用する重合体の種類などに適した紡糸温度によって通常の溶融紡糸方法が採用できる。紡糸口金より吐出された繊維はその全周面より冷却してもよいが、上記したように、紡糸ノズルにおける連結部(D)の方向[異形断面中空繊維における最大の辺部(S1)の方向]から冷却風を吹き付けて、吐出された異形断面中空繊維の最大の辺部(S1)側から主に冷却するようにすると、該最大の辺部(S1)とその他の辺部(S2)〜辺部(S5)とでその内部構造(結晶構造や配向状態等)に大きな差が生じて、潜在捲縮能のより高い異形断面中空繊維を得ることができる。その場合の冷却風の温度や吹き付け速度は、口金から吐出された繊維の温度、紡糸引き取り速度、繊維の単繊維繊度、繊維を構成する重合体の種類などに応じて調節できる。

0039

例えば、繊維形成性熱可塑性重合体としてポリエチレンテレフタレートを用いて、溶融温度270〜300℃、紡糸引き取り速度600〜1500m/分で紡糸して、単繊維繊度が3〜60デニールの略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維を製造する場合は、温度20〜30℃の冷却風を約1.0〜8.0m/秒の速度で異形断面中空繊維の最大の辺部(S1)側から吹き付けると、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの特性に極めて優れた本発明の異形断面中空繊維を得ることができる。また、本発明の方法によってポリエチレンテレフタレートなどの異形断面中空繊維を製造するに当たっては、勿論、上記よりも高速で紡糸しても何ら差し支えない。

0040

また、紡糸時および/または繊維を一旦巻取った後に延伸処理を施すと、より一層高い潜在捲縮能が異形断面中空繊維に付与される。その場合の延伸方法延伸条件は、従来から使用されている既知の方法およびそれぞれの重合体に適した延伸条件が採用でき、例えば紡糸後の延伸処理は、水浴延伸熱風延伸、加熱板を用いる接触延伸、またはそれ以外の方法で行うことができる。そのうちでも、水浴延伸が繊維物性の点から望ましい。潜在捲縮能を有する異形断面中空繊維の場合は、捲縮を発現させることによって、一層高い嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などを得ることができるが、捲縮の発現は、繊維の用途や使用態様などに応じて、フィラメント状のままで行っても、ステープルなどに切断した後に行っても、或いは繊維を表皮や型内などに充填した後に行うことができる。捲縮の発現に際しては、温風加熱、ヒーター等による間接加熱液体加熱等による方法などが採用できる。

0041

上記により製造された異形断面中空繊維は、そのまま長繊維状(フィラメント状)で布帛の製造などに用いても、またステープル状に切断して用いてもよく、ステープル状にして詰め綿やクッション材として使用すると、その良好な分離性、開繊性、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性などの特性を充分に活かすことができる。そして、本発明の異形断面中空繊維をステープル状にして詰め綿やクッション材として用いる場合は、捲縮の発現を、上記したように表皮や型内に充填させる前に行っても、または充填した後に行ってもよい。

0042

以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は何らそれにより限定されない。以下の例においては、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)の極限粘度[η]、繊維の開繊率および比容積を次のようにして求めた。

0043

《ポリエステル樹脂の極限粘度[η]》1,1,2,2−テトラクロロエタンフェノール混合溶媒(1:1)10ccにポリエステル樹脂試料0.1000gを溶解し、ウッベロー粘度計を使用して粘度を測定し、下記の式から極限粘度[η]を求めた。

0044

極限粘度[η]=(1/4)×ηsp+(3/4)×ln(ηsp+1)
式中、ηsp:比粘度

0045

《繊維の開繊率》ターボオープナー型開繊機を用いて繊維の開繊処理を行って、下記の式により開繊率(%)を求めた。

0046

開繊率(%)={(開繊後の開繊部の原綿重量)/(未開繊時の原綿重量)}×100

0047

《繊維の比容積》下記の式により繊維の比容積を求めた。

0048

繊維の比容積(cm3/g)=(S×H)/W
式中、H:初期荷重(0.5g/cm2)を加えたときの嵩(cm)
W:試験片の重量(g)
S:試験片の荷重を加える面の面積(cm2)

0049

また、下記の実施例または比較例で得られた繊維(ステープルファイバー)を用いて、クッションまたは掛布団を製造し、その嵩高性、反発弾性および回復性を下記の表1に示す評価基準にしたがって評価した。

0050

クッションまたは掛布団の特性の評価基準

嵩高性:
◎:比容積が115cm3/g以上であり、極めて良好
○:比容積が100cm3/g以上115cm3/g未満であり、良好
△:比容積が85cm3/g以上100cm3/g未満であり、不良
×:比容積が85cm3/g未満であり、極めて不良
反発弾性:
◎:圧縮率が60%以上であり、極めて良好
○:圧縮率が50%以上60%未満であり、良好
△:圧縮率が40%以上50%未満であり、不良
×:圧縮率が40%未満であり、極めて不良
回復性:
◎:回復率が95%以上であり、極めて良好
○:回復率が90%以上95%未満であり、良好
△:回復率が85%以上90%未満であり、不良
×:回復率が85%であり、極めて不良

0051

《実施例 1》
(1)極限粘度[η]が0.60のポリエチレンテレフタレート(PET)を図3の(a)に示す直線状スリット(B1)を5個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.25mm、Aw=0.15mm、Bh=0.6mm、Bw=0.2mm、Dw=0.2mm、θ1=120°、θ2=θ3=60°、a=0.075mm2、b=0.240mm2、a/b=0.313)を186個穿った紡糸口金から、温度280℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.2g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を2.8m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト457、引き取り速度600mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率4.75)、捲縮を付与(捲縮の発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度9.05デニールの略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維ステープルを製造した。

0052

(2) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維の横断面形状は、図1の(a)に示すような形状であって、中空の略五角形状で、最大の辺部(S1)の曲率半径(r)は18.7μm、略五角形の5つの頂点における突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.65〜0.71であった。また、この異形断面中空繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は98.7%、比容積は123.8cm3/gであった。

0053

(3) 上記で得られた異形断面中空繊維ステープルを縦×横=45cm×45cmの通気性のクッション用外皮内に0.15g/cm2の目付に空気で吹き込んだ。その結果得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも極めて良好であった。また、クッションの製造に際しては、クッション用外皮中への繊維の吹き込み時に、異形断面中空繊維ステープルが分離性、開繊性に優れているために、繊維間のもつれや団塊化などが全く生じず、繊維を良好な作業性で極めて円滑に外皮内に吹き込むことができた。

0054

《実施例 2》
(1)極限粘度[η]が0.60のPETを図3の(b)に示す直線状スリット(B1)を5個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.25mm、Aw=0.15mm、Bh=0.6mm、Bw=0.2mm、Dw=0.2mm、θ1=100°、θ2=θ3=65°、a=0.075mm2、b=0.240mm2、a/b=0.313)を186個穿った紡糸口金から、温度280℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.2g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を7.0m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト457、引き取り速度600mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率3.56)、捲縮を付与(発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度12.03デニールの略五角形の異形断面中空繊維ステープルを製造した。

0055

(2) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維の横断面形状は、図1の(b)で示すような形状であって、中空の略五角形状であり、最大の辺部(S1)の曲率半径(r)は10.9μm、略五角形の5つの頂点における突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.93〜0.97であった。また、この異形断面中空繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は98.2%、比容積は126.4cm3/gであった。

0056

(3) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造した。得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも極めて良好であった。また、クッションの製造に際しては、異形断面中空繊維ステープルの良好な分離性および開繊性によって、クッション用外皮中への繊維の吹き込み時に、繊維塊などの形成がなく、吹き込み作業を極めて円滑に行うことができた。

0057

《実施例 3》
(1)極限粘度[η]が0.63のPETを図3の(c)に示す直線状スリット(B1)を7個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.35mm、Aw=0.15mm、Bh=0.6mm、Bw=0.2mm、Dw=0.2mm、θ1=130°、θ4=θ5=θ6=θ7=30°、a=0.053mm2、b=0.092mm2、a/b=0.576)を186個穿った紡糸口金から、温度295℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.4g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を1.3m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト730、引き取り速度900mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率4.94)、捲縮を付与(発現)した後、シリコン樹脂系油剤を付与し、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度6.31デニールの略五角形の異形断面中空繊維ステープルを製造した。

0058

(2) 上記(1)で得られた略五角形の異形断面中空繊維の横断面形状は、図1の(c)に示すような形状であって、最大の辺部(S1)の曲率半径(r)は25.9μm、略五角形の5つの頂点における突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.82〜0.91であった。また、この異形断面中空繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は99.1%、比容積は136.2cm3/gであった。
(3) 上記で得られた異形断面中空繊維ステープルを掛布団用の外皮中にg/cm3の嵩密度で充填して掛布団を製造した。得られた掛布団の嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すように極めて良好であった。また、この掛布団は保温性およびドレープ性にも優れていた。

0059

《比較例 1》
(1)極限粘度[η]が0.64で二酸化チタン0.5重量%を含有するPETを図4の(a)に示すC字形スリット(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Dw=0.2mm)を248個穿った紡糸口金から、温度290℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.1g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を1.2m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト346、引き取り速度1100mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率2.83)、捲縮を付与(発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度7.87デニールの中空繊維ステープルを製造した。

0060

(2) 上記(1)で得られた中空繊維の横断面形状は、その大半が図5の(a)で示すような円形中空横断面形状を有していたが、約25パーセントの割合で図5の(a')に示すような偏平化された中空横断面形状の繊維が含まれていた。得られた中空ステープルの開繊率は92.6%、比容積は85.4cm3/gであり、上記の実施例1〜3で得られた略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれも低く、劣っていた。

0061

(3) 上記(1)で得られた中空繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも劣っていた。

0062

《比較例 2》
(1)極限粘度[η]が0.60のPETを図4の(b)に示す直線状スリット(B1)を5個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.17mm、Aw=0.17mm、Bh=0.18mm、Bw=0.2mm、Dw=0.2mm、θ1=120°、θ2=θ3=60°、a=0.058mm2、b=0.072mm2、a/b=0.806)を186個穿った紡糸口金から、温度280℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.2g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を2.0m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト532、引き取り速度600mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率5.43)、捲縮を付与(発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度7.97デニールの異形断面繊維ステープルを製造した。

0063

(2) 上記(1)で得られた異形断面繊維の横断面形状は、図5の(b)に示すような切れ目のある形状であって閉じた中空形状になっておらず、また5つの突起部の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.79〜1.13であった。また、この異形断面繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は97.3%、比容積は87.1cm3/gであり、上記の実施例1〜3で得られた略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれもが低く、劣っていた。また、上記(1)で得られた異形断面繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも劣っていた。

0064

《比較例 3》
(1)極限粘度[η]が0.62のPETを図4の(c)に示す直線状スリット(B1)を11個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.25mm、Aw=0.15mm、Bh=0.6mm、Bw=0.2mm、Dw=0.2mm、θ1=90°、a=0.075mm2、b=0.240mm2、a/b=0.313)を186個穿った紡糸口金から、温度285℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.2g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を2.0m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト648、引き取り速度600mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率5.23)、捲縮を付与(発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度8.21デニールの異形断面中空繊維ステープル製造した。

0065

(2) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維の横断面形状は、図5の(c)に示すような略五角形の異形断面中空形状であって、最大の辺部の曲率半径は7.4μm、5つの頂点における5つの突起部(E1,E2,E3,E4,E5)の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.51〜0.54であった。また、この異形断面繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は92.9%、比容積は86.8cm3/gであり、上記の実施例1〜3で得られた本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれも低く、劣っていた。また、上記(1)で得られた異形断面繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも劣っていた。

0066

《比較例 4》
(1) C字形スリット(C)の外側に向かって配置する直線状スリット(B1)の数を4個とし、該直線状スリット(B1)4個をC字形スリット(C)の外周に沿ってほぼ等間隔で配置した以外は、実施例1で用いた紡糸ノズルと同じ形状および寸法を有する紡糸ノズルを186個穿った口金を用いて、実施例1と同様にして溶融紡糸(紡糸ドラフト418)し、延伸、捲縮付与、乾燥および切断を行って、異形断面中空繊維ステープルを製造したところ、この繊維の横断面形状は略四角形の中空形状であった。
(2) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維ステープルの開繊率は93.7%、比容積は99.6cm3/gであり、上記の比較例1〜3のステープルに比べて開繊率および比容積が多少高かったものの、実施例1〜3で得られた本発明の略五角形の横断面形状を有する異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれもが低く、劣っていた。また、上記(1)で得られた異形断面繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すように充分に満足のゆくものではなかった。

0067

《比較例 5》
(1) C字形スリット(C)の連結部(D)を挟む2つの直線状スリット(B1)のなす角(θ1)が150°である以外は実施例1におけるのと同じ形状および寸法を有する紡糸ノズルを186個穿った口金を用いて、実施例1と同様にして溶融紡糸、延伸、捲縮付与、乾燥および切断を行って、図1の(a)と類似した横断面形状を有する略五角形の異形断面中空繊維ステープル(単繊維繊度8.18デニール)を製造した。この繊維における最大の辺部(S1)の曲率半径は35〜50μmであって、得られた繊維の約20〜30%においてその中空部が潰れていて中空率が大幅に減少していた。
(2) 上記(1)で得られた異形断面中空繊維ステープルの開繊率は92.9%、比容積は91.8cm3/gであり、実施例1〜3で得られた略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれもが低く、劣っていた。
また、上記(1)で得られた異形断面繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれもが劣ったものであった。

0068

《比較例 6》
(1)極限粘度[η]が0.63のPETを図4の(d)に示す直線状スリット(B1)を7個有する紡糸ノズル(Cr=1.4mm、Cw=0.2mm、Ah=0.10mm、Aw=0.13mm、Bh=0.38mm、Bw=0.14mm、Dw=0.2mm、θ1=130°、θ4=θ5=θ6=θ7=30°、a=0.026mm2、b=0.106mm2、a/b=0.245)を186個穿った紡糸口金から、温度280℃、1紡糸ノズル当たりの吐出量2.2g/分の割合で溶融紡糸し、紡糸口金直下4〜24cmのところで紡糸ノズルの連結部(D)の方向より24℃の冷却風を1.3m/秒の風速で吹き付け、紡糸ドラフト698、引き取り速度900mm/分で紡糸して原糸を製造した。得られた紡糸原糸を収束して、常法にしたがって温度92℃の水浴中で延伸し(延伸倍率7.04)、捲縮を付与(発現)した後、乾燥、切断して、繊維長32mm、単繊維繊度6.09デニールの異形断面繊維ステープルを製造した。

0069

(2) 上記(1)で得られた異形断面繊維の横断面形状は、図5の(d)に示すような切れ目のある形状であって閉じた中空形状を有しておらず、また7つの突起部の幅(W)に対する高さ(H)の比(H/W)は0.83〜1.18であった。また、この異形断面繊維ステープルの開繊率および比容積を上記した方法で測定したところ、開繊率は91.0%、比容積は88.8cm3/gであり、上記の実施例1〜3で得られた略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維に比べて、開繊率および比容積のいずれも低く、劣っていた。また、上記(1)で得られた異形断面繊維ステープルを用いて、実施例1の(3)と同様にして、吹き込み成形を行ってクッションを製造し、得られたクッションの嵩高性、反発弾性および回復性を上記した方法で評価したところ、下記の表2に示すようにいずれも劣っていた。

0070

発明の効果

0071

上記の(i)〜(iii)の要件を備える略五角形の横断面形状を有する本発明の異形断面中空繊維は、嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性に極めて優れている。そして、本発明の異形断面中空繊維は、分離性および開繊性にも優れていて繊維塊の形成がないので、詰め綿やクッション材などとして使用した場合に、空気吹き込みやその他の手段によって、外皮や型内に、極めて良好な作業性で円滑に且つ均一になく充填することができ、上記した良好な嵩高性、反発弾性、回復性、保温性、ドレープ性などの諸特性と相俟って、極めて優れた特性を有する布団類縫いぐるみ製品、クッションなどの種々の製品を製造することができる。また、上記した〜の要件を備える紡糸ノズルを設けた紡糸口金を用いて繊維形成性熱可塑性重合体を溶融紡糸する本発明の紡糸方法による場合は、上記した優れた諸特性を有する略五角形の異形断面中空繊維を極めて円滑に製造することができる。そして、本発明の紡糸方法を行うに当たって、特に、紡糸ノズルから吐出された繊維をその最大の辺部(S1)の方向[紡糸ノズルの連結部(D)の方向]から冷却風を吹き付けながら紡糸を行うと、該最大の辺部(S1)とそれ以外の辺部とにおける内部構造に差異を生じさせて、潜在捲縮能の高い異形断面中空繊維を得ることができる。

図面の簡単な説明

0072

図1本発明の異形断面中空繊維の横断面形状の例を示す図である。
図2本発明の異形断面中空繊維の横断面における各部の内容、採寸方法などを示す図である。
図3本発明の異形断面中空繊維を製造するのに用いられる紡糸口金の紡糸ノズルの形状の例を示す図である。
図4比較例1で使用した紡糸口金における紡糸ノズルの形状を示す図である。
図5比較例1、2、3および6で得られたそれぞれの繊維の横断面形状を示す図である。

--

0073

A1 C字形スリット(C)の連結部(D)を挟んで内側に連設したスリット
B1 C字形スリット(C)に外側に向けて連設した直線状スリット
C紡糸ノズルにおけるC字形スリット
D C字形スリットの両端部の間の連結部
E1異形断面中空繊維の頂点にある突起部
E2 異形断面中空繊維の頂点にある突起部
E3 異形断面中空繊維の頂点にある突起部
E4 異形断面中空繊維の頂点にある突起部
E5 異形断面中空繊維の頂点にある突起部
S1 異形断面中空繊維の最大の辺部
S2 異形断面中空繊維の辺部
S3 異形断面中空繊維の辺部
S4 異形断面中空繊維の辺部
S5 異形断面中空繊維の辺部

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