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※この項目の情報は公開日時点(1996年9月13日)のものです。
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目的
構成
概要
背景
尿比重を直接に測定する方法として現在一般的に行われている方法には、尿比重計、ピクノメーター、屈折計などの装置の使用がある。これらの装置は、ほぼ必要な精度が得られているが、それらの装置は精度を保持するために、目盛りの校正、器具の洗浄管理を維持などのメンテナンスが必要であり、時間も手間もかかり、数多くの不便さがある。
また、測定時において、尿量が一定以上必要であり、不足する場合も生じる。さらに液面の気泡や、毛細管現象による目盛りの読み取りの困難さもある。そして、これらの問題を解決したものとして、乾式の試験紙・試験片タイプの尿比重測定用の乾式試験片があり、汎用されつつある。この試験片を尿中に浸漬し、発色した色を比色表と比較する”dip and read”法で手軽に測定できる上に、他の尿検査項目、例えばグルコース、ケトン体、蛋白質、ヘモグロビン、白血球、ビリルビン、ウロビリノーゲン、pH、アスコルビン酸等の試験片と組み合わせて、各項目を同時に測定することができるので非常に便利である。
試験片に担持させる試薬組成物としては、特開昭55−101047号公報に見られるごとき、従来メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合物を水酸化ナトリウムで部分中和した弱電解性ポリマーにpH指示薬を組合せたものが一般的であった。このタイプのものは、試験片と尿検体中へ浸漬した場合、ポリマー酸基のH+が尿中のカチオン(Na+)とイオン交換して遊離するからpHが低下し、それがpH指示薬の色の移動となって測定される。
また近時、色調移動の感度と精度を改良する手段として、特開平4−315049号公報、特開平6−294790公報にみられるごとき、試薬組成物ならびにその含浸試験具が提示されてきた。これらの方法は、強電解性ポリマーアニオンと解離型色素カチオンとのイオン会合(結合)が検液のpHに関係なく塩類(NaCl)の存在に影響を受け、Na+量に対応した色調移動を生じることに立脚している。
概要
従来の原理とは全く異なり、比重値1.000〜1.040の尿の比重を目視的に半定量測定でき、或は分光反射率計により半定量できる、新規な原理に基づいた尿比重測定用乾式試験片を作製する。
尿中の蛋白質を測定する方法である『蛋白誤差法』を利用する。蛋白質と緩衝剤とpH指示薬の存在下、尿中の塩素イオンとpH指示薬との競争反応を原理とし、それらを組み込んだ尿比重測定用乾式試験片である。
目的
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
尿比重を直接に測定する方法として現在一般的に行われている方法には、尿比重計、ピクノメーター、屈折計などの装置の使用がある。これらの装置は、ほぼ必要な精度が得られているが、それらの装置は精度を保持するために、目盛りの校正、器具の洗浄管理を維持などのメンテナンスが必要であり、時間も手間もかかり、数多くの不便さがある。
0003
また、測定時において、尿量が一定以上必要であり、不足する場合も生じる。さらに液面の気泡や、毛細管現象による目盛りの読み取りの困難さもある。そして、これらの問題を解決したものとして、乾式の試験紙・試験片タイプの尿比重測定用の乾式試験片があり、汎用されつつある。この試験片を尿中に浸漬し、発色した色を比色表と比較する”dip and read”法で手軽に測定できる上に、他の尿検査項目、例えばグルコース、ケトン体、蛋白質、ヘモグロビン、白血球、ビリルビン、ウロビリノーゲン、pH、アスコルビン酸等の試験片と組み合わせて、各項目を同時に測定することができるので非常に便利である。
0004
試験片に担持させる試薬組成物としては、特開昭55−101047号公報に見られるごとき、従来メチルビニルエーテルと無水マレイン酸の共重合物を水酸化ナトリウムで部分中和した弱電解性ポリマーにpH指示薬を組合せたものが一般的であった。このタイプのものは、試験片と尿検体中へ浸漬した場合、ポリマー酸基のH+が尿中のカチオン(Na+)とイオン交換して遊離するからpHが低下し、それがpH指示薬の色の移動となって測定される。
0005
また近時、色調移動の感度と精度を改良する手段として、特開平4−315049号公報、特開平6−294790公報にみられるごとき、試薬組成物ならびにその含浸試験具が提示されてきた。これらの方法は、強電解性ポリマーアニオンと解離型色素カチオンとのイオン会合(結合)が検液のpHに関係なく塩類(NaCl)の存在に影響を受け、Na+量に対応した色調移動を生じることに立脚している。
発明が解決しようとする課題
0006
尿比重測定用試験片は“dip and read” 方式の簡便な手段であり、臨床段階におけるスクリーニング手段として、実地医療に不可欠である。しかし、実状は感度、精度においてさらに優れた斬新的な手段の開発が常に要請されている。本発明者は鋭意研究を進めてきた一つの成果として、従来の測定原理とは全く異なる新規な原理により、優れた測定性能を発揮する尿比重測定片の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
発明の開示
0007
本発明は、蛋白質、緩衝剤およびpH指示薬を含有する含浸液を多孔性マトリックスに吸液させ、乾燥させて作製する尿比重測定用試験片である。この場合、好適には、蛋白質が、アルブミン、グロブリン、ゼラチンまたはカゼインから選ばれるか、またはこれらの混合物であること、含浸液中の蛋白質、緩衝剤およびpH指示薬の濃度がそれぞれ0.1〜3%(w/v)、0.05〜2M(モル/l)、および0.1〜2M(モル/l)であること、さらに多孔性マトリックスとしては濾紙が好適であることを提示するものである。
0008
本発明は、尿中の蛋白質を測定する方法として一般的に用いられている『蛋白誤差法』が塩濃度の影響を受けることを逆に利用したものである。すなわち蛋白質、緩衝剤、pH指示薬の存在下、尿中の陰イオンとpH指示薬との競争反応を原理とする尿比重測定用乾式試験片が本発明である。尿分析の分野において、蛋白質を『蛋白誤差法』を利用して測定する方法は既に公知である。また、この『蛋白誤差法』が塩濃度、とりわけ陰イオン(特に塩素イオン)濃度によって影響を受けることもまた知られている。これらについては例えば「分析化学」Vol.42(1993)497〜503頁に示されている。
0009
『蛋白誤差法』では、蛋白質の正荷電したアミノ基と負荷電したカルボキシル基による電荷的平衡状態と、pH指示薬における解離型と非解離型による電荷的平衡状態とがあり、その両者の結合により呈色が見られる。つまり、蛋白質は、pHが等電点では、電荷的中性状態であり、正荷電したアミノ基と負荷電したカルボキシル基が同数存在する状態にある。pHが等電点以下では、正荷電したアミノ基が増え、全体として正に荷電する。逆にpHが等電点以上では、負荷電したカルボキシル基が増え、蛋白質は、全体として負に荷電する。蛋白質は、複数の反応部位を持ち、解離型陰イオンpH指示薬は、正荷電したアミノ基と結合する。また、尿中の共存陰イオンも、この正荷電したアミノ基と結合する。すなわち、蛋白質の正荷電したアミノ基に、尿中陰イオンと解離型陰イオンpH指示薬が競争的に反応する。
0010
このように尿蛋白の測定法である『蛋白誤差法』が塩濃度の影響を受けることをふまえて、これが尿比重の測定法として応用できるかを検討したところ、意外にも非常に良好な成績が得られた。本発明は、この『蛋白誤差法』における塩濃度の影響を利用して、尿比重測定用の試験片を作製しようとするものであ。比重測定においては、好ましくは蛋白質の正荷電したアミノ基と解離型陰イオンpH指示薬が結合しやすく、また離れやすい状況を設定する。そのためにはpH、蛋白質の等電点・量・構造・置換基の電荷・分子サイズ、pH指示薬の量・構造・置換基の電荷・分子サイズなどの適正化する。
0011
含浸液の作製方法、含浸液の含浸方法、含浸のための多孔性マトリックスの選択などは従来行われている方法で構わない。すなわち、試薬組成物の溶剤または分散媒(以下、含浸液用溶媒と略記)としては、水または/およびアルコール類例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等を使用することができる。また多孔性マトリックスとしては、生理的に、かつ含浸液用溶媒液に不活性な材質で、重量当たりの表面積が大きい試薬担持性能を有するものであればいずれも使用することができる。これらの例示としては、天然および合成になる紙状態、布状態、連続気泡体、粒状体、粒状等各種のものがあるが、特に、取り扱い易さ、強度、純度の点から濾紙が好適である。
0012
使用できる蛋白質の種類としては、アルブミン、α−グロブリン、β−グロブリン、γ−グロブリン、ゼラチン、カゼインなどがあるが、アルブミン、γ−グロブリンが好適である。蛋白質濃度としては、含浸液状態で0.1〜3%(w/v)が好ましい。使用できる緩衝液の種類としてはクエン酸、リン酸が好適であり、濃度としては含浸液状態で0.05〜2M(モル/1)が好ましい。また、緩衝液のpHは、蛋白質の等電点以下であればよく、例えば、蛋白質としてアルブミンを用いた場合、等電点は、4.9であるので、pH3〜4.5が好ましい。
0013
使用できるpH指示薬としては、蛋白質の等電点以下を変色域とするものであれば使用することができ、ブロムフェノールブルー、ブロムクレゾールグリーン、ブロムクレゾールパープル、コンゴーレッド、テトラブロムフェノールブルー、ブロムキシレノールブルー、テトラブロムフェノールフタレイン、メチルオレンジなどがあげられ、濃度は、含浸液状態で0.1〜2M(モル/1)が好ましい。
0014
本発明の乾式試験片においては蛋白質、緩衝剤、pH指示薬をマトリックス層中に含浸・乾燥させると、第1の変色が起こる。pH一定のもと、pH指示薬に存在する負電荷またはラジカルが蛋白質の正電荷に近づき、解離型のpH指示薬が生じることにより、pH指示薬と蛋白質が結合するためと考えられる。そして、この状態で保存する。
0015
塩を含んだ尿と反応させる場合には、蛋白質と結合しているpH指示薬と陰イオン(尿ならば特に塩素イオン)とが競合することにより、第2の変色が起こる。これは、陰イオン濃度が高くなれば、pH指示薬が非解離型として蛋白質より遊離するためと思われる。そしてこの変色を測定する。以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
0016
含浸液の調製
(処方)
ブロムクレゾールグリーン20mg
エタノール15ml
0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.5) 85ml
牛血精アルブミン100mg
上記の混合物による含浸液を調製した後、15×15cmの濾紙(ワットマン社製:3MMchr)に含浸し、50℃にて30分間乾燥する。これを5×5mmに裁断し、5×60mmの白色ポリエチレンテレフタレートプレートの先端に両面テープを用いて貼り付けて、試験片とした。本発明の尿比重測定用試験片の有用性を示すために上記のようにして作製した試験片を用いて試験を行った。
試験方法
比重を1.000、1.010、1.020、1.030の各レベルに調節した塩化ナトリウム水溶液を調製し、試料とした。これに先に作製した試験片を2秒間浸漬し、引き上げた試験片の呈色を目視で観察し、同時に色差計((株)日本電色工業、Σ−90)で620nmでの反射率を測定した。
試験結果
試験結果を表1に示す。
0017
ID=000002HE=045 WI=104 LX=0530 LY=0300
表1の比重値と色差計による反射率との関係を表2に示す。供試水溶液の比重と反射率は、良好な比例関係にあることが判る。
0018
発明の効果
0019
本発明は従来の原理とは全く異なる原理に基づいており、本発明によれば良好な測定結果を示す新しい尿比重測定試験紙が得られる。
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