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技術 EL素子およびその製造方法

出願人 株式会社デンソー
発明者 石原元井ノ口和宏伊藤信衛服部正
出願日 1995年9月12日 (25年3ヶ月経過) 出願番号 1995-260894
公開日 1996年9月3日 (24年3ヶ月経過) 公開番号 1996-227793
状態 特許登録済
技術分野 電場発光光源(EL) エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード 同等化 異種層 カバーレ 酸化物誘電体層 微小破壊 成膜炉内 破壊点 両誘電体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年9月3日)のものです。
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図面 (7)

課題

多色EL素子発光効率及び発光バランスを向上させること。

解決手段

一発光層15a-第二発光層15b 間に形成された発光層隔離用誘電体層14a は各発光層間の段差を無くし破壊発生時に破壊が隣接する発光層に及ぶことを防止。発光層15a 以外の発光層の下に形成された発光開始電圧調整用誘電体層14b は発光層15b に対する発光開始電圧を発光層15a の発光開始電圧に略同等化。発光層15a 形成領域に対応する第二電極上の赤色フィルタ18は色純度及び輝度バランスを調整。誘電体層14a は発光クロストーク及び色純度悪化を防止。発光層15a をパターン形成しその上に誘電体層14を形成し発光層15a の非形成領域に発光層15b を埋め込むように形成後、ホトリソグラフィ法を用いずに一度に不要な誘電体層と発光層15b を引き剥がし可能。容易に各発光層を誘電体層14a で分離でき発光層15a 以外の発光層に誘電体層14b を重ねた構成が可能。

概要

背景

従来、EL素子を用いた多色発光をさせる素子構造としては、発光色の異なった発光層を、絶縁層間に平面的に配列したものが知られている。このような異なる発光層を有するものにおいては、各発光層発光開始電圧が異なるため、その発光開始電圧を同じにするべく、対策が行われている。また、異なる発光層を平面的に配列した構造においては、発光層相互間のクロストーク光を回避するべく、対策が行われている。前者の発光開始電圧を同じにするものとして、例えば実開平5−11392号公報に開示された構造のものがある。これは、マンガンを含む硫化亜鉛母材とした第一発光層と、希土類元素を含む硫化亜鉛を母材とした第二発光層とを平面的に互いに隣接して配置し、かつ第一発光層の発光開始電圧が第二発光層の発光開始電圧に比較して低いため、該第一発光層と上記絶縁層との間に発光開始電圧調整用誘電体層を配置した構造である。後者のクロストーク光を回避するものとして、例えば特開平4−39894号公報に開示された構造のものがある。これは、異なる発光層の間に光吸収材料から成る遮光膜を形成した構造である。

概要

多色EL素子の発光効率及び発光バランスを向上させること。

第一発光層15a-第二発光層15b 間に形成された発光層隔離用誘電体層14a は各発光層間の段差を無くし破壊発生時に破壊が隣接する発光層に及ぶことを防止。発光層15a 以外の発光層の下に形成された発光開始電圧調整用誘電体層14b は発光層15b に対する発光開始電圧を発光層15a の発光開始電圧に略同等化。発光層15a 形成領域に対応する第二電極上の赤色フィルタ18は色純度及び輝度バランスを調整。誘電体層14a は発光クロストーク及び色純度悪化を防止。発光層15a をパターン形成しその上に誘電体層14を形成し発光層15a の非形成領域に発光層15b を埋め込むように形成後、ホトリソグラフィ法を用いずに一度に不要な誘電体層と発光層15b を引き剥がし可能。容易に各発光層を誘電体層14a で分離でき発光層15a 以外の発光層に誘電体層14b を重ねた構成が可能。

目的

しかし、従来のものでは、発光開始電圧調整とクロストーク光回避とを同時に達成する効果的な手段は開示されていない。本発明は、上記手段を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

絶縁性基板上に第一電極、第一絶縁層発光層、第二絶縁層、および第二電極を、少なくとも光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて順次積層し形成し、前記発光層を、発光色の異なる少なくとも二種類の発光層として平面的に配列した多色表示EL素子において、前記少なくとも二種類の発光層が各々分離して形成され、前記各発光層間に発光層隔離用誘電体層を有すると共に、前記各発光層の内の一方の発光層の光取り出し側またはその反光取り出し側に、選択的に形成された発光開始電圧調整用誘電体層を有し、前記発光層隔離用誘電体層と前記発光開始電圧調整用誘電体層とを同一材料で構成すると共に、該両誘電体層の光の屈折率を、前記各発光層の光の屈折率よりも小さく設定したことを特徴とするEL素子。

請求項2

前記発光開始電圧調整用誘電体層の誘電率が、これが光取り出し側またはその反対側に形成された、前記一方の発光層の誘電率より小さいことを特徴とする請求項1に記載のEL素子。

請求項3

前記一方の発光層が、他方の発光層と同一厚さであると、該他方の発光層の発光開始電圧よりも低い発光開始電圧となり、かつ該他方の発光層の発光輝度よりも高い発光輝度となることを特徴とする請求項2に記載のEL素子。

請求項4

前記一方の発光層が、マンガンを含む硫化亜鉛であり、前記他方の発光層が、テルビウムを含む硫化亜鉛であることを特徴とする請求項3に記載のEL素子。

請求項5

前記発光開始電圧調整用誘電体層の誘電率が、これが光取り出し側またはその反対側に形成された、前記一方の発光層の誘電率より大きいことを特徴とする請求項1に記載のEL素子。

請求項6

前記一方の発光層が、他方の発光層と同一厚さであると、該他方の発光層の発光開始電圧よりも高い発光開始電圧となり、かつ該他方の発光層の発光輝度よりも低い発光輝度となることを特徴とする請求項5に記載のEL素子。

請求項7

前記一方の発光層が、テルビウムを含む硫化亜鉛であり、前記他方の発光層が、マンガンを含む硫化亜鉛であることを特徴とする請求項6に記載のEL素子。

請求項8

前記他方の発光層に対応する位置における前記第二電極の上方に、特定波長減衰させる赤色フィルタを形成したことを特徴とする請求項7に記載のEL素子。

請求項9

前記一方の発光層と、その光取り出し側またはその反対側に形成された前記発光開始電圧調整用誘電体層との合算の膜厚が、前記他方の発光層の膜厚と略同一であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のEL素子。

請求項10

前記発光開始電圧調整用誘電体層の膜厚が50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のEL素子。

請求項11

前記発光開始電圧調整用誘電体層および前記発光層隔離用誘電体層が、SiON、Ta2O5 、Cr2O3 、IrO 、Ir2O3 、Cu2Oから選ばれた少なくとも一種の材料により構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のEL素子。

請求項12

前記発光開始電圧調整用誘電体層および前記発光層隔離用誘電体層が、Ta2O5 、Cr2O3 、IrO 、Ir2O3 、Cu2Oから選ばれた少なくとも一種に対して、Al2O3 、SiO2、Y2O3、WO3 、およびNb2O5 から選ばれた少なくとも一種が添加された材料により構成されていることを特徴とする請求項11に記載のEL素子。

請求項13

前記少なくとも二種類の発光層は、平面上において周期的に交互に配列され、隣接する前記発光層を1画素とすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載のEL素子。

請求項14

前記電圧調整用誘電体層は、前記一方の発光層の前記反光取り出し側に位置していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一つに記載のEL素子。

請求項15

絶縁性基板上に第一電極、第一絶縁層、発光層、第二絶縁層、および第二電極を、少なくとも光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて順次積層し形成し、前記発光層を、発光色の異なる少なくとも二種類の第一および第二発光層として平面的に配列した多色表示EL素子の製造方法であって、前記第一絶縁層上に前記第一発光層を形成する工程と、前記第一発光層をパターニングして、前記第一絶縁層上に第一発光層の非形成領域確立する工程と、前記パターニング後の前記第一発光層の表面である上面および側面、ならびに前記非形成領域における前記第一絶縁層の露出表面に誘電体層を形成する工程と、 前記非形成領域の前記第一絶縁層上に形成された前記誘電体層を取り除く工程と、前記第一発光層の上面の前記誘電体層の表面、および前記誘電体層が取り除かれて露出した前記第一絶縁層の前記露出表面に前記第二発光層を形成する工程と、 前記第二発光層をパターニングして、前記誘電体層上の前記表面に形成された前記第二発光層を取り除く工程と、を含むことを特徴とするEL素子の製造方法。

請求項16

絶縁性基板上に第一電極、第一絶縁層、発光層、第二絶縁層、および第二電極を、少なくとも光取り出し側の材料を光学的に透明なものにて順次積層し形成し、前記発光層を、発光色の異なる少なくとも二種類の第一および第二発光層として平面的に配列した多色表示EL素子の製造方法であって、前記第一絶縁層上に前記第一発光層を形成する工程と、前記第一発光層をパターニングして、前記第一絶縁層上に第一発光層の非形成領域を確立する工程と、前記パターニング後の前記第一発光層の表面である上面および側面、ならびに前記非形成領域における前記第一絶縁層の露出表面に誘電体層を形成する工程と、 前記第一発光層の上面に形成された前記誘電体層の表面、および前記非形成領域の第一絶縁層上に形成された前記誘電体層の表面に第二発光層を形成する工程と、水または薬液により、前記第一発光層の上面から該上面に形成された前記誘電体層を剥離して、前記第一発光層上の前記誘電体層および該誘電体層の表面に形成された前記第二発光層を取り除く工程と、を含むことを特徴とするEL素子の製造方法。

請求項17

前記第一発光層が硫化亜鉛を母体材料とする発光層であって、前記誘電体層が酸素を含むガス雰囲気で形成されることを特徴とする請求項16に記載のEL素子の製造方法。

請求項18

前記誘電体層がスパッタ法で形成されることを特徴とする請求項17に記載のEL素子の製造方法。

請求項19

前記誘電体層を、水酸基を形成する、または水を包含した構造と成り得る金属酸化物を主成分とする材料により形成することを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一つに記載のEL素子の製造方法。

請求項20

前記誘電体層を、Ta2O5 、Cr2O3 、IrO 、Ir2O3 、Cu2Oから選ばれた少なくとも一種の材料により形成することを特徴とする請求項19に記載のEL素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、平面配置型多色EL素子およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、EL素子を用いた多色発光をさせる素子構造としては、発光色の異なった発光層を、絶縁層間に平面的に配列したものが知られている。このような異なる発光層を有するものにおいては、各発光層発光開始電圧が異なるため、その発光開始電圧を同じにするべく、対策が行われている。また、異なる発光層を平面的に配列した構造においては、発光層相互間のクロストーク光を回避するべく、対策が行われている。前者の発光開始電圧を同じにするものとして、例えば実開平5−11392号公報に開示された構造のものがある。これは、マンガンを含む硫化亜鉛母材とした第一発光層と、希土類元素を含む硫化亜鉛を母材とした第二発光層とを平面的に互いに隣接して配置し、かつ第一発光層の発光開始電圧が第二発光層の発光開始電圧に比較して低いため、該第一発光層と上記絶縁層との間に発光開始電圧調整用誘電体層を配置した構造である。後者のクロストーク光を回避するものとして、例えば特開平4−39894号公報に開示された構造のものがある。これは、異なる発光層の間に光吸収材料から成る遮光膜を形成した構造である。

発明が解決しようとする課題

0003

しかし、従来のものでは、発光開始電圧調整とクロストーク光回避とを同時に達成する効果的な手段は開示されていない。本発明は、上記手段を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0004

請求項1乃至14によれば、少なくとも二種類の発光層の間に発光層隔離用誘電体層を有し、一方の発光層の光取り出し側または反光取り出し側に選択的に発光開始電圧調整用誘電体層を有し、これら誘電体層を同一材料で構成するとともに、その屈折率を、各発光層の屈折率よりも小さく設定したことから、一方の発光素子の光取り出し側または反光取り出し側に選択的に有した発光開始電圧調整用誘電体層の作用によって該発光層の発光開始電圧を調節することが可能となる。従って、少なくとも二種類の発光層間の発光開始電圧の相違に基づいて何れかの発光層に対する発光開始電圧調整用誘電体層の設置を適切に選定することにより、これら発光層の発光開始電圧を同じに調整することができる。また、一方の発光層を発光させている場合において該発光層からの光は所定角度で隔離用誘電体層に入射することになる。しかし、各発光層間に発光層隔離用誘電体層を配置しており、加えて該誘電体層の光の屈折率を各発光層の光の屈折率より小さく設定したから、一方の発光層からの光は所定角度以上では全反射して該発光層側に戻ることになり、従ってクロストーク光の発生は少ない。更に、該クロストーク光は発光層側に戻るが、発光層の表面は微細ながら凹凸が存在するため、その凹凸によって先の戻った光を一方の発光層の表示光として再び利用できる。また、発光開始電圧調整用誘電体層と隔離用誘電体層とを同一の材料で構成したから、異種層が複雑に入り込むことがなく、EL素子の信頼性、耐久性を向上させることができると共に、プロセス上も各誘電体層を同時に形成することができるため、製造上およびコスト上、有利となる。また、発光層隔離用誘電体層は、各発光層間の隙間による段差をなくすと共に、隣接する発光層に破壊が及ぶことを防止する。即ち、各発光層間に隙間が形成されていると、その発光層の膜厚分だけ段差が生じるため、上部に形成される第二絶縁層によるカバーレージが困難であるが、発光層間に隔離用誘電体層を形成することにより、その段差がなくなる。一方、各発光層が連なっていると、一つの微小破壊が発生すると、隣接する発光層へ破壊点が拡大する危険性があるが、発光層間に隔離用誘電体層を形成することにより、その破壊点の拡大を防止することができる。請求項2乃至5によれば、発光開始電圧調整用誘電体層の誘電率と、該誘電体層が形成された発光層の誘電率とを所定の関係に設定したから、一方の発光層と他方の発光層との発光開始電圧調整が適切に行われる。請求項9によれば、一方の発光層と発光開始電圧調整用誘電体層との合算の膜厚を、他方の発光層の膜厚と略同一に設定したから、第二絶縁層が形成される、これら発光層の表面を略平坦とすることができ、EL素子の信頼性、耐久性を向上することができる。また、請求項9において、請求項3との組合せによれば、一方の発光層の膜厚が電圧調整用誘電体層の膜厚分だけ減少することになるため、該一方の発光層の発光輝度を減じることができる。このことは、一方の発光層と他方の発光層との発光開始電圧を同じに設定できるとともに、これら発光層の発光輝度を略同じに設定でき、多色EL素子として有利となる。また、請求項9において、請求項8との組合せによれば、同様に一方の発光層の膜厚が電圧調整用誘電体層の膜厚分だけ減少することになるため、該一方の発光層の発光輝度が一層減少するが、赤色フィルタによって他方の発光層からの光の内、特定波長減衰されるので、該他方の発光層の発光輝度と一方の発光輝度とのバランスを図ることができる。請求項10によれば、発光開始電圧を調整し得るのに必要な誘電体層の厚みを提供できる。請求項11によれば、発光開始電圧を調整し得るのに適した材料であり、請求項12によれば、添加材料によってより適切な誘電率を得ることができ、ひいては所望の発光開始電圧に設定することも可能である。主たる金属酸化物として、請求項11に記載の酸化物を用いることでこれら効果を再現性よく実現できる。請求項13によれば、少なくとも二種類の発光層は、平面上において周期的に交互に配列し、隣接する発光層を1画素としているから、容易に多色の画像を表示することができる。請求項14によれば、電圧調整用誘電体層を、一方の発光層の反光取り出し側に位置せしめたから、該一方の表示光が光取り出し側に放出される際に該誘電体層によって輝度が減じられることがなく、従って発光開始電圧の低減と発光輝度の保持とをバランスさせることができる。請求項15によれば、第一発光層をパターニングしてその発光層の表面である上面および側面に誘電体層を形成し、該第一発光層を形成していない領域における第一絶縁層上に形成された誘電体層を取り除いた後、その領域に第二発光層を形成し、該第二発光層をパターニングして誘電体層の表面の第二発光層を取り除くから、各発光層を誘電体層で分離する構成と、第一発光層以外の第二発光層に対しては誘電体層を重ねない構成とを同時に実施できる。請求項16によれば、請求項15と同様に各発光層を誘電体層で分離する構成と、第一発光層以外の第二発光層に対しては誘電体層を重ねない構成とを同時に実施できる効果に加えて、余分な第二発光層を取り除く工程と、第二発光層に対しては誘電体層を重ねない工程とを同時に実施することができ、請求項15の製造方法に比較して工程の簡略化を図ることができる。請求項17によれば、誘電体層を酸素を含むガス雰囲気で形成することにより、硫化亜鉛を母体材料とする第一発光層と誘電体層との界面に硫酸亜鉛の薄い層が形成され、該第一発光層の上面に形成された誘電体層および第二発光層を、該硫酸亜鉛層が水に溶解することで容易に取り除くことができる。請求項18によれば、誘電体スパッタ法で形成することにより請求項17と同様に第一発光層と誘電体層との間に水で剥離し易い硫酸亜鉛層を形成させることができ、同様に水で誘電体層および第二発光層を取り除くことができる。請求項19および20によれば、第一発光層と誘電体層との界面に形成された硫酸亜鉛等の層に水、または薬液を導くことができ、誘電体層および第二発光層の取り除きを一層容易にする。

0005

(第一実施例)以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。図1は、本発明のEL素子を示す模式的な構成断面図である。透明ガラス基板11上に第一透明電極12が形成され、その上に第一絶縁層13が形成されている。そしてその上に第一発光層15aが選択的に配置されて形成され、その間に絶縁材料である発光層隔離用誘電体層14aを挟んで第二発光層15bが第一発光層15aと同一平面内に形成されている。そして第一発光層15aの直上には発光開始電圧調整用誘電体層14bが形成されている。ここで、発光層隔離用誘電体層14aと発光開始電圧調整用誘電体層14bは同一材料で形成され、第一発光層15aを覆う形となっており、発光開始電圧調整用誘電体層14bの上面と第二発光層15bの上面は、同じ高さで平坦に形成される。そして、その上に第二絶縁層16がそれらを覆いつくす形で形成されている。そして各発光層に対して第二電極17が配置されている。

0006

ここで、第一発光層15aの誘電率をεl、発光開始電圧調整用誘電体層14bの誘電率をεrとすると、εl>εrの時、このEL素子の両発光層に同一電圧印加した場合には、第一発光層15aは第二発光層15bに比べて発光開始電圧調整用誘電体層14bが形成されている分だけ、かかる電圧分圧)が低下する。しかし、第一発光層15aの発光開始電圧が第二発光層15bより低い場合には、実際の発光開始電圧は等しくなる。逆に、εl<εrの時、このEL素子の両発光層に同一電圧を印加した場合には、第一発光層15aは第二発光層15bに比べて発光開始電圧調整用誘電体層14bが形成されている分だけ、かかる電圧(分圧)が上昇する。しかし、第一発光層15aの発光開始電圧が第二発光層15bより高い場合には、実際の発光開始電圧は等しくなる。また、各発光層間は発光層隔離用誘電体層14a(図1の14で縦方向の部分)で分離されているので、破壊の発生時にその破壊が隣接する発光層にまで及びことがない。さらに、発光層隔離用誘電体層14aの屈折率が、発光層の屈折率より低い場合には、各発光層間の光のクロストークをなくすことができる。

0007

次に、前述の多色発光のEL素子の具体的な製造方法の一例について述べる。
(a) まず、絶縁性基板であるガラス基板11上に、透明なITOからなる第一電極12をDCスパッタ法により成膜する。具体的には、ITOをターゲットして、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)、酸素(O2)ガスを導入し、成膜炉内を一定圧力に保って、ガラス基板11を加熱してスパッタリングパワーを印加して200nmの膜厚に成膜する。そして通常知られているホトリソグラフィ法を用いて所定の形状にパターンエッチングして形成する。
(b) 次に、第一絶縁層13を、高周波スパッタ法により成膜する。具体的には五酸化タンタル(Ta2O5) を主成分とし、アルミナ(Al2O3) を6wt%添加したターゲットを用い、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)、酸素(O2)ガスの混合ガスを与えて、一定圧力で、ガラス基板11を加熱し、高周波電力を与えて400nm の膜厚に成膜する(図2(a))。

0008

(c) 次に第一発光層15aとしてZnS:Mn層をスパッタ法もしくは蒸着法で、膜厚が450nm になるように成膜する。蒸着法による場合、具体的には、硫化亜鉛(ZnS) にマンガン(Mn)を添加したペレット蒸着材とし、ガラス基板11を加熱し電子ビーム蒸着を行う。高周波マグネトロンスパッタ法の場合は、硫化亜鉛(ZnS)にマンガン(Mn)を添加した焼結体をターゲットとし、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)とヘリウム(He)ガスの混合ガスを導入して行う(図2(b))。
(d) 次に、第一発光層15aの発光させない部分を、通常知られているホトリソグラフィ法を用いて取り去る(図2(c))。
(e) そして第一発光層15aおよび開口した領域全体に、酸窒化シリコン(SiON)層を発光層隔離用誘電体層および発光開始電圧調整用誘電体層(ともに14)として形成する。具体的には、基板温度300 ℃、パワー密度3.1W/cm2でアルゴン(Ar)105SCCM 、酸素(O2)5SCCM 、窒素(N2)40SCCMの混合ガスを用い、シリコン(Si)をターゲットにした反応性高周波マグネトロンスパッタ法により100nm の膜厚に形成する(図2(d))。
(f) 次に、第一発光層15aの形成された部分を通常のホトリソグラフィ法を用いてレジストで覆い(図示せず)、第一発光層15aの形成されていない部分(第一絶縁層13直上)の誘電体層14を、四フッ化炭素(CF4) と酸素(O2)の混合ガスでドライエッチングして取り除く(図2(e))。

0009

(g) 次に、その上に第二発光層15bとして、ZnS:TbOF層を高周波マグネトロンスパッタ法により成膜する。具体的には、硫酸亜鉛(ZnS)aにテルビウム(TbOF)を添加した焼結体をターゲットとし、スパッタガスとしてアルゴン(Ar)とヘリウム(He)ガスの混合ガスを導入し、内部を一定圧力に保って、ガラス基板11を加熱しながら、高周波電力を与えて550nm の厚さに成膜する(図2(f))。
(h) そして、(第一発光層15a上の)誘電体層14の上の第二発光層15bを、通常知られていないホトリソグラフィ法を用いて取り去る(図2(g))。この時、第一発光層15a上の誘電体層14bは、第二発光層15bのエッチングストッパとしても作用するので第一発光層15aにダメージを与えることがない。

0010

(i) その後、誘電体層14bと第二発光層15bの上に第二絶縁層16を形成する。ここでは、まず誘電体層14と同様の方法で100nm の膜厚のSiONを成膜し、その上に、第一絶縁層13と同様の方法で300nm の膜厚の五酸化タンタル・アルミナの複合膜(Ta2O5:Al2O3) を成膜し、二層構造から成る第二絶縁層16を形成する。
(h) その上に透明な第二電極17を、イオンプレーティング法により成膜する。具体的には酸化亜鉛(ZnO) に酸化ガリウム(Ga2O3) を添加したペレットを蒸着材とし、アルゴン(Ar)ガスを導入して0.04Paに保ち、ガラス基板11を250 ℃に加熱して、40W の高周波電力を印加して成膜する。そして再び、同様に通常のホトリソグラフィ法を用いて所望の形状にパターニングして第二電極17を形成する。ここで、第二電極17としては、ITO電極をDCスパッタ法で形成しても良い。また第一絶縁層13、第二絶縁層16は五酸化タンタル・アルミナの複合膜(Ta2O5:Al2O3) の単層膜SiON膜と五酸化タンタル・アルミナの複合膜の積層膜で構成したが、Ta2O5 、Al2O3 、Si3N4 、SiO2、SiON、PbTiO3、Y2O3、SrTiO3の単層膜や、或いはこれらを主成分とする複合膜や、これらの積層膜で構成しても良い。

0011

ここでの、第一発光層15aであるZnS:Mn膜のクランプ電界強度Ev1 は、約1.5MV/Cmで、その比誘電率ε1 ’は約10.5であり、屈折率η1 は2.3 〜2.4 の範囲にある。また、ZnS:TbOFより成る第二発光層15bは、クランプ電界強度Ev2 が、約1.8MV/Cmで、その比誘電率ε2 ’は約8.5 であり、屈折率η2 は2.3 〜2.4 の範囲にある。さらに、発光層隔離用誘電体層及び発光開始電圧調整用誘電体層( 共に14)である酸窒化シリコン(SiON)膜は、比誘電率εr’は約5.8 であり、その屈折率ηrは1.5 〜1.6 の範囲にある。つまり、この場合の第一発光層15aと発光開始電圧調整用誘電体層14bの誘電率の関係はεl>εrにあり、第一発光層15aが第二発光層15bと同じ膜厚である場合に比べ、第一発光層15aの一部が発光開始電圧調整用誘電体層14bと置き替わった分だけ、第一発光層15aにかかる電圧(分圧)が低下する。しかし、この場合の第一発光層15aの発光開始電圧(=絶縁層構成が同じ時、クランプ電界強度と発光層誘電率により決まる)は、第二発光層15bより低いので、実際の発光開始電圧は185Vから190Vの範囲内で等しくなる。言い換えれば、発光開始電圧調整用誘電体層14bが第一発光層15a側のEL素子の発光開始電圧を上昇させていると言える。具体的にその電圧上昇は、第一発光層15aが薄くなった分との差し引きで約12V である。また、この場合の第一発光層15aであるZnS:Mnは第二発光層15bであるZnS:TbOFに比べ同一膜厚で、同じ電圧を印加した場合はもちろん、発光開始電圧から同じ電圧を印加する場合(即ち、ZnS:TbOFにZnS:Mnとの発光開始電圧の差の分だけ余計に電圧を印加する場合)にも、その輝度は高いが、ここではZnS:Mnの膜厚をZnS:TbOFの膜厚より薄く形成しているので、ZnS:Mnの発光輝度を低く抑えることができ、両者の輝度のバランスを取ることができる。さらに、各発光層間に配置された発光層隔離用誘電体層14aの屈折率ηrが、発光層の屈折率(η1 、η2 )より低い(ηr<η1 〜η2 )ので、各発光層間の光のストロークをなくすことができる。

0012

(第二実施例)図3は、本発明のもう一つのEL素子を示す模式的な構成断面図である。透明ガラス基板11上に第一透明電極12が形成され、その上に第一絶縁層13が形成されている。そしてその上に第一発光層15aが選択的に配置されて形成され、その間に第二発光層15bが、絶縁材料である発光層隔離用誘電体層および発光開始電圧調整用誘電体層(ともに14)を介して埋め込まれる形で、第一発光層15aと同一平面内に形成されている。そして、各発光層の上面は平坦に形成されて、その上面に第二絶縁層16が各発光層を覆いつくす形で形成されている。そして各発光層に対して第二電極17が配置され、第一発光層15a形成領域に対応する第二電極17上に色純度調整用のフィルタが形成されている。

0013

本実施例と第一実施例との違いは、主にその製造プロセスにあり、結果として第二発光層15bの下側に発光開始電圧調整用誘電体層14bが形成される構成となる。ここでは、発光開始電圧調整用誘電体層14bの誘電率εrと第二発光層15bの誘電率の関係が逆(即ち、ε2 <εr)の場合の効果について説明する。この場合は、第二発光層15bの一部がそれより誘電率の高い発光開始電圧調整用誘電体層14bと置き替わったと見なせるので、その分だけ全てが第二発光層15bである場合に比べ、かかる電圧(分圧)が上昇する。つまり、低い電圧で発光を開始する。しかし、この場合の第二発光層15bの発光開始電圧は、元々、第一発光層15aより高いので、実際の発光開始電圧は等しくなる。言い換えれば、発光開始電圧調整用誘電体層14bが第二発光層15b側のEL素子の発光開始電圧を低下させていると言える。但し、この場合には第一実施例の時と異なり、第一発光層15aであるZnS:Mnの方が第二発光層15bであるZnS:TbOFに比べ、膜厚が厚くなるので、発光開始電圧は同じでも、ZnS:Mn側のEL素子の輝度は、ZnS:TbOF側のEL素子に比べてますます高くなることになる。そこで、第一発光層15aであるZnS:Mnの形成領域に対応する第二電極17の上にのみ赤色フィルタ18を形成することで、ZnS:TbOF側のEL素子との輝度バランスを保つ構成とする。例えば、ZnS:Mnの黄橙色発光を、590nm 以下の波長スペクトルカットする赤色フィルタ18に通すと、その発光輝度は元の黄橙色発光輝度の約20% に減衰する。このような構成とすることで、輝度のバランスを取ることのみならず、赤色の色合いが増加するため、赤−緑間の色のバリエーション飛躍的に増すことができる。

0014

次に、前述の多色発光のEL素子の具体的な製造方法の一例について述べる。
(a) まず、絶縁性基板であるガラス基板11上に、透明なITOからなる第一電極12を第一実施例と同様にDCスパッタ法により200nm の膜厚に成膜し、ホトリソグラフィ法を用いて所定の形状にパターニングして形成する。
(b) 次に、第一絶縁層13を、第一実施例と同様に、五酸化タンタル・アルミナの複合膜(Ta2O5:Al2O3) を400nm の膜厚に成膜する(図4(a))。

0015

(c) 次に第一発光層15aとしてZnS:Mn層を第一実施例と同様に成膜する。但し、その膜厚は650nm になるようにする(図4(b))。
(d) 次に、第一発光層15aの発光させない部分を、通常知られているホトリソグラフィ法を用いて取り去る(図4(c))。
(e) そして第一発光層15aおよび開口した領域全体に、五酸化タンタル(Ta2O5) 層を発光層隔離用誘電体層および発光開始電圧調整用誘電体層(ともに14)として形成する。具体的には、アルゴン(Ar)140SCCM 、酸素(O2)60SCCMの混合ガスを用い、五酸化タンタル(Ta2O5)焼結体をターゲットとし、一定圧力で、基板11を300 ℃に加熱しながら、パワー密度4.1W/cm2の高周波電力を与えて150nmの膜厚にスパッタ成膜する(図4(d))。
(f) 次に、その上に第二発光層15bとしてZnS:TbOF層を第一実施例と同様に高周波スパッタ法により500nmの膜厚に成膜する(図4(e))。

0016

(g) そして次に、ガラス基板11全体を水に浸して、第一発光層15aの上にある第二発光層15bを、あいだの五酸化タンタル(Ta2O5) 層ごと洗い流して(リフトオフして)、余分な第二発光層15bを取り除く。第一発光層15aと第二発光層15bの間にある五酸化タンタル(Ta2O5) 層は、第一発光層15aの上にこの五酸化タンタル(Ta2O5) 層を形成する際に、O2雰囲気で行うためその界面に硫酸亜鉛(ZnSO4) の薄い層が形成され、このため、ガラス基板11を水中に浸すだけで容易にこの薄い硫酸亜鉛(ZnSO4) 層が溶けて、上の第二発光層15bがリフトオフされる(図4(f))。また、第一発光層15a及び第二発光層15bの表面に接触する液は水であるため、第一発光層15a、第二発光層15bに悪い影響は及ぼさない。
(h) 以下図示しないが、次に真空中において、熱処理を加え、各発光層15a、15bの結晶性を向上させる。
(i) その後、各発光層の上に第二絶縁層16を第一実施例と同様に、100nm の膜厚のSiON膜と300nm の膜厚の五酸化タンタル・アルミナの複合膜(Ta2O5:Al2O3)から成る二層構造の第二絶縁層16を形成する。
(j) その上に酸化亜鉛(ZnO:Ga2O3) から成る透明な第二電極17を、第一実施例と同様にイオンプレーティング法により成膜し、同様にホトリソグラフィ法を用いて所望の形状にパターニングして第二電極17を形成する。
(k) 最後に、透明な第二電極17上に赤色染料を溶かした感光性のレジストを塗布する。そして、ホトリソグラフィ法によりZnS:Mnより成る第一発光層15a形成領域に対応する透明な第二電極17上にレジストを残し、他を除去することにより赤色フィルタ18を形成する。

0017

ここで、発光層隔離用誘電体層及び発光開始電圧調整用誘電体層( 共に14)として用いた五酸化タンタル(Ta2O5) 層は、比誘電率εr’が約23であり、その屈折率ηrは2.0 〜2.1 の範囲にある。しかし、誘電体層14としては五酸化タンタル(Ta2O5) 層に限定されるものではなく、この他にCr2O3 、IrO 、Ir2O3 、Cu2O等の誘電体を用いてもかまわない。所望の発光開始電圧とするには、発光層の誘電率との関係が重要であり、そのためには、これらの酸化物誘電体にAl2O3、SiO2、Y2O3、WO3 、Nb2O5 等を添加して誘電率を調整してもかまわない。例えば、第一絶縁層13として使用した五酸化タンタル・アルミナの複合膜(Ta2O5:Al2O3) は、比誘電率εr’が約17であり、その屈折率ηrは1.9 〜2.0 の範囲にあり、もちろん発光層隔離用誘電体層及び発光開始電圧調整用誘電体層として用いることができる。これらの酸化物誘電体層は、水酸基(OH - ) を形成する、または水(H2O) を包含した構造と成り得る金属酸化物であり、誘電体層を通して発光層表面に形成された硫酸亜鉛(ZnSO4) 等の層へ水を導くことができ、さらに剥離を容易にする。この製造方法は、第一実施例の製造方法に比べ、ホトエッチング工程を2回を少なくできる点で経済的に極めて優れた方法であるが、そのポイントは発光層との界面に水溶性生成物を形成させることと、その層に水、薬液等を導く経路を有することである。

0018

仮に、発光層との界面に水溶性の生成物を形成させたとしても、これに水、薬液等を導く経路を持たない緻密で浸透性のない膜ではリフトオフさせることはできない。また、ある程度薄い膜、例えば膜厚10nm以下なら膜に多数のピンホールを作ることでリフトオフできるしもしれないが、その程度の膜厚ではダイナミックな発光開始電圧の調整はできない。好ましい発光開始電圧の調整を行なうには、少なくとも50nm以上の膜厚は必要である。また、好ましい発光輝度を確保するためには、その膜厚を200nm 以下程度に抑える必要がある。上記の酸化物誘電体層は、その構造中に水酸基(OH - ) 等を介して水を移動させることができるので、比較的厚い膜にでも水を導くことができ、わざわざピンホールを作る必要もない。尚、第一発光層15aと第二発光層15bの間にある五酸化タンタル(Ta2O5)層を形成する際に、第一発光層15aとの界面に、硫酸亜鉛(ZnSO4) ではなく、酸化亜鉛(ZnO) が形成されてしまう場合があったとしても、この酸化亜鉛(ZnO)の薄膜は、酢酸などの弱い酸に溶けるため、やはり容易に、余分な第二発光層15b及びその下の部分の五酸化タンタル(Ta2O5) 層14をリフトオフさせて除去することができる。

0019

(第三実施例)本発明の構造上の特徴は、発光層隔離用誘電体層14a及び発光開始電圧調整用誘電体層14bとを有することである。そして、それらの効果、特に、発光開始電圧調整用誘電体層14bの効果については、第一実施例及び第二実施例において詳細に説明した。本実施例では、発光層隔離用誘電体層14aの効果、特に発光のクロストーク防止効果について比較サンプル図5図6)を作成し、第二実施例の構造(図3)と比較して詳細に説明する。

0020

比較サンプルA(図5)は、第二実施例の構造(図3)から発光層隔離用誘電体層14a及び発光開始電圧調整用誘電体層14bを取り除いたもので、第一発光層15aと第二発光層15bが各々ストライプ状に(紙面に垂直な方向に長く伸びている)形成され、各々の発光層が直接隣接する構造となっており、第二実施例と同様に、第一発光層15a(ZnS:Mn)の形成領域に対応する第二電極17上に赤色フィルタ18がストライプ状に形成されている。また、比較サンプルB(図6)は、第二電極17上の全てを覆うように赤色フィルタ18が形成されている以外は、比較サンプルA(図5)と同じ構造をしている。第二実施例の構造(図3)において、赤色発光は第一発光層15a(ZnS:Mn)の発光が赤色フィルタ18を通過することによって得られ、緑色発光は、第二発光層15b(ZnS:Tb)の発光から得られる。同様に、比較サンプルA(図5)においても、赤/緑の各々の発光開始電圧は異なるものの、基本的には同じである。比較サンプルB(図6)においては、第二発光層15b(ZnS:TbOF)からの緑色発光が赤色フィルタ18によりカットされ、光が取り出せない点では異なるが、赤色発光が赤色フィルタ18を介して取り出される点では同じである。

0021

この3つのEL素子について、赤色のみを発光させた時の色純度測定結果を表1に示す。表中のx、yの値は、国際照明委員会(Commission Internationale del'Eclairage=CIE) の標準色度図(C.I.E.Chromaticity Diagram)の色度座標値を示すもので、x座標値が大きく、y座標値が小さくなるほど赤色の色純度が増す(真の赤色に近づく)ことを意味する。この結果からわかるように、本発明の1つである第二実施例の構造のもの(図3)とサンプルB(図6)については同じ値を示すもののサンプルA(図5)は、赤色の純度が悪くなっている。

0022

0023

これは、サンプルA(図5)では、第一と第二の発光層がつながっており、その屈折率がいずれも約2.36と同じであるため、赤色発光をさせた場合(ZnS:Mn 上の第二電極17のみに電圧を印加した場合) に、表示面側へ光が放射されるだけでなく、放射光が発光層の平面方向( 即ち、表示面と直角方向) へも進行するためである。このように発光層中を平面方向へ進行する光の一部は、発光層の粒界等によりその方向を変え、表示面側にも放射される。このような光は、フィルタを介さずに直接ZnS:Mnの黄橙色の光を放つので、この色成分が混入した分、赤色の色純度を下げることとなる。これに対しサンプルB(図6)は、表示面側の全てに赤色フィルタ18が形成されているので、サンプルA(図5)のように発光層中を平面方向へ進行し方向を変え、表示面側に光が放射されても全て赤色フィルタ18を介して光が取り出される。従って、この赤色フィルタ18で決まる真の色純度と言える。また、本発明の第二実施例の構造(図3)においては、発光層よりも屈折率の低い物質から成る発光層隔離用誘電体層14aを有するため、発光層中を平面方向へ進行しようとする光が発光層隔離用誘電体層14aで反射され、隣接するZnS:TbOF発光層から抜け出すことができず、赤色フィルタ18で決まる真の色純度を示しているものと思われる。

0024

この結果から、本発明における発光層隔離用誘電体層は、隣接する発光層への破壊の広がりを防止するだけでなく、その屈折率を発光層の屈折率より小さくすることにより光の横漏れによるクロストークを抑えられ、特に特定の部位にのみ色純度向上のためのフィルタを設ける場合に有効であることがわかる。

0025

(第四実施例)図示はしないが、三種類以上の異なる発光色を発光する発光層を形成する場合には、前述の第二実施例の二つの発光層を形成した図2(f) の段階から、さらに第三番目以降の発光層を形成する領域をエッチング工程で開口して、再び誘電体層を形成する図2(d) からの、同様な発光層形成工程を実施していく。その際、それまでに形成された前の発光層は硫化亜鉛(ZnS) を母材としたものであって、第三発光層を形成する際に、開口した後に五酸化タンタル(Ta2O5) 層を設け、第三発光層をその上に形成し、水でリフトオフする。第一、及び第二発光層は硫化亜鉛(ZnS) を母材とするので、五酸化タンタル(Ta2O5) の層との界面に硫酸亜鉛(ZnSO4) の薄い膜が形成され、余分な第三発光層は容易にリフトオフされる。

図面の簡単な説明

0026

図1本発明の第一実施例に示すEL素子の模式的構成断面図。
図2本発明の第一実施例に示すEL素子の模式的な製造工程図。
図3本発明の第二実施例に示すEL素子の模式的構成断面図。
図4本発明の第二実施例に示すEL素子の模式的な製造工程図。
図5本発明の第三実施例に示す比較サンプルAのEL素子の模式的構成断面図。
図6本発明の第三実施例に示す比較サンプルBのEL素子の模式的構成断面図。

--

0027

11ガラス基板
12 第一電極
13 第一絶縁層
14a発光層隔離用誘電体層
14b発光開始電圧調整用誘電体層
15a 第一発光層
15b 第二発光層
16 第二絶縁層
17 第二電極
18 赤色フィルタ

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