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技術 空気力学的振動のシミュレーション方法

出願人 丸田栄蔵神田亮株式会社大林組
発明者 丸田栄蔵神田亮本間義教
出願日 1994年12月28日 (26年0ヶ月経過) 出願番号 1994-328077
公開日 1996年7月16日 (24年5ヶ月経過) 公開番号 1996-184525
状態 特許登録済
技術分野 空気力学的試験、水力学的試験、風洞、水槽 弾性の調査及び振動試験
主要キーワード ランダム振動 オイル充填量 二次元流れ マグネットスケール 発散現象 相似則 臨界減衰 時刻歴応答
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

目的

模型振動特性に関する値を容易且つ厳密に設定することができるとともに、実際のシミュレーション対象物不安定振動を正確且つ容易にシミュレーションすることができる空気力学的振動シミュレーション方法を提供することである。

構成

構造物を模した剛模型を固定部に対しすりこぎ運動可能に支持し、剛模型を加振する加振装置を設けるとともに、剛模型に加わる風荷重を測定するロードセルを設けてなる装置を用い、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定し(M,C,Kは実際の構造物の質量、減衰剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル応答値外力ベクトル時刻)、M,C,Kの値を初期設定し、振動方程式に基づいて応答値Xn+1 を演算し、初期応答値Xn+1 をサーボモータに出力して剛模型を強制的に加振し、ロードセルによって模型に作用する実際の風外力を測定し、実際の風外力から応答加速度及び応答速度を演算し、n をn+1 とするステップを順に繰り返す。

概要

背景

構造物が風を受けたときに発生する振動、特に空気力学的振動をシミュレーションする方法としては、次の二つのものが知られている。

従来技術A
まず、従来技術Aに用いられる装置を図11に基づいて説明すると、固定架台101に対しx軸を中心として回転可能なジンバル102と、ジンバル102に対しy軸及びz軸を中心として回転可能に支持されたサポート103と、サポート103の上端部に連結された剛模型104とを備え、剛模型104及びサポート103がジンバル102を中心としてすりこぎ運動可能となっている。サポート103の下端部はオイル槽105内に挿入され、オイル槽105へのシリコンオイルC等のオイル充填量増減してオイルへのサポート103の挿入量を変更することにより剛模型104の減衰が調整される(オイル抵抗に代えて磁力を利用する方法も採用されている)。また、サポート103の中間部には引張スプリング106が張設され、スプリング106の付勢力により剛模型104の固有振動数が調整されるとともに、スプリング106の他端には後述するロードセル107が設けられている。なお、サポート103には、必要に応じて粘土等の調整用質量108が取付けられる。

そして、実際の構造物の質量、固有振動数を用いて相似則から剛模型104の固有振動数を設定する。また、剛模型104の減衰は実際の構造物と同一に設定する。

次いで、剛模型104の頂部に水平荷重Pを加え、該頂部の水平変位Xを例えば非接触型レーザ変位計を用いて計測するとともに、ロードセル107に加わる力Vとを計測し、水平荷重Pを変化させてX,Vを順次計測することにより、ロードセルの出力Vと頂部水平変位X,転倒モーメントとの一次比例定数を算出する。転倒モーメントはM=P×H式により算出され、Hはジンバル102の中心から剛模型104の頂部までの高さである。なお、静止状態における頂部水平変位X,ロードセルの出力Vを0に初期設定しておくことは勿論である。

その後、風速U0 の風F1 を剛模型104にあて、ロードセル107の出力Vを計測することにより、風速U0 で振動する剛模型104の水平変位X並びに転倒モーメントを求める。風速Uを変化させてロードセル107の出力Vを順次計測することにより、風速Uと剛模型104の頂部水平変位X及び転倒モーメントとの関係を求めることができ、実構造物の頂部水平変位及び転倒モーメントは相似則に従って容易に算出することができる。

従来技術B
一方、従来技術Bでは、図12に示すように、固定架台201に固定支持されたロードセル202に剛模型203を直接或いは治具を介して固定し、剛模型203全体に作用する風外力風力)F2 に対する応答値をロードセル202によって計測し、この応答値から風力の時刻歴データF(t)を求め、このデータF(t)をスペクトル解析して風力のスペクトルを求める。次いで、風力のスペクトルに実構造物質量,減衰,剛性,風速の機械式アドミッタンス変換子)をかけて一般変位のスペクトルを求める。変位のスペクトルを

概要

剛模型の振動特性に関する値を容易且つ厳密に設定することができるとともに、実際のシミュレーション対象物不安定振動を正確且つ容易にシミュレーションすることができる空気力学的振動のシミュレーション方法を提供することである。

構造物を模した剛模型を固定部に対しすりこぎ運動可能に支持し、剛模型を加振する加振装置を設けるとともに、剛模型に加わる風荷重を測定するロードセルを設けてなる装置を用い、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定し(M,C,Kは実際の構造物の質量、減衰、剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル、応答値、外力ベクトル時刻)、M,C,Kの値を初期設定し、振動方程式に基づいて応答値Xn+1 を演算し、初期応答値Xn+1 をサーボモータに出力して剛模型を強制的に加振し、ロードセルによって模型に作用する実際の風外力を測定し、実際の風外力から応答加速度及び応答速度を演算し、n をn+1 とするステップを順に繰り返す。

目的

本発明は、剛模型の振動特性に関する値を容易且つ厳密に設定することができるとともに、実際のシミュレーション対象物の不安定振動をシミュレーションすることができる空気力学的振動のシミュレーション方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

構造物等のシミュレーション対象物を模した剛模型を固定部に対し自由に運動可能に支持し、該剛模型を加振するコンピュータで制御可能な加振手段を設けるとともに、前記剛模型に加わる空気外力を測定し前記コンピュータと結合した計測器を設けてなるシミュレーション装置を用い前記コンピュータ内で空気力学的振動シミュレーションする方法であって、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定し(M,C,Kは相似則に基づいて計算された前記シミュレーション対象物の質量、減衰剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル応答値、外力ベクトル時刻)、前記M,C,Kの値を初期設定して応答値Xn+1 を演算した後、前記初期応答値Xn+1 を加振手段に出力して剛模型を強制的に加振するステップと、前記計測器によって剛模型に作用する実際の空気外力を測定するステップと、実際の空気外力から応答加速度及び応答速度を演算するステップを交互に且つリアルタイムで繰り返すことを特徴とする空気力学的振動のシミュレーション方法

請求項2

構造物等のシミュレーション対象物を模した剛模型を固定部に対し自由に運動可能に支持し、該剛模型を加振するコンピュータで制御可能な加振手段を設けるとともに、前記剛模型に加わる空気外力を測定し前記コンピュータと結合した計測器を設けてなるシミュレーション装置を用い前記コンピュータ内で空気力学的振動をシミュレーションする方法であって、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定する第1のステップ(M,C,Kは相似則に基づいて計算された前記シミュレーション対象物の質量、減衰、剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル、応答値、外力ベクトル、時刻)、前記M,C,Kの値を初期設定する第2のステップ、前記振動方程式に基づいて応答値Xn+1 を演算する第3のステップ、前記初期応答値Xn+1 を加振手段に出力して剛模型を強制的に加振する第4のステップ、前記計測器によって剛模型に作用する実際の空気外力を測定する第5のステップ、実際の空気外力から応答加速度及び応答速度を演算する第6のステップ、前記n をn+1 として第3のステップに戻る第6のステップをリアルタイムで繰り返すことを特徴とする空気力学的振動のシミュレーション方法。

請求項3

請求項1または2に記載の空気力学的振動のシミュレーション方法であって、前記コンピュータ内で他の振動系を数値的に練成させることを特徴とする空気力学的振動のシミュレーション方法。

請求項4

請求項1ないし3に記載の空気力学的振動のシミュレーション方法であって、前記剛模型を加振することにより前記計測器に生じる本来の空気外力以外の慣性力がシミュレーションをあやまった方向へ導くおそれがあるため、これを数学モデルダミー模型より発生する慣性力によって補正し、もって精度を高めることを特徴とする空気力学的振動のシミュレーション方法。

技術分野

0001

この発明は、例えば構造物が風を受けたときに発生する振動、特に不安定振動シュミレートすることができる空気力学的振動のシミュレーション方法に関するものである。

背景技術

0002

構造物が風を受けたときに発生する振動、特に空気力学的振動をシミュレーションする方法としては、次の二つのものが知られている。

0003

従来技術A
まず、従来技術Aに用いられる装置を図11に基づいて説明すると、固定架台101に対しx軸を中心として回転可能なジンバル102と、ジンバル102に対しy軸及びz軸を中心として回転可能に支持されたサポート103と、サポート103の上端部に連結された剛模型104とを備え、剛模型104及びサポート103がジンバル102を中心としてすりこぎ運動可能となっている。サポート103の下端部はオイル槽105内に挿入され、オイル槽105へのシリコンオイルC等のオイル充填量増減してオイルへのサポート103の挿入量を変更することにより剛模型104の減衰が調整される(オイル抵抗に代えて磁力を利用する方法も採用されている)。また、サポート103の中間部には引張スプリング106が張設され、スプリング106の付勢力により剛模型104の固有振動数が調整されるとともに、スプリング106の他端には後述するロードセル107が設けられている。なお、サポート103には、必要に応じて粘土等の調整用質量108が取付けられる。

0004

そして、実際の構造物の質量、固有振動数を用いて相似則から剛模型104の固有振動数を設定する。また、剛模型104の減衰は実際の構造物と同一に設定する。

0005

次いで、剛模型104の頂部に水平荷重Pを加え、該頂部の水平変位Xを例えば非接触型レーザ変位計を用いて計測するとともに、ロードセル107に加わる力Vとを計測し、水平荷重Pを変化させてX,Vを順次計測することにより、ロードセルの出力Vと頂部水平変位X,転倒モーメントとの一次比例定数を算出する。転倒モーメントはM=P×H式により算出され、Hはジンバル102の中心から剛模型104の頂部までの高さである。なお、静止状態における頂部水平変位X,ロードセルの出力Vを0に初期設定しておくことは勿論である。

0006

その後、風速U0 の風F1 を剛模型104にあて、ロードセル107の出力Vを計測することにより、風速U0 で振動する剛模型104の水平変位X並びに転倒モーメントを求める。風速Uを変化させてロードセル107の出力Vを順次計測することにより、風速Uと剛模型104の頂部水平変位X及び転倒モーメントとの関係を求めることができ、実構造物の頂部水平変位及び転倒モーメントは相似則に従って容易に算出することができる。

0007

従来技術B
一方、従来技術Bでは、図12に示すように、固定架台201に固定支持されたロードセル202に剛模型203を直接或いは治具を介して固定し、剛模型203全体に作用する風外力風力)F2 に対する応答値をロードセル202によって計測し、この応答値から風力の時刻歴データF(t)を求め、このデータF(t)をスペクトル解析して風力のスペクトルを求める。次いで、風力のスペクトルに実構造物質量,減衰,剛性,風速の機械式アドミッタンス変換子)をかけて一般変位のスペクトルを求める。変位のスペクトルを

0008

ところで、減衰は、通常の中高層ビルで2%前後、頑強構築された建物で4%程度、スレンダーなタワー構築物にあっては1〜2%程度、橋にあっては0.5%程度であり、この減衰が小さいと(特に0.5%以下)ある風速で振動した場合に振動が増大することとが知られている。このように振動が増大する現象としては、渦励振と不安定振動(ギャロッピング振動フラッター振動)と称されるものがある。渦励振は建物の背後に生ずる交番渦の周期と建物周期とが一致したときに発生(共振)するが、周期がずれるとおさまるのに対し、不安定振動は、通常の高層ビルでは風速が百数十m/s以上で発生するが、減衰が小さいと振動の発生風速も低くなり、発振すると減衰が負減衰になって振動が増長されるといった特性を有している。

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上述した従来技術A並びにBは、以下に説明するような技術的課題があった。

0010

すなわち、従来技術Aにかかるシュミレーション方法によれば、相似則に基づいた剛模型104の値を厳密に設定する必要がある。特に、剛模型104の支持を多自由度系とした本構造では質量,振動数,減衰(特に「減衰」)を正確に設定することが困難であるといった欠点がある。また、シミュレーション対象物自身の応答値との正確な相互作用を有する非定常空気力をシミュレーションできるが、それを直接測定できないという欠点もある。

0011

さらに、従来技術Bでは、剛模型が固定されたものであるため、実際の構造物の設計上問題となる不安定振動の空力不安定現象をシミュレーションすることができないという欠点がある。つまり、従来技術Bでは、実験の風力スペクトルを用いるため、不安定振動領域がスペクトルで表現することができず、シミュレーションすることができないのである。

0012

本発明は、剛模型の振動特性に関する値を容易且つ厳密に設定することができるとともに、実際のシミュレーション対象物の不安定振動をシミュレーションすることができる空気力学的振動のシミュレーション方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するため、本発明にかかる空気力学的振動のシミュレーション方法は、構造物等のシミュレーション対象物を模した剛模型を固定部に対し自由に運動可能に支持し、該剛模型を加振するコンピュータで制御可能な加振手段を設けるとともに、前記剛模型に加わる空気外力を測定し前記コンピュータと結合した計測器を設けてなるシミュレーション装置を用い前記コンピュータ内で空気力学的振動をシミュレーションする方法であって、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定し(M,C,Kは相似則に基づいて計算された前記シミュレーション対象物の質量、減衰、剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル、応答値、外力ベクトル時刻)、前記M,C,Kの値を初期設定して応答値Xn+1 を演算した後、前記初期応答値Xn+1 を加振手段に出力して剛模型を強制的に加振するステップと、前記計測器によって剛模型に作用する実際の空気外力を測定するステップと、実際の空気外力から応答加速度及び応答速度を演算するステップを交互に且つリアルタイムで繰り返すことを特徴とする(請求項1)。

0014

また、他の発明にかかる空気力学的振動のシミュレーション方法は、構造物等のシミュレーション対象物を模した剛模型を固定部に対し自由に運動可能に支持し、該剛模型を加振するコンピュータで制御可能な加振手段を設けるとともに、前記剛模型に加わる空気外力を測定し前記コンピュータと結合した計測器を設けてなるシミュレーション装置を用い前記コンピュータ内で空気力学的振動をシミュレーションする方法であって、振動方程式M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)を仮定する第1のステップ(M,C,Kは相似則に基づいて計算された前記シミュレーション対象物の質量、減衰、剛性マトリックス、X2,X1,X,F(X2,X1,t),tは加速度、速度変位ベクトル、応答値、外力ベクトル、時刻)、前記M,C,Kの値を初期設定する第2のステップ、前記振動方程式に基づいて応答値Xn+1 を演算する第3のステップ、前記初期応答値Xn+1 を加振手段に出力して剛模型を強制的に加振する第4のステップ、前記計測器によって剛模型に作用する実際の空気外力を測定する第5のステップ、実際の空気外力から応答加速度及び応答速度を演算する第6のステップ、前記n をn+1 として第3のステップに戻る第6のステップをリアルタイムで繰り返すことを特徴とする(請求項2)。

0015

さらに、他の発明では、前記コンピュータ内で他の振動系を数値的に練成することを特徴としたり(請求項3)、前記剛模型を加振することにより前記計測器に生じる本来の空気外力以外の慣性力がシミュレーションをあやまった方向へ導くおそれがあるため、これを数学モデルダミー模型より発生する慣性力によって補正し、もって精度を高めることを特徴としている(請求項4)。

0016

以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

0017

図1は本発明にかかるシミュレーション方法の基本的な概念を示す図である。また、図2本発明方法に用いられる装置の一実施例を示し、固定架台(固定部)1に対しx軸(図中で左右方向の軸)を中心として回転可能なジンバル2と、ジンバル2の上方に位置し且つジンバル2に対しy軸(図中で紙面と直交する方向)及びz軸(図中で上下方向の軸)を中心として回転可能に支持されたロードセル(計測器)3と、ロードセル3の上部に設けられた剛模型4と、ロードセル3の下部にこれと一体的に設けられたサポート5とを備え、剛模型4,ロードセル3,サポート5がジンバル2を中心としてすりこぎ運動可能となっている。

0018

ここで、構成上特徴となる点は、サポート5の下端部には回転軸受6が設けられ、この回転軸受6に連結されたベッド7をサーボモータ8によりボールネジ機構9を介して進退移動することにより、剛模型4をx軸方向に加振することである。なお、サーボモータ8,ボールネジ機構9等は加振手段を構成している。サーボモータ8はコンピュータで制御可能であり、前記ロードセル3は該コンピュータと結合されている。また、ベッド7は一対の固定レール10,10に沿って移動するよう構成され、ベッド7の移動量(加振量)はマグネットスケール11によって計測される。剛模型4の頂部水平変位は、ジンバル2の中心から頂部までの高さHと、該ジンバル2の中心から回転軸受6までの距離aとの比(H/a)で求められ、例えばベッド7を1mm左方向に移動すると、剛模型4の頂部は(H/a)mm右方向に移動することになる。

0019

そして、本発明方法では、図3に示すように、サーボモータ8によるベッド7の移動量(剛模型4の加振量)を、ロードセル3の出力に基づいてコンピュータで演算処理された値に応じて変更することを特徴としている。

0020

まず、振動方程式
M・X2+C・X1+K・X=F(X2,X1,t)
を仮定する。ここで、Mは相似則に基づいて計算された建築構造物(シミュレーション対象物)の質量、Cは減衰、Kは剛性マトリックスであり、X2は加速度、X1は速度変位ベクトル、Xは応答値、F(X2,X1,t)は外力ベクトル、tは時刻である。

0021

次いで、M,C,Kの値を初期設定し、上記振動方程式に基づいて初期応答値X0 を演算する(ステップ1)。次いで、この初期応答値X0 をサーボモータ8に出力して剛模型4を強制的に加振し(ステップ2)、ロードセルによって模型に作用する実際の風外力を測定する(ステップ3)。そして、剛模型4にかかる実際の風外力から応答加速度及び応答速度を演算して(ステップ4)、その値を表示・記憶するとともに、n=n+1としてステップ1に戻る。

0022

つまり、本発明は、風洞実験によって求められる構造物の非定常空気力を振動方程式の外力項にみたてた応答解析を行い、非定常空気力による構造物の振動現象をシミュレーションするものである。このとき、構造物の質量、剛性、減衰はコンピュータ内で数値的に設定され、構造物に作用する風外力は風洞実験装置内に設置された模型より測定される。また、応答値はコンピュータ内で応答計算を行い求める。更に、その応答値は、外力項を測定する剛模型4上にリアルタイムで再現される(図1を参照)。

0023

これにより、剛模型4にかかる風外力はシミュレーション対象物である構造物自身の応答値に依存しているため、この応答値との正確な相互作用を有する非定常空気力をコンピュータ内でシミュレーションすることができる。すなわち、風荷重に対する応答を実際の構造物で見たときには、該構造物が振動し、振動している構造物が更に風荷重を受けたときに不安定振動が誘発されるが、本発明によれば、このように風外力と構造物の応答に相互作用がある場合でも、構造物の全ての振動現象をシミュレーションすることができるのである。しかも、剛模型4の振動系が数値的に設定されているため、正確且つ容易に振動系の設定を行うことができる。また、振動系が、数値的に設定できるので、多自由度系において減衰値が直行性を有するものなども設定可能である。

0024

そして、本発明によれば、振動系の設定の仕方により、実際には練成していない複数の振動系を数値的に練成(重畳)させたシミュレーションを行うことができる。例えば、免震装置或いは制振装置を備えた振動系モデルにあっては当該装置による減衰効果計算式中に付与することにより剛模型の変位を求めることができるのである。図4は、免震ダンパーの数学モデルをコンピュータ内に組み込み、実験で設定した系と数値的に練成することにより、実際にはダンパーのない実験模型があたかもダンパーを有するがごとき構造物として応答することを示している。これにより、新たに開発された制振装置が実際に使えるかどうかを実験により確認することができる。

0025

なお、本願発明は上記実施例のものに限定されず、例えば上記実施例では、剛模型4,ロードセル3,サポート5がジンバル2を中心としてすりこぎ運動可能となるように構成したが、すりこぎ運動以外の他の自由運動可能となる構成であってもよい。また、上記実施例では、風荷重の計測器としてロードセル3を採用し、加振手段としてサーボモータ8を作用したが、計測器,加振手段は他のものを採用することもできる。さらに、空気外力として風荷重を測定したが、風荷重以外の他の空気外力を測定することもできる。

0026

また、上記実施例では、シミュレーション対象物として建築構造物を例示したが、本発明は、建築構造物に限定されるものではなく、また、大スパン屋根等の建築構造物、土木分野における橋梁航空機等のように空気の流れが二次元となる二次元流れのシミュレーションにも適用することができ、このように二次元流れ、或いは三次元流れに拘わらずあらゆる物体の空力振動に適用することができる。

0027

さらに、前記サポート5を下方に延長し、該サポート5の下端に、回転軸受6を中心として上方の剛模型4と対称な位置にダミー模型を連結し、このダミー模型より発生する慣性力によって補正することにより、前記ロードセル3に生じる慣性力(本来の風外力ではない力)がシミュレーションをあやまった方向へ導くおそれを除去し、精度の高いシミュレーションを行うことができる。この場合、ダミー模型を設定することに代え、コンピュータ内で数学モデルを設定して補正することもできる。

0028

実験例
風洞気流中にある角柱(100 ×100 ×500 ) のランダム振動のシミュレーションを実験により行った。本実験に用いた角柱及びコンピュータに入力した各パラメータは、回転慣性I=3.53kgf ・S 2 /cm/cm2 、固有振動数f0 =6Hz、積分時間刻みΔt=4msecに設定し、減衰定数hを0.00, 0.01, 0.02, 0.03の四種類に設定した。実験に使用した気流は、べき指数α=0.27、乱れ強さIt =10%(高さ500mm ) の乱流境界層である。

0029

ランダム振動のシミュレーションでは、まず、バフティング振動をシミュレーションした。図5,6は応答部材角の平均値及び最大値換算風速(V/f0B,Vは風速、Bは角柱の幅)に対し示したものである。図中の値は、全て同様なシミュレーションを5回行って求めた平均値である。また、図7はh=0.01の場合の時刻歴応答変位を示したものである。応答部材角の平均値は、全てのhでほぼ同じ値を示し、風速が増すごとに大きくなっている。図5から、一定の平均値回りを振動する様子がよく分かる。図6の応答部材角の最大値は、h=0.00の場合、低風速で一定値を示しながら換算風速8で上昇する傾向を示している。これに対し、h=0.01および0.02では、低風速から高風速まで一定に上昇している。本来ならば、h=0.00もh=0.01、h=0.02と同様に右上がり曲線を描くはずである。しかし、この結果では、低速の領域で右上がりとなっていない。これは、サーボモータの強制力によるノイズの影響と思われる。ノイズによる影響は、応答変位振幅が小さい場合に特に顕著である。本実験でシミュレーションしたバフェティング振動は、h=0.00の低風速領域を除けば全体的に良好な結果を示している。本実施例より、本発明におけるランダム振動の応答解析を行いながら、精度のよい制御を行うことに関しては問題がないことが分かった。

0030

次に、風直行方向振動をシミュレーションする。使用した気流、角柱並びにコンピュータに入力したパラメータは、減衰定数を除き、全てバフェティング振動の場合と同じである。図8は、風直行方向振動の部材角RMS値を換算風速に対し示したものである。h=0.06(0.5%) 以上では、RMS値は換算風速10までは比例的に上昇し、10以上ではゆるやかな上昇を示している。しかし、h=0.04以下では換算風速10でギャロッピングと思われる著しい発散現象がみられる。

0031

また、図8により、換算風速10で発生している発散現象の様子がよく分かる。さらに、h=0.4 %以下で発散現象が生じているにも関わらず、h=0.5 %以上で発散が生じなくなっている。このことから、発散現象に関する減衰の臨界値は、h=0.4 %〜0.5 %に存在していることが分かる。このように、本発明によれば、減衰を正確に設定できるという点を生かして、発散現象に関する臨界減衰値などを求めることができる。

0032

次に、本発明は、風外力と構造物の応答の相互作用によって、生じる発散現象がシミュレーションできることを明らかにするため、上述した従来技術Bの方法、すなわちあらかじめ風外力を測定し、応答解析を行う方法を用いてシミュレーションを行った。シミュレーションに関する緒言は、応答計算に基づいた強制振動を剛模型に与えること以外は全て本発明方法を用いて行った風直行方向のシミュレーションと同様である。その結果を図9に示す。すべてのhでRMS値が換算風速に伴い上昇している。しかし、本実験でみられるような著しい発散現象はみられない。なお、図10は、h=0.00の場合について応答変位の時刻歴を示したものである。

0033

上より、本実験によれば、バフェティング振動はもとより、ギャロッピング等の空力不安定現象もシミュレーションすることができることが分かった。

発明の効果

0034

上実施例によって説明したように、この発明によれば、剛模型の振動特性に関する値を容易且つ厳密に設定することができ、実際のシミュレーション対象物の不安定振動を含む全ての空力振動を正確且つ容易にシミュレーションすることができるとともに、シミュレーション対象物に作用する非定常空気力を直接測定できる。また、複数の振動系を重畳させたシミュレーションを行うことができるといった優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0035

図1本発明にかかるシミュレーション方法の基本的な概念図である。
図2(a)本発明にかかるシミュレーション装置の好適な実施例を示す一部を切り欠いた側面図である。
(b)図2(a)の平面図である。
図3本発明にかかるシミュレーション方法を説明するためのフローチャートである。
図4本発明の他の実施例を示すモデル的な説明図である。
図5本発明の実験例にかかる応答部材角の平均値を示すグラフである。
図6同実験例にかかる応答部材角の最大値を示すグラフである。
図7同実験例にかかる応答変位の時刻歴を示すグラフである。
図8同実験例にかかるRMS値を示すグラフである。
図9同実験例にかかる従来方法によるRMS値を示すグラフである。
図10同実験例にかかるある条件下での応答変位の時刻歴を示すグラフである。
図11従来技術Aを示す側面図である。
図12従来技術Bを示す側面図である。

--

0036

1固定架台(固定部)
2ジンバル
3ロードセル(計測器)
4 剛模型
5サポート
6回転軸受
8サーボモータ(加振手段)
9 ボールネジ機構

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