図面 (/)

技術 鉛蓄電池用の電解液

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 戸島和夫山内友和大塚康弘
出願日 1994年12月9日 (25年11ヶ月経過) 出願番号 1994-306481
公開日 1996年6月21日 (24年5ヶ月経過) 公開番号 1996-162147
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(鉛及びアルカリ蓄電池)
主要キーワード 共通イオン 析出物質 高抵抗被膜 放置性能 弱電解質 電導度低下 寿命特性評価 電離度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年6月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

目的

電解液中への添加物の工夫により、鉛蓄電池放電容量の向上及び寿命延長を図る。

構成

鉛蓄電池に用いられる電解液であって、硫酸水素塩が添加されていることを特徴とする。硫酸水素塩は、従来の硫酸塩と比べて電解液に対する溶解度が大きいため、電解液への添加濃度を高くすることができる分だけ、過放電時に、Pb2+の生成を抑えてPbSO4 の結晶成長を抑えたり、電解液の電導度低下を抑えたりする効果が向上する。また、硫酸水素塩が低温下で格子活物質界面に析出することを抑えることができ、析出物質により格子−活物質間遮蔽される問題を抑えることができる。さらに、電解液のpHが高くなると、PbSO4 は溶解析出を繰り返して結晶成長するが、硫酸水素塩は硫酸塩と比べて酸性度が高いので、PbSO4 の結晶成長を抑えるのに有利となる。

概要

背景

従来より、硫酸電解液とし、負極活物質にPb粉、正極活物質にPbO2 を用い、これら活物質セパレータを中間において対置させ、ガラスあるいは合成樹脂電槽に収めた鉛蓄電池が知られている。この鉛蓄電池においては、放電時に負極のPb及び正極のPbO2 はPbSO4 になり、充電時に負極はPbに正極はPbO2 に戻る。また、電解液の希硫酸は、放電時に電気分解により水に変わり、充電時に水から希硫酸に戻る。

一般に、鉛蓄電池は長期間放置されたり、過放電放置されると、自己放電により充電不可能な状態となる。すなわち、過放電されると、電解液中の硫酸濃度が低下して電解液比重が低下する。とくに極板表面より極板内部の格子近傍で電解液比重が著しく低下する。このように電解液比重が低下すると、格子としてのPbや極板中に生成したPbSO4 の溶解度が増大してPb2+が多量に溶出し、このPb2+はOH- 、O2-と結合してPbOX を生成する。また、このような酸化反応により電解液のpHが高くなり電位が下がるため、正極格子近傍でPbO2→PbSO4 への還元反応が起こり、またPbSO4 はpHが高くなると溶解析出を繰り返するので非還元性巨大なPbSO4 の結晶が格子−活物質界面に析出する。したがって、上記PbOX の生成及びPbSO4 の生成成長により高抵抗被膜が格子−活物質界面に形成され、充電不可能状態となる。

そこで、電解液中にNa2 SO4 やK2 SO4 などのアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムなどを添加することにより、過放電放置性能を向上させることが従来より行われている(特開平1−267965号公報参照)。これらのアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムは、過放電時に電解液比重が低下した場合、Pb2+の生成を抑えてPbOX の発生やPbSO4 の結晶成長を抑える働きをする。また過放電時、H2 SO4 はH2 OやPbSO4 になるため、充電電流を担うイオンの存在が極めて少ない状態となり電解液の電導度極度に低下するが、電解液中に添加されたアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムのイオンにより電導度低下が抑えられ、回復充電特性が向上する。

概要

電解液中への添加物の工夫により、鉛蓄電池の放電容量の向上及び寿命延長を図る。

鉛蓄電池に用いられる電解液であって、硫酸水素塩が添加されていることを特徴とする。硫酸水素塩は、従来の硫酸塩と比べて電解液に対する溶解度が大きいため、電解液への添加濃度を高くすることができる分だけ、過放電時に、Pb2+の生成を抑えてPbSO4 の結晶成長を抑えたり、電解液の電導度低下を抑えたりする効果が向上する。また、硫酸水素塩が低温下で格子−活物質界面に析出することを抑えることができ、析出物質により格子−活物質間遮蔽される問題を抑えることができる。さらに、電解液のpHが高くなると、PbSO4 は溶解析出を繰り返して結晶成長するが、硫酸水素塩は硫酸塩と比べて酸性度が高いので、PbSO4 の結晶成長を抑えるのに有利となる。

目的

しかし、上記従来の電解液中にアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムを添加する技術によっても、十分に放電容量を向上させることが困難で、さらなる放電容量の向上及び寿命延長が望まれている。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電解液中への添加物の工夫により、さらなる放電容量の向上及び寿命延長を図ることを解決すべき技術課題とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

鉛蓄電池に用いられる電解液であって、硫酸水素塩が添加されていることを特徴とする鉛蓄電池用の電解液。

技術分野

0001

本発明は鉛蓄電池用電解液に関し、詳しくは鉛蓄電池放電容量及び寿命の向上を図ることのできる鉛蓄電池用の電解液に関する。

背景技術

0002

従来より、硫酸を電解液とし、負極活物質にPb粉、正極活物質にPbO2 を用い、これら活物質セパレータを中間において対置させ、ガラスあるいは合成樹脂電槽に収めた鉛蓄電池が知られている。この鉛蓄電池においては、放電時に負極のPb及び正極のPbO2 はPbSO4 になり、充電時に負極はPbに正極はPbO2 に戻る。また、電解液の希硫酸は、放電時に電気分解により水に変わり、充電時に水から希硫酸に戻る。

0003

一般に、鉛蓄電池は長期間放置されたり、過放電放置されると、自己放電により充電不可能な状態となる。すなわち、過放電されると、電解液中の硫酸濃度が低下して電解液比重が低下する。とくに極板表面より極板内部の格子近傍で電解液比重が著しく低下する。このように電解液比重が低下すると、格子としてのPbや極板中に生成したPbSO4 の溶解度が増大してPb2+が多量に溶出し、このPb2+はOH- 、O2-と結合してPbOX を生成する。また、このような酸化反応により電解液のpHが高くなり電位が下がるため、正極格子近傍でPbO2→PbSO4 への還元反応が起こり、またPbSO4 はpHが高くなると溶解析出を繰り返するので非還元性巨大なPbSO4 の結晶が格子−活物質界面に析出する。したがって、上記PbOX の生成及びPbSO4 の生成成長により高抵抗被膜が格子−活物質界面に形成され、充電不可能状態となる。

0004

そこで、電解液中にNa2 SO4 やK2 SO4 などのアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムなどを添加することにより、過放電放置性能を向上させることが従来より行われている(特開平1−267965号公報参照)。これらのアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムは、過放電時に電解液比重が低下した場合、Pb2+の生成を抑えてPbOX の発生やPbSO4 の結晶成長を抑える働きをする。また過放電時、H2 SO4 はH2 OやPbSO4 になるため、充電電流を担うイオンの存在が極めて少ない状態となり電解液の電導度極度に低下するが、電解液中に添加されたアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムのイオンにより電導度低下が抑えられ、回復充電特性が向上する。

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、上記従来の電解液中にアルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムを添加する技術によっても、十分に放電容量を向上させることが困難で、さらなる放電容量の向上及び寿命延長が望まれている。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電解液中への添加物の工夫により、さらなる放電容量の向上及び寿命延長を図ることを解決すべき技術課題とするものである。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決する本発明の鉛蓄電池用の電解液は、鉛蓄電池に用いられる電解液であって、硫酸水素塩が添加されていることを特徴とするものである。

0007

本発明の鉛蓄電池用の電解液には硫酸水素塩が添加されており、アルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムが添加された従来の電解液と比べて、鉛蓄電池の放電容量の向上及び寿命の延長をより効果的に図ることができる。この理由は以下のように考えられる。

0008

硫酸水素塩は、上記従来の硫酸塩と同様に、過放電時に、Pb2+の生成を抑えてPbSO4 の結晶成長を抑えたり、電解液の電導度低下を抑えたりする効果に貢献する。すなわち、過放電時に電解液中の硫酸濃度が低下して電解液比重が低下するとPbSO4 の溶解度が増大してPb2+の生成が増大するが、弱電解質のPbSO4 はSO4 2-という共通イオンをもつ硫酸水素塩が共存するとその電離度が小さくなるため、Pb2+の生成を抑えることができる。また過放電時、H2SO4 はH2 OやPbSO4 になるため、充電電流を担うイオンの存在が極めて少ない状態となり電解液の電導度が極度に低下するが、電解液中に添加された硫酸水素塩のイオンにより電導度低下が抑えられ、回復充電特性の向上により放電容量及び寿命の向上に貢献する。

0009

ここで、硫酸水素塩は、従来の硫酸塩と比べて電解液に対する溶解度が大きく、電解液への添加濃度を高くすることが可能である。例えば、K2 SO4 の水に対する溶解度は12.05g/100g(25℃)であるのに対し、KHSO4の水に対する溶解度は51.5g/100g(25℃)である.このため硫酸水素塩は、電解液への添加濃度を高くすることができる分だけ、過放電時に、Pb2+の生成を抑えてPbSO4 の結晶成長を抑えたり、電解液の電導度低下を抑えたりする効果が従来の硫酸塩より優れる。また、電解液に対する溶解度が大きいことから、硫酸水素塩が低温下で格子−活物質界面に析出することを抑えることができ、析出物質により格子−活物質間遮蔽されて放電容量が低下する問題を抑えることができる。

0010

また、前述したように電解液のpHが高くなると、正極格子近傍でPbO2 →PbSO4 への還元反応が起こるとともに、PbSO4 は溶解析出を繰り返して非還元性の巨大なPbSO4結晶として格子−活物質界面に析出するが、硫酸水素塩は硫酸塩と比べて酸性度が高いので、PbSO4 の結晶成長を抑えるのに有利となる。

0011

以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)希硫酸(濃度42.4wt%)に硫酸水素カリウム(KHSO4 )を0.1mol/L添加した電解液を準備した。この電解液を、微細ガラス繊維よりなるセパレータを介して正・負極板を配設した合成樹脂製の電槽内注入して、2Ah−6.0Vの鉛蓄電池を作製した。なお、正極活物質はPbO2 よりなり、負極は活物質はPbよりなる。

0012

(実施例2)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸水素アンモニウム(NH4 ・HSO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例1)硫酸水素カリウム(KHSO4 )を電解液に添加しないこと以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。

0013

(比較例2)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸カルシウム(CaSO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例3)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸ヒドラジン(N2 H4 ・H2SO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。

0014

(比較例4)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸ナトリウム(Na2 SO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例5)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸カリウム(K2 SO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。

0015

(比較例6)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸マグネシウム(MgSO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
(比較例7)硫酸水素カリウム(KHSO4 )の代わりに硫酸アンモニウム((NH4 )2SO4 )を電解液に添加すること以外は、上記実施例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。

0016

(放電容量の評価)上記実施例1、2及び比較例1〜7の鉛蓄電池について、放電容量を評価した。これは、放電:2A(1CA)で4.2Vまで、充電:0.2A(0.1CA)で7Hrの条件で充・放電し、電解液に何も添加していない比較例1に係る鉛蓄電池の放電容量を基準として他のものを比較した。その結果を図1に示す。

0017

図1から明らかなように、電解液に硫酸水素塩を添加した実施例1及び実施例2に係る鉛蓄電池は、電解液に硫酸塩を添加した比較例2〜7に係る鉛蓄電池と比べていずれも放電容量が向上した。また、電解液に硫酸水素アンモニウムを添加した実施例2に係る鉛蓄電池、及び電解液に何も添加していない比較例1に係る鉛蓄電池について、上記と同様の条件で放電時間と放電電圧との関係を調べた。実施例2についての結果を図2に、比較例1についての結果を図3にそれぞれ示す。

0018

図2及び図3から明らかなように、実施例2に係る鉛蓄電池は、2回目以降の放電時の放電時間が比較例1に係る鉛蓄電池と比べて長くなっており、放電容量が向上した。
(寿命の評価)45Ah、12Vの仕様で作製した上記実施例1及び比較例1に係る鉛蓄電池について、寿命を評価した。これは、75℃雰囲気下でのJIS軽負荷寿命特性評価に基づいて行った。結果を図4に示す。

0019

図4から明らかなように、電解液に硫酸水素カリウムを添加した実施例1に係る鉛蓄電池は、電解液に何も添加していない比較例1に係る鉛蓄電池と比べて寿命が20%程度延長された。なお、上記実施例では硫酸水素塩として、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウムを用いる例について説明したが、硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の硫酸水素塩等のその他の硫酸水素塩についても同様の効果が得られると考えられる。

0020

また、電解液への硫酸水素塩の添加量としては、例えば鉛蓄電池の使用環境温度や硫酸水素塩の電解液に対する溶解度に応じて適宜設定することができるが、鉛蓄電池の使用環境温度下で、電解液に溶解し得る最大限の硫酸水素塩を添加することにより、本発明の効果を最大限に発揮することができる。電解液への硫酸水素塩の添加量の好ましい範囲は、2〜100g/l(リットル)であり、より好ましい範囲は10〜30g/l(リットル)である。

発明の効果

0021

以上詳述したように本発明の硫酸水素塩が添加された電解液を鉛蓄電池に用いれば、アルカリ金属の硫酸塩や硫酸アンモニウムが添加された従来の電解液を用いた鉛蓄電池と比較して、鉛蓄電池の放電容量の向上及び寿命の延長をより効果的に図ることができる。そして、鉛蓄電池の使用環境温度下で、電解液に溶解し得る最大限の硫酸水素塩を添加することにより、低温時での放電容量を従来より向上させることが可能となる。

図面の簡単な説明

0022

図1実施例1〜2及び比較例1〜7に係る鉛蓄電池について、放電容量を評価した結果を示す図である。
図2実施例2に係る鉛蓄電池について、放電時間と放電電圧との関係を示した線図である。
図3比較例1に係る鉛蓄電池について、放電時間と放電電圧との関係を示した線図である。
図4実施例1及び比較例1に係る鉛蓄電池について、寿命特性を評価した結果を示す線図である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • エルジー・ケム・リミテッドの「 二次電池及びそれを含むバッテリーパック」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明は、二次電池が退化する過程で効果的に二次電池の寿命または劣化状態などを推定することができる二次電池に関する。本発明による二次電池は、外装材、電極組立体、第1電極リード、第2電極... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 電池の製造方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】拘束治具によって拘束されている電池列を構成する各々の電池を、短時間で効率良く冷却することができる電池の製造方法を提供する。【解決手段】冷却工程は、チャンバー80を、電池スタック10の下方であっ... 詳細

  • 日立造船株式会社の「 二次電池およびその製造方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】小型化が可能で電池性能を向上し得る二次電池およびその製造方法を提供する。【解決手段】外装2と、外装2に収容される被収容物3,4とを備える。被収容物3,4は、電極体4を有する。外装2は、その弾性... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ