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技術 水素吸蔵合金および水素吸蔵合金電極

出願人 パナソニック株式会社
発明者 世利肇山本徹山村康治辻庸一郎
出願日 1994年11月8日 (26年1ヶ月経過) 出願番号 1994-273786
公開日 1996年5月28日 (24年7ヶ月経過) 公開番号 1996-134566
状態 未査定
技術分野 電池の活物質及び不活性材料の選択 鉛及びアルカリ畜電池の電極
主要キーワード 合金粒径 ポリエチレン微粉末 平均ポアサイズ 放出サイクル 多元系合金 放置期間 プラトー領域 ニッケル線
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この項目の情報は公開日時点(1996年5月28日)のものです。
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目的

高容量を維持し、かつアルカリ電解液への溶解が少なく、高温保存特性の優れた電極を与える水素吸蔵合金を提供する。

構成

式ZrMnaVbMxCoyNiz(MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の元素、0.4≦a≦0.8、0.05≦b≦0.3、0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、2.0≦a+b+x+y+z≦2.4)、または式Zr1.2-wTiwMnaVbMxCoyNiz(Mは前記と同じ、0<w≦0.6、0.4≦a≦0.8、0.1≦b≦0.4,0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、1.7≦(a+b+x+y+z)/1.2≦2.2)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である水素吸蔵合金。

概要

背景

水素を可逆的に吸収・放出しうる水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極は、理論容量密度カドミウム電極より大きく、亜鉛電極のような変形やデンドライトの形成などもないことから、長寿命・無公害であり、しかも高エネルギー密度アルカリ蓄電池を与える負極として期待されている。この水素吸蔵合金電極に用いられる合金は、通常アーク溶解法高周波誘導加熱溶解法などで作製され、一般的にはTi−Ni系およびLa(またはMm)−Ni系の多元系合金がよく知られている。Ti−Ni系の多元系合金は、ABタイプ(A:La、Zr、Tiなどの水素との親和性の大きい元素、B:Ni、Mn、Crなどの遷移元素)として分類される。ABタイプの合金は、充放電サイクル初期には比較的大きな放電容量を示す特徴を有するが、充放電を繰り返すと、その容量を長く維持することが困難であるという問題がある。また、AB5タイプのLa(またはMm)−Ni系の多元系合金は、近年電極材料として多くの開発が進められ、特にMm−Ni系の多元系合金はすでに実用化されている。このLa(またはMm)−Ni系の多元系合金も比較的放電容量が小さい、電池電極としての寿命性能が不十分である、材料コストが高い、などの問題を有している。したがって、さらに放電容量が大きく長寿命である新規水素吸蔵合金材料が望まれている。

これに対して、AB2タイプのラーバス(Laves)相合金は、水素吸蔵能が比較的高く、高容量かつ長寿命の電極材料として有望である。この合金系については、既にZrーMnーVーCrーNi系合金をはじめ多くの合金が提案されている。しかしながら、AB2タイプのラーバス相合金を電極に用いた場合、Ti−Ni系やLa(またはMm)−Ni系の多元系合金に比べて放電容量は大きいが、充放電サイクルの初期における放電特性が非常に悪いという問題があった。

そこで、Zr−Mn−V−M−Ni系合金(MはFeまたはCoの中から選ばれる少なくとも1種の元素)で組成を調整することにより、高容量を維持したまま初期放電特性を改善する提案がされた(特開平5−82125号公報)。また、少量のCrを添加することにより、初期放電特性を損なわずに高温保存特性を改善するという提案もある(特開平5−347156号公報)。

概要

高容量を維持し、かつアルカリ電解液への溶解が少なく、高温保存特性の優れた電極を与える水素吸蔵合金を提供する。

式ZrMnaVbMxCoyNiz(MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の元素、0.4≦a≦0.8、0.05≦b≦0.3、0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、2.0≦a+b+x+y+z≦2.4)、または式Zr1.2-wTiwMnaVbMxCoyNiz(Mは前記と同じ、0<w≦0.6、0.4≦a≦0.8、0.1≦b≦0.4,0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、1.7≦(a+b+x+y+z)/1.2≦2.2)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である水素吸蔵合金。

目的

しかし、上記前者の提案による合金からなる電極を用いて密閉電池を構成した場合、アルカリ電解液への合金成分の溶出激しく、そのため溶出した元素が導電性酸化物などの形で析出して短絡を生じる不都合があった。また、電池を65℃程度の高温放置すると、すぐに電池電圧が低下するなどの問題があった。上記後者のCrを添加した合金を用いると、高温保存特性が改善されるが、65℃程度の高温における放置期間が30日を越えると、電池電圧が低下するという不都合があった。今日では、電池の信頼性の確保が最重要課題であり、高温中での放置期間が60日を経過しても正常に作動することが求められている。本発明は、以上に鑑み、さらに高温保存特性が改善され、高い信頼性を有するアルカリ蓄電池を与える水素吸蔵合金および電極を提供することを目的とする。

効果

実績

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請求項1

一般式ZrMnaVbMxCoyNiz(ただし、MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.4≦a≦0.8、0.05≦b≦0.3、0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、かつ2.0≦a+b+x+y+z≦2.4)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である水素吸蔵合金

請求項2

一般式Zr1.2-wTiwMnaVbMxCoyNiz(ただし、MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0<w≦0.6、0.4≦a≦0.8、0.1≦b≦0.4,0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、かつ1.7≦(a+b+x+y+z)/1.2≦2.2)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である水素吸蔵合金。

請求項3

前記一般式においてy+z≦1.5である請求項1または2記載の水素吸蔵合金。

請求項4

真空中もしくは不活性ガス雰囲気中において、1000〜1300℃で少なくとも1時間の均質化熱処理を施された請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合金。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵合金またはその水素化物からなることを特徴とする水素吸蔵合金電極

技術分野

0001

本発明は、電気化学的な水素吸蔵・放出を可逆的に行える水素吸蔵合金および同合金またはその水素化物を用いた電極に関する。

背景技術

0002

水素を可逆的に吸収・放出しうる水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極は、理論容量密度カドミウム電極より大きく、亜鉛電極のような変形やデンドライトの形成などもないことから、長寿命・無公害であり、しかも高エネルギー密度アルカリ蓄電池を与える負極として期待されている。この水素吸蔵合金電極に用いられる合金は、通常アーク溶解法高周波誘導加熱溶解法などで作製され、一般的にはTi−Ni系およびLa(またはMm)−Ni系の多元系合金がよく知られている。Ti−Ni系の多元系合金は、ABタイプ(A:La、Zr、Tiなどの水素との親和性の大きい元素、B:Ni、Mn、Crなどの遷移元素)として分類される。ABタイプの合金は、充放電サイクル初期には比較的大きな放電容量を示す特徴を有するが、充放電を繰り返すと、その容量を長く維持することが困難であるという問題がある。また、AB5タイプのLa(またはMm)−Ni系の多元系合金は、近年電極材料として多くの開発が進められ、特にMm−Ni系の多元系合金はすでに実用化されている。このLa(またはMm)−Ni系の多元系合金も比較的放電容量が小さい、電池電極としての寿命性能が不十分である、材料コストが高い、などの問題を有している。したがって、さらに放電容量が大きく長寿命である新規水素吸蔵合金材料が望まれている。

0003

これに対して、AB2タイプのラーバス(Laves)相合金は、水素吸蔵能が比較的高く、高容量かつ長寿命の電極材料として有望である。この合金系については、既にZrーMnーVーCrーNi系合金をはじめ多くの合金が提案されている。しかしながら、AB2タイプのラーバス相合金を電極に用いた場合、Ti−Ni系やLa(またはMm)−Ni系の多元系合金に比べて放電容量は大きいが、充放電サイクルの初期における放電特性が非常に悪いという問題があった。

0004

そこで、Zr−Mn−V−M−Ni系合金(MはFeまたはCoの中から選ばれる少なくとも1種の元素)で組成を調整することにより、高容量を維持したまま初期放電特性を改善する提案がされた(特開平5−82125号公報)。また、少量のCrを添加することにより、初期放電特性を損なわずに高温保存特性を改善するという提案もある(特開平5−347156号公報)。

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、上記前者の提案による合金からなる電極を用いて密閉電池を構成した場合、アルカリ電解液への合金成分の溶出激しく、そのため溶出した元素が導電性酸化物などの形で析出して短絡を生じる不都合があった。また、電池を65℃程度の高温放置すると、すぐに電池電圧が低下するなどの問題があった。上記後者のCrを添加した合金を用いると、高温保存特性が改善されるが、65℃程度の高温における放置期間が30日を越えると、電池電圧が低下するという不都合があった。今日では、電池の信頼性の確保が最重要課題であり、高温中での放置期間が60日を経過しても正常に作動することが求められている。本発明は、以上に鑑み、さらに高温保存特性が改善され、高い信頼性を有するアルカリ蓄電池を与える水素吸蔵合金および電極を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の水素吸蔵合金は、一般式ZrMnaVbMxCoyNiz(ただし、MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.4≦a≦0.8、0.05≦b≦0.3、0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、かつ2.0≦a+b+x+y+z≦2.4)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である。また、本発明の水素吸蔵合金は、一般式Zr1.2-wTiwMnaVbMxCoyNiz(ただし、MはAl、Cr、Fe、CuおよびZnよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、0<w≦0.6、0.4≦a≦0.8、0.1≦b≦0.4,0≦x≦0.3、0.2<y≦0.5、0.8≦z≦1.3、かつ1.7≦(a+b+x+y+z)/1.2≦2.2)で示され、合金相の主成分がC15(MgCu2)型ラーバス相である。

0007

前記の一般式において、y+z≦1.5であることが好ましい。また、前記合金は、合金作製後、真空中もしくは不活性ガス雰囲気中において、1000〜1300℃で少なくとも1時間の均質化熱処理を施されたものであることが好ましい。さらに、本発明の水素吸蔵合金電極は、上記の水素吸蔵合金またはその水素化物から構成される。

0008

本発明の水素吸蔵合金は、従来のZrベースのラーバス相合金およびZr−Tiベースのラーバス相合金をそれぞれ改善したものであり、合金中のCo量を増加することにより、従来合金に比べて合金の微粉化を抑制し、アルカリ電解液への合金組成の溶出を少なくしたものである。Co量、すなわち、前記一般式におけるyが0.2を越えると微粉化抑制の効果が現れ、水素吸蔵放出サイクルを繰り返しても合金粒径がある一定以下にはならない。そのため、合金が割れることにより現れる新生面が少なくなり、アルカリ電解液への合金成分の溶出も少なくなる。従って、本発明の電極を用いて構成したアルカリ蓄電池、例えばニッケル水素蓄電池は、従来のこの種電池に比べて高温保存特性をさらに向上させることが可能になる。また、合金の微粉化が抑制されているので、充放電サイクルを繰り返しても合金が劣化せず、長期にわたって安定した性能を持続できる。しかし、Co量yが0.5を越えるとPCT曲線水素圧力−組成等温線)のプラトー圧が高くなり、放電容量が小さくなる。従って、Co量yの範囲は0.2<y≦0.5が適当である。Co以外の組成範囲は主に350mAh/g以上の放電容量を確保する観点から定められる。高容量電池を作製するためには、負極の容量が350mAh/g程度は必要である。

0009

まず、一般式ZrMnaVbMxCoyNizで表されるZrベースの合金について説明する。Vは水素との親和性の高い元素であり、水素吸蔵−放出量の増加に寄与する。しかし、V量bが0.05より小さいとVの効果が現れない。また、bが0.3を越えると、合金の均質性が悪くなり逆に水素吸蔵−放出量は減少する。従って、V量bは0.05≦b≦0.3がよい。Niは水素吸蔵−放出量の低下を引き起こすが、電気化学的な水素の吸蔵−放出に対する活性の向上に寄与する。通常、Ni量zが1.0より小さいと電気化学的な活性に乏しく放電容量が小さくなるが、Niと同様に電気化学的な水素の吸蔵−放出に対する活性の向上にも寄与するCoが0.2<y≦0.5の範囲で含まれているため、Ni量zは0.8以上あればよい。しかし、zが1.3より大きくなると、プラトー圧が大きくなり水素吸蔵−放出量が減少する。従って、Ni量zは0.8≦z≦1.3が適当である。また、NiとCoは電気化学的な水素の吸蔵−放出に対する活性を有するという点で似た元素であり、Ni+Co量(y+z)が1.5以下であれば、特に水素吸蔵−放出量が大きくなる。従って、y+z≦1.5であることが望ましい。

0010

MnはPCT曲線におけるプラトー領域平坦性に影響を及ぼし、Mn量aが0.4以上でその平坦性が非常に良くなり、放電容量が増加する。しかし、Mn量aが0.8を越えると、Mnの電解液への溶出が激しくなり微粉化抑制の効果が現れない。従って、Mn量aは0.4≦a≦0.8が適当である。M(Al、Cr、Fe、Cu、Zn)は、充放電サイクルによる放電容量の低下を抑える元素であり、M量xが0.3以下であれば効果を発揮する。しかし、M量xが0.3を越えると合金の均質性の低下やプラトー圧の上昇などを招き、放電容量が低下する。故に、0≦x≦0.3が適当である。Aサイト原子数に対するBサイト原子数の比率(a+b+x+y+z)は2.0以上になると、合金の均質性が大きく向上し、放電容量が大きくなる。しかし、2.4より大きくなると、結晶格子定数が非常に小さくなるためにプラトー圧が上昇し、放電容量の低下を招く。従って、2.0≦a+b+x+y+z≦2.4であることが適当である。

0011

次に一般式Zr1.2-wTiwMnaVbMxCoyNizで表されるZr−Tiベースの合金について説明する。この合金において、TiはZrと同様にAサイトを占める元素である。そして、Tiは原子半径が小さいためにTi量がZr量より大きくなると、合金の結晶格子定数が非常に小さくなるので、水素吸蔵−放出量は大きく低下する。従って、Ti量はZr量より小さいことが必要である。Tiを含むことにより、Zrベースの合金に比べて結晶格子定数は低下するので、その分原子半径の大きなV量の上限および下限を上げる必要がある。よって、V量bは、0.1≦b≦0.4が適当である。Mn、M、Niについては、上記のZrベースの合金の場合と同様である。Aサイト原子数に対するBサイト原子数の比率(a+b+x+y+z/1.2)に関しては、Tiを含むために2.2より大きくなると、結晶格子定数の低下が起こるので2.2以下がよい。下限は1.7まで下げても合金の均質性の顕著な低下は見られない。従って、1.7≦(a+b+x+y+z)/1.2≦2.2が適当である。

0012

また、ZrベースおよびZr−Tiベースのいずれの合金においても、合金作製後、均質化熱処理を行うことにより、合金の均質性および結晶性が向上するので、放電容量が特に大きくなる。しかし、熱処理温度が1000℃より低いと熱処理の効果がなく、1300℃より高いと多量のMnが蒸発して合金組成が大きくずれるため、逆に放電容量は小さくなる。熱処理時間は1時間より短いと熱処理の効果が現れない。また、合金の酸化を防ぐために、熱処理は真空中もしくは不活性ガス雰囲気中で行う方がよい。したがって、合金作製後、1000〜1300℃の真空中もしくは不活性ガス雰囲気中で1時間以上の均質化熱処理を行うことが好ましい。

0013

以下に、本発明をその実施例によりさらに詳しく説明する。
[実施例1]市販のZr、Mn、V、Co、Ni、Al、Fe、CuおよびZnの各金属を原料として、アルゴン雰囲気中、アーク溶解炉加熱溶解することにより、表1に示す組成の合金を作製した。ただし、Mn量aが0.8以上のものは、アーク炉で作製すると多量のMnが蒸発し、目的合金を得ることが困難であるため、誘導加熱炉で作製した。次いで、真空中、1100℃で12時間熱処理し、合金試料とした。

0014

0015

試料No.1〜7は比較例であり、試料No.8〜22は本発明の水素吸蔵合金のいくつかの実施例である。まず、微粉化の進行度合いについて調べた。表1の試料No.1〜22の合金をステンレス鋼製の測定容器に入れ、150℃においてロータリーポンプ脱ガスした後、20℃で水素を吸蔵させ、150℃で放出させるというサイクルを75サイクル繰り返した後、合金を取り出して平均粒径を測定した。その結果、Co量の少ない試料No.4および5では、10ミクロン程度まで微粉化しているのに対して、Co量の多い試料No.1〜3、6〜22では、20〜25ミクロン程度の粒径を維持していることがわかった。

0016

次に、表1の試料No.1〜22の合金について、電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極としての電極特性を評価するために単電池試験を行った。合金を300メッシュ以下の粒径になるように粉砕し、この合金粉末1gと導電剤としてのカーボニルニッケル粉末3gおよび結着剤としてのポリエチレン微粉末0.12gを十分混合攪拌し、プレス加工により直径24.5mm、厚み2.5mmの円板状に成形した。これを真空中、130℃で1時間加熱し、結着剤を溶融させて水素吸蔵合金電極とした。この水素吸蔵合金電極にニッケル線リードを取り付けた負極を、過剰の容量を有する焼結式ニッケル電極からなる正極およびポリアミド不織布からなるセパレータと組み合わせ、比重1.30の水酸化カリウム水溶液からなる電解液中において、25℃で一定電流充電と放電を繰り返し、各サイクルでの放電容量を測定した。なお、充電は水素吸蔵合金1gあたり100mAで5時間行い、放電は同様に1gあたり50mAで行い、0.8Vでカットした。試料No.1〜3、6、7は放電容量が小さく、250〜300mAh/gであった。試料No.1はMn量が多いため、サイクルによる放電容量の劣化が大きく、試料No.2、3、6は水素吸蔵量自体が小さいため、放電容量も小さくなった。また、試料No.7はNi量が少ないために電気化学的な水素の吸蔵−放出に対する活性が小さく、放電容量が減少したと考えられる。これらに対して、試料No.4、5、8〜22は、いずれも350〜380mAh/gの放電容量を示すことがわかった。

0017

さらに、これらの水素吸蔵合金を用いて、以下に示したような方法で密閉型ニッケル−水素蓄電池を作製した。表1に示した試料No.1〜22の合金を300メッシュ以下に粉砕し、それぞれカルボキシメチルセルローズCMC)の希水溶液混合攪拌してペースト状にし、電極支持体である平均ポアサイズ150ミクロン、多孔度95%、厚さ1.0mmの発泡状ニッケルシート充填した。これを120℃で乾燥してローラープレス加圧し、さらにその表面にフッ素樹脂粉末コーティングして水素吸蔵合金電極とした。この電極をそれぞれ幅3.3cm、長さ21cm、厚さ0.40mmに調整し、リード板を所定の2カ所に取り付けた。そして、容量3.0Ahの正極およびセパレータと組み合わせて渦巻き状に捲回してSCサイズの電槽収納した。このときの正極は公知の発泡式ニッケル電極であり、幅3.3cm、長さ18cmのサイズのものを用いた。この正極もリード板を2カ所に取り付けた。また、セパレータには親水性を付与したポリプロピレン不織布を使用し、電解液としては、比重1.20の水酸化カリウム水溶液に水酸化リチウムを30g/l溶解したものを用いた。上記のように電極群および電解液を収容した電槽を封口して密閉型電池とした。

0018

このようにして作製した電池を、20℃において、0.5C(2時間率)で150%まで充電し、0.2C(5時間率)で終止電圧1.0Vまで放電する充放電を20サイクル繰り返し、その後65℃の雰囲気中に放置した。図1に保存期間に対する各電池電圧プロットして示す。図中の番号は表1の試料No.と一致している。試料No.1、4は保存期間が20日、試料No.5は保存期間が30日を過ぎると、それぞれ電池電圧が急激に低下した。試料No.1はMn量が多いため、Co量を増加して微粉化を抑制してもMnの溶出を抑えることができず、また試料No.4、5はCo量が少ないために微粉化が進行し、合金成分の溶出を抑制できなかったものと考えられる。それに対して、試料No.2、3、6〜22は、Co量yが0.3以上含まれているために微粉化が抑えられ、60日の保存でも電池電圧の低下が非常に小さいことがわかった。また、Co量の多い試料No.2、3、6〜22は、300サイクル経過しても安定した性能を維持できることがわかった。以上のように、微粉化実験、単電池試験、高温保存試験の結果を総合すると、本発明の合金No.8〜22は350mAh/g以上の放電容量を有し、かつ高温保存60日でも電池電圧の低下が非常に小さいことがわかった。

0019

[実施例2]市販のZr、Ti、Mn、V、Co、Ni、Al、Fe、CuおよびZnの各金属を原料として、アルゴン雰囲気中、アーク溶解炉で加熱溶解することにより、表2に示す組成の合金を作製した。ただし、Mn量aが0.8以上のものはアーク炉で作製すると多量のMnが蒸発し、目的合金を得ることが困難であるため、誘導加熱炉で作製した。次いで、真空中、1100℃で12時間熱処理し、合金試料とした。

0020

0021

試料No.23〜30は比較例であり、試料No.31〜46は本発明の水素吸蔵合金のいくつかの実施例である。まず、実施例1と同様に表2の試料No.23〜46の合金について微粉化の進行度合いについて調べた。その結果、Co量の少ない試料No.26、27は10ミクロン程度まで微粉化しているのに対して、Co量の多い試料No.23〜25、28〜46は20〜25ミクロン程度の粒径を維持していることがわかった。

0022

次に、表2の試料No.23〜46の合金について、電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極としての電極特性を評価するために単電池試験を行った。試験方法は実施例1と同様である。試料No.23〜25、28〜30は放電容量が小さく、250〜300mAh/gであった。試料No.23はMn量が多いため、サイクルによる放電容量の劣化が大きく、試料No.24、25、28、30は水素吸蔵量自体が小さいため、放電容量も小さくなった。また、試料No.29はNi量が少ないために電気化学的な水素の吸蔵−放出に対する活性が小さく、放電容量が減少したと考えられる。それに対して、試料No.26、27、31〜46は、いずれも350〜380mAh/gの放電容量を示すことがわかった。

0023

さらに、表2に示した試料No.23〜46の合金を用いて、実施例1と同様の方法で密閉型ニッケル−水素蓄電池を作製し、20℃において、0.5C(2時間率)で150%充電し、0.2C(5時間率)で終止電圧1.0Vまで放電する充放電を20サイクル繰り返し、その後65℃の雰囲気中に放置した。図2に保存による各電池電圧の変化を示す。図中の番号は表2の試料No.と一致している。試料No.23、26は保存期間が20日、試料No.27は保存期間が30日を過ぎると、それぞれ電池電圧が急激に低下した。試料No.23はMn量が多いため、Co量を増加して微粉化を抑制してもMnの溶出を抑えることができず、また試料No.26、27はCo量が少ないために微粉化が進行し、合金組成の溶出を抑制できなかったものと考えられる。それに対して、試料No.24、25、28〜46はCo量yが0.3以上含まれているために微粉化が抑えられ、60日の保存でも電池電圧の低下が非常に小さいことがわかった。また、Co量の多い試料No.24、25、28〜46は300サイクル経過しても安定した性能を維持できることがわかった。以上のように、微粉化実験、単電池試験、高温保存試験の結果を総合すると、本発明の合金No.31〜46は350mAh/g以上の放電容量を有し、かつ高温保存60日でも電池電圧の低下が非常に小さいことがわかった。

発明の効果

0024

本発明の水素吸蔵合金は、充放電による微粉化が抑制され、アルカリ電解液への合金成分の溶出が少なくなる。したがって、この合金を負極とするアルカリ蓄電池は従来のこの種電池に比べて高温保存特性をさらに向上させることができ、優れたサイクル寿命特性も得られる。

図面の簡単な説明

0025

図1本発明の実施例および比較例の水素吸蔵合金電極を用いた蓄電池の65℃保存中の電池電圧の変化を示す図である。
図2本発明の他の実施例および比較例の水素吸蔵合金電極を用いた蓄電池の65℃保存中の電池電圧の変化を示す図である。

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