図面 (/)

技術 低熱収縮性ポリエステルフィルム

出願人 東レ株式会社
発明者 宮川克俊豊田勝也饗場美加
出願日 1994年11月9日 (26年0ヶ月経過) 出願番号 1994-274870
公開日 1996年5月28日 (24年5ヶ月経過) 公開番号 1996-132523
状態 拒絶査定
技術分野 プラスチック等の延伸成形、応力解放成形 高分子成形体の製造
主要キーワード 数値微分 微小ピーク コルク製 伸び強度 熱膨張分 伸縮挙動 電気絶縁用材料 不可逆変化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年5月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

構成

ポリエステルからなる二軸配向フィルムにおいて、熱機械特性試験機による昇温・降温時の伸縮量から求めたフィルム機械方向の真の収縮量微分曲線において、ガラス転移点以上200℃以下の範囲で収縮量微分値dL/dTが常に0.01%/℃以下であり、フィルム機械方向の190℃で20分の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする低熱収縮性ポリエステルフィルム

効果

本発明のポリエステルフィルムにより、熱収縮が小さく、また平面性の良いフィルムをコストアップすることなく得ることができ、OHPや電気絶縁材料などにおいて、収縮カール、たるみなどの問題が生じることのない、しかも、安価な材料を提供することが可能になる。

概要

背景

ポリエステルフィルムは、その物理的、熱的特性に応じて、さまざまな分野で利用されている。特に、縦方向、横方向の二軸方向に延伸をかけたポリエステルフィルムは、機械的特性などに優れるため、より好ましく用いられている。特に、ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PETとも称する)やポリエチレン−2,6−ナフタレート(PENとも称する)は、その機械的、熱的特性が優れ、また特にPETは低価格であることなどから、広い分野で用いられている。

ここで、ポリエステルの二軸延伸フィルムにおいては、延伸により分子配向をかけることで、強度などの機械的特性を向上させているが、逆に延伸による歪が分子鎖残留するため、熱をかけることによりこの分子鎖の歪が解放され、収縮するという性質を持っている。この収縮特性を利用して、包装用シュリンクフィルムなどへ展開されているが、一般には、この収縮特性は障害となることが多い。そこで、二軸延伸後に横延伸に用いられるテンタの中で、横延伸に引続き熱処理熱固定とも呼ばれる)を行うことで、この分子鎖の歪を解放する手段が行われている。一般に、この熱処理の温度に応じて熱収縮量は低下していくが、この熱処理だけでは完全に歪を除去することはできず、熱収縮が残留するという問題があった。

そこで、この残留する歪を除去するために、テンタのレール幅先細りになるようにして(トウインリラックスなどと呼ばれる)、幅方向に若干収縮させるようにして、この残留歪を完全除去する方法が採用されている。しかし、この方法では、幅方向の熱収縮は除去可能であるが、機械方向の熱収縮を除去することはできない。このため、機械方向の熱収縮を除去する方法について、過去からいろいろな方法が検討されてきた。例えば、特公平4−28218号公報に示されるように、テンタのクリップ間隔が徐々に狭くなるようにすることで、機械方向にリラックス処理を行う方法が提案されている。この方法では、機械的な問題で、リラックスの量に上限があり、またリラックスの量を大きくすると、リラックス処理前クリップの間隔が広くなり、クリップ把持部と非把持部の物性のむらが大きくなるという問題があり、熱収縮の低減効果が十分でないといった問題があった。また、一旦フィルム巻取った後に、ゆっくりと巻き出しながらオーブン加熱処理し、その際に機械方向に速度差をつけてリラックス処理を行う方法が行われている。しかしながら、この方法ではリラックス加工を行うためにコストが高くなる問題がある。また、特公昭60−226160号公報に示されるように、フィルムの製造工程中に、オーブンによる機械方向のリラックス処理装置を設ける方法が提案されているが、フィルムの製造速度との兼ね合いで、処理温度を高めるとフィルムの平面性が悪化するため、温度をあまり高められず、結果として、特に150℃や200℃といった高温にさらされた際の熱収縮が十分に除去されないといった問題があった。

概要

ポリエステルからなる二軸配向フィルムにおいて、熱機械特性試験機による昇温・降温時の伸縮量から求めたフィルム機械方向の真の収縮量微分曲線において、ガラス転移点以上200℃以下の範囲で収縮量微分値dL/dTが常に0.01%/℃以下であり、フィルム機械方向の190℃で20分の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする低熱収縮性ポリエステルフィルム。

本発明のポリエステルフィルムにより、熱収縮が小さく、また平面性の良いフィルムをコストアップすることなく得ることができ、OHPや電気絶縁材料などにおいて、収縮やカール、たるみなどの問題が生じることのない、しかも、安価な材料を提供することが可能になる。

目的

このように、二軸延伸フィルムの宿命である熱収縮を、特に機械方向について安価に、十分に低減させ、かつ平面性の良いポリエステルフィルムを提供することを目的とし、鋭意検討の結果、フィルムがある特性を満たすように製造することにより、熱収縮による問題を生じさせずに平面性の良いフィルムを得ることに成功したものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
7件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ポリエステルからなる二軸配向フィルムにおいて、熱機械特性試験機による昇温・降温時の伸縮量から求めたフィルム機械方向の真の収縮量微分曲線において、ガラス転移点以上200℃以下の範囲で収縮量微分値dL/dTが常に0.01%/℃以下であり、フィルム機械方向の190℃で20分の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする低熱収縮性ポリエステルフィルム

請求項2

示差走査熱量計による融解吸熱ピークにおいて、ピーク開始温度からピークの頂点の温度までの間に、重なって微小吸熱のピークが存在することを特徴とする請求項1に記載の低熱収縮性ポリエステルフィルム。

請求項3

ポリエステルからなる二軸配向フィルムがポリエチレンテレフタレートであって、該二軸配向フィルムの密度が1.40g/cm3 以上、該二軸配向フィルムの厚み方向の屈折率が1.500以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低熱収縮性ポリエステルフィルム。

技術分野

0001

本発明は二軸延伸されたポリエステルフィルムに関わるものである。更に詳しく言えば、熱収縮率を低減し、かつ平面性も良好なポリエステルフィルムに関するもので、複写機プリンタなどに使用されるオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用のシート製図用原紙モータトランスなどにおける電気絶縁用材料など、比較的高温にさらされる用途に利用されるものである。

背景技術

0002

ポリエステルフィルムは、その物理的、熱的特性に応じて、さまざまな分野で利用されている。特に、縦方向、横方向の二軸方向に延伸をかけたポリエステルフィルムは、機械的特性などに優れるため、より好ましく用いられている。特に、ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PETとも称する)やポリエチレン−2,6−ナフタレート(PENとも称する)は、その機械的、熱的特性が優れ、また特にPETは低価格であることなどから、広い分野で用いられている。

0003

ここで、ポリエステルの二軸延伸フィルムにおいては、延伸により分子配向をかけることで、強度などの機械的特性を向上させているが、逆に延伸による歪が分子鎖残留するため、熱をかけることによりこの分子鎖の歪が解放され、収縮するという性質を持っている。この収縮特性を利用して、包装用シュリンクフィルムなどへ展開されているが、一般には、この収縮特性は障害となることが多い。そこで、二軸延伸後に横延伸に用いられるテンタの中で、横延伸に引続き熱処理熱固定とも呼ばれる)を行うことで、この分子鎖の歪を解放する手段が行われている。一般に、この熱処理の温度に応じて熱収縮量は低下していくが、この熱処理だけでは完全に歪を除去することはできず、熱収縮が残留するという問題があった。

0004

そこで、この残留する歪を除去するために、テンタのレール幅先細りになるようにして(トウインリラックスなどと呼ばれる)、幅方向に若干収縮させるようにして、この残留歪を完全除去する方法が採用されている。しかし、この方法では、幅方向の熱収縮は除去可能であるが、機械方向の熱収縮を除去することはできない。このため、機械方向の熱収縮を除去する方法について、過去からいろいろな方法が検討されてきた。例えば、特公平4−28218号公報に示されるように、テンタのクリップ間隔が徐々に狭くなるようにすることで、機械方向にリラックス処理を行う方法が提案されている。この方法では、機械的な問題で、リラックスの量に上限があり、またリラックスの量を大きくすると、リラックス処理前クリップの間隔が広くなり、クリップ把持部と非把持部の物性のむらが大きくなるという問題があり、熱収縮の低減効果が十分でないといった問題があった。また、一旦フィルム巻取った後に、ゆっくりと巻き出しながらオーブン加熱処理し、その際に機械方向に速度差をつけてリラックス処理を行う方法が行われている。しかしながら、この方法ではリラックス加工を行うためにコストが高くなる問題がある。また、特公昭60−226160号公報に示されるように、フィルムの製造工程中に、オーブンによる機械方向のリラックス処理装置を設ける方法が提案されているが、フィルムの製造速度との兼ね合いで、処理温度を高めるとフィルムの平面性が悪化するため、温度をあまり高められず、結果として、特に150℃や200℃といった高温にさらされた際の熱収縮が十分に除去されないといった問題があった。

発明が解決しようとする課題

0005

このように、二軸延伸フィルムの宿命である熱収縮を、特に機械方向について安価に、十分に低減させ、かつ平面性の良いポリエステルフィルムを提供することを目的とし、鋭意検討の結果、フィルムがある特性を満たすように製造することにより、熱収縮による問題を生じさせずに平面性の良いフィルムを得ることに成功したものである。

課題を解決するための手段

0006

この目的に沿う本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルからなる二軸配向フィルムにおいて、熱機械特性試験機(以下、TMAと言う)による昇温・降温時の伸縮量から求めたフィルム機械方向の真の収縮量微分曲線において、ガラス転移点以上200℃以下の範囲で収縮量微分値dL/dTが常に0.01%/℃以下であり、フィルム機械方向の190℃で20分の熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする低熱収縮性ポリエステルフィルムである。

0007

以下、本発明を詳細に説明する。

0008

本発明で言うポリエステルとは、ジオールジカルボン酸とから縮重合により得られるポリマであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸イソフタル酸フタル酸ナフタレンジカルボン酸アジピン酸、セバチン酸、などで代表されるものであり、また、ジオールとは、エチレングリコールトリメチレングリコールテトラメチレングリコールシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエートポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどがあげられる。もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリマであってもコポリマであっても良く、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコールネオペンチルグリコールポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分があげられる。本発明の場合、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが機械的強度耐熱性耐薬品性耐久性などの観点から好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートは、その価格が安いことからも好ましい。

0009

また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば酸化防止剤帯電防止剤結晶核剤無機粒子有機粒子などが添加されていてもよい。特に、無機粒子や有機粒子はフィルム表面に易滑性を与え、フィルムの取扱い性を高めるために有効である。

0010

また、該フィルムは積層構造をとっていることも好ましい。積層構造としては、共押出による積層、塗布による積層などが挙げられる。塗布による積層として、フィルムを横延伸する前に塗材をフィルムに塗布して、テンタ内で溶媒の乾燥、横延伸、熱処理を行う方法が好ましく行われる。これらの積層構造は、主にその用途に応じた表面特性を付与するために行われる。例えばインクトナーなどの易接着性静電気を抑える帯電防止性など多用な特性の付与が可能である。

0011

本発明における二軸配向フィルムとは、フィルムの機械方向と、機械方向と直角な方向(幅方向)に、延伸を行ったフィルムを言う。具体的には、溶融押出し、実質的に無配向なフィルムを、機械方向に延伸後、幅方向に延伸するもの、幅方向に延伸後、機械方向に延伸するもの、あるいは機械方向、幅方向同時に延伸するもの、また機械方向の延伸、幅方向の延伸を複数回組み合わせて行ってもよい。

0012

本発明においては、熱機械特性試験機(Thermo MechanicalAnalyzerを略して、TMAと言う)による昇温・降温時の伸縮量から求めた、フィルム機械方向の真の収縮量の微分曲線において、該ポリエステルのガラス転移点以上200℃以下の範囲で、収縮量微分値dL/dTが、常に0.01%/℃以下である必要がある。TMAとは、電気炉の中にセットしたフィルムに無荷重あるいは一定の荷重をかけておいて、長さの変化を炉の温度を一定速度で昇温、あるいは降温しながら測定する装置で、温度変化に伴うフィルムの伸縮量が測定できるものである。ここで、一般に二軸配向フィルムの機械方向についてTMAにより伸縮量測定した場合の挙動を説明する。一定速度で昇温していくと、ポリマの熱膨張により、フィルムが伸長する。この熱膨張は可逆的な挙動であり、温度が下がれば元の長さに戻っていく。昇温を続けると、ポリマのガラス転移点近傍から、熱膨張に加えて、延伸による歪が解放されるため、フィルムが収縮を始める。この収縮は、一旦収縮すると元に戻らない不可逆変化である。ここで実際に測定されているのは、この熱収縮から熱膨張を引いた値である。次に、ある温度まで昇温してから一定温度で降温すると、可逆的な熱膨張分が元の長さに戻るための収縮が起きる。これら一連の挙動を図1に示す。ここで、筆者らは、二軸配向ポリエステルフィルム低熱収縮化を図るにあたって、上述の可逆的な伸縮挙動不可逆的な収縮挙動を分離する必要があると気づき、以下のような処理を行った。すなわち、上述の昇温時の測定曲線は、可逆伸縮と不可逆収縮が合わせられたものであり、降温時の測定曲線は可逆伸縮のみが表現されている。そこで、TMAからの測定出力を、ADコンバータを介してデジタル値に変換してコンピュータ取込み数値化した。ここで、昇温曲線と降温曲線の室温における長さを、それぞれ0として、表現し直してから、昇温曲線から降温曲線の値を差引く処理を行った。この処理により、可逆的な伸縮分が消去され、不可逆収縮のみを表した曲線(Lとする)を得ることができる。この曲線を、真の収縮量の曲線と呼ぶことにする。次に、この曲線を、ダグラス・アバキアン法により温度Tで数値微分して、真の収縮量の微分曲線(dL/dT)を得た。この微分曲線により、どの温度でどれだけの収縮が生じているかを調べることができる。すなわち、横軸(温度軸)と微分曲線で囲まれた部分の面積が不可逆的な伸縮量になっている。これらの処理を図2に示す。なお、これらの処理の詳細な方法は後述する。筆者らは、フィルムをTMAにて測定し、上述の処理を行うことにより、フィルムの不可逆的な収縮挙動を解析し、二軸配向フィルムの低熱収縮化にはフィルム機械方向について、上述の真の収縮量の微分曲線において、該ポリエステルのガラス転移点以上200℃以下の範囲で収縮量微分値dL/dTが、常に0.01%/℃以下であることが必要であることを見いだした。すなわち、通常の方法で製造されたフィルムは、図3に示すようにガラス転移点から150℃の間に一つのdL/dTのピークを有し、また、150℃以上の領域に二つ目のピークを有している。これらは共に0.01%/℃を超えるような大きなピークであり、熱収縮を増大させている。筆者らは、鋭意検討してガラス転移点から200℃までの範囲でdL/dTを0.01%/℃以下にする方法を見いだし、このような条件を満たすフィルムは熱収縮を非常に低く抑えることができることを見いだした。

0013

本発明においては、フィルム機械方向の190℃で20分の熱収縮率が1.0%以下であることが必要である。1.0%を超えると、各用途において、使用の最中にフィルムが収縮し、カールや部分的なたるみなどの平面性悪化を招いたり、収縮による締付けなどの不具合が生じる。特に、最近は、複写機やプリンタ、印刷機などの機械において、高速化のためにかなりの熱のかかる物があり、そのために、190℃といった高温の熱収縮率が小さい必要がある。

0014

また、本発明においては、示差走査熱量計DSC)による融解吸熱ピークにおいて、ピークの開始温度からピークの頂点の温度までの間に、重なって微小吸熱のピークが存在することが好ましい。この微小なピークは、主にフィルムの熱処理温度に相当する温度に観測される。すなわち、熱処理によって形成された結晶構造のうち、不完全な部分が融解するために生じる現象である。前述したように、150℃以上の領域の不可逆収縮は、延伸による歪が残留していることにより生じており、この歪を完全に除去するためには、フィルムの結晶構造が一部融解するような温度で処理することが好ましいことを筆者らは見いだした。そのために、熱処理によって観測される微小な吸熱のピークが、ポリエステルの本来の結晶融解ピークの開始温度から頂点の温度までの間に観測されることが好ましい。なお、フィルムの配向状態によっては、この微小ピークが小さくなることがあり、現実的な観測ができないこともある。

0015

さて、前述したように、本発明においては、ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが、その特性、価格の点から言って好ましい。ここで、PETを用いた場合、該フィルムの密度が1.40g/cm3以上であることが好ましい。さらに好ましくは、1.401g/cm3 以上である。ポリエチレンテレフタレートは、その結晶化度に応じて密度が増大する。一般に完全非晶状態のPETの密度は1.335g/cm3 と言われており、完全結晶の密度は文献により異なるが、1.455g/cm3 あるいは、1.501g/cm3 などと言われている。ここで熱収縮を抑えるためには、できるだけ結晶化度を高めることが好ましく、つまり該フィルムの密度が高い方が好ましいものである。一般に、PETを通常の方法で製造すると、フィルムの密度は1.38から1.40程度になるが、これでは熱収縮の低減が十分にできない。

0016

また、本発明においてはPETを用いた場合、該フィルムの厚み方向の屈折率が1.500以上であることが好ましい。さらに好ましくは1.505以上である。屈折率はフィルムの配向状態を示し、熱収縮を抑えるためには、フィルム面の配向を低く抑えることが好ましく、厚み方向の屈折率を高くすることが好ましい。通常の方法で製造するとフィルムの厚み方向の屈折率は1.480から1.500程度になるが、これでは熱収縮の低減が十分にできない。なお、一般に厚み方向の屈折率を高める、すなわちフィルム面の配向を落すために、延伸条件を弱めることが行われるが、そのような条件をとるとフィルムの強度を落すことになる。本発明においては、フィルムの強度の代表値として、例えば2%伸び時の強度(F2値)は、機械方向、幅方向とも8kg/mm2 以上あることが好ましい。さらに好ましくは8.5kg/mm2 以上である。

0017

次に本発明の製造法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。

0018

ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、樹脂により、乾燥条件押出条件延伸温度などの条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールのエステル交換により、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得た。次にこのBHTを重合槽移行し、撹拌しながら真空下で280℃に加熱して重合反応を進めた。ここで撹拌のトルクを検出して、所定のトルクになったところで反応を終了した。

0019

次に重合したポリエチレンテレフタレートのペレットを、180℃で5時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイよりシート状に押出す。この溶融されたシートをドラム表面温度25℃に冷却されたドラム上に静電気力により密着固化し、実質的に非晶状態の成形フィルムを得る。このフィルムを80〜120℃の加熱ロール群で加熱し縦方向に3〜6倍一段もしくは多段階縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、テンタへ導いて、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、80〜140℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、横方向に3〜6倍に横延伸する。

0020

ここで、本発明におけるフィルムを得るためにはフィルムの機械方向について、まず150℃以上におけるdL/dTのピークを抑える必要があり、そのための一つの方法として、熱処理の温度をポリエステルの融点近くまで高める方法がある。すなわち、こうして二軸延伸されたフイルムを平面性、寸法安定性を付与するために熱処理を行なうが、その温度をDSCにおける融解の吸熱ピークの開始温度からピークの頂点の温度までの間に設定するものである。ポリエチレンテレフタレートの場合には、240から255℃に設定することで、上述のような特性を得ることができる。また、このような熱処理温度にすることで、フィルムの密度が上がり、結晶化度を高め、より好ましい状態のフィルムを得ることができる。しかしながら、このような熱処理温度を取るだけでは、ガラス転移点から150℃の範囲におけるdL/dTを下げることが不可能である。すなわち、このような高温から冷却することにより、高温時の熱膨張分が冷却するにつれ、可逆的に収縮するため、歪が蓄積され、ガラス転移点から150℃といった範囲にdL/dTのピークが発現してくるものである。そこで、このピークを抑えるために、テンタの熱処理から冷却する工程において、この冷却に伴う可逆収縮分を吸収するような機械方向のリラックスをかけることが好ましい。このリラックス処理としては、各種の方法が考えられるが、特に平面性を維持するためには、フィルムをテンタのクリップで把持しながらクリップの間隔を縮めていく方法が好ましい。また、必要に応じてテンタのレール幅を狭める、幅方向のリラックス処理を行い、室温まで徐冷して巻き取ることで、本発明のフィルムを得た。このようにリラックス処理を行うことで、フィルムの配向状態を制御することができ、厚み方向の屈折率を1.500以上に制御することが可能となる。

0021

(1)ガラス転移点
サンプルをアルミパンに約5mg採取し、ホットプレート上で300℃に加熱し、5分保持してから、液体窒素に浸して急冷した後、サンプルを量し、セイコー電子工業株式会社製“ロボット”DSCRDC220に、データ解析SSC5200Hを用いて、昇温速度20℃/分でガラス転移点を測定した。

0022

(2)融解の吸熱ピーク
(1)と同様の装置を用い、ただしホットプレート上の加熱、液体窒素急冷を行わずに、サンプルを約5mg採取秤量して、そのまま昇温速度20℃/分で測定した。融解のピークに付随する、微小な吸熱のピークが観測しにくい場合は、データ解析部にてピーク付近を拡大して、ピークを読みとった。

0023

(3)熱機械特性試験機(TMA)による真の収縮量の微分曲線
サンプルを幅2mmにサンプリングし、試長15mmになるように、真空理工株式会社製TMA TM−3000、および加熱制御部TA−1500にセットした。ここで伸縮量の出力を記録計に描かせるとともに、カノープス電子株式会社製ADコンバータADX−98Eを介して、日本電気株式会社製パーソナルコンピュータPC−9801にデータを取込むように設置した。ここで荷重を1gかけ、室温から昇温速度10℃/分でTMAを昇温し、200℃まで昇温したら、10℃/分で室温まで降温した。この際の昇・降温時の伸縮量を、1℃ごとにパーソナルコンピュータに取込み、このデータを、ロータス株式会社製表計算ソフト1−2−3に取込んだ。このデータを表計算ソフト上で、昇温時のデータ、および降温時のデータそれぞれを30℃における伸縮量の値を0%として、各温度における値を、30℃からの伸びあるいは縮み量(試長15mmで割って100を掛けて、%表示とする)に変換する。このときの昇温時の伸縮量をLu(%)、降温時の伸縮量をLd(%)として、L=Lu−Ld(%)を各温度で計算して、Lを真の収縮量とした。次に、このLを温度Tによって、表計算ソフト上で数値微分した。数値微分の方法は、ダグラス・アバキアン法により(例えば、平田、須田、本著、「パソコンによる数値計算」株式会社書店34頁に記載)行った。

0024

なお、Lにおいてノイズなどによる細かな変動が大きい場合には、5℃づつの移動平均を取り、スムージングしてから微分処理を行った。移動平均とは、例えばT1 におけるLの値を、(T1 −2)〜(T1 +2)℃までの5点のLの平均値で表す方法である。

0025

(4)190℃20分の熱収縮率
サンプルを幅10mm、長さ約250mmにサンプリングし、約200mmの間隔で点を打ち、間隔を定規により正確に測定し、L0 (mm)とする。このサンプルを、190℃に加熱されたオーブン中で20分間処理し、室温で放冷してから、再び点の間隔を定規で正確に測定して、L(mm)とする。ここで、
熱収縮率=[(L0 −L)/L0 ]×100(%)
とし、5サンプルの平均値を採用した。

0026

(5)フィルムの密度
n−ヘプタン四塩化炭素により、25℃の恒温槽中で密度勾配管を作成し、5mm角程度の大きさにサンプリングしたサンプルを投入後、24時間してから、勾配管中の位置を読みとり、密度を求めた。

0027

(6)厚み方向の屈折率
株式会社アタゴ製のアッベ屈折計4型を用い、接眼レンズ部に偏光板を挿入して、屈折計のプリズムに、よう化メチレン中間液として1滴垂らして、サンプルを乗せ、その上に、さらによう化メチレンを1滴垂らして、屈折率1.70の測定用プリズムを乗せて、サンプルの機械方向および幅方向から測定を行い、またサンプルの表裏面両面から測定を行い、それぞれの方向、面から測定された厚み方向の屈折率の平均値を採用した。

0028

(7)2%伸び強度(F2値)
株式会社オリエンテック製フィルム強伸度自動測定装置テンシロン”AMFRTA−100を用いて、幅10mm、試長100mm、引張速度300mm/分にて測定し、試料が2%すなわち、2mm伸長した際の強度を、幅および厚みで割り、F2値(kg/mm2 )とした。

0029

(8)平面性
フィルムをコルク製の台上に広げて、表面が不織布やスポンジ状の棒で表面をならして、フィルムと台の間の空気を完全に排除する。その後3分間放置した後に、フィルムの状態を観察し、台からフィルムが浮き上がった部分の個数を数えた。浮き上がった部分の個数が、5個以下のものを○、15個以上のものを×、その間のものを△とした。

0030

以下、本発明を実施例に基づいて説明する。

0031

実施例1
極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点温度69℃)のペレットを180℃で5時間真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機に供給し、Tダイよりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気力で密着固化した未延伸フィルム得た。

0032

該未延伸フィルムを80〜100℃の加熱ロール群で加熱し縦方向に3.3倍1段階で縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却した。続いて、テンタへ導き、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、90℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、95℃の熱風雰囲気中で横方向に3.5倍に横延伸した。

0033

こうして二軸延伸されたフイルムをそのまま、テンタ中で引続き、250℃の熱処理を行ない、熱処理後徐冷しながら、テンタのレール幅を縮めて幅方向に5%、またテンタのクリップの間隔を縮めて機械方向に2%リラックス処理を施し、テンタから取出し、フィルムの両端部のエッジ部分トリミングして巻きとり、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0034

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、図4に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から200℃までの範囲で、収縮のピークが見られず、熱収縮率も小さなフィルムが得られた。また、平面性の良いフィルムを得ることができた。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、カールや部分的なたるみなどの見られない、平面性の良い状態で、排出された。

0035

実施例2
実施例1と同様にして縦延伸、横延伸を施したフィルムをテンタ中で引続き240℃の熱処理を行ない、熱処理後徐冷しながら、テンタのレール幅を縮めて幅方向に5%、またテンタのクリップの間隔を縮めて機械方向に1%リラックス処理を施し、テンタから取出し、フィルムの両端部のエッジ部分をトリミングして巻きとり、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0036

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、図4に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から200℃までの範囲で、実施例1に比較すると、130℃付近と、200℃近傍にピークが見られるが、まだ十分に小さなピークであった。また熱収縮率も小さなフィルムが得られた。さらに、平面性については実施例1に比較し、より良いフィルムを得ることができた。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、カールや部分的なたるみなどのそれほど大きくない、平面性の比較的良い状態で排出された。

0037

比較例1
実施例1と同様にして縦延伸、横延伸を施したフィルムを、テンタ中で引続き230℃の熱処理を行ない、熱処理後徐冷しながら、特にリラックス処理を施すことなく、テンタから取出し、フィルムの両端部のエッジ部分をトリミングして巻きとり、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0038

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、図4に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から、200℃までの範囲で、100〜140℃付近と、170℃以上に大きなピークが見られる。また、熱収縮率も大きい。平面性は比較的良好な状態で採取できた。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、カールが大きく、面内に部分的なたるみが発生し、中には機械中で紙詰まりしてしまうものもあった。

0039

比較例2
比較例1と同様にして、テンタの熱処理温度を250℃に変更して、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0040

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、図5に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から、200℃までの範囲で、160℃以上には特にピークは認められないが、100〜140℃付近に大きなピークが見られる。また熱収縮率もまだ大きい。平面性は比較的良好な状態で採取できた。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、カールが大きく、面内に部分的なたるみが発生した。

0041

比較例3
比較例1と同様にして、テンタの熱処理後、徐冷しながらテンタのレール幅を縮めて幅方向に5%、またテンタのクリップの間隔を縮めて機械方向に2%リラックス処理を施し、テンタから取出し、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0042

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、図5に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から200℃までの範囲で、100〜140℃には、特にピークは認められないが、170℃以上に大きなピークが見られる。また熱収縮率もまだ大きい。平面性は比較的良好な状態で採取できた。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、カールが大きく、面内に部分的なたるみが発生した。

0043

実施例3
実施例1と同様にして、テンタの熱処理後、リラックス処理をせずに徐冷してテンタより取出した。その後、フィルムの端部のエッジをトリミングした後に、150℃に加熱されたロール群に通し、機械方向に1.5%のリラックス処理を施し、徐冷しながら巻取った。この際、幅方向にも自由に収縮し、幅方向のリラックス処理も施されていると考えられる。このようにして、厚み75μmの二軸延伸フィルムを得た。

0044

得られたフイルムの機械方向の真の収縮量の微分曲線は、第5図に示すとおりであり、物性は表1の通りである。ガラス転移点から200℃までの範囲で、特にピークは認められない。また熱収縮率も小さなフィルムが得られた。ただし、平面性が若干良くないフィルムとなった。このフィルムをA4版に切り、富士ゼロックス株式会社製複写機“Vivace”500に通したところ、特にカールや、たるみのない状態で排出された。

0045

発明の効果

0046

本発明のポリエステルフィルムにより、熱収縮が小さく、また、平面性の良いフィルムをコストアップすることなく得ることができ、OHPや電気絶縁材料などにおいて、収縮やカール、たるみなどの問題が生じることのない、しかも、安価な材料を提供することが可能になる。

図面の簡単な説明

0047

図1本発明の熱機械特性試験機における、熱膨張・熱収縮の挙動の一例を示した概略図である。
図2本発明の熱機械特性試験機における、熱膨張・熱収縮の挙動の測定曲線から真の収縮量の微分曲線を求める処理の一例を示した概略図である。
図3通常の方法にて製造された二軸延伸フィルムを熱機械特性試験機にて測定し、真の収縮量の微分曲線に変換した一例を示した概略図である。
図4実施例1、実施例2、比較例1のフィルムの機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線を表した一例を示した概略図である。
図5実施例3、比較例2、比較例3のフィルムの機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線を表した一例を示した概略図である。

--

0048

1:実施例1の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線
2:実施例2の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線
3:比較例1の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線
4:比較例2の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線
5:比較例3の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線
6:実施例3の機械方向の熱機械特性試験機による真の収縮量の微分曲線

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 三菱ケミカル株式会社の「 ヒートシール用フィルムおよび収納袋」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】高強度かつ薄膜であり、適度な通気性、優れた熱寸法安定性、ならびに、発熱体の高速充填加工に適したヒートシール性およびホットタック性を有しており、通気発熱性物質の収納袋としてより好適に使用できるヒ... 詳細

  • 旭化成株式会社の「 難燃性メタクリル系樹脂組成物及び成形体」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】本発明は、難燃性、透明性、流動性、及び耐熱性に優れた難燃性メタクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)、リン系難... 詳細

  • 日勝化工股▲分▼有限公司の「 発泡フィルム」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】発泡フィルムを提供する。【解決手段】ポリウレタンからなる発泡体を含む発泡フィルムであって、揮発性有機物質を含まなく、通気率が5cfm〜60cfmであり、且つ発泡フィルムの弾性回復率が2%〜30... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ