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技術 制御装置及び制御対象物の制御方法

出願人 株式会社東芝
発明者 島田毅遠藤経一
出願日 1994年10月31日 (26年0ヶ月経過) 出願番号 1994-267829
公開日 1996年5月21日 (24年6ヶ月経過) 公開番号 1996-129404
状態 未査定
技術分野 特殊なプログラム実行装置 フィードバック制御一般 知識ベースシステム 制御系の試験・監視
主要キーワード ファーストステップ 回転増分 目的状態 換気特性 地域制 信号伝達効率 履歴追跡 製鉄プラント
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年5月21日)のものです。
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図面 (20)

目的

運転員経験則ルール形式を使用せずに制御に利用する。

構成

制御対象(A) の監視情報(B) を表示し又現在のA の状態を特定する状態名(C) 及び運転員のA への操作量(D) とを逐次出力する手段1と、前記B,C 及びD を事例データ(E) として情報蓄積し且つ順次情報蓄積するE を時系列的対応関係を以て保持する手段2と、保持されたE 中のB と該B のC と前記対応関係の情報を取込み又A の現在のB を取込み現在のB にA の状態が対応する前記E 中の該当B のC を抽出し同一状態と定め状態仮説(F) とし又該F の確信度(G) を状態の近似度から求める手段3と、事例データ群を前記対応関係の情報とともに参照しA のF 、与えられる制御対象の目標状態(H) 情報を用いてH に到達可能なE の候補をこれらE 群中から得る手段4と、F のG と前記候補とを取込みG の高いF に対応する状態情報を持つE に含まれるD をA のD として与える手段5を持つ。

概要

背景

トンネルにおける換気溶鉱炉炉内温度下水処理場沈殿池における汚泥製鉄プラント鋼板圧延工程における鋼板の形状(鋼板圧延形状)、交通信号などの制御においては、監視情報として制御対象に関連する多数のパターン、例えば、制御対象に関連する多数の監視画像や制御対象に関連する多数の計測値組合せで構成されるパターンなどを、刻々評価することによって、変化する制御対象の状態を推定し、操作量を適切に決定することが重要である。すなわち、プラントの多数の観測点における状態を表すデータを各観測点に設けた観測手段により計測し、オンラインで集めてこれらをもとに、刻々と変化するプラントの状態を評価して、操作量を適切に決定することが重要である。

しかしながら、これらの制御対象の状態変化非線形要因に依存するため、従来のシーケンス制御等の技術を用いることでは、適切な操作量を求めることが困難であった。

このような問題に対する解決策として、従来、たとえば、“「プロセス制御システム知能化技術」、計測と制御,vol.31,no.7”などに見られるように、知識工学を応用する方法が利用されている。この方法よれば、パターンと制御対象の状態との対応関係ニューラルネットに学習させ、運転員経験則に基づいて制御対象の状態と適当な操作量との関係をファジィルール形式、すなわち、言語による表現記述し、ファジィ推論によって操作量を決定することができる。

これにより、制御対象に対して熟練した運転員の持つ、当該制御対象の制御に関する経験則を取り込んで、当該制御対象の非線形的な状態変化に対応する高度な制御が行える制御装置を実現できるようになる。

概要

運転員の経験則をルール形式を使用せずに制御に利用する。

制御対象(A) の監視情報(B) を表示し又現在のA の状態を特定する状態名(C) 及び運転員のA への操作量(D) とを逐次出力する手段1と、前記B,C 及びD を事例データ(E) として情報蓄積し且つ順次情報蓄積するE を時系列的対応関係を以て保持する手段2と、保持されたE 中のB と該B のC と前記対応関係の情報を取込み又A の現在のB を取込み現在のB にA の状態が対応する前記E 中の該当B のC を抽出し同一状態と定め状態仮説(F) とし又該F の確信度(G) を状態の近似度から求める手段3と、事例データ群を前記対応関係の情報とともに参照しA のF 、与えられる制御対象の目標状態(H) 情報を用いてH に到達可能なE の候補をこれらE 群中から得る手段4と、F のG と前記候補とを取込みG の高いF に対応する状態情報を持つE に含まれるD をA のD として与える手段5を持つ。

目的

従って、本発明は上述したような従来技術の問題点を解消するために成されたもので、本発明の目的とするところは、第1には、運転員が監視情報であるパターン(監視画像や多数の計測値の組み合わせパターンなど)に含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、運転員の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行うことなく制御対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を半自動的に制御し、運転員にかかる作業負荷を軽減する制御装置を提供することにある。

また、本発明の第2の目的は、運転員の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、運転員による制御の事例を観測することにより自動的に獲得する制御装置を提供することにある。

さらに本発明の第3の目的は、制御対象に関連する計測値の組合せからなるパターン(監視画像等も含む監視情報)と、そのパターンをみて運転員が決定する制御対象の状態との対応を記録し、さらに、その監視情報であるパターンと、それをみて運転員が決定した操作量との対応の時間的変化を記録することにより、制御対象の状態の遷移ダイナミクスを有する場合にも、ある時点で計測した瞬間的な監視情報から制御対象の状態の仮説を生成し、生成された状態の仮説から、適切な操作量を決定できる制御装置を提供することにある。

そして、本発明の第4の目的は、運転員から得た、対象の制御に関する経験則の論理構造を探索することにより、安全で効率の良い制御方法を選択し、それに従って制御を行う制御装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

この技術が所属する分野

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請求項1

制御対象に関する監視情報収集する監視情報収集手段と、この監視情報収集手段により収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対し操作者から与えられた指示に基づく操作量との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的順序情報とともに記録する事例記録手段と、この事例記録手段に記録されている事例デ−タのうち、前記監視情報収集手段により収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定手段と、前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路生成手段と、前記状態推定手段によって求められた確信度と、前記制御経路生成手段によって抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定手段とを備えてなることを特徴とする制御装置

請求項2

時刻情報を発生する計時手段と、制御対象に関する監視情報を収集する監視情報収集手段と、この監視情報収集手段により収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対し操作者から与えられた指示に基づく操作量と、前記時刻情報との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的に記録する事例記録手段と、この事例記録手段に記録されている事例デ−タのうち、前記監視情報収集手段により収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定手段と、前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記時刻情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路生成手段と、前記状態推定手段によって求められた確信度と、前記制御経路生成手段により抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定手段とを備えたことを特徴とする制御装置。

請求項3

事例記録手段に記録されている事例データを取り込み、この事例データの登録修正抹消などの編集処理を行なうと共に、事例記録手段をこの編集処理後の情報に更新する記録保守手段を設けたことを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載の制御装置。

請求項4

状態推定手段としてニューラルネットを用いることを特徴とする請求項1または2または3いずれか1項記載の制御装置。

請求項5

状態情報は制御対象の監視画像情報であることを特徴とする請求項1または2または3いずれか1項記載の制御装置。

請求項6

状態情報は制御対象の各部から検出された物理情報を並べたパターン情報であることを特徴とする請求項1または2または3いずれか1項記載の制御装置。

請求項7

制御対象に関する監視情報を収集する収集ステップと、この収集ステップにより収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対する操作者の指示に基づく操作量との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的な順序情報とともに記録する事例記録ステップと、この事例記録ステップにて記録された事例データのうち、前記収集ステップにより収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定ステップと、前記事例記録ステップにて記録された事例データを参照し、前記状態推定ステップにて抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路抽出ステップと、前記状態推定ステップにより求められた確信度と、前記制御経路抽出ステップにより抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定ステップとを備えたことを特徴とする制御対象物制御方法

請求項8

時刻情報を得る計時手段ステップと、制御対象に関する監視情報を収集する収集ステップと、この収集ステップにより収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対する操作者の指示に基づく操作量と、前記時刻情報との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的に記録する事例記録ステップと、この事例記録ステップにて記録された事例デ−タのうち、前記収集ステップにより収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定ステップと、前記事例記録ステップにて記録された事例データを参照し、前記状態推定ステップにて抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記時刻情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路抽出ステップと、前記状態推定ステップにより求められた確信度と、前記制御経路抽出ステップにより抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定ステップとを備えたことを特徴とする制御対象物の制御方法。

技術分野

0001

本発明は例えば、プラント制御等に用いられる制御装置及び制御方法係り、特に、熟練した運転員操作員)が持つ制御知識を客観的情報として獲得し、この知識をルール形式にすることなく利用して最適制御を行うことができるようにした制御装置及び制御対象物の制御方法に関する。

背景技術

0002

トンネルにおける換気溶鉱炉炉内温度下水処理場沈殿池における汚泥製鉄プラント鋼板圧延工程における鋼板の形状(鋼板圧延形状)、交通信号などの制御においては、監視情報として制御対象に関連する多数のパターン、例えば、制御対象に関連する多数の監視画像や制御対象に関連する多数の計測値組合せで構成されるパターンなどを、刻々評価することによって、変化する制御対象の状態を推定し、操作量を適切に決定することが重要である。すなわち、プラントの多数の観測点における状態を表すデータを各観測点に設けた観測手段により計測し、オンラインで集めてこれらをもとに、刻々と変化するプラントの状態を評価して、操作量を適切に決定することが重要である。

0003

しかしながら、これらの制御対象の状態変化非線形要因に依存するため、従来のシーケンス制御等の技術を用いることでは、適切な操作量を求めることが困難であった。

0004

このような問題に対する解決策として、従来、たとえば、“「プロセス制御システム知能化技術」、計測と制御,vol.31,no.7”などに見られるように、知識工学を応用する方法が利用されている。この方法よれば、パターンと制御対象の状態との対応関係ニューラルネットに学習させ、運転員の経験則に基づいて制御対象の状態と適当な操作量との関係をファジィルール形式、すなわち、言語による表現記述し、ファジィ推論によって操作量を決定することができる。

0005

これにより、制御対象に対して熟練した運転員の持つ、当該制御対象の制御に関する経験則を取り込んで、当該制御対象の非線形的な状態変化に対応する高度な制御が行える制御装置を実現できるようになる。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上述した様な従来の制御装置には、以下に述べる様な問題点があった。

0007

第1に、トンネル換気、溶鉱炉炉内温度、下水汚泥、鋼板圧延形状、交通信号等の制御では、運転員(操作員)は、プラントの多数の観測点における状態を表す画像を見て、刻々と変化するプラントの状態を評価し、操作量を決定しているが、この画像は、例えば、トンネル内の煤煙濃度分布、溶鉱炉の炉内温度の分布、汚泥の形状、鋼板の形状、車量分布等、それぞれ空間的な広がりを持った大量の情報を含んでいるため、運転員がこれらの画像に含まれるどの情報に着目して操作量を決定しているのかを明確にすることは非常に困難である。そのため、被制御量を明確に規定しなければならない従来のエキスパートシステム等による制御技術を、これらのプラント制御装置に適用するのは困難であった。

0008

すなわち、運転員の経験則をルール形式に代表される、言語による表現で記述するためには、制御量を明確に規定しなければならないが、運転員が画像を含む種々の情報のどの部分にどのように着目して操作量を決定しているのかを明確にすることは非常に困難である。そのため、運転員の経験則をルール形式に規定しプログラムしなければならない従来のエキスパートシステム等による制御技術を、これらの制御装置に適用するのは困難であった。

0009

また、第2に、運転員の持つ経験則をルール形式で記述する際には、運転員がどの様な論理的判断をしているか明確にする必要があるが、一般に、運転員の持つ経験則が、論理構造を持たない単なる断片的な知識に過ぎない場合が多く、ルールの適用順序等、経験則の論理構造を運転員から抽出することも困難であった。

0010

つまり、はっきりした経験則の論理構造を持たない、運転員からの知識を用いようとしても、各種指標をもとに状態を把握して行うべき操作内容を判断するにあたり、それら各指標をどのように評価するかを明確にプログラムしなければならない従来のエキスパートシステム等による制御技術に当て嵌めることはできず、上述した制御装置に適用するのは困難であった。

0011

さらに、第3に、制御対象の状態の遷移ダイナミクスを有することも多く、この場合、ある時点で計測した瞬間的な画像情報からのみでは制御対象の状態は一つに推定できず、従って、適切な操作量を求めることは困難であった。例えば、トンネル内の煤煙濃度が濃い状態であっても、通行車両が増加して濃くなっているのか、一時的に渋滞したために濃くなっているのか、煤煙濃度が増加の方向にあるのか、薄れてきているのかと言った具合に、状況の遷移がどの方向にあるのかは瞬間的な監視情報からでは把握できず、最適な操作量がどの位かは、瞬間的な情報から判断することは困難である。

0012

また第4に、運転員から得た制御対象の制御に関する経験則の論理構造を探索することにより、効率のよい制御方法を選択し、最適な制御を行なう機能もなかった。つまり、最適な操作は現在の状態から考えてどのようにすれば最も効率的に行うことができるかを判断しながら、操作制御を行うことができず、ある制御操作が決定されたならば、それに対応する操作量の増減のみを実施することから、刻々と変わる状況に応じてその時々最良操作対象と操作量を臨機応変に変えてゆくといったことができない。そのため、経済的なしかも短時間での制御が行えない。

0013

従って、本発明は上述したような従来技術の問題点を解消するために成されたもので、本発明の目的とするところは、第1には、運転員が監視情報であるパターン(監視画像や多数の計測値の組み合わせパターンなど)に含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、運転員の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行うことなく制御対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を半自動的に制御し、運転員にかかる作業負荷を軽減する制御装置を提供することにある。

0014

また、本発明の第2の目的は、運転員の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、運転員による制御の事例を観測することにより自動的に獲得する制御装置を提供することにある。

0015

さらに本発明の第3の目的は、制御対象に関連する計測値の組合せからなるパターン(監視画像等も含む監視情報)と、そのパターンをみて運転員が決定する制御対象の状態との対応を記録し、さらに、その監視情報であるパターンと、それをみて運転員が決定した操作量との対応の時間的変化を記録することにより、制御対象の状態の遷移がダイナミクスを有する場合にも、ある時点で計測した瞬間的な監視情報から制御対象の状態の仮説を生成し、生成された状態の仮説から、適切な操作量を決定できる制御装置を提供することにある。

0016

そして、本発明の第4の目的は、運転員から得た、対象の制御に関する経験則の論理構造を探索することにより、安全で効率の良い制御方法を選択し、それに従って制御を行う制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

上記目的を達成するため、本発明はつぎのように構成する。すなわち、本発明は、第1には、制御対象に関する監視情報を収集する監視情報収集手段と、この監視情報収集手段により収集された監視情報と該監視情報に対する制御対象の状態情報と該状態情報に対し操作者から与えられた指示に基づく操作量との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的順序情報とともに記録する事例記録手段と、この事例記録手段に記録されている事例デ−タのうち、前記監視情報収集手段により収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定手段と、前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路手段と、前記状態推定手段によって求められた確信度と前記制御経路生成手段によって抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対しての事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定手段とを備えることを特徴とする。

0018

また、第2には、前記第1の構成の制御装置に、さらに、時刻情報を与える計時手段を付加し、また事例記録手段には、監視情報(計測値のパターン)と、前記監視情報収集手段から供給される制御対象の状態と、該状態情報に対し操作者から与えられた指示に基づく制御対象に対する操作量と、前記時刻情報との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的に記録する機能を付加し、制御経路生成手段には前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記時刻情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する機能を付加して構成することを特徴とするものである。

0019

また、第3には、前記第1または第2の構成の制御装置において、さらに、事例記録手段に記録されている事例データ等を取り込み、これらの登録修正抹消を行う記録保守手段を付加したことを特徴とするものである。

0020

また、第4には、制御対象に関する監視情報を収集する収集ステップと、この収集ステップにより収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対する操作者の指示に基づく操作量との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的な順序情報とともに記録する事例記録ステップと、この事例記録ステップにて記録された事例データのうち、前記収集ステップにより収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める状態推定ステップと、前記事例記録ステップにて記録された事例データを参照し、前記状態推定ステップにて抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する制御経路抽出ステップと、前記状態推定ステップにより求められた確信度と前記制御経路抽出ステップにより抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える操作量決定ステップとより構成する。

0021

第1の構成の制御装置は、上記第1乃至第4の目的を達成するためのもので、監視情報収集手段は制御対象に関する監視情報(制御対象に関する計測値のパターン、例えば、監視画像や制御対象の各部から検出された物理情報を並べたパターン情報など)を取り込む。

0022

事例記録手段は、この監視情報収集手段により収集された監視情報と該監視情報に対する制御対象の状態情報と該状態情報に対する操作者の指示に基づく操作量(監視情報に基づいて操作員(運手員)が制御対象に対して指示した操作量)との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的な順序情報とともに記録する。そして、状態推定手段は、この事例記録手段に記録されている事例デ−タのうち、前記監視情報収集手段により収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める。

0023

一方、制御経路生成手段は、前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する。

0024

そして、操作量決定手段は前記状態推定手段によって求められた確信度と前記制御経路生成手段によって抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対しての事例データに対する操作量を制御対象に与える。

0025

従って、この構成によれば、操作者(運転員)が、監視情報(制御対象に関する計測値のパターン)に含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、操作者の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行うことなく、制御対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を自動的あるいは半自動的に制御することができる。さらに、操作者の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、操作者による制御の事例を観測することにより自動的に獲得することができる。

0026

また、第2の構成の制御装置においては、監視情報(制御対象に関する計測値のパターン)が監視情報収集手段に取り込まれる。また、制御対象の運転操作をする操作者にも提示される。監視情報収集手段は、その監視情報を見て操作者が推定した制御対象の状態と、操作者が決定した今の状態にあった操作量とを取り込む。この操作量は、制御対象に加えられる。続いて事例記録手段は、監視情報と、操作者によって決められた状態と操作量とを取り込み、さらに現在の時刻を計時手段から取り込む。そして、時刻と、1ステップ前から現在までに経過した時間、および、監視情報・状態・操作量、およびこれらの対応関係を順序たてて記録する。上記の動作を繰り返すことにより、時間に依存して変化する対象の制御に関する操作者の経験的知識が、時刻・経過時間・制御対象の様々な状態・その状態における監視情報、その状態において適した操作量との対応関係を示した事例データとして順序たてて獲得される。本制御装置は、こうして獲得・蓄積された運転員の経験的知識を用いて、以下に説明するように自動的に制御対象を制御する。制御対象に関する観測値の監視情報が状態推定手段に入力される。次に、この状態推定手段は、事例記録手段に格納されている過去の監視情報から、現在観測されている監視情報に近いものを選び、選んだ監視情報に対応して記録されている状態を制御対象の現在の仮説とする。同時に、現在観測されている監視情報と選んだ監視情報との類似の程度を、状態の仮説の確信度とする。続いて、制御経路探索手段は、事例記録手段に格納されている記録を取り込み、状態推定手段が供給する制御対象の現在の状態仮説に対応する記録を探し、制御対象の目標状態に到達する制御経路の候補を探索する。つぎに操作量決定手段が、制御経路探索手段によって供給される制御経路の候補と、状態推定手段によって供給される確信度とを取り込んで、制御対象に対する操作量を計算する。

0027

従って、第1の構成の装置の持つ効果に加えて、時刻の違いや、1ステップ前から現在までの間に経過した時間の違いによって、制御対象が同じ状態にあったときに同じ操作量を加えたとしても、異なる状態に遷移する複雑なダイナミクスを有する制御対象であっても、ある時点で計測した瞬間的な監視情報から制御対象の状態の仮説を生成し、生成された状態の仮説から、適切な操作量を決定することができる。

0028

また、第3の構成の制御装置においては、記録保守手段が、前記事例記録手段に記録されている前記制御対象の状態と制御対象に対する操作量と対応関係とを取り込み、これらの記録の新規登録、抹消を行なう。これらの操作に加えて、さらに、第1または第2の構成の制御装置と同様の操作がなされる。

0029

従って、事例記録手段に蓄積された運転員の経験則に、誤りがあった場合、その誤りを除去することができる。

0030

また、第4の場合には、制御対象に関する監視情報を収集ステップにより収集し、事例記録ステップではこの収集された監視情報と、該監視情報に対する制御対象の状態情報と、該状態情報に対し操作者が与えた指示に基づく操作量との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的な順序情報とともに記録する。そして、状態推定ステップは、この事例記録ステップにて記録された事例データのうち、前記収集ステップにより収集された他の監視情報に対して所定の近似度を有する前記監視情報を抽出し、前記他の監視情報に対する状態情報と該抽出された監視情報に対する状態情報との間における一致の確信度を求める。

0031

一方、制御経路抽出ステップでは、前記事例記録ステップにて記録された事例データを参照し、前記状態推定ステップにて抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記順序情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出し、操作量決定ステップは、前記状態推定ステップにより求められた確信度と前記制御経路抽出ステップにより抽出された事例候補とに基づいて所望の状態情報を選択し、該選択された状態情報に対する事例データに対する操作量を制御対象に与える。

0032

従って、この方法によれば、操作者(運転員)が、監視情報(制御対象に関する計測値のパターン)に含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、操作者の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行うことなく、制御対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を自動的あるいは半自動的に制御することができる。さらに、操作者の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、操作者による制御の事例を観測することにより自動的に獲得することができる。

0033

以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。

0034

本発明は、プラント運転制御において、熟練した運転員の持つ言語化できない制御知識を抽出・学習して、その学習した知識にもとづき、熟練者が行うのと同様の判断と操作を自動的に行ってプラントを監視制御することができるようにしたプラント制御装置を提供するものである。従って本発明は、たとえば、トンネル換気制御、溶鉱炉炉内温度制御、下水汚泥制御、鋼板圧延形状制御、交通信号地域制御など、熟練した運転員が、言語化して説明することが困難な経験的知識によって制御しているプラントの、自動制御に利用でき、しかも、無駄のない制御を可能にする。以下、本発明について、図面を参照して説明する。

0035

(第1の実施例)図1は、本発明の基本的な構成を示すブロック図である。図において、1は入出力手段であり、この入出力手段1は、プラント等の制御対象例えば、トンネル換気、溶鉱炉の炉内温度制御、鋼板圧延形状制御、交通信号等の如き制御対象に関する計測値のパターン(監視画像等の監視情報も含む)を取り込み、ディスプレイに表示し、また、上記制御対象の状態Sと制御対象に対する操作量Uとを取り込むものであって、例えば、画像表示器(ディスプレイ)と、キーボードなどの入力操作装置とを有したマンマシンインタフェースである操作卓パソコンワークステーションなどのインテリジェント端末を使用して構成する。

0036

2は事例記録手段であり、この事例記録手段2は前記入出力手段1から与えられる前記監視画像(計測値のパターンや監視画像等)と、前記入出力手段1から供給される制御対象の状態Sと制御対象に対する操作量Uとを取り込み記録し、また、これらの対応関係を記録するためのものである。

0037

3は状態推定手段であり、この状態推定手段3は前記パターン(監視情報)および前記事例記録手段2に記録されている前記パターン(監視情報)と、制御対象の状態Sとを取り込み、制御対象の状態の仮説Sxとその確信度b{Sx}を生成するものである。

0038

4は制御経路探索生成手段であり、この制御経路探索生成手段4は前記事例記録手段2に記録されている前記制御対象の状態S、制御対象に対する操作量U及び対応関係と、前記状態推定手段3から供給される制御対象の状態仮説Sxと、制御対象の目標状態Tとを取り込み、制御経路の候補を生成するものである。

0039

また、5は操作量決定手段であり、この操作量決定手段5は前記状態推定手段3から供給される状態仮説Sxの確信度b{Sx}と、前記制御経路探索生成手段4から供給される制御経路候補とを取り込み、制御対象に対する操作量Uを決定するためのものである。

0040

このような構成の本装置の動作をフローチャート参照して説明する。本装置では、その運転モードとしてはシステム学習段階と、学習結果に基づいて自動運転する自動運転段階とがある。

0041

[導入のファーストステップ学習モード運転)]学習モード運転段階は運転員の持つ制御に関する経験的知識を収集して自動運転に利用できるようにシステムを構築する段階であり、本装置を導入した段階で実施する。このモード設定は運転員が入出力手段1より入力操作して行う。

0042

学習モード運転段階での動作をまず説明する。運転員が入出力手段1よりモード入力操作して学習段階での運転動作のモードにシステムを設定する。するとシステムは図2のフローチャートの如き動作を行うようになる。すなわち、図2において、制御対象からは測定情報の一つとして制御対象を制御する際に運転員が参照する監視情報例えば、“制御対象の計測値のパターン”が出力され、この計測値のパターンが本システムに取り込まれる(図2のステップSt1)。

0043

ここで、この監視情報としての計測値のパターンとは、具体的には個々の制御対象によって異なるが、たとえば、トンネル換気制御の場合ではトンネル内の測定点に配置された監視カメラTVカメラ)の映像であり、当該監視カメラがとらえたトンネル内の煤煙濃度の分布を表す画像(監視画像)である。また、制御対象が高炉である場合の高炉温度制御での計測値のパターンとは、溶鉱炉の炉内温度を計測するために炉内の各所に設置された複数の温度センサからの出力を二次元平面状に並べて作成したパターン画像であり、下水処理場の場合では汚泥沈殿化学過程において下水汚泥の形状を撮影するため沈殿池内に設置された監視カメラのとらえた画像であり、製鉄所圧延プラント制御の場合では、その圧延プラントにおける鋼板の各所の厚みを測定するセンサの出力を、二次元平面状に並べて作成したパターンであり、あるいは、交通信号システム制御においては道路の各所に設置された監視カメラから取り込まれる車両通行状況を示す画像であるといった具合である。もちろん、これに限るものではなく、状況が掴める監視画像(パターン)であれば何でも良い。

0044

制御対象から取り込まれたこのようなパターン情報は、入出力手段1と事例記録手段2に入力される。入出力手段1は、操作卓など具体的には例えば対象を運転する際に使われるパソコンなどのようなインテリジェントターミナル等であり、ディスプレイとキーボードとを有していて、上述のようなパターン情報を取り込んでディスプレイに出力表示することができ、また、制御対象に対して操作量Uを与えることができる(図2ステップSt2)。

0045

運転員はこの入出力手段1に表示された上記制御対象のパターン情報を見て必要ならば上記制御対象に対する操作量Uを入力し、指令として該制御対象にこれを与える。この操作量Uは入出力手段1から上記制御対象に与えられ、制御対象は当該操作量U対応の操作が実施されることになる(図2ステップSt3)。

0046

入出力手段1を操作することにより、運転員が上記制御対象に与えた操作量Uは、制御対象上で観測された上記パターンの生じた時点での制御対象が呈している状態Sに対し、これを目標状態Tに遷移させるにとった処置の内容そのものである。

0047

従って、学習段階では事例記録手段2にはこの入出力手段1の出力を、前記パターン情報と共に取り込まれる(図2ステップSt4)。学習段階における事例記録手段2での情報採取は、制御対象上でこのパターンが観測される際の制御対象の状態Sと、さらに1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も情報として記録する。制御対象の状態Sはラベル情報であり、入出力手段1がこのラベルを付与する。

0048

このようにして学習段階における事例記録手段2では、パターン情報と、制御対象上でこのパターンが観測される際の制御対象の状態Sと、当該制御対象の状態を目標状態Tに遷移させるために運転員が行った操作の情報(制御対象の現在の状態を目標状態Tに遷移させるために運転員が行った適切な操作量Uの情報)が採取される。

0049

この採取した制御対象の状態Sと適切な操作量Uの情報は、熟練した運転員が対象の制御に従事することによって蓄積した経験的知識を反映した結果の情報である。従って、経験的知識を理論的解析したものではないが、経験的知識を内包する情報として有用である。

0050

このように学習段階のモードでは、事例記録手段2は、外部から計測値のパターンを取り込み、また制御対象の状態S、適切な操作量Uを入出力手段1から取り込んで記録する。さらに1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も情報として記録する(図2のステップSt4)。

0051

これを繰り返すことによって、運転員の持つ制御に関する経験的知識が、事例記録手段2に蓄積される。つまり、学習のモードが解除されているかを否かをステップSt5で判断し、解除されていなければ、すなわち、事例記録を続ける場合にはステップSt1に戻って上述の処理を繰り返し、事例採取をしてゆく。

0052

ここで、制御対象の状態Sはラベル情報であり、上記計測値のパターンに対応して付与した任意の符号情報である。ラベルは順番自動生成して付与する方式を採用するが、その最初に与えるラベル名の文字列は運転員が入出力手段1より入力操作して与えるようにすることもできる。

0053

事例採取が十分行われたと運転員が判断したならば、その段階で当該運転員は入出力手段1を操作して学習のモードを終了させ、自動運転のモードにシステムを設定する。

0054

これによりシステムは、事例記録手段2に蓄積されている熟練運転員の経験的知識を反映した自動運転に入る。つぎにこれを説明する。

0055

[制御時の処理の流れ]次に、学習モード運転により採取された制御事例を元にして、本発明が制御対象を制御するときの動作を説明する。このモード時のデータと処理の流れを、図3を参照して説明する。なお、図3のStartからステップSt13まで及びシンボルA及びBからステップSt22に至る部分の部分拡大図図4に、そして、図3のステップSt13の後段であるステップSt14からステップSt16に至る部分及びステップSt13とのステップSt22の後段であるステップSt20からEndに至る部分及びステップSt22の後段であるステップSt23からEnd及びステップSt24に至る部分の部分拡大図を図5に、そして、図3のステップSt16の後段であるステップSt17からシンボルA及びBに至る部分及びステップSt24の後段であるステップSt25からシンボルCに至る部分の部分拡大図を図6に示しておく。

0056

図3に示すように、まず、制御対象の現時点での計測値のパターンが取り込まれる(図3のステップSt11)。取り込まれた当該現在のパターンは、入出力手段1と状態推定手段3に入力される。すると状態推定手段3は、前記取り込まれた現在のパターンに近い過去のパターンを、事例記録手段2に記録されている事例から検索し、最も近いものを1パターンだけ、あるいは、近い順に複数パターン選出する(図3のステップSt12)。

0057

ここでパターンの近さは、具体的には個々の制御対象によって異なるが、例を示すとつぎの通りである。

0058

たとえば、制御対象に関する計測値のパターンがトンネル換気制御におけるトンネル内の煤煙濃度の分布を表わすカメラからの画像ベクトルであるとする。

0059

ID=000003HE=065 WI=128 LX=0410 LY=0900
となり、上記ユークリッド距離を以て上記パターンの近さを表現できるので、これを利用すると言った具合である。

0060

もし、現在のパターンに十分近いパターンが事例記録手段2に格納されていない場合は、蓄積した事例が十分でないことになる。この場合は、事例に従って自動的に制御することはできないため、操作量決定手段5は操作量決定不能の出力を入出力手段1に与え、入出力手段1はこの出力を受けて運転員による手動操作のモードに移り、運転員による手動入力操作を促す画面をディスプレイに表示させる(図3のステップSt13,St20)。

0061

このようにして事例記録手段2に操作量を決定するための十分な事例が蓄積されていない場合には、操作量決定手段5は入出力手段1を介して、運転員に以降の制御を依頼する。これ以降は、前述の(制御事例記録時の処理のながれ)で説明した制御事例記録のモードに変わる。このモードは手動モードであるから、運転員は表示されているパターンを見て目的状態に遷移するに必要な操作量Uを決め、入出力手段1を操作して制御対象に当該操作量Uを与えて、制御させるようにする。この状態では同時に学習モードも機能し、状態Sの情報と当該操作量Uを発生して事例記録手段2に与え、事例記録手段2ではこれを上記パターンおよび1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も含めて情報として採取する。この学習モードとして動作は運転員が自動運転のモードにシステムを設定するまで続き、この間、操作量の決定は運転員が行うことになる。

0062

学習モード運転となる手動運転切り替わらなかった場合の動作の説明を続ける。

0063

ステップSt13において、現在のパターンに近い過去のパターンが、事例記録手段2に記録されているときは、つぎに状態推定手段3は、選出した前記過去のパターンに対応して事例記録手段2に記録されている制御対象の状態Sの情報を取り込む(図3のステップSt14)。そして、状態推定手段3は、つぎのステップSt15の処理を行う。

0064

すなわち、取り込んだこれらの状態Sの情報は、現在のパターンが観測されるときの制御対象の状態Sの仮説Sxとなる。そして、この仮説Sxの確信度を求める。つまり、現在のパターンが観測されるときの制御対象の状態Sが、過去のパターンと近い状況であったと言えると推測されるパターンはどれであるかを機械的に(外見的判断のみで)抽出しているので、その抽出したものが、現在のパターンが観測されたときの制御対象の状態Sに類似していると仮定するのが、ここで言う仮説Sxであり、その仮定の確からしさがどの程度であるかを数値として求めたのが確信度である。

0065

そこで、ステップSt15では前述の取り込んだ過去のパターンと現在のパターンとから、これらのパターンが観測されたとき、制御対象はそれぞれ同一の状態Sであったといえる確信度b{Sx}を計算する。

0066

ここで確信度b{Sx}は前述のパターンの近さ同様、具体的には個々の制御対象によって異なるが、たとえば、パターンがトンネル換気制御におけるトンネル内の煤煙濃度の分布を表すカメラからの画像ベクトルであるときには、現在のパターン

0067

つまり、ここで言う画像の確信度とは、今起きた現象としての画像が、過去の事例として記録されている画像に近ければ近い程、当該今起きた現象が当該過去の事例の画像を得たときにおいて制御対象に生じていた現象に近い状況であると言えることを指し示す指標であり、従って、両事例が起きた状況が酷似していればいる程、その事例の画像に対する確信度が高くなる。

0068

つぎに制御経路生成手段4は、現在の制御対象の状態Sの到達すべき目標となる状態、すなわち制御対象が落ち着くべき目標状態Tを外部から取り込み、状態推定手段3から供給される状態の仮説Sxとその確信度b{Sx}を取り込む(図3のステップSt16)。ステップSt16の処理が終わるとつぎにステップSt17の処理に移る。

0069

ここで、目標状態Tは例えば、図示しない設定手段に基準値として設定しておき、これを制御経路生成手段4に与えることによって制御経路生成手段4に取り込ませて目標状態Tとする。そして、確信度b{Sx}の最も高い仮説Sxに対応する画像(パターン)の状態を起点に、この目標状態Tに到達するための制御経路候補を求めてゆくことになる(制御経路候補の生成)。この制御経路候補を過去の事例から求めてゆく処理がステップSt17以降での処理である。

0070

制御経路候補の生成は制御対象の現在の状態が自動運転に入って初めて現われたものであるか、既に1回以上現われてそれを起点とする制御経路候補を既に求めたことがあるか否かで対応が異なる。つまり、その現在生じている状態を目標状態に導くための制御の手順を、既に採取した熟練者の過去の操作事例中から探し、可能性のあるものすべてを抽出することになるが、それを上記起点とした場合に、初めて抽出するのか、過去に抽出して情報として事例記録手段2に保持しており、これを参照すれば済むのかにより、異なる。つまり探す必要があるのか、無いのかで異なるわけである。従って、これらを分けて説明する。

0071

[初めて制御経路候補を生成するとき]ステップSt17の処理では、制御経路生成手段4は初めての制御経路候補生成であるか否かを判定し、初めて制御経路候補を生成するときは、図3のシンボルAのルートでの処理に移る。そして、制御経路生成手段4は、事例記録手段2に格納されている事例のうち、前述の状態Sの仮説Sxを含む事例を検索して取り込み、この事例から始まって目標状態の事例に到達する事例の連鎖を、事例記録手段2に記録されている事例間の順序関係の情報を辿っていくことによって生成する(図3のステップSt18)。

0072

状態の仮説Sxは一般に複数あるため、生成される事例の連鎖も複数となる。これら事例の連鎖は、制御対象に対する制御によって当該制御対象の状態Sを変化させて行く道筋の候補、すなわち制御経路候補となる。制御経路候補は、制御経路生成手段4の内部記憶である経路候補集合に記録される(図3のステップSt19)。この処理が終わるとステップSt22に移る。

0073

[二度目以降のとき]一方、図3のステップSt17の判定において、二度目以降制御経路候補生成であったと判定した時はシンボルBの処理に移る。そして、ステップSt21において、状態仮説を含まない制御経路候補を内部記憶から消去する。

0074

すなわち、二度目以降の制御経路候補生成のときは、前述の経路候補集合に記録されている制御経路候補のうち、前述の状態の仮説Sxを含まないものを、制御経路候補から外すために、経路候補集合から消去する。これにより、制御経路候補が徐々に絞られてゆく。この消去処理により、経路候補集合が空になってしまった場合は、事例記録手段2に蓄積されている事例が十分でないことを意味する。このときには、過去の事例に従って自動的に制御することはできないため、入出力手段1を介して、運転員に以降の制御を依頼する(図3のステップSt22,St20)。これ以降は、前述の(制御事例記録時の処理の流れ)の項で説明した運転員の手動操作による制御の実施状態になり、学習モード運転段階での動作に変わる。

0075

ステップSt22において、制御経路候補集合が空になっていなければ、ステップSt23の処理に移る。すなわち、ステップSt23の処理は目標状態Tに達したかを否かを判定して達していれば終了する。

0076

これは前述の状態仮説Sxのなかに目標状態Tと一致するものがあり、しかも、その状態仮説Sxに対応する確信度b{Sx}が十分に高いものがあった場合で、これによれば、高い確信度b{Sx}で制御が目標状態Tに達したことを意味するので、目標状態Tに到達した状態であると言えることから、制御を終了する(図3のステップSt22,S23)。

0077

一方、ステップSt23での判定において、制御経路候補集合が空になっておらず、しかも、制御対象は目標状態Tに到達していなければ、さらに制御をする必要がある。そこで、ステップSt24の処理に移る。

0078

この処理は、操作量決定手段5においてなされるものであり、操作量決定手段5は状態推定手段3から供給される状態仮説Sxの確信度b{Sx}を取り込み、確信度b{Sx}が高い状態仮説ほど、事例の連鎖に沿って次の状態へ遷移する確率が高くなる操作量Uを、確信度b{Sx}と、制御対象の現在の状態仮説Sxから次の状態へ遷移するための操作量Uとを用いて決定する。操作量決定手段5においてこうして決定された操作量Uは、制御対象に対して与えられ、操作量Uに対応する制御に供させる(図3のステップSt25)。

0079

この処理が終わるとシンボルCに処理が移り、ステップSt11以降の処理が行われる。すなわち、前述の決定された操作量を加えられることによって変化した制御対象の計測値のパターンが、新たな現在のパターンとして取り込まれ、入出力手段1と状態推定手段3に入力される。そして、これに基づく上述のような処理が、繰り返して行なわれる。

0080

この結果、制御対象から収集した過去の計測値のパターンと、それに対して熟練の運転員が制御対象に対して実施した制御の内容を制御の経歴と共に過去の事例として採取しておくだけで、現在の制御対象が呈した計測値のパターンに対してそれに最も近いパターンを過去の事例から探し、その時の制御内容とその時に辿った経歴に合わせて同一の制御を実施させるように制御量を生成し、制御対象に与えることにより、熟練した運転員の経験的知識を利用した最適な制御が実現可能となる。

0081

このように、本実施例は、表示部と操作部及び入出力部を有し、入出力部を介して制御対象に関する監視情報を取り込み、表示部に表示すると共に、現在の制御対象の状態を特定する状態情報および制御対象に対する運転員の操作部からの指示に従った操作量とを逐次出力する入出力手段と、前記監視情報および前記状態情報および前記操作量とを事例データとして情報蓄積すると共に、順次情報蓄積する事例データを時系列的に対応関係を持たせて保持する事例記録手段と、前記事例記録手段に記録されている事例データのうちの監視情報と、その監視情報の状態情報と、前記対応関係の情報を取り込み、また、制御対象に関する現在の監視情報を取り込んで、その現在の監視情報に制御対象の状態が対応する前記事例データ中の該当監視情報を抽出して同一状態仮りに定め、その監視情報の状態が該当状態であるとする状態仮説を設定し、また、この状態仮説に対しての確信度を状態の近似度に基づいて求める状態推定手段と、前記事例記録手段に記録されている事例データ群を前記対応関係の情報とともに参照し、前記状態推定手段から供給される制御対象の状態仮説と、別途与えられる制御対象の目標状態情報を用いて、履歴追跡により目標状態に到達可能な事例データの候補をこれら事例データ中から抽出し、辿るべき制御経路の候補を生成する制御経路生成手段と、前記状態推定手段から供給される状態仮説の確信度と、前記制御経路生成手段から供給される候補とを取り込み、確信度の高い状態仮説に対応する状態情報を持つ事例データに含まれる操作量を制御対象に対する操作量として決定し、制御対象に与える操作量決定手段とを備える構成である。

0082

そして、入出力手段は制御対象に関する監視情報(制御対象に関する計測値のパターン、例えば、監視画像や制御対象の各部から検出された物理情報を並べたパターン情報など)を取り込み、表示部に表示し、この表示された監視情報に基づいて運手員が操作部を操作して制御対象に対する操作量を指示すると、入出力手段はこの指示した操作量と、現在の制御対象の状態の名とを出力する。そして、事例記録手段は前記監視情報と、前記入出力手段から供給される制御対象の状態名と制御対象に対する操作量とを取り込み記録し、またこれらの対応関係を記録する。状態推定手段は、現在の制御対象の監視情報および前記事例記録手段に記録されている前記監視情報と状態名とを取り込み、記録されている過去の制御対象の監視情報のうち、現在の制御対象の状態が、記録されている過去の制御対象の状態と近似するものを抽出してその監視情報の状態と同じと仮に定めて状態仮説とし、且つ該状態仮説の確信度を両監視情報の近似度から生成する。そして、制御経路生成手段は前記事例記録手段に記録されている前記制御対象の状態、制御対象に対する操作量および対応関係と、前記状態推定手段から供給される制御対象の状態仮説と、別途与えられる制御対象の目標状態とを取り込み、これらを用いて、履歴追跡により目標状態に到達可能な事例データの候補をこれら事例データ中から抽出し、辿るべき制御経路の候補を生成する。操作量決定手段は前記状態推定手段から供給される状態仮説の確信度と、前記制御経路探索手段から供給される制御経路候補とを取り込み、確信度の高い状態仮説に対応する状態情報を持つ事例データに含まれる操作量を、制御対象に対する操作量として決定して出力する。

0083

従って、この構成によれば、運転員が、監視情報(制御対象に関する計測値のパターン)に含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、運転員の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行なうことなく対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を半自動的に制御することができる。さらに、運転員の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、運転員による制御の事例を観測することにより自動的に獲得することができる。

0084

以上の第1の実施例は、制御対象から収集した過去の計測値のパターンと、それに対して熟練の運転員が制御対象に対して実施した制御の内容を制御の経歴と共に過去の事例として採取しておくだけで、現在の制御対象が呈した計測値のパターンに対してそれに最も近いパターンを過去の事例から探し、その時の制御内容とその時に辿った経歴に合わせて同一の制御を実施させるように制御量を生成し、制御対象に与えることにより、熟練した運転員の経験的知識を利用した最適な制御が実現可能となるものであった。

0085

ここで、この第1の実施例においては、事例採取にあたり、制御の辿った変遷履歴再現できるようにしてその過去の事例に近い現象が制御対象に生じたときは、その履歴を辿り、同じような制御を行うことで最適制御を実施するようにしたものであったが、制御の形態には特定の時間帯にのみ、生ずる特有の現象もあり、このような現象に対しては時間帯の情報をも参照できるようにすれば、より状況に即した最適制御が実現可能である。そこで、このような時間的情報も含めた事例採取を行うことで、特定の時間帯にのみ生ずる特有の現象に対しても、旨く対応できるようにした実施例を第2の実施例として説明する。

0086

(第2の実施例)図7は第2の実施例の構成を示すブロック図であり、上述した第1の実施例の構成にさらに、時刻情報を供給する計時手段6を付加する構成としたものである。また第1の実施例の構成における事例記録手段2に対して第2の実施例では、前記計時手段6から供給される時刻情報を取り込み記録する機能をさらに付加しており、入出力手段1から供給される制御対象の状態Sと制御対象に対する操作量Uと1ステップ前における採取情報との対応関係を示す情報に加え、前記計時手段6から供給される時刻情報をも取り込み、記録するようにしている。

0087

そのため、第2の実施例では図のように事例記録手段を符号2aで示すようにして、第1の実施例のそれと区別して表示した。そして、時刻情報をも加味するようにしたことにより、第1の実施例の構成における状態推定手段3に代えて状態推定手段3aを設けてあり、この状態推定手段3aは制御対象側から与えられる前記計測値のパターン、および前記事例記録手段2aに記録されている前記計測値のパターンと、制御対象の状態Sの情報および時刻情報とを取り込み、現在の時刻と記録されていた事例の時刻情報との対応を加味し、制御対象の状態の仮説Sxとその確信度b{Sx}を生成する機能を持たせてある。その他の構成は第1の実施例と基本的には同じである。

0088

つぎにこのような構成のシステムの実施例をつぎに説明する。システム導入のファーストステップとしては学習モード運転を行う。これを図8のフローチャートを参照して説明する。

0089

[導入のファーストステップ(学習モード運転)]学習モード運転段階は熟練運転員の持つ制御の経験的知識を収集して自動運転に利用できるようにするシステムを構築する段階であり、本装置を導入した段階で実施する。このモードは運転員が入出力手段1より入力操作して行う。このモードが設定されて運転が開始されると、図8のような手順を踏む。すなわち、ステップSt31において、制御対象から当該制御対象の前述した計測値のパターンが発生し、これは本システムに取り込まれる。取り込まれたパターンは、入出力手段1と事例記録手段2に入力される。

0090

つぎに入出力手段1はこの取り込まれた前記のパターンを出力表示する。そして、運転員はこの入出力手段1に表示された上記制御対象のパターン情報を見て必要ならば入出力手段1を操作して上記制御対象に対する操作量Uを入力し、入出力手段1は、指令として該制御対象にこれを与える(図8のステップSt32,St33)。操作量Uは前述した制御対象Sの状態に対応して熟練運転員が判断した適切な操作量である。

0091

一方、入出力手段1から出力された操作量Uは制御対象の他にも事例記録手段2aに送られる。また、計時手段6は現在の時刻情報を発生して事例記録手段2aに与える(図8のステップSt34)。

0092

これにより、事例記録手段2aには制御対象の状態Sと操作量U、そして、現在の時刻情報が与えられる。なお、制御対象の状態Sはラベル情報であり、入出力手段1がこのラベルを付与する。

0093

この結果、事例記録手段2aは、外部から計測値のパターンを取り込み、また入出力手段1からは制御対象の状態S、適切な操作量Uを取り込み、計時手段6からは現在時刻を取り込んでこれらと、また、事例記録手段2aが自身で別途求めた1ステップ前の情報取り込み時点での時刻との差Δtを情報として記録する。さらに、1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も記録する(図8のステップSt35)。

0094

学習モ−ドが解除されるまで、これを繰り返すことによって(図8のステップSt36)、制御対象の状態に対する運転員の行った制御操作の実態情報が収集でき、これはとりも直さず、運転員の持つ制御に関する経験的知識とそれを活用した制御の結果であるから、運転員の持つ制御に関する経験的知識が、事例記録手段2に蓄積されたと同じことになる。

0095

[制御時の処理の流れ]次に、学習モード運転により採取された制御事例を元にして、本発明システムが制御対象を自動制御するときの動作を説明する。このモード時のデータと処理の流れを、図9を参照して説明する。なお、図9のStartからステップSt43及びシンボルAからステップSt49及びシンボルBからステップSt52の部分の部分拡大図を図10に、そして、図9のステップSt43の後段であるステップSt44からステップSt45及びステップSt43とステップSt52の後段であるステップSt50からEndまで及び図9のステップSt52の後段であるステップSt53からEndまでおよびステップSt53からSt54までの部分の部分拡大図を図11に、そして、図9のステップSt45の後段であるステップSt46からステップSt47までおよびステップSt54の後段であるステップ55までの部分の部分拡大図を図12に示しておく。

0096

図9に示すように、まず、制御対象の現時点での計測値のパターンが取り込まれる(図9のステップSt41)。取り込まれた当該現在のパターンは、入出力手段1と状態推定手段3aに入力される。すると状態推定手段3aは、前記取り込まれた現在のパターンに近い過去のパターンを、事例記録手段2aに記録されている事例から検索し、最も近いものを1パターンだけ、あるいは、近い順に複数パターン選出する(図9のステップSt42)。

0097

ここでパターンの近さとは、第1の実施例で既に述べたものと同様である。

0098

もし、現在のパターンに十分近いパターンが事例記録手段2aに格納されていない場合は、蓄積した事例が十分でないことになる。この場合は、事例に従って自動的に制御することはできないため、操作量決定手段5は操作量決定不能の出力を入出力手段1に与え、入出力手段1はこの出力を受けて運転員による手動操作のモードに移り、運転員による手動入力操作を促す画面をディスプレイに表示させる(図9のステップSt43,St50)。

0099

このようにして事例記録手段2aに操作量Uを決定するための十分な事例が蓄積されていない場合には、操作量決定手段5は入出力手段1を介して、運転員に以降の制御を依頼する。これ以降は、前述の“[制御事例記録時の処理のながれ]”で説明した制御事例記録のモードに変わる。このモードは手動モードであるから、運転員は表示されているパターンを見て目的状態に遷移するに必要な操作量Uを決め、入出力手段1を操作して制御対象に当該操作量Uを与えて、制御させるようにする。この状態では同時に学習モードも機能し、状態Sの情報と当該操作量Uを発生して事例記録手段2aに与え、事例記録手段2aではこれを上記パターンおよび1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も含めて情報として採取する。この学習モードとして動作は運転員が自動運転のモードにシステムを設定するまで続き、この間、操作量の決定は運転員が行うことになる。

0100

学習モード運転となる手動運転に切り替わらなかった場合の動作の説明を続ける。

0101

ステップSt43において、現在のパターンに近い過去のパターンが、事例記録手段2aに記録されている時は、つぎに状態推定手段3aは、選出した前記過去のパターンに対応して事例記録手段2に記録されている制御対象の状態Sの情報を取り込む(図9のステップSt44)。そして、状態推定手段3aは、つぎのステップSt45の処理を行う。

0102

すなわち、取り込んだこれらの状態Sの情報は、現在のパターンが観測されるときの制御対象の状態Sの仮説Sxとなる。そして、この仮説Sxの確信度b{Sx}を求める。つまり、現在のパターンが観測されるときの制御対象の状態Sが、過去のパターンと近い状況であったと言えると推測されるパターンはどれであるかをパターンの近似度という外見的判断のみで抽出しているので、その抽出したものが、現在のパターンが観測されたときの制御対象の状態Sに類似していると仮定するのが、ここで言う仮説Sxであり、その仮定の確かさがどの程度であるかを数値として求めるたのが確信度b{Sx}である。

0103

そこで、ステップSt45では前述の取り込んだ過去のパターンと現在のパターンとから、これらのパターンが観測されたとき、制御対象はそれぞれ同一の状態Sであったといえる確信度b{Sx}を計算する。

0104

つぎに制御経路生成手段4は、現在の制御対象の状態Sの到達すべき目標となる状態、すなわち制御対象が落ち着くべき目標状態Tを外部から取り込み、状態推定手段3aから供給される状態の仮説Sxとその確信度b{Sx}を取り込む。また、計時手段6が出力する現在時刻の情報を内部記憶に記録する。(図9のステップSt46)。ここで、目標状態Tは例えば、設定手段に基準値として設定しておき、これを制御経路生成手段4は取り込んで目標状態Tとする。

0105

ステップSt46の処理が終わるとつぎにステップSt47の処理に移る。ステップSt47の処理は制御経路候補の生成である。制御経路候補の生成は初めて制御経路候補である場合とそうでない場合とに分けられる。従って、これらを分けて説明する。

0106

[初めて制御経路候補を生成するとき]ステップSt47の処理では、制御経路生成手段4は初めての制御経路候補生成であるか否かを判定し、初めて制御経路候補を生成するときは、図9のシンボルAのルートでの処理に移る。そして、制御経路生成手段4は、事例記録手段2aに格納されている事例のうち、前述の状態Sの仮説Sxを含む事例を検索して取り込み、この事例から始まって目標状態の事例に到達する事例の連鎖を、事例記録手段2aに記録されている事例間の順序関係の情報を辿っていくことによって生成する(図9のステップSt48)。

0107

状態の仮説Sxは一般に複数あるため、生成される事例の連鎖も複数となる。これら事例の連鎖は、制御対象に対する制御によって当該制御対象の状態Sを変化させて行く道筋の候補、すなわち制御経路候補となる。制御経路候補は、制御経路生成手段4の内部記憶である経路候補集合に記録される(図9のステップSt49)。この処理が終わるとステップSt22に移る。

0108

[二度目以降のとき]一方、図9のステップSt47の判定において、二度目以降制御経路候補生成であったと判定した時はシンボルBの処理に移る。そして、ステップSt51において、状態仮説を含まない制御経路候補と、現在時刻と1ステップ前の時刻の差、すなわち経過時間が、事例に含まれる経過時間と大幅に異なる制御経路候補とを制御経路候補から外すために、経路候補集合から消去する(内部記憶からの消去)。

0109

すなわち、二度目以降の制御経路候補生成のときは、前述の経路候補集合に記録されている制御経路候補のうち、前述の状態の仮説Sxを含まないもの及び、含んではいるが時間的条件が合わないものとを制御経路候補から外すために、経路候補集合から消去する。これにより、制御経路候補が徐々に絞られてゆく。この消去処理により、経路候補集合が空になってしまった場合は、事例記録手段2Aに蓄積されている事例が十分でないことを意味する。このときには、過去の事例に従って自動的に制御することはできないため、入出力手段1を介して、運転員に以降の制御を依頼する(図9のステップSt52,St50)。これ以降は、前述の“[制御事例記録時の処理の流れ]”の項で説明した運転員の手動操作による制御の実施状態になり、学習モード運転段階での動作に変わる。

0110

ステップSt52において、制御経路候補集合が空になっていなければ、ステップSt53の処理に移る。すなわち、ステップSt53の処理は目標状態Tに達したかを否かを判定して達していれば終了する。

0111

これは前述の状態仮説Sxのなかに目標状態Tと一致するものがあり、しかも、その状態仮説Sxに対応する確信度b{Sx}が十分に高く、しかも、制御経路候補集合が空になっていなければ、高い確信度b{Sx}で制御が目標状態Tに達した状態であることを意味するので、制御を終了する(図9のステップSt52,St53)。

0112

一方、ステップSt53での判定において、制御経路候補集合が空になっておらず、しかも、制御対象は目標状態Tに到達していなければ、さらに制御をする必要がある。そこで、ステップSt54の処理に移る。

0113

この処理は、操作量決定手段5においてなされるものであり、操作量決定手段5は状態推定手段3aから供給される状態仮説Sxの確信度b{Sx}を取り込み、確信度b{Sx}が高い状態仮説ほど、事例の連鎖に沿って次の状態へ遷移する確率が高くなる操作量Uを、確信度b{Sx}と、制御対象の現在の状態仮説Sxから次の状態へ遷移するための操作量Uとを用いて決定する。操作量決定手段5においてこうして決定された操作量Uは、制御対象に対して与えられ、操作量Uに対応する制御に供させる(図9のステップSt55)。

0114

この処理が終わるとシンボルCに処理が移り、ステップSt41以降の処理が行われる。すなわち、前述の決定された操作量を加えられることによって変化した制御対象の計測値のパターンが、新たな現在のパターンとして取り込まれ、入出力手段1と状態推定手段3aに入力される。そして、これに基づく上述のような処理が、繰り返して行なわれる。

0115

この結果、制御対象から収集した過去の計測値のパターンと、それに対して熟練の運転員が制御対象に対して実施した制御の内容を、制御の経歴及び時刻情報及び前回の操作から今回の操作までの時間差情報と共に過去の事例として採取しておくだけで、現在の制御対象が呈した計測値のパターンに対して時刻情報及び時間差情報を加味してそれに最も近いパターンを過去の事例から探し、その時の制御内容とその時に辿った経歴に合わせて同一の制御を実施させるように制御量を生成し、制御対象に与えることにより、熟練した運転員の経験的知識を利用したしかも、時間帯に対応して生じる微妙な制御形態を踏襲した最適な制御が実現可能となる。

0116

以上の実施例は、第1の構成の制御装置に、さらに、時刻情報を与える計時手段を付加し、また事例記録手段には、監視情報(計測値のパターン)と、前記監視情報収集手段から供給される制御対象の状態と、該状態情報に対し操作者から与えられた指示に基づく制御対象に対する操作量と、前記時刻情報との組で表現される事例データを各事例毎に時系列的に記録する機能を付加し、制御経路生成手段には前記事例記録手段に記録されている事例データを参照し、前記状態推定手段によって抽出された監視情報に対する状態情報と、別途与えられる制御対象の目標状態に関する情報とに基づき、前記時刻情報を追跡して前記目標状態に到達可能な事例候補を抽出する機能を付加して構成したものであり、この構成の制御装置においては、監視情報(制御対象に関する計測値のパターン)が入出力手段に取り込まれる。また、制御対象の運転操作をする操作者にも提示される。運転員はその監視情報を見て制御対象の今の状態を推定して指示し、かつ、今の状態に適合した操作量を指示する。入出力手段は、その監視情報を見て運転員が推定した制御対象の状態と、運転員が決定した今の状態に適合した操作量とを取り込む。この操作量は、制御対象に加えられる。続いて事例記録手段は、監視情報と、運転員によって決められた状態と操作量とを取り込み、さらに現在の時刻を計時手段から取り込む。

0117

そして、この取り込んだ時刻と、1ステップ前から現在までに経過した時間、および、監視情報・状態・操作量、およびこれらの対応関係を記録する。上記の動作を繰り返すことにより、時間に依存して変化する対象の制御に関する運転員の経験的知識が、時刻・経過時間・制御対象の様々な状態・その状態における監視情報、その状態において適した操作量との対応関係として獲得される。

0118

本制御装置は、こうして獲得・蓄積された運転員の経験的知識を用いて、以下に説明するように自動的に制御対象を制御する。制御対象に関する観測値の監視情報が状態推定手段に入力される。次に、この状態推定手段は、事例記録手段に格納されている過去の監視情報から、現在観測されている監視情報に近いものを選び、選んだ監視情報に対応して記録されている状態を制御対象の現在の仮説とする。同時に、現在観測されている監視情報と選んだ監視情報との類似の程度を、状態の仮説の確信度とする。続いて、制御経路探索手段は、事例記録手段に格納されている記録(時刻情報も含む)を取り込み、状態推定手段が供給する制御対象の現在の状態仮説に対応する記録を探し、制御対象の目標状態に到達する制御経路の候補を探索する。つぎに操作量決定手段が、制御経路探索手段によって供給される制御経路の候補と、状態推定手段によって供給される確信度とを取り込んで、制御対象に対する操作量を計算する。

0119

従って、第1の実施例の装置の持つ効果に加えて、時刻の違いや、1ステップ前から現在までの間に経過した時間の違いによって、制御対象が同じ状態にあったときに同じ操作量を加えたとしても、異なる状態に遷移する複雑なダイナミクスを有する制御対象であっても、ある時点で計測した瞬間的な監視情報から制御対象の状態の仮説を生成し、生成された状態の仮説から、適切な操作量を決定することができる。

0120

以上、第2の実施例は第1の実施例にさらに時刻条件時間差条件を加味し、よりきめの細かい、しかも、特別な状況下において必要とする微妙な制御にも熟練運転員の経験的知識を反映した制御を実現可能にするものであったが、第1及び第2の実施例ともに、収集した情報をメンテナンスすることについては触れていない。

0121

しかし、現実には収集した情報のメンテナンスは、より良き制御を実現する上で重要である。そこで、収集した情報に対してメンテナンスをも可能にする例を第3の実施例としてつぎに説明する。

0122

(第3の実施例)第3の実施例の構成を図13に示す。この構成は第1の実施例に示した構成に加え、事例記録手段2に記録されている前記制御対象の状態Sと、制御対象に対する操作量Uと、前のステップとの対応関係の各情報を取り込み、これらの情報の登録、抹消、修正を行う記録保守手段7を付加したものである。記録保守手段7はパーソナルコンピュータなどによる編集端末であっても良いし、キーとディスプレイなどを有したマイクロコンピュ−タボードなどによるエディタ装置であっても良い。この記録保守手段7からの編集指示に従って事例記録手段2に記録されている情報の変更や削除、編集を行う。その他の構成は第1の実施例と基本的には同じである。

0123

つぎにこのような構成のシステムの実施例をつぎに説明する。システム導入のファーストステップとしては学習モード運転を行う。これを図14(a)のフローチャートを参照して説明する。

0124

[導入のファーストステップ(学習モード運転)]学習モード運転段階は熟練運転員の持つ制御の経験的知識を収集して自動運転に利用できるようにするシステムを構築する段階であり、本装置を導入した段階で実施する。このモードは運転員が入出力手段1より入力操作して行う。このモードが設定されて運転が開始されると、図14(a)のような手順を踏む。すなわち、ステップSt61において、制御対象から当該制御対象の前述した計測値のパターンが発生し、これは本システムに取り込まれる。取り込まれたパターンは、入出力手段1と事例記録手段2に入力される。

0125

つぎに入出力手段1はこの取り込まれた前記のパターンを出力表示する。そして、運転員はこの入出力手段1に表示された上記制御対象のパターン情報を見て必要ならば入出力手段1を操作して上記制御対象に対する操作量Uを入力し、入出力手段1は、指令として該制御対象にこれを与える(図14のステップSt62,St63)。操作量Uは前述した制御対象Sの状態に対応して熟練運転員が判断した適切な操作量である。

0126

一方、入出力手段1から出力された操作量Uは制御対象の他にも事例記録手段2に送られる(図14のステップSt64)。

0127

これにより、事例記録手段2には制御対象の状態Sと操作量Uが与えられる。なお、制御対象の状態Sはラベル情報であり、入出力手段1がこのラベルを付与する。

0128

この結果、事例記録手段2は、外部から計測値のパターンを取り込み、また入出力手段1からは制御対象の状態S、適切な操作量Uを取り込んでこれらを記録する。さらに、1ステップ前の記録と現在の記録との順序関係も記録する(図14のステップSt65)。

0129

学習モ−ドが解除されるまで、これを繰り返すことによって(図14のステップSt66)、制御対象の状態に対する運転員の行った制御操作の実態情報が収集できる。事例採取が十分行われたと運転員が判断したならば、その段階で当該運転員は入出力手段1を操作して学習のモードを終了させ、自動運転のモードにシステムを設定する。

0130

これによりシステムは、事例記録手段2に蓄積されている熟練運転員の経験的知識を反映した自動運転に入る。この自動運転の基本的動作は第1の実施例で既に詳しく述べたので、それを参照することとし、改めでここで説明はしない。

0131

つぎに第3の実施例で新たに付加した記録保守機能の動作を説明する。

0132

[記録保守時の処理の流れ]情報のメンテナンスを実施する場合、記録保守手段7に編集指令を与え、起動させる。すると、記録保守手段7は図14(b)の処理を実施する。すなわち、編集の指令を受けると(図14(b)のステップSt71)記録保守手段7は、事例記録手段2に保守に必要な情報の取り出しを行うべく、事例記録手段2に読出し指令を与える。

0133

そして、これにより、事例記録手段2から保持している制御対象の状態Sと、制御対象に対する操作量Uと、前のステップとの対応関係の各情報を取り出す(図14(b)のステップSt72)。記録保守手段7はこれを受けて取り込み、また編集指示に従って、記録の変更を行う(図14(b)のステップSt73)。すなわち、事例記録手段2から得た情報のうち、不要なものは抹消し、変更を要するものは修正を行う。変更のあったものは更新すべく事例記録手段2を書き替え制御し、情報の更新をする。

0134

これにより、事例記録手段2に蓄積されている情報のうち、不要なものは除去され、また修正の必要なものは修正されて、以後の自動運転に使用されることになり、より合理的な無駄のない操作量生成処理が可能になる。

0135

なお、この記録保守手段7は第2の実施例の装置にそのまま適用することができ、その場合の作用及び効果も第2の実施例と同様になる。

0136

以上、第3の実施例の制御装置においては、前記第1または第2の実施例の制御装置に、さらに、事例記録手段に記録されている事例データ等を取り込み、これらの登録、修正、抹消を行う記録保守手段を付加した構成としたものであり、このような構成においては記録保守手段が、前記事例記録手段に記録されている前記制御対象の状態と制御対象に対する操作量と対応関係とを取り込み、これらの記録の新規登録、抹消を行う。また、第3の実施例の制御装置においては、これらの操作に加えて、さらに、第1または第2の構成の制御装置と同様の操作がなされる。従って、事例記録手段に蓄積された運転員の経験則に、誤りがあった場合、その誤りを除去することができる。

0137

以上は、本発明の基本的概念を説明したものであった。そこで、実際の装置に適用する場合にどのようなるかを、つぎに具体的に例をあげて説明する。

0138

(具体的実施例)本発明を説明するため、具体的な事例への適用について述べる。この事例は、高速道路のトンネルにおける換気制御である。トンネル換気では、経済性を追求した維持管理が課題となる。制御の目的は安全な走行環境を提供することであり、より具体的にはトンネル内の煤煙による視界の悪化と、一酸化炭素などの有害物質による空気の汚染濃度、最小のコストで許容範囲に収めることである。トンネル換気の方式としては、近年においてはトンネル内を縦断方向に換気する縦流式が主流である。トンネル内の風速は車量、季節風などの自然条件によって変動するため、煤煙の拡散過程外乱の影響を受ける。トンネル換気の制御には、従来、「一酸化炭素濃度閾値を超えたなら、送風機運転台数回転数を増やす」といったシーケンス制御が用いられてきた。しかしこうした制御方式には無駄が多く、熟練した運転員が経験的な知識を使っておこなう経済的な制御を、機械によって自動化することが求められていた。

0139

図15は、本発明を適用するトンネルTNの縦断方向の断面図である。この図15に示すように、換気設備として横送風機2基( HB1, HB2)、集塵機2基(QC1, QC2)、縦送風機2基( VB1, VB2)が設置されている。横送風機 HB1,HB2はトンネルTN内の風速を高めるために設置されている。集塵機 QC1, QC2は煤煙をトンネルTN内で浄化処理するものである。横送風機 HB1, HB2と集塵機 QC1, QC2は、トンネルTNの天井部に設置されている。また縦送風機 VB1,VB2は、特にトンネル下方部分の視界の確保と一酸化炭素濃度を一定以下に抑えるために、降下沈澱し易い汚染物質をトンネル上方部分へ拡散する目的で、路面に埋め込んで設置されている。また、換気設備の他、トンネルTN内の煤煙状態をモニタするため、トンネル内三地点それぞれ上部下部の2箇所に、計6台の監視カメラ( C1L,C2L ,C3L ,C1U ,C2U ,C3U )が設置されている。

0140

運転員(操作員)は、監視カメラC1L,C2L ,C3L ,C1U ,C2U ,C3U が捉えた画像から、各箇所における煤煙濃度や煙の流れの方向、流速などを判断し、トンネルTN全体の現時点の状況を総合的に把握し、また近い将来の状況の変化を予測した上で、送風機の回転数の増減、集塵機の運転/停止/回転数増減を適切に指示し、トンネルTN内の換気を制御する。

0141

熟練した運転員は、監視カメラC1L,C2L ,C3L ,C1U ,C2U ,C3U でモニタできるトンネルTN内の局所の状態のみではなく、換気設備の運転経験から得たトンネルTN全体の換気特性に関する知識を駆使して、経済的な制御を行なうことができる。

0142

例えば、「ある時点で、カメラから見える地点の煤煙の濃さの度合が6箇所で全て高くとも、その直前の濃度が比較的低かったとすれば、一過性の現象であるから送風機の回転数を上げる必要はない」、などと判断する。

0143

こうした経験による知識は、かぎ括弧で括って示した上記の例のように一旦、言語化(プログラム言語化)できれば、プログラム言語におけるif−thenルールの形に表現し、エキスパートシステムの技術によって自動制御装置を構築することができる。しかし、このように知識が論理的に整理された形で保持されていることは稀であり、一般的には運転員から知識を抽出すること(知識獲得)は極めて困難である。

0144

従って、エキスパートシステムなどの従来技術を適用することによって、トンネル換気制御を自動化することには困難があった。本発明は、熟練した運転員の経験的知識を自動的に獲得できる。

0145

図16は、本発明を図15換気制御装置に適用したブロック図を示す。換気設備への制御信号の授受や、トンネルTN内に設置した監視カメラC1L,C2L ,C3L ,C1U ,C2U ,C3U からの画像は、バス通信回線)を経由して行われる。操作卓Aと制御操作用コンピュータBは図1図7図13における入出力手段1に相当し、煤煙状態事例データベースCとトンネルTN内状態遷移記録データベースDは、事例記録手段2に相当し、ニューラルネットEは状態推定手段3に相当し、制御装置Fは制御経路決定手段4と操作量決定手段5に相当する。そして、それぞれの機能は基本的には図1図7図13において説明した通りである。

0146

つぎに動作を説明する。

0147

[事例採取時の処理]まず運転員の制御知識の採取過程について説明する。トンネル下部を監視するカメラC1L〜C3Lとトンネル上部を監視するカメラC1U〜C3Uの6台のカメラから送られる画像は、制御操作用コンピュータBに入力される。

0148

この画像が、制御対象であるトンネルTNの煤煙状態を示す計測値のパターンである。トンネルTNにおける要所の煤煙状態を示す画像は、制御操作用コンピュータBにより、運転員が操作する操作卓Aに接続されたモニタテレビに映し出される。運転員は、煤煙状態を示す画像を参照して適切な操作指令を決定し、その決定した操作指令を操作卓Aに接続されたキーボードの操作によって入力する。入力された操作指令は、各換気装置に送られ、実行される。

0149

この操作指令は操作量Uにあたる。運転員は現在の煤煙状態に対し、適切な状態名称(ラベル)を操作卓Aのキーボードを通して指定する。ここでは、例えば、Xijとし、iおよびjは数字を当てる。

0150

制御操作用コンピュータBは、煤煙状態の画像Pijとその状態Sの名称Xijの対を、煤煙状態事例データベースCに登録する。さらに、一時刻前の状態,現在の状態,一時刻前に運転員が指示した操作指令Uを組にして、トンネル内状態遷移記録データベースDに登録する。

0151

これを繰り返すと、煤煙状態事例データベースCには、煤煙状態の画像と状態からなる事例が蓄積される。またトンネル内状態遷移記録データベースDには、ある状態にあるとき適当な操作指令Uを加えると別の状態に遷移するという、状態遷移の記録が蓄積される。

0152

図18は、トンネル内状態遷移記録データベースDに蓄積された記録の一部である。たとえば、状態1から状態2へは、換気設備に操作量U1,2 を加えることによって遷移したことが示されている。この図に示す通り、ある状態から別の状態へ遷移するための操作が、状態遷移記録である。

0153

また、煤煙状態事例データベースCに蓄積された煤煙状態の画像と状態の事例は、ニューラルネットEの学習に用いられる。図17は、ニューラルネットCの構造を示す。この図において丸印はニューロン素子を表わしており、丸印を結ぶ矢印はニューロン素子間の結合線を表す。結合線は、全ての入力層のニューロン素子と全ての中間層ニューロン素子の間と、全ての中間層のニューロン素子と全ての出力層ニューロン素子の間を結合しているが、図では見易さのために、その一部しか描いていない。図中で記号DUj は入力層のニューロン素子を、DUiは中間層のニューロン素子を、DUk は出力層のニューロン素子を、DXj は合成された画像の画素上の濃淡値のDUj への入力を、WijはDUj とDUi を結ぶ結合線上の信号伝達効率である結合荷重値を、WkiはDUi とDUk を結ぶ結合線上の信号伝達効率である結合荷重値を、ak はニューラルネットの入力層の入力された画像に対するDUk の反応強度値を表わす。このニューラルネットEには、例えば、特願平4−45614号、特願平5−102980号の明細書に記載されるものを用いれば良い。

0154

また学習の手続きも、この発明に記載されているものを用いればよいので、ここでは詳細については触れず、簡単な説明にとどめる。このニューラルネットは三層構造をなし、入力層の各素子には煤煙の状態を示す6枚の画像を横に一列に並べて合成した画像の各画素の濃淡値が入力される。

0155

すなわち入力層は、合成された画像の画素数に一致する数の素子からなる。入力層に入力された画像の情報は、結合線を通して中間層の素子に伝搬され、さらに出力層の素子に伝搬する。出力層の素子は、状態名称の個数と同じ数の素子を含み、各素子は、各々が状態名称と一対一に対応する。反応が伝搬した結果、反応した出力層の素子が対応する状態名称が、トンネルの煤煙状態の仮説である。

0156

このニューラルネットの入力層に画像が入力されると、出力層に状態が現れる。また同時に、画像の状態の確信度が、各状態を表す素子の反応強度として得られる。

0157

学習の過程においては、出力層の素子に、教師信号と呼ばれる、出力層素子の正しい反応を指定する情報が与えられる。この教師信号は、入力層に入力された画像に対する状態名称を示す情報であり、ニューラルネットの出力層に現れる、画像に対する状態の推定値の誤りを正すために与えられる。ニューラルネットの学習は、煤煙状態事例データベースに蓄積された全ての事例の画像に対して、教師信号に一致する信号が、ニューラルネットの出力層の素子の反応として現れるまで、繰り返される。ここでいう学習とは、全ての素子の結合線上の荷重を、教師信号と一致する出力が現れるよう修正することを意味する。

0158

[制御時の処理]つぎに、以上のようにして事例を学習した本換気制御装置を用い、トンネルの換気制御を行う過程について説明する。

0159

煤煙状態を示す6枚の画像からなるパターンが監視カメラC1U〜C3U,C1L〜C3Lから送られ、バスを通して、ニューラルネットEの入力層に呈示される。ニューラルネットEは、パターンに対応する状態とその確信度を計算し、出力する。ここで、一般には画像と全く一致する画像を過去に経験していることは稀である。このとき、ニューラルネットEは、現在のパターンに近い、過去に学習した画像の複数の状態仮説を出力する。従って状態仮説と確信度の組が複数あることに注意されたい。

0160

制御装置Fは、ニューラルネットEから状態とその確信度を読みとり、運転員が指定する目標状態Tを、操作卓Aと制御操作用コンピュータBを介して読みとる。次に制御装置Fは、トンネル内状態遷移記録データベースDを検索し、現在の状態仮説から目標状態Tへ至る経路である状態遷移の記録を全て読み込む。

0161

たとえば、トンネル内状態遷移記録データベースDに登録されている記録が、図18のようであるとする。ニューラルネットEによって出力された現在の状態仮説が“9”と“12”であり、各々の確信度が“0.6”,“0.2”,目標状態Tが“14”のとき、目標状態Tへ至る経路としては、
“9”−−> “10”−−> “14”
“12”−−> “13”−−> “14”
“12”−−> “15”−−> “16”−−> “14”
の3経路がある。制御装置は、これらを制御経路候補として記録する。

0162

つぎに制御装置Fは、換気設備に対する操作量を決定する。操作量は、各設備eに対する操作量の増分方向をまとめて表したものである。適用対象のトンネルの換気設備である横送風機、集塵機、縦送風機のいずれも、モータの回転数を操作量とし、状態aから状態bへ遷移させるための操作量Ua,b は、6基のモータVB1,VB2,HB1,HB2,QC1,QC2の回転数の増分方向
Ua,b =(ΔVB1a,b ,ΔVB2a,b ,ΔHB1a,b ,ΔHB2a,b ,ΔQC1a,b ,ΔQC2a,b )
である。ここでUa,b の各成分がとる値は、
NB,ZZ,PB
であり、これらは各々モータの回転数を「減らす」、「維持する」、「増やす」に対応する。モータの回転数増分の方向と、実際の回転数増分の値との関係は、図19に示すメンバシップ関数によって定める。

0163

状態仮説が“9”と“12”であるから、制御装置は2つの経路上で次状態10,13へ遷移するための操作指令U9,10、U12,13 から、回転増分を決定する。これら2つの操作指令において、縦送風機VB1に対する指令を例にとって説明する。U9,10のVB1に関する指令がNB、すなわち回転数を「減らす」であり、U12,13 のVB1に関する指令がPB、すなわち回転数を「増やす」であるとする。このときVB1の回転数増分は、図20に示すように、ファジィ推論における重心法によって求められる。

0164

このとき各メンバシップ関数のグレードには、状態仮説“9”の確信度“0.6”と、状態仮説“12”の確信度“0.2”とを用いる。同様に残り5つのモータ回転数増分を決定した後、各換気装置の回転数を変更する。

0165

つぎに、再び監視カメラからの画像がニューラルネットEの入力層に呈示される。その結果現在の状態仮説が“13”と“16”、各々の確信度が“0.8”,“0.2”になったとする。制御装置Fは、一時刻前に立てた経路の候補
“9”−−> “10”−−> “14”
“12”−−> “13”−−> “14”
のうち、次状態として予想していた状態“10”に至らなかった、状態“9”を起点とする第一の経路を経路の候補から外す。回転数の増分は、状態“13”から状態“14”への操作指令U13,14 のみから決定される。決定は、一時刻前と同様にファジィ推論によって行われる。

0166

以上を目標状態Tに達するまで繰り返すことにより、換気装置の制御を行う。

0167

つぎに別の事例としてプラントの状態遷移がダイナミクスを有する場合の例を説明する。

0168

(プラントの状態遷移がダイナミクスを有する場合の作用)つぎに、本発明によって、プラントの状態遷移がダイナミクスを有する場合にも、適切な制御が行なえる点について説明する。図21は、トンネルNTの煤煙の状態遷移にダイナミクスがある場合の、トンネル内状態遷移記録データベースDに蓄積されている一部の経路を示している。丸印は状態、丸印の中の記号は状態名称、矢印は状態間の遷移を意味する。矢印に付いている“(”,“)”で囲まれた文字列は、遷移を引き起こす操作指令を意味する。

0169

操作指令は、回転数を変える換気設備の名称と、増分の方向を示す記号“+”、“−”を組合わせて表現する。たとえば、(VB1+,HB1+)の如きであり、これは縦送風機VB1と横送風機HB1の回転数を増加させることを意味する。また(0)は、全ての換気設備について回転数を維持することを示す。

0170

また、状態を示す丸印の上の2行3列英字列は観測された被制御量、すなわち6台のカメラで捉えた、その状態に対応する画像の状況を表す文字列である。上の行はトンネルの上部に設置された3つのカメラC1U〜C3Uの画像を、下の行は下部に設置された3つのカメラC1L〜C3Lの画像を示す。英字は、“l”が煤煙濃度が低い状態、“m”は中程度、“h”は高い状態を意味する。実際には6枚の画像の組が被制御量であるが、ここでは説明を簡単にするため、6枚の画像を示す代わりに画像を煤煙濃度によって3レベルに段階付けし、その程度を示す英字の組で被制御量を表すことにする。

0171

また、実際に画像から運転員が読み取っている情報も、単なる煤煙濃度だけではなく、煙の流れる方向や風速が含まれているが、話を簡単にするため、この説明では扱わない。

0172

時刻kにおいて、6台のカメラC1U,C2U,〜,C3Lから得られた画像が、mmmhhhであるとする。ニューラルネットEはこの画像を読み取り、状態仮説として「イ」,「1」,「A」を出力する。制御装置Fは、トンネル内状態遷移記録データベースDから、これら3状態を起点とし、与えられた目標状態へ至る3つの経路
“イ”−−> “ロ”−−> “ハ”
“1”−−> “2”−−> “3”
“A”−−> “B”−−> “C”
を検索したとする。この3つの経路は、図21実線で示されている。これらの経路は、図の上から順にそれぞれ、車量減少時、車量一定時、車量増加時に合った制御経路であるが、時刻kにおける瞬間的な画像からだけではトンネルが3つのいずれの状況にあるのか判断できない点に留意されたい。

0173

制御装置Fは次に、先に説明したファジィ推論によって操作量を決め、換気装置を制御する。いまの場合、どの経路の操作指令も(0)であるから、全ての換気設備に対する回転数の増分はすべて0である。

0174

一時刻後の時刻k+1において、カメラから得られた画像がhhhhhhであるとする。ニュ—ラルネットはこの画像を読みとり、状態仮説として「2」,「B」を出力する。制御装置Fは、現在ある経路の3つの候補のうち、一時刻前の状態の次状態が、「2」と「B」でない経路イ→ロ→ハを経路の候補から外す。

0175

制御装置Fは次に、状態仮説「2」,「B」の確信度と、経路2→3の操作指令(HB1+,HB2+)、経路“A”−−> “B”の操作指令(VB1+,VB2+,QC1+,QC2+)とから、先に説明したファジィ推論によって、操作量を決める。この説明においては、操作量の具体的な数値は必要ないので述べない。決まった操作量をもとに、各換気装置を制御する。

0176

時刻k+2において、カメラから得られた画像がhhhmhmであるとする。ニュ—ラルネットはこの画像を読み取り、状態仮説として「C」を出力する。制御装置は、現在ある経路の2つの候補のうち、一時刻前の次状態が、「C」でない経路“2”−−> “3”を経路の候補から外す。

0177

上記の例に示すように、プラントの状態遷移にダイナミクスがある場合には、ある時点での瞬間的な被制御量を観測するだけではプラントの状態を同定することができない。上の例では、時刻kの被制御量mmmhhhに対応する状態には3つの可能性があるが、本発明によれば、状態の仮説を徐々にしぼり込むことが可能である。本発明は、ある時刻に観測される瞬間的な被制御量の値からではプラントの状態を同定できない場合においても、状態の時系列、すなわち状態遷移を扱うことによって適切な制御を行うことができる。

0178

以上が本発明の実施例の詳細である。

0179

上記の如く、画像等、運転員が制御時に参照するデータを直接被制御量として扱う機能と、運転員の制御知識を獲得する機能と、獲得した知識から最良な制御経路を生成する機能とを合わせ持つことにより、熟練した運転員による制御知識を採り入れ、最適な制御経路に従った制御を、自動的に行うことができるようになる。

0180

なお、本発明は以上説明した実施例だけに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々変形して実施できるものである。たとえば、状態推定手段にはニューラルネットを用いたが、パターンを分類する手段であればどのようなものでも良く、たとえば、主成分分析基礎とする統計的なパターン認識手段(一例としては、複合類似度法)や、任意のクラスタリング手法を採用しても良い。

0181

また本実施例ではトンネル換気制御を対象としたが、これ以外にも溶鉱炉炉内温度、下水汚泥、鋼板圧延形状、交通信号等においても、本実施例にあげたプラント制御装置によって、同様な効果を得ることが可能であることは容易に類推できる。

0182

本発明を纏めてみると、第1には入出力手段と、事例記録手段と、操作量決定手段と、制御経路探索手段と、状態推定手段とにより構成したものであり、また、第2には第1の構成に加えて計時手段を設け、さらにこの計時手段の時刻情報を利用して時間的な要素の近似する過去の事例に絞って参照できるように構成したものであり、また、第3には、収集した事例を編集操作することができるように構成したものである。

0183

第1の構成の制御装置においては、監視情報である制御対象に関する計測値のパターンが入出力手段に取り込まれ、制御対象の運転員に提示され、つぎに入出力手段は、そのパターンを見て運転員が推定した制御対象の状態と、運転員が決定した今の状態にあった操作量とを取り込む。この操作量は、制御対象に加えられる。続いて事例記録手段は、パターンと、運転員によって決められた状態と操作量とを取り込み、これらおよびこれらの対応関係を記録する。このような動作を繰り返すことにより、対象の制御に関する運転員の経験的知識が、制御対象の様々な状態と、その状態における監視情報、その状態において適した操作量との対応関係として獲得されるようにした。

0184

そして、本制御装置では、こうして獲得・蓄積された運転員の経験的知識を用いて、自動的に制御対象を制御する。すなわち、制御対象に関する観測値のパターンが状態推定手段に入力されると、この状態推定手段は、事例記録手段に格納されている過去のパターンから、現在観測されているパターンに近いものを選び、選んだパターンに対応して記録されている状態を制御対象の現在の状態の仮説とする。同時に、現在観測されているパターンと選んだ過去のパターンとの類似の程度を、状態の仮説の確信度とする。続いて、制御経路探索手段は、事例記録手段に格納されている記録を取り込み、状態推定手段が供給する制御対象の現在の状態仮説に対応する記録を探し、制御対象の目標状態に到達する制御経路の候補を探索する。つぎに操作量決定手段が、制御経路探索手段によって供給される制御経路の候補と、状態推定手段によって供給される確信度とを取り込んで、制御対象に対する操作量を計算する。

0185

従って、この構成によれば、運転員が、パターンに含まれるどの情報を制御量として利用し、操作量を決定しているのか明確でない対象の制御において、運転員の経験則をルール形式で記述するという困難な作業を行なうことなく対象の制御に関する経験則を獲得することにより、制御対象を半自動的に制御することができる。さらに、運転員の持つ制御に関する経験則の適用順序等の経験則の論理構造を、運転員による制御の事例を観測することにより自動的に獲得することができる。

0186

また、第2の構成の制御装置においては、制御対象に関する計測値のパターンが入出力手段に取り込まれ、制御対象の運転員に提示される。入出力手段は、そのパターンを見て運転員が推定した制御対象の状態と、運転員が決定した今の状態にあった操作量とを取り込む。この操作量は、制御対象に加えられる。続いて事例記録手段は、パターンと、運転員によって決められた状態と操作量とを取り込み、さらに現在の時刻を計時手段から取り込む。時刻と、1ステップ前から現在までに経過した時間、および、パターン・状態・操作量、およびこれらの対応関係を記録する。上記の動作を繰り返すことにより、時間に依存して変化する対象の制御に関する運転員の経験的知識が、時刻・経過時間・制御対象の様々な状態・その状態におけるパターン、その状態において適した操作量との対応関係として獲得される。本制御装置は、こうして獲得・蓄積された運転員の経験的知識をもちいて、以下に説明するように自動的に制御対象を制御する。制御対象に関する観測値のパターンが状態推定手段に入力される。次に、この状態推定手段は、事例記録手段に格納されているパターンから、現在観測されているパターンに近いものを選び、選んだパターンに対応して記録されている状態を制御対象の現在の仮説とする。同時に、現在観測されているパターンと選んだパターンとの類似の程度を、状態の仮説の確信度とする。続いて、制御経路探索手段は、事例記録手段に格納されている記録を取り込み、状態推定手段が供給する制御対象の現在の状態仮説に対応する記録を探し、制御対象の目標状態に到達する制御経路の候補を探索する。つぎに操作量決定手段が、制御経路探索手段によって供給される制御経路の候補と、状態推定手段によって供給される確信度とを取り込んで、制御対象に対する操作量を計算する。

0187

従って、第1の構成の装置の持つ効果に加えて、時刻の違いや、1ステップ前から現在までの間に経過した時間の違いによって、制御対象が同じ状態にあったときに同じ操作量を加えたとしても、異なる状態に遷移する複雑なダイナミクスを有する制御対象であっても、ある時点で計測した瞬間的なパターンから制御対象の状態の仮説を生成し、生成された状態の仮説から、適切な操作量を決定することができる。

0188

また、第3の構成の制御装置においては、記録保守手段が、前記事例記録手段に記録されている前記制御対象の状態と制御対象に対する操作量と対応関係とを取り込み、これらの記録の新規登録、抹消を行なう。これらの操作に加えて、さらに、第1または第2の構成の制御装置と同様の操作がなされる。

0189

従って、事例記録手段に蓄積された運転員の経験則に、誤りがあった場合、その誤りを除去することができる。

発明の効果

0190

本発明によれば、運転員が経験的に蓄積しているプラントの制御知識を獲得して、それに基づいてプラントを制御することが可能である。また、獲得した制御知識を調整し最適な制御経路を生成することによって、効率の良い制御を行なうことが可能である。

図面の簡単な説明

0191

図1本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例を説明するためのブロック図。
図2本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における制御事例記録時の処理の流れを示すフローチャート。
図3本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における制御時の処理の流れを示すフローチャート。
図4本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図5本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図6本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図7本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例を説明するためのブロック図。
図8本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における制御事例記録時の処理の流れを示すフローチャート。
図9本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における制御時の処理の流れを示すフローチャート。
図10本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図11本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図12本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における制御時の処理の流れを示す図3のフローチャートの部分拡大図。
図13本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第3の実施例の構成を説明するためのブロック図。
図14本発明の実施例を説明するための図であって、本発明の第3の実施例における制御事例記録時の処理の流れを示すフローチャート。
図15本発明の実施例を説明するための図であって、本発明を実際の事例としてプラントに当て嵌めて説明する図。
図16本発明の実施例を説明するための図であって、本発明を適用する事例としてのプラント例を示す図。
図17本発明の実施例を説明するための図であって、図16の構成要素として示した状態推定手段の実施例であるニュ—ラルネットの構造を示す図。
図18本発明の実施例を説明するための図であって、図16の構成要素として示した本発明の制御経路データベース手段に記録される制御経路の例を示す図。
図19本発明の実施例を説明するための図であって、図16の構成要素として示した制御手段が操作量を決定する際に用いるメンバシップ関数の例を示す図。
図20本発明の実施例を説明するための図であって、応用例における操作量決定の方法を説明するための図。
図21本発明の実施例を説明するための図であって、状態遷移がダイナミクスを有する場合の経路の例を示す図。

--

0192

1…入出力手段
2,2a…事例記録手段
3,3a…状態推定手段
4…制御経路探索手段
5…操作量決定手段
6…計時手段
7…記録保守手段

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