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技術 エンジンの電子制御装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 伊奈博之黒川和徳河合秀泰阿部孝秀杉浦健悟
出願日 1995年2月8日 (25年9ヶ月経過) 出願番号 1995-020679
公開日 1996年5月14日 (24年6ヶ月経過) 公開番号 1996-121227
状態 拒絶査定
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御
主要キーワード 比較基準電位 トランジスタ温度 負荷温度 オン周期 熱的保護 多値的 パルス信号波形 外部ハーネス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年5月14日)のものです。
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図面 (20)

目的

構成

エンジン電子制御装置30には、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令に基づいて燃料噴射弁9の駆動を制御する駆動回路341が内蔵されている。この駆動回路にあっては、燃料噴射弁駆動用トランジスタベースコレクタ間にフライバック電圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、燃料噴射弁9のオフ時に発生するフライバックエネルギを同トランジスタで吸収するようになる。ここではこのトランジスタ近傍にサーミスタ352を配設し、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度演算するとともに、該演算された周囲温度が所定の限界値以上となるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値引き下げて、上記トランジスタの発生電力を制限する。

概要

背景

こうしたエンジン電子制御装置にあっては、その更なる小型化を図るべく、燃料噴射弁駆動用トランジスタベースコレクタ間に上記フライバック電圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、同燃料噴射弁オフ時に発生するフライバックエネルギを上記トランジスタで吸収するようにしている。

ただし、このようにフライバックエネルギを上記トランジスタ自身で吸収するようにした場合、燃料噴射弁駆動時の発熱に加え更にこのフライバックエネルギによる発熱が加わることとなり、同トランジスタの耐熱性に関する問題が大きくクローズアップされるようになってきている。

すなわち、上記フライバック電圧の消弧方法として単にこのような方法を採っただけでは熱的に非常に厳しいものとなり、上記トランジスタの使用限界となる温度範囲を超えてしまう可能性がある。

そこで従来は、それらトランジスタ等を放熱フィン上に取り付けたり、或いはそれらトランジスタ自身にヒートシンクを装着するなどの放熱対策を施すようにしている。

概要

フライバック電圧消弧用ツェナーダイオードが接続されたインダクタンス負荷駆動用トランジスタ使用限界温度範囲を超えての発熱を抑制する。

エンジンの電子制御装置30には、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令に基づいて燃料噴射弁9の駆動を制御する駆動回路341が内蔵されている。この駆動回路にあっては、燃料噴射弁駆動用のトランジスタのベース−コレクタ間にフライバック電圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、燃料噴射弁9のオフ時に発生するフライバックエネルギを同トランジスタで吸収するようになる。ここではこのトランジスタ近傍にサーミスタ352を配設し、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度演算するとともに、該演算された周囲温度が所定の限界値以上となるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値引き下げて、上記トランジスタの発生電力を制限する。

目的

この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、いたずらに放熱コストをかけずとも、フライバック電圧消弧用のツェナーダイオードが接続されるインダクタンス負荷駆動用のトランジスタの熱的保護を的確に実現することのできるエンジンの電子制御装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

インダクタンス負荷エンジンの回転に同期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接続されて前記負荷オフ時に発生するフライバック電圧消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電子制御装置であって、前記トランジスタの温度若しくはその周囲温度監視する温度監視手段と、該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手段と、を具えることを特徴とするエンジンの電子制御装置。

請求項2

前記回転数制限手段は、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数判定値引き下げ燃料カット判定値変更手段を具えて構成される請求項1記載のエンジンの電子制御装置。

請求項3

前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料噴射を所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えて構成される請求項1記載のエンジンの電子制御装置。

請求項4

前記回転数制限手段は、エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えて構成される請求項1記載のエンジンの電子制御装置。

請求項5

前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えて構成される請求項1記載のエンジンの電子制御装置。

請求項6

前記回転数制限手段は、エンジンの吸気絞り弁強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えて構成される請求項1記載のエンジンの電子制御装置。

請求項7

前記温度監視手段は、前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えて構成される請求項1乃至6の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項8

前記温度監視手段は、同電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオードと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えて構成される請求項1乃至6の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項9

前記ダイオードは、電子制御装置内に同温度監視手段として別途に配設されるものである請求項8記載のエンジンの電子制御装置。

請求項10

前記ダイオードは、電子制御装置内に制御部品として予め配設されているものが流用される請求項8記載のエンジンの電子制御装置。

請求項11

前記演算手段は、電源投入後所定の時間以内であること、及びエンジンの冷却水温並びに吸気温が共に所定の第1の温度以下でその温度差も所定の第2の温度以下であること、及びエンジンが回転していないことの論理積条件が満たされることに基づき前記ダイオードの順方向電圧−温度特性校正する手段と、前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該ダイオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づいてその都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として算出する手段と、を具えて構成される請求項8または9または10記載のエンジンの電子制御装置。

請求項12

前記温度監視手段は、前記トランジスタの周囲温度をバッテリ電圧値換算して監視するものであり、前記回転数制限手段は、この換算されたバッテリの電圧値が所定の限界値以上となるとき前記エンジン回転数を制限するものである請求項1乃至6の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項13

前記温度監視手段は、前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出するベース電位抽出手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トランジスタ自身の温度を演算する演算手段とを具えて構成される請求項1乃至6の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項14

前記演算手段は、前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位を読み込み、そのベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具えて構成される請求項13記載のエンジンの電子制御装置。

請求項15

請求項13記載のエンジンの電子制御装置において、前記温度監視手段は更に、前記負荷の電源電位を抽出する電源電位抽出手段を具えて構成され、前記演算手段は、前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位並びに電源電位を読み込み、その都度の電源電位に応じたベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段と、を具えて構成されることを特徴とするエンジンの電子制御装置。

請求項16

インダクタンス負荷をエンジンの回転に同期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接続されて前記負荷のオフ時に発生するフライバック電圧を消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電子制御装置であって、前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監視手段と、該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限する回転数制限手段と、を具えることを特徴とするエンジンの電子制御装置。

請求項17

前記回転数制限手段は、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を前記監視される負荷温度に応じて変更する燃料カット判定値変更手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御装置。

請求項18

前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料噴射を前記監視される負荷温度に応じた所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御装置。

請求項19

前記回転数制限手段は、前記監視される負荷温度に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御装置。

請求項20

前記回転数制限手段は、エンジンへの燃料噴射量を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御装置。

請求項21

前記回転数制限手段は、エンジンの吸気絞り弁を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えて構成される請求項16記載のエンジンの電子制御装置。

請求項22

前記負荷温度監視手段は、前記インダクタンス負荷に配設されてその温度を直接測定する温度測定手段を具えて構成される請求項16乃至21の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項23

前記負荷温度監視手段は、エンジンの冷却水温を検出する水温センサと、該検出される冷却水温に基づいて前記インダクタンス負荷の温度を推定する推定手段とを具えて構成される請求項16乃至21の何れかに記載のエンジンの電子制御装置。

請求項24

前記推定手段は、エンジン始動時からの累積回転数を演算する演算手段と、該演算された累積回転数が所定の値以上となるとき、前記検出される冷却水温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を所定に増加補正する補正手段とを具える請求項23記載のエンジンの電子制御装置。

請求項25

前記推定手段は、エンジンの停止後も、イグニションオフとなるまでは前記演算された累積回転数を保持する請求項24記載のエンジンの電子制御装置。

技術分野

0001

この発明は、エンジン運転電子制御するエンジンの電子制御装置に関し、特に、燃料噴射弁等のインダクタンス負荷をエンジンの回転に同期して駆動するトランジスタに接続されて同負荷オフ時に発生するフライバック電圧消弧するツェナーダイオードを具えるものにあって、上記トランジスタの熱的保護を的確に実現する装置の具現に関する。

背景技術

0002

こうしたエンジンの電子制御装置にあっては、その更なる小型化を図るべく、燃料噴射弁駆動用のトランジスタのベースコレクタ間に上記フライバック電圧消弧用のツェナーダイオードを挿入し、同燃料噴射弁のオフ時に発生するフライバックエネルギを上記トランジスタで吸収するようにしている。

0003

ただし、このようにフライバックエネルギを上記トランジスタ自身で吸収するようにした場合、燃料噴射弁駆動時の発熱に加え更にこのフライバックエネルギによる発熱が加わることとなり、同トランジスタの耐熱性に関する問題が大きくクローズアップされるようになってきている。

0004

すなわち、上記フライバック電圧の消弧方法として単にこのような方法を採っただけでは熱的に非常に厳しいものとなり、上記トランジスタの使用限界となる温度範囲を超えてしまう可能性がある。

0005

そこで従来は、それらトランジスタ等を放熱フィン上に取り付けたり、或いはそれらトランジスタ自身にヒートシンクを装着するなどの放熱対策を施すようにしている。

発明が解決しようとする課題

0006

上記燃料噴射弁駆動用のトランジスタ等に対して、このような放熱対策を施すことにより、該トランジスタはもとより、これを内蔵する電子制御装置自身も、確かにその信頼性は向上されるようになる。

0007

しかし、その経済性、或いはエンジンといったいわば特殊な機器制御対象とする電子制御装置という観点からすれば、必ずしもこのような放熱対策が得策であるとは限らない。

0008

すなわち、燃料噴射弁のオフ時に発生するフライバック電圧を消弧する方法として上記方法を採用した場合、同燃料噴射弁駆動用のトランジスタの使用限界温度範囲を超えてしまう可能性があるとはいえ、現実にそのような状況に陥るのは、例えばその周囲温度高温で且つ燃料噴射弁の抵抗値が低く(すなわち温度低)、しかもエンジンが高速回転しているときといったような、それこそ特殊な場合に限られる。

0009

したがって、そのような特殊な状況に備えて上記放熱対策を施したとしても、その技術的効果は薄く、経済的にも有効なコストのかけ方であるとはいい難い。また、ただ単に上記態様での放熱対策を施したところで、その周囲温度自体が高温となる場合には、有効な放熱が行われず、その発熱に対する根本的な対策にはならない。

0010

なお、上記燃料噴射弁駆動用のトランジスタに限らず、電子制御装置に内蔵され、上述した態様でフライバックエネルギを吸収するようになるインダクタンス負荷駆動用のトランジスタにあっては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。

0011

この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、いたずらに放熱にコストをかけずとも、フライバック電圧消弧用のツェナーダイオードが接続されるインダクタンス負荷駆動用のトランジスタの熱的保護を的確に実現することのできるエンジンの電子制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

こうした目的を達成するため、請求項1記載の発明では、インダクタンス負荷をエンジンの回転に同期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接続されて前記負荷のオフ時に発生するフライバック電圧を消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電子制御装置にあって、前記トランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視する温度監視手段と、該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手段とを具える構成とする。

0013

また、請求項2記載の発明では、前記回転数制限手段を、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数判定値引き下げ燃料カット判定値変更手段を具えるものとして構成する。

0014

また、請求項3記載の発明では、前記回転数制限手段を、エンジンへの燃料噴射を所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるものとして構成する。

0015

また、請求項4記載の発明では、前記回転数制限手段を、エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるものとして構成する。

0016

また、請求項5記載の発明では、前記回転数制限手段を、エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるものとして構成する。

0017

また、請求項6記載の発明では、前記回転数制限手段を、エンジンの吸気絞り弁強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えるものとして構成する。

0018

また、請求項7記載の発明では、これら請求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記温度監視手段を、前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるものとして構成する。

0019

また、請求項8記載の発明では、同じく請求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記温度監視手段を、同電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオードと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるものとして構成する。

0020

また、請求項9記載の発明では、この請求項8記載の発明の構成において、前記ダイオードを、電子制御装置内に同温度監視手段として別途に配設するようにする。

0021

また、請求項10記載の発明では、同じく請求項8記載の発明の構成において、前記ダイオードを、電子制御装置内に制御部品として予め配設されているものを流用するようにする。

0022

また、請求項11記載の発明では、ダイオードを用いたこれら請求項8または9または10記載の発明の構成において、前記演算手段を、電源投入後所定の時間以内であること、及びエンジンの冷却水温並びに吸気温が共に所定の第1の温度以下でその温度差も所定の第2の温度以下であること、及びエンジンが回転していないことの論理積条件が満たされることに基づき前記ダイオードの順方向電圧−温度特性校正する手段と、前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該ダイオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づいてその都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として算出する手段とを具えて構成するようにする。

0023

また、請求項12記載の発明では、先の請求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記温度監視手段を、前記トランジスタの周囲温度をバッテリ電圧値換算して監視するものとし、前記回転数制限手段は、この換算されたバッテリの電圧値が所定の限界値以上となるとき前記エンジン回転数を制限するものとする。

0024

また、請求項13記載の発明では、同じく請求項1乃至6記載の発明の何れかの構成において、前記温度監視手段を、前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出するベース電位抽出手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トランジスタ自身の温度を演算する演算手段とを具えるものとして構成する。

0025

また、請求項14記載の発明では、この請求項13記載の発明の構成において、前記演算手段を、前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位を読み込み、そのベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具えて構成するようにする。

0026

また、請求項15記載の発明では、同じく請求項13記載の発明の構成において、前記温度監視手段が更に、前記負荷の電源電位を抽出する電源電位抽出手段を具えて構成されるものとするとき、前記演算手段を、前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位並びに電源電位を読み込み、その都度の電源電位に応じたベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具えて構成するようにする。

0027

また、請求項16記載の発明では、インダクタンス負荷をエンジンの回転に同期して駆動するトランジスタと、同トランジスタに接続されて前記負荷のオフ時に発生するフライバック電圧を消弧するツェナーダイオードとを具えるエンジンの電子制御装置にあって、前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監視手段と、該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限する回転数制限手段とを具える構成とする。

0028

また、請求項17記載の発明では、上記請求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段を、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を前記監視される負荷温度に応じて変更する燃料カット判定値変更手段を具えるものとして構成する。

0029

また、請求項18記載の発明では、同請求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段を、エンジンへの燃料噴射を前記監視される負荷温度に応じた所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるものとして構成する。

0030

また、請求項19記載の発明では、同請求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段を、前記監視される負荷温度に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるものとして構成する。

0031

また、請求項20記載の発明では、同請求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段を、エンジンへの燃料噴射量を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるものとして構成する。

0032

また、請求項21記載の発明では、同請求項16記載の発明の構成において、前記回転数制限手段を、エンジンの吸気絞り弁を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えるものとして構成する。

0033

また、請求項22記載の発明では、これら請求項16乃至21の何れかに記載の発明の構成において、前記負荷温度監視手段を、前記インダクタンス負荷に配設されてその温度を直接測定する温度測定手段を具えるものとして構成する。

0034

また、請求項23記載の発明では、同じく請求項16乃至21の何れかに記載の発明の構成において、前記負荷温度監視手段を、エンジンの冷却水温を検出する水温センサと、該検出される冷却水温に基づいて前記インダクタンス負荷の温度を推定する推定手段とを具えるものとして構成する。

0035

また、請求項24記載の発明では、上記請求項23記載の発明の構成において、前記推定手段を、エンジン始動時からの累積回転数を演算する演算手段と、該演算された累積回転数が所定の値以上となるとき、前記検出される冷却水温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を所定に増加補正する補正手段とを具えるものとして構成する。

0036

また、請求項25記載の発明では、この請求項24記載の発明の構成において、前記推定手段を、エンジンの停止後も、イグニションオフとなるまでは前記演算された累積回転数を保持するものとして構成する。

0037

燃料噴射弁等、インダクタンス負荷のオフ時に発生するフライバック電圧を消弧する方法として、ツェナーダイオードをその駆動用のトランジスタに接続した場合、同トランジスタの使用限界温度範囲を超えてしまう可能性があるとはいえ、現実にそのような状況に陥るのは、例えばその周囲温度が高温で且つ燃料噴射弁の抵抗値が低く(すなわち温度低)、しかもエンジンが高速回転しているとき、といったような特殊な場合に限られることは前述した通りである。

0038

そこで、上記請求項1記載の発明によるように、
・前記トランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視する温度監視手段と、
・該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手段と、をそれぞれ具えるようにすれば、上記トランジスタから発生される電力も自ずと制限されるようになり、上記トランジスタに対して必ずしも前述したような放熱対策を施さずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0039

したがって、いたずらに放熱にコストをかけずとも、まさかのときには確実にそれら素子の保護を図ることができるようになる。なお、上記トランジスタから発生される電力は、同トランジスタのオン時にはそのオンデューティに比例し、またオフ時、すなわちフライバックエネルギの吸収時には、エンジン回転数に比例したものとなる。このため、オンデューティが変わらないものと仮定すれば、エンジン回転数を制限することでその発生される電力は制限され、同トランジスタの異常発熱も好適に抑制されるようになる。

0040

また、上記請求項2記載の発明によるように、前記回転数制限手段を、
・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を引き下げる燃料カット判定値変更手段を具えるもの。
として構成すれば、その変更された燃料カット判定値以上の回転数では燃料噴射が全面的に禁止され、エンジン回転数がそれ以上に上昇することもなくなる。

0041

このため、車両の通常の走行に何らの影響も与えることなく、同トランジスタの異常発熱を抑え、ひいてはこれを保護することができるようになる。また、前記回転数制限手段については他にも、例えば請求項3記載の発明によるように、
・エンジンへの燃料噴射を所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるもの。
或いは請求項4記載の発明によるように、
・エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるもの。
或いは請求項5記載の発明によるように、
・エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるもの。
或いは請求項6記載の発明によるように、
・エンジンの吸気絞り弁(スロットルバルブなど)を強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えるもの。
として構成することもできる。

0042

回転数制限手段としてのこのような構成によっても、エンジン回転数を好適に制限することができ、ひいては上記トランジスタの発生電力を制限することができるようになる。

0043

一方、上記請求項7記載の発明によるように、以上の各構成において、前記温度監視手段についてはこれを、
・前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。
として構成することができる。温度監視手段としてのこのような構成によれば、上記トランジスタの周囲温度を直接、しかも簡単に監視することができるようになる。

0044

また、上記請求項8記載の発明によるように、同温度監視手段についてはこれを、
・電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオードと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。
として構成することもできる。特に、温度監視手段としてのこうした構成によれば、前記ダイオードについてこれを例えば請求項9記載の発明によるように、
A.電子制御装置内に同温度監視手段として別途に配設する。或いは請求項10記載の発明によるように、
B.電子制御装置内に制御部品として予め配設されているものを流用する。
といった態様での利用が可能となる。

0045

前者A.の構成によれば、温度監視対象となるトランジスタ近傍の任意の位置に前記ダイオードを配設することができ、またその定電流源としても任意のものを使用することができる自由度がある。

0046

また、後者B.の構成によれば、こうした自由度はないものの、新たに電子部品を追加する必要がなく、より経済的に同温度監視手段を構成することができるようになる。なお、この電子制御装置内に制御部品として予め配設されて定電流駆動されるダイオードとしては、例えば車速センサなどの波形整形回路にあって、そのセンサ信号2値化するための比較基準電位を生成するダイオードなどがある。

0047

また、請求項11記載の発明によるように、温度監視手段としてダイオードを用いたこれらの構成にあって、前記演算手段を、
・電源投入後所定の時間以内であること、及びエンジンの冷却水温並びに吸気温が共に所定の第1の温度以下でその温度差も所定の第2の温度以下であること、及びエンジンが回転していないことの論理積条件が満たされることに基づき前記ダイオードの順方向電圧−温度特性を校正する手段と、
・前記条件の何れか1つでも満たされなくなるとき、該ダイオードの校正された順方向電圧−温度特性に基づいてその都度の温度を前記トランジスタの周囲温度として算出する手段と、をそれぞれ具えて構成すれば、こうしてダイオードを用いて温度監視手段を実現する場合であれ、その順方向電流に起因する温度特性のばらつきを的確に吸収して、前記周囲温度についての精度の高い監視を行うことができるようになる。

0048

ところで、上記トランジスタの発生電力はその電源電圧、すなわちバッテリ電圧と強い相関があり、同トランジスタの許容される周囲温度も、このバッテリ電圧に換算して監視することができる。

0049

そこで、先の請求項1乃至6記載の発明の構成においても、請求項12記載の発明によるように、前記温度監視手段を、
・前記トランジスタの周囲温度をバッテリの電圧値に換算して監視するもの。
として構成し、前記回転数制限手段についてもこれを、
・この換算されたバッテリの電圧値が所定の限界値以上となるとき前記エンジン回転数を制限するもの。
として構成すれば、基本的にバッテリ電圧を測定するだけの非常に簡単な構成にて、上記トランジスタの発熱を抑えることができ、確実に同素子の保護を図ることができるようになる。

0050

他方、上記トランジスタ自身のベース電位(ベース−エミッタ間電圧)も、上述したダイオードの順方向電圧と同様、温度と強い相関をもって変化することが知られている。

0051

そこで、同じく請求項1乃至6記載の発明の構成において、請求項13記載の発明によるように、前記温度監視手段を、
・前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出するベース電位抽出手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トランジスタ自身の温度を演算する演算手段とを具えるもの。
として構成すれば、監視対象とするトランジスタの特性を直接利用してその温度を監視することができるようになる。すなわちこの場合、その周囲温度が上昇する以前に同トランジスタ自身の温度が急上昇したような場合であっても、該温度変動が的確に捕らえられ、その異常発熱等も確実に抑制されるようになる。

0052

なおこの場合、その演算手段としては、例えば請求項14記載の発明によるように、
・前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位を読み込み、そのベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具えるもの。
或いは請求項15記載の発明によるように、同温度監視手段が更に、前記負荷の電源電位を抽出する電源電位抽出手段を具えるとするときに、
・前記トランジスタがオンになって以後一定時間が経過したことに基づいて同トランジスタが定電流駆動状態にある旨検出する手段と、該定電流駆動状態にある旨の検出に基づいて前記抽出されたベース電位並びに電源電位を読み込み、その都度の電源電位に応じたベース電位−温度特性に基づいて同トランジスタの温度を算出する手段とを具えるもの。
として構成することができる。

0053

因みに、上記ベース電位の温度に対する変化量は、ベース電流の増加、すなわち電源電位の増加とともに小さくなる。このため、特に上記請求項15記載の発明の構成によれば、たとえ電源電位が変動しても、その算出される温度の精度は好適に維持されるようになり、上述したトランジスタ自身の温度についてのより信頼性の高い監視が行われるようになる。

0054

ところで、これら請求項1乃至15に記載の発明では何れも、上記トランジスタ自身若しくはその周囲の温度を監視するとともに、その監視する温度若しくは相当値が所定の限界値以上となるときエンジンの回転数を制限するようにした。しかし、トランジスタ自身の発生電力以外に、上記インダクタンス負荷側の発生電力を抑制することでも、上記に準じた態様をもって、トランジスタの熱的保護を図ることはできる。

0055

すなわち、請求項16記載の発明によるように、上記エンジンの電子制御装置において、
・前記インダクタンス負荷の温度を監視する負荷温度監視手段と、
・該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限する回転数制限手段と、をそれぞれ具えることでも、インダクタンス負荷から発生される電力が制限され、ひいてはトランジスタ自身から発生される電力も抑制されるようになる。そしてこの場合であっても、トランジスタに対して必ずしも前述した放熱対策を施さずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0056

因みに、上記負荷から発生される電力は、エンジン回転数が高いほど、また同負荷自らの温度が低いほど大きくなる。一方、トランジスタにあっては、その温度が高いほど、消費可能なエネルギは低下する。すなわち、トランジスタにとって熱的に厳しい状況とは、負荷の温度が低く(発生電力が大)、トランジスタ自身の温度が高い(消費可能電力が小)ときであると考えることができる。したがって、トランジスタ自信の温度がある程度高いことを想定して同トランジスタを熱的に保護するためには、上記負荷から発生される電力を抑制すればよく、またそのための具体手法としては、同負荷の温度に応じて上記エンジン回転数を制限すればよい。

0057

また、このエンジン回転数を制限するための手法として、前記回転数制限手段を、例えば上記請求項17記載の発明によるように、
・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を前記監視される負荷温度に応じて変更する燃料カット判定値変更手段を具えるもの。
として構成すれば、前述同様、その変更された燃料カット判定値以上の回転数では燃料噴射が全面的に禁止され、エンジン回転数がそれ以上に上昇することはなくなる。

0058

なおこの場合、上記燃料カット判定値は、インダクタンス負荷の温度が低いほど小さい値(低いエンジン回転数に対応した値)として変更されるが、その具体的な変更態様は任意であり、例えば
a.上記負荷のある温度範囲においてほぼリニアな関係で変更する。或いは
b.ある負荷温度を境に2値的若しくは多値的に変更する。等々、種々の態様での具現が可能である。

0059

またこの場合も、前記回転数制限手段については他に、例えば請求項18記載の発明によるように、
・エンジンへの燃料噴射を前記監視される負荷温度に応じた所定の時間ずつ間引きしてエンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるもの。或いは請求項19記載の発明によるように、
・前記監視される負荷温度に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停止してエンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるもの。
或いは請求項20記載の発明によるように、
・エンジンへの燃料噴射量を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ減量してエンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるもの。
或いは請求項21記載の発明によるように、
・エンジンの吸気絞り弁を前記監視される負荷温度に応じた所定量だけ強制駆動してエンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えるもの。
として構成することができる。

0060

回転数制限手段としてのこのような構成によっても、エンジン回転数を好適に制限することができ、ひいては負荷、並びにトランジスタの発生電力を制限することができるようになる。

0061

因みに、上記エンジンの最高回転数を低下せしめるためには、上記請求項18記載の発明にあっては、負荷の温度が低いほど長い間引き時間が設定され、上記請求項19記載の発明にあっては、負荷の温度が低いほど多い減筒数が設定され、上記請求項20記載の発明にあっては、負荷の温度が低いほど多い減量値が設定され、上記請求項21記載の発明にあっては、負荷の温度が低いほど大きな駆動量が設定される。もっとも、それら具体的な態様は任意であり、ここでも、上記a.として示したようなリニアな関係による設定、或いは上記b.として示したような2値的若しくは多値的な設定等、種々の態様での設定が可能である。

0062

一方、これらの各構成において、前記負荷温度監視手段については、例えば請求項22記載の発明によるように、
・前記インダクタンス負荷に配設されてその温度を直接測定する温度測定手段を具えるもの。
或いは請求項23記載の発明によるように、
・エンジンの冷却水温を検出する水温センサと、該検出される冷却水温に基づいて前記インダクタンス負荷の温度を推定する推定手段とを具えるもの。として構成することができる。

0063

前者の請求項22記載の発明の構成によれば、上記インダクタンス負荷の温度についてこれを正確に把握することができるようになる。なお、上記温度測定手段としては熱電対などがある。

0064

また、後者の請求項23記載の発明の構成によれば、同インダクタンス負荷の温度情報そのものの精度は多少劣るものの、それ専用のセンサを別途設ける必要はなくなる。すなわち、上記専用のセンサを用いずとも、同インダクタンス負荷の温度をある程度把握することができるようになる。因みに、上記水温センサの出力(エンジン冷却水温)はエンジン本体の暖機状態に対応したものとなる。該エンジン本体の温度が低いときには、燃料噴射弁等、上記インダクタンス負荷の温度も低いと考えてよい。

0065

また特に、後者の請求項23記載の発明の構成において、前記推定手段を、請求項24記載の発明によるように、
・エンジン始動時からの累積回転数を演算する演算手段と、該演算された累積回転数が所定の値以上となるとき、前記検出される冷却水温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を所定に増加補正する補正手段とを具えるもの。
として構成すれば、上記インダクタンス負荷のより実状に近い温度に対応して、エンジン回転数の制限にかかる上記各種の制御を実行することができるようになる。すなわち、上記冷却水温が低い状態においても、燃料噴射弁等、上記インダクタンス負荷の駆動時間がある程度の時間に達していれば、その温度は上昇していることが考えられるため、こうして冷却水温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を増加補正することにより、過剰な制限を抑えることができるようにもなる。

0066

また、推定手段のこうした構成において、同推定手段を更に請求項25記載の発明によるように、
・エンジンの停止後も、イグニションオフとなるまでは前記演算された累積回転数を保持するもの。
として構成すれば、例えばエンジンストール等の直後に同エンジンが再起動されるような場合でも、上記累積回転数の演算が再度「0」からやり直しされることなく、上記インダクタンス負荷のより実状に近い温度に基づくエンジン回転数の制限態様が維持されるようになる。すなわち、上記請求項24記載の発明の構成とも併せ、上記トランジスタの熱的保護を図る上で、より効率よく同電子制御装置を運用することができるようになる。

0067

(第1実施例)図1図8に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第1の実施例を示す。

0068

この第1の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値の引き下げを行う装置として構成されている。

0069

はじめに、図1を参照して、同電子制御装置が制御対象とするエンジン並びにその周辺装置の構成を説明する。同図1に示されるように、エンジン1は、そのシリンダ2とピストン3、及びシリンダヘッド4によって燃焼室5が形成されるようになっている。燃焼室5には点火プラグ6が配設されている。

0070

こうしたエンジン1において、その吸気系統は、上記燃焼室5に吸気バルブ7を介して連通する吸気マニホールド8、該吸気マニホールド8に燃料を噴射する燃料噴射弁9、同吸気マニホールド8に連通する吸気管10、吸入空気脈動を吸収するサージタンク11、スロットルバルブ12、そしてエアクリーナ13を具えた構成となっている。

0071

他方、同エンジン1の排気系統は、上述した燃焼室5に排気バルブ14を介して連通する排気マニホールド15を有して構成されている。更に、同エンジン1には、点火に必要な高電圧を出力するイグナイタ16、及び図示しないクランク軸連動して該イグナイタ16で発生した高電圧を各気筒の点火プラグ6に分配供給するディストリビュータ17が設けられている。

0072

一方、エンジン1には、次のような各種センサが併せ設けられている。
・水温センサ20:エンジン1の冷却系統に設けられてその冷却水温を検出する。
・吸気温センサ21:上記エアクリーナ13内に設けられて同エンジン1に送られる吸入空気温度を検出する。
スロットルポジションセンサ22:上記スロットルバルブ12に連動して該スロットルバルブ12の開度を検出する。
吸気管内圧力センサ23:吸気管10内の圧力を測定する。
酸素濃度センサ24:排気マニホールド15に設けられて排気ガス中の残存酸素濃度を検出する。
回転角センサ25:上記ディストリビュータ17内に取り付けられて、該ディストリビュータ17のカムシャフトの1/24回転毎に、すなわち図示しないクランク軸の0°CA(クランク角)から30°CAの整数倍毎に回転角信号パルス)を出力する。同エンジン1の回転速度センサを兼ねる。
気筒判別センサ26:同じくディストリビュータ17内に取り付けられて、同ディストリビュータ17のカムシャフトの1回転毎に、すなわち図示しないクランク軸の2回転毎に、気筒判別のための基準信号(パルス)を1回出力する。
・車速センサ28:エンジン1が搭載された車両の車軸に設けられたシグナルロータ27を通じて車輪の回転に応じたパルスを発生する。

0073

これら各センサによる出力は何れも電子制御装置30に入力される。電子制御装置30は基本的に、これら各センサの出力内容に基づき上記燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動して、エンジン1の運転を制御する装置である。

0074

次に、図2を併せ参照して、該電子制御装置30の構成を説明する。同図2に示されるように、電子制御装置30は、マイクロコンピュータ310と、上記各種センサの出力をこのマイクロコンピュータ310に取り込むために前処理する回路、及び同マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令を処理して上記燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動する回路とによって大きくは構成されている。

0075

ここで、マイクロコンピュータ310自身は、CPU311、ROM312、RAM313及びバックアップRAM314を基本的に具える論理演算回路として構成されている。

0076

このうち、CPU311は、上記各種センサの出力を制御プログラムに従って入力し、同制御プログラムに基づく所定の演算を実行しつつ、上記燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動するための制御指令を出力する部分である。

0077

また、ROM312は、上記制御プログラムや初期データ等が予め記憶されている読み出し専用メモリであり、RAM313は、上記入力される各種センサ出力や、演算或いは制御の実行に際して必要とされるデータが一時的に記憶されるメモリである。

0078

また、バックアップRAM314は、バッテリによってバックアップされた不揮発性のRAM(ランダムアクセスメモリ)である。図示しないキースイッチがオフ操作され、同制御装置への給電が停止された後も継続的に使用されるデータは、該バックアップRAM314に対して記憶されるようになる。

0079

また、同マイクロコンピュータ310において、入出力ポート315及び入力ポート316は何れも、上記各種センサの出力を該マイクロコンピュータ310内に取り込む部分である。

0080

一方、出力ポート317は、CPU311を通じて生成された上記燃料噴射弁9やイグナイタ16に対する駆動指令をその外部に出力する部分である。同マイクロコンピュータ310の内部において、上記論理演算回路を構成するCPU311、ROM312、RAM313及びバックアップRAM314とこれら各ポート315〜317とは、コモンバス318によって電気的且つ論理的に接続されている。

0081

クロック発生器319は、こうしたマイクロコンピュータ310の各部に対して動作クロックCKを供給する部分である。また同電子制御装置30において、上記各種センサの出力をこのマイクロコンピュータ310に取り込むために前処理する回路としては、バッファ回路321〜324、マルチプレクサ325、A/D変換器326、バッファ331、コンパレータ332、そして波形整形回路333及び334がある。

0082

ここで、マルチプレクサ325は、バッファ回路321〜324にそれぞれ入力される上記吸気管内圧力センサ23、水温センサ20、吸気温センサ21、及びスロットルポジションセンサ22の各出力、並びに後述するサーミスタ352の出力(端子間電圧)を上記マイクロコンピュータ310からの指令に基づいて選択出力する回路である。この選択されたセンサ出力若しくはサーミスタ352の出力はA/D変換器326に対して入力される。

0083

A/D変換器326は、この入力されるセンサ出力若しくはサーミスタ352の出力を、これも上記マイクロコンピュータ310からの指令に基づいてA/D(アナログディジタル)変換する回路である。上記各センサ出力、並びにサーミスタ352の出力は、こうしてディジタル信号に変換され、上記入出力ポート315を介してマイクロコンピュータ310に取り込まれるようになる。

0084

一方、コンパレータ332は、バッファ回路331に入力される上記酸素濃度センサ24の出力と所定の基準電圧との比較に基づいて、リッチ若しくはリーンを示す2値化信号を生成する回路である。この生成される2値化信号は、空燃比フィードバック制御にあってそのモニタ信号として使用される信号であり、上記入力ポート316を介してマイクロコンピュータ310に取り込まれる。

0085

また、波形整形回路333は、上記気筒判別センサ26及び回転角センサ25の各出力信号波形を各々2値のパルス信号波形に整形する回路である。これら各波形整形信号も、入力ポート316を介してマイクロコンピュータ310に取り込まれる。

0086

また、波形整形回路334は、上記車速センサ28の出力信号波形を同じく2値のパルス信号波形に整形する回路である。そして、該波形整形信号も同様に、入力ポート316を介してマイクロコンピュータ310に取り込まれる。

0087

そして同電子制御装置30において、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令を処理して上記燃料噴射弁9及びイグナイタ16を駆動する回路としては、それぞれ駆動回路341及び駆動回路342がある。

0088

このうち、駆動回路341は、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令(燃料噴射量に対応した時間信号)に基づき燃料噴射弁9を所定の時間だけ開弁駆動せしめる回路である。図1に示したエンジン1において、図示しない燃料ポンプから圧送される燃料は、該燃料噴射弁9の開弁時間に比例した量だけ、前記吸気マニホールド8内に噴射供給されるようになる。

0089

また、駆動回路342は、同マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令(点火信号)に基づきイグナイタ16への通電を制御して前記点火プラグを駆動(スパーク)せしめる回路である。

0090

なお、駆動回路341にあっては、燃料噴射弁9のオフ時に発生するフライバックエネルギをその駆動用のトランジスタで吸収する構成を採る都合上、同トランジスタには相当に大きな電流が流れ、それら素子の使用限界となる温度範囲を超えてしまう可能性があることは前述した通りである。

0091

そこで同第1の実施例の装置では、図2に併せ示されるように、該駆動回路341の出力トランジスタ近傍にサーミスタ352を配設し、サーミスタ352の端子間電圧に基づいてその周囲温度を監視するようにしている。なお、このサーミスタ352は、抵抗器351によってA/D変換器326の電源電圧電位プルアップされ、該プルアップされた抵抗器351との接続点の電位が、同サーミスタ352の出力電圧としてマルチプレクサ325を介してA/D変換器326に取り込まれるようになっている。

0092

次に、図3及び図4を参照して、上記駆動回路341の回路例、並びにその出力トランジスタとサーミスタ352との物理的な位置関係を説明する。図3に、上記駆動回路341及び同駆動回路341によって駆動される燃料噴射弁9(ここではその励磁コイル91のみを示す)の回路構成を示す。

0093

この図3に示されるように、上記マイクロコンピュータ310から駆動回路341に対して出力される駆動指令は、ドライブ用のトランジスタ3413によって増幅された後、パワートランジスタ(出力トランジスタ)3417のベース電極に加えられる。

0094

一方、このパワートランジスタ3417のコレクタ電極には、他方端に電源電圧+Bが印加されている燃料噴射弁励磁コイル91が接続されている。このため、上記ドライブ用のトランジスタ3413の出力がこのパワートランジスタ3417のベース電極に加えられて、同トランジスタ3417がオンとなっている期間だけ、上記励磁コイル91が通電され、燃料噴射弁9が開弁されるようになる。燃料ポンプから圧送される燃料が、この燃料噴射弁9の開弁時間に比例した量だけ、前記吸気マニホールド8内に噴射供給されるようになることは上述した通りである。

0095

そして同駆動回路341において、ツェナーダイオード3415が、上記パワートランジスタ3417がオフするときにインダクタンス負荷である燃料噴射弁励磁コイル91のために発生する高電圧(フライバック電圧)を同トランジスタ3417のコレクタ電極−エミッタ電極間耐電圧以下にクランプするいわゆるフライバックダイオードである。

0096

なお、上記燃料噴射弁9が複数配設される場合には、それら各燃料噴射弁9に対応して、こうしたトランジスタ3413及び3417やフライバックダイオード3415をはじめ、抵抗器3411、3412、3414、及び3416を具える回路が並列に設けられることとなる。

0097

さて、このような駆動回路341のパワートランジスタ3417に対し、上記サーミスタ352は、電子制御装置30内において図4に示される態様で配設されている。

0098

この図4は、上述した電子制御装置30の概観を示したものであり、同図4において、符号301は同装置30のケース、符号302は、外部ハーネスとの接続に使用されるコネクタ、符号303は、図2に示される各種回路や素子が実装されるプリント基板、符号304は、それら回路や素子を埃等から保護するカバーをそれぞれ示している。

0099

このような概観を有する電子制御装置30において、駆動回路341を構成する上記各素子が、抵抗器3411、3412、3414、及び3416も含めて同図4に示される態様でプリント基板303上に実装されているとすると、上記サーミスタ352及びそのプルアップ抵抗351は、これも同図4に示される態様で、その近傍に実装される。特にサーミスタ352は、パワートランジスタ3417(ここでは上記フライバックダイオード3415が一体にパッケージされているタイプのものを想定)の周囲温度を極力正確に監視、測定するために、同トランジスタ3417から例えば1cm以内に配設されるものとする。

0100

図5は、上記パワートランジスタ3417の電圧並びに電流チャートと示したものであり、次に、この図5を併せ参照して、同トランジスタ3417から発生される電力、並びに上記監視される周囲温度の許容値について考察する。

0101

上記駆動回路341にあっては、先の図3にも示されるように、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令が論理L(ロー)レベルになるときトランジスタ3413がオンとなって、パワートランジスタ3417にベース電流が供給される。

0102

こうしてベース電流が供給されることにより、同パワートランジスタ3417はオンとなり、そのコレクタ−エミッタ間電圧VCEは小さな値となるが、図5(b)に示されるように、飽和電圧と呼ばれる電圧VCEsatは発生する。

0103

またこのとき、同パワートランジスタ3417のコレクタ電極には、図5(c)に示されるようなコレクタ電流(IC)が流れることとなる。同図5(c)において、電流値ICOは、該コレクタ電流ICの飽和値を示している。

0104

また、図5(a)及び(d)に示されるように、上記駆動指令の周期すなわちパワートランジスタ3417のオン周期をTO、またそのときの同トランジスタ3417への通電時間をTとすると、そのオンデューティDonは
Don=(T/TO)
として表されることとなる。

0105

したがって、上記パワートランジスタ3417がオンとなっているとき同トランジスタ3417から発生される電力(以下ではオン時電力という)は、これをPonとすると次式のようになる。
Pon=VCEsat×ICO×Don …(1)
一方、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令が論理H(ハイ)レベルになると、トランジスタ3413はオフとなり、パワートランジスタ3417へのベース電流の供給も遮断される。

0106

こうしてベース電流が遮断されることにより、パワートランジスタ3417はオフになろうとするが、上記燃料噴射弁励磁コイル91はインダクタンス成分をもつために、同トランジスタ3417のコレクタ電極には上述したフライバック電圧が発生する。そして、このフライバック電圧が上記フライバックダイオード(ツェナーダイオード)3415のツェナー電圧VZ(例えば60V程度)を超えようとするときに、同ダイオード3415を通して上記トランジスタ3417のベース電極に電流が供給されるようになる。すなわちその間、同トランジスタ3417はオンの状態に維持され、そのコレクタ−エミッタ間電圧VCEは、上記燃料噴射弁励磁コイル91のインダクタンス成分による電流が0になるまで、上記ツェナー電圧VZにクランプされるようになる。この様子は、同図5(b)に併せ示される。

0107

またこの間、単位時間当たりのエンジン回転数をNEとすると、同期間、すなわち上記パワートランジスタ3417をオフにしようとするときに同トランジスタ3417に発生する電力(以下ではオフ時電力という)は、これをPoffとすると次式のようになる。
Poff=VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt×NE …(2)
なおここで、「∫_(0)^(Tfb)」は、時間「0」から時間「Tfb」までの積分の意であり、時間「Tfb」は、図5(c)に示される如く、上記フライバックエネルギの吸収(クランプ)にかかる時間である。

0108

以上、(1)式及び(2)式により、パワートランジスタ3417に発生する電力の平均値は、これをPとすると、
P=Pon+Poff
=VCEsat×ICO×Don
+VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt×NE …(3)
となる。

0109

そして、この(3)式によれば、(A)コレクタ電流ICが大きいほど、すなわち電源電圧+Bが高いほど、パワートランジスタ3417の発生電力Pは大きくなる。或いは、(B)オンデューティDon(=T/TO)が大きいほど、パワートランジスタ3417の発生電力Pは大きくなる。或いは、(C)エンジン回転数NEが高いほど、パワートランジスタ3417の発生電力Pは大きくなる。といったことがわかる。

0110

引き続き、こうしたパワートランジスタ3417の発生電力Pに基づき自ずと定まる同トランジスタ3417の許容される周囲温度について考察する。いま、上記(3)式の各要素が、
(a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)=0.2V、
(b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.5A、
(c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=16V、
(d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5Ω、
(e)Don(オンデューティ)=90%、
(f)VZ(ツェナー電圧)=60V
(g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=5mJ(W・s)
(h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=7000rpm
といった値をとるものとすると、上記パワートランジスタ3417の発生電力Pは、
P=Pon+Poff=0.27W+0.58W=0.85W
となる。

0111

ここで、もし同パワートランジスタ3417の接合温度最大定格を150℃、また接合部一周囲温度の熱抵抗を80℃/Wとすれば、同トランジスタ3417の許容される周囲温度は、
150℃−80℃/W×0.85W=82℃
となる。

0112

すなわち、上記パワートランジスタ3417の発生電力Pが0.85Wであった場合、その周囲温度が82℃となるまでは使用限界温度範囲を超えることはなく、同トランジスタ3417の安全が保証されることになる。

0113

次に、図6及び図7を併せ参照して、上記サーミスタ352を通じて行われる該パワートランジスタ3417の周囲温度の監視手法について説明する。サーミスタ352は、抵抗(Rx)−温度(Ta)特性として、
Rx=2.45×EXP[3500×{(1/(273+Ta))−(1/293)}]
…(4)
なる特性をもつ。

0114

ここで、例えば前記プルアップ抵抗351の抵抗値を1kΩ、また前記A/D変換器326の電源電圧を5Vとすると、同サーミスタ352の出力に関する該A/D変換器326の入力電圧は、
入力電圧=5V×{Rx/(1+Rx)}
となり、図6に示されるような特性となる。

0115

この実施例の装置では、サーミスタ352のこうした特性に基づいて、該入力電圧と温度Taとの関係を例えば図7に示される態様でマップ化し、これを前記ROM312若しくはバックアップRAM314に予め格納している。そして、上記A/D変換器326を通じてA/Dされるその都度の値に基づき、同図7に示される態様でマップ演算して求められる温度Taを、監視すべき上記パワートランジスタ3417の周囲温度としている。

0116

以下、こうした態様でのパワートランジスタ3417の周囲温度の監視のもとに、同第1の実施例の装置において実行される燃料カット判定値変更処理について詳述する。

0117

いま、予測される電子制御装置30内の最高温度(上記トランジスタ3417の周囲温度)を90℃とすると、エンジン1の上記(a)〜(h)として例示した運転条件にあっては、82〜90℃の範囲で上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超え、破壊する可能性がでてくる。

0118

そこで同第1の実施例の装置では、高回転時の燃料カット回転数を上記監視する周囲温度に応じて引き下げることで、該トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱されることを防止する。

0119

すなわち、高回転時の燃料カット(F/C)回転数は当該エンジン1の許容される最高回転数に応じて設定されるが、これを上記周囲温度に応じて引き下げるようにすれば、同トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限されることとなり、その許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになる。

0120

以下に、その具体手法を説明する。ここではまず、上記予測される電子制御装置30内の最高温度90℃における許容発生電力を求める。上述のように、パワートランジスタ3417の接合温度の最大定格を150℃、また接合部一周囲温度の熱抵抗を80℃/Wとすると、これは、
(150℃−90℃)÷80℃/W=0.75W
となる。

0121

そして、同トランジスタ3417の発生電力Pをこの0.75Wに抑えるためには、しかもこのとき同トランジスタ3417のオン時電力Ponは変化しないものとすると、先の(3)式より、オフ時電力Poffを
Poff ≦ 0.48W(=0.75W−0.27W)
にする必要がある。そしてこのためには、エンジン回転数NEを
NE=7000rpm×(0.48W/0.58W)
≒5800rpm
以下にすればよいことになる。すなわち、エンジン回転数NEを5800rpm以下にすれば、たとえ上記トランジスタ3417の周囲温度が90℃になったとしても、同トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱されるようなことはなくなる。

0122

図8に、こうした原理に基づいて同第1の実施例の装置が実行する燃料カット判定値変更ルーチンを示す。なお同ルーチンは、前記ROM312に予め登録されており、例えば16ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。

0123

すなわちいま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30はまず、前記マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の出力(A/D変換器入力電圧)を取り込む。そして、先の図7に示したマップに基づきこの取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS101)。

0124

この結果、上記演算した周囲温度が限界値に達していない旨判定される場合にはそのまま当該処理を終える。他方、同演算した周囲温度が限界値以上である旨判定される場合には、例えば判定値7000rpmに設定されているエンジン1の高回転燃料カット回転数を上記回転数5800rpmに引き下げる(ステップS102)。

0125

この高回転燃料カット判定値は通常、前記ROM312から前記RAM313にロードされたり、或いはバックアップRAM314に格納されて、燃料カット制御の実行時に参照されるようになっている。

0126

したがって、こうして該判定値が引き下げ更新されることにより、同電子制御装置30では、該更新された値以上の回転数では燃料噴射を全面的に禁止するようになり、エンジン回転数も該更新された値以上には上昇しなくなる。こうしてエンジンの最高回転数が制限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになることは上述した通りである。

0127

以上のように、この第1の実施例の装置によれば、上記フライバックダイオードが接続された燃料噴射弁9駆動用のパワートランジスタ(出力トランジスタ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0128

したがって、いたずらに放熱にコストをかけずとも、まさかのときには確実にそれら素子の保護を図ることができるようになる。また、同第1の実施例の装置による上述した燃料カット判定値変更処理によれば、車両の通常の走行には何らの影響も与えることなく、こうした素子の保護が実現されるようになる。

0129

また同実施例の装置では、監視対象となるトランジスタの近傍にサーミスタを配設し、このサーミスタの出力に基づいて該トランジスタの周囲温度を演算するようにしたことから、同トランジスタの周囲温度を直接、しかも簡単に監視することができる。

0130

(第2実施例)図9及び図10に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第2の実施例を示す。

0131

この第2の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引き制御する装置として構成されている。

0132

ただし、同第2の実施例の装置にあっても、先の図1図7に示される構成、或いはサーミスタ352やパワートランジスタ3417の特性は第1の実施例の装置に共通するものであり、それら共通する要素についての重複する説明は割愛する。

0133

以下、前記態様でのパワートランジスタ3417の周囲温度の監視のもとに同第2の実施例の装置において実行される燃料噴射間引き制御について詳述する。例えば、トランジスタ3417の許容される周囲温度が82℃であって、予測される電子制御装置30内の最高温度が90℃であるとするとき、82〜90℃の範囲で上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超え、破壊する可能性がでてくることは前述した通りである。

0134

そこで同第2の実施例の装置では、エンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引き制御することで、同トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱されることを防止する。

0135

すなわち、エンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引きするようにすれば、同エンジンの運転にそれほど影響を与えずに、その回転数を低下せしめることができ、ひいては上記トランジスタ3417の発生電力Pを制限することができるようになる。

0136

以下に、その具体手法を説明する。ここではまず、図9に示される計時ルーチンに従って100msの計時を繰り返し実行する。

0137

この計時ルーチンは、1ms毎の時間割り込みにて起動されるものであり、該ルーチンが起動される都度、電子制御装置30(CPU311)は計時カウンタカウント値TCをインクリメントする(ステップS201)。

0138

そして、このインクリメントの結果、カウント値TCが「100」未満であれば、そのまま同ルーチンを抜ける(ステップS202)。他方、同インクリメントの結果、カウント値TCが「100」以上であれば、同カウント値TCを「0」にリセットして、同ルーチンを抜ける(ステップS202及びS203)。

0139

こうした計時ルーチンが繰り返されることにより、計時カウンタのカウント値TCは、1ms毎に「1」→「2」→「3」…「100」→「1」→「2」…といった態様で、そのインクリメントが繰り返されるようになる。なおこの計時ルーチンは、ROM312(図2)に予め登録されている。

0140

一方、同電子制御装置30(CPU311)では、こうした計時ルーチンと並行して、図10に示される燃料噴射間引きルーチンを実行する。該燃料噴射間引きルーチンも、上記計時ルーチンと同様、ROM312に予め登録されている。ただし同ルーチンは、エンジン1の各気筒に対する燃料の噴射タイミング毎に起動され、実行されるものとする。

0141

さていま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS211)。

0142

この結果、上記演算した周囲温度が限界値に達していない旨判定される場合には、周知の通常の燃料噴射動作を実行する(ステップS212)。他方、同演算した周囲温度が限界値以上である旨判定される場合には、上記計時カウンタのカウント値TCを参照し、同値TCが「0≦TC≦30」であるか否かを再び判定する(ステップS213)。

0143

この結果、上記カウント値TCが「0≦TC≦30」の範囲外である旨判定される場合には、やはり同様に、上記通常の燃料噴射動作を実行する(ステップS212)。

0144

他方、同カウント値TCが「0≦TC≦30」にある旨判定される場合には、そのとき実行すべき燃料噴射動作を強制的に停止する(ステップS214)。このような燃料噴射間引きルーチンが実行されることにより、上記演算された周囲温度が限界値以上となるときには、100ms間に30ms間だけ燃料噴射が停止(カット)されるようになり、それに応じてエンジン回転数も低下するようになる。

0145

そして、こうしてエンジンの回転数が低下すれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになる。

0146

このように、この第2の実施例の装置によっても、駆動回路341のパワートランジスタ(出力トランジスタ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0147

したがって同実施例の装置にあっても、いたずらに放熱にコストをかけずとも、まさかのときには確実にそれら素子の保護を図ることができるようになる。
(第3実施例)図11に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第3の実施例を示す。

0148

この第3の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止する、すなわち減筒制御する装置として構成されている。

0149

また、同第3の実施例の装置にあっても、先の図1図7に示される構成、或いはサーミスタ352やパワートランジスタ3417の特性は第1、或いは第2の実施例の装置に共通するものであり、それら共通する要素についての重複する説明は割愛する。

0150

以下、前記態様でのパワートランジスタ3417の周囲温度の監視のもとに同第3の実施例の装置において実行される減筒制御について詳述する。前述したように、上記トランジスタ3417の許容される周囲温度が82℃であって、予測される電子制御装置30内の最高温度が例えば90℃であるとするとき、82〜90℃の範囲で上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超え、破壊する可能性がでてくる。

0151

そこで同第3の実施例の装置では、エンジンへの燃料噴射に際し、同エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止することで、同トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱されることを防止する。

0152

すなわち、こうして減筒制御を実行するようにすれば、例えば4気筒エンジンの場合には特定の2気筒、或いはランダムに定める任意の2気筒への燃料噴射を強制停止させるようにすれば、発生するトルクは約1/2になる。したがって、この場合もエンジン1の高回転運転を良好に制限することができ、ひいては上記トランジスタ3417の発生電力Pを制限することができるようになる。

0153

以下に、その具体手法を説明する。この第3の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU311)は、図11に示される減筒制御ルーチンを実行する。この減筒制御ルーチンもエンジン1の各気筒に対する燃料の噴射タイミング毎に起動され実行されるものであり、ROM312に予め登録されている。

0154

さていま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS301)。

0155

この結果、上記演算した周囲温度が限界値に達していない旨判定される場合には、当該気筒が何れの気筒であれ、その全ての気筒に対し周知の通常の燃料噴射動作を実行する(ステップS302)。

0156

他方、同演算した周囲温度が限界値以上である旨判定される場合には、
(1)当該気筒が第1或いは第3気筒であれば、それら気筒に対する燃料噴射を強制停止する。
(2)当該気筒が第2或いは第4気筒であれば、それら気筒に対する燃料噴射を通常通り実行する。
といった減筒制御を実行する(ステップS303)。

0157

このような減筒制御が実行されるときには上述のように、その発生トルクは約1/2になり、自ずとエンジン1の高回転運転も制限されるようになる。そして、こうしてエンジン1の高回転運転が制限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになる。

0158

このように、同第3の実施例の装置によっても、先の第1或いは第2の実施例の装置と同様、駆動回路341の出力トランジスタを放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0159

(第4実施例)図12に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第4の実施例を示す。この第4の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エンジンへの燃料噴射量を所定に減量する装置として構成されている。

0160

また、同第4の実施例の装置にあっても、先の図1図7に示される構成、或いはサーミスタ352やパワートランジスタ3417の特性は第1〜第3の実施例の装置に共通するものであり、それら共通する要素についての重複する説明は割愛する。

0161

以下、前記態様でのパワートランジスタ3417の周囲温度の監視のもとに同第4の実施例の装置において実行される噴射量減量制御について詳述する。例えば、トランジスタ3417の許容される周囲温度が82℃であって、予測される電子制御装置30内の最高温度が90℃であるとするとき、82〜90℃の範囲で上記トランジスタ3417がその接合温度の許容値を超え、破壊する可能性がでてくることは既に述べた。

0162

そこで同第4の実施例の装置では、エンジンへの燃料噴射に際し、同エンジンの各気筒に噴射する燃料量を減量することで、上記トランジスタ3417がその許容値を超えて加熱されることを防止する。

0163

すなわち、燃料噴射量が適正な量から例えば20%減少されれば、それに応じて発生トルクも減少される。したがって、この場合もエンジン1の最高回転数を制限することができ、ひいては上記トランジスタ3417の発生電力Pを制限することができるようになる。

0164

以下に、その具体手法を説明する。この第4の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU311)は、図12に示される噴射量減量ルーチンを実行する。この噴射量減量ルーチンは、エンジン1に対する燃料噴射量の算出後に起動され実行されるものとする。そしてこれも、ROM312に予め登録されている。

0165

さていま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30は前述同様、マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じてサーミスタ352の出力を取り込み、先の図7に示したマップに基づきこの取り込んだ値から周囲温度を演算し、該演算した周囲温度が限界値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS401)。

0166

この結果、上記演算した周囲温度が限界値に達していない旨判定される場合にはそのまま同ルーチンを抜ける。他方、同演算した周囲温度が限界値以上である旨判定される場合には、周知の手法にて算出されている燃料の適正噴射量から20%減量した値を燃料噴射量として設定して、RAM313の所定の領域に登録されている同燃料噴射量についてのデータを更新する(ステップS402)。

0167

このような燃料噴射量の減量制御が実行されるときには、その減量された量に応じて発生トルクが低減し、エンジン1の最高回転数も自ずと制限されるようになる。

0168

そして、こうしてエンジン1の最高回転数が制限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになる。

0169

このように、この第4の実施例の装置によっても、先の第1〜第3の実施例の装置と同様、駆動回路341の出力トランジスタを放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0170

(第5実施例)次に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第5の実施例について説明する。

0171

この第5の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ近傍に配設したサーミスタを通じてその周囲温度を監視し、該温度が所定値以上となるとき、エンジンの吸気絞り弁すなわちスロットルバルブを吸気量が抑えられる側に強制駆動する装置として構成されている。

0172

この第5の実施例の装置も、基本的には先の第1〜第4の実施例の装置と同様の構成を有するものであるが、同第5の実施例の装置の場合には特に、先の図1に示されるスロットルバルブ12の開度を電子制御装置30からも制御することのできる構成になっているとする。

0173

すなわち、同第5の実施例の装置では、前述の如く演算した周囲温度が限界値以上となる旨判定されるとき、電子制御装置30を通じて、エンジンへの吸気量が抑えられる側に上記スロットルバルブ12の開度を強制駆動することによって同エンジンの最高回転数を制限するようにする。

0174

したがって、こうした第5の実施例の装置によっても、上述した第1〜第4の実施例の装置に準じた態様で、駆動回路341のパワートランジスタ(出力トランジスタ)3417の使用限界温度範囲を超えての発熱といったものを的確に抑えることができるようになる。

0175

なお、同第5の実施例の装置の構成としては他に、周知のサブスロットルが設けられるエンジンにあって、そのサブスロットルの開度を上記の態様で制御する構成とすることもできる。

0176

(第6実施例)上記第1〜第5の実施例においては、サーミスタ352を使用して電子制御装置30(パワートランジスタ3417)の周囲温度を監視するようにしたが、他に例えば、定電流駆動されるダイオードがあれば、その順方向電圧に基づいてもこうした周囲温度を監視することはできる。

0177

図13図16に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第6の実施例として、こうした定電流駆動されるダイオードの順方向電圧に基づいて上記周囲温度を監視するようにした装置の一例を示す。

0178

同第6の実施例の装置では、図13及び図14に示されるように、上記定電流駆動されるダイオードとして、車速センサ28の波形整形回路334にあって、そのセンサ信号を2値化するための比較基準電位を生成するダイオード3342を流用する。そして、同ダイオード3342の順方向電圧VFをマルチプレクサ325を介してA/D変換器326に取り込むようにする。なお、図13に示す電子制御装置30のその他の構成は先の図2に示した電子制御装置30と同様であり、ここでの重複する説明は割愛する。

0179

はじめに、図14を参照して、上記波形整形回路334の概要を説明する。同図14に示されるように、波形整形回路334は、上記ダイオード3342の他、該ダイオード3342と直列に接続されてその他方端に電源電圧が印加される抵抗器3341、コンパレータ3344、このコンパレータ3344の入力抵抗3343、及び同コンパレータ3344の出力抵抗3345をそれぞれ具えて構成されている。

0180

同波形整形回路334では、コンパレータ3344による電源電圧以下の比較が困難なために、上記ダイオード3342によって、その順方向電圧VF分だけグランド電位から浮かせた電圧を作るようにしている。そして、こうしてコンパレータ3344の反転入力端子(−端子)電位を上記電圧VF分だけ浮かせた状態でその非反転入力端子(+端子)に車速センサ(ピックアップコイル)28の出力信号を入力することで、前記車輪の回転数に応じた周期を有する2値のパルス信号が同コンパレータ3344から出力されるようにしている。

0181

このような波形整形回路334によれば、上記ダイオード3342には基本的に、これに直列接続された上記抵抗器3341の抵抗値とその印加電圧とにより決定される電流しか流れない。

0182

そこで同第6の実施例の装置では、こうして定電流駆動される上記ダイオード3342の順方向電圧VF−温度特性に基づいて、電子制御装置30内の温度、すなわち前記パワートランジスタ3417(図3図4)の周囲温度を監視するようにしている。

0183

図15に、ダイオード3342の定電流駆動時におけるVF(順方向電圧)−温度特性を示す。ダイオード3342は、理想的には、同図15実線にて示されるような特性をもつ。したがって、前記A/D変換器326の分解能を5mVとすれば、3℃程度の分解能で上記周囲温度を監視することが可能となる。

0184

ところが通常、ダイオードのVF−電流特性にはばらつきが存在する。そして、該VF−電流特性のばらつきは、上記VF−温度特性にも同図15破線にて示されるような態様でのばらつきを招き、上記電圧VFに基づく正確な温度測定を困難としている。

0185

そこで同第6の実施例の装置では、図16に示される校正・求温ルーチンを通じて上記ばらつきを校正し、該校正した特性に基づく正確な温度を求めるようにしている。なお、この校正・求温ルーチンは、図13に示されるROM312に予め登録されており、16ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。

0186

さて同第6の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU311)は、該ルーチンの起動に基づき、まず
(1)電源+Bオン後の電圧変動による影響を避けるために、ステップS501にて、同電源オン後の所定の時間(例えば1秒)内であるか否かを判定する。
(2)次いでステップS502にて、前記冷却水温及び吸気温が共に0〜30℃の範囲にあるか否かを判定する。
(3)更にステップS503にて、これら冷却水温と吸気温との差が3℃以内であるか否かを判定する。
(4)そしてステップS504にて、エンジン回転数NEが0rpmであるか否かを判定する。
といった判定処理を実行し、これら(1)〜(4)の条件が全て満たされているとき、当該車両全体が一定温度になっているものとみなして、次のVF(順方向電圧)の校正処理を実行する。

0187

同校正処理において、同電子制御装置30(CPU311)はまず、ステップS511にて、上記ダイオード3342の順方向電圧VFをA/D変換器326を通じて読み込む。

0188

そして、上記(1)〜(4)の条件が全て満たされている当該時点にあっては、上記ダイオード3342の温度も前記冷却水温に等しいと考えられるため、ここではこの冷却水温から、先の図15の特性に基づき、理想的な順方向電圧VFの値を求める。例えばいま、冷却水温=吸気温=10℃であったとすれば、同図15の特性により、理想の順方向電圧VFは「0.72」Vとなる。

0189

こうして順方向電圧VFについての理想値を求めた電子制御装置30は次に、ステップS512にて、この順方向電圧VFについての理想値と上記読み込んだ実測値との差をオフセット電圧として求め、バックアップRAM314(図13)に記憶する。例えば、上記読み込んだ順方向電圧VFについての実測値が「0.73」Vであったとすれば、上記理想値「0.72」Vとの差「−0.01」Vがオフセット電圧として上記バックアップRAM314に記憶される。

0190

一方、上記(1)〜(4)の条件の何れか1つでも満たされない場合、同電子制御装置30は、ステップS521以降の求温処理を実行する。すなわちこの求温処理において、電子制御装置30(CPU311)はまず、ステップS521にて、上述同様、上記ダイオード3342の順方向電圧VFをA/D変換器326を通じて読み込む。

0191

そして、次のステップS522にて、該読み込んだ順方向電圧VFを上記記憶しているオフセット電圧に基づき校正する。例えば、この読み込んだ順方向電圧VFの実測値が「0.7」Vであったとすると、この値に対する上記オフセット電圧「−0.01」Vの加算により、その校正値は「0.69」Vとなる。

0192

こうして上記順方向電圧VFについての校正値を求めた電子制御装置30は更に、ステップS523にて、この校正値から、先の図15理想特性に基づき、その監視対象とする温度を求める。ここでの例では、上記校正値「0.69」Vに基づき25℃といった温度が前記周囲温度として求められることとなる。

0193

このように、同第6の実施例の装置によれば、先の第1〜第5の実施例の装置の如く温度測定専用のサーミスタを設けなくとも、前記周囲温度を正確に求めることができるようになる。

0194

もっとも、同第6の実施例の装置にあっても、こうして周囲温度を求めた後は、その限界値(前述の例では82℃)との比較に基づき、先の第1〜第5の実施例の装置に準じた態様で、エンジン1の燃料カット回転数を制限したり、最高回転数を制限するなど、前記パワートランジスタ3417の発生電力を制限する処理が実行されることとなる。

0195

なお、この第6の実施例の装置においては、周囲温度監視用のダイオードとして、車速センサ28の波形整形回路334に使用されているダイオード3342を流用しているが、定電流駆動されるものでさえあれば、それら流用するダイオードの選定は任意である。

0196

また例えば、同周囲温度監視用のダイオードを別途に追加する構成とすることもできる。この場合、経済的には多少不利となるものの、同ダイオードを前記パワートランジスタ3417のより近傍に配設するなど、自由度の高い配置選択が可能となる。

0197

(第7実施例)先の第1の実施例においては、前記(3)式の各要素が、
(a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)=0.2V、
(b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.5A、
(c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=16V、
(d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5Ω、
(e)Don(オンデューティ)=90%、
(f)VZ(ツェナー電圧)=60V
(g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=5mJ(W・s)
(h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=7000rpm
といった値をとるものとして、前記パワートランジスタ3417の発生電力Pを算出した(P=0.85W)。

0198

しかし、上記電源電圧+Bが、例えば14.0V以下となる場合であっても、エンジン1は正常に運転される。そしてこの場合、同(3)式の各要素が、
(a)VCEsat(コレクタ−エミッタ間飽和電圧)=0.2V、
(b)ICO(コレクタ電流飽和値)=1.3A、
(c)+B(燃料噴射弁電源電圧)=14V、
(d)燃料噴射弁励磁コイル91の抵抗値=10.5Ω、
(e)Don(オンデューティ)=90%、
(f)VZ(ツェナー電圧)=60V
(g)VZ×∫_(0)^(Tfb) ICdt=4.4mJ(W・s)
(h)NE(単位時間当たりのエンジン回転数)=7000rpm
といった値をとるものとすると、前記パワートランジスタ3417の発生電力Pは、
P=Pon+Poff=0.23W+0.51W=0.74W
となる。

0199

したがって、ここでも同パワートランジスタ3417の接合温度の最大定格が150℃、また接合部一周囲温度の熱抵抗が80℃/Wであるとすれば、同トランジスタ3417の許容される周囲温度は、
150℃−80℃/W×0.74W=90℃
となる。

0200

この90℃といった温度は、予測される電子制御装置30内の最高温度(上記トランジスタ3417の周囲温度)である90℃と等しい。すなわち、上記電源電圧が14Vを超えなければ、決して同トランジスタ3417の発生電力Pがこの許容温度90℃を超えることはない。

0201

したがってここでの例によれば、電源電圧が14Vを越えている場合にのみ、エンジン1の燃料カット回転数を制限するなど、同トランジスタ3417の発生電力Pを制限する処理を行えば、その破壊等も確実に回避されるようになる。

0202

図17及び図18に、こうした原理に基づいて構成したこの発明にかかるエンジンの電子制御装置の第7の実施例を示す。すなわちこの第7の実施例の装置は、燃料噴射弁の駆動回路が内蔵されるエンジンの電子制御装置にあって、同駆動回路の出力トランジスタ周囲の温度をバッテリ電圧(電源電圧)に換算して監視し、該換算したバッテリ電圧が所定の限界値以上となるとき、エンジンの高回転燃料カット判定値の引き下げを行う装置として構成されている。

0203

以下に、その詳細について説明する。図17に示されるように、同第7の実施例の装置では、車両のバッテリ29から適宜の分圧回路を介してその電圧を抽出し、該抽出したバッテリ電圧をマルチプレクサ325を介してA/D変換器326に取り込むようにしている。

0204

図18に、同第7の実施例の装置が実行する燃料カット判定値変更ルーチンを示す。なお同ルーチンも、ROM312に予め登録されており、例えば16ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。

0205

すなわちいま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30はまず、前記マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じてバッテリ29の電圧値を取り込み、該取り込んだ電圧値が前記周囲温度の限界値に対応する所定の値(ここでの例では14V)以上か否かを判定する(ステップS601)。

0206

この結果、バッテリ29の電圧値が上記所定の値に達していない旨判定される場合にはそのまま当該処理を終える。他方、バッテリ29の電圧値が同所定の値以上である旨判定される場合には、例えば判定値7000rpmに設定されているエンジン1の高回転燃料カット回転数を例えば回転数5800rpmに引き下げる(ステップS602)。

0207

この高回転燃料カット判定値が通常、ROM312からRAM313にロードされたり、或いはバックアップRAM314に格納されて、燃料カット制御の実行時に参照されるようになっていることは第1の実施例の装置において前述した通りである。

0208

こうして該判定値が引き下げ更新されることにより、同電子制御装置30では、該更新された値以上の回転数では燃料噴射を全面的に禁止するようになり、エンジン回転数も該更新された値以上には上昇しなくなる。そしてこうしてエンジンの最高回転数が制限されれば、上記トランジスタ3417の発生電力Pも自ずと制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになることも、先の第1の実施例の装置において前述した通りである。

0209

以上のように、この第7の実施例の装置によれば、上記フライバックダイオードが接続された燃料噴射弁9駆動用のパワートランジスタ(出力トランジスタ)を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、そして更には同トランジスタの周囲温度を直接監視したりせずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0210

なお、同第7の実施例の装置は、上記周囲温度を電源電圧(バッテリ電圧)に換算して監視する手段を、先の第1の実施例の装置による高回転燃料カット判定値を引き下げてエンジン回転数を制限する回転数制限制御に適用したものであるが、同監視手段が、先の第2〜第5の実施例の装置による各回転数制限制御についても同様に適用できるものであることは勿論である。

0211

(第8実施例)先の第6の実施例においては、定電流駆動されるダイオードの順方向電圧VFに基づいて電子制御装置30(パワートランジスタ3417)の周囲温度を監視するようにした。

0212

しかし、トランジスタにあっても、そのベース−エミッタ間のP−N接合部分の電圧(VBE)は、ダイオードの上記VF特性と同様、高温になるほど低い電圧値を示すことが知られている。

0213

したがって、前記パワートランジスタ3417自身のベース−エミッタ間電圧を測定するようにすれば、同トランジスタ自身の温度を直接監視することができるようになる。

0214

図19図25に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第8の実施例として、こうしたパワートランジスタ自身のベース−エミッタ間電圧に基づいてその温度を直接監視するようにした装置の一例を示す。

0215

この第8の実施例の装置では、図19及び図20に示されるように、電子制御装置30に内蔵される燃料噴射弁用駆動回路341のパワートランジスタ3417のベース−エミッタ間電圧VBE及び電源電圧+Bをマルチプレクサ325を介してA/D変換器326に取り込むようにする。

0216

なお、図19においても、電子制御装置30のその他の構成は先の図2図13、或いは図17に示した電子制御装置30と同様であり、ここでもそれら要素についての重複する説明は割愛する。

0217

はじめに、図20図23を参照して、上記パワートランジスタ3417の特にベース−エミッタ間電圧VBEの特性について説明する。図3を参照して既に述べたように、上記駆動回路341にあっては、マイクロコンピュータ310から出力される駆動指令が論理L(ロー)レベルになるときトランジスタ3413がオンとなり、パワートランジスタ3417にベース電流IBが供給される。この様子はそれぞれ、図21(a)及び(b)にも示される通りである。

0218

すなわちこの際、上記ベース電流は、ベース抵抗3414と上記トランジスタ3417自身のベース容量とによって決まる時定数にて増加する。そして、このベース電流IBの増加に伴い、ベース電位(ベース−エミッタ間電圧)VBEも図21(c)に示される態様で増加する。これらベース電流IB及びベース電位VBEの増加は一定時間Td後に終了し、その後は一定のレベルに安定する。

0219

ここで、上記パワートランジスタ3417のベース電位(ベース−エミッタ間電圧)VBEと温度との相関は、同トランジスタ3417がオンとなってしかもそのベース電流IBが安定するいわば定電流駆動状態において発生する。

0220

このため、上記ベース電位VBEに基づく温度の監視も、実質的には、同電位VBEが安定している期間である時間Tm(図21)を利用して行う必要がある。すなわち、同トランジスタ3417がオンとなって以後、上記時間Tdの経過を待って、該ベース電位VBEの測定を開始することとなる。ここに、この待ち時間Tdは、上述したベース抵抗3414の抵抗値R(Ω)とトランジスタ3417のベース容量C(F)とによって決まる時定数(CR)以上である必要がある。

0221

一方、トランジスタ3417のベース電位VBEは、同トランジスタ3417の温度だけではなく、そのベース電流IBとも関係があり、ベース電流IBが異なればその温度に対する変化量ΔVBEも異なったものとなる。これらの様子を図22に示す。

0222

すなわち同図22に示されるように、ベース電位VBEの温度に対する変化量ΔVBE(mV/℃)は、ベース電流IBが増加すると小さくなる。このため、例えばベース電流IBが増加、すなわち電源電圧電位+Bが増加したような場合には、トランジスタ3417の温度上昇によるベース電位VBEの低下が少なくなり、同ベース電位VBEに基づく正確な温度測定を困難にする。

0223

したがって、上記ベース電位VBEに基づき正確に温度を監視するに当たっては、ベース電流IB、すなわち電源電圧電位+Bに基づく図23に示される態様での傾き補正が必要となる。

0224

図24は、上記ベース電位VBEのこうした特性に鑑みて実行される同第8の実施例の装置のトランジスタ温度推定ルーチンを示すものであり、次に同図24を併せ参照して、同実施例の装置によるトランジスタ温度推定処理処理手順について詳述する。なお、このトランジスタ温度推定ルーチンは、図19に示されるROM312に予め登録されており、16ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。また、図23に例示したベース電位VBEによる温度推定テーブルも、同ROM312或いはバックアップRAM314等に予め格納されているものとする。

0225

さて同第8の実施例の装置にあって、電子制御装置30(CPU311)は、該ルーチンの起動に基づき、まずステップS701にて、上記トランジスタ3417がオンとなっているか否かを判定し、オンとなっていれば更にステップS702にて、その後上記一定時間Tdを経過しているか否かを判定する。これらの条件が満たされていなかった場合には、一旦同ルーチンを抜けて次にこれが起動されるまで待機する。

0226

上記条件が何れも満たされている旨判定される場合、同電子制御装置30は次に、ステップS703及びステップS704にて、上記ベース電位VBE、及び電源電圧電位+Bをそれぞれ読み込む。そして、次のステップS705にて、
(1)上記読み込んだ電源電圧電位+Bに基づき先の温度推定テーブル(図23)の傾きを決定する(該当する傾きの温度推定テーブルを選定する)。
(2)該決定されたテーブルから、上記読み込んだベース電位VBEに対応する温度を選出する。
といった処理を実行して、上記トランジスタ3417のその都度の温度を推定することとなる。

0227

図25に、こうしたトランジスタ温度の推定に基づき同第8の実施例の装置が更に実行する燃料カット判定値変更ルーチンを示す。なお同ルーチンも、ROM312に予め登録されており、例えば16ms毎の時間割り込みにて起動されるものとする。

0228

すなわちいま、該ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30はまず、上記推定したトランジスタ温度がその限界値に対応する所定の値(ここでの例では82℃)以上か否かを判定する(ステップS801)。

0229

この結果、トランジスタ温度が上記所定の値に達していない旨判定される場合にはそのまま当該処理を終える。他方、トランジスタ温度が同所定の値以上である旨判定される場合には、例えば判定値7000rpmに設定されているエンジン1の高回転燃料カット回転数を例えば回転数5800rpmに引き下げる(ステップS802)。

0230

こうして高回転燃料カット判定値が引き下げ更新されることにより、エンジンの最高回転数が制限され、上記トランジスタ3417の発生電力Pも制限され、ひいてはその許容値を超えての加熱等も未然に防がれるようになることついては既に述べた。

0231

以上のように、この第8の実施例の装置によれば、燃料噴射弁9駆動用のトランジスタ3417の特性を直接利用してその温度を推定し、監視することができる。そしてこのため、上記トランジスタ3417の周囲温度が上昇する以前に同トランジスタ自身の温度が急上昇した場合など、先の第1〜第6の実施例の装置では監視することのできない温度変動についても、応答性よくその監視を行うことができるようになる。

0232

そしてこの場合も、該トランジスタ温度の監視に基づき、上記燃料カット判定値変更ルーチンを通じて高回転燃料カット判定値を引き下げる処理を行うことにより、上記トランジスタ3417を放熱フィン上に取り付けたり、或いは同トランジスタとして耐熱性のある高価なトランジスタを使用せずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0233

なお、同第8の実施例の装置は、トランジスタのベース−エミッタ間電圧に基づいて同トランジスタの温度を監視する手段を、先の第1の実施例の装置による高回転燃料カット判定値を引き下げてエンジン回転数を制限する回転数制限制御に適用したものであるが、こうした温度監視手段が、先の第2〜第5の実施例の装置による各回転数制限制御についても同様に適用できるものであることは勿論である。

0234

また、以上の第1〜第8の実施例においては何れも、電子制御装置30に内蔵される駆動回路(燃料噴射弁駆動回路)341の出力トランジスタについてその周囲温度やトランジスタ自身の温度を監視するようにしたが、この温度監視対象となるトランジスタは該燃料噴射弁駆動用のトランジスタには限られない。

0235

すなわち、電子制御装置30に内蔵され、前述した態様でフライバックエネルギを吸収するようになるインダクタンス負荷駆動用のトランジスタにあっては、それが使用限界温度範囲を超えて発熱する可能性がある実情は概ね共通するものであり、このようなトランジスタにも同様にこの発明を適用することはできる。そして、それら監視対象とするインダクタンス負荷駆動用トランジスタについても、何ら格別の放熱対策を施す必要なく、異常発熱等による破壊から確実に保護することができるようになる。

0236

結局、同電子制御装置として要は、上記トランジスタの温度若しくはその周囲温度を監視する温度監視手段と、該監視される温度若しくはその相当値が所定の限界値以上となるときエンジン回転数を制限する回転数制限手段とを具えるものであればよい。

0237

そして、上記温度監視手段としては、
・前記トランジスタの近傍に配設されたサーミスタと、該サーミスタの端子間電圧に基づいて同トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。
・同電子制御装置内に配されて定電流駆動されるダイオードと、該ダイオードの順方向電圧に基づいて前記トランジスタの周囲温度を演算する演算手段とを具えるもの。
・前記トランジスタの周囲温度をバッテリの電圧値に換算して監視するもの。
・前記トランジスタの定電流駆動時のベース電位を抽出する手段と、該抽出されたベース電位に基づいて同トランジスタ自身の温度を演算する演算手段とを具えるもの。
等々があり、また上記エンジン回転数を制限することでトランジスタの発生電力を制限する上記回転数制限手段としては、
・エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を引き下げる燃料カット判定値変更手段を具えるもの。
・エンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる燃料噴射間引き手段を具えるもの。
・エンジンの任意気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる減筒制御手段を具えるもの。
・エンジンへの燃料噴射量を所定に減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる噴射量減量手段を具えるもの。
・エンジンの吸気絞り弁(スロットルバルブ、サブスロットル)を強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる吸気制限手段を具えるもの。
等々がある。

0238

(第9実施例)上記第1〜第8の実施例においては何れも、電子制御装置30に内蔵される駆動回路(燃料噴射弁駆動回路)341の出力トランジスタについてその周囲温度やトランジスタ自身の温度を監視して、その発生される電力を抑制すべく、エンジンの回転数を制限するようにした。しかし、このトランジスタ自身の発生電力以外に、上記燃料噴射弁9(負荷)側の発生電力を抑制することでも、上記に準じた態様をもって、同トランジスタの熱的保護を図ることはできる。

0239

図26に、燃料噴射弁励磁コイル91側での発生電力を示す。すなわちこの発生電力は、これをPL、またこのうち、上記出力トランジスタのオン時間における発生電力をPon、同じくオフ時間における発生電力をPoff、そして同トランジスタのオン周期をTOとすると、
PL=Pon+Poff/TO …(5)
といった関係にて表されるようになる。

0240

ここで、この(5)式からも明らかなように、同発生電力PLは、上記トランジスタのオン周期TOが小さいほど、すなわちエンジン回転数が高いほど大きな値となる(項「Poff/TO」が大きくなる)。

0241

また、上記燃料噴射弁励磁コイル91の温度が低いほどそこには大きな電流が流れるようになるため、同発生電力PLは、該燃料噴射弁励磁コイル91の温度が低いほど大きな値を持つようにもなる(項「Pon」が大きくなる)。

0242

一方、トランジスタにあっては、その温度が高いほど、消費可能なエネルギは低下する。すなわち、トランジスタにとって熱的に厳しい状況とは、負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度が低く(発生電力が大)、トランジスタ自身の温度が高い(消費可能電力が小)ときであると考えることができる。

0243

したがって、トランジスタ自信の温度がある程度高いことを想定して同トランジスタを熱的に保護するためには、上記負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)から発生される電力を抑制すればよく、またそのための具体手法としては、同負荷の温度に応じて上記エンジン回転数を制限すればよいことがわかる。

0244

図27図29に、この発明にかかるエンジンの電子制御装置の第9の実施例として、こうした原理に基づいて上記トランジスタの熱的保護を図るようにした装置の一例を示す。

0245

この第9の実施例の装置では、前記水温センサ20を通じて検出されるエンジン1の冷却水温に基づいて上記負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度を推定し、エンジンの高速回転に伴う燃料カット回転数の判定値を該推定した負荷温度に応じて変更するようにしている。因みに、水温センサ20の出力(冷却水温)はエンジン1本体の暖機状態に対応したものとなる。このため、エンジン1本体の温度が低いときには、燃料噴射弁励磁コイル91等、負荷の温度も低いと考えてよい。

0246

なお、同第9の実施例の装置においても、電子制御装置30としての基本的な構成は、先の図2図13図17、或いは図19に示される装置と同様であり、同装置を構成する各要素についての重複する説明は割愛する。

0247

さて、この第9の実施例の装置において、電子制御装置30は、図27に示される角度同期ルーチンを通じてエンジン1始動後の累積回転数CNEを演算しつつ、図28に示される手順を通じて、燃料カット回転数の判定値KCUTを随時変更する。

0248

まず図27に示される角度同期ルーチンにおいて、電子制御装置30は、前記回転角センサ25から取り込まれる回転角信号が360°CA(クランク角)の経過を示すタイミングとなる毎に、ステップS901にて、累積回転数カウンタのカウント値CNEをインクリメント(CNE←CNE+1)する。

0249

該角度同期ルーチンは、エンジン1の始動時から開始される。また、上記累積回転数カウンタとしては例えば、前記マイクロコンピュータ310内にあるRAM313の2バイトが用いられる。その計数された累積回転数CNEは、いわゆるイグニションオフとされるなど、エンジン1が完全に停止せられるまでクリアされずに同RAM313内に保持されるものとする。

0250

一方、電子制御装置30は、こうした角度同期ルーチンと並行して、図28に示される手順にて、上述した燃料カット回転数の判定値KCUTについての変更を含む噴射ルーチンを実行する。なお該噴射ルーチンは、エンジン1の各気筒に対する燃料の噴射タイミング毎に起動され、実行されるものとする。

0251

さていま、この噴射ルーチンが起動されたとすると、電子制御装置30は、前記マルチプレクサ325及びA/D変換器326を通じて水温センサ20の出力を取り込み、ステップS911にて、その水温値に応じた燃料カット回転数の判定値KCUTを算出する。同実施例の装置において、この判定値KCUTは、図29に示されるマップを通じて演算される。

0252

なおここで、上記燃料カット回転数の判定値KCUTは、同図29に示されるように、冷却水温が「−30℃」のとき回転数「5700rpm」に対応した値として設定され、同冷却水温が「20℃」のときには回転数「7000rpm」に対応した値として設定される。そしてこれら温度「−30℃」〜「20℃」の範囲では、ほぼリニアな関係で、その対応する回転数が補間される特性となっている。なお、冷却水温が「20℃」以上となっても、その対応する判定値KCUTは、上記回転数「7000rpm」に対応した値にガードされる。

0253

冷却水温とのこうした関係に基づいて燃料カット回転数の判定値KCUTを求めた電子制御装置30は次に、ステップS912にて、上記累積回転数カウンタのカウント値CNEを読み込み、その値CNEが、例えば値「10000」以上となっているか否かを判断する。そして、同ステップS912において、上記値CNEが「10000」以上である旨判断される場合には、ステップS913にて、上記求めた判定値KCUTを、例えば
KCUT=KCUT+300rpm
といったかたちで増加補正する。これは、冷却水温自体が低い状態にあっても、前記燃料噴射弁9の駆動時間がある程度の時間に達していれば、その温度は上昇していることが考えられるため、それら負荷の実状により近いかたちで上記判定値KCUTを補正するための処理である。なお、この増加補正される燃料カット回転数の判定値KCUTは、先の図29に一点鎖線の特性として付記される。

0254

電子制御装置30は、こうした補正を実行すると、或いは上記ステップS912において、累積回転数カウンタのカウント値CNEが「10000」に達していない旨判断すると、ステップS914にて、上記求めた、或いは上記補正した判定値KCUTが回転数「7000rpm」を超えているか否を更に判断する。そして、判定値KCUTが回転数「7000rpm」を超えている旨判断される場合には、次のステップS915にて、同判定値KCUTに「7000rpm」をセットした後(上限ガードした後)、ステップS916の処理を実行する。他方、判定値KCUTが回転数「7000rpm」を超えていなければ、同判定値KCUTとして、上記求めた、或いは上記補正した値を用いてこのステップS916の処理を実行する。

0255

ステップS916の処理において、電子制御装置30は、前記回転角センサ25の出力に基づき算出されるエンジン回転数が上記燃料カット回転数の判定値KCUT以上となっているか否かを判断する。そして、エンジン回転数が該判定値KCUT以上となっている旨判断される場合には、ステップS917にて燃料の噴射停止、すなわち燃料カットを実行し、エンジン回転数が同判定値KCUT未満にあれば、ステップS918にて燃料の噴射を実行する。

0256

第9の実施例の装置を通じてこのような処理が行われることにより、上記負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)から発生される電力は自ずと制限され、ひいてはトランジスタ自身から発生される電力も抑制されるようになる。

0257

そしてこの場合であっても、トランジスタに対して必ずしも前述した放熱対策を施さずとも、その使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは的確に抑えられるようになる。

0258

また、同実施例の装置では、上記累積回転数の値CNEに基づいて燃料カット回転数の判定値KCUTを増加補正するようにしているため、同燃料カット回転数についての過剰な制限を抑えることができるようにもなる。

0259

なお、この補正に際し、同実施例の装置では、上記燃料カット回転数の判定値KCUT、すなわち冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を増加補正するようにしているが、冷却水温そのものを所定温度増加補正するようにしてもよい。要は、冷却水温と同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅との相対的な関係が上記負荷の駆動時間に応じて補正されるものであればよい。また勿論、必ずしもこのような補正が行われなくとも、トランジスタの使用限界温度範囲を超えての発熱そのものは確実に抑えられる。

0260

また、同実施例の装置では上述のように、エンジン1が完全に停止せられるまでは上記累積回転数の値CNEをクリアせずにRAM313内に保持するようにしている。このため、例えばエンジンストール等の直後に同エンジンが再起動されるような場合でも、該累積回転数CNEの計数が再度「0」からやり直しされるようなことはなくなる。すなわち、上記負荷のより実状に近い温度に基づくエンジン回転数の制限態様が維持されるようになる。なお、この累積回転数CNEをクリアするタイミングとしては他に、エンジン1の停止後、所定時間経過したタイミングとしてもよい。

0261

ところで、この第9の実施例では、上記燃料カット回転数の判定値KCUTを算出するためのマップとして、冷却水温「−30℃」〜「20℃」の範囲では、ほぼリニアな関係で、その対応する燃料カット回転数が補間される特性を採用しているが、同マップとしては他に、例えば図30に示される態様で、ある特定の冷却水温(図30の例では20℃)を境に、その設定される(マップ演算される)判定値KCUTの値が変更される特性を採用することもできる。こうした態様で同判定値KCUTの値が変更される場合であれ、トランジスタの使用限界温度範囲を超えての発熱といったものは確実に抑えられるようになる。なおこの場合、上記判定値KCUTの値を変更するための境とする温度については、同図30の例のような1点(20℃)に限らず、2点若しくはそれ以上の点に設定することもできる。

0262

また、同第9の実施例では、水温センサ20により検出される冷却水温を通じて、いわば間接的に負荷(燃料噴射弁励磁コイル91)の温度を監視するようにしたが、例えば熱電対などを同負荷に配設して、その温度を直接監視するようにしても勿論よい。この場合、該温度測定のための専用のセンサが必要にはなるものの、同負荷の温度をより正確に把握することができるようになる。

0263

一方、同第9の実施例によるように、負荷の温度を監視し、該監視される負荷温度に応じてエンジン回転数を制限する構成も、先の
(イ)第2の実施例のようなエンジンへの燃料噴射を所定の短時間ずつ間引きする装置、(ロ)第3の実施例のようなエンジンの任意気筒への燃料噴射を停止する、すなわち減筒制御する装置、(ハ)第4の実施例のようなエンジンへの燃料噴射量を所定に減量する装置、(ニ)第5の実施例のようなエンジンの吸気絞り弁(スロットルバルブ、サブスロットル)を吸気量が抑えられる側に強制駆動する装置、にそれぞれ対応するかたちで適用することができる。

0264

すなわち、上記(イ)の装置のように、燃料噴射量を間引きする場合には、図31に示されるように、エンジンへの燃料噴射を上記冷却水温に応じた所定の時間ずつ間引きして同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)が低いほど長い間引き時間が設定されるようになる。そしてこの場合、同図31に示されるようなマップを通じてその都度の冷却水温に対応する間引き時間が演算される以外は、先の図9及び図10に準じた処理が電子制御装置30を通じて実行されることとなる。

0265

また、上記(ロ)の装置のように、減筒制御する場合には、図32に示されるように、上記冷却水温に応じて決定される数の気筒への燃料噴射を停止して同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)が低いほど多い減筒数に設定されるようになる。そしてこの場合、同図32に示されるようなマップを通じてその都度の冷却水温に対応する減筒数が演算される以外は、先の図11に準じた処理が電子制御装置30を通じて実行されることとなる。

0266

また、上記(ハ)の装置のように、燃料噴射量を減量する場合には、図33に示されるように、エンジンへの燃料噴射量を上記冷却水温に応じた所定量だけ減量して同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)が低いほど多い減量値が設定されるようになる。そしてこの場合、同図33に示されるようなマップを通じてその都度の冷却水温に対応する減量値が演算される以外は、先の図12に準じた処理が電子制御装置30を通じて実行されることとなる。

0267

そして、上記(ニ)の装置のように、吸気絞り弁を強制駆動する場合には、図34に示されるように、エンジンの吸気絞り弁を上記冷却水温に応じた所定量だけ強制駆動して同エンジンの最高回転数を低下せしめる構成とする。因みにこの場合には、冷却水温(負荷の温度)が低いほど大きな駆動量が設定されるようになる。そしてこの場合、同図34に示されるようなマップを通じてその都度の冷却水温に対応する駆動量が演算される以外は、先の第5の実施例に準じた態様でスロットルバルブ或いはサブスロットルの開度が電子制御装置30により制御されることとなる。

0268

なお、これらの各構成においても、
・ある冷却水温(負荷温度)を境に2値的若しくは多値的にそれら設定する変数の値を変更することができること。
・負荷の駆動時間(累積回転数)に応じて上記冷却水温若しくは同冷却水温に応じたエンジン回転数制限量の許容幅を増加補正してもよいこと。
・負荷の温度は、必ずしも冷却水温によらず、熱電対等によって直接監視してもよいこと。
等々は、上記第9の実施例の装置の場合と同様である。

発明の効果

0269

以上説明したように、この発明によれば、エンジンの電子制御装置に内蔵されてフライバック電圧消弧用のツェナーダイオードが接続されるインダクタンス負荷駆動用トランジスタの、使用限界となる温度範囲を超えての発熱を的確に抑えることができる。

0270

そしてこのため、いたずらに放熱にコストをかけずとも、確実にそれら素子の保護を図ることができるようになる。

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  • ヤマハ発動機株式会社の「 独立スロットル型エンジン搭載鞍乗型車両」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】触媒のレイアウトについての設計自由度と触媒の早期活性化との両立が可能な独立スロットル型エンジン搭載鞍乗型車両を提供すること。【解決手段】独立スロットル型エンジンと排気通路と消音器と触媒と磁石式... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 車両の制御装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】排気通路に設けられている触媒の過昇温を抑制する車両の制御装置を提供する。【解決手段】制御装置10は、排気通路37に設けられている触媒39と、ブローバイガス通路と、を有する内燃機関20を備えてい... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 内燃機関の制御装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】触媒装置の昇温を通じてフィルタの温度を上昇させる昇温制御が実施される内燃機関において、触媒装置17の過昇温を抑えることのできる制御装置を提供する。【解決手段】内燃機関10は、排気通路15に設け... 詳細

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