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技術 パスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNA

出願人 藤沢薬品工業株式会社
発明者 青木宙北尾忠利
出願日 1987年9月29日 (32年9ヶ月経過) 出願番号 1995-248964
公開日 1996年4月30日 (24年2ヶ月経過) 公開番号 1996-107799
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物、その培養処理 糖類化合物
主要キーワード 沈でん 小割り アンギュラ シーダ STEP 希釈菌 発色性化合物 相対移動度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年4月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

解決手段

この発明は、細菌性類結節症原因菌であるパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAに関するものであり、該菌種の同定に有用なものである。

概要

背景

魚類病原菌による感染症養殖場で発生したとき、その原因菌究明することは魚病の予防・治療にとって重要なことである。従来、魚類病原菌を問わず一般細菌分類、同定はその形態や生化学的性状あるいは免疫学的手法を用いた生物的性状で行われてきた。最近、生化学あるいは分子遺伝学の進歩により、その菌の持つ染色体DNAやRNA、菌体物質および菌が生産する物質を比較することによる、いわゆる化学的性状による分類が行われるようになってきた。

概要

この発明は、細菌性類結節症の原因菌であるパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAに関するものであり、該菌種の同定に有用なものである。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

次のような特徴を有するパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNA:(イ)該DNAの制限酵素地図は下記に示す通りである。

請求項

ID=000002HE=025 WI=084 LX=0630 LY=0450(ロ)該DNAの分子量は約0.8kbpである。

技術分野

0001

この発明は魚類病原菌の種決定遺伝子DNAに関するものであり、さらに詳細にはビブリオアンギュラルムおよびパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAおよびそれを含有する該菌種の同定用試薬に関するものである。

背景技術

0002

魚類病原菌による感染症養殖場で発生したとき、その原因菌究明することは魚病の予防・治療にとって重要なことである。従来、魚類病原菌を問わず一般細菌分類、同定はその形態や生化学的性状あるいは免疫学的手法を用いた生物的性状で行われてきた。最近、生化学あるいは分子遺伝学の進歩により、その菌の持つ染色体DNAやRNA、菌体物質および菌が生産する物質を比較することによる、いわゆる化学的性状による分類が行われるようになってきた。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、生物的性状あるいは化学的性状による分類法は、最近の分類学にとっては重要であるが、各々の手法は複雑で時間を費やすために、病の原因菌を簡便かつ迅速に同定するには適していない。

課題を解決するための手段

0004

生物は種によって形態やそれを構成する成分が異なる。これら種の特徴はその生物の持つ遺伝子によって規定されている。細菌においても同様で、種によって生化学的性状が異なる。即ち性状が異なることはそれを規定する遺伝子も異なる。このような観点から、この発明者等は養殖場で流行絶えず経済的に損失が大きいビブリオ病および細菌性類結節症について、それらの原因菌であるビブリオ・アンギュラルム(Vibrio anguillarum)およびパスツレラ・ピシシーダ(Pasteurella piscicida)のみが持つ特定遺伝子DNAをそれぞれ見出し、さらにこれらの遺伝子DNAをプローブ(標識した検出資料)として菌種の未知の魚病の病原菌のDNAとハイブリダイゼーションすることにより、該菌がビブリオ・アンギュラルム種またはパスツレラ・ピシシーダ種であるか否かを簡易かつ迅速に同定できるという新知見を得、この発明を完成した。

0005

以下に、ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAおよびパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAの一般的な製造法を示す。図4に示すように、ビブリオ病の起因菌、例えばビブリオ・アンギュラルムPT8341および細菌性類結節症の起因菌、例えばパスツレラ・ピシシーダKG8601それぞれの染色体DNAを常法、例えばマーマー(Marmur)法により抽出する。ここで用いるビブリオ・アンギュラルムPT8341およびパスツレラ・ピシシーダKG8601は、工業技術院微生物工業技術研究所にそれぞれ受託番号微工研菌寄第9616号および9617号として寄託されている。得られるDNAをそれぞれ制限酵素HindIIIで切断し、得られるDNA断片のそれぞれについてベクタープラスミドpUC9にショットガンクローニングを行う。

0006

ここで使用するベクタープラスミドpUC9は、例えばVieria J.,J.Messing Gene 19,259(1982)に記載されている公知のプラスミドである。このようにして得られるリコンビナントプラスミドをそれぞれ大腸菌K−12JM103株(Messing.J.,R.Crea,and P.H.Seeburg.1981.A system for shotgun DNA seguencing. Nucleic AcidsRes.9:309参照)に形質転換を行い得られるビブリオ・アンギュラルムPT8341およびパスツレラ・ピシシーダKG8601の染色体DNA断片を含むリコンビナントプラスミドDNAをアルカリSDS法により抽出し、そのDNAをそれぞれHindIIIで切断し、電気泳動によりこれらのクローン化されたDNAの分子量を求め、ビブリオ・アンギュラルムPT8341については、アガロースゲル電気泳動法によって測定した分子量0.6kb付近クローンを、パスツレラ・ピシシーダKG8601については、同様の測定法によって測定した分子量0.8Kbp付近のクローンをそれぞれ選択し、単離する。

0007

このようにして得られるビブリオ・アンギュラルムPT8341の分子量0.6Kbp付近のDNA断片をそれぞれプローブとして、これらとビブリオ・アンギュラルムの染色体DNAのHindIII消化断片サザンブロットハイブリダイゼーション(Southern blot hybridization)を行い、かつビブリオ・アンギュラルムの増殖したコロニーコロニーハイブリダイゼーションを行い、ビブリオ・アンギュラルムとのみハイブリットを形成し、他の細菌とハイブリッドしないものを集めると、目的とするビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAが得られる。

0008

同様にして、パスツレラ・ピシシーダKG8601の分子量0.8Kbp付近のDNA断片をそれぞれプローブとして、これらとパスツレラ・ピシシーダの染色体DNAのHindIII消化断片とサザンブロットハイブリダイゼーションを行い、かつパスツレラ・ピシシーダの増殖したコロニーとコロニーハイブリダイゼーションを行い、パスツレラ・ピシシーダとのみハイブリッドを形成し、他の細菌とハイブリッドしないものを集めると、目的とするパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAが得られる。

0009

このようにして得られるビブリオ・アンギュラルムの種決定遺伝子DNAは次のような特徴を有する。
(イ)該DNAの制限酵素地図図1に示す通りである。
(ロ)アガロースゲル電気泳動法により測定した該DNAの分子量は約0.6Kbpである。
(ハ)該DNAの部分塩基配列図2に示す通りである。
(ニ)該DNAを、制限酵素TagI、RsaI、HinfI、AvaII、BamHI、BglII、EcoRI、PstI、PvuII、SalI、SmaI、XhoI、AluI、HaeIII、HpaIIおよびHhaIのそれぞれを用いて切断を行い、制限サイトを求めた結果、TagI、RsaIおよびHinfIのみに制限サイトが認められた。

0010

また、パスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAは次のような特徴を有する。
(イ)該DNAの制限酵素地図は図3に示す通りである。
(ロ)アガロースゲル電気泳動法により測定した該DNAの分子量は約0.8Kbpである。
(ハ)該DNAを制限酵素、TagI、RsaI、HinfI、AvaII、BamHI、EcoRI、PstI、SalI、SmaI、XhoI、AluI、HaeIII、HpaII、HincII、HpaIおよびSau3AIのそれぞれを用いて切断を行い、制限サイトを求めた結果、HpaII、TagIおよびRsaIのみに制限サイトが認められた。

発明の効果

0011

この発明のビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAおよびパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAは、それぞれビブリオ・アンギュラルム種およびパスツレラ・ピシシーダ種を同定するために有用である。すなわち、適当な標識物で標識したビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAの一本鎖DNA(同様に、適当な標識物で標識したパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAの一本鎖DNA)と種未知の魚の病原菌のDNAの一本鎖とをハイブリダイゼーションすることによって、該種未知の魚の病原菌がビブリオ・アンギュラルムであるか否か(同様にして、パスツレラ・ピシシーダであるか否か)を同定することができる。

0012

ここで用いられる標識物としては、通常この分野で用いられる標識物をそのまま使用することができ、そのような例としては、放射性同位元素酵素螢光化合物化学的発光性化合物、化学的発色性化合物、生物的発光性化合物、生物学的発色性化合物等が挙げられる。この発明の、標識物で標識されたビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAおよびパスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAはそれぞれの一本鎖DNAと各種担体希釈剤とを含有するビブリオ・アンギュラルム種およびパスツレラ・ピシシーダ種の同定用の試薬として、またこれらの標識された種決定遺伝子DNAをそれぞれ含有するキットとして用いることができる。

0013

次にこの発明を実施例により説明する。なお、以下の実施例の説明には、下記の略号を使用した。
ID=000012HE=060 WI=080 LX=1100 LY=1550

0014

HIA:ハートインフュージョン寒天培地
1HIA:0.5%食塩加ハートインフュージョン寒天培地
2HIYA:1.5%食塩及び0.3%酵母エキス加ハートインフュージョン寒天培地
ID=000013HE=045 WI=080 LX=0200 LY=0300

0015

DW精製水
トリス:ヒドロキシメチルアミノメタン
DTT:ジチオスレイトール
ATPアデノシン−5′−トリホスフェート
BSA:牛血清アルブミン
X−gal:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリール−β−D−ガラクトピラノシド
TBE緩衝液:0.089Mトリス・硼酸塩、0.089M−硼酸及び0.002MEDTA混液
Kbp:キロ塩基
2M−E:2−メルカプトエタノール
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸
STEP溶液:0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、50mM トリス・HCl(pH7.5)、0.4M EDTA 及び1mg/mlプロテナーゼK(メルク社)混液
TE:10mM トリス・HCl(pH8.0)1mM EDTA 混液
TEフェノール飽和TEフェノール 250ml
クロロホルム240ml
イソアミルアルコール10ml
キノリノール70ml
メタクレゾール7ml

0016

実施例1(ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAの製法
(1)ビブリオ・アンギュラルム染色体DNAの抽出:ビブリオ・アンギュラルムPT8341株を1NB培地100mlで一夜培養し、5×108 個/mlの菌培養液を得た。該菌培養液を6000rpmで10分間遠心して上澄液を捨て、沈でん菌体にトリス・HCl(pH8.0)とEDTAをそれぞれ50mM含有する溶液5mlを加えた。この菌体を含む溶液を−20℃で凍結した後、0.25Mトリス・HCl(pH8.0)にリゾチーム和光純薬製)10mg/mlを溶解した溶液を0.5ml加えた。これを室温に放置して解凍した後、氷冷下で45分間反応させた。次にSTEP溶液を1ml加え、時々撹拌しながら50℃で60分間反応させた。反応後、TEフェノール6mlを加えて、6000rpmで15分間遠心し、上澄液を得た。

0017

この上澄液に10分の1量の3M酢酸ナトリウムを入れ、さらに2倍量のエタノールを加え、核酸混合物沈殿させた。該沈殿物を細いガラス棒に巻きつけるようにして分取し、トリス・HCl(pH7.5)50mMとEDTA1mMを含有する液5mlに溶解し、100μlのRNaseシグマ社製)10mg/ml溶液を加え、4℃で一晩静置した。静置後、等量のクロロホルムを加えて良く混合した上で、6000rpmで15分間遠心し、上澄液を分取した。これに10分の1量の3M酢酸ナトリウムと2倍量のエタノールを加え混合し、染色体DNAを沈殿させた。沈殿した染色体DNAは細いガラス棒に巻きつけるようにして分取した後、トリス・HCl(pH7.5)50mMとEDTA1mMを含有する液2mlを加えて4℃で保存した。

0018

(2)ベクタープラスミドpUC9DNAの抽出:ベクタープラスミドpUC9を保持するエスシェリヒア・コリK−12 JM103株をLB培地10mlで一晩培養し、アルカリSDS法(Plasmids(IRL PRESS)−a practical approachに記載の方法)に従ってベクタープラスミドpUC9を採取した。

0019

(3)ビブリオ・アンギュラルム染色体DNAのHindIIIによる消化:ビブリオ・アンギュラルム染色体DNA約1μgをHindIII緩衝液[60mM NaCl、7mMトリス・HCl(pH7.5)、7mM MgCl2]300μlに溶かし、HindIII約45ユニットを加えて37℃で1時間反応させた。反応後、常法に従ってフェノール処理を1回、ジエチルエーテル処理を2回行って反応を止め、HindIIIによるDNAの消化断片液を得た。

0020

(4)ベクタープラスミドDNA pUC9のHindIIIによる消化:ベクタープラスミドDNA pUC9約0.1μgをHindIII緩衝液[前出]に溶かし、HindIII約1ユニットを加えて37℃で1時間反応させた。反応後、常法に従ってフェノール処理を1回、ジエチチエーテル処理を2回行って反応を止め、HindIIIによるDNAの消化断片液を得た。

0021

(5)ビブリオ・アンギュラルムDNAのHindIII消化断片とベクタープラスミドDNA pUC9へのクローニング:ビブリオ・アンギュラルム染色体DNAとベクタープラスミドDNA pUC9を混合し、2倍量の99%コールドエタノール(−20℃保存)と10分の1量の3M酢酸ナトリウムを加え、−70℃で15分間静置した。これを14000rpmで5分間遠心後、アスレートし、75%コールドエタノールでリンスした後、乾燥させた。dDw 14μlを入れライゲーション緩衝液[0.5Mトリス・HCl(pH7.4)、0.1M MgCl2 、0.1M DTT、10mMスペルミジン、10mMATP、1mg/mlBSA]4μlを加え、さらにT4リガーゼ(エスシェリヒア・コリC75 T4 リガーゼ)2μlを追加し、15℃で一晩反応させて、環状のリコンビナントプラスミドDNAを得た。

0022

(6)エスシェリヒア・コリの形質転換によるリコンビナントプラスミドDNAの複製:連結された環状のリコンビナントDNAを用い、Molecular Cloning(Cold Spring Harbar Laboratory)記載の方法に従って、エスシェリヒア・コリK−12JM103株に形質転換した。得られた形質転換株アンピシリン50μg/ml及びX−gal40μg/ml含有LA平板塗抹し、37℃で一晩培養した。培地上に生育したアンピシリン耐性白色のコロニーを、リコンビナントDNAの複製株として回収した。

0023

(7)ビブリオ・アンギュラルムDNAのHindIII消化断片クローンの選択:得られた環状のリコンビナントプラスミドDNA複製株を、アルカリSDS法(前出の方法)で抽出し、HindIIIで消化(前出の方法)後、0.8%アガロースゲルを用いてTBE緩衝液中80mAで1時間電気泳動を行った。アガロースゲルにおけるDNAバンドの検出はMolecular Cloning(前出)記載の方法で行った。切断DNA断片の分子サイズは、アガロースゲルにおけるそれらの相対移動速度λファージDNAのHindIII消化断片の移動度[L. H. Robinson and A.Landy, Gene 2(1977)]と比較して測定し、約0.6kbpのDNA断片を得た。電気泳動の結果は、図5に示した。

0024

(8)ハイブリダイゼーションによる確認:得られた約0.6kbpのDNA断片は、ニックトランスレーション法(Molecular Clonig記載の方法)(前出)により32Pで標識し、目的細菌であるビブリオ・アンギュラルムのDNAとのみハイブリッドを形成することをコロニーハイブリダイゼーション法(第1表)及びサザンブロットハイブリダイゼーション法(Methodsin Molecular Biology:Elsevier社 1986年記載の方法)(図7)により確認した。

0025

0026

(9)制限酵素地図の決定:確認の済んだ約0.6kbpのDNAクローン断片の各種制限酵素切断サイトは、下記第2表に示した種々の制限酵素を用いてそれぞれに対応する緩衝液中で反応させ、読みとった。即ち、各制限酵素による消化断片物をポリアクリルアミドゲル電気泳動(Molecular Clonig記載の方法)(前出)により、DNAバンドを分離し、ポリアクリルゲル平板ゲルにおけるpBR322−HinfIの相対移動度によってそれぞれのDNA断片の分子サイズを決定した。このようにして求めた、ビブリオ・アンギュラルムの種を決定する約0.6kbpのDNAクローン断片の制限酵素地図は図1に示した。それぞれの酵素はニッポンジーン(株)あるいはタカラ酒造(株)のものを使用した。

0027

0028

(10)塩基配列の決定:確認の済んだ約0.6kbpのDNAクローン断片の部分塩基配列を、ニッポンジーン(株)のM13 Sequencing Kit 1を用いてジデオキシ法[J. Messing, Methodsin Enzymology,101, 78(1983)]で決定した。その結果は、図2に示した。

0029

実施例2(パスツレラ・ピシシーダ種の決定DNAの製法)
(1)パスツレラ・ピシシーダ染色体DNAの抽出:パスツレラ・ピシシーダKG8601株を2NYB培地100mlで一夜培養し、5×108個/mlの菌培養液を得た。該菌培養液を6000rpmで10分間遠心して上澄液を捨て、沈でん菌体にトリス・HCl(pH8.0)とEDTAをそれぞれ50mM含有する溶液5mlを加えた。この菌体を含む溶液を−20℃で凍結した後、0.25M トリス・HCl(pH8.0)にリゾチーム(和光純薬製)10mg/mlを溶解した液0.5mlを加えた。これを室温に放置して解凍した後、氷冷下で45分間反応させた。次にSTEP溶液を1ml加え、時々撹拌しながら50℃で60分間反応させた。反応後、TEフェノール6mlを加えて、6000rpmで15分間遠心し、上澄液を得た。

0030

この上澄液に10分の1量の3M酢酸ナトリウムを入れ、さらに2倍量のエタノールを加え、核酸混合物を沈殿させた。該沈殿物を細いガラス棒に巻きつけるようにして分取し、トリス・HCl(pH7.5)50mMとEDTA1mMを含有する液5mlに溶解し、100μlのRNase(シグマ社製)10mg/ml溶液を加え、4℃で一晩静置した。静置後、等量のクロロホルムを加えて良く混合した上で、6000rpmで15分間遠心し、上澄液を分取した。これに10分の1量の3M酢酸ナトリウムと2倍量のエタノールを加え混合し、染色体DNAを沈殿させた。沈殿した染色体DNAは細いガラス棒に巻きつけるようにして分取した後、トリス・HCl(pH7.5)50mMとEDTA 1mMを含有する液2mlを加えて4℃で保存した。

0031

(2)ベクタープラスミドpUC9DNAの抽出:ベクタープラスミドpUC9を保持するエスシェリヒア・コリK−12 JM103株をLB培地10mlで一晩培養し、アルカリSDS法(前出)に従ってベクタープラスミドpUC9を採取した。
(3)パスツレラ・ピシシーダ染色体DNAのHindIIIによる消化:パスツレラ・ピシシーダ染色体DNA約1μgをHindIII緩衝液[60mM NaCl、7mMトリス・HCl(pH7.5)、7mM MgCl2]300μlに溶かし、HindIII約45ユニットを加えて37℃で1時間反応させた。反応後、常法に従ってフェノール処理を1回、ジエチルエーテル処理を2回行って反応を止め、HindIIIによるDNAの消化断片液を得た。

0032

(4)ベクタープラスミドDNA pUC9のHindIIIによる消化:ベクタープラスミドDNA pUC9約0.1μgをHindIII緩衝液(前出)に溶かし、HindIII約1ユニットを加えて37℃で1時間反応させた。反応後、常法に従ってフェノール処理を1回、ジエチルエーテル処理を2回行って反応を止め、HindIIIによるDNAの消化断片液を得た。

0033

(5)パスツレラ・ピシシーダDNAのHindIII消化断片のベクタープラスミドpUC9へのクローニング:パスツレラ・ピシシーダ染色体DNAとベクタープラスミドDNA pUC9を混合し、2倍量の99%コールドエタノール(前出)と10分の1量の3M酢酸ナトリウムを加え、−70℃で15分間静置した。これを14000rpmで5分間遠心後、アスピレートし、75%コールドエタノール(前出)でリンスした後、乾燥させた。dDw 14μlを入れライゲーション緩衝液(前出)4μlを加え、さらにT4リガーゼ(前出)2μlを追加し、15℃で一晩反応させて、環状のリコンビナントプラスミドDNAを得た。

0034

(6)エスシェリヒア・コリの形質転換によるリコナントプラスミドDNAの複製:連結された環状のリコンビナントDNAを用い、Molecular Cloning(前出)記載の方法に従って、エスシェリヒア・コリK−12JM103株に形質転換した。得られた形質転換株をアンピシリン50μg/ml及びX−gal40μg/ml含有LA平板に塗抹し、37℃で一晩培養した。培地上に生育したアンピシリン耐性白色のコロニーを、リコンビナントDNAの複製株として回収した。

0035

(7)パスツレラ・ピシシーダDNAのHindIII消化断片クローンの選択:得られた環状のリコンビナントプラスミドDNA複製株を、アルカリSDS法(前出)で抽出し、HindIIIで消化(前出)後、0.8%アガロースゲルを用いてTBE緩衝液中80mAで1時間電気泳動を行った。アガロースゲルにおけるDNAバンドの検出はMolecular Cloning(前出)記載の方法で行った。切断DNA断片の分子サイズは、アガロースゲルにおけるそれらの相対移動速度をλファージDNAのHindIIIおよびEcoRI消化断片の移動度(前出)と比較して測定し、約0.8kbpのDNA断片を得た。電気泳動の結果は、図6に示した。

0036

(8)ハイブリダイゼーションによる確認:得られた約0.8kbpのDNA断片は、ニック・トランスレーション法(前出)により32Pで標識し、目的細菌であるパスツレラ・ピシシーダのDNAとのみハイブリッドを形成することをコロニーハイブリダイゼーション法(第3表)及びサザン・ブロット・ハイブリダイゼーション法(前出)(図8)により確認した。

0037

0038

(9)制限酵素地図の決定:確認の済んだ約0.8kbpのDNAクローン断片の各種制限酵素切断サイトは、第4表に示した種々の制限酵素を用い、それぞれに対応する緩衝液中で反応させ、読みとった。即ち、各制限酵素による消化物をポリアクリルアミドゲル電気泳動(前出)により、DNAバンドを分離し、ポリアクリルゲル平板ゲルにおけるpBR322−HinfIの相対移動度によってそれぞれのDNA断片の分子サイズを決定した。このようにして求めた、パスツレラ・ピシシーダの種を決定する約0.8kbpのDNAクローン断片の制限酵素地図は図3に示した。それぞれの酵素はニッポンジーン(株)あるいはタカラ酒造(株)のものを使用した。

0039

0040

実施例3
実施例1で得られたビブリオ・アンギュラルムの種を決定する約0.6kbpの染色体DNA断片を、ニックトランスレーション法(前出)によりアイソトープ32Pでラベルした。この32PラベルDNA断片でビブリオ・アンギュラルムを感染させたアユの早期疾病診断を試みた。体重10gのアユ10尾を5尾ずつの2区に分け、それぞれ100lの水槽に分養した。しばらく水槽で馴致した後、ビブリオ・アンギュラルムA−83081を菌浴感染させた。流水下(水温18.5℃)でそのまま放置し、1区は感染後3日目に生残魚をすべて屠殺し、無菌的に肝臓から1HIA平板上に菌を分離した。2区は、感染の程度を見るために無処置のまま放置し、斃死率の観察に供した。

0041

1HIA平板上に分離した菌を25℃で一晩培養後、平板上に生育したコロニーを無作為に1尾当たり3株選び、実施例1−(8)に記載の方法で当日中にコロニーハイブリダイゼーション法による迅速同定を行った。また、確認のために常法に従って生物学的性状検査による同定も試みた。結果は、第5表に示したように試験した5尾から分離された菌は全て今回用いたプロ−ブDNAとコロニハイブリダイゼ−ション法によりハイブリッドを形成し、ビブリオ・アンギュラルムと同定された。それらの菌は生物学的性状検査の結果においても全てビブラリオ・アンギュラムと同定することができた。さらに、無処置のまま放置したアユは第6表に示したように感染後8日目に全例斃死し、コロニーハイブリダイゼーション法による早期診断有益性示唆された。

0042

0043

0044

実施例4
実施例1で得られたビブリオ・アンギュラルムの種を決定する約0.6kbpの染色体DNA断片を、ニックトランスレーション法(前出)によりアイソトープ32Pでラベルした。この32PラベルDNA断片で各種細菌の混合希釈液中に存在するビブリオ・アンギュラルムの検出を試みた。養殖ハマチの病原菌である、ビブリオ・アンギュラルム、エロモナスハイドロヒラ及びストレプトコッカス・spをそれぞれ液体培養し、5×108 個/mlの菌液を調整した。これらをそれぞれ、予め用意した滅菌生理食塩水の中に、それぞれの菌濃度が約106 個/mlになるように種々の組合せの混合菌液を作成した。用意した菌液について、実施例1−(8)の方法でコロニーハイブリダイゼーション法によって、ハイブリッド形成の有無を見た。その結果、約0.6kbpの染色体DNA断片は、第7表に示したようにビブリオ・アンギュラルムの存在しない希釈菌液とはハイブリッドの形成を起こさなかった。

0045

0046

実施例5
実施例2で得られたパスツレラ・ピシシーダの種を決定する約0.8kbpの染色体DNA断片を、ニックトランスレーション法(前出)によりアイソトープ32Pで標識した。この32P標識DNA断片で、野外発生した養殖ハマチの類結節症の早期診断を試みた。数尾の類結節症状を伴う斃死魚の見られる、1小割り約20,000尾の養殖イカダから、外見上健康なハマチ稚魚10尾を取り上げた。これらを無菌的に解剖し、それぞれ腎臓から2HIYA平板上に釣菌した。48時間培養後、平板上に発育した露滴状の微小コロニーを、あるいは雑菌によるスワォーミングを起こした平板については、微小コロニーとの重複部と推察される部分を掻き取り、分画されたニトロセルロースフィルター上にそれぞれ塗抹した。このニトロセルロースフィルターを使って、実施例2−(8)の方法で、コロニーハイブリダイゼーションによる菌の同定を実施し、従来の方法である、菌のシングルコロニーアイソレーションを反復して生物学的性状検査で診断する方法と比較した。結果は、第8表に示したようにコロニーハイブリダイゼーションによる同定では大部分の健康魚が、最初の培養でパスツレラ・ピシシーダの罹患魚であると診断されたのに、従来の方法では雑菌の混入により診断できないことが多かった。

0047

0048

実施例6
実施例2で得られたパスツレラ・ピシシーダの種を決定する約0.8kbpの染色体DNA断片を、ニックトランスレーション法(前出)によりアイソトープ32Pで標識した。この32P標識DNA断片で各種細菌の混合希釈液中に存在するパスツレラ・ピシシーダの検出を試みた。養殖ハマチの病原菌である、パスツレラ・ピシーダ、ビブリオ・アンギュラルム及びストレプトコッカス・spをそれぞれ液体培養し、5×108 個/mlの菌液を調整した。これらをそれぞれ、予め用意した滅菌生理食塩水の中に、それぞれの菌濃度が約106 個/mlになるように種々の組合せの混合菌液を作成した。用意した菌液について、実施例2−(8)の方法コロニーハイブリダイゼーションによって、DNAプローブとのハイブリッド形成の有無を見た。その結果、この発明の約0.8kbpの染色体DNA断片は、第9表に示したようにパスツレラ・ピシシーダの存在しない希釈液とはハイブリッド形成を起こさなかった。

0049

0050

図面の簡単な説明

0051

図1ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAの制限酵素地図を示す図面である。
図2ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAの部分塩基配列を示す図面である。
図3パスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAの制限酵素地図を示す図面である。
図4ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAおよびパスツレラ・ピシシータ種の決定遺伝子DNAのクローニング過程を示す図面である。
図5ビブリオ・アンギュラルムPT8341の各クローニング断片のアガロースゲル電気泳動の結果を示す図面である。
図6パスツレラ・ピシシーダKG8601の各クローニング断片のアガロースゲル電気泳動の結果を示す図面である。
図7ビブリオ・アンギュラルム種の決定遺伝子DNAのサザンブロットハイブリダイゼーションの結果を示す図面である。
図8パスツレラ・ピシシーダ種の決定遺伝子DNAのサザンブロットハイブリダイゼーションの結果を示す図面である。

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