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技術 誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置

出願人 株式会社明電舎
発明者 小玉貴志
出願日 1994年9月13日 (25年0ヶ月経過) 出願番号 1994-218411
公開日 1996年3月26日 (23年5ヶ月経過) 公開番号 1996-084499
状態 拒絶査定
技術分野 交流電動機の一次周波数制御 交流電動機の制御一般
主要キーワード 実速度値 基本位相 適応調整 修正演算 低速度領域 モータ電圧値 演算推定 同一次元オブザーバ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年3月26日)のものです。
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図面 (5)

目的

低速運転領域で誘導電動機運転する際にも、正確な速度制御をする。

構成

同一次元磁束オブザーバ4と速度適応機構7からなる速度適応2次磁束オブザーバにより誘導電動機1の実速度値推定し、電動機速度推定値ωr #と電動機速度指令値ωr * との比較誤差信号によって電流制御部を制御してベクトル制御を行なう誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置であって、推定演算した2次励磁軸磁束推定値λ2d# と関数発生器21から出力した2次励磁軸磁束基準値λ0dとの偏差である2次磁束偏差値Δλを求め、この偏差値Δλに係数Kp を乗算して乗算値Kp ・Δλを求める。そして電動機速度推定値ωr # から乗算値Kp ・Δλを減算して修正電動機速度推定値ωr # ’を求め、この推定値ωr # ’を同一次元磁束オブザーバ4に入力する。

概要

背景

誘導電動機高性能速度制御方式として、すべり周波数制御形のベクトル制御方法が普及し、これを速度センサ無しで制御する速度センサレスベクトル制御方法が知られている。

図3は、速度適応次磁束オブザーバを使用して誘導電動機の実速度を推定する、従来の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御システムを示すものである。

まず、図3を用いて、誘導電動機1の電動機速度回転角周波数ωr )の推定について説明をする。

誘導電動機1の電圧方程式は、電源角周波数(ω0 )で回転する同期回転座標系からの諸量を観測するd−q軸で表わすと、次式(1)で与えられる。

概要

低速運転領域で誘導電動機を運転する際にも、正確な速度制御をする。

同一次元磁束オブザーバ4と速度適応機構7からなる速度適応2次磁束オブザーバにより誘導電動機1の実速度値を推定し、電動機速度推定値ωr #と電動機速度指令値ωr * との比較誤差信号によって電流制御部を制御してベクトル制御を行なう誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置であって、推定演算した2次励磁軸磁束推定値λ2d# と関数発生器21から出力した2次励磁軸磁束基準値λ0dとの偏差である2次磁束偏差値Δλを求め、この偏差値Δλに係数Kp を乗算して乗算値Kp ・Δλを求める。そして電動機速度推定値ωr # から乗算値Kp ・Δλを減算して修正電動機速度推定値ωr # ’を求め、この推定値ωr # ’を同一次元磁束オブザーバ4に入力する。

目的

本発明は、上記従来技術に鑑み、低速運転領域でも安定した速度制御のできる誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

次電流指令値(i1 * )と1次電流検出値(i1 )と電源角周波数(ω0 )を入力し、誘導電動機電流非干渉化制御を行ない1次電圧指令値(v1 * )を出力する電流制御器(3)と、前記電流制御器(3)の出力である1次電圧指令値(v1 * )を基に誘導電動機を速度制御する電力変換器(2)と、1次電流検出値(i1 )と1次電圧指令値(v1 * )と電動機速度推定値(ωr # )をそれぞれ入力し、1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # を推定する同一次元磁束オブザーバ(4)と、前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検出値(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値(ωr # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)と、1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機のすべり角周波数指令値(ωs * )を演算し出力するすべり算出器(5)と、前記すべり算出器(5)の出力であるすべり角周波数指令値(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算して前記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数(ω0 )を出力する加算器(17)と、を具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、前記同一次元オブザーバ(4)の出力である固定子座標上の2次励磁軸磁束推定値(λ2a# )を同期回転座標上の2次励磁軸磁束推定値(λ2d# )に座標変換する座標変換器(10)と、前記誘導電動機(1)の実際の2次励磁軸磁束値にほぼ等しくなるよう演算された2次励磁軸基準値(λ0d)が各回転速度ごとに設定されており、電動機速度推定値ωr # に応じて前記2次励磁軸磁束基準値(λ0d)を出力する関数発生器(21)と、前記座標変換器(10)から出力される2次励磁軸磁束推定値(λ2d# )と、前記関数発生器(21)から出力される2次励磁軸磁束基準値(λ0d)との偏差である2次磁束偏差値(Δλ)を求め、この2次磁束偏差値(Δλ)に係数(Kp )を乗算して乗算値(Kp ・Δλ)を求め、更に前記速度適応機構(7)から出力される電動機速度推定値(ωr # )から乗算値(Kp ・Δλ)を減算することにより修正電動機速度推定値(ωr # ')を求め、この修正電動機速度推定値(ωr # ')を同一次元オブザーバ(4)及び加算器(17)へ送る修正演算部と、を備えたことを特徴とする誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。

請求項2

前記修正演算部では、誘導電動機(1)が始動した時点から電動機2次磁束が確立する遅延時間が経過した以降において、電動機速度推定値(ωr # )から乗算値(Kp ・Δλ)を減算して修正電動機速度推定値(ωr #')を出力する動作を開始することを特徴とする請求項1の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置。

技術分野

0001

本発明は、誘導電動機速度センサレスベクトル制御装置係り低速度領域での運転でも安定した速度制御ができるよう工夫したものである。

背景技術

0002

誘導電動機の高性能速度制御方式として、すべり周波数制御形のベクトル制御方法が普及し、これを速度センサ無しで制御する速度センサレスベクトル制御方法が知られている。

0003

図3は、速度適応次磁束オブザーバを使用して誘導電動機の実速度を推定する、従来の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置の制御システムを示すものである。

0004

まず、図3を用いて、誘導電動機1の電動機速度回転角周波数ωr )の推定について説明をする。

0005

誘導電動機1の電圧方程式は、電源角周波数(ω0 )で回転する同期回転座標系からの諸量を観測するd−q軸で表わすと、次式(1)で与えられる。

0006

0007

但し、
v1d,v1q…同期回転座標(d−q軸)上の1次励磁軸電圧,1次トルク軸電圧(V)
i1d,i1q…同期回転座標(d−q軸)上の1次励磁軸電流,1次トルク軸電流(A)
λ2d,λ2q…同期回転座標(d−q軸)上の2次励磁軸磁束,2次トルク軸磁束(Wb)
ω0 …………電源角周波数(rad/sec)
ωr …………電動機速度(回転角周波数,rad/sec)
ωs …………すべり角周波数(rad/sec)
R1 ,R2 …1次,2次抵抗(Ω)
L1 ,L2 …1次,2次インダクタンス(H)
M …………相互(励磁)インダクタンス(H)
Lσ…………等価漏れインダクタンス(H)
(Lσ=(L1 L2 −M2 )/L2 )
s …………時間微分子(d/dt)
そして、電源角周波数(ω0 )、電動機速度(ωr )、すべり角周波数指令値(ωs * )の関係、及びすべり角周波数指令値(ωs * )の算出は次式(2)で表わされる。
ω0 =ωr +ωs * ωs * =i1b* /i1a* ・τ2 ……(2)
但し、
τ2 …………2次時定数(τ2 =L2 /R2 )
添字(*)…指令値あるいは設定値を表わす。いま、
i1d* = 一定 ……………………………………………(3)
とし、上記(1)式において、(2),(3)式の条件のもとに同期回転座標系(d−q軸)の1次電圧指令値(v1d* ,v2q* )をデジタル電流制御器3の構成式である下記(4)式で与えると次のようになる。

0008

0009

上記(4)式を満足するように制御をすると、同期回転座標(d−q軸)上の1次電流検出値i1 は1次電流指令値i1 * (i1d* ,i1q* )どおりの電流が流れ、同期回転座標(d−q軸)上の2次磁束λ2 (λ2d,λ2q)は、
λ2d=Mi1d(一定), λ2q=0 …………………………(5)
に保たれる。

0010

これにより、誘導電動機1のトルク(T)は、
T=M/L2 ・(λ2d・i1q−λ2q・i1d)=M2 /L2 ・(i1d・i1q)
…………………………(6)
となり、同期回転座標(d−q軸)上の2次磁束λ2 (λ2d,λ2q)と2次電流i2 (i2d,i2q)には無関係な非干渉化制御ベクトル制御成立する。

0011

ところで、上記(2)式から明らかなように、速度センサを用いない場合は、すべり角周波数指令値ωs * が設定されていても電動機速度ωr が未知であるから、電源角周波数ω0 を決定することができないが、該電源角周波数ω0 で回転する同期回転座標(d−q軸)上の2次磁束λ2 (λ2d,λ2q)が上記(5)式を満足するように、該電源角周波数ω0 を制御することにより、同様に、非干渉化制御のベクトル制御を実現することができる。すなわち、同一次元磁束オブザーバ4と速度適応機構7からなる速度適応2次磁束オブザーバを用いて、上記(5)式を満足するような同期回転座標(d−q軸)上の2次磁束λ2 (λ2d,λ2q)を推定し、その2次磁束推定値λ2 # (λ2d# ,λ2q# )に基づき電動機速度ωr を推定(ωr # )することにより、上記(2)式(ω0 =ωr # +ωs *)から電源角周波数ω0 を求め、該電源角周波数ω0 によりデジタル電流制御器3を制御することによって非干渉化制御のベクトル制御を実現することができる。

0012

図3に示すベクトル制御システムにおける従来の誘導電動機の速度センサレスベクトル制御方法においては、誘導電動機1の実速度を速度センサを用いないで検出するために、誘導電動機1の1次電流(相電流)iu ,iv ,iw を検出し3相2相相数変換器14にて相数変換した固定子座標(a−b軸)上の1次電流検出値i1 (i1a,i1b)とする。そしてこの1次電流検出値i1 と、固定子座標(a−b軸)上の電動機1次電圧指令値v1 * (v1a* ,v1b* )と、速度推定値ωr # とを入力とする同一次元磁束オブザーバ4により、固定子座標(a−b軸)上の2次磁束推定値λ2 # (λ2a# ,λ2b# )と1次電流推定値i1 #(i1a# ,i1b# )とを推定し、速度適応機構7にて該1次電流推定値i1 # (i1a# ,i1b# )と1次電流検出値i1 (i1a,i1b)とを比較した推定誤差信号(i1 −i1 # )に基づき次式(7)で表わされる適応調整則により電動機速度推定値(ωr # )を演算推定して誘導電動機1の速度検出としている。

0013

ωr # =Kp (eiaλ2b# −eibλ2a# )
+Ki ∫(eiaλ2b# −eibλ2a# )dt ………(7)
但し、
eia=i1a−i1a# :推定誤差
eib=i1b−i1b# :推定誤差
Kp :速度推定比例ゲイン
Ki :速度推定部積分ゲイン
なお、同一次元2次磁束オブザーバ4と速度適応機構7とからなる速度適応2次磁束オブザーバによって誘導電動機の実速度の推定を行なう誘導電動機1の速度センサレスベクトル制御方式については、「電気学会論文誌D,111巻11号,平成3年」(久保田、尾崎、、中野:「適応2次磁束オブザーバを用いた誘導電動機の速度センサレス直接形ベクトル制御」)に掲載されている。

0014

以下、上記速度適応2次磁束オブザーバを使用して誘導電動機の実速度を推定する従来の速度センサレスベクトル制御方式について説明する。

0015

図3(制御システム構成)における動作を説明すると、電流制御部(ACR)におけるデジタル電流制御器3において、同期回転座標(d−q軸)上の1次電圧指令値v1 * (v1d* ,v1q* )が、前記1次電流指令値i1 * (i1d* ,i1q* )と1次電流検出値i1 (i1d,i1q)が等しく(i1d* =i1d,i1q* =i1q)なるように、非干渉化制御を可能とする条件式である上記(4)式により演算される。

0016

同期回転座標(d−q軸)上の1次電圧指令値v1 * (v1d* ,v1q* )は、座標変換器9により固定子座標(a−b軸)上の1次電圧指令値v1 * (v1a*,v1b* )に変換された後、2相−3相相数変換器15により相数変換されてPWM制御インバータ2の三相各相の1次電圧制御指令電圧vu ,vv ,vw に変換され該PWM制御インバータ2の三相各相の出力電圧を制御する。その結果、誘導電動機1は所望の電動機速度指令値(ωr * )に応じて速度制御される。また、電源角周波数ω0 で回転する同期回転座標(d−q軸)と、誘導電動機1の固定子に固定された固定子座標(a−b軸)との間の変換を行なう座標変換器8,9に使用される単位ベクトル(sin θ0 ,cos θ0 )を作り出すための基本位相角θ0 (θ0 =ω0 t)は次のようにして求めることができる。即ちすべり算出器5により上記(2)式に示すように、同期回転座標(d−q軸)上の1次励磁軸電流指令値i1d* 、1次トルク軸電流指令値i1q* 、及び誘導電動機1の2次時定数τ2 (=L2 /R2 )によって求められるすべり角周波数指令値(ωs* )と、速度適応2次磁束オブザーバ(4,7)により推定される電動機速度推定値(ωr # )とから得られる電源角周波数(ω0 )を、基本位相角算出用積分器11で積分することによって、基本位相角θ0 を求めることができる。

0017

以上のように、従来の速度センサレスベクトル制御方式は、電動機速度(ωr)を推定する演算過程において遅れがあるため、電動機速度推定値(ωr # )とすべり角周波数指令値(ωs * )との加算により得られる電源角周波数ω0 (ω0 =ωr # +ωs * )が真値からずれてしまい、その結果、デジタル電流制御器3における電源角周波数ω0 に基づいて演算される非干渉化制御を行なうための1次電圧指令値v1 * のずれ、及び座標変換器8,9における座標変換のために用いる基本位相角θ0 もずれ、結局、座標変換軸がずれて非干渉化制御のベクトル制御が成り立たなくなってしまう虞がある。

0018

このことは、とりもなおさず誘導電動機1の速度制御において、トルク指令値どおりのトルクが得られないという重大な問題を起こすことになる。

0019

そこで本願出願人は、電動機速度の推定過程における「遅れ」となるベクトル制御座標軸のずれを防止することにより、良好なベクトル制御を行なうことができる速度センサレスベクトル制御方式を先に出願した(特願平5−265976号)。

0020

先に出願した特願平5−265976号の技術は、次の知見を基に開発したものである。

0021

誘導電動機1の電動機速度推定値(ωr # )の推定過程における「遅れ」は、誘導電動機1側からみれば、すべり算出部5で算出されるすべり角周波数指令値(ωs * )がずれていることに相当する。(上記(2)式、ω0 =ωr +ωs * ,ωs =i1q* /i1d* ・τ2 参照)

0022

そこで、ベクトル制御が成立するときの電源角周波数ω0 を決定する要件、すなわち、同期回転座標(d−q軸)上の2次磁束推定値λ2 # のトルク軸成分(λ2q# )を上式(5),(6)式参照)にするために、該2次トルク軸磁束推定値λ2q# を積分(ωsc=Kωi ∫λ2q# ・dt Kωi :積分ゲイン)して得られたすべり角周波数修正値ωscをすべり角周波数指令値ωs * に加える(ωs* +ωsc)ことにより、電動機速度推定値ωr # の「遅れ」に伴う電源角周波数ω0 のずれΔω0 を修正することができ、座標軸のずれが防止され、完全なベクトル制御が行なわれる。(次式、参照)
ω0 +Δω0 =ωr # +ωs * +ωsc Δω0 =ωsc

0023

図4は、特願平5−265976号の実施例を示すものである。

0024

図示制御システムにおいて、電流制御部(ACR)におけるデジタル電流制御器3において、前記1次電流指令値i1 * の1次トルク軸電流指令値(i1q* )及び1次励磁軸電流指令値(i1d* )と、1次電流検出値i1 の1次トルク軸電流検出値(i1q)及び1次励磁軸電流検出値(i1d)とが比較され、i1q* =i1q、及びi1d* =i1dに制御されるように、PWM制御インバータ2を制御する同期回転座標軸(d−q軸)上の1次電圧指令値v1 * (v1d* ,v1q* )が上記(4)式により演算される。

0025

デジタル電流制御器3の出力である1次電圧指令値v1 * (v1d* ,v1q* )は、座標変換器9により固定子座標(a−b軸)上の1次電圧指令値v1 * (v1a* ,v1b* )に変換された後、2相−3相相数変換器15により相数変換されて、PWM制御インバータ2の三相各相の1次電圧制御指令電圧vu ,vv ,vw に変換され、該PWM制御インバータ2の出力電圧を制御する結果、誘導電動機1は所望のトルク軸電流指令値i1q* に応じてトルク制御される。

0026

誘導電動機1の実際の電動機速度(ωr )としては、次のようにして推定された電動機速度推定値ωr # を用いる。即ち誘導電動機1の固定子座標(a−b軸)上の1次電流検出値i1 (i1a,i1b)、1次電圧指令値v1 * (v1a* ,v1b* )及び電動機速度推定値(ωr # )を入力とする同一次元磁束オブザーバ4と、該同一次元磁束オブザーバ4により推定された1次電流推定値i1 # (i1a# ,i1b# )と2次磁束推定値λ2 # (λ2a# ,λ2b# )及び1次電流検出値i1 (i1a,i1b)に基づく上記(7)式により演算する速度適応機構7と、からなる速度適応2次磁束オブザーバを使用して、その電動機速度推定値ωr # を推定する。

0027

そして、実際の電動機速度(ωr )を推定する過程における電動機速度推定値(ωr # )の「遅れ」によって生じる電源角周波数ω0 (ω0 =ωr # +ωs *)のずれを修正するために、同一次元磁束オブザーバ4により推定した固定子座標(a−b軸)上の2次磁束推定値λ2 # (λ2a# ,λ2b# )を座標変換器10で同期回転座標軸(d−q軸)上の2次磁束λ2 # (λ2d# ,λ2q# )に座標変換し、該2次磁束推定値λ2 # の2次トルク軸磁束推定値(λ2q# )をすべり角周波数修正用積分器16にて積分しすべり角周波数修正値ωsc(ωsc=Kωs ∫λ2q# ・dt)を求め、加算器17にてすべり角周波数指令値ωs * に加算する。

0028

すべり角周波数修正値ωscをすべり角周波数指令値ωs * に加算することは、電動機速度推定値(ωr # )のずれを、前記すべり角周波数修正値ωscによって修正することにより、上記(2)式により決定される電源角周波数(ω0 )のずれによる基本位相角(θ0 )のずれを防止し、座標変換軸のずれを防止して、精度のよい非干渉化制御のベクトル制御が成立することとなる。

発明が解決しようとする課題

0029

ところで図3及び図4に示す先に提案した技術では、次に述べるような課題が残されていた。

0030

図3及び図4に示すベクトル制御装置では、誘導電動機1のモータ電圧を検出することが困難であるため、1次電圧指令値v1 * (v1a* ,v1b* )が実際のモータ電圧値に一致していると仮定している。かかる仮定を基に、同一次元オブザーバ4は、1次電圧指令値v1 * (v1a* ,v1b* ),1次電流検出値i1 (i1a,i1b),電動機速度推定値ωr # を入力値として、1次電流推定値i1 #(i1a# ,i1b# ),2次磁束推定値λ2 # (λ2a# ,λ2b# )を推定演算している。

0031

しかし1次電圧指令値v1 * と実際のモータ電圧値との間には誤差があり(誤差発生原因は次に述べる)、特に出力電圧の低い低速度領域ほど誤差が大きくなる。この電圧誤差に起因して推定演算した2次磁束推定値λ2 # と実際の2次磁束との間に誤差が生じる。このため速度適応機構7での推定演算に誤差が生じ、この結果、電動機速度推定値ωr # に誤差が生じて速度制御が不安定になる。

0032

ここで上述した電圧誤差の2つの要因を説明する。

0033

<第1の電圧誤差要因>PWM制御インバータ2のインバータ部に使用される主スイッチング素子にはスイッチング遅れがあり、この遅れ時間による上下アーム短絡を防止するために、短絡防止期間デッドタイム)を設けている。このデッドタイムがあるため、実際のモータ電圧値と1次電圧指令値v1 * とが異なってしまう。そこで現在では、この電圧誤差を少なくするため、PWM制御インバータ2の出力電圧を、上記デッドタイムに合わせて遅らせるデッドタイム補償回路を設けているが、完全な補償はできず、電圧誤差が残存していた。

0034

<第2の電圧誤差要因>PWM制御インバータ2のPWM変調指令部では、1次電圧制御指令電圧vu,vv ,vw と、搬送波信号(例えば三角波)とを比較し、その大小によりPWM変調指令(ベース電流)を発生している。このPWM変調指令のハイ・ローに応じてインバータ部の主スイッチング素子がオンオフして等価正弦波出力電圧を作り出している。上記PWM変調指令部がデジタルで構成されている場合には、指令電圧vu ,vv ,vw と搬送波信号とをデジタル比較してPWM変調指令を作るため、搬送波分解能や電圧演算値の分解能に起因して、実際のモータ電圧値と1次電圧指令値v1 * との間に誤差が生じてしまう。

0035

本発明は、上記従来技術に鑑み、低速運転領域でも安定した速度制御のできる誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0036

上記課題を解決する第1の本発明の構成は、1次電流指令値(i1 * )と1次電流検出値(i1 )と電源角周波数(ω0 )を入力し、誘導電動機の電流非干渉化制御を行ない1次電圧指令値(v1 * )を出力する電流制御器(3)と、前記電流制御器(3)の出力である1次電圧指令値(v1 * )を基に誘導電動機を速度制御する電力変換器(2)と、1次電流検出値(i1 )と1次電圧指令値(v1 * )と電動機速度推定値(ωr # )をそれぞれ入力し、1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # を推定する同一次元磁束オブザーバ(4)と、前記同一次元磁束オブザーバ(4)の出力である1次電流推定値i1 # と2次磁束推定値λ2 # と、1次電流検出値(i1 )をそれぞれ入力し、電動機速度推定値(ωr # )を推定演算して出力する速度適応機構(7)と、1次電流指令値(i1 * )の励磁軸成分とトルク軸成分を基に該電動機のすべり角周波数指令値(ωs * )を演算し出力するすべり算出器(5)と、前記すべり算出器(5)の出力であるすべり角周波数指令値(ωs * )に電動機速度推定値(ωr # )を加算して前記電流制御器(3)の制御入力である電源角周波数(ω0 )を出力する加算器(17)と、を具備する誘導電動機の速度センサレスベクトル制御装置において、前記同一次元オブザーバ(4)の出力である固定子座標上の2次励磁軸磁束推定値(λ2a# )を同期回転座標上の2次励磁軸磁束推定値(λ2d# )に座標変換する座標変換器(10)と、前記誘導電動機(1)の実際の2次励磁軸磁束値にほぼ等しくなるよう演算された2次励磁軸基準値(λ0d)が各回転速度ごとに設定されており、電動機速度推定値ωr # に応じて前記2次励磁軸磁束基準値(λ0d)を出力する関数発生器(21)と、前記座標変換器(10)から出力される2次励磁軸磁束推定値(λ2d# )と、前記関数発生器(21)から出力される2次励磁軸磁束基準値(λ0d)との偏差である2次磁束偏差値(Δλ)を求め、この2次磁束偏差値(Δλ)に係数(Kp )を乗算して乗算値(Kp ・Δλ)を求め、更に前記速度適応機構(7)から出力される電動機速度推定値(ωr # )から乗算値(Kp ・Δλ)を減算することにより修正電動機速度推定値(ωr # ')を求め、この修正電動機速度推定値(ωr # ')を同一次元オブザーバ(4)及び加算器(17)へ送る修正演算部と、を備えたことを特徴とする。

0037

また第2の本発明の構成は、前記修正演算部では、誘導電動機(1)が始動した時点から電動機2次磁束が確立する遅延時間が経過した以降において、電動機速度推定値(ωr # )から乗算値(Kp ・Δλ)を減算して修正電動機速度推定値(ωr # ')を出力する動作を開始することを特徴とする。

0038

速度センサレスベクトル制御装置では、低速運転領域になると、1次電圧指令値v1 * と実際のモータ電圧値との間には誤差が生じ、推定演算した2次磁束推定値λ2 # と実際の2次磁束との間に誤差が発生する。本発明では、2次磁束推定値λ2 # と実際の2次磁束との差に応じて、電動機速度推定値ωr # を補正することにより、電動機速度推定値ωr # を実際の電動機速度に合わせる。

0039

以下に本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。なお従来技術と同一部分には同一符号を付し重複する説明は省略する。

0040

図1は本発明の実施例を示す。本実施例は、図4に示す従来装置からすべり角周波数修正用積分器16を取り外し、新たに関数発生器21,乗算器22及び減算器23,24を加えた構成となっている。

0041

図1に示すように座標変換器10は、同一次元磁束オブザーバ4で推定演算した固定座標上の2次磁束推定値λ2a# ,λ2b# を、回転座標上の2次磁束推定値λ2d# ,λ2q# に座標変換する。このうち、2次励磁軸磁束推定値λ2d# が減算器23に入力される。

0042

一方、関数発生器21は、図2に示すように、電動機速度推定値ωr # に応じて、予め定めた振幅値の2次励磁軸磁束基準値λ0d(回転座標上の値)を出力する。この2次励磁軸磁束基準値λ0dは誘導電動機1のモータ定数励磁電流及び励磁インダクタンスを基に演算したものであり、各回転速度において2次励磁軸磁束基準値λ0dが、誘導電動機1の実際の2次励磁軸磁束値(回転座標上の値)とほぼ同じになるようにしている。よって2次励磁軸磁束基準値λ0dは、誘導電動機1の回転速度が0からN1 の間では一定であるが、N1 を越えると回転速度が増すにつれて漸減していく。なお、関数発生器21には、モータ回転速度に応じた基準値λ0dを用意するだけですむため、この関数は容易に算出できる。

0043

減算器23では、座標変換器10から送られてくる2次励磁軸磁束推定値λ2d# と、関数発生器21から送られてくる2次励磁軸磁束基準値λ0dとの差分演算をして2次磁束偏差値Δλを求める。この2次磁束偏差値Δλは、2次励磁軸磁束推定値λ2d# と実際の2次励磁軸磁束値との差に対応している。一般的には2次励磁軸磁束推定値λ2d# の方が実際の2次励磁軸磁束値よりも大きい傾向にある。

0044

乗算器22は2次磁束偏差値Δλに比例係数Kp (1以下の数)を乗算し、乗算値Kp ・Δλを出力する。比例係数Kp を乗算することにより、乗算値Kp ・Δλは、2次磁束偏差値Δλに対応した電動機速度を示す値となる。

0045

減算器24では、速度適応機構7で推定演算した電動機速度推定値ωr # から乗算値Kp ・Δλを減算して修正電動機速度推定値ωr # ’を出力する。この修正電動機速度推定値ωr # ’は、2次励磁軸磁束推定値λ2d# と実際の2次励磁軸磁束との偏差に起因する速度誤差を補正した値となっている。このように速度誤差を補正した修正電動機速度推定値ωr # ’を、同一次元磁束オブザーバ4及び加算器17へ入力するようにしている。このため同一次元磁束オブザーバ4で推定演算した2次磁束推定値λ2 # が実際のモータ2次磁束と等しくなり、低速運転領域でも推定演算した修正電動機速度推定値ωr # ’と実際の電動機速度とがほぼ等しくなり、精度のよい速度制御ができる。

0046

なお減算器24は、誘導電動機1を始動した時点から、モータ2次磁束が確立する遅延時間が経過した以降から、上述した減算演算を開始する。これは、モータ始動時における推定速度の修正演算は、モータ2次磁束が確立するまでの状態の把握が困難なため、正しい修正演算が得られない場合があることを考慮したからである。

発明の効果

0047

上実施例と共に具体的に説明したように第1の本発明では、関数発生器から出力する2次励磁軸磁束基準値λ0dと推定演算した2次励磁軸磁束推定値λ2d#との大きさを比較し、その誤差値を、推定演算した電動機速度推定値ωr # の誤差に対応した値とみなして、電動機速度推定値ωr # を修正演算して修正電動機速度推定値ωr # ’を出力する。そしてこの修正電動機速度推定値ωr # ’を同一次元磁束オブザーバ4へ入力するため、低速度運転領域であっても、速度推定能力が向上する。

0048

また第2の本発明では、モータ2次磁束が確立した後に電動機速度の修正演算を行うため、始動時における不要な修正演算を行なわなくてもよい。

図面の簡単な説明

0049

図1本発明の実施例を示す構成図。
図2関数発生器の出力特性を示す特性図。
図3従来技術を示す構成図。
図4従来技術を示す構成図。

--

0050

1誘導電動機
2PWM制御インバータ
3デジタル電流制御器
4 同一次元磁束オブザーバ
5すべり算出器
速度制御器
7速度適応機構
8座標変換器
9 座標変換器
10 座標変換器
11基本位相角算出用積分器
16すべり角周波数修正用積分器
17加算器
21関数発生器
22乗算器
23,24減算器
ωs すべり角周波数
ωs * すべり角周波数指令値
ωsc すべり角周波数修正値
ω0電源角周波数
ωr電動機速度
ωr *電動機速度指令値
ωr #電動機速度推定値
ωr # ’修正電動機速度推定値
v1 1次電圧
v1d 1次励磁軸電圧
v1q 1次トルク軸電圧
v1 * 1次電圧指令値
v1d* ,v1q* 1次励磁軸電圧指令値
v1a* ,v1b* 1次トルク軸電圧指令値
iu ,iv ,iw 1次電流
i1 1次電流検出値
i1d,i1a 1次励磁軸電流検出値
i1q,i1b 1次トルク軸電流検出値
i1 * 1次電流指令値
i1d* 1次励磁軸電流指令値
i1q* 1次トルク軸電流指令値
i1 # 1次電流推定値
i1a# 1次励磁軸電流推定値
i1b# 1次トルク軸電流推定値
λ2 2次磁束
λ2d,λ2a 2次励磁軸磁束
λ2q,λ2b 2次トルク軸磁束
λ2 # 2次磁束推定値
λ2d# ,λ2a# 2次励磁軸磁束推定値
λ2q# ,λ2b# 2次トルク軸磁束推定値
λ0d 2次励磁軸磁束基準値
Δλ 2次磁束偏差値
vu ,vv ,vw 1次電圧制御指令電圧
θ0 基本位相角

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