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技術 吸収式冷凍機の運転方法及び吸収冷凍機用吸収液

出願人 大阪瓦斯株式会社
発明者 野中英正坂口義美笹田智弘藤野利弘山本和美
出願日 1994年9月2日 (26年2ヶ月経過) 出願番号 1994-209439
公開日 1996年3月19日 (24年8ヶ月経過) 公開番号 1996-075292
状態 特許登録済
技術分野 収着式冷凍機械 気液分離装置、除霜装置、制御または安全装置 熱効果発生材料
主要キーワード 空気もれ 真空引き状態 動作媒体 自然腐食 オートクレーブ試験 水酸化アルカリ金属化合物 実機運転 高純度フェライト系ステンレス鋼
関連する未来課題
重要な関連分野

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目的

リチウムブロマイド水溶液吸収液とする吸収式冷凍機において、その構成機器としてステンレス鋼からなる機器を有する場合に、局部腐食さらには、全面腐食による水素ガスの発生を抑えて、冷凍機運転ができる吸収式冷凍機の運転方法、及びこういった方法に採用される吸収冷凍機用吸収液を得る。

構成

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の運転において、水酸化リチウム(LiOH)濃度を0.01〜0.3N、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を亜硫酸ナトリウム換算で250ppm以上、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン換算で200〜2000ppm含有する吸収冷凍機用吸収液を使用して、運転を行う。

概要

背景

近来、上記吸収液動作媒体として作動する吸収式冷凍機を、各家庭等に対する冷暖房等の用に供するための開発が盛んに成されている。従来、吸収式冷凍機は大型であるとともに、機内で発生するガスによる冷凍効率の低下の問題、さらには孔食等の問題を解決するために、機内に脱気装置を備えたり、吸収液の状態を逐次チェックして良好な運転状態を確保している。このような吸収式冷凍機を例えば家庭用冷暖房用に使用しようとすると、冷凍機自体を従来より小型化する必要があるとともに、その小型化の要請から極力小型の脱気装置を備える、あるいは脱気装置を備えないことが考えられる。一方、メンテナンスはほぼ必要のない状態としたい。このような要請から、吸収式冷凍機の構成機器材料としてステンレス鋼を採用することが、最近試みられている。

従来、吸収式冷凍機の構成機器材料としては、軟鋼、銅、黄銅等の金属材料が採用されており、これらの材料に対する腐食抑制技術は比較的確立されているが、ステンレス鋼に対するものは、未だ確立されていない。この様な状況から、発明者らは、ステンレス鋼から成る機器を備えた吸収式冷凍機において、還元剤を添加することによって、ステンレス鋼の自然腐食電位(Ecorr)を下げリチウムブロマイド水溶液中での局部腐食を防止することを提案している(特願平5−268516)。

概要

リチウムブロマイド水溶液を吸収液とする吸収式冷凍機において、その構成機器としてステンレス鋼からなる機器を有する場合に、局部腐食さらには、全面腐食による水素ガスの発生を抑えて、冷凍機の運転ができる吸収式冷凍機の運転方法、及びこういった方法に採用される吸収冷凍機用吸収液を得る。

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の運転において、水酸化リチウム(LiOH)濃度を0.01〜0.3N、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を亜硫酸ナトリウム換算で250ppm以上、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン換算で200〜2000ppm含有する吸収冷凍機用吸収液を使用して、運転を行う。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液吸収液として運転される吸収式冷凍機運転方法であって、前記冷凍機内にステンレス鋼より成る機器を備えた場合に、前記吸収液に水酸化アルカリ金属化合物と、アンチモン化合物を添加して運転をおこなう吸収式冷凍機の運転方法。

請求項2

前記水酸化アルカリ金属化合物が水酸化リチウム(LiOH)であるとともに、その濃度が0.01〜0.3Nであり、前記アンチモン化合物が塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)であるとともに、その濃度が塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜1800ppmである請求項1記載の吸収式冷凍機の運転方法。

請求項3

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液として運転される吸収式冷凍機の運転方法であって、前記冷凍機内にステンレス鋼より成る機器を備えた場合に、前記吸収液に水酸化アルカリ金属化合物と、中心原子硫黄である還元性を有するオキソ酸塩と、水素過電圧が大きい金属の化合物を添加して運転をおこなう吸収式冷凍機の運転方法。

請求項4

前記水素過電圧が大きい金属の化合物がアンチモン化合物である請求項3記載の吸収式冷凍機の運転方法。

請求項5

前記水酸化アルカリ金属化合物が水酸化リチウム(LiOH)であるとともに、その濃度が0.01〜0.3Nであり、前記オキソ酸塩が亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)であるとともに、その濃度が亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)換算で250ppm以上であり、前記アンチモン化合物が塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)であるともに、その濃度が塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜2000ppmである請求項4記載の吸収式冷凍機の運転方法。

請求項6

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の吸収冷凍機用吸収液であって、水酸化リチウム(LiOH)濃度が0.01〜0.3Nで、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜1800ppm含有する吸収冷凍機用吸収液。

請求項7

リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の吸収冷凍機用吸収液であって、水酸化リチウム(LiOH)濃度が0.01〜0.3Nで、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)換算で250ppm以上、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜2000ppm含有する吸収冷凍機用吸収液。

技術分野

この組み合わせにおいては、還元剤を添加されて、ステンレス鋼上に薄膜を形成する要請から、アルカリとともに添加される物質は、水素過電圧が大きいことで要件を満たせる。このような金属の化合物としては、上述のアンチモン化合物の他、ナマリの化合物(酸化ナマリ等)、カドミウム化合物塩化カドミウム等)、スズ化合物塩化スズ等)、亜鉛化合物塩化亜鉛等)、インジウム化合物塩化インジウム等)、テルル化合物塩化テルル等)、ビスマス化合物塩化ビスマス等)が有効である。さらに、還元剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を採用する場合について説明したが、本願において、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)、ピロ亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)も同様に働く。さらに、これらのリチウム塩カリウム塩も同様に働く。従って、これらを中心原子硫黄である還元性を有するオキソ酸塩と呼ぶ。さてここで、リチウムブロマイド水溶液に添加されるオキソ酸塩の役割を果たす物質としては、溶存酸素等が有する酸化性を抑えるという意味からは、還元剤であればいかなるものを採用してもよいようであるが、発明者らの実験によると、ヒドラジン等では、上記の目的は達成しにくい。即ち、この場合は、高温になると分解されて窒素ガスアンモニアガスを生成する問題があり、吸収式冷凍機動作媒体に対して適用することは難しい。一方、アルカリとしては、一般にLiOHが使用されるが、これは塩基度調整用であるため、任意の水酸化アルカリ金属化合物を使用することができる。

背景技術

0001

本発明は、吸収式エアコン吸収液としてリチウムブロマイド(LiBr)水溶液を使用し、機器を構成する材料としてステンレス鋼を用いる場合の吸収式冷凍機の運転方法及びその吸収冷凍機用吸収液に関するものであり、吸収液に添加されて機器材料腐食を抑制するインヒビター腐食抑制剤)に係わる。

0002

近来、上記吸収液を動作媒体として作動する吸収式冷凍機を、各家庭等に対する冷暖房等の用に供するための開発が盛んに成されている。従来、吸収式冷凍機は大型であるとともに、機内で発生するガスによる冷凍効率の低下の問題、さらには孔食等の問題を解決するために、機内に脱気装置を備えたり、吸収液の状態を逐次チェックして良好な運転状態を確保している。このような吸収式冷凍機を例えば家庭用冷暖房用に使用しようとすると、冷凍機自体を従来より小型化する必要があるとともに、その小型化の要請から極力小型の脱気装置を備える、あるいは脱気装置を備えないことが考えられる。一方、メンテナンスはほぼ必要のない状態としたい。このような要請から、吸収式冷凍機の構成機器材料としてステンレス鋼を採用することが、最近試みられている。

発明が解決しようとする課題

0003

従来、吸収式冷凍機の構成機器材料としては、軟鋼、銅、黄銅等の金属材料が採用されており、これらの材料に対する腐食抑制技術は比較的確立されているが、ステンレス鋼に対するものは、未だ確立されていない。この様な状況から、発明者らは、ステンレス鋼から成る機器を備えた吸収式冷凍機において、還元剤を添加することによって、ステンレス鋼の自然腐食電位(Ecorr)を下げ、リチウムブロマイド水溶液中での局部腐食を防止することを提案している(特願平5−268516)。

0004

しかしながら、上記のように自然腐食電位(Ecorr)を下げると局部腐食が抑えられる代わりに、水素発生型の腐食(全面腐食)が生じ易くなる。水素ガスが発生すると吸収式の真空度が悪くなり、冷凍能力が低下し、例えば冷暖房機としての機能が損なわれる。

課題を解決するための手段

0005

従って、本発明の目的は、上記のような構成の吸収式冷凍機において、その構成機器としてステンレス鋼からなる機器を有する場合に、局部腐食さらには、全面腐食による水素ガスの発生を抑えて、冷凍機の運転ができる吸収式冷凍機の運転方法、及びこういった方法に採用される吸収冷凍機用吸収液を得ることにある。

0006

この目的を達成するための本発明による請求項1に係わるリチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液として運転される吸収式冷凍機の運転方法の第1の特徴手段は、冷凍機内にステンレス鋼より成る機器を備えた場合に、吸収液に水酸化アルカリ金属化合物と、アンチモン化合物を添加して運転をおこなうことにある。さらに、上記第1の特徴手段において、前記水酸化アルカリ金属化合物が水酸化リチウム(LiOH)であるとともに、その濃度が0.01〜0.3Nであり、前記アンチモン化合物が塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)であるともに、その濃度が塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜1800ppmであることが好ましい。これが、本願第2の特徴手段である。さらに、上記目的を達成するための本発明による請求項3に係わるリチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液として運転される吸収式冷凍機の運転方法の第3の特徴手段は、冷凍機内にステンレス鋼より成る機器を備えた場合に、前記吸収液に水酸化アルカリ金属化合物と、中心原子が硫黄である還元性を有するオキソ酸塩と、水素過電圧が大きい金属の化合物を添加して運転をおこなうことにある。さらに、上記第3の特徴手段において、前記水素過電圧が大きい金属の化合物がアンチモン化合物であることが好ましい。これが、本願第4の特徴手段である。さらに、上記第4の特徴手段において、前記水酸化アルカリ金属化合物が水酸化リチウム(LiOH)であるとともに、その濃度が0.01〜0.3Nであり、前記オキソ酸塩が亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)であるとともに、その濃度が亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)換算で250ppm以上であり、前記アンチモン化合物が塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)であるともに、その濃度が塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜2000ppmであることが、好ましい。これが、本願第5の特徴手段である。上記目的を達成するための、請求項6に係わる、リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の吸収冷凍機用吸収液の第1の特徴構成は、これが、水酸化リチウム(LiOH)濃度が0.01〜0.3Nで、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜1800ppm含有することにある。さらに、上記目的を達成するための、請求項7に係わる、リチウムブロマイド(LiBr)水溶液を吸収液とし、且つステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機の吸収冷凍機用吸収液の第2の特徴構成は、これが、水酸化リチウム(LiOH)濃度が0.01〜0.3Nで、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)又は亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)換算で250ppm以上、塩化アンチモン(SbCl3)又は酸化アンチモン(Sb2O3)を塩化アンチモン(SbCl3)換算で200〜2000ppm含有することにある。そして、これらの作用・効果は次の通りである。

0007

つまり、本願のようにステンレスの腐食を問題とする場合、上記のように全面腐食が発生し、水素ガスが発生することが問題となる。ここで、発明者らは、インヒビターとしてアルカリとアンチモン化合物の組み合わせ(請求項1、2、6に係わる)と、アルカリ、還元剤としての中心原子が硫黄である還元性を有するオキソ酸塩と水素過電圧が大きい金属の化合物の組み合わせ(請求項3、4、5、7に係わる)とを提案する。前者の組み合わせにおいては、アルカリと特定の化合物であるアンチモン化合物を組み合わせることにより、系が還元性に保たれ(SbCl3(Sb3+)は若干還元力も持っているため、還元剤(後者の組み合わせに係わるオキソ酸塩)無しでもある程度、還元性を示す)、アンチモンステンレス鋼表面に薄くメッキされ水素ガスの発生を抑制することができる。一方、後者の組み合わせにおいては、アルカリと還元剤としての中心原子が硫黄である還元性を有するオキソ酸塩との組み合わせにより、系が還元性に保たれ、水素過電圧が大きい金属がステンレス鋼表面に薄くメッキされ水素ガスの発生を抑制することができる。即ち、本願のステンレス鋼の腐食防止においては、系を還元性に保ち、この状態で、水素過電圧が大きい金属のメッキ状態を実現して、防食を図るのである。以後、水素過電圧が大きい金属を代表できるアンチモンを、例に採って説明する。

0008

リチウムブロマイド水溶液に、アンチモン化合物を添加すると、系が還元性の雰囲気(前者の組み合わせでは自動的に、後者の組み合わせでは特定の還元剤を添加することにより)であるため、アンチモン金属がステンレス鋼表面に薄くメッキされる(このことは、発明者らが実験により分析確認した)。ここで、アンチモンは、H++e→1/2H2のカソード反応が起こりにくい(水素過電圧が大)代表的な金属であるため、この水素発生反応ペアーを組むFe→Fe2++2eの全面腐食反応も起こりにくくなる(カソード反応抑制型インヒビターとして働く)。従って、全面腐食、H2ガス発生共に抑えることができる(局部腐食が抑えられることは当然である。)。従って、本願の防食においては、ステンレス鋼を対象として、その電位を上げないで低い電位にとどめながら、水素ガスの発生を水素過電圧が大な金属を添加して、カバーするのである。

0009

以下、上記した各吸収式冷凍機の運転方法の特徴手段、吸収冷凍機用吸収液の特徴構成について、順次説明する。本願第1の特徴手段を採る場合は、上記したように、アンチモンイオンの還元性を利用して、この化合物とアルカリとの組み合わせにより、全面腐食(水素ガスの発生)を防止することができるとともに、局部腐食の問題も解消できる。本願第2の特徴手段を採る場合は、後述する図1(ロ)に示すように、塩化アンチモンを添加しない場合に比較して、孔食、水素発生ともに、有効にこれを抑えて冷凍機を運転することができる。

発明の効果

0010

本願第3の特徴手段を採る場合は、上記したように、中心原子が硫黄である還元性を有するオキソ酸塩により、系の還元性を確保するとともに、孔食の問題が発生するのを回避し、さらに、水素過電圧が大きい金属の化合物を添加することにより、上述の原理によりステンレス鋼の表面をこの金属によりメッキされた状態とし、全面腐食(水素ガスの発生)を防止することができる。このときアルカリは、塩基度の調整の用を果たす。本願第4の特徴手段を採る場合は、水素過電圧が大きい金属の化合物として、この特性が特に強いアンチモン化合物を使用することにより、有効に上記の防食機能を果たすことが可能となり、例えば、図1(イ)に示すように、比較的広い濃度範囲において、孔食、水素ガス発生ともに起こらない状態を得ることができる。これは、吸収液の維持管理を容易にするとともに、本願の目的であるメンテナンスフリーの機器の実現に非常に有効となる。本願第5の特徴手段を取る場合は、後述する図1(イ)に示すように、塩化アンチモンを添加しない場合に比較して、孔食、水素発生ともに、有効にこれを抑えて冷凍機を運転することができる。本願第1の特徴構成の吸収冷凍機用吸収液によれば、本願第2の特徴手段で説明したと同様の作用により、ステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機において、機器材料の局部腐食、水素ガス発生を有効に抑制できる。本願第2の特徴構成の吸収冷凍機用吸収液によれば、本願第5の特徴手段で説明したと同様の作用により、ステンレス鋼より成る機器を備えた吸収式冷凍機において、機器材料の局部腐食、水素ガス発生を有効に抑制できる。

0011

従って、リチウムブロマイド水溶液を吸収液とする吸収式冷凍機において、その構成機器としてステンレス鋼からなる機器を有する場合に、局部腐食さらには、全面腐食による水素ガスの発生を抑えて、冷凍機の運転ができる吸収式冷凍機の運転方法、及びこういった方法に採用される吸収冷凍機用吸収液を得ることができた。

0012

本願の実施例としてリチウムブロマイド水溶液中におけるステンレス鋼の腐食状態の確認のため、オートクレーブによる浸漬実験をおこなった。以下に実験条件箇条書きする。
テストピース
材質高純度フェライト系ステンレス鋼
形状 縦50mm×横80mm×厚みt2mm
個数テストピース5枚を同一条件テストした。
溶液リチウムブロマイド水溶液 濃度 約60%
温度 157℃
塩基度調整用にLiOH添加 0.01〜0.3Nの範囲
実験時間 720 Hr
上記の条件に於ける実験結果を図1に示した。図1(イ)(ロ)は夫々、(イ)が、有効な還元剤である亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加したものを、(ロ)が、この還元剤を添加しないものを示している。ここで、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)の添加量としては、250ppm以上で有効である(この添加量については、特願平5−268516に詳細に説明されている)。さて、夫々の図面は、横軸が、塩化アンチモン(SbCl3)の添加量を、さらに、縦軸としては、左側のスケールが最大孔食深さの実測値(μm)を、右側のスケールが、1.6m2当たりの水素ガス発生量(Nml)を示している。両図において、○実線は実験対象とした5枚のテストピースの内の最大のものの孔食(隙間腐食)深さを示しており、●破線は水素ガス発生量を示している。

0013

図1(イ)(ロ)を比較すると、両者間においては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加したものの方が、概して孔食、水素ガス発生の両方の点で良好な結果を与えている。さらに、図1(イ)(ロ)の両方に示すように、塩化アンチモン(SbCl3)の特定の添加濃度範囲では、孔食、水素ガス発生をほぼ0とできる範囲があることが判る。この範囲は、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加したものの範囲は250〜1000ppmであり、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加しないものの範囲は250〜500ppmである。さらに、孔食、水素ガス発生量を従来のものより良化させる添加量としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加したものの範囲は200〜2000ppmであり、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加しないものの範囲は200〜1800ppmである。従って、こういった濃度範囲に、塩化アンチモン(SbCl3)の濃度を設定することにより、孔食及び水素ガス発生を抑制することができる。

0014

さらに、吸収式冷凍機を構成する機器の内、上記の高純度フェライト系ステンレス鋼にまじって一部使用されるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS316L)の応力腐食割れ(SCC)の発生状況を実験にて確認した。応力腐食割れ(SCC)の実験装置の構成を図2に示した(以下の説明において対応する部材の番号を図示するとともに、部材名の後ろに番号を記載した)。以下に実験条件を箇条書きする。
テストピース1
材質オーステナイト系ステンレス鋼
形状ダブルUベンド1a及び溶接部有りシングルUベンド1b
ここで、ダブルUベンド1aとは、図2に示すように、2本のピース2、3を重ねてボルトナットよりなる締結具4により所定形状に締結したものであり、シングルUベンド1bとは単一のピース20を備えたものである。ここで、シングルUベンド1bには図2に示すように溶接部5が設けられている。さらに、実験にあたっては、図2に示すように、ダブルUベンド1aを2対、シングルUベンド1bを1対、実験対象とした。
溶液6リチウムブロマイド水溶液濃度 約60%
温度 157℃
塩基度調整用にLiOH添加 0.01〜0.3Nの範囲
亜硫酸ナトリウム(Na2SO3) 濃度2000ppm
(添加したものと添加しないもの)
塩化アンチモン(SbCl3) 濃度500ppm
実験時間 1000Hr(1.5ケ月)
上記の条件に於ける実験結果を表1に示した。同表において、左側は、図1(イ)に対応する亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を添加したものを、右側は、図1(ロ)に対応する還元剤を添加しないものを示している。さらに、表上段(表中「真空」と表記)には、吸収式冷凍機が正常な運転状態にある場合の真空引き状態にある場合(厳密には少量の溶存酸素が残存している)の結果を、表下段(表中「空気」と表記)には、空気もれがある状態のものを示している。一方、表において「半」と示すものは、テストピースが半浸漬状態のものを示し、「全」と示すものは、テストピースが全浸漬状態のものを示している。

0015

ID=000003HE=055 WI=092 LX=0590 LY=1550
表1において「外」、「内」、「溶」、「○」、「×」は夫々以下のようなものを示す。
外:ダブルUベンド1aの外側
内:ダブルUベンド1aの内側
溶:溶接部有りシングルUベンド1b
○:割れなし
×:割れあり

0016

結果、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)や塩化アンチモン(SbCl3)がSUS316LのSCCにも有効であることがわかる(尚、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)や塩化アンチモン(SbCl3)を添加しない場合には、全浸漬、半浸漬共にSCCを生じる)。

0017

さらに、吸収式冷凍機の一例としての二重効用吸収冷凍機において、以下の条件で、以下の2通りの試験時間1500Hrの実機運転を行った。
吸収液組成第1実働例 第2実働例
臭化リチウム濃度60%程度 60%程度
LiOH濃度 0.06N 0.06N
Na2SO3濃度 2000ppm 2000ppm
Sb化合物濃度SbCl3500ppm Sb2O3640ppm
これらの条件下で二重効用吸収冷凍機を運転した結果を従来の技術(アルカリ(LiOH)のみ添加のものとアルカリ及び亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を共に添加するもの)に関する結果とともに、以下に整理して説明する。
水素ガス発生量局部腐食の発生
第1実働例 約20cc 無し
第2実働例 約20cc 無し
アルカリ(LiOH)のみ添加(溶存酸素全くなし)
400cc 無し
アルカリ及びNa2SO3添加 1000cc 無し
以上整理して示すように、本願の様に、アルカリ、還元剤さらに、水素過電圧の大きい金属化合物(この例の場合はアンチモン)を組み合わせることにより、局部腐食、水素ガス発生の両者の点で、ステンレス鋼に於ける腐食を有効に防止することができる。

図面の簡単な説明

0018

〔別実施例〕上記の実施例においては、アルカリ(LiOHにて代表)+アンチモン化合物(SbCl3またはSb2O3にて代表)の組み合わせ(これを第1の組み合わせと呼ぶ)と、アルカリ(LiOHにて代表)+還元剤(Na2SO3又はNaHSO3にて代表)+アンチモン化合物(SbCl3またはSb2O3にて代表)の組み合わせ(これを第2の組み合わせと呼ぶ)について説明している。夫々の組み合わせにおいて以下のような物質も同様に良好にインヒビターとしての働きを示す。
1 第1の組み合わせに係わるもの
この組み合わせにおいては、還元剤を添加しないため、アルカリとともに添加される物質は、溶解した状態で若干の還元力を備えている必要がある。従って、この組み合わせの場合は、アンチモン化合物のみが適合する。この化合物としては、上述の塩化アンチモン(SbCl3)、酸化アンチモン(Sb2O3)の他、三臭化アンチモン(SbBr3)、ヨウ化アンチモン(SbI3)等を挙げることができる。一方、アルカリとしては、一般にLiOHが使用されるが、これは塩基度調整用であるため、任意の水酸化アルカリ金属化合物を使用することができる。
2 第2の組み合わせに係わるもの

0019

図1塩化アンチモンの添加量と最大孔食深さ及び水素ガス発生量との関係を示す図
図2SCC割れ試験のオートクレーブ試験装置構成を示す図

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