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技術 エアジェットルーム用の変形筬

出願人 株式会社豊田中央研究所株式会社豊田自動織機
発明者 鈴木藤雄吉田一徳白木雅雄
出願日 1995年5月16日 (25年1ヶ月経過) 出願番号 1995-117411
公開日 1996年3月19日 (24年3ヶ月経過) 公開番号 1996-074143
状態 特許登録済
技術分野 織機
主要キーワード 組み合わせ図 偏向流 噴射空気流 最高流速 延出寸法 空気漏洩 奥壁面 円弧面形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年3月19日)のものです。
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図面 (20)

目的

変形筬緯糸通路内を緯糸が安定して高速飛走し得るようにする。

構成

変形筬10を構成する筬羽11にはコ字形状ガイド孔12が凹設されており、このガイド孔12の列が緯糸通路Tを形成する。ガイド孔12は、水平な上壁面12aと、垂直な奥壁面12bと、ガイド孔12の開口12f側に向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面12cと、上壁面12aと奥壁面12bとを繋ぐ円弧面形状の上部角部12dと、奥壁面12bと下壁面12cとを繋ぐ円弧面形状の下部角部12eとによって形成されている。下部角部12eの曲率半径Rは上部角部12dの曲率半径rよりも大きい。

概要

背景

エアジェット緯入れされる緯糸の飛走を案内する緯入れ装置としては、エアガイドを用いた装置と変形筬を用いた装置とがある。前者の緯入れ装置は、特開昭55−93844号公報、特開昭57−95344号公報、特公昭59−26688号公報に開示されている。後者の緯入れ装置は、特開平2−53935号公報、実開平3−38378号公報に開示されている。

特開昭55−93844号公報、特開昭57−95344号公報、特公昭59−26688号公報に開示されるようなエアガイドは、筬の前側に対向配置される。エアガイドは丸形矩形あるいはコの字形ガイド孔を備えている。緯入れ方向に列設されたエアガイドのガイド孔の列は緯糸通路を形成し、緯糸はこの緯糸通路内を飛走する。エアガイドのガイド孔の形状の自由度は高く、緯糸の飛走の助勢を行なう補助ノズルの形状や同ノズル空気噴射位置も自由に設定できる。そのため、理想的なガイド孔形状の設定及び理想的な補助ノズル配置の設定が行える。このようなエアガイドを用いた緯入れ装置は、変形筬を用いた緯入れ装置に比して緯糸飛走のための空気利用効率が高く、緯糸飛走が安定するという利点を有する。

しかし、緯入れを行なう際にはエアガイドは経糸をかき分けて経糸開口内に進入しなければならず、又、筬打ち時には経糸開口内から経糸の下方に抜け出さなくてはならない。経糸をかき分けてエアガイドを高速出入りさせる動作は経糸を損傷する。又、経糸開口内と経糸の下方との間でエアガイドを往復動させる構成は、エアガイドの形状からして変形筬の場合に比してスレイ揺動量が大きくなる。そのため、エアガイドを用いた緯入れ装置はエアジェットルームの高速化には不向きである。

図21は従来の変形筬を用いた緯入れ装置を示す。スレイ1上には変形筬2が立設固定されている。変形筬2は多数枚の筬羽3を緯入れ方向に列設して構成されている。各筬羽3にはガイド孔4が凹設されており、このガイド孔4の列が緯糸通路Tを形成する。緯入れ用メインノズル5から射出された緯糸Yは緯糸通路T内を飛走する。ガイド孔4は、水平な上壁面4aと、垂直な奥壁面4bと、ガイド孔4の開口部4f側に向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面4cと、上壁面4aと奥壁面4bとを繋ぐ曲面状の上部角部4dと、奥壁面4bと下壁面4cとを繋ぐ曲面状の下部角部4eとによって形成されている。

スレイ1の前面には複数本緯入れ用補助ノズル6が緯糸通路Tに沿って所定間隔をおいて装着されている。緯入れ用補助ノズル6の先端には噴射孔6aがあけられている。噴射孔6aからの噴射主流は図21に矢印Sで示すように緯糸通路Tに沿って斜め方向に向かうようにしてある。緯糸通路Tと変形筬2とは一体になっており、緯入れ用補助ノズル6の先端に形成された噴射孔6aは緯糸通路Tに極接近している。緯入れ時には緯入れ用補助ノズル6だけが経糸をかき分けて経糸開口内に進入し、筬打ち時には緯入れ用補助ノズル6だけが経糸開口内から経糸の下方に抜け出す。緯入れ用補助ノズル6は細身であり、経糸をかき分けて緯入れ用補助ノズル6を高速で出入りさせても経糸を損傷することはない。又、緯入れ用補助ノズル6の先端の経糸開口内に対する出入りの距離はエアガイドの出入りの距離に比して少なくて済む。そのため、経糸開口内と経糸の下方との間で緯入れ用補助ノズル6を往復動させる構成は、エアガイドの場合に比してスレイ1の揺動量が小さくて済む。従って、変形筬を用いた緯入れ装置はエアジェットルームの高速化に有利である。

概要

変形筬の緯糸通路内を緯糸が安定して高速飛走し得るようにする。

変形筬10を構成する筬羽11にはコ字形状のガイド孔12が凹設されており、このガイド孔12の列が緯糸通路Tを形成する。ガイド孔12は、水平な上壁面12aと、垂直な奥壁面12bと、ガイド孔12の開口12f側に向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面12cと、上壁面12aと奥壁面12bとを繋ぐ円弧面形状の上部角部12dと、奥壁面12bと下壁面12cとを繋ぐ円弧面形状の下部角部12eとによって形成されている。下部角部12eの曲率半径Rは上部角部12dの曲率半径rよりも大きい。

目的

即ち、従来の緯入れ装置では緯糸の飛走速度の高速化と緯糸通路からの緯糸の飛び出しによる飛走トラブルの低減とを共に両立させ得なかった。本発明は、上壁面、下壁面及び奥壁面からなるガイド孔を有する筬羽を緯入れ方向に多数列設して形成した緯糸通路内を緯糸が安定して高速飛走し得るエアジェットルーム用の変形筬を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

上壁面下壁面及び奥壁面からなるガイド孔を有する筬羽緯入れ方向に多数列設して緯糸通路を形成するエアジェットルーム用の筬において、前記ガイド孔の上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部の曲率半径を前記ガイド孔の下壁面と奥壁面とを繋ぐ下部角部の曲率半径よりも小さくしたエアジェットルーム用の変形筬

請求項2

前記ガイド孔の上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部の曲率半径を1mm以下とした請求項1に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項3

前記ガイド孔の少なくとも一部のガイド孔において下壁面における前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とした請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項4

隣接する筬羽間へ洩れるエアの流量が前記上部角部で増大するような漏洩手段を設けた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項5

前記エア漏洩手段は、前記上部角部の近傍にて筬羽に貫設されたエア漏洩用透孔である請求項4に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項6

前記エア漏洩手段は、前記上部角部の近傍にて筬羽の側面に形成されたエア漏洩用溝である請求項4に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項7

前記上部角部の壁面において緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸通路側へ入り込む傾斜面の傾斜角を小さくして前記エア漏洩手段を構成した請求項4に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

請求項8

緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸通路と平行な面又は緯糸通路から離間する傾斜面を前記上部角部の壁面に設けて前記エア漏洩手段を構成した請求項4に記載のエアジェットルーム用の変形筬。

技術分野

0001

本発明は、エアジェットルームに使用される変形筬に関するものであり、詳しくは緯入れ定性の改善、緯入れの高速化、空気消費量の削減を図った変形筬に関するものである。

背景技術

0002

エアジェットで緯入れされる緯糸の飛走を案内する緯入れ装置としては、エアガイドを用いた装置と変形筬を用いた装置とがある。前者の緯入れ装置は、特開昭55−93844号公報、特開昭57−95344号公報、特公昭59−26688号公報に開示されている。後者の緯入れ装置は、特開平2−53935号公報、実開平3−38378号公報に開示されている。

0003

特開昭55−93844号公報、特開昭57−95344号公報、特公昭59−26688号公報に開示されるようなエアガイドは、筬の前側に対向配置される。エアガイドは丸形矩形あるいはコの字形ガイド孔を備えている。緯入れ方向に列設されたエアガイドのガイド孔の列は緯糸通路を形成し、緯糸はこの緯糸通路内を飛走する。エアガイドのガイド孔の形状の自由度は高く、緯糸の飛走の助勢を行なう補助ノズルの形状や同ノズル空気噴射位置も自由に設定できる。そのため、理想的なガイド孔形状の設定及び理想的な補助ノズル配置の設定が行える。このようなエアガイドを用いた緯入れ装置は、変形筬を用いた緯入れ装置に比して緯糸飛走のための空気利用効率が高く、緯糸飛走が安定するという利点を有する。

0004

しかし、緯入れを行なう際にはエアガイドは経糸をかき分けて経糸開口内に進入しなければならず、又、筬打ち時には経糸開口内から経糸の下方に抜け出さなくてはならない。経糸をかき分けてエアガイドを高速で出入りさせる動作は経糸を損傷する。又、経糸開口内と経糸の下方との間でエアガイドを往復動させる構成は、エアガイドの形状からして変形筬の場合に比してスレイ揺動量が大きくなる。そのため、エアガイドを用いた緯入れ装置はエアジェットルームの高速化には不向きである。

0005

図21は従来の変形筬を用いた緯入れ装置を示す。スレイ1上には変形筬2が立設固定されている。変形筬2は多数枚の筬羽3を緯入れ方向に列設して構成されている。各筬羽3にはガイド孔4が凹設されており、このガイド孔4の列が緯糸通路Tを形成する。緯入れ用メインノズル5から射出された緯糸Yは緯糸通路T内を飛走する。ガイド孔4は、水平な上壁面4aと、垂直な奥壁面4bと、ガイド孔4の開口部4f側に向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面4cと、上壁面4aと奥壁面4bとを繋ぐ曲面状の上部角部4dと、奥壁面4bと下壁面4cとを繋ぐ曲面状の下部角部4eとによって形成されている。

0006

スレイ1の前面には複数本緯入れ用補助ノズル6が緯糸通路Tに沿って所定間隔をおいて装着されている。緯入れ用補助ノズル6の先端には噴射孔6aがあけられている。噴射孔6aからの噴射主流は図21に矢印Sで示すように緯糸通路Tに沿って斜め方向に向かうようにしてある。緯糸通路Tと変形筬2とは一体になっており、緯入れ用補助ノズル6の先端に形成された噴射孔6aは緯糸通路Tに極接近している。緯入れ時には緯入れ用補助ノズル6だけが経糸をかき分けて経糸開口内に進入し、筬打ち時には緯入れ用補助ノズル6だけが経糸開口内から経糸の下方に抜け出す。緯入れ用補助ノズル6は細身であり、経糸をかき分けて緯入れ用補助ノズル6を高速で出入りさせても経糸を損傷することはない。又、緯入れ用補助ノズル6の先端の経糸開口内に対する出入りの距離はエアガイドの出入りの距離に比して少なくて済む。そのため、経糸開口内と経糸の下方との間で緯入れ用補助ノズル6を往復動させる構成は、エアガイドの場合に比してスレイ1の揺動量が小さくて済む。従って、変形筬を用いた緯入れ装置はエアジェットルームの高速化に有利である。

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、従来の変形筬2を用いた緯入れ装置には以下に示すような幾つかの問題点がある。

0008

曲面状の上部角部4d及び下部角部4eの曲率半径は、緯糸通路内の空気流乱れを少なくすること、プレスによる型抜製作容易性等を考慮していずれの角部も2mm程度にしてある。このような変形筬2を用いた緯入れ装置では、緯糸通路T内を飛走する緯糸Yの飛走位置は、緯入れ用補助ノズル6から噴射する空気流の主流Sがガイド孔4の壁面に衝突する位置によって変わってしまう。

0009

図22では空気主流S1 が上壁面4aに衝突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置Y1 との関係について緯入れ上流側から見た様子を示す。空気主流S1 が上壁面4aに衝突した場合には、衝突後に空気主流S1 は奥壁面4b側へと進み、上部角部4dに沿って下方へ偏向し、次いで奥壁面4b側から開口部4f側に推移する。最高流速位置のこのような変化のために緯糸Yは上部角部4dでの下向き偏向流の影響を受けてY1 で示すように下部角部4e付近を飛走する。

0010

図23では空気主流S2 が奥壁面4bに衝突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置Y2 との関係を示す。空気主流S2 が奥壁面4bに衝突した場合には、衝突後に空気主流S2 は上部角部4dに沿って進み、開口部4f側に偏向する。最高流速位置のこのような変化のために緯糸Yは上部角部4dでの上向き偏向流の影響を受けてY2 で示すように上壁面4a付近を飛走する。

0011

図24では空気主流S3 が上部角部4dに衝突した場合の最高流速位置の推移と緯糸Yの飛走位置Y3 との関係を示す。空気主流S3 が上部角部4dに衝突した場合には、衝突後に空気主流S3 は下方へ進みながらわずかに開口部4f側に推移する。最高流速位置のこのような変化のために緯糸YはY3 で示すように上部角部4d付近を飛走する。

0012

緯糸の飛走速度及び緯糸の飛走安定性は緯糸の飛走位置と深い関係にある。言い換えれば緯糸の飛走速度及び緯糸の飛走安定性は緯糸通路内の空気流速分布と深い関係にある。

0013

図25は緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xを60mmとした場合の緯糸通路T内の空気流速分布を示し、図26は緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xを80mmとした場合の緯糸通路T内の空気流速分布を示す。1点鎖線等速度分布線を表し、分布線は10m/s単位で表してある。Vm で示す位置は最高流速位置である。

0014

図22で示したように飛走位置Y1付近では開口部4f側への偏向流成分が弱いため、飛走位置Y1 付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出すことはなく、緯糸Yの飛走は安定する。しかし、緯糸Yの飛走位置Y1 付近の空気流速は最高流速よりも低いため、飛走位置Y1 を飛走する緯糸Yの飛走速度は低くなる。

0015

緯糸Yの飛走位置Y2付近の空気流速は最高流速に近く、飛走位置Y2 を飛走する緯糸Yの飛走速度は高くなる。しかし、図23で示したように飛走位置Y2付近では開口部4f側への偏向流成分が強いため、飛走位置Y2 付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出し易く、緯糸Yの飛走が不安定になる。

0016

緯糸Yの飛走位置Y3付近の空気流速は最高流速に近く、飛走位置Y2 を飛走する緯糸Yの飛走速度は高くなる。又、図24で示したように飛走位置Y3 付近では開口部4f側への偏向流成分が弱いため、飛走位置Y3 付近を飛走する緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出すことはなく、緯糸Yの飛走は安定する。

0017

従って、高速かつ安定した飛走を実現するためには、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sを上部角部4dに向け、緯糸Yが上部角部4d付近を飛走するようにすることが重要である。しかし、緯糸通路Tに対する緯入れ用補助ノズルの相対的な取り付け位置、緯入れ用補助ノズルの取り付け角度、噴射孔の噴射指向方向噴射圧力等によってガイド孔の壁面に対する空気主流の衝突位置が変わる。前述したように緯糸Yの飛走位置は、緯入れ用補助ノズル6から噴射する空気主流Sのガイド孔4の壁面に対する衝突位置によって変わってしまう。そのため、従来の変形筬を用いた緯入れ装置では緯糸Yを緯糸通路T内の同じ位置、しかも高速飛走可能な位置で安定して飛走させることは難しい。

0018

特開平2−53935号公報、実開平3−38378号公報では変形筬に形成した緯糸通路内における緯糸飛走速度の高速化、緯糸通路からの緯糸飛び出し防止を図った装置が開示されている。これら従来装置では筬羽のガイド孔の上壁面と奥壁面とのなす角を直角又は鋭角に設定し、緯糸通路の上部の懐を深くしている。緯糸通路の上部の懐を深くした通路形状は、緯入れ用補助ノズルから噴射される空気流を通路開口部側へ向かい難くする。しかし、このような通路形状であっても上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部で緯糸を安定して飛走させることができない場合があった。

0019

即ち、従来の緯入れ装置では緯糸の飛走速度の高速化と緯糸通路からの緯糸の飛び出しによる飛走トラブルの低減とを共に両立させ得なかった。本発明は、上壁面、下壁面及び奥壁面からなるガイド孔を有する筬羽を緯入れ方向に多数列設して形成した緯糸通路内を緯糸が安定して高速飛走し得るエアジェットルーム用の変形筬を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0020

そのために請求項1の発明では、ガイド孔の上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部の曲率半径を前記ガイド孔の下壁面と奥壁面とを繋ぐ下部角部の曲率半径よりも小さくした。

0021

請求項2の発明では、請求項1におけるガイド孔の上壁面と奥壁面とを繋ぐ上部角部の曲率半径を1mm以下とした。請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に加えて少なくとも一部のガイド孔の下壁面における前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とした。

0022

請求項4の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかの発明に加えて隣接する筬羽間へ洩れるエアの流量が前記上部角部で増大するようなエア漏洩手段を設けた。

0023

緯入れ用補助ノズルからの空気主流は、緯糸通路の開口部側の下方から上部角部に向けられる。しかし、実際の噴射方向は、緯入れ用補助ノズルの製造上及び取り付け上のばらつきもあって上壁面あるいは奥壁面に衝突する場合も少なくなく、時によっては下壁面に衝突することもあり得る。

0024

上壁面に衝突した空気主流は上壁面に沿って奥壁面側へ向かう。下部角部の曲率半径よりも小さい曲率半径とした上部角部では衝突後の空気主流の偏向を規制し、開口部側に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、上壁面に衝突した空気主流はその後上部角部を推移し、緯糸は上部角部付近を安定的に飛走する。

0025

奥壁面に衝突した空気主流は奥壁面に沿って上壁面側へ向かう。下部角部の曲率半径よりも小さい曲率半径とした上部角部は衝突後の空気主流の偏向を規制し、開口部側に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、奥壁面に衝突した後の空気主流は上部角部を推移し、緯糸は上部角部付近を安定的に飛走する。

0026

下壁面に衝突した空気主流は下壁面に沿って奥壁面側へ向かう。上部角部の曲率半径よりも大きい曲率半径の下部角部では衝突後の空気主流をその曲面に沿って積極的に奥壁面側に偏向させ、その後上部角部に向かわせる。従って、下壁面に衝突した後の空気主流は最終的には上部角部を推移し、緯糸は上部角部付近を安定的に飛走する。

0027

空気主流が上部角部に衝突した場合、下部角部の曲率半径よりも小さい曲率半径とした上部角部は衝突後の空気主流の偏向を規制し、上部角部に衝突した空気主流は上部角部を推移する。従って、緯糸は上部角部付近を安定的に飛走する。

0028

上部角部の曲率半径を1mm以下とする構成は空気主流の偏向を上部角部で規制する効果を大きく、緯糸の飛走の安定性の上で最も好ましい。ガイド孔の下壁面における前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における前記奥壁面からの延出寸法よりも小さくすれば、緯入れ用補助ノズルの噴射孔を上部角部に近づけることができる。このようにすれば上部角部における空気流速が上昇し、緯糸の飛走速度が高まる。この場合、下壁面における奥壁面からの延出寸法を上壁面における前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とする構成は、緯糸の緯入れ安定性及び高速飛走の達成の上で望ましい。空気流速の上昇は、要求される緯糸の飛走速度の達成のための空気消費量の低減をもたらす。

0029

隣接する筬羽間へ洩れるエアの流量が上部角部で増大するようにすれば緯糸は上部角部を一層安定して飛走する。上部角部から洩れるエアの流量を増大させるためのエア漏洩手段としては、前記上部角部の近傍にて筬羽に貫設されたエア漏洩用透孔、前記上部角部の近傍にて筬羽の側面に形成されたエア漏洩用溝がある。又、前記エア漏洩手段としては、前記上部角部の壁面において緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸通路側へ入り込む傾斜面の傾斜角を小さくした構成がある。さらに、前記エア漏洩手段としては、緯入れ方向へ向かうにつれて緯糸通路と平行な面又は緯糸通路から離間する傾斜面を前記上部角部の壁面に設ける構成がある。

0030

以下、本発明を具体化した第1実施例を図1図11に基づいて説明する。装置の取り付け構成図21と同じであり、この実施例では隣接する緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xが80mmにしてある。

0031

図1及び図2に示すように変形筬10を構成する多数枚の筬羽11にはコ字形状のガイド孔12が凹設されており、このガイド孔12の列が緯糸通路Tを形成する。ガイド孔12は、水平な上壁面12aと、垂直な奥壁面12bと、ガイド孔12の開口部12f側に向かうにつれて徐々に下り傾斜となる下壁面12cと、上壁面12aと奥壁面12bとを繋ぐ円弧面形状の上部角部12dと、奥壁面12bと下壁面12cとを繋ぐ円弧面形状の下部角部12eとによって形成されている。上壁面12aにおける奥壁面12bからの延出寸法Waは9mm、奥壁面12bの上下の寸法Wbは5.5mm、下壁面12cにおける奥壁面12bからの延出寸法Wcは7mmにしてある。従って、下壁面12cにおける延出寸法Wcは上壁面12aにおける延出寸法Waの78%程度である。

0032

緯入れ用補助ノズル6を単に緯糸通路Tに近接すれば、経糸(図示略)の開口内へ出入りする緯入れ用補助ノズルと筬羽11との間の経糸の屈曲が大きくなり、経糸が損傷する。経糸の損傷は織物品質を低下させる。上壁面12aから緯入れ用補助ノズル6の噴射孔6aまでの上下方向の距離L1 、及び下壁面12cの開口部12f側の先端から噴射孔6aまでの前後方向の距離L2 は、緯入れ用補助ノズル6が織物品質に悪影響を及ぼさないように設定されている。

0033

円弧面形状の上部角部12dの曲率半径rは0.5mmにしてあり、円弧面形状の下部角部12eの曲率半径Rは2mmにしてある。図3図5に示すように上壁面12a、奥壁面12b、下壁面12c、上部角部12d及び下部角部12eは矢印Pで示す緯入れ方向に向かうにつれて緯糸通路T側へ入り込む傾斜面にしてある。上壁面12aの傾斜面の傾斜角θa、奥壁面12bの傾斜面の傾斜角θb、下壁面12cの傾斜面の傾斜角θc及び下部角部12eの傾斜面の傾斜角θeはいずれも10°にしてある。上部角部12dの傾斜面の傾斜角θdは2°にしてある。

0034

緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sは、緯糸通路Tの開口部12f側の下方から上部角部12dに向けられる。しかし、実際の噴射方向は、緯入れ用補助ノズル6の製造上及び取り付け上のばらつきもあって上壁面12aあるいは奥壁面12bに衝突する場合も少なくなく、時によっては下壁面12cに衝突することもあり得る。

0035

図6に示すように上壁面12aに衝突した空気主流Saは上壁面12aに沿って奥壁面12b側へ向かう。上部角部の曲率半径を2mm程度とした従来の変形筬の場合には、衝突後の空気主流が上部角部から奥壁面に沿って下壁面に偏向していた。しかし、曲率半径rを0.5mmとした本実施例の上部角部12dは衝突後の空気主流Saの偏向を規制し、開口部12f側に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、上壁面12aに衝突した空気主流Saは上部角部12dを推移し、緯糸Yは上部角部12d付近を安定的に飛走する。

0036

図7に示すように奥壁面12bに衝突した空気主流Sbは奥壁面12bに沿って上壁面12a側へ向かう。上部角部の曲率半径を2mm程度とした従来の変形筬の場合には、衝突後の空気主流が上部角部から上壁面に沿って開口部側に偏向していた。しかし、曲率半径rを0.5mmとした本実施例の上部角部12dは衝突後の空気主流Sbの偏向を規制し、開口部12f側に向かう偏向流が非常に弱くなる。従って、奥壁面12bに衝突した空気主流Sbは上部角部12dを推移し、緯糸Yは上部角部12d付近を安定的に飛走する。

0037

下壁面12cに衝突した空気主流は下壁面12cに沿って奥壁面12b側へ向かう。上部角部12dの曲率半径rよりも大きい曲率半径Rの下部角部12eは衝突後の空気主流を積極的に奥壁面12bに沿って上部角部12dに向かわせる。従って、下壁面12cに衝突した後の空気主流は最終的には上部角部12dを推移し、緯糸Yは上部角部12d付近を安定的に飛走する。

0038

図8に示すように空気主流Sdが上部角部12dに衝突した場合、曲率半径rを0.5mmとした本実施例の上部角部12dは衝突後の空気主流Sdの偏向を規制し、上部角部12dに衝突した空気主流Sdは上部角部12dを推移する。従って、緯糸Yは上部角部12d付近を安定的に飛走する。

0039

緯入れ方向P側へ流れる空気流の一部は隣接する筬羽11間から漏洩する。この漏洩割合が多ければ緯入れ方向P側へ流れる空気流の流速が低下し、緯糸Yの飛走速度が低下する。ガイド孔12の壁面に形成された傾斜面は筬羽11間からの空気漏洩を抑制するものであり、この傾斜面は緯糸Yの高速飛走の向上に寄与する。上部角部12dにおける傾斜面の傾斜角θdは他の傾斜面の傾斜角θa,θb,θc,θeに比べてかなり小さくしてある。傾斜面の傾斜角を小さくすれば空気漏洩の割合が多くなり、緯糸Yが空気漏洩部位側、即ち上部角部12d側へ引き付けられる。この引き付け作用は、緯糸Yが上部角部12d付近を一層安定的に飛走することに寄与する。

0040

図9は緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xを80mmとした場合の変形筬10の緯糸通路T内の空気流速分布を示す。図10は緯入れ用補助ノズル6の隣接間隔Xを60mmとした場合の変形筬10の緯糸通路T内の空気流速分布を示す。1点鎖線は等速度分布線を表し、分布線は10m/s単位で表してある。Vm で示す位置は最高流速位置である。変形筬10の緯糸通路T内の流速は図25及び図26に示す従来の変形筬2の緯糸通路内の流速に比して全体的に高速化している。これはガイド孔12の壁面上の傾斜面の存在による。

0041

図9及び図10に示すように緯糸Yの飛走速度及び緯糸Yの飛走安定性は緯糸Yの飛走位置と深い関係にある。言い換えれば緯糸の飛走速度及び緯糸の飛走安定性は緯糸通路内の空気流速分布と深い関係にあり、緯糸Yが上部角部12d付近を飛走することが最も望ましい。本実施例の変形筬10は、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sがガイド孔12のいずれの壁面に衝突しても緯糸Yの飛走を上部角部12dに規制する。その結果、緯糸Yは最高流速位置Vmである上部角部12d近傍を従来よりも安定的かつ高速で飛走する。

0042

図11グラフ曲線Eは上部角部12dの曲率半径rと緯糸の飛走トラブルの頻度との関係を示す実験データである。この実験は、緯糸を標準的な綿40番、織機回転数を800rpm、空気流量を一定とした条件で行なったものである。上部角部の曲率半径を2mm程度とした従来の変形筬2を用いた場合の飛走トラブル頻度を1/5程度に少なくするには、上部角部12dの曲率半径rを1mm以下とすればよい。

0043

従来の変形筬における上部角部の曲率半径は2mm以上の領域であったため、この領域での上部角部の曲率半径の変化が飛走トラブルにあまり影響を与えていない。又、緯糸通路内の空気流の乱れを少なくするために上部角部の曲率半径を大きくするというのが従来の考え方であった。本願発明者は、このような従来の考え方とは全く逆の発想に基づき、緯糸通路内の空気流の偏向を抑えて上部角部に収束させることによって緯糸の飛走の安定化を図るという本発明の技術思想に想到したのである。

0044

なお、この実施例では傾斜角θa,θb,θc,θeは一定としたが、傾斜角θdよりも大きければ必ずしも傾斜角θa,θb,θc,θeを一定とする必要はない。

0045

次に、第2実施例を図12図15に基づいて説明する。この実施例では上壁面12a、奥壁面12b、下壁面12c及び下部角部12eの傾斜面は矢印Pで示す緯入れ方向に向かうにつれて緯糸通路T側へ入り込む傾斜面にしてある。しかし、上部角部12dは図15(a)に示すように緯入れ方向Pに平行、又は図15(b)に示すように緯入れ方向Pに向かうにつれて緯糸通路T側から離間する傾斜面にしてある。上壁面12aの傾斜面の傾斜角θa、奥壁面12bの傾斜面の傾斜角θb、下壁面12cの傾斜面の傾斜角θc及び下部角部12eの傾斜面の傾斜角θeはいずれも15°以上にしてある。傾斜角θa,θb,θc,θeを15°以上とすれば緯糸通路T内の流速が一層高速になる。しかし、このようにした場合には緯糸Yの飛走速度が高まるが、逆に緯糸を上部角部12d付近で安定飛走させることが難しくなる。そのため、上部角部12dの壁面は図15(a)に示すように0°、あるいは図15(b)に示すようにθd <0のように逆方向に傾斜させ、上部角部12d付近から筬羽11間の間隙へ空気を積極的に漏洩させれば緯糸の飛走安定性を確保しつつ飛走速度を一層高めることができる。

0046

前記第1実施例及び第2実施例では、上壁面、下壁面及び奥壁面のすべてに傾斜面を設けたが、これら壁面の少なくとも1つ、あるいはこれら壁面の少なくとも一部に傾斜面を設けることもできる。

0047

さらに、上平面、下壁面、奥壁面のいずれにも傾斜面を設けない場合においても、上部角部の傾斜各を小さく設定するか、緯入れ方向に向かうにつれて緯糸通路と平行な面とするか、あるいは緯糸通路から離間する傾斜面とすることによって上部角部からの空気の漏洩を円滑に行ない、緯糸通路内の空気流を上部角部に収束させ、緯糸の飛走の安定化を図ることができる。

0048

次に、第3実施例を図16に基づいて説明する。この実施例では上部角部12dの曲率半径rを0.1mm、下部角部12eの曲率半径Rを2.5mmとし、上部角部12dの近傍の後方上部にエア漏洩用透孔11aを設けている。エア漏洩用透孔11aが上部角部12dの近傍にあるため、空気が隣接する筬羽11間を通り易くなる。そのため、上部角部12d付近の空気がエア漏洩用透孔11a側に引き寄せられ易くなり、緯糸の飛走位置が上部角部12d付近に安定的に保持されるという効果が得られる。ガイド孔12の各壁面12a,12b,12c,12d,12eをいずれも緯糸通路T側に入り込む傾斜面とし、これらの傾斜面の傾斜角を10°程度にすれば緯糸の飛走速度も第1実施例と同程度の速度になる。

0049

次に、第4実施例を図17及び図18に基づいて説明する。この実施例では上部角部12dの曲率半径rを1mm、下部角部12eの曲率半径Rを1.5mmとし、筬羽11の両面に上部角部12dから後方へ向かうエア漏洩用溝11b,11cを設けている。エア漏洩用溝11b,11c付近では隣接する筬羽11間の間隙が他部位よりも広くなっており、上部角部12d付近の空気が対向するエア漏洩用溝11b,11c間を通り易くなる。そのため、上部角部12d付近の空気がエア漏洩用溝11b,11c側に引き寄せられ易くなり、緯糸の飛走位置が上部角部12d付近に安定的に保持されるという効果が得られる。ガイド孔12の各壁面12a,12b,12c,12d,12eをいずれも緯糸通路T側に入り込む傾斜面とし、これらの傾斜面の傾斜角を10°程度にすれば緯糸の飛走速度も第1実施例と同程度の速度になる。

0050

次に、第5実施例を図19及び図20に基づいて説明する。この実施例では上部角部12d及び下部角部12eの曲率半径を第4実施例と同様し、筬羽11の両面に上部角部12dから上方へ向かうエア漏洩用溝11d,11eを設けている。この実施例でも上部角部12d付近の空気がエア漏洩用溝11d,11e側に引き寄せられ易くなり、緯糸の飛走位置が上部角部12d付近に安定的に保持されるという効果が得られる。筬打ち時の衝撃は奥壁面12bにかかるが、筬羽11の強度は繰り返される筬打ち衝撃に耐えられるものでなければならない。筬羽11にエア漏洩用溝を形成すればこの形成部位の強度が低下する。しかし、エア漏洩用溝11d,11eの形成位置は奥壁面12bよりも前側にあり、筬打ち衝撃を受け止める強度をそれほど要求されない部位である。従って、エア漏洩用溝11d,11eの深さを第4実施例の場合よりも大きくでき、緯糸の飛走位置を上部角部12d付近に安定的に保持する効果は第4実施例の場合よりも一層高まる。又、ガイド孔12の各壁面12a,12b,12c,12d,12eをいずれも緯糸通路T側に入り込む傾斜面とし、これらの傾斜面の傾斜角を10°程度にすれば緯糸の飛走速度も第1実施例と同程度の速度になる。

0051

前記した第1実施例〜第5実施例を適宜組み合わせた実施例も可能であり、相応の効果が得られる。又、前記各実施例では上壁面12aと奥壁面12bとのなす角を直角としたが、本発明では、上壁面と奥壁面とのなす角度を僅かに鋭角、あるいは僅かに鈍角にしてもよい。さらには上部角部となる曲面部を上壁面側、奥壁面側あるいは両壁面側に僅かに入り込ませた実施例も可能である。

0052

次に、第6実施例を図27図29に基づいて説明する。この実施例では図27に示すようにガイド孔12の上壁面12aにおける奥壁面12bからの延出寸法Waが9mm、奥壁面Wbにおける上下の寸法Wbが5.5mm、下壁面12cにおける奥壁面12bからの延出寸法Wcが4mmにしてある。距離L1 ,L2 及びその他の構成は第1実施例と同じにしてあるが、奥壁面12bから噴射孔6aまでの距離が第1実施例の場合よりも3mm短くなっている。そして、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sは第1実施例と同様に上部角部12dに向けられている。

0053

図28の曲線D1 は図27の変形筬を用いた場合の緯糸通路T内の上部角部12dにおける空気流速を示す。横軸は緯入れ用補助ノズル6から緯入れ方向への距離を表す。曲線D2 は図2の変形筬を用いた場合の緯糸通路T内の上部角部12dにおける空気流速を示す。第1実施例と同様に上部角部12dの曲率半径rが下部角部12eの曲率半径Rよりも小さいため、緯糸Yは上部角部12d付近を安定して飛走する。図2の変形筬の使用の場合に比して緯入れ用補助ノズル6の噴射孔6aを緯糸Yの飛走位置である上部角部12dに近づける図27の変形筬の使用の場合には、上部角部12dにおける空気流速が第1実施例の場合よりも全般的に高くなる。その結果、緯糸Yは第1実施例の場合よりも更に高速で飛走する。

0054

図29の曲線Fは下壁面12cにおける延出寸法Wcと緯糸Yの飛走速度との関係を実験で求めたデータである。曲線Gは下壁面12cにおける延出寸法Wcと緯糸Yの飛走トラブル発生頻度との関係を実験で求めたデータである。緯糸Yの飛走トラブルは許容時間内に所定の緯入れ末端側に到達しない状態として把握される。これらの実験では下壁面12cの先端から噴射孔6aまでの距離L2 は一定にしてあり、かつ緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sが常に上部角部12dを向くようにしてある。又、緯入れ用補助ノズル6からの噴射空気流量も一定にしてある。

0055

両曲線F,Gから明らかなように、下壁面12cの延出寸法Wcを短くしてゆくと、緯糸Yの飛走トラブル発生頻度の増加を抑制したまま緯糸Yの飛走速度を上げてゆくことができる。下壁面Wcにおける延出寸法Wcを4mmとした本実施例では、下壁面Wcにおける延出寸法Wcを7mmとした第1実施例の場合よりも緯糸飛走速度が20%ほど上昇している。しかし、延出寸法Wcをあまり短くすると、上壁面12a、奥壁面12b及び下壁面12cによって形成される緯糸通路Tの持つ空気流拡散抑制機能が弱まり、緯糸通路T内における均整のとれた空気流速分布が得られなくなる。このような状態になると、緯糸飛走速度が低下し始め、しかも緯糸Yが緯糸通路Tから飛び出すといったことによる緯糸飛走トラブルの発生頻度も増加する。このような問題は、下壁面12cにおける延出寸法Wcが上壁面12aにおける延出寸法Waの25%を下回ると生じてくる。

0056

実開平3−38378号公報にも開示されているように、下壁面における奥壁面からの延出寸法が上壁面における奥壁面からの延出寸法よりも短くする構成は従来よりある。しかし、本実施例で説明するような上壁面と下壁面との寸法関係についての具体的な言及は成されていない。本実施例における実験データは上壁面と下壁面との具体的な寸法関係と緯糸飛走速度及び飛走トラブル発生頻度との関係を追求した結果から得られたものである。図29の実験データから判断して、下壁面12cにおける延出寸法Wcが上壁面12aにおける延出寸法Waの25%〜55%の範囲にある構成が望ましい。

0057

なお、第6実施例における上壁面と下壁面との望ましい寸法関係の構成は、第2実施例〜第5実施例においても適用できる。第6実施例では下壁面12cの先端から噴射孔6aまでの距離L2 を第1実施例と同じにしたが、上壁面12aにおける延出寸法Waと下壁面12cにおける延出寸法Wcとの寸法関係を25%〜55%の範囲に規定した上で距離L2 を大きくしてもよい。このようにすれば筬羽11と緯入れ用補助ノズル6との間に生じる経糸の屈曲が小さくなり、経糸の損傷が生じやすいフィラメント織物等では防止効果がある。

0058

前述したように、上部角部の曲率半径を2mm程度した従来の変形筬を用いた場合の緯糸の飛走トラブル頻度を1/5程度に減少させるには、上部角部12dの曲率半径を1mm以下とすれば達成できるが、図11のグラフから明らかなように上部角部の曲率半径を下部角部の曲率半径よりも小さくするだけでも緯糸の飛走トラブル頻度を減らせる効果がある。

0059

次に、第7実施例を図30及び図31に基づいて説明する。図30に示すようにこの実施例では下壁面の延出寸法Wcが異なる2種類の筬羽11,11Aを用いて変形筬10Aを構成している。緯入れ用補助ノズル6の取り付け部付近には延出寸法Wc1 が4mmの短い筬羽11Aを用い、前記取り付け部を除く部分には延出寸法Wc2 が7mmの筬羽11を用いている。

0060

図31に示すように、ガイド孔12の上壁面12aにおける奥壁面12bからの延出寸法Waは9mm、奥壁面Wbにおける上下の寸法Wbは5.5mmとなっている。緯入れ用補助ノズル6の管軸から緯糸通路Tの上流側へ3mmの位置と、下流側へ15mmの位置との間では延出寸法Wc1 が4mmの筬羽11Aが用いられ、それ以外の部分では延出寸法Wc2 が7mmの筬羽11が用いられている。筬羽11Aから緯入れ用補助ノズル6の噴射孔6aまでの距離L1 ,L2 及びその他の構成は第6実施例と同じにしてある。即ち、上部角部12dの曲率半径rが0.5mm、下部角部12eの曲率半径Rが2mm、奥壁面12bから噴射孔6aまでの距離が第1実施例の場合よりも3mm短くなっている。そして、緯入れ用補助ノズル6からの空気主流Sは第6実施例と同様に上部角部12dに向けられている。

0061

本実施例の変形筬10Aでは第6実施例と同様に上部角部12dの曲率半径rが下部角部12eの曲率半径Rよりも小さいため、緯糸Yは上部角部12d付近を安定して飛走する。第6実施例の変形筬10の使用の場合に比して、緯入れ用補助ノズル6付近を除く部分の筬羽11の下壁延出寸法Wc2 が3mm長い図30の変形筬10Aの使用の場合には、緯糸通路Tの開口側の下方に洩れる空気流が減少し、上部角部12dにおける空気流速が全般的に高くなる。その結果、緯糸Yは第6実施例の場合よりもさらに高速で飛走する。

発明の効果

0062

以上詳述したように本発明は、上壁面と下壁面とを繋ぐ上部角部を曲面とすると共に、前記ガイド孔の下壁面と奥壁面とを繋ぐ下部角部の曲率半径よりも前記上部角部の曲率半径を小さくしたので、緯入れ用補助ノズルからの空気主流がガイド孔のいずれの壁面に衝突してもその後の空気主流の偏向が上部角部で規制され、緯糸が上部角部付近を安定して飛走し、高速飛走にも関わらず飛走トラブルの発生割合を極めて少なくし得る。

0063

前記上部角部の曲率半径を1mm以下とした発明は緯糸の飛走安定の確実性を高める。前記ガイド孔の下壁面における前記奥壁面からの延出寸法を前記上壁面における前記奥壁面からの延出寸法の25%〜55%とした発明では、緯入れ用補助ノズルの噴射孔を緯糸の飛走する上部角部に近づけて緯糸通路内の空気流速を高く保つことができ、緯糸飛走速度の高速化ひいては空気消費量を削減し得るという効果が得られる。

図面の簡単な説明

0064

図1本発明を具体化した第1実施例の要部拡大斜視図である。
図2変形筬の要部拡大側面図である。
図3図2のA−A線拡大断面図である。
図4図2のB−B線拡大断面図である。
図5図2のC−C線拡大断面図である。
図6緯入れ用補助ノズルからの空気主流が上壁面に衝突した場合のその後の推移を示す要部拡大側面図である。
図7緯入れ用補助ノズルからの空気主流が奥壁面に衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面図である。
図8緯入れ用補助ノズルからの空気主流が上部角部に衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面図である。
図9本発明の変形筬の緯糸通路内における空気流速分布を説明する要部拡大側面図である。
図10本発明の変形筬の緯糸通路内における空気流速分布を説明する要部拡大側面図である。
図11上部角部の曲率半径と緯糸の飛走トラブル発生頻度との関係を説明するグラフである。
図12第2実施例を示す要部拡大側面図である。
図13図12のD−D線拡大断面図である。
図14図12のE−E線拡大断面図である。
図15図12のF−F線拡大断面図である。
図16第3実施例を示す要部拡大側面図である。
図17第4実施例を示す要部拡大側面図である。
図18図17のG−G線拡大断面図である。
図19第5実施例を示す要部拡大側面図である。
図20図19のH−H線拡大断面図である。
図21従来の緯入れ装置の斜視図及び部分拡大斜視図の組み合わせ図である。
図22緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の変形筬の上壁面に衝突した場合のその後の推移を示す要部拡大側面図である。
図23緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の変形筬の奥壁面に衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面図である。
図24緯入れ用補助ノズルからの空気主流が従来の変形筬の上部角部に衝突した場合のその後の推移を説明する要部拡大側面図である。
図25従来の変形筬の緯糸通路内における空気流速分布を説明する要部拡大側面図である。
図26従来の変形筬の緯糸通路内における空気流速分布を説明する要部拡大側面図である。
図27第6実施例を示す要部拡大側面図である。
図28第6実施例の変形筬の緯糸通路内における上部角部付近の緯入れ方向の空気流速分布図である。
図29下壁面の寸法と緯糸飛走速度及び緯糸飛走トラブル発生頻度との関係を説明するグラフである。
図30第7実施例における緯入れ装置の斜視図及び部分拡大斜視図の組み合わせ図である。
図31第7実施例の変形筬の要部拡大側面図である。

--

0065

10,10A…変形筬、11,11A…筬羽、12…ガイド孔、12a…上壁面、12b…奥壁面、12c…下壁面、12d…上部角部、12e…下部角部、11a…エア漏洩用透孔、11b,11c,11d,11e…エア漏洩用溝。

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