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※この項目の情報は公開日時点(1996年2月6日)のものです。
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目的
構成
概要
背景
従来、鰹節、雑節、煮干し、またはエビ、カニなどの乾燥魚貝類の二次加工品としてこれらを粉砕し、粉末化したもの、あるいは乾燥野菜類、乾燥穀類を粉砕し、粉末化したものが調味料、各種飲食品に利用されている。上記した如き粉末品は、乾燥魚貝類、乾燥野菜類あるいは乾燥穀類を抽出して得られる各種エキス類では得られない原料の深みのある風味が十分生かされている。しかしながら、呈味成分、香気成分の溶出を促進するために粉末を微細なものとすると、空気との接触面積が大きくなり、吸湿性が増すとともに、香気成分の揮散、呈味成分・香気成分の酸化等の劣化、変色等多くの欠点が生じ、乾燥魚貝類、乾燥野菜類あるいは乾燥穀類の香気香味を十分に利用することは難しかった。
そこで、これらの欠点を改善する方法として、従来、例えば、厚さ10〜50ミクロンの薄片又は70〜100メッシュの粉末鰹節にα−澱粉、ガーリックパウダー、MSG、アルコール、醤油等を加えたものを整粒機にかけ小塊状粒子とし、真空乾燥して得られる粒化鰹節の製造方法(特公昭43−5709号公報)、80メッシュ以下の鰹節、雑節、煮干し類に水を添加混合して、一定の粘度にしたものを圧力押出機により径が1mm〜3mm、長さが1.5mm〜3mmの顆粒に成型し、乾燥するだしの製造法(特公昭57−41897号公報)などが提案されている。
概要
吸湿、香気成分の揮散、成分変化などが著しく改善され、原料乾燥魚貝類、乾燥野菜類等の風味を味わうことのできるコーティング素材粉末を提供する。
乾燥魚貝類等を粉砕し、平均粒径が約5〜約200ミクロン、好ましくは約20〜約100ミクロンの範囲内の微粉末とした後、該微粉末の表面を賦形剤で被覆してコーティング素材粉末を得る。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 5件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
0001
本発明は、食肉水産加工品、スープ、調味料、インスタント食品、レトルト食品、佃煮、ふりかけ、調理食品など各種飲食品およびその他の飲食品において、調味料、調味素材又は香気香味付与剤として利用することができる新規なコ−ティング素材粉末の製法に関する。
背景技術
0002
従来、鰹節、雑節、煮干し、またはエビ、カニなどの乾燥魚貝類の二次加工品としてこれらを粉砕し、粉末化したもの、あるいは乾燥野菜類、乾燥穀類を粉砕し、粉末化したものが調味料、各種飲食品に利用されている。上記した如き粉末品は、乾燥魚貝類、乾燥野菜類あるいは乾燥穀類を抽出して得られる各種エキス類では得られない原料の深みのある風味が十分生かされている。しかしながら、呈味成分、香気成分の溶出を促進するために粉末を微細なものとすると、空気との接触面積が大きくなり、吸湿性が増すとともに、香気成分の揮散、呈味成分・香気成分の酸化等の劣化、変色等多くの欠点が生じ、乾燥魚貝類、乾燥野菜類あるいは乾燥穀類の香気香味を十分に利用することは難しかった。
0003
そこで、これらの欠点を改善する方法として、従来、例えば、厚さ10〜50ミクロンの薄片又は70〜100メッシュの粉末鰹節にα−澱粉、ガーリックパウダー、MSG、アルコール、醤油等を加えたものを整粒機にかけ小塊状粒子とし、真空乾燥して得られる粒化鰹節の製造方法(特公昭43−5709号公報)、80メッシュ以下の鰹節、雑節、煮干し類に水を添加混合して、一定の粘度にしたものを圧力押出機により径が1mm〜3mm、長さが1.5mm〜3mmの顆粒に成型し、乾燥するだしの製造法(特公昭57−41897号公報)などが提案されている。
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら、上記従来提案の方法は、吸湿、香気成分の揮散、成分変化などの点で改善は見られるものの、呈味成分、香気成分が速やかに溶出し、十分に味わえるという点に関しては必ずしも満足できるものではなく、更に改善された素材粉末の提案が望まれている。
課題を解決するための手段
0005
本発明者らは上記の課題を解決すべく研究した結果、今回、乾燥魚貝類、乾燥野菜類及び乾燥穀類より選ばれる一種の材料又は二種以上の混合物(以下、乾燥魚貝類等と称する)を振動ミル、ボールミルなどを用いて粉砕し、平均粒径が約5〜約200ミクロン、好ましくは約20〜約100ミクロンの範囲内の微粉末とした後、該微粉末の表面を賦形剤でコーティングすることにより得られるコーティング素材粉末は、吸湿、香気成分の揮散、成分変化などの点で著しく改善されるとともに、飲食時に呈味成分、香気成分が速やかに溶出し、原料乾燥魚貝類等の持つ良質な風味が味わえることを見出し本発明を完成した。
0006
かくして、本発明によれば、乾燥魚貝類等を粉砕し、平均粒径が約5〜約200ミクロン、好ましくは約20〜約100ミクロンの範囲内の微粉末とした後、該微粉末の表面を賦形剤でコーティングすることを特徴とする新規なコーティング素材粉末の製法が提供される。
0007
以下、本発明について更に詳細に述べる。
0008
本発明で使用しうる乾燥魚貝類としては、例えば、鰹節、マグロ節、アジ節、サバ節、ソウダ節、ウルメイワシ節などの節類;カタクチイワシ、マイワシ、イカナゴ、アジなどの小魚、ホタテ貝柱、エビ、ナマコなどの魚貝類を煮熟後、乾燥して得られる各種煮干し類;イセエビ、クルマエビ、シバエビ、サクラエビおよび各種アミ類を含めたエビ類の乾燥品;タラバガニ、ケガニ、ズワイガニ、ガザミ、ワタリガニ、マツバガニなどのカニ類の乾燥品;アサリ、アワビ、カキ、サザエ、シジミ、ハマグリ、ホタテガイなどの乾燥品;イカ、タコ類の乾燥品;その他の魚貝類の乾燥品及び水産加工品の乾燥品などを例示することができる。また、本発明で使用しうる乾燥野菜類としては、例えば、ハクサイ、キャベツ、ホウレン草などの葉菜類の乾燥品;タマネギ、ジャガイモ、レンコンなどの茎菜類の乾燥品;ニンジン、ゴボウ、サツマイモなどの根菜類の乾燥品;トマト、キュウリ、ナスなどの果菜類の乾燥品;カリフラワー、ブロッコリーなどの花菜類の乾燥品;ワラビ、ツクシ、キノコなどの山菜類の乾燥品;その他の野菜類の乾燥品及びこれらの加工調理品の乾燥品などを例示することができる。
0010
以上に述べた如き乾燥魚貝類等を微粉化する方法としては、例えば、振動ミル、ボールミル、フェザーミル、ハンマーミル、凍結粉砕などの粉砕機を用い、平均粒径が約5〜約200ミクロン、好ましくは約20〜約100ミクロンの範囲内の微粉末に粉砕する方法が挙げられる。粉砕前にフローズンカッターなどにより適当な大きさに細断あるいは粗粉砕を行った後、平均粒径が約5〜約200ミクロン、好ましくは約20〜約100ミクロンの範囲内の微粉末にするとさらに効果的である。また、乾燥前の乾燥魚貝類等原料をそのままあるいは水を加えて粉砕後、乾燥してもよい。
0011
これら乾燥魚介類等のコーティングに使用される賦形剤としては、例えば、硬化菜種油、硬化大豆油、硬化ゴマ油、硬化米油、硬化小麦胚芽油、硬化サフラワー油、硬化トウモロコシ油、硬化ヒマワリ油、硬化パーム油、硬化パーム核油、硬化ヤシ油、硬化綿実油、硬化落花生油、硬化ツバキ油などの植物油;牛脂、硬化牛脂、硬化鯨油、硬化魚油などの動物油;脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸グリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸塩、高級アルコール、ワックス、リン脂質、糖脂質、ステロール、炭化水素及びこれらの水添物、更に上記したものの任意の混合物等の脂質の粉末硬化油脂等の脂質粉状体;アラビアガム、ゼラチン、デキストリン、化工デンプン、サイクロデキストリンなどの賦形剤などを例示することができる。
0012
乾燥魚介類等の微粉末のコーティング方法は、それ自体既知の方法、例えばボールミル、自動乳鉢、高速ミキサー等を使用し、乾燥魚貝類等の微粉末と加熱溶融した硬化油を均一に混合し、常温に冷却し、固化粉砕することにより行うことができる。また、ボールミル、自動乳鉢、高速ミキサー等を使用し、硬化油脂等の脂質粉状体を効率的に接触・衝突させ、微粉末の表面全体に脂質粉状体を均一にコーティングせしめることによっても行うことができる。さらに、乾燥魚貝類等の微粉末とアラビアガム、ゼラチン、デキストリン、化工デンプン、サイクロデキストリンなどの賦形剤と混合し、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の方法により乾燥することによりコーティングを行うこともできる。
0013
乾燥魚貝類等の微粉末に対する賦形剤の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、微粉末の種類や賦形剤の状態、得られるコーティング素材粉末のフレーバーの溶出の速さ、強さ等に応じ変えうるが、一般には、乾燥魚貝類等の微粉末1重量部に対し約0.1重量部〜約20重量部、好ましくは約0.2重量部〜約10重量部の範囲内を例示することができる。
0014
本発明のコーティング乾燥魚貝類等の調製法を用いた食品素材の好ましい一実施態様を例示すれば、まず前記した如きコーティング乾燥魚貝類等の微粉末1重量部に対し、例えば、60〜70℃で溶融した硬化菜種油約0.1重量部〜約1重量部を混合し、ボールミル、自動乳鉢、高速ミキサー等を用いて接触・混合し、コーティングすることにより、コーティング素材粉末を得ることができる。
0015
更に所望ならば、コーティングの前あるいは後に、グルコース、フラクトース、ガラクトースなどの単糖;ショ糖、マルトースなどの二糖;澱粉を液化し得られる澱粉部分分解物およびこれらの二種以上の混合物;乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸;L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸、核酸系調味料、食塩、醤油、魚介エキス、昆布エキス、みりんなどの調味料;アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、CMCなどの天然及び合成糊料;ゼラチン、カゼインなどの蛋白質、或いはその他の食品で使用される各種天然添加物、食品添加物を添加することもできる。
0016
本発明のコーティング乾燥魚貝類等を、例えば、食肉水産加工品、スープ、調味料、インスタント食品、レトルト食品、スナック食品、佃煮、ふりかけ、調理食品など各種飲食品およびその他の飲食品に調味料、調味素材または香気香味付与剤として適当量を添加することにより、加工及び保存時に香気成分の揮散、香気成分・呈味成分などの成分変化などが抑えられ、飲食時に乾燥魚貝類等の持つ良質な香気香味が速やかに味わうことができ、満足感を得ることのできる飲食品類を提供することができる。
0017
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、「部」は特に断らない限り「重量部」である。
0018
実施例1
あらかじめ粗粉砕した鰹節粉末をボールミルにて50ミクロン以下に微粉砕し、得られる鰹節粉末70部とアラビアガム30部を水150部に溶解した液を混合し、乾燥原液とした。これをニロ社製モービルマイナー型スプレードライヤーにて熱風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、乾燥粉末90部を得た(本発明品1)。
0020
評価:実施例1及び比較例1で得られた調製直後の粉末およびこれを40℃の恒温器で2週間保存したものについて官能評価を行った。官能評価は鰹節の含量が同じになるように実施例1は1g、比較例1は0.7gを300ml容ビーカーに精秤し、これに約90℃の熱湯を100ml入れよく撹拌したものを20名のパネラーにより行った。結果を表1および表2に示す。なお、表中の数値は良いと判定した人の人数を表す。
0021
ID=000002HE=090 WI=092 LX=0590 LY=0300
評価の結果:本発明品1は比較品1に比べ、調製直後および40℃、2週間保存後の両方において、香り、味、香味の溶出の速さのいずれにおいても評価が高かった。特に香味の溶出の早さは、熱湯を注いだ瞬間に新鮮な鰹節の香味がバランス良く感じられて、20名全員が好ましいと回答した。また、比較品1は40℃、2週間保存後、香り、味、吸湿性が著しく低下したが、本発明品1は保存後も香り高い鰹節の芳香が非常に良く保たれ、吸湿性も良好であった。
実施例2
あらかじめ粗粉砕した昆布粉末をボールミルにて50ミクロン以下に微粉砕し、得られる昆布粉末50部とグルタミン酸ソーダ5部、食塩2部、昆布エキス(固形分9%)170部及びデキストリン(DE10)28部を均一に混合した後、実施例1と同じ条件で乾燥し、粉末90部を得た(本発明品2)。
0022
比較例2
実施例1で用いた粗粉砕した昆布粉末を40メッシュで篩別し、製品とした(比較品2)。
0023
評価:実施例2及び比較例2で得られた調製直後の粉末およびこれを40℃の恒温器で2週間保存したものについて官能評価を行った。官能評価は昆布の含量が同じになるように実施例2は2g、比較例2は1gを300ml容ビーカーに精秤し、これに約90℃の熱湯を100ml入れよく撹拌したものを20名のパネラーにより行った。結果を表3および表4に示す。なお、表中の数値は良いと判定した人の人数を表す。
0024
ID=000003HE=090 WI=092 LX=0590 LY=0300
評価の結果:本発明品2は比較品2に比べ、調製直後および40℃、2週間保存後の両方において、香り、味、香味の溶出の速さのいずれにおいても評価が高かった。特に香味の溶出の早さは、熱湯を注いだ瞬間に磯の香りを伴った昆布の香味がさっと出て、20名全員が好ましいと回答した。また、比較品2は40℃、2週間保存後、香り、味、吸湿性が著しく低下したが、本発明品2はほんのりとした食欲をそそる昆布の香りが良く残り、吸湿性も良好であった。
実施例3
あらかじめ粗粉砕したサバ節粉末をボールミルにて100ミクロン以下に微粉砕し、得られたサバ節粉末50部に加熱溶融した菜種硬化油50部を添加混合し、均一に分散した後、冷却固化した。これを高速ミキサーを用い粉砕し、30メッシュで篩別して粉末95部を得た(本発明品3)。
0025
比較例3
実施例3で用いた粗粉砕したサバ節粉末を40メッシュで篩別し、製品とした(比較品3)。
0026
評価:実施例3と比較例3で得られた調製直後の粉末およびこれを40℃の恒温器で2週間保存したものについて官能評価を行った。官能評価はサバ節の含量が同じになるように実施例3は2g、比較例3は1gを300ml容ビーカーに精秤し、これに約90℃の熱湯を100ml入れよく撹拌したものを20名のパネラーにより行った。結果を表5および表6に示す。なお、表中の数値は良いと判定した人の人数を表す。
0027
ID=000004HE=090 WI=092 LX=0590 LY=0300
評価の結果:本発明品3は比較品3に比べ、調製直後および40℃、2週間保存後の両方において、香り、味、香味の溶出の速さのいずれにおいても評価が高く、特に香味の溶出の速さは、熱湯を注いだ瞬間にサバ節特有の力強い香味が感じられ、20名全員が好ましいと回答した。また、比較品3は40℃、2週間保存後、香り、味、吸湿性が著しく低下したが、本発明品3は劣化臭がなくサバ節本来の香味のバランスが保たれ、吸湿性も良好であった。
実施例4
ホウレン草粉末を自動乳鉢で100ミクロン以下に微粉砕し、得られるホウレン草粉末75部に化工デンプン25部を水150部に溶解した液を混合し、乾燥原液とした。これをニロ社製モービルマイナー型スプレードライヤーにて熱風温度150℃、排風温度80℃で乾燥し、乾燥粉末90部を得た(本発明品4)。
0028
比較例4
実施例4で用いたホウレン草粉末を40メッシュで篩別し、製品とした(比較品4)。
0029
評価:実施例4及び比較例4で得られた調製直後の粉末およびこれを40℃の恒温器で2週間保存したものについて官能評価を行った。官能評価はホウレン草の含量が同じになるように実施例4は1g、比較例4は0.75gを300ml容ビーカーに精秤し、これに約90℃の熱湯を100ml入れよく撹拌したものを20名のパネラーにより行った。結果を表7および表8に示す。なお、表中の数値は良いと判定した人の人数を表す。
0030
ID=000005HE=090 WI=092 LX=0590 LY=0300
評価の結果:本発明品4は比較品4に比べ、調製直後および40℃、2週間保存後の両方において、香り、味、香味の溶出の速さのいずれにおいても評価が高く、特に香味の溶出の早さは、熱湯を注いだ瞬間にホウレン草特有の力強い香味が感じられ、20名全員が好ましいと回答した。また、比較品4は40℃、2週間保存後、香り、味、吸湿性が著しく低下したが、本発明品4は劣化臭がなくホウレン草本来の香味のバランスが保たれ、吸湿性も良好であった。
発明の効果
0031
本発明によれば、吸湿、香気成分の揮散、成分変化などが著しく改善され、飲食時に呈味成分、香気成分が速やかに溶出し、原料乾燥魚貝類等の良質な風味が味わうことのできるコーティング素材粉末が得られ、飲食品等、広い分野への用途が開けるなど極めて有用である。
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