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技術 溶接性に優れた高靭性高強度鋼線

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 村橋守落合憲二隠岐保博中村守文大河内則夫
出願日 1994年7月13日 (24年5ヶ月経過) 出願番号 1994-161533
公開日 1996年1月30日 (22年10ヶ月経過) 公開番号 1996-027539
状態 拒絶査定
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 手ハンマー ねじり回数 塑性変形部位 伸線加工材 軟鋼線材 設定理由 ローラ押 ねじり加工
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1996年1月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

構成

C:0.1〜0.2mass%を含有する鋼素線伸線加工してなり、降伏比が0.91以下、引張強度が1200N/mm2 以上であると共に、ねじり回数が100d(dは伸線材の直径:mmを表わす)当たり15回以上である溶接性およびねじり性に優れた高靭性高強度鋼線である。

効果

C量の規定された低炭素鋼ベース組成とすることによって優れた溶接性を確保すると共に1200N/mm2 レベル以上の高強度を確保し、殊に最終伸線ダイス通過後に繰り返し曲げを与えて降伏比を低く抑えることにより、ねじり性の非常に優れた鋼線を提供する。

概要

背景

上記の様な用途に用いられる鋼線の様に優れた溶接性曲げ加工性が要求される鋼線は、たとえば、5.5mmφ以上の線径低炭素鋼線材伸線加工を施すことによって製造されている。また高強度鋼線を製造する際には、パテンティング処理を施した高炭素鋼線材に伸線加工を行なう方法が一般的に採用されている。たとえば、前者の溶接性と曲げ加工性を必要とする鋼線の製造に用いられる代表的なものは、JIS G3505に記載の軟鋼線材であり、また高強度鋼線の製造にはJIS G3506に記載の高炭素鋼線材が代表的に使用されている。

概要

C:0.1〜0.2mass%を含有する鋼素線を伸線加工してなり、降伏比が0.91以下、引張強度が1200N/mm2 以上であると共に、ねじり回数が100d(dは伸線材の直径:mmを表わす)当たり15回以上である溶接性およびねじり性に優れた高靭性高強度鋼線である。

C量の規定された低炭素鋼をベース組成とすることによって優れた溶接性を確保すると共に1200N/mm2 レベル以上の高強度を確保し、殊に最終伸線ダイス通過後に繰り返し曲げを与えて降伏比を低く抑えることにより、ねじり性の非常に優れた鋼線を提供する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
2件

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請求項1

C:0.1〜0.2mass%を含有する鋼素線伸線加工してなり、降伏比が0.91以下、引張強度が1200N/mm2 以上であると共に、下記方法によって測定されるねじり回数が100d(dは伸線材の直径:mmを表わす)当たり15回以上であることを特徴とする溶接性に優れた高靭性高強度鋼線。(ねじり回数測定法鋼線をその直径の100倍長さの間隔を置いて固くつかみ、鋼線がたわまない程度に緊張させながら、一方方向にねじり速度1〜50rpmで回転し、切断するまでのねじり回数を求める。

請求項2

鋼素線伸線加工時の最終伸線ダイス通過後において、該鋼線を、鋼線の走行方向に少なくとも3個以上のローラを備えたローラ群に通して繰り返し曲げを付与したものである請求項1に記載の高靭性高強度鋼線。

技術分野

0001

本発明は、1200N/mm2 以上の引張強さを有する溶接性靭延性に優れた高強度鋼線に関し、この高強度鋼線はコンクリート補強用などに使用される溶接金網物品搬送用溶接金網、各種シート類のばね用鋼線や枠線などとして有用である。

背景技術

0002

上記の様な用途に用いられる鋼線の様に優れた溶接性と曲げ加工性が要求される鋼線は、たとえば、5.5mmφ以上の線径低炭素鋼線材伸線加工を施すことによって製造されている。また高強度鋼線を製造する際には、パテンティング処理を施した高炭素鋼線材に伸線加工を行なう方法が一般的に採用されている。たとえば、前者の溶接性と曲げ加工性を必要とする鋼線の製造に用いられる代表的なものは、JIS G3505に記載の軟鋼線材であり、また高強度鋼線の製造にはJIS G3506に記載の高炭素鋼線材が代表的に使用されている。

発明が解決しようとする課題

0003

ところが低炭素鋼を使用した場合には、優れた溶接性が得られる反面、低炭素鋼であるため高強度の鋼線が得られない。即ち低炭素鋼では、素材そのものの強度が低いばかりでなく、伸線加工による加工硬化余り期待できないので、高強度化の目的を果たすことができない。これに対し高炭素鋼を使用すると、伸線加工前の素線自体の強度が高く、しかも伸線時の加工硬化率も高いため高強度の鋼線が得られ易い。しかしながら高炭素鋼は炭素含有量が多いため、これを溶接用途に適用した場合には溶接後の急冷時に過冷却組織が発生し易く、脆化による靭延性の低下が大きな問題になってくる。また、鋼線を上記の様な用途に適用する場合、加工工程で曲げ加工ねじり加工が加えられたり、あるいは製品としての使用時にねじり荷重を受けることも多く、従って、ねじり試験によって得られる破断までのねじり回数(耐ねじり性)も、この種の鋼線に求められる重要な評価項目とされているが、高強度確保のために高炭素鋼を使用すると該耐ねじり性も満足できなくなる。

0004

即ち従来の鋼線では、高強度を得ようとすると溶接性および溶接後の靭延性更には耐ねじり性が悪くなり、一方優れた溶接性、曲げ加工性、耐ねじり性等を確保しようとすると強度不足となり、優れた溶接性、曲げ加工性、耐ねじり性、靭延性および高強度を同時に満足させることはできない。

0005

本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高強度で且つ溶接性も良好で高い溶接強度を与える他、優れた耐ねじり性を有し、コンクリート補強用溶接金網や溶接金網籠、シート用ばね材等として有用な鋼線を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決することのできた本発明に係る高靭性高強度鋼線の構成は、C:0.1〜0.2mass%を含有する鋼素線を伸線加工してなり、降伏比[(降伏点又は0.2%耐力)/引張強度]が0.91以下、引張強度が1200N/mm2 以上であると共に、下記方法によって測定されるねじり回数が100d(dは伸線材の直径:mmを表わす)当たり15回以上であるところに要旨を有するものである。
(ねじり回数測定法)鋼線をその直径の100倍長さの間隔を置いて固くつかみ、鋼線がたわまない程度に緊張させながら、一方方向にねじり速度1〜50rpmで回転し、切断するまでのねじり回数を求める。

0007

尚、本発明で規定する上記の物性は、鋼素線伸線加工時の最終伸線ダイス通過後において、該鋼線を、鋼線の走行方向に少なくとも3個以上のローラを備えたローラ群に通して繰り返し曲げを付与することによって容易に与えることができる。

0008

上記の様に本発明に係る溶接性に優れた高靭性高強度鋼線は、低炭素鋼材伸線加工材からなり、降伏比、引張強度およびねじり回数の特定されたものであって、特に1200N/mm2 レベル以上の高強度を確保しつつ、降伏比を小さくすることによりねじり回数を大幅に改善したものであって、この様な物性は、鋼素線伸線加工時の最終伸線ダイス通過後において、該鋼線に繰り返し曲げを付与することによって与えられる。

0009

以下、上記で定める各構成要件について、実験の経緯を追ってその設定理由を詳細に説明する。まずC量を0.1〜0.2mass%の範囲に定めたのは、本発明で意図するレベルの高強度化を安定して達成すると共に、優れた溶接性を確保するためである。即ちC量は強化元素として極めて重要な元素である反面、その含有量が多くなると、該鋼線を溶接した時の急冷による過冷却組織の発生を著しく促進して溶接部を脆化させる原因となり、即ち溶接性に顕著な悪影響を及ぼす。

0010

そこで本発明では、まず1200N/mm2 レベル以上の強度を確保しつつ優れた溶接性を確保することのできるC量を明らかにするため、C量を0.07〜0.25%の範囲で変化させた圧延線材(直径5.5mm)について、該線材の溶接性を評価するため、該線材をオーステナイト化(A3 点+100℃に加熱)した後、常温の水に焼入したときの破断絞りRA値)と引張強度(TS)を調べた。ちなみに、溶接後の急冷による過冷却組織の発生に伴う脆化の度合いは、加熱後に急冷したときの破断絞り(RA)によって概ね評価できるからである。

0011

表1は、成分組成の異なる熱間圧延線材について、A3 点以上の温度で加熱した後水焼入した後の引張試験結果を示したものであり、炭素量が0.2%を超えるものでは、焼入組織(主にマルテンサイト組織)の靭性不足によって破断絞り値(RA)が低くなっており、また炭素量が0.1%未満の低Cのものでは、焼入性の低下によって均一なマルテンサイト組織が得られなくなり、TS値のばらつきが著しくなっている。

0012

これらの結果からも明らかである様に、C量が0.10〜0.20mass%の鋼線材は、優れた引張強度を有すると共に引張強度のばらつきも小さく安定した強度を有している。しかも、破断絞りについてもC量が0.20mass%以下のものでは安定して高い値を示しているが、0.20mass%を超えるC量になると著しく悪化していることが分かる。これらの結果より、1200N/mm2 以上の引張強度を安定して確保すると共に、優れた破断絞り(即ち溶接性)を確保するには、C量を0.10〜0.20mass%の範囲に設定すべきであることが分かる。

0013

0014

次に、上記好適C量の鋼材について、耐ねじり性の向上を期して鋭意研究を進めた。鋼線のねじり回数は、鋼線をその直径の100倍長さの間隔を置いて固くつかみ、鋼線がたわまない程度に緊張させながら回転することによって測定する方法が採用されており、その値は、ねじりを与える時のねじり速度によって著しくばらつくことを新たに知見した。

0015

即ち鋼線にねじり力を作用させた場合、一般にはねじり回転の初期、即ち弾性域においては均一にねじれが生じるものの、弾塑性域に入った段階で鋼線における最もねじり変形抵抗の小さい部分がねじり回転によって更に変形を起こし、当該部分が該ねじり変形によって加工硬化を起こす。そして、その後該鋼線に更にねじり回転が加わると、当該加工硬化部位に隣接した未だ変形の少ない部分(即ち、加工硬化の少ない部分)がねじり変形し、該ねじり変形部が順次移行することによって鋼線全長にねじり変形が伝わっていく。この現象は一般にねじりの伝播と称されている。そして該ねじりの伝播が進行し、最終的に鋼線の変形抵抗がねじり回転力に耐えられなくなった時点で破断に至る。

0016

ところが、本発明の様に比較的炭素量の少ない鋼で高炭素鋼並みの引張強度を有する鋼線の場合には、ねじり回数がねじり回転速度によって大幅に異なり、一定以上の安定したねじり特性が得られにくいことが確認された。そこで、こうしたねじり回数のばらつきについてその要因を更に追求したところ、次の様なことが明らかになってきた。

0017

即ち、ねじり回転により線材の塑性変形が起こった位置では、加工硬化が生じる一方、加工に伴う発熱軟化による強度低下が起こるが、降伏比の高い鋼線に低速回転のねじりを与えた場合、降伏比が元々高いのでねじり塑性加工による硬化の余地が少なく、ねじりが隣へ伝播しにくいためねじ応力が局部的に集中して比較的早期に破断を起こすのに対し、高速回転のねじりを与えると、ねじり変形により集中変形しかけた部分は多少加工硬化によって強化されるが、その隣は加工熱の伝播によって軟化されて強度低下を起こし、該強度低下を起こした部位に順次ねじりが移行することによってねじりが次々に伝播していくため、ねじり回数は相対的に高められる。即ち高降伏比の鋼線では、高速でねじりを与えた時のねじり回数は高い反面、低速でねじりを与えた時のねじり回数は低くなる。

0018

これに対して降伏比の低い鋼線に低速回転のねじりを与えた場合、降伏比が元々低いので、塑性変形によって集中変形しかけた部位は加工硬化を起こしてその隣接部位よりも強化されるため、変形は隣の加工硬化を起こしていない隣接部位へ次々に伝播することになり、相対的に高いねじり回数が得られる。また、低降伏比の鋼線に高速回転のねじりを与えた場合、塑性変形により集中変形しかけた部位は加工硬化によって強化されると共に、その隣の部位は当該塑性加工部から伝播してきた加工熱によって加熱軟化されるため、塑性加工部位は次々に隣へ伝播することになり、やはり高いねじり回数が得られる。即ち、低降伏比の鋼線では、ねじり速度の速い遅いを問わず安定して高いねじり回数が得られること、そしてこうした特異な傾向は、前述の如く炭素量が0.1〜0.2%で且つ1200N/mm2 以上の高炭素鋼線並みの引張強度を有し且つ降伏比が0.91を下回る低降伏比の鋼線の場合に顕著に現われることを確認したものである。

0019

ちなみに下記表2は、下記成分組成よりなる直径11.5mmの線材を4.0mmに伸線加工した鋼線[総伸線加工度(真伸線歪みベース):ε=2・Ln(素線直径/伸線直径)=2.11]を使用し、最終の伸線ダイス通過後において、直径40mmのローラ4個を鋼線の走行方向に並べたローラ群に通して繰り返し曲げ力を付与し、このとき、ローラ押し込み量を調節することによって降伏比を約0.94〜0.90に調節したものについて、各コイル状の鋼線を手ハンマーで直線状に加工した後、引張試験およびねじり試験を行なった結果を示したものである。
鋼材成分組成
C:0.145%、Si:1.01% 、Mn:1.62% 、P:0.012%、S:0.009%、Cr:0.15% 、V:0.304%

0020

0021

表2からも明らかである様に、降伏比が0.91を超えるものと0.91以下のものでは、ねじり回数の値に及ぼすねじり回転速度の影響に異なる傾向が認められ、ねじり回転速度が30〜50rpmの高回転速度域では、降伏比の大きいものと小さいものとの間でねじり回数には殆ど差異が見られないのに対し、1〜15rpmの低回転速度域の場合は、降伏比の大小によってねじり回数は顕著に異なり、降伏比が大きいものではねじり回数が極端に低くなるのに対し、降伏比が0.91以下の低い値を示す鋼線材ではねじり回数の低下が非常に小さくなっている。しかも、降伏比が0.91以下である鋼線の場合、ねじり回転速度が1〜50rpmの範囲ではいずれも100d当たり15回以上の非常に優れた値を示していることが分かる。

0022

こうした顕著な傾向が得られる理由については、理論的究明された訳ではないが、次の様に考えている。即ち、降伏比の高い鋼線材では、降伏強度(YP)と引張強度(TS)の差が小さいため、前述の如くねじり回転を受けた時における変形の余裕が相対的に小さく、比較的小さいねじり変形(即ち、ねじり回数)で塑性変形部に応力が集中して早期に破断に至るのに対し、降伏比の小さい鋼線材では、降伏強度と引張強度の差が相対的に大きく、ねじり回転を受けたときの変形量にかなりの余裕があるところから、大きいねじり回数が得られるものと考えられる。

0023

尚、高いねじり回転速度域では、前述の如くねじり変形に伴って生じる加工熱の蓄積による加熱軟化による塑性変形能上昇効果が何れの場合も発揮されるが、低いねじり回転速度域では塑性変形の速度が遅く従って加工熱の蓄積が少なく且つ加工熱はその都度放散されて加熱軟化の影響が殆ど生じなくなり、特に本発明で規定する様な低降伏比鋼線では、前述の様に塑性変形部位の燐接部位への順次移行がスムーズに進行することになり、結局のところ、ねじり回転速度の大小を問わず高いねじり回数が得られるものと考えられる。

0024

表3は、下記成分組成の鋼素線を使用し、下記の様に総伸線加工度を変えて得た伸線材について、上記と同様にして最終伸線ダイス通過後にロール群によって繰り返し曲げを与えることにより降伏比を種々変えたものについて、上記と同様にして手ハンマーで直線状に加工した後の引張強度、降伏強度、降伏比を測定すると共に、各伸線材のねじり回数を調べた結果を示したものである。

0025

(鋼材成分組成)
C:0.131%、Si:1.01% 、Mn:1.53% 、P:0.008%、S:0.006%、Cr:0.12% 、V:0.292%
(総伸線加工度)
・直径8.7mm→直径4.3
真伸線歪ベースの総伸線加工度ε=1.41
・直径8.7mm→直径3.7
真伸線歪ベースの総伸線加工度ε=1.71
・直径8.7mm→直径2.0
真伸線歪ベースの総伸線加工度ε=2.00

0026

0027

表3からも明らかである様に、降伏比が0.91を超える伸線材の場合は、上記表2の場合と同様にねじり回転速度が高くなるほど耐ねじり回数は大きな値を示しているが、降伏比が0.91以下の伸線材については、ねじり回転速度を少なくした方が高いねじり回数を得ている。この理由は明らかでないが、総伸線加工度による加工硬化の程度や仕上がり線径によるねじり加工熱の放散の程度が何らかの影響を及ぼしているものと考えられる。何れにしても、降伏比が0.91を超える伸線材では、特にねじり回転速度が小さい時のねじり回数が非常に低い値を示しており、何れも本発明の目標ねじり回数である100d当たり15回以上の値を満足することができないのに対し、降伏比が0.91以下の伸線材では、ねじり回転速度の如何を問わず何れも100d当たり15回以上の高いねじり回数が得られている。

0028

この様に本発明によれば、1200N/mm2 レベル以上の引張強度を有するものであっても、その降伏比を0.91以下とすることによって100d当たり15回以上のねじり回数を示す鋼線材を得ることができるのである。

0029

ところで、上記の様な低降伏比を得るための手段は特に制限されないが、本発明者等が種々検討したところによると、鋼素線伸線加工時の最終伸線ダイス通過後において、該鋼線を、鋼線の走行方向に少なくとも3個以上のローラを備えたローラ群に通して繰り返し曲げを付与すれば、上記の様な低降伏比が確実且つ容易に与えられることを知った。

0030

ちなみに図1は、鋼線に繰り返し曲げを付与する方法を例示する概略説明図であり、図示しない最終伸線ダイスを経た後その下流側のガイドローラ3,3に続いて、鋼線1の走行方向に沿って複数のローラ2a,2b,2c,2d,……を千鳥状に配置し、この間に鋼線1を通すことによって該鋼線1に少なくとも2回以上の繰り返し曲げを付与する。このときの繰り返し曲げの程度は、ロール2a,2b,……の配設数、ロールの直径、各ロールの配設間隔L、各ロールの押し込み量x等を変えることによって任意に調節することができ、それにより、得られる鋼線の降伏比を調節することができる。即ち、本発明者等が確認したところによると、繰り返し曲げの程度を高めるにつれて降伏比は明らかに小さくなる傾向が認められ、従って、最終伸線ダイスを通過した鋼線の降伏比に応じて、上記方法により繰り返し曲げの程度を適宜調節してやれば、得られる鋼線の降伏比を容易に0.91以下に調節することができる。

0031

尚、上記の様に繰り返し曲げを付与することによって降伏比が小さくなる理由については、次の様に考えている。即ち、鋼線の伸線工程では転位の増殖によって加工硬化を起こしており、且つ歪み時効効果も加わって鋼線の降伏比は相対的に大きくなっていると考えられるが、これに繰り返し曲げを与えると、該繰り返し曲げ工程で鋼線における曲り腹部側には圧縮力が作用すると共に背側には引張力が作用し、それらの圧縮・引張力が少なくとも2回以上繰り返し与えられることによって上記不動転位が減少し、これが最終鋼線の降伏比を低下させる要因になっているものと考えられる。

0032

いずれにしても、最終伸線ダイス通過後の伸線材に上記の様にして繰り返し曲げを付与すると、伸線材の降伏比が低下するので、最終伸線ダイスを出てきた伸線材の降伏比に応じて最終の鋼線材の降伏比が0.91以下となる様に繰り返し曲げの程度を適宜調節することによって、本発明の目的を達成することが可能となる。即ち、繰り返し曲げの程度は、最終伸線ダイスを出てきた伸線材の降伏比に応じて適宜調整すべきものであり、繰り返し曲げの程度を一律に規定することはできないが、最も一般的な基準として好ましい繰り返し曲げの具体的条件を示すならば、ロール群におけるロール配設数は、ガイドローラを別にして3〜10個(より一般的には6〜8個)、ロール直径(鋼線との外接円の直径)は鋼線直径の7〜15倍程度(より一般的には8〜10倍程度)、ロール間隔Lは(ロール直径+鋼線の直径)以上、押し込み量xは鋼線直径の0.5〜2倍程度である。この場合、各ロールの直径やロール間隔L、押し込み量x等は夫々等しくするのが一般的であるが、場合によってはそれらを適宜変えることによって繰り返し曲げの程度を調節することも可能である。尚ロールは、伸線材1の直径に応じた寸法の溝を外面に設けたものを使用するのが一般的である。

0033

上記の知見を基にして、更に次の実験を行なうことにより本発明の作用効果を確認した。即ち、下記表4に示す成分組成の線材(直径5.5mm)を使用し、各線材を直径2.0mm(真歪ベースの総伸線加工度:ε=2.02)に伸線加工した後、最終伸線ダイスの通過後に、下記構成の繰り返し曲げ付与ローラ群に通して降伏比を調節した。即ち、ローラ群の構成としては、直径30mmのローラ6個を45mmの間隔Lで配置し、ロール押し込み量xを1〜4mmの範囲で変えることによって降伏比を調節した。得られたコイル状の各鋼線を手ハンマーで直線状に加工し、前記と同様にして引張試験およびねじり試験を行なった。結果を表5に示す。

0034

0035

0036

表4,5において、何れの鋼線材も0.91以下の降伏比を有しており、符号F以外は全て100d当たり15回以上の優れたねじり回数を得ているが、符号AはC量が不足するため引張強度が本発明の目標レベルである1200N/mm2に達しておらず、また符号Cは、強化元素であるSiとMnを故意に少なくした線材を使用したものであって、やはり引張強度が1200N/mm2 に達していない。なお符号Fは、C量を高めに設定すると共に、他の強化元素であるSiやMnを多めにした線材を使用したものであり、伸線工程で伸線限界を超えて加工脆化を起こし、ねじり回数が低下している。

発明の効果

0037

本発明は以上の様に構成されており、C量の規定された低炭素鋼をベース組成とすることによって優れた溶接性を確保すると共に1200N/mm2 レベル以上の高強度を確保し、殊に最終伸線ダイス通過後に繰り返し曲げを与えて降伏比を低く抑えることにより、ねじり性の非常に優れた鋼線を提供し得ることになった。

図面の簡単な説明

0038

図1繰り返し曲げの付与方法を例示する説明図である。

--

0039

1鋼線
2a,2b,2c,2dロール
3ガイドローラ
Lロール間隔
x ロール押し込み量

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