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技術 酸化物分散鋼の製造法

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 西隆之加藤徹
出願日 1994年6月23日 (26年6ヶ月経過) 出願番号 1994-141961
公開日 1996年1月16日 (24年11ヶ月経過) 公開番号 1996-013024
状態 特許登録済
技術分野 溶融状態での鋼の処理 複合金属又は合金の製造 鉄合金の製造(粉末冶金を除く)
主要キーワード 組成形態 厚板材 イオウ濃度 スラブ形状 溶存成分 弱脱酸鋼 過酸化状態 高周波加熱炉
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重要な関連分野

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図面 (4)

目的

溶接熱影響部に高い靱性が要求される厚板用鋼として用いる、Al−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼のより安定した製造方法を提供する。

構成

SiおよびMn添加による予備脱酸全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整し、次いで(Al含有合金+酸化物) またはAlを含有する酸化物を添加して、Al濃度を0.0001〜0.0030%とすることで、Al−Mn系酸化物を溶鋼内に分散生成させる。

概要

背景

近年、溶接工程の合理化のため厚鋼板等の鋼材大入熱溶接化が指向されているが、一般に大入熱溶接では鋼材溶接時には母材側熱影響部(以後、HAZ 部と呼ぶ) の結晶粒が粗大化し、靱性が著しく低下することが知られており、厚鋼板にあっても上述のような大入熱溶接法を実用化するにはHAZ 部の結晶粒粗大化の問題の解決を図らなければならない。

ところで、従来より、鋼材中に適当な酸化物や窒化物などの微細粒子を分散させることにより、組織微細化され、HAZ 部靱性が著しく改善されることが知られている。

このような微細な分散粒子を利用する方法として、特公平5−17300 号公報には、鋼中のSi量およびAl量を規定し、Tiを添加することにより凝固過程でTiO やTi2O3 といった微細なTi系酸化物を析出、分散させる、HAZ 部が高い靱性を有する鋼の製造法が提案されている。

このようなTi酸化物を凝固過程で鋼材内に微細に析出、分散させる方法としては、その他、特開平3−267311号公報および同4−2713号公報に示されているような、第1脱酸元素にSi、Mnを用い、第2脱酸元素にTi、Zr、Caを添加して酸素濃度重量割合にて、50ppm 以下にしてTi、Zrを主成分とするTi−Zr系酸化物粒子を析出させる方法がある。

また、特開平4−191314号公報には、凝固時にTi系酸化物を微細に析出させるために、未脱酸溶鋼真空処理して溶存酸素濃度を、重量割合で、0.002 〜0.015 %に調整した後、Tiを添加する方法が開示されている。

さらにこのようなTi系酸化物の析出粒子を微細化するために、特公平3−67467 号公報には鋳造後の冷却速度を制御する方法が、特開平4−6243号公報にはTi添加後の出鋼までの時間を規定する方法が提案されている。

また特公平5−25580 号公報および特開平3−177535号公報などでは、さらにZrやYなどを添加することが、凝固過程で析出する粒子を微細に分散させるために効果的であることが述べられている。

ところでこれらの方法は、いずれもTi系酸化物を凝固過程で微細に析出、分散させる方法であり、酸化物組成がTi系酸化物を有するものについて示されているのみであった。

また、Ti系酸化物を主体とする粒子を析出、分散させることによって得られるHAZ 部の靱性の改善は、本発明者らの知る限り、実際の効果として充分ではなく、さらに効果的にHAZ 部を高靱化させる分散粒子を含有する材料およびそれを安定して容易に製造する方法の開発が望まれていた。

概要

溶接熱影響部に高い靱性が要求される厚板用鋼として用いる、Al−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼のより安定した製造方法を提供する。

SiおよびMn添加による予備脱酸全酸素濃度を0.0020〜0.0100%に調整し、次いで(Al含有合金+酸化物) またはAlを含有する酸化物を添加して、Al濃度を0.0001〜0.0030%とすることで、Al−Mn系酸化物を溶鋼内に分散生成させる。

目的

したがって、本発明の目的は、溶接熱影響部に高い靱性が要求される厚板用鋼として高い性能を有するAl−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼のより安定した製造法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、SiおよびMnで溶鋼予備脱酸して全酸素濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に添加することにより溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法

請求項2

分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、転炉もしくは電気炉にて炭素濃度を調整し、出鋼中もしくは取鍋中でSiおよびMnで溶鋼を予備脱酸するとともにスラグ改質を行い、取鍋炉の取鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを取鍋精錬中に前記溶鋼に添加することにより、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法。

請求項3

前記Al含有合金と酸化物またはAlを含有する酸化物を溶鋼に添加してから、該溶鋼にTiを重量割合にて0.050 %以下添加することを特徴とする請求項2記載のAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法。

技術分野

0001

本発明は、高い溶接熱影響部靱性が要求される厚板用鋼種である酸化物分散鋼の製造法に関するものである。

背景技術

0002

近年、溶接工程の合理化のため厚鋼板等の鋼材大入熱溶接化が指向されているが、一般に大入熱溶接では鋼材溶接時には母材側熱影響部(以後、HAZ 部と呼ぶ) の結晶粒が粗大化し、靱性が著しく低下することが知られており、厚鋼板にあっても上述のような大入熱溶接法を実用化するにはHAZ 部の結晶粒粗大化の問題の解決を図らなければならない。

0003

ところで、従来より、鋼材中に適当な酸化物や窒化物などの微細粒子を分散させることにより、組織微細化され、HAZ 部靱性が著しく改善されることが知られている。

0004

このような微細な分散粒子を利用する方法として、特公平5−17300 号公報には、鋼中のSi量およびAl量を規定し、Tiを添加することにより凝固過程でTiO やTi2O3 といった微細なTi系酸化物を析出、分散させる、HAZ 部が高い靱性を有する鋼の製造法が提案されている。

0005

このようなTi酸化物を凝固過程で鋼材内に微細に析出、分散させる方法としては、その他、特開平3−267311号公報および同4−2713号公報に示されているような、第1脱酸元素にSi、Mnを用い、第2脱酸元素にTi、Zr、Caを添加して酸素濃度重量割合にて、50ppm 以下にしてTi、Zrを主成分とするTi−Zr系酸化物粒子を析出させる方法がある。

0006

また、特開平4−191314号公報には、凝固時にTi系酸化物を微細に析出させるために、未脱酸溶鋼真空処理して溶存酸素濃度を、重量割合で、0.002 〜0.015 %に調整した後、Tiを添加する方法が開示されている。

0007

さらにこのようなTi系酸化物の析出粒子を微細化するために、特公平3−67467 号公報には鋳造後の冷却速度を制御する方法が、特開平4−6243号公報にはTi添加後の出鋼までの時間を規定する方法が提案されている。

0008

また特公平5−25580 号公報および特開平3−177535号公報などでは、さらにZrやYなどを添加することが、凝固過程で析出する粒子を微細に分散させるために効果的であることが述べられている。

0009

ところでこれらの方法は、いずれもTi系酸化物を凝固過程で微細に析出、分散させる方法であり、酸化物組成がTi系酸化物を有するものについて示されているのみであった。

0010

また、Ti系酸化物を主体とする粒子を析出、分散させることによって得られるHAZ 部の靱性の改善は、本発明者らの知る限り、実際の効果として充分ではなく、さらに効果的にHAZ 部を高靱化させる分散粒子を含有する材料およびそれを安定して容易に製造する方法の開発が望まれていた。

発明が解決しようとする課題

0011

ところで、本件出願人は、このような安定してHAZ 部を高靱化させる厚板用鋼として、特願平6−77057 号においてAl−Mn系酸化物相を有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼を提案した。すなわち、直径0.2 〜20μmの分散粒子が鋼材断面の1mm2 当たり4個以上1000個未満分散しており、かつその分散粒子を構成する酸化物相として金属元素原子割合で (Al+Mn) が40%以上、Al:Mnの比率が1:1以上5:1未満という特徴を有するAl−Mn酸化物相を有する酸化物を鋼中に分散させた酸化物分散鋼である。

0012

しかしながら、かかる酸化物分散鋼は安定して製造できる方法がまだ確立していないため、工業的に十分な特性が発揮できず、その製造方法について更なる改良が求められている。

0013

したがって、本発明の目的は、溶接熱影響部に高い靱性が要求される厚板用鋼として高い性能を有するAl−Mn系酸化物相を含有する酸化物が鋼中に分散された酸化物分散鋼のより安定した製造法を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは、予備脱酸に際してSiおよびMnを添加して、一次脱酸生成物からなる介在物組成をMnO −SiO2系にすることによって、介在物が10μm より大きいものは浮上、除去されやすく効果的な予備脱酸が可能となるばかりでなく、残留した介在物は5μm 以下の小径介在物となること、また次の工程でAlを添加する際に酸素ポテンシャルを制御できる酸化物を一緒に添加することにより、それらが微小なAl−Mn系介在物形成のための核となることを知り、溶鋼中酸素ポテンシャルおよび溶鋼中微量Al濃度の制御を同時に行うことによって、Al−Mn系酸化物を鋼中に微細に分散させることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。

0015

かくして、本発明の要旨とするところは、分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、SiおよびMnで溶鋼を予備脱酸して全酸素濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に添加することにより溶鋼中Al濃度を重合割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法である。

0016

別の面からは、本発明は、分散粒子としてAl−Mn酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するに際して、転炉もしくは電気炉にて炭素濃度を調整し、出鋼中もしくは取鍋中でSiおよびMnで溶鋼を予備脱酸するとともにスラグ改質を行い、取鍋炉の取鍋精錬設備にて全酸素濃度を0.0020%以上0.0100%以下に調整した後、Al含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを取鍋精錬中に前記溶鋼に添加することにより、溶鋼中Al濃度を重量割合にて0.0001%以上0.0030%以下に制御することを特徴とするAl−Mn系酸化物分散鋼の製造法である。

0017

本発明の好適態様によれば、上述のAl含有合金と酸化物またはAlを含有する酸化物を溶鋼に添加してから、該溶鋼にTiを重量割合にて0.050 %以下添加するようにしてもよい。

0018

また、本発明の別の好適態様によれば、出鋼中もしくは取鍋中でSiおよびMnで予備脱酸するとともにスラグ改質を行った後に、さらに取鍋炉の取鍋精錬設備にてイオウ濃度を0.002 %以下にまで脱硫してもよい。

0019

かくして、本発明によれば、Al−Mn系酸化物相および不可避的に存在する酸化物相を有する酸化物であって、より詳細には、直径が0.2 〜20μm の大きさで、金属元素のモル分率として (Al+Mn) が40%以上であり、かつAl:Mn の比率が1,0 以上5.0 未満という特徴を備えるAl−Mn系酸化物相を含む酸化物が分散した酸化物分散鋼が安定して製造される。

0020

次に、本発明の作用についてさらに具体的に説明する。本発明において使用する溶鋼としては目的とする最終鋼組成を実現できる所要組成をもって溶製された溶鋼であれば、いずれであってもよく、例えば適宜溶解炉で単に溶製されただけのものであっても、あるいは転炉、電気炉で脱炭製錬されたものであってもよい。

0021

好ましくは炭素含有量0.05〜0.08%、酸素含有量0.04〜0.07%に予め調製させたものである。特に転炉、電気炉によって溶鋼を準備する場合にはC:0.01 〜0.25%に調製したものが好ましい。

0022

予備脱酸:まず、鋼中に分散粒子としてAl−Mn系酸化物相および不可避的に共存する酸化物相を有する酸化物分散鋼を溶製するためには、上述のように準備された溶鋼の溶製初期においては、溶鋼中で酸素親和力を有するSiおよびMnにて予備脱酸を行い、全酸素濃度を所定範囲内に来るよう調整する。SiおよびMnは通常の脱酸のように合金鉄(Fe−Si、Fe−Mn)、Mn鉱石等の形態で溶鋼に投入すればよく、特に制限はない。

0023

ここで、予備脱酸に際して、SiおよびMnの添加量は、全酸素濃度を20〜100ppmとする限りにおいて特に制限ないが、好ましくは、溶鋼濃度がSi:0.05〜0.60%およびMn:0.3 〜3.0 %となるようにする。その理由は、予備脱酸で形成される一次脱酸生成物が凝集しやすく効果的な脱酸が可能なMnO-SiO2系にし、かつこの予備脱酸によって全酸素濃度を0.0020〜0.0100%にして分散酸化物の核を形成するためである。

0024

すなわち、上記好適態様にあって、Si濃度が0.60%より大きくなるとMn濃度が3.0 %以下であっても介在物はSiO2系が多くなるとともに、全酸素濃度が20ppm未満となってしまうことがあるために分散させる酸化物の核となる一次脱酸生成物の量が不十分となるためである。一方、Si濃度が0.05%未満ではMn濃度が0.3%以上であっても介在物は FeO−MnO 系となりAl−Mn系酸化物の核には不適であるばかりか、全酸素濃度は100 ppm を超えてしまい、未脱酸状態に近い酸素供給源過多の状態となり溶鋼の清浄性が不十分となる。

0025

Mn濃度についても同様で、Mn濃度0.3 %未満ではSi脱酸領域となり介在物はSiO2系となり、Al−Mn系酸化物の生成に不適である。一方、Mn濃度が3.0 %を超えるとSi濃度が0.60%以下でも酸素濃度が20ppm 未満となり、分散酸化物の核となるようなMnO-SiO2系介在物を残留させることができなくなってしまうことがある。

0026

ところで、一般に鋼中Si濃度を増加させるとSi脱酸が強くなり、後工程で行うAl添加前の全酸素濃度低下が大きく、結果としてAl添加前に鋼中に分散する必要がある微小なMnO-SiO2系介在物量が低下してしまうので、低Siであることが望ましい。さらに鋼中Si濃度が0.20%を越えると低温靱性劣化を招くことが知られているので、鋼質的にも低Siであることが望ましく、これらのことからSi量はSi:0.20%以下がよい。

0027

従って、これらの点を考慮にいれると、本発明の好適態様では、Si濃度0.05〜0.20%、Mn濃度0.8 〜2.0 %に制御するものである。この濃度域でより安定して介在物をMnO-SiO2系にし、かつ全酸素濃度を0.0020〜0.0100%とすることができる。

0028

ところで、介在物をMnO-SiO2系にする理由は、この介在物が10μmより大きいものは浮上、除去されやすく効果的な予備脱酸が可能となるばかりでなく、残留した介在物は10μm以下の小径介在物となり、溶存酸素とともに次の工程での微小なAl−Mn系介在物形成のための核となるからである。なお、全酸素濃度を0.0020〜0.0100%とするのは、分散する酸化物の核となるMnO-SiO2系を残留させ、かつ充分な清浄性を確保するためである。

0029

Al+酸化物またはAl含有酸化物添加:本発明によれば、上述のようにしてSiおよびMnを添加して予備脱酸を行い全酸素濃度を制御した後、溶鋼中酸素ポテンシャルおよび溶鋼中微量Al濃度の制御を同時に行うことで、Al−Mn系酸化物を鋼中に微細に分散させることができる。

0030

本発明によれば、そのためにAl含有合金と溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な酸化物、または溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能な、Alを含有する酸化物のいずれかを前記溶鋼に添加するのである。

0031

そのような溶鋼中酸素ポテンシャルの制御と溶鋼中微量Al濃度の制御を行う手段として、Al添加とともにAl−Mn系酸化物と同程度の酸素ポテンシャルを有する酸化物を溶鋼へ添加して、溶鋼中酸素ポテンシャルと溶鋼中Al濃度を同時に制御する。

0032

このとき、溶鋼中のAl濃度の制御を行うためには、合金鉄中に含有されるAl量で制御するか、もしくは上記酸化物にAlを含有する酸化物を用いて制御するのである。

0033

図1には、製鋼温度における種々の酸化物の酸素1モル当たり生成自由エネルギー変化をグラフで示す。ここで、今目標とするAl−Mn系酸化物のうち、最も代表的な複合酸化物としてAl2O3・MnO について考えると次の通りである。

0034

まず、目標とする Al2O3・MnO の生成自由エネルギーは、代表的な製鋼用酸化物であるSiO2より小さく、Al2O3 より大きい。一般に、SiO2はSi−Mn脱酸鋼のような弱脱酸溶鋼であってもSiO2の還元が生じ溶鋼汚染を生じることが知られている。一方、Al2O3 は、 Al2O3・MnO と比較して安定であり、弱脱酸鋼では溶鋼に対して影響を及ぼさない。

0035

したがって、溶鋼中に MnO・SiO2を核としてAl−Mn系酸化物を生じさせるためには、第1にSiO2とAl2O3 の間の酸素ポテンシャルを有する酸化物であり、 Al2O3・MnO と同様の酸素ポテンシャルを有する酸化物を用いることが望ましいと考えられる。

0036

したがって、本発明において「溶鋼中酸素ポテンシャルを制御することが可能」との趣旨は、例えば図1の生成自由エネルギーがSiO2より小さく、Al2O3 より大きいことであると言うことができる。

0037

さらに第2には、溶鋼とわずかに反応して溶鋼中に極微量のAlを供給する酸化物であることが望ましい。このような酸化物として前者は、ZrO2・SiO2、 MgO・SiO2、2MgO・SiO2、 MgO・2TiO2 、 MgO・TiO2、TiO2、 CaO・MgO・2SiO2 、 Ce2O3・Cr2O3 等が考えられる。

0038

また、Alも供給し得る後者の化合物には、それ自身である Al2O3・MnO 以外にAl2O3・TiO2、3Al2O3・2SiO2 、 CaO・Al2O3・2SiO2 、 FeO・Al2O3 が適用できることが分かった。

0039

第1の酸化物を添加剤として使用する際は、溶鋼へ微量Al分を供給できる別の供給源を設ける必要がある。溶鋼中への微量Al分の供給には、合金鉄として利用されるFe−Siのほか厚板用の成分として利用されるFe−Nb、Fe−V、Fe−Mo、Fe−B等がある。

0040

ここで、微量のAl供給に、金属Alではなく合金鉄を用いる理由は、本鋼種が厚板用であるのでSi、Nb、V、Moを添加する機会があるのみならず、これら合金鉄に含まれるAl量は重量割合にして高々1〜5%程度でありAl2O3 系介在物を生成する可能性が低減されること、その結果、添加されたAlは溶存成分となり緩やかにMn0-SiO2系介在物や溶存酸素と反応してAl−Mn系酸化物の分散形成が可能になること、および鋼種の必要成分量にもよるが、合金鉄としての添加量が多くなり微量のAl成分調整し易いことがあげられる。

0041

一方、第2の酸化物については、酸化物自身がAl供給源として作用する。すなわち、酸化物自身が一部分解して溶鋼中へ微量Alを供給できる、もしくは懸濁したMnO-SiO2系酸化物と反応して、鋼中への分散酸化物としてAl−Mn系酸化物を形成できる。

0042

添加する酸化物は、いずれも当該酸化物を、重量割合にて、90%以上含有すれば充分であり、粒度についても特に限定されないが、添加時の取扱いを考えれば、平均粒径0.05mmないし0.5 mmが適当と考えられる。

0043

酸化物を添加する方法は、その酸化物を溶鋼と接触、反応させることが主たる目的であるので、一括添加粉体吹き込み等特に方法は問わない。次に、溶存Al量を規定する理由は以下のようである。本発明では、一時脱酸過程でMnO-SiO2系介在物を核として溶存酸素を消費しながら、Al−Mn系酸化物を溶鋼内に分散生成させようとするものである。

0044

ここに、1527℃から1723℃の製鋼温度域でAl−Mn系酸化物の酸素ポテンシャルはおおよそ図2の傾斜部分のようになる。なお、同図には併せて、溶存酸素濃度[%O]=0.002 〜0.01%での酸素ポテンシャル領域および[%Al] =0.001 %添加時のAl2O3 酸化物 (活量Al2O3 =0.1)の時の酸素ポテンシャルも示している。

0045

Al −Mn系酸化物の上限は、[%Mn] =0.3 %、[%Al] =0.0001%の時、また下限は[%Mn] =3%、[%Al] =0.003 %の時で、この間で示されるAl−Mn系酸化物生成領域は、おおよそ溶存酸素濃度0.002 〜0.01%の酸素ポテンシャル領域と重なる。

0046

したがって、[%Mn] =0.3 %、[%Al] =0.0001%未満では、酸素濃度が高くなりすぎて脱酸不足となり、[%Mn] =3%、[%Al] =0.003 %を超えるとAl2O3 系酸化物が生成する可能性が急速に高まることがわかる。

0047

転炉または電気炉を用いる精錬プロセスについて:次に、本発明にしたがってAl−Mn酸化物が分散した酸化物分散鋼を転炉または電気炉を用いて溶製する場合の具体的処理操作に従って述べる。もちろん、本発明は高周波溶解炉のような溶解炉を用いることで実施することもできる。

0048

例えば慣用法によって転炉もしくは電気炉にて製錬された溶鋼は、炭素濃度を、好ましくは、0.01〜0.25%に調整する。この理由は、本発明で対象としている鋼種が厚板材として利用されているために、通常は、炭素濃度に上限があり、0.25%以下である必要があるからである。一方、炭素を0.01%以上に制限することにより溶鋼およびスラグ過酸化状態にならず、後工程であるSiおよびMnによる予備脱酸工程およびスラグ改質工程が容易に行えるからである。

0049

次に、SiおよびMnが出鋼中もしくは取鍋内にて添加調整される。このときの組成範囲の理由については前述したが、ここで実際の操業プロセスでは、転炉もしくは電気炉からの出鋼時に不可避的に持ち来されるスラグにより予備脱酸の制御が困難になる。そこで、スラグ流出を極力抑制するとともに、望ましくはスラグ改質によりスラグの低酸素ポテンシャル化を実現する。

0050

さらに、実際の操業プロセスでは溶鋼量が多く予備脱酸による酸素濃度の調整に時間を要する。例えば、RH脱ガス装置による還流によって脱酸生成物の浮上を促進したり、LF加熱装置により溶鋼を加熱しながら生成物の浮上時間を充分に与えたり、もしくはVOD炉によりガス攪拌で大型脱酸生成物の浮上を促進し酸素濃度を制御することが有効となる。

0051

これらいわゆる二次精錬設備は、スラグ改質も含めて予備脱酸を促進し全酸素濃度を制御することに有効であるばかりでなく、脱ガスや熱付与の効果もあり、トータルとしてのプロセスの最適化に役立つ。

0052

スラグ改質:このときのスラグ改質方法およびスラグ改質剤については、特に限定されないが、例えばAl-CaCO3剤、Al灰、Si系改質剤等を使用することができる。このスラグ改質によって、予備脱酸を容易にするために、スラグ中(T.Fe+%MnO) 濃度を重量割合にして2%以下にすることが好ましい。

0053

Ti添加:次にTi添加量を限定する理由について述べる。全酸素濃度を[%O]:0.002 〜0.010 %に調整した後、前述したような作用でAlを含有する合金を添加するとともに溶鋼中酸素ポテンシャルを制御する酸化物を添加するか、もしくは酸素ポテンシャルを制御し得るAlを含有する酸化物を取鍋精錬中に添加することにより溶鋼中Al濃度を重量割合にして[%Al]:0.0001%以上0.0030%以下に調整して、Al−Mn系酸化物を鋼中に分散させる。

0054

ここで、Al濃度調整後にTiを重量割合にして0.050 %以下になるように添加すると、耐火物あるいは雰囲気からの影響によりAl−Mn系酸化物が吸収、消滅したり、他の介在物組成に変化することを抑制できる効果がある。これによりAl−Mn系酸化物は、微小な介在物としてより分散しやすくなり、Al−Mn系酸化物の微細分散がより効果的に行われることになる。

0055

一方、Tiは分散酸化物の微細化に寄与するために、望ましくは0.005 %以上添加し、また脱酸に影響を及ぼさないために、0.02%以下であることが良い。また、Tiを0.050 %を越えて添加するとTiによる脱酸が優勢となり、Al−Mn系酸化物の生成、分散を阻害してしまう。

0056

ところでTiを添加することにより、Al−Mn系介在物の一部は不可避的にTi酸化物およびTi−Mn系酸化物と複合することもあるが、本発明では鋼中にAl−Mn系酸化物を含有する酸化物を分散させることが主たる目的であるためそのような酸化物が共存しても問題はない。

0057

脱硫:本発明によれば、適切なスラグ改質、予備脱酸およびAl+酸化物添加を行う過程で本鋼種のような弱脱酸鋼であってもスラグに生石灰などの脱硫剤をスラグ改質剤とともに投入することによりイオウを除去することができる。そこで、イオウを重量割合にして0.002 %以下にすると、Al−Mn系酸化物はより安定に存在することができる。その理由は、Mnを多量に含有してもイオウを20ppm 以下に抑制した鋼種ではMnS 系介在物が生成し難いためである。さらに、このMnS は鋼質的には応力腐食割れを起こしたりすることがよく知られており、付随的に鋼質改善も期待できる。

0058

本発明が対象とする鋼種は特に制限されないが、代表例として例示すればほぼ次のような組成を有するものである。C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.02%、Mn:0.8 〜2.0 %、S:0.005 %以下、P:0.03%以下、Cu:0.2 〜1.0 %、Ni:0.1 〜1.0 %、Nb:0.01〜0.15%、V:0.01〜0.2 %、B:0.00005 〜0.0004%、Ti:0.005 〜0.02%、N:0.0005〜0.0100%、残部Feおよび不可避不純物である。ただし、Cu、Nb、V 、B 、Tiについては少なくとも1種含有されていればよい。

0059

次に、本発明を実施例によってさらに具体的にその作用を説明する。
(実施例1)本発明の効果を確認するために150 kg高周波加熱炉を用いて本発明の実施例および比較例を示す試験を行った。

0060

炭素濃度:0.05〜0.08%、初期酸素濃度:0.04〜0.07%の溶鋼を1550℃から1650℃でMgOスタンプ耐火物中で溶解した。この溶鋼を用いて金属形態のSi、Mnを添加して、SiおよびMn濃度を調整して予備脱酸を行い、全酸素濃度を確認した。

0061

次いで、酸化物粉体としてAl濃度を合金鉄中Al分等で調整する場合には、ZrO2・SiO2、2MgO・SiO2、 MgO・2TiO2 、MgO ・TiO2、TiO2、 CaO・MgO・2SiO2 、Ce2O3・Cr2O3 等の酸化物粉末を用い、特にAl濃度の調整を行わない (合金鉄中Al分を考慮し上限は越えない) 場合には、 Al2O3・MnO 、 Al2O3・TiO2、3Al2O3・2SiO2 、 CaO・Al2O3・2SiO2 、および FeO・Al2O3 等の酸化物を用いた。

0062

粉体はいずれも上記酸化物が90mass%以上含有され、粒度は直径0.05〜0.5 mmを主体とする酸化物で、添加量は10gないし100 gであった。酸化物添加後、5分ないし30分で出鋼、鋳造した。

0063

鋼塊中の分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡エネルギー分散X線マイクロアナライザーで調べた。なお、この溶鋼には、その上記成分以外にCu:0.2 〜0.5 %、Ni:0.2 〜0.8 %、Nb:0.02〜0.8 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%が含まれていた。また、イオウ濃度は、0.0001〜0.004 %、Ti濃度は0.005 〜0.05%であった。本例の実施例および比較例の処理条件および介在物の形態観察結果の一覧を表1にまとめて示す。

0064

0065

表1には、本実施例の処理条件と介在物形態調査結果を示した。同表中、介在物の形態は直径0.2 μm以上20μm以下のAl−Mn酸化物主体の介在物で、溶鋼もしくは鋼塊内で10個/mm2以上1000個/mm2未満あるものを◎、4個/mm2以上10個/mm2未満あるものを○とした。

0066

表1の本発明例1から7に示したように、いずれの例でも、[%Si] および[%Mn] 量を調整して全酸素濃度を調整し、かつ合金鉄中に含有されるAl分を考慮してAl濃度を制御し該酸化物を添加すれば、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されることが分かる。

0067

また、本発明例8から12に示すように、[%Si] および[%Mn] 量を調整して全酸素濃度を調整し、かつ合金鉄中に含有されるAl分を考慮しつつAlを含有する該酸化物を添加すれば、酸素ポテンシャルの制御が可能となるとともにAl濃度の制御も可能となり、結果としてAl−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されることが分かる。

0068

一方、表1に比較例13および14として示したように、酸化物を添加しない場合、SiとMn複合脱酸により酸素濃度を調整してもAl濃度の制御が難しく、結果としてAl濃度が制御しきれずに、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されないことがわかる。

0069

比較例15、16および17に示したように、該酸化物(この場合Alを含有しないZrO2・SiO2酸化物または2MgO・SiO2酸化物) を添加しても溶鋼中のAl濃度を制御できないか、もしくは上限を越えると、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されないことが分かる。

0070

また、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御できる該酸化物を添加した場合でも、Si量およびMn量の制御が不適切で全酸素濃度が下限を下回る場合、もしくは上限を上回る場合には、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されないことが分かる。

0071

(実施例2)本例では250t転炉、LF加熱装置およびRH脱ガス真空装置を用いて本発明を実施した。

0072

予備処理により重量割合にしてP:<0.03%以下にした溶銑を用いて、転炉で脱炭を行った。転炉により炭素濃度を0.01%以上0.25%以下にした後、転炉スラグ流出を抑制するとともに、出鋼時に流出したスラグへ、Al−CaCO3 剤あるいはAl灰等の改質剤を添加してスラグ改質を行った。また出鋼時に、予備脱酸を主たる目的としてSiおよびMnを添加して所定の濃度に調整した。

0073

その後、取鍋炉加熱装置により15ないし30分間の加熱処理を行ってから、RH脱ガス装置による全酸素濃度の調整は、RHにより真空度1〜5torr程度を維持しながら20分ないし40分の還流処理によって行った。この際、処理途中に試料採取を行い、全酸素濃度を調べるとともに、真空槽内にFe−Si、Fe−Nb、Fe−VおよびFe−B等の合金鉄によりAl濃度の調整を行った。

0074

次に、全酸素濃度を調整してからZrO2・SiO2、2MgO・SiO2、 Al2O3・MnO もしくは3Al2O3・2SiO2 の各酸化物を1〜12kg/tの量だけ真空槽内で溶鋼に添加し、さらに5分ないし20分の環流を行った。また、Tiを添加する場合には、その後真空槽内にて合金鉄とともに添加を行った。

0075

精錬終了後、取鍋内で試料採取し、分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。また連続鋳造によりスラブ形状に鋳造後、鋳片試料中に分散した酸化物についても個数と組成を同様の手法で調査した。

0076

なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%であった。本例の実施例および比較例の処理条件および介在物の形態観察結果の一覧を表2にまとめて示す。

0077

0078

表2には、本実施例の条件と介在物形態の調査結果を示した。同表中、介在物の形態の分類は、表1と同様である。分散酸化物については、溶製末期の溶鋼および連続鋳造後スラブ中での状態を調査した。溶製末期試料と連続鋳造スラブ内では、分散酸化物の組成形態および個数、直径分布に多少の差はあるものの、本発明に影響を与える本質的な差は認められなかった。

0079

表2に示した結果のうち、本発明例1、2および3に示したように、[%Si] および[%Mn] 量を調整して全酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御した後、Al濃度を調整しかつ各酸化物を添加した結果、溶鋼中Al濃度は0.0001〜0.003 %に制御され、結果的に、Al−Mn系酸化物が鋼塊中へ分散されたことがわかる。

0080

また、表2に示した結果のうち、本発明例4および5に示したように[%Si] および[%Mn] 量を制御して全酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御した後、Alを含有する各酸化物を添加した結果、溶鋼中Al濃度は0.0001〜0.003 %に制御され、結果的にAl−Mn系酸化物が鋼塊中に分散されることがわかる。

0081

さらに、本発明例6から9に示したように、[%Si] および[%Mn] 量を制御して全酸素濃度調整し、Al濃度を調整しかつ酸化物を添加する、もしくはAlを含有する各酸化物を添加して溶鋼中Al濃度は0.0001〜0.003 %に制御された後、Tiを0.05%以下添加することにより、Al−Mn系酸化物は鋼塊中への分散されたことがわかる。

0082

一方、比較例10および11に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸後、全酸素濃度が0.002 %未満もしくは0.01%を越えた場合には、Al濃度を調整して各酸化物を添加してもAl−Mn系酸化物が鋼中に必要量分散しなかった。

0083

また比較例12および13に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸後、全酸素濃度が0.002 %未満もしくは0.01%を越えた場合には、Alを含有する各酸化物を添加しても、溶鋼中Al濃度は0.0030%を越える、もしくは0.0001%未満となり、Al−Mn酸化物が鋼中に必要量分散しなかった。

0084

次に、比較例14および15に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸により酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御しても、Al濃度0.0001〜0.003 %に調整しないとAlを含有しない酸化物の添加では、Al−Mn酸化物が必要量生成しなかった。

0085

比較例16および17には、Ti濃度を0.05%を越えて添加した場合を示したが、この場合もAl−Mn系酸化物が鋼中に必要量生成しなかった。さらに、比較例18および19に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸により酸素濃度を0.002 〜0.01%に制御しても、Alを含有する酸化物を添加しない場合にはAl濃度の調整が困難であり、結果としてAl−Mn系酸化物が必要量生成しなかった。

0086

比較例20および21には、転炉出鋼時にスラグ改質を実施しなかった場合であるが、SiおよびMnによる予備脱酸濃度が高くなる傾向にあり、Al濃度を制御してかつ該酸化物を添加する、もしくはAlを含有する酸化物を添加しても、Al−Mn系酸化物が鋼中に必要量生成しなかった。

0087

図3に、本例における重量割合での分散酸化物中平均イオウ濃度と溶鋼中イオウ濃度の関係を示す。分散介在物中イオウはMnS もしくはMnを含有するオキシサルファイドを形成しているため、図に示したように溶鋼中イオウ濃度を減少させて分散酸化物中平均イオウ濃度が少なくしたものほど、Al−Mn系酸化物の割合が多くなり、脱硫が進んだ0.002 %以下ではほとんどAl−Mn酸化物となっている。

0088

(実施例3)次に30t電気炉およびVOD装置を用いて本発明を実施した。電気炉により炭素濃度を0.01〜0.25%に調整した後、電気炉からのスラグ流出を抑制するとともに、出鋼時に流出したスラグへ、Al−CaCO3改質剤を添加してスラグ改質を行った。この出鋼時に予備脱酸を主たる目的としてSiおよびMnを添加して所定の濃度に調整した。

0089

その後、VOD装置により減圧下でArガス攪拌を行いながら全酸素濃度を調整した。この場合には、真空度1〜50torr程度を維持しながら10分ないし40分の処理を行った。この際、処理途中に試料採取を行い全酸素濃度を調べるとともに、真空槽内にFe−Si、Fe−Nb、Fe−VおよびFe−B等のAl含有合金鉄によりAl濃度の調整を行うとともに酸化物を添加するか、もしくはAlを含有する酸化物を添加した。また、Tiを添加する場合には、真空槽内にて合金鉄とともに添加を行った。

0090

精錬終了後、取鍋内で試料を採取し、分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。また連続鋳造によりスラブ形状に鋳造後、鋳片試料中に分散した酸化物についても個数と組成を同様の手法で調査した。

0091

なお、このときの溶鋼組成は、上記成分以外は、Cu:0.2 〜0.4 %、Ni:0.2〜0.7 %、Nb:0.02〜0.5 %、V:0.03〜0.09%、およびB:0.0001〜0.0016%であった。

0092

0093

表3の本発明例1および2に示したように、電気炉出鋼後、VOD装置内でSiおよびMnによる予備脱酸を行い酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整した後、さらにAl濃度を調整しつつ、ZrO2・SiO2を添加すれば、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができる。

0094

また表3の本発明例3に示したように、電気炉出鋼後、VOD装置内でSiおよびMnによる予備脱酸を行い酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整した後、さらにAlを含有する Al2O3・TiO2酸化物を添加すれば、Al濃度は0.0001〜0.003 %に制御され、結果として鋼中にAl−Mn系酸化物を分散させることができる。

0095

さらに表3の本発明例4および5に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸後に各酸化物を添加し、さらにTiを添加しても、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができる。

0096

一方、表3の比較例6および7に示したように、電気炉出鋼後、VOD装置内でSiおよびMnによる予備脱酸で酸素濃度を0.002 〜0.01%に調整できなかった場合、さらにAl濃度を調整しつつZrO2・SiO2を添加する、もしくはAlを含有するAl2O3 ・TiO2酸化物を添加しても、鋼塊中Al−Mn系酸化物を分散させることができなかった。

0097

比較例8に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸後、Al濃度を調整することなくAlを含有しない該酸化物を添加しても、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができなかった。

0098

また、比較例9に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸後Al濃度を調整しながら各酸化物を添加しても、Ti濃度が重量割合にして0.05%を越えると、鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができなかった。

0099

さらに比較例10および11に示したように、SiおよびMnによる予備脱酸を行い酸素濃度を調整しても、各酸化物を添加しなかった場合、Al濃度は所定の濃度に調整されない、もしくは必要溶存Al濃度は達成されず、結果として鋼塊中にAl−Mn系酸化物を分散させることができなかった。

発明の効果

0100

以上説明してきたように、本発明によれば、高い溶接熱影響部靱性が要求される厚板用鋼として、Al−Mn酸化物相を有する酸化物が鋼中に微細に分散されたAl−Mn系酸化物分散鋼を溶製する際において、Al−Mn酸化物相を含む酸化物が鋼中に微細に分散したAl−Mn系酸化物分散鋼を安定して溶製することができる。

図面の簡単な説明

0101

図1製鋼温度において種々の酸化物によって形成され酸素ポテンシャルを比較したグラフである。
図2製鋼温度において溶鋼中にAl−Mn系酸化物が安定に存在する領域を示すグラフである。
図3溶鋼中イオウ濃度が分散酸化物中イオウ濃度に及ぼす影響を示すグラフである。

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