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技術 電荷量の測定方法及び電荷量測定装置

出願人 山形日本電気株式会社日本電気株式会社
発明者 矢口洋子山口淳一鈴木功一
出願日 1994年5月31日 (25年4ヶ月経過) 出願番号 1994-119115
公開日 1995年12月12日 (23年10ヶ月経過) 公開番号 1995-325119
状態 特許登録済
技術分野 個々の半導体装置の試験 その他の電気量の測定
主要キーワード 一体化構造体 カップ状金属 金属レール 微少容量 鉛筆形状 ガウスの定理 同芯円状 金属製リード端子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年12月12日)のものです。
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図面 (10)

目的

LSIのような、絶縁体導電体とを含む物体絶縁体部分静電気を帯びたとき、その静電気によって導電体に誘導される電荷のうちの過剰動電荷だけを選択的に、製造工程中のあるべきその場、その状態で精度良く測定する。

構成

金属棒14を容量値既知誘電体4で包み、その上から金属板15で包んで、金属板15を接地電位にする。被測定物から誘電体4迄の配線と誘電体4とを、相互間の相対位置が不変であるように一体化する。金属板15が外部からの電磁誘導遮蔽するので、被測定物から誘電体4までの配線の変形や電磁誘導による測定値の変動はない。又、誘電体4を、被測定電荷の移動経路に沿って分布容量となるような構造にし、誘電体4が被測定物に近い方から順次時間差をもって充電されて行くようにして、被測定物1の高電圧が瞬間的に電圧計5に加わのを防ぎ、被測定電荷が電圧計5を通してグランド漏れるのを防止する。

概要

背景

近年、各種LSIに見られるように、半導体装置の高機能化とこれに伴う高密度化進展は著しく、1チップ当り素子数指数関数的に増大してきている。そしてこれと共に、半導体装置を構成する各素子はそのサイズが極めて小さくなり、電界に対する耐性が低下してきている。一例として、家庭用電気製品に搭載されるLSIでさえ、これを構成する素子の平面寸法が1μmを下回るようになってきており、又、例えばMOSトランジスタゲート絶縁膜厚pn接合の深さなど、断面方向の寸法も0.05μmを下回っている。これに加えて、半導体装置(以下、LSIで代表させる)の静電破壊耐量を低下させるもう一つの要因として、厚さが1mm以下というような薄型でしかも大型のパッケージを用いた製品も実用化され、パッケージの静電容量、換言すれば保持される静電エネルギー量も飛躍的に増加してきている。このような状況のもとで、LSIの静電気による破壊を防止することは、非常に重要な課題となってきている。

静電気によるLSIの破壊は、後述するように、リード端子帯電した電荷が移動することに伴なって、LSI内部の各構造部分へエネルギーが供給され、又は、蓄積された電荷が強電界を形成することにその直接原因を求められるのであるが、破壊に至る過程中間段階に介在するパッケージの帯電現象が重要な役割を果す。製造工程中で或いは取扱い中にLSIが帯電し破壊するメカニズムとして、通常、下記の二つのモードが考えられている。

第1のモードは、LSI外部の高圧帯電体からLSIのリード端子への直接的な放電火花放電または接触放電)であり、その放電エネルギーや電荷がLSIを破壊させる。高圧帯電体としては、TVのCRTや、或いは摩擦帯電した人体絶縁物などが挙げられる。摩擦帯電した絶縁物には、例えばプラスチックマガジンのような製造工程中で用いられる治工具類あるいは、印刷配線基板ICソケットのような実装用部品類などがある。又、樹脂セラミックのような絶縁性パッケージ封止されたLSI自体も含まれる。

第2のモードは、絶縁性のパッケージが帯電し又は充電され、その帯電により金属製リード端子静電誘導された電荷がグランドに向って放電(この場合も火花放電または接触放電)することによるエネルギーの供給や、強電界の形成に基づく破壊である。従って、このモードでのLSIの破壊は、LSIとグランドとの相対位置関係およびパッケージの帯電量に密接に関係している。このモードにおけるパッケージの帯電には、第1モードでの放電の結果として起る場合と、それとは別に、LSIの製造工程中あるいは実装作業中などでのLSIの取り扱いに付随して必然的に発生する場合とがある。すなわち、第1モードでの放電エネルギーや電荷量がLSI内部の微小構造部分を破壊させるに十分な量であったとしても、放電の時定数が長いときは、LSI内部に熱エネルギーや電荷の集中が起らず、LSIが破壊されないまま大きな電荷が残留する。一方、LSIの製造工程、特に通常「後工程」と呼ばれる組み立て工程や検査工程では、(パッケージに封入された)LSIを高圧エアーを使った吸着ノズル吸着して移動させたり、長尺レール上を滑らせるなどして移動させる作業が必ず行われる。このとき、LSIと空気あるいはレールとの摩擦によって、LSIのパッケージが帯電する。摩擦帯電はその外にも、LSIがマガジンとよばれるケース収納されているときであっても、マガジンとLSIとが擦れ合って発生する。又、たとえLSIが静止しているときでも、例えば検査工程での低温温度特性検査などでは、結露防止のために乾燥空気をLSIに吹き付けるので、このような場合にもパッケージの摩擦帯電が生じる。

上記のようなLSIの静電気による破壊に対して、第1モードでの破壊については、従来、LSIチップへの保護回路の付加や内蔵およびその回路の工夫・改良、リストストラップに代表される人体内電荷の除電あるいはイオナイザーによる帯電防止など、さまざまな対策がなされ効果を上ている。問題は、第2モードでの破壊に対する対策であるが、どのような対策を講じるにしろ、LSIを帯電破壊させるに至るエネルギー或いは電荷量を正確に把握することが欠かせない。本発明は、主に、このような必要性に基づいてなされたものである。

上記のような必要性に対し、主な測定対象をLSIに絞った電荷量(延いては静電エネルギー量)測定方法または測定装置は、これまで特には見当たらない。このようなことから、従来、他の技術分野で用いられる測定装置をLSIでの測定に流用しているのが現状である。例えば、良く知られているファラデーケージがある。これは物体に帯電した静電電荷量を測定する装置であって、図7(a)に示されるように、被測定物(例えば、LSI)1を入れるカップ状の金属板2とこれと同芯円状接地電位にされた金属板3とで、一定の容量値Cを持つ誘電体4を挟んだ構造となっている。被測定物1を内側のカップ状金属板2の中に入れると、静電誘導によって金属板2と金属板3との間に電位差Vが生じるので、この電位差Vを電圧計5によって測定することにより、被測定物1の静電電荷量Qを、Q=CVによって求める装置である。ファラデーケージはその動作原理から明かなように、ガウスの定理をそのまま実現したものであり、被測定物1として例えばLSIを選べば、内部にリード端子が有ろうと無かろうとそのこととは無関係に、パッケージ表面に帯電した全静電電荷量を測定できる。

又、特開昭53ー116182号公報には、被測定物の静電荷誘導する集電部に自己放電式除電器を用いたことを特徴とする静電電荷量測定装置が開示されている。これは、図7(b)に示すように、例えばブラシ状の自己放電式除電器6に被測定物1の電荷を誘導し、これを一定の容量値Cを持つ誘電体4に蓄積させ、そのときの電位差Vと容量値Cとから、Q=CVによって被測定物の静電電荷量Qを測定するものである。この装置は、同公報にも記載されているように、ファラデーケージの欠点を改善しようとするものである。すなわち、ファラデーケージでは、その形状からして、被測定物をサンプリングしてカップ状金属中に持ち込まなければならない。このことから、被測定物が本来あるべきその場、その状態での測定ができない、被測定物の形状に制限が加わったり、例えば長尺物におけるように、被測定物によっては測定不能な場合がある、更には、サンプリング時の各種摩擦の発生状況の変動によって測定値が変動し、測定精度が十分でなかったりするが、上記公報記載の静電電荷量測定装置によれば、ファラデーケージのそのような欠点が解消する。

ファラデーケージ或いは上記公報記載の静電電荷量測定装置を用いれば、多少の改善、工夫は当然必要ではあるものの、帯電したLSIパッケージの全静電電荷量を測定することは可能である。

概要

LSIのような、絶縁体導電体とを含む物体の絶縁体部分が静電気を帯びたとき、その静電気によって導電体に誘導される電荷のうちの過剰動電荷だけを選択的に、製造工程中のあるべきその場、その状態で精度良く測定する。

金属棒14を容量値既知の誘電体4で包み、その上から金属板15で包んで、金属板15を接地電位にする。被測定物から誘電体4迄の配線と誘電体4とを、相互間の相対位置が不変であるように一体化する。金属板15が外部からの電磁誘導遮蔽するので、被測定物から誘電体4までの配線の変形や電磁誘導による測定値の変動はない。又、誘電体4を、被測定電荷の移動経路に沿って分布容量となるような構造にし、誘電体4が被測定物に近い方から順次時間差をもって充電されて行くようにして、被測定物1の高電圧が瞬間的に電圧計5に加わのを防ぎ、被測定電荷が電圧計5を通してグランドに漏れるのを防止する。

目的

従って本発明は、LSIのリード端子の過剰動電荷量だけを、製造工程でのあるべきその場、あるべきその状態において、しかもリード端子ごとに測定する方法およびその実施に用いる測定装置を提供することを目的とするものである。

本発明の他の目的は、上記のような過剰動電荷の測定方法および測定装置を用いて、LSIのリード端子とグランドとの間の浮遊容量を測定し、更には、パッケージが帯電したLSIのリード端子に蓄積される静電エネルギー量を求め、また、LSIに静電気破壊を引き起すに足る静電エネルギー又は電荷量を測定する方法およびその実施に用いる測定装置を提供することである。

本発明はまた、過剰動電荷量および静電電荷量の測定装置において、被測定物から測定系までの配線の変形や電磁誘導などに起因する測定値の変動のない、精度の高い電荷量測定装置を提供することを目的とするものである。

本発明は更に、過剰動電荷量および静電電荷量の測定装置において、被測定電圧が高電圧であることに起因して、被測定電荷の一部が測定部を通して電荷変換部位外に漏れることに基づく測定精度の低下を防止した、精度の高い測定装置を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

絶縁体導電体とを含んで構成される被測定物接地電位体近接して配置されていると共に、前記被測定物の絶縁体が静電荷を帯び、前記導電体に過剰動電荷とこれと等量で反対符号固定電荷とを誘導しているとき、一方の電極接地電位に保った容量値既知キャパシタの他方の電極と前記導電体との間で接触放電あるいは火花放電などのような放電を発生させることによって、前記導電体に誘導された電荷のうちの過剰動電荷だけを選択的に前記キャパシタに蓄積させて電圧に変換し、その変換された電圧Vと前記キャパシタの容量値Cとから、前記過剰動電荷の量QをQ=CVにより算出することを特徴とする電荷量の測定方法

請求項2

絶縁体と導電体とを含んで構成される被測定物の前記絶縁体が静電荷を帯びているとき、その静電荷によって前記導電体に誘導された電荷のうちの過剰動電荷の量Qを請求項1記載の電荷量の測定方法によって求める工程と、前記被測定物の前記導電体に接地電位に対して任意に定めた所定の電圧を印加した後、前記導電体と接地電位体との間に蓄積された電荷量を請求項1記載の電荷量の測定方法によって測定し、その測定された蓄積電荷量と既知の前記印加電圧とから前記導電体と前記接地電位体との間の容量値CL を求める工程とを少なくとも含み、前記過剰動電荷量Qと、前記導電体と接地電位体との間の容量値CL とから、前記被測定物の前記絶縁体が帯電しているときに前記導電体に蓄積されている静電エネルギーEを、E=(1/2)・Q2 /CLにより算出することを特徴とする静電エネルギーの測定方法。

請求項3

請求項2記載の静電エネルギーの測定方法において、前記導電体に対する電圧の印加とその印加電圧における前記蓄積電荷量の測定とを前記被測定物が破壊するまで繰り返し実施することにより、前記被測定物が破壊する電圧における静電エネルギーを求めることを特徴とする静電エネルギーの測定方法。

請求項4

被測定物に蓄積されている電荷を、接触放電又は火花放電などにより放電させ誘導する探針と、前記探針によって誘導された前記電荷を蓄積するための、一方の電極が接地電位にされた容量値既知のキャパシタと、前記キャパシタの電極間電圧を測定する手段とを備えた電荷量測定装置

請求項5

請求項4記載の電荷量測定装置において、前記キャパシタが、前記探針によって誘導される被測定電荷の移動経路に沿って、分布容量構造又は微少容量値の複数のキャパシタの並列接続構造となっていることを特徴とする電荷量測定装置。

請求項6

請求項4又は請求項5記載の電荷量測定装置において、少くとも、前記探針と、前記探針から前記キャパシタに至る経路と、前記キャパシタとが、相互間の相対位置が不変であるように一体化構造にされていると共に、前記一体化構造体に対して外部からの電磁遮蔽が施されている構造であることを特徴とする電荷量測定装置。

請求項7

請求項6記載の電荷量測定装置において、前記電磁遮蔽が施された一体化構造体の構造が、金属棒と、前記金属棒をその一方の端部が露出するように包む容量値既知の誘電体と、前記誘電体を包む金属板とを含んでなり、前記金属棒の露出部を前記被測定電荷の集電部とし、前記金属棒の他方の端部を前記電極間電圧測定手段との接続部とする構造であることを特徴とする電荷量測定装置。

請求項8

請求項6記載の電荷量測定装置において、前記電磁遮蔽が施された一体化構造体が、金属棒と、この金属棒に平行な金属板と、前記金属棒と前記金属板との間に合成容量値が所定容量値となるように並列接続された複数のキャパシタと含んでなり、前記金属棒の一方の端部を前記被測定電荷の集電部とし、他方の端部を前記電極間電圧測定手段との接続部とする構造であることを特徴とする電荷量測定装置。

請求項9

請求項7又は請求項8記載の電荷量測定装置において、前記探針により誘導された前記被測定電荷を、抵抗体を介して前記キャパシタに蓄積するように構成したことを特徴とする電荷量測定装置。

請求項10

請求項7、請求項8又は請求項9記載の電荷量測定装置において、前記キャパシタの電極間電圧を、高インピーダンスから低インピーダンスへのインピーダンス変換回路を介して測定するように構成したことを特徴とする電荷量測定装置。

請求項11

請求項7又は請求項8記載の電荷量測定装置と、前記被測定物に電圧を印加するための直流電源と、前記金属棒の前記電極間電圧測定手段との接続部を、前記直流電源および前記電極間電圧測定手段に切り換えて接続するための切換え手段とを備える静電エネルギー測定装置

請求項12

請求項11記載の静電エネルギー測定装置において、前記直流電源の出力電圧可変であることを特徴とする静電エネルギー測定装置。

技術分野

0001

本発明は、電荷量の測定方法及び電荷量測定装置に関し、特に、例えばLSIのパッケージリード端子とのように、絶縁体導電体とを含んでなる被測定物の、絶縁体部分帯電した静電荷により導電体部分誘起される電荷の量あるいは静電エネルギーの測定に用いて有効な、電荷量の測定方法およびその実施に用いられる電荷量測定装置に関する。

背景技術

0002

近年、各種LSIに見られるように、半導体装置の高機能化とこれに伴う高密度化進展は著しく、1チップ当り素子数指数関数的に増大してきている。そしてこれと共に、半導体装置を構成する各素子はそのサイズが極めて小さくなり、電界に対する耐性が低下してきている。一例として、家庭用電気製品に搭載されるLSIでさえ、これを構成する素子の平面寸法が1μmを下回るようになってきており、又、例えばMOSトランジスタゲート絶縁膜厚pn接合の深さなど、断面方向の寸法も0.05μmを下回っている。これに加えて、半導体装置(以下、LSIで代表させる)の静電破壊耐量を低下させるもう一つの要因として、厚さが1mm以下というような薄型でしかも大型のパッケージを用いた製品も実用化され、パッケージの静電容量、換言すれば保持される静電エネルギー量も飛躍的に増加してきている。このような状況のもとで、LSIの静電気による破壊を防止することは、非常に重要な課題となってきている。

0003

静電気によるLSIの破壊は、後述するように、リード端子に帯電した電荷が移動することに伴なって、LSI内部の各構造部分へエネルギーが供給され、又は、蓄積された電荷が強電界を形成することにその直接原因を求められるのであるが、破壊に至る過程中間段階に介在するパッケージの帯電現象が重要な役割を果す。製造工程中で或いは取扱い中にLSIが帯電し破壊するメカニズムとして、通常、下記の二つのモードが考えられている。

0004

第1のモードは、LSI外部の高圧帯電体からLSIのリード端子への直接的な放電火花放電または接触放電)であり、その放電エネルギーや電荷がLSIを破壊させる。高圧帯電体としては、TVのCRTや、或いは摩擦帯電した人体絶縁物などが挙げられる。摩擦帯電した絶縁物には、例えばプラスチックマガジンのような製造工程中で用いられる治工具類あるいは、印刷配線基板ICソケットのような実装用部品類などがある。又、樹脂セラミックのような絶縁性パッケージ封止されたLSI自体も含まれる。

0005

第2のモードは、絶縁性のパッケージが帯電し又は充電され、その帯電により金属製リード端子静電誘導された電荷がグランドに向って放電(この場合も火花放電または接触放電)することによるエネルギーの供給や、強電界の形成に基づく破壊である。従って、このモードでのLSIの破壊は、LSIとグランドとの相対位置関係およびパッケージの帯電量に密接に関係している。このモードにおけるパッケージの帯電には、第1モードでの放電の結果として起る場合と、それとは別に、LSIの製造工程中あるいは実装作業中などでのLSIの取り扱いに付随して必然的に発生する場合とがある。すなわち、第1モードでの放電エネルギーや電荷量がLSI内部の微小構造部分を破壊させるに十分な量であったとしても、放電の時定数が長いときは、LSI内部に熱エネルギーや電荷の集中が起らず、LSIが破壊されないまま大きな電荷が残留する。一方、LSIの製造工程、特に通常「後工程」と呼ばれる組み立て工程や検査工程では、(パッケージに封入された)LSIを高圧エアーを使った吸着ノズル吸着して移動させたり、長尺レール上を滑らせるなどして移動させる作業が必ず行われる。このとき、LSIと空気あるいはレールとの摩擦によって、LSIのパッケージが帯電する。摩擦帯電はその外にも、LSIがマガジンとよばれるケース収納されているときであっても、マガジンとLSIとが擦れ合って発生する。又、たとえLSIが静止しているときでも、例えば検査工程での低温温度特性検査などでは、結露防止のために乾燥空気をLSIに吹き付けるので、このような場合にもパッケージの摩擦帯電が生じる。

0006

上記のようなLSIの静電気による破壊に対して、第1モードでの破壊については、従来、LSIチップへの保護回路の付加や内蔵およびその回路の工夫・改良、リストストラップに代表される人体内電荷の除電あるいはイオナイザーによる帯電防止など、さまざまな対策がなされ効果を上ている。問題は、第2モードでの破壊に対する対策であるが、どのような対策を講じるにしろ、LSIを帯電破壊させるに至るエネルギー或いは電荷量を正確に把握することが欠かせない。本発明は、主に、このような必要性に基づいてなされたものである。

0007

上記のような必要性に対し、主な測定対象をLSIに絞った電荷量(延いては静電エネルギー量)測定方法または測定装置は、これまで特には見当たらない。このようなことから、従来、他の技術分野で用いられる測定装置をLSIでの測定に流用しているのが現状である。例えば、良く知られているファラデーケージがある。これは物体に帯電した静電電荷量を測定する装置であって、図7(a)に示されるように、被測定物(例えば、LSI)1を入れるカップ状の金属板2とこれと同芯円状接地電位にされた金属板3とで、一定の容量値Cを持つ誘電体4を挟んだ構造となっている。被測定物1を内側のカップ状金属板2の中に入れると、静電誘導によって金属板2と金属板3との間に電位差Vが生じるので、この電位差Vを電圧計5によって測定することにより、被測定物1の静電電荷量Qを、Q=CVによって求める装置である。ファラデーケージはその動作原理から明かなように、ガウスの定理をそのまま実現したものであり、被測定物1として例えばLSIを選べば、内部にリード端子が有ろうと無かろうとそのこととは無関係に、パッケージ表面に帯電した全静電電荷量を測定できる。

0008

又、特開昭53ー116182号公報には、被測定物の静電荷を誘導する集電部に自己放電式除電器を用いたことを特徴とする静電電荷量測定装置が開示されている。これは、図7(b)に示すように、例えばブラシ状の自己放電式除電器6に被測定物1の電荷を誘導し、これを一定の容量値Cを持つ誘電体4に蓄積させ、そのときの電位差Vと容量値Cとから、Q=CVによって被測定物の静電電荷量Qを測定するものである。この装置は、同公報にも記載されているように、ファラデーケージの欠点を改善しようとするものである。すなわち、ファラデーケージでは、その形状からして、被測定物をサンプリングしてカップ状金属中に持ち込まなければならない。このことから、被測定物が本来あるべきその場、その状態での測定ができない、被測定物の形状に制限が加わったり、例えば長尺物におけるように、被測定物によっては測定不能な場合がある、更には、サンプリング時の各種摩擦の発生状況の変動によって測定値が変動し、測定精度が十分でなかったりするが、上記公報記載の静電電荷量測定装置によれば、ファラデーケージのそのような欠点が解消する。

0009

ファラデーケージ或いは上記公報記載の静電電荷量測定装置を用いれば、多少の改善、工夫は当然必要ではあるものの、帯電したLSIパッケージの全静電電荷量を測定することは可能である。

発明が解決しようとする課題

0010

上述したように、特開昭53ー116182号公報記の静電電荷量測定装置あるいはファラデーケージを流用すれば、LSIのパッケージに帯電した全静電電荷量を測定することが可能であり、その測定結果をLSIの静電気破壊防止対策立案の資とすることができる。しかしながら、測定対象をLSIに限定して考えた場合、LSIに静電気破壊をもたらすものが、リード端子を通してLSI内部の各構造部分に供給される放電エネルギー又は電荷の蓄積に伴う強電界の形成であることを考慮すると、LSIパッケージに帯電した全静電電荷量ではなく、リード端子を通してグランドに流れる過剰動電荷(後述する)又はリード端子とグランドとの間の浮遊容量に蓄積される静電エネルギーを、直接しかも各リード端子ごとに測定する方が、LSIの静電気破壊防止により直接的に結び付く。以下に、本発明者らの研究結果に基づいて、過剰動電荷の考え方と、その過剰動電荷が前述した第2モードでの静電気破壊に果す役割とを述べ、過剰動電荷量測定の有効性について説明する。

0011

始めに、過剰動電荷の概念について説明する。過剰動電荷は、新しく発見された電荷でも概念でもなく、多くの電気磁気学教科書の冒頭にでてくる静電誘導現象のうちの一つの電荷に名称をつけたものである。図8(a)に示すようなある形のグランド面7で囲まれた空間に電荷量Qがあるとき、この空間には、電荷量Qと空間を占る物質比誘電率および、電荷量Qとグランド面までの距離により決まる電場が形成され、それぞれの場所ごとに電位が定まる。いま、この空間に中性の小さな金属片8を入れたとする。金属片8の電位は、その位置の、金属片を入れる前の電位となる。

0012

次いで、図8(b)に示すように、細い導線9で金属片8を接地すると、金属片8及び導線9の位置の電位を0とするように、正の電荷が金属片8からグランド7に流れ出て同じ量の負の電荷が残る。又は、反対の表現で、グランド7から負の電荷が流れ込む。どちらの表現でも構わないが、両方の表現を混在させるとまぎらわしいので、今後、前者の「流れ出す」を使うこととし、この流れ出す電荷に「過剰動電荷」という名前をつける。金属片8をグランド7に接続したときに流れ出る過剰動電荷の量は、金属片8をグランド7に接続した後に定まる電場に対応する量である。この量は、グランド7に接続した金属片8の電位が0になるように残った負の電荷の量に等しい。これまでの説明から明かなように、過剰動電荷量は、帯電部位(電荷量Qの位置)、金属片8及びグランド面7相互間の相対位置関係と、帯電電荷量Qとに密接に関係している。従って、過剰動電荷量を測定する場合には、被測定物があるべきその場、その状態で測定しなければならない。

0013

次に、上記の考え方に基づいて、パッケージが帯電したLSIの過剰動電荷による破壊のモデル図9に示す。同図を参照して、絶縁性の樹脂(パッケージ)10の中に、2本の金属製リード端子11L ,11R と、その中間に金属製ワイヤー12で接続されたpn接合(LSIの構造部分の一例)が配置されている。樹脂10表面には、製造工程中の摩擦あるいは第1モードでの放電などにより、正の静電荷が帯電している。同図には、この樹脂10表面の静電荷によって、リード端子11L ,11R やワイヤー12、チップの一部に負の電荷が誘導固定化し、正の電荷が過剰動電荷となるイメージを描いた。始めの状態では、左右のリード端子11L ,11R 、ワイヤー12及びpn接合とも全て同電位である。次に、右側のリード端子11R が、火花放電あるいは接触放電によって接地電位になったとすると、全ての過剰動電荷は、グランドに向って極めて早い速度で移動する。その移動速度は回路の分布定数で定まることになるが、pn接合部は降伏状態であってもリード端子11L ,11R やワイヤー12に比べて高い抵抗または電位障壁を持つので、過剰動電荷が全て流出しつくすまでは、左右のリード端子間またはpn接合の両端には電位差が加わり続ける。LSIの静電気による破壊は、接合型であれば、この電位差の間を過剰動電荷が通過する際に残す熱エネルギーにより、MOS型であれば、過剰動電荷が作る電界中の電位差そのものによって発生する。

0014

上述の過剰動電荷の量は、樹脂10表面の正の静電荷に誘導された電荷であるので、前述したファラデーケージや特開昭53ー116182号公報記載の静電電荷量測定装置によって樹脂表面の静電電荷量を測定することにより、知ることはできる。但し、この方法によってLSIの過剰動電荷量を見積る場合、以下の点を考慮しなければならない。
LSIパッケージの帯電状態およびLSIとグランドとの相対位置関係、したがってリード端子の過剰動電荷量は、製造工程、検査工程での置かれた状態ごと或いは取り扱いの仕方ごとによって大きく異なるので、あるべきその場、あるべきその状態のままで測定しなければならない。この点から、ファラデーケージは、LSIの過剰動電荷量測定には実際上適用不可能であるといえる。
一般に、絶縁体表面の静電荷は移動しにくく、したがって分布が不均一になることが多い。そのような場合は、たとえLSIパッケージの全静電電荷量が分ったとしても、リード端子ごとの過剰動電荷量はその静電電荷量から見積ることは難しい。このような場合はどうしても、リード端子に誘導される過剰動電荷量を直接測定しなければならない。この観点から、特開昭53ー116182号公報記載の静電電荷量測定装置は、集電部として用いた自己放電式除電器の集電効果を高めるためにブラシ式の電極を用いているので、LSIのようにピッチの極く狭いリード端子ごとの過剰動電荷量を測定する用途には、実際上使用不能である。

0015

これまでの説明から明かなように、製造工程の設備・治工具あるいはLSI自体のパッケージやチップを、LSIを破壊させことのないように設計したり、またLSIの取り扱い方法を検討するためには、LSIの製造工程中で、あるべきその場、あるべきその状態における、リード端子ごとの過剰動電荷量を正確に測定する方法および装置が欠かせない。

0016

尚、一般に静電気は、電位は高いものの電荷量としては小さい場合が多い。例えば図7(b)において、被測定物1の容量C1 の値が1pFで、帯電した電荷量Q1 が10nCであるとすると、被測定物1の接地電位に対する電圧V1 は、V1 =Q1 /C1 =10×10-9/1×10-12 (C/F)=10,000Vにもなる。このような微少電荷高電圧の被測定物を測定するには、測定系はその回路形式がどのようなものであれ、その点を十分に考慮したものでなくてはならない。すなわち、電荷変換部(測定系のうち、被測定電荷を蓄積し又は流して、電圧または電流に変換する部分をこのように呼ぶこととする。図7(b)の場合は誘電体4)のインピーダンス(つまり、誘電体4の静電容量の逆数)は、被測定物のインピーダンスに比べて実質上0と見做せる程度に十分低くなくてはならない。若しそうでないと、被測定電荷は、全量が誘電体4に誘導・蓄積されることにならず、被測定物の容量値に応じた量が被測定物に残り、正しい測定が行われないことになってしまう。一方、測定部(測定系のうち、変換部の電圧または電流を測定する部分をこのように呼ぶこととする。この場合は、電圧計5)は、入力インピーダンスが十分に高く、しかも耐圧が十分に大きくなくてはならない。これらは、微少電荷を全量確実に変換部に誘導するために必要である。測定部の入力インピーダンスが低かったり内部抵抗不足していると、ただでさえ微少な被測定電荷が測定部の方に漏れ、測定精度が低下してしまう。

0017

一方、測定系が上記のような条件を満たすとき、被測定物から測定系までの配線系にも十分な配慮が払われなければならない。例えば、図7(b)において、被測定物1から電圧計5までの配線13に裸線を用いると、外部からの電磁波の誘導を拾い易い。この誘導による電圧は電圧計5の高い入力インピーダンスに加わり電圧測定値を変動させる。一方、電磁誘導の影響を避けるため、配線13を同軸ケーブルなどにすると、測定のためにケーブルを動かしたときに発生するピエゾ効果により、やはり配線13に電圧が生じ電圧計5の測定値が変動してしまう。

0018

測定系および配線系に対するこのような配慮は、LSIの過剰動電荷の測定のみならず、測定対象がどのようなものであれ、一般に微少電荷高電圧の静電荷の量を測定する際にも必要なことである。

0019

従って本発明は、LSIのリード端子の過剰動電荷量だけを、製造工程でのあるべきその場、あるべきその状態において、しかもリード端子ごとに測定する方法およびその実施に用いる測定装置を提供することを目的とするものである。

0020

本発明の他の目的は、上記のような過剰動電荷の測定方法および測定装置を用いて、LSIのリード端子とグランドとの間の浮遊容量を測定し、更には、パッケージが帯電したLSIのリード端子に蓄積される静電エネルギー量を求め、また、LSIに静電気破壊を引き起すに足る静電エネルギー又は電荷量を測定する方法およびその実施に用いる測定装置を提供することである。

0021

本発明はまた、過剰動電荷量および静電電荷量の測定装置において、被測定物から測定系までの配線の変形や電磁誘導などに起因する測定値の変動のない、精度の高い電荷量測定装置を提供することを目的とするものである。

0022

本発明は更に、過剰動電荷量および静電電荷量の測定装置において、被測定電圧が高電圧であることに起因して、被測定電荷の一部が測定部を通して電荷変換部位外に漏れることに基づく測定精度の低下を防止した、精度の高い測定装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0023

本発明の電荷量の測定方法は、絶縁体と導電体とを含んで構成される被測定物が接地電位体近接して配置されていると共に、前記被測定物の絶縁体が静電荷を帯び、前記導電体に過剰動電荷とこれと等量で反対符号固定電荷とを誘導しているとき、一方の電極を接地電位に保った容量値既知キャパシタの他方の電極と前記導電体との間で接触放電あるいは火花放電などのような放電を発生させることによって、前記導電体に誘導された電荷のうちの過剰動電荷だけを選択的に前記キャパシタに蓄積させて電圧に変換し、その変換された電圧Vと前記キャパシタの容量値Cとから、前記過剰動電荷の量QをQ=CVにより算出することを特徴とする。

0024

このような測定方法は、被測定物に蓄積されている電荷を、接触放電又は火花放電などによって放電させ誘導する探針と、この探針によって誘導された電荷を蓄積するための、一方の電極が接地電位にされた容量値既知のキャパシタと、キャパシタの電極間電圧を測定する手段とを備えた電荷量測定装置により実施される。

0025

本発明の電荷量測定装置は、上記の構成に加えて、キャパシタが、探針によって誘導される被測定電荷の移動経路に沿って、分布容量構造又は微少容量値の複数のキャパシタの並列接続構造となっているようにしているので、被測定電荷の高い電圧による電圧計の破壊や被測定電荷の漏出を防ぐことができ、その分、測定精度が高いができる。

0026

又、少くとも、探針と、探針からキャパシタに至る経路と、キャパシタとを、相互間の相対位置が不変であるように一体化構造にすると共に、その一体化構造体に対して外部からの電磁遮蔽を施しているので、被測定物からキャパシタ迄の配線の変形や配線に加わる電磁誘導に起因する測定値の変動が防がれる。

0027

上記のような、配線系と測定系とを固定・一体化構造にすることと、被測定電荷蓄積用キャパシタ容量を分布容量化することとは、測定対象がLSIのリード端子に誘導された過剰動電荷である場合に限らず、一般にその量が微少で高電圧である静電荷の量を測定する場合にも測定精度向上効果をもたらす。

0028

次に、本発明の好適な実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施例による電荷量測定装置の断面図である。図1を参照して、この測定装置は、先端がったステンレス製金属棒(長さ;150mm)14を、誘電体4で包み、更にその外側をステンレス製の金属板15で包んで、被測定物に近接または接触させる探針と、電荷蓄積用キャパシタと、探針からキャパシタ迄の配線とを一体化した、鉛筆形状の構造となっている。誘電体4は、厚さ0.05mmのセラミック(比誘電率;8.5)からなり、金属棒14と金属板15との間の容量値は1,000pFである。LSIの場合、比較的高く帯電した場合でも、リード端子の過剰動電荷量は数nC程度である。又、リード端子の静電容量は、パッケージにより大小あるが、大略、数pF程度である。上記のような微少電荷量の測定を目的とすることから、本実施例では、リード端子の容量値に対して誘電体4の容量値を数百倍と十分大きくして、そのインピーダンスを無視できるようにした。すなわち、誘電体4に被測定電荷が移された後に被測定物1に残る電荷量が、誘電体4に蓄積された電荷量に対して無視できる程度に小さくなるようにして、測定精度を高めた。外側の金属板15の太さは、直径20mmφである。

0029

この測定装置で被測定物の過剰導電荷量Qを測定するには、外側の金属板15を接地電位にし、金属棒14の尖った先端を被測定物に近接または接触させて過剰動電荷を誘電体4に蓄積させ、そのときの金属棒14と金属板15との間の電圧値Vと誘電体4の容量値CとからQ=CVで求めるのであるが、全体が金属板15で包まれその金属板15が接地電位にされているので、外部からの電磁誘導を遮断できる。又、探針と配線とを兼ねた金属棒14は剛体であるので、探針や配線の変形、撓みによる測定値の変動もない。尚、本実施例では、誘電体4として硬度の高いセラミックを用いているが、外側の金属板15が剛体であるので、誘電体4は必らずしも剛性を持つものではなく、弾性体あるいは塑性体であっても、配線の変形、撓みは生じない。

0030

図2は、上記の測定装置をLSIの製造工程に適用した例を示す図である。この例では、図2(a)に示すように、LSI16を斜めに設置した金属レール17上を滑らせ、上から下へ搬送した場合に発生するリード端子の過剰動電荷を測定した。このような搬送方法は、LSIの製造工程中ではよく用いられる方法である。先ず、図1に示すように、測定装置最外側の金属板15をグランドに接続し、内側の金属棒14の末端とグランドとの間に電圧計5を接続した上で、金属棒14と金属板15とを短絡させ誘電体4を十分放電させる。次に、図2(b)に示す部分拡大図のように、金属棒14の尖った先端をレール17を滑り降りてきたLSI16のリード端子18に接触させ、そのときの電圧計5の値を読み、Q=CVにより、過剰動電荷量Qを算出する。電圧計5の指示値は、電圧値Vを容量値Cで換算して、電荷量Qが直読できるような表示にしてもよい。

0031

図1に示す測定装置では、金属棒14と金属板15との間のキャパシタは、被測定物との接触点(金属棒14の尖った先端)から電圧計5の入力部(金属棒14末端部)までの経路に沿った分布容量となっている。従って、上記の測定過程中、被測定電荷のリード端子から金属棒14への移動はピコ秒オーダー高速で行われるが、誘電体4は、金属棒14先端からの距離に応じた配線抵抗によって生じる時定数差によって、被測定点(金属棒14先端)に近い方から順次時間差をもって充電されて行く。そのため、たとえリード端子の帯電時の電位が非常に高電位であるとしても、その高電位が瞬間的に電圧計5に加わることはなく、電圧計5が破壊することはない。又、被測定電荷が誘電体4に蓄積される前に電圧計5を通してグランドに漏れてしまうこともなく、全量誘電体4に蓄積される。例えば、被測定物としてのリード端子の容量が1pF、過剰動電荷量が10nCであるとすると、このリード端子は10,000Vに帯電している。いま、上述したような誘電体4の分布容量的な順次充電がないとすると、金属棒14先端をリード端子に接触させた瞬間に金属棒14末端の電圧が10,000Vになることになる。その結果、電圧計5に10,000Vもの電圧が瞬間的に加わり、この印加電圧と電圧計5の内部抵抗とによって決る量の被測定電荷が、電圧計5を通じてグランドに流れてしまうことになる。すなわち、たとえ電圧計5の破壊を免れたとしても、被測定電荷の一部が誘電体4に蓄積されずに電圧計5に漏れてしまい、被測定電荷量を正確に測定できなくなる。

0032

本実施例においては、誘電体4の構造を分布容量となるようにしたが、勿論、図3(a)に示すように、集中定数的に、容量値既知の微小キャパシタを並列に接続して所定の容量値となるように構成してもよい。但しその場合は、各微小キャパシタごとの時定数の差が確実に表れるように、それぞれの微小キャパシタに抵抗体rを直列に接続する方が好ましい。或いは、金属棒14の抵抗値を適当に設計することによって、金属棒14自体の抵抗により、被測定電荷の移動経路に沿う抵抗値が順次増大するようにして、各微小キャパシタが段階的に充電されて行くようにしてもよい。更には、図3(b)に示すように、金属棒14末端部と電圧計5との間に抵抗体R1 を設けると、電圧計5への急峻な電圧印加をより確実に緩和して、電圧計5の破損および被測定電荷の漏れを改善できる。又、図3(c)に示すように、抵抗体R2 を、金属棒14先端部と誘電体4との間に設けても同様の効果が得られる。但し、この抵抗体はR2 は、当然のことながら、金属棒14や誘電体4と共に一体化しなければならない。なお又、これまでの各種の構造において、電圧計5の前段に、高い入力インピーダンスを低いインピーダンスに変換する増幅回路インピーダンス変換回路を設け、この回路も金属棒14および誘電体4と共に固定・一体化すると、一体化部分から電圧計5入力部までの配線への電磁誘導や配線の変形・撓みなどによる測定値の変動も除去できるので、測定精度をより高めることができる。

0033

尚、本実施例では、金属棒14をプローブと配線とを兼て、先端から末端までを一本の剛体で構成したが、先端部分の形状や構造を工夫することによって、様々な使い方ができる。例えば先端部分に、リン青銅のようなばね性金属あるいはカーボンを添加した導電性ゴムなどのような、弾性のある細い導電体部分を設ければ、図4に示すように、測定装置を製造工程現場に固定して、金属レール17を滑り降りてくるLSI16のリード端子18の過剰動電荷を連続的に測定することができる。又、図5に示すように、先端にドーナツ状の金属板19を取り付けた円筒状の絶縁体20を複数個用い、それらを例えば自動車携帯ラジオなどにおける伸縮棒アンテナのように組み合せれば、被測定物の形状がLSIのリード端子のように線状で面積の小さい場合のみならず、或る程度の面積がある場合でも、その面積に合せて最適な接触面積を選択することができる。上記いずれの変形例においても、電荷を蓄積するための電気蓄積部21は、キャパシタと配線とが一体化されていれば、図1に示すような分布容量型の構成であってもよいし、或いは、図3(a),(b),(c)に示すような、集中定数型の構成であってもよい。

0034

又これまでは、被測定物が絶縁体部分と導電体部分とが混在する構造であるときに、導電体部分に誘導された電荷のうちの過剰動電荷を測定する場合について説明したが、これまでの説明から明かなように、被測定点から誘電体までの配線とキャパシタとを一体化することによる測定精度の向上と、キャパシタが分布容量的に時間差を持って順次充電されることによる測定精度の向上とは、測定対象が過剰動電荷に限られるものではない。上記の作用は、微少電荷高電圧の測定における測定精度向上に効果をもたらすものであるので、本発明を、例えば特開昭53ー116182号公報記載の静電電荷量測定装置のように、集電部に導電性ブラシ型の自己放電式除電器を備えた測定装置に適用すれば、絶縁性で大面積の被測定物に帯電した静電電荷量をより精度よく測定できる。或いは、被測定物との接触部を金属製や導電性ゴム製あるいは導電性プラスチック製などのローラーで構成しても、集電部がブラシの場合と同様の効果が得られる。

0035

これまで述べたように、本発明の電荷量測定装置を用いると、LSIのパッケージに帯電した静電荷に応じてリード端子に誘導され、LSI内部の素子の静電気破壊の直接原因となる過剰動電荷の量を直接知ることができるが、この電荷量測定装置に更に直流電源切り換えスイッチとを設けると、次に述べるように、リード端子のグランドに対する容量を測定することが可能である。又、このことを利用して、LSIのパッケージが静電気を帯びているときにリード端子に蓄積されている静電エネルジーを知ることができる、更には、LSIが静電気破壊を起すときのエネルギーや電荷量を求めることができる。

0036

図6は、本発明の第2の実施例の構成を示す回路図である。図6を参照して、本実施例は、電荷量測定装置に加えて直流電源22を備えている。そして、電荷蓄積部21の金属棒14の末端部が、スイッチ23、24及び25によって、グランド、直流電源22及び電圧計5に切り換えて接続されるようになっている。本実施例においては、被測定物1としてのLSIのリード端子のグランドに対する容量およびパッケージが帯電しているときにリード端子に蓄積される静電エネルギーを以下の手順により測定する。

0037

第1番目に、スイッチ23を短絡させ、金属棒14と金属板15との間の誘電体4を放電させて、蓄積電荷を0にする。その後、スイッチ23を開放する。

0038

第2番目に、金属棒14の尖った先端を被測定物1(LSIのリード端子)に接触させると共にスイッチ25を短絡させて、誘電体4の電圧VM を測定する。これまでの操作により、LSIのパッケージが静電荷を帯びているときに、リード端子とグランドとの間に蓄積される過剰動電荷量QL1を、
QL1=CP ・VM (但し、CP は誘電体4の容量値で既知)
として求める。

0039

第3番目に、スイッチ24を短絡させ、金属棒14末端から先端を通して、LSIのリード端子1に電圧Vを印加する。その後、スイッチ24を開放すると共に金属棒14の先端をリード端子1から離し、初期状態に戻す。その後、第1番目および第2番目の操作を行なって、リード端子1が電圧値Vで充電されたときにリード端子1に蓄積される電荷量QL2を測定する。この操作により、リード端子1のグランドに対する静電容量値CL が、
CL =QL2/V
として求まる。

0040

第4番目に、第3番目の操作により求めたリード端子1の静電容量値CL と、第2番目の操作により求めておいた、LSIのパッケージが静電気を帯びているときにリード端子1に蓄積されている過剰動電荷量QL1とから、パッケージが帯電しているときにリード端子に蓄積されている静電エネルギーEを、
E=(1/2)×(QL12 )/CL
として算出する。

0041

このようにして、LSIのパッケージが例えば製造工程中に静電気を帯びたときに、リード端子に蓄積される静電エネルギーが求まり、その帯電が許され得るものかどうかを判定することができる。

0042

ここで、図6において、直流電源22として出力電圧可変電源を用いれば、上記の第3番目の操作を、被測定物1への印加電圧Vを低い方からLSIが破壊を起すまで、順次電圧を変えながら繰り返すことによって、LSIが静電気破壊を起す瞬間の電荷量、延いては静電エネルギーを求めることができる。

発明の効果

0043

以上説明したように、本発明の電荷量測定方法によれば、絶縁体と導電体とを含んで構成される被測定物の絶縁体が帯電し静電荷を帯びているとき、その静電荷により導電体に誘導された電荷のうち、過剰動電荷の量だけを選択的に測定できる。従って、ファラデーケージなどのような従来の静電電荷量測定装置で測定する場合とは異って、LSIに静電気破壊を及ぼす直接原因であるリード端子の過剰動電荷を、パッケージに帯電した静電気を介してではなく、直接しかもLSIが製造工程中であるべきその場、その状態のままで測定できる。その場合、被測定電荷を集電・誘導する探針を探針を、細く尖った形状にすることにより、リード端子ごとの過剰動電荷を測定できる。

0044

又、本発明の電荷測定装置は、少なくとも、探針と、探針から被測定電荷蓄積用キャパシタに至る経路と、キャパシタとを、相互間の相対位置が不変であるように一体化すると共に、その一体化物に対して外部からの電磁遮蔽を施した構造となっているので、被測定物からキャパシタまでの配線の変形や電磁誘導による測定値の変動が防止され、測定精度が高い。

0045

又、本発明の電荷量測定装置では、電荷蓄積用キャパシタの構造を、被測定電荷の移動経路に沿って、分布容量構造または複数のキャパシタを並列接続した構造とすることにより、電圧計の破壊や被測定電荷の漏れを防止し、測定精度を高めている。

0046

上記のような、配線系と測定系とを固定・一体化構造にすることと、被測定電荷蓄積用キャパシタを分布容量化することとは、測定対象がLSIのリード端子に誘導された過剰動電荷である場合に限らず、一般にその量が微小で高電圧である静電荷の電荷量を測定する場合にも測定精度向上効果をもたらす。

図面の簡単な説明

0047

図1本発明の第1の実施例による電荷量測定装置の構造を示す断面図である。
図2本発明の第1の実施例による電荷量測定装置を、LSIの製造工程に適用する場合の様子を模式的に示す外観図および部分拡大図である。
図3本発明の第1の実施例による電荷量測定装置の第1の変形例のいくつかを示すす回路図である。
図4本発明の第1の実施例の実施例による電荷量測定装置の第2の変形例を示す外観図である。
図5本発明の第1の実施例の実施例による電荷量測定装置の第3の変形例の構造を示す模式的断面図である。
図6本発明の第2の実施例の構成を模式的に示す等価回路図である。
図7分図(a)は、従来の静電電荷量測定装置としてのファラデーカップの模式的断面図である。分図(b)は、従来の静電電荷量測定装置の他の例の構成を示す模式的等価回路図である。
図8導電体における過剰動電荷を説明するためのモデル図である。
図9過剰動電荷によるLSIの静電気破壊のメカニズムを説明するためのモデル図である。

--

0048

1被測定物
2,3金属板
4誘電体
5電圧計
6除電器
7グランド面
8金属片
9導線
10樹脂
11L ,11Rリード端子
12ワイヤー
13配線
14金属棒
15 金属板
16 LSI
17レール
18 リード端子
19 金属部分
20絶縁体
21電荷蓄積部
22直流電源
23,24,25 スイッチ

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