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技術 無段変速機、及びこれを備えた自動車用無段変速装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 射場本正彦
出願日 1994年5月10日 (25年10ヶ月経過) 出願番号 1994-096552
公開日 1995年11月21日 (24年4ヶ月経過) 公開番号 1995-305751
状態 未査定
技術分野 駆動装置の関連制御 駆動装置の関連制御、車両の運動制御 巻き掛け変速機
主要キーワード 断線点 固定側コイル 切り換えギヤ コイル収納空間 移動プーリ フリーホイール電流 フリーホィール 摩擦効果
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年11月21日)のものです。
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図面 (13)

目的

プーリベルトに無理に押し付けなくとも、両者間に働く摩擦力を高めることができると共に、その時々に応じて適正な摩擦力を瞬時に得ることができる。

構成

入力軸1に固定されている入力側固定プーリ7と、軸方向に移動可能に入力軸1に設けられている入力側移動プーリ8と、出力軸6に固定されている出力側固定プーリ7と、軸方向に移動可能に出力軸6に設けられている出力側移動プーリ8と、入力側プーリ2,3と出力側プーリ7,8とに掛け渡されるベルト5と、固定プーリ2,7に設けられている磁気コイル13’,13とを備えている。各プーリ、ベルト、軸は磁性材で形成されている。コイルの回りには、固定プーリ、ベルト、移動プーリを磁束が通るよう、磁気回路18が形成されている。

概要

背景

自動車等の車両用に用いられる無段階変速機は、一般的に、入力軸に固定されている円錐状の入力側固定プーリと、この入力側固定プーリと向い合い軸方向に移動可能に入力軸に設けられている円錐状の入力側移動プーリと、この入力側移動プーリを移動させる入力側移動機構と、出力軸に固定されている円錐状の出力側固定プーリと、この出力側固定プーリと向い合い軸方向に移動可能に出力軸に設けられている円錐状の出力側移動プーリと、この出力側移動プーリを移動させる出力側移動機構と、ベルトとを有して構成されている。ベルトは、入力側の固定プーリ及び移動プーリで構成される入力側プーリと、出力側の固定プーリ及び移動プーリで構成される出力側プーリとに掛け渡される。変速は、固定プーリと移動プーリとの間隔を変えて、これらプーリに掛けられるベルトの巻き付き半径を変えることで、実行される。

プーリ移動機構としては、スクリューネジを回転させて入力側移動プーリを移動させると共に、バネ弾性力を利用して出力側移動プーリを移動させるものや、油圧を利用して入力側移動プーリを移動させると共に、バネの弾性力を利用して出力側プーリを移動させるもの等(例えば、特開昭63−57953号公報、63−188537号公報、60−222648号公報)がある。これらの技術では、スクリューネジや油圧等を利用して入力側移動プーリを移動させて、入力側プーリに対するベルトの巻き付き半径を変える一方で、ベルトの張力を一定にするために出力側移動プーリをバネの弾性力を利用して移動させている。

ところで、このような無段階変速機では、プーリとベルトとの摩擦力を適切に制御してベルトが滑らないようにすることが重要である。このため、そこで、変速制御及びプーリとベルトとの摩擦力制御を実行するために、例えば、特開昭60−60365号公報に記載されているもののように、入力側移動プーリの移動のみならず、出力側移動プーリの移動も油圧制御するものがある。すなわち、出力側移動プーリを出力側固定プーリ側へ押し付ける力を油圧で調整することで、ベルトとプーリとの間に働く抗力を調整、つまりベルトとプーリとの間に働く摩擦力を調整しようというものである。

また、この他、特開平5−60193号公報に記載されているもののように、出力側移動プーリを出力側固定プーリ側に押すバネを設ける一方で、出力側移動プーリを磁性材で形成すると共に出力側固定プーリ内に永久磁石を設けて、移動プーリのバネによる押し付け力磁石で調整しようというものもある。

概要

プーリをベルトに無理に押し付けなくとも、両者間に働く摩擦力を高めることができると共に、その時々に応じて適正な摩擦力を瞬時に得ることができる。

入力軸1に固定されている入力側固定プーリ7と、軸方向に移動可能に入力軸1に設けられている入力側移動プーリ8と、出力軸6に固定されている出力側固定プーリ7と、軸方向に移動可能に出力軸6に設けられている出力側移動プーリ8と、入力側プーリ2,3と出力側プーリ7,8とに掛け渡されるベルト5と、固定プーリ2,7に設けられている磁気コイル13’,13とを備えている。各プーリ、ベルト、軸は磁性材で形成されている。コイルの回りには、固定プーリ、ベルト、移動プーリを磁束が通るよう、磁気回路18が形成されている。

目的

本発明は、このような従来技術に着目してなされたもので、プーリをベルトに無理に押し付けることなく、プーリとベルトとの摩擦力を調整し、応答性及び動力伝達効率を高めることができる無段変速機、及びこれを備えた自動車用無段変速装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度を無段階に変えることができる無段変速機において、動力源により回転させられる前記入力軸と、円錐状を成し、その中心軸を前記入力軸が貫通して、該入力軸に固定されている入力側固定プーリと、円錐状を成し、その中心軸を前記入力軸が貫通し、円錐状を成す面(以下、テーパ面とする。)が前記入力側固定プーリのテーパ面と向い合った状態で、該入力軸の軸方向に移動可能に該入力軸に設けられている入力側移動プーリと、前記入力側移動プーリを前記入力軸の軸方向に移動させる入力側移動機構と、前記出力軸と、円錐状を成し、その中心軸を前記出力軸が貫通して、該出力軸に固定されている出力側固定プーリと、円錐状を成し、その中心軸を前記出力軸が貫通し、そのテーパ面が前記出力側固定プーリのテーパ面と向い合った状態で、該出力軸の軸方向に移動可能に該出力軸に設けられている出力側移動プーリと、前記出力側移動プーリを前記出力軸の軸方向に移動させる出力側移動機構と、互いに対向し合っている前記入力側固定プーリ及び前記入力側移動プーリで構成される入力側プーリのそれぞれの前記テーパ面に接すると共に、互いに対向し合っている前記出力側固定プーリ及び前記出力側移動プーリで構成される出力側プーリのそれぞれのテーパ面に接するよう、該入力側プーリと該出力側プーリとに掛け渡されるベルトと、前記入力側プーリと前記出力側プーリとのうち、少なくとも一方のプーリ(以下、磁気回路構成プーリとする。)に、該磁気回路構成プーリの固定プーリ及び該固定プーリが固定されている軸(以下、磁気回路構成軸とする。)と共に回転するよう設けられている磁気コイルと、を備え、前記磁気回路構成プーリの前記固定プーリ及び前記移動プーリと、前記磁気回路構成軸と、前記ベルトとは、磁性材で形成され、前記コイルの回りに、前記磁気回路構成プーリを構成する前記固定プーリ及び前記移動プーリと、前記磁気回路構成軸と、前記ベルトとを含んで構成される磁気回路が形成されていることを特徴とする無段変速機。

請求項2

前記磁気回路構成軸が貫通している前記移動プーリの貫通孔内周面には、前記磁気回路を構成する前記移動プーリから前記磁気回路構成軸へ又は該磁気回路構成軸から該移動プーリへ磁束が通過するよう、厚さの薄い非磁性材が配されていることを特徴とする請求項1記載の無段変速機。

請求項3

前記コイルは、前記固定プーリの前記テーパ面とは反対側の背面側に設けられ、磁性材で形成され、円錐状を成す前記固定プーリの該周縁部に接続されていると共に、前記固定プーリの背面側に配された前記コイルを該固定プーリとで覆えるよう前記磁気回路構成軸に固定されている磁路形成部材と、前記磁気回路構成軸が貫通している前記固定プーリの貫通孔の内周面に配され、前記磁気回路を構成する前記移動プーリから前記磁気回路構成軸へ又該磁気回路構成軸から該移動プーリへ磁束を通過させない非磁性材と、を備え、前記磁気回路は、前記固定プーリ、前記ベルト、前記移動プーリ、前記磁気回路構成軸、前記磁気回路構成部材、再び該固定プーリの順で又はこの逆順で、磁束が循環するよう、構成されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2記載の無段変速機。

請求項4

前記固定プーリと移動プーリとのうち、少なくとも一方のプーリには、前記磁気回路構成軸が貫通している貫通孔の周囲である中心部に、該一方のプーリの前記テーパ面から他方のプーリに対して遠ざかる方向へ凹む凹部が形成され、前記コイルは、少なくともその一部が前記凹部内に配され、前記磁気回路は、前記固定プーリ、前記ベルト、前記移動プーリ、前記磁気回路構成軸、再び該固定プーリの順で又はこの逆順で、磁束が循環するよう、構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の無段変速機。

請求項5

前記入力側プーリと前記出力側プーリとの両方に前記コイルがそれぞれ設けられ、前記入力側プーリの入力側固定プーリ及び入力側移動プーリと、前記入力軸と、前記ベルトとを含む磁気回路が、該入力側プーリに設けられている前記コイルの回りに形成され、前記出力側プーリの出力側固定プーリ及び出力側移動プーリと、前記出力軸と、前記ベルトとを含む磁気回路が、該出力側プーリに設けられている前記コイルの回りに形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の無段変速機。

請求項6

前記磁気回路構成軸には、該磁気回路構成軸と共に回転する前記コイルに外部から電力を供給するためのスリップリングが設けられ、前記スリップリングと前記コイルとは導線で接続されていると共に、該スリップリングと該コイルとの間に該コイルに対して並列フリーホイルダイオードが接続されていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の無段変速機。

請求項7

前記入力側移動機構は、前記入力側移動プーリを移動させる油圧シリンダと、該油圧シリンダを動作させる油圧回路とを有して構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の無段変速機。

請求項8

前記出力側移動機構は、前記出力側移動プーリを前記出力側固定プーリの方向へ押し付けバネを有して構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の無段変速機。

請求項9

前記動力源としてのエンジンと、該エンジンの出力を操作するためのアクセルペダルとを備えている自動車に設けられる自動車用無段変速装置において、請求項1、2、3、4、5又は6記載の無段変速機と、前記自動車の速度又はこの速度に対応したパラメータを検出する速度検出手段と、前記アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、前記自動車の速度又はこの速度に対応したパラメータと前記アクセルペダルの操作量と変速比との相互関係を規定する変速比関係を用いて、前記車速検出手段で検出された前記速度又は前記パラメータ、及び前記アクセル操作量検出手段で検出された前記アクセルペダルの操作量に対する変速比を求め、該変速比が得られるよう、前記入力側移動機構と前記出力側移動機構とのうち少なくとも一方を動作させる変速制御手段と、前記入力軸にかかる入力軸トルクを把握する入力軸トルク把握手段と、前記コイルに電流を供給することで前記磁気回路構成プーリと前記ベルトとの間に働く摩擦力の増加分(以下、磁気摩擦力とする。)と、前記入力軸トルクと、前記変速比との相互関係を規定する磁気摩擦力関係を用いて、前記入力軸トルク把握手段で把握された前記入力軸トルクと前記変速制御手段で求められた前記変速比とに対する磁気摩擦力を求める磁気摩擦力演算手段と、前記磁気摩擦力演算手段で求められた前記磁気摩擦力が得られるコイル電流値を求めるコイル電流値演算手段と、前記コイル電流値演算手段で求められた前記コイル電流値の電流を前記コイルに供給するコイル電流制御手段と、を備えていることを特徴とする自動車用無段変速装置。

技術分野

0001

本発明は、ベルトを用いて、入力軸の回転速度に対する出力軸の回転速度を無段階に変えることができる無段変速機、及びこれを備えている自動車用無段変速装置に関する。

背景技術

0002

自動車等の車両用に用いられる無段階変速機は、一般的に、入力軸に固定されている円錐状の入力側固定プーリと、この入力側固定プーリと向い合い軸方向に移動可能に入力軸に設けられている円錐状の入力側移動プーリと、この入力側移動プーリを移動させる入力側移動機構と、出力軸に固定されている円錐状の出力側固定プーリと、この出力側固定プーリと向い合い軸方向に移動可能に出力軸に設けられている円錐状の出力側移動プーリと、この出力側移動プーリを移動させる出力側移動機構と、ベルトとを有して構成されている。ベルトは、入力側の固定プーリ及び移動プーリで構成される入力側プーリと、出力側の固定プーリ及び移動プーリで構成される出力側プーリとに掛け渡される。変速は、固定プーリと移動プーリとの間隔を変えて、これらプーリに掛けられるベルトの巻き付き半径を変えることで、実行される。

0003

プーリ移動機構としては、スクリューネジを回転させて入力側移動プーリを移動させると共に、バネ弾性力を利用して出力側移動プーリを移動させるものや、油圧を利用して入力側移動プーリを移動させると共に、バネの弾性力を利用して出力側プーリを移動させるもの等(例えば、特開昭63−57953号公報、63−188537号公報、60−222648号公報)がある。これらの技術では、スクリューネジや油圧等を利用して入力側移動プーリを移動させて、入力側プーリに対するベルトの巻き付き半径を変える一方で、ベルトの張力を一定にするために出力側移動プーリをバネの弾性力を利用して移動させている。

0004

ところで、このような無段階変速機では、プーリとベルトとの摩擦力を適切に制御してベルトが滑らないようにすることが重要である。このため、そこで、変速制御及びプーリとベルトとの摩擦力制御を実行するために、例えば、特開昭60−60365号公報に記載されているもののように、入力側移動プーリの移動のみならず、出力側移動プーリの移動も油圧制御するものがある。すなわち、出力側移動プーリを出力側固定プーリ側へ押し付ける力を油圧で調整することで、ベルトとプーリとの間に働く抗力を調整、つまりベルトとプーリとの間に働く摩擦力を調整しようというものである。

0005

また、この他、特開平5−60193号公報に記載されているもののように、出力側移動プーリを出力側固定プーリ側に押すバネを設ける一方で、出力側移動プーリを磁性材で形成すると共に出力側固定プーリ内に永久磁石を設けて、移動プーリのバネによる押し付け力磁石で調整しようというものもある。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特開昭60−60365号公報に記載されているものでは、変速比の調整も摩擦力の調整もプーリ移動で行っているために、変速比調整と摩擦力調整とのバランスが難しい。このため、アクセルペダルが急激に踏み込まれて、瞬間的にベルト張力の変化する場合等では、一時的に適正な摩擦力を与えることができなくなることがあるという問題点がある。また、この従来技術では、ベルトとプーリとの間に働く摩擦力を油圧で調整しているため、その応答性が遅いという問題点もある。さらに、この従来技術では、プーリをベルトに無理に押し付けて、摩擦力を高めているので、ベルト等が損傷し易いという問題点もある。

0007

また、特開昭5−60193号公報に記載されているものでも、結局のところ、移動プーリを固定プーリ側へバネ及び磁石で押し付けることで、プーリをベルトに無理に押し付けているため、先の従来技術と同様に、ベルト等が損傷し易いという問題点がある。

0008

本発明は、このような従来技術に着目してなされたもので、プーリをベルトに無理に押し付けることなく、プーリとベルトとの摩擦力を調整し、応答性及び動力伝達効率を高めることができる無段変速機、及びこれを備えた自動車用無段変速装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

前記目的を達成するための無段変速機は、動力源により回転させられる入力軸と、円錐状を成し、その中心軸を前記入力軸が貫通して、該入力軸に固定されている入力側固定プーリと、円錐状を成し、その中心軸を前記入力軸が貫通し、円錐状を成す面(以下、テーパ面とする。)が前記入力側固定プーリのテーパ面と向い合った状態で、該入力軸の軸方向に移動可能に該入力軸に設けられている入力側移動プーリと、前記入力側移動プーリを前記入力軸の軸方向に移動させる入力側移動機構と、出力軸と、円錐状を成し、その中心軸を前記出力軸が貫通して、該出力軸に固定されている出力側固定プーリと、円錐状を成し、その中心軸を前記出力軸が貫通し、そのテーパ面が前記出力側固定プーリのテーパ面と向い合った状態で、該出力軸の軸方向に移動可能に該出力軸に設けられている出力側移動プーリと、前記出力側移動プーリを前記出力軸の軸方向に移動させる出力側移動機構と、互いに対向し合っている前記入力側固定プーリ及び前記入力側移動プーリで構成される入力側プーリのそれぞれの前記テーパ面に接すると共に、互いに対向し合っている前記出力側固定プーリ及び前記出力側移動プーリで構成される出力側プーリのそれぞれのテーパ面に接するよう、該入力側プーリと該出力側プーリとに掛け渡されるベルトと、前記入力側プーリと前記出力側プーリとのうち、少なくとも一方のプーリ(以下、磁気回路構成プーリとする。)に、該磁気回路構成プーリの固定プーリ及び該固定プーリが固定されている軸(以下、磁気回路構成軸とする。)と共に回転するよう設けられている磁気コイルと、を備え、前記磁気回路構成プーリの前記固定プーリ及び前記移動プーリと、前記磁気回路構成軸と、前記ベルトとは、磁性材で形成され、前記コイルの回りに、前記磁気回路構成プーリを構成する前記固定プーリ及び前記移動プーリと、前記磁気回路構成軸と、前記ベルトとを含んで構成される磁気回路が形成されていることを特徴とするものである。

0010

ここで、前記無段変速機において、前記磁気回路構成軸が貫通している前記移動プーリの貫通孔内周面には、前記磁気回路を構成する前記移動プーリから前記磁気回路構成軸へ又は該磁気回路構成軸から該移動プーリへ磁束が通過するよう、厚さの薄い非磁性材が配されていることが好ましい。

0011

また、前記無段変速機において、前記コイルは、前記固定プーリの背面側に設けてもよい。この場合、磁性材で形成され、円錐状を成す前記固定プーリの該周縁部に接続されていると共に、前記固定プーリの背面側に配された前記コイルを該固定プーリとで覆えるよう前記磁気回路構成軸に固定されている磁路形成部材と、前記磁気回路構成軸が貫通している前記固定プーリの貫通孔の内周面に配され、前記磁気回路を構成する前記移動プーリから前記磁気回路構成軸へ又該磁気回路構成軸から該移動プーリへ磁束を通過させない非磁性材とを備え、前記磁気回路は、前記固定プーリ、前記ベルト、前記移動プーリ、前記磁気回路構成軸、前記磁気回路構成部材、再び該固定プーリの順で又はこの逆順で、磁束が循環するよう、構成されていることが望ましい。

0012

また、前記無段変速機において、前記コイルは、前記固定側コイルのテーパ面側に設けてもよい。この場合、前記固定プーリと移動プーリとのうち、少なくとも一方のプーリには、前記磁気回路構成軸が貫通している貫通孔の周囲である中心部に、該一方のプーリの前記テーパ面から他方のプーリに対して遠ざかる方向へ凹む凹部が形成され、前記コイルは、少なくともその一部が前記凹部内に配され、前記磁気回路は、前記固定プーリ、前記ベルト、前記移動プーリ、前記磁気回路構成軸、再び該固定プーリの順で又はこの逆順で、磁束が循環するよう、構成されていることが望ましい。

0013

また、前記無段変速機において、前記コイルは、前記入力側プーリと前記出力側プーリとの両方にそれぞれ設けることが好ましい。

0014

また、前記無段変速機において、前記磁気回路構成軸には、該磁気回路構成軸と共に回転する前記コイルに外部から電力を供給するためのスリップリングが設けられ、前記スリップリングと前記コイルとは導線で接続されていると共に、該スリップリングと該コイルとの間に該コイルに対して並列フリーホイルダイオードが接続されていることが好ましい。

0015

また、前記目的を達成するための自動車用無段変速装置は、以上において説明した無段変速機と、自動車の速度又はこの速度に対応したパラメータを検出する速度検出手段と、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、前記自動車の速度又はこの速度に対応したパラメータと前記アクセルの操作量と変速比との相互関係を規定する変速比関係を用いて、前記車速検出手段で検出された前記速度又は前記パラメータ、及び前記アクセル操作量検出手段で検出された前記アクセルの操作量に対する変速比を求め、該変速比が得られるよう、前記入力側移動機構と前記出力側移動機構とのうち少なくとも一方を動作させる変速制御手段と、前記入力軸にかかる入力軸トルクを把握する入力軸トルク把握手段と、前記コイルに電流を供給することで前記磁気回路構成プーリと前記ベルトとの間に働く摩擦力の増加分(以下、磁気摩擦力とする。)と、前記入力軸トルクと、前記変速比との相互関係を規定する磁気摩擦力関係を用いて、前記入力軸トルク把握手段で把握された前記入力軸トルクと前記変速制御手段で求められた前記変速比とに対する磁気摩擦力を求める磁気摩擦力演算手段と、前記磁気摩擦力演算手段で求められた前記磁気摩擦力が得られるコイル電流値を求めるコイル電流値演算手段と、前記コイル電流値演算手段で求められた前記コイル電流値の電流を前記コイルに供給するコイル電流制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。

0016

コイルに電流が供給されると、このコイル回りに磁気回路が形成され、この磁気回路を構成する固定プーリと移動プーリとベルトとが磁化される。

0017

一般的に、磁気を印加した場合の摩擦係数は、磁気を印加していない場合の5倍から10倍になると言われている(詳細は、『リニアモータとその応用』(電気学会昭和59年3月発行)に記載されている。)。従って、プーリをベルトに無理に押し付けなくとも、両者間に働く摩擦力を高めることができる。従って、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、コイルに供給する電流量を調整することにより、プーリとベルトとの間に働く摩擦力を調整することができるので、その時々に応じて、適正な摩擦力を瞬時に得ることができ、動力伝達率を良好に保つことができると共に、油圧で摩擦力を調整するものよりも応答性を高めることができる。

0018

以下、本発明に係る無段変速装置の各種実施例について、図面を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施例の無段変速機を示している。

0019

本実施例の無段変速機は、入力軸1と、この入力軸1に固定された円錐状の入力側固定プーリ2と、入力軸1の軸方向に移動可能に入力軸1に設けられた円錐状の入力側移動プーリ3と、この入力側移動プーリ3を移動させる入力側プーリ移動機構4と、出力軸6と、この出力軸6に固定された円錐状の出力側固定プーリ7と、出力軸6の軸方向に移動可能に出力軸7に設けられた円錐状の出力側移動プーリ8と、この出力側移動プーリ8を移動させる出力側プーリ移動機構9と、入力側プーリ2,3と出力側プーリ7,8とに掛け渡されるスチールベルト8とを有している。

0020

入力軸1は、必要に応じて設けられた前後進切り換えギヤトルクコンバータクラッチ等の機器を介して、エンジンの出力軸(いずれも図示していない。)と接続されている。固定プーリ2,7と移動プーリ3,8は、その径が次第に小さくなって行く側が互いに対向し合うよう設けられている。入力側プーリ移動機構4としては、電動機及びネジを用いた機械式のものであってもよいが、ここでは油圧シリンダを用いた油圧式のものを採用している。また、出力側プーリ移動機構9としては、バネ10を用いた簡単な機械式を採用している。

0021

変速は、入力側プーリ移動機構4で、入力側移動プーリ3を移動させて、この入力側移動プーリ3と入力側固定プーリ2との間の幅を変え、スチールベルト5の入力側プーリ2,3に対する巻き付き半径を変えることで実行される。このように、入力側プーリ2,3に対するスチールベルト5の巻き付き半径が変わると、スチールベルト5に弛み等が発生してしまう。そこで、これを防ぐために、出力側プーリ移動機構9のバネ10で、出力側移動プーリ8を出力側固定プーリ7側へ押し付けて、出力側移動プーリ8を移動させ、出力側プーリ7,8に対するスチールベルト5の巻き付き半径を変えている。

0022

以上の構成は、従来から実用化されているベルト式無段変速機の一般的構成であるが、本実施例では、さらに、軸1,6の回転と共に回転するよう固定プーリ2,7の背面(スチールベルト5が接触するテーパ面と反対側の面)側に設けられているコイル13’,13と、このコイル13’,13に電力を供給するために回転する軸1,6に設けられているスリップリング14’,14と、固定プーリ2,7とスチールベルト5と移動プーリ3,8と軸1,6とによる磁気回路18,18’を形成するための継鉄11’,11とを有している。また、本実施例では、固定プーリ2,7とスチールベルト5と移動プーリ3,8と軸1,6とは、いずれも、磁性材で形成されている。

0023

継鉄11’,11は、円盤状を成し、その外周縁部が固定側プーリ2,7の背面側外周縁部に接続され、その内周縁部が軸1,6に固定されている。固定側プーリ2,7の背面と継鉄11’,11のプーリ側面(内面)との間には、空間が形成され、この空間内にコイル13’,13が配されている。このコイル13’,13からのリード線(図示されていない)は、スリップリング14’,14に接続され、さらに、このスリップリング14’,14にはリード線15’,16’,15,16が接続されている。コイル13’,13には、これらリード線15’,16’,15,16、スリップリング14’,14、リード線を介して、外部から電力が供給される。継鉄11’,11は、前述したように、軸1,6に直接固定されているが、固定側プーリ2,7は、軸1,6との間の磁気的絶縁性を確保するために、非磁性体12’,12を介して、軸1,6に固定されている。また、移動側プーリ3,8と軸1,6との間には、移動側プーリ3,8が軸1,6に対してその軸方向に移動し易いよう、薄い非磁性体17が配されている。この非磁性体17としては、例えば、フッ素樹脂等、非磁性で表面の摩擦抵抗が少ない樹脂が適している。この非磁性体17は、固定側プーリ2,7の軸貫通孔の内周面に、数百ミクロンの厚さで、コーティングされている。

0024

以上のように構成すると、コイル13’,13から発生した磁束は、継鉄11’,11と固定プーリ2,7とスチールベルト5と移動プーリ3,8と軸1,6とで構成される磁気回路18,18’中を循環する。なお、継鉄11’,11から固定プーリ2,7へ流れた磁束は、固定プーリ2,7と軸1,6との間に非磁性体12’,12が配されているため、固定プーリ2,7から軸1,6へは流れず、固定プーリ2,7からスチールベルト5へと流れる。

0025

移動プーリ2,7は、その中心部における軸方向の厚さWが、固定プーリ3,8の中心部における軸方向の厚さよりも厚くなるよう、形成されている。これは、スチールベルト5から移動プーリ3,8の外周縁部に至った磁束が、径の小さい移動プーリ3,8の中心部に集まるので、この部分での磁束密度が高くなるのを防ぐためである。さらに、移動プーリ2,7は、(数1)に示すように、その中心部における軸方向の厚さWが軸1,6の半径rよりも大きくなるよう、形成されている。

0026

W>r・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数1)
これは、軸1,6中の磁束密度より、移動プーリ3,8と軸1,6との接触部分(実際には、両者の間には非磁性体17が介在している。)の磁束密度を小さくして、この部分の磁気抵抗を小さくするためである。

0027

ここで、(数1)の導入経緯について簡単に説明する。磁気回路18,18’中の磁束密度は、軸1,6の中が一番高く、継鉄11’,11と固定プーリ2,7と移動プーリ3,8とにおいては磁束が放射状に分散されるので低くい。スチールベルト5は、移動プーリ3,8に対してほぼ半周に渡って巻き付いているので、スチールベルト5からの磁束は、移動プーリ3,8の半分に流れる。なお、図1においては、入力側移動プーリ3に関しては上半分に磁束が流れ、出力側移動プーリ8に関しては下半分に磁束が流れる。従って、移動プーリ3,8の上半分又は下半分から軸1,6へ磁束が流れる。このため、移動プーリ3,8と軸1,6との接触部分のうちの磁束が通る部分の面積S2は、移動プーリ3,8と軸1,6との接触面積の半分である。ところで、軸1,6中の磁束密度より、移動プーリ3,8と軸1,6との接触部分の磁束密度を小さくするためには、(数2)に示すように、移動プーリ3,8と軸1,6との接触部分のうちの磁束が通る部分の面積S2を軸1,6の断面積S1より大きくすればよい。
(2πrW)/2(=S2)>πr2(=S1)・・・・・・・・・・・・・(数2)
(数1)は、この(数2)を整理することで得られる。また、継鉄11’,11に関しても、同様の理由で、その中心部の軸方向の厚さが軸1,6の半径rより大きくなるよう、形成されている。

0028

ところで、磁化された鉄と鉄との間に働く摩擦力は、単に、押し付け力と摩擦係数を掛けた値になるのではなく、いわゆる磁気摩擦と呼ばれる摩擦力増大効果が加味されて、磁化されていない鉄と鉄との摩擦力より5倍〜10倍も大きいことが知られている。本実施例の場合も、スチールベルト5と入力側プーリ2,3及び出力側プーリ7,8とに働く摩擦力は、磁気摩擦力になるので、単に、スチールベルト5を移動側プーリ2,7と固定側プーリ3,8とで押え付けるよりも、非常に大きな摩擦力になる。また、磁気回路には、その回路長が最短になろうとする力が働くので、移動側プーリ2,7は、この力により固定側プーリ3,8側に寄ろうとする。このため、移動側プーリ2,7や固定側プーリ3,8にスチールベルト5が押し付けられる力が大きくなり、結果として、スチールベルト5と入力側プーリ2,3及び出力側プーリ7,8とに働く摩擦力は、より大きくなる。

0029

以上のように本実施例では、プーリをベルトに無理に押し付けなくとも、磁気摩擦効果により、両者間に働く摩擦力を高めることができる。従って、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、コイルに供給する電流量を調整することにより、プーリとベルトとの間に働く摩擦力を調整することができるので、その時々に応じて、適正な摩擦力を瞬時に得ることができ、動力伝達率を良好に保つことができると共に、油圧で摩擦力を調整するものよりも応答性を高めることができる。

0030

次に、磁気摩擦効果で、プーリとベルト5との間の摩擦力を増加させる必要がある分(以下、磁気摩擦力とする。)FMの求め方について説明する。ここで、入力側プーリ2,3に対するベルト5の巻き付き半径をR1、出力側プーリ7,8に対するベルト5の巻き付き径をR2、入力軸1と出力軸6との軸間距離をD、ベルト5の周長をL、変速比をg、入力軸トルクをT1、出力軸トルクをT2、ベルトの張力をFとする。

0031

ベルト5の周長Lは、入力側プーリ2,3に対するベルト5の巻き付き長さ(=2πR1/2)と、出力側プーリ7,8に対するベルト5の巻き付き長さ(=2πR2/2)と、入力軸1と出力軸6との軸間距離Dの2倍の長さ(=2D)とを加算したものに、ほぼ等しいので、(数3)が得られる。

0032

L≒πR1+2D+πR2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数3)
また、軸トルクT1,T2は、ベルト張力Fに巻き付き半径R1,R2を掛けたものであるから、それぞれの軸1,6ごとに、(数4)、(数5)が得られる。

0033

T1=F・R1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数4)
T2=F・R2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数5)
また、変速比gは、(数6)のように表せる。
g=R2/R1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数6)
従って、(数3)〜(数6)を用いて、T2、R1,R2を消去して、Fについて整理すると、(数7)に示すように、入力軸トルクT1と変速比gを変数とする関数f(T1,g)が得られる。

0034

F=T1(1+g)π/(L−2D)=f(T1,g)・・・・・・・・(数7)
この(数7)から、変速比gと張力Fとの関係をグラフに示すと、図11に示すようになる。なお、同グラフにおいて、横軸は変速比g、縦軸はベルト張力Fであり、aはスロットル開度最大時の変速比gに対するベルト張力Fの関係を示す張力特性曲線、a’はスロットル開度最少時の変速比gに対するベルト張力Fの関係を示す張力曲線である。同グラフに示すベルト張力Fの大きさは、(数7)に示すように、入力軸トルクT1に比例する。

0035

また、バネ10による押し付け力Uは、出力側移動プーリ8の移動距離pに、このバネ10のバネ定数Qを掛けたものに、変速比gが最大のとき(最lowの時)の初期押し付け力U0を加算したものであるから、(数8)のように表すことができる。なお、(数8)において、R2の初期値をR20、プーリのテーパ角をθとしている。

0036

U=U0+p・Q=U0+(R20−R2)tanθ・Q・・・・・・・・・(数8)
この(数8)におけるR2は、(数6)及び(数4)により、(数9)のように表すことができる。また、その他のパラメータ、U0、R20、θ、Qは定数であるので、バネ10による押し付け力Uも、(数10)に示すように、入力軸トルクT1と変速比gを変数とする関数u(T1,g)で表すことができる。

0037

R2=g・T1/F=g・T1/f(T1,g)・・・・・・・・・・・・・・・・(数9)
U=u(T1,g)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数10)
この押し付け力Uに、磁気摩擦力が働いていないときのプーリとベルト5との間の摩擦係数μを掛けたものが、(数11)に示すように、バネ10のみによる摩擦力FQになる。

0038

FQ=μ・U=μ・u(T1,g)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数11)
この摩擦力FQを変速比gとの関係で表すと、図5のグラフ上に表示すれば、曲線bのように表すことができる。

0039

ところで、プーリに対してベルト5が滑らないためには、ベルト張力F以上の摩擦力が必要である。従って、プーリに対してベルト5が滑らないための最少必要摩擦力は、ベルト張力Fと同じだけあればよい。従って、磁気摩擦効果でプーリとベルト5との間の摩擦力を増加させる必要がある分、つまり磁気摩擦力FMは、(数12)に示すように、ベルト張力Fと磁気摩擦力が働いていないときの摩擦力FQとの差である。つまり、図5に示すグラフでは、曲線a,a’と曲線bとの差である。

0040

FM=F−FQ=f(T1,g)−μ・u(T1,g)
=fm(T1,g)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数12)
なお、ベルト張力Fと磁気摩擦力が働いていないときの摩擦力FQとは、いずれも、入力軸トルクT1と変速比gを変数とする関数で表すことができるので、磁気摩擦力FMも、(数12)に示すように、入力軸トルクT1と変速比gとの関数fm(T1,g)で表すことができる。従って、磁気摩擦効果による必要増量分の摩擦力FMは、予め関数fmを準備しておき、これに入力軸トルクT1と変速比gとを代入することで求めることができる。

0041

次に、磁気摩擦力FMを得るために、コイル13’,13に供給しなければならない電流量Iの求め方について説明する。ここで、ベルト5と出力側プーリ7,8との接触面積をSc、磁気摩擦による単位面積当たりの摩擦力をsとすると、磁気摩擦効果による必要増量分の摩擦力FMは、(数13)のように表すことができる。

0042

FM=s・Sc・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数13)
単位面積あたりの摩擦力sは、磁束密度Bに比例するので、磁気摩擦力FMは、磁束密度Bと比例係数kとを用いると、(数14)のように表すことができる。

0043

FM=k・B・Sc・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数14)
本実施例の磁気回路において、非磁性体17の磁気的空隙による磁気抵抗は大きく、磁路長の差異及びベルトとプーリとの接触面積の差異による磁気抵抗は無視できる。従って、コイル13の巻数をnとすると、電流Iを流したときの起磁力nIにより生じる磁束Φは、(数15)のように表すことができる。

0044

Φ=(S0/L0)μ0・n・I・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数15)
但し、S0は非磁性体17による磁気的空隙部の面積、L0は磁気的空隙部の長、μ0は磁気的空隙部の透磁率である。また、磁束Φは、(数16)のように表すことができる。

0045

Φ=B・Sc・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(数16)
そこで、(数14)〜(数16)を用いて、FMに関して整理すると、(数17)のように表すことができる。

0046

FM=k・(S0/L0)μ0・n・I=fi(I)・・・・・・・・・(数17)
従って、磁気摩擦力FMが求まると、(数17)を用いて、コイル13に供給する電流量Iを求めることができる。

0047

ところで、通常、入力側プーリ2,3に対するベルト5の巻き付き面積(接触面積)と、出力側プーリ7,8に対するベルト5の巻き付き面積(接触面積)とは、異なる。しかしながら、前述したように、ベルトとプーリとの接触面積の差異による磁気抵抗は無視できるため、磁気摩擦力FMは、(数17)に示すように、ベルトとプーリとの接触面積には依存しない。従って、入力軸側コイル13’と出力軸側コイル13とには、同じ量の電流を供給すればよい。そこで、本実施例では、入力軸側リード線15’,16’と出力軸側リード線15,16とを直列に接続して、入力軸側コイル13’と出力軸側コイル13とに、同じ量の電流を供給している。

0048

次に、図1に示す無段変速機の制御装置について説明する。ここで、本実施例の無段変速制御装置について説明する前に、本実施例の無段変速機及び無段変速制御装置が搭載される自動車の概略構造について説明する。なお、本実施例において、自動車用無段変速装置は、無段変速機とその制御装置とを有して構成されている。

0049

車両の駆動源であるエンジンには、トルクコンバータが設けられており、このトルクコンバータのタービンに、無段変速機の入力軸が接続されていものとする。また、エンジンに空気を供給する吸気管には、スロットルバルブが設けられ、このスロットルバルブとアクセルペダルとは、機械的にリンクされており、アクセルペダル操作量に応じてスロットルバルブが開閉するものとする。

0050

無段変速制御装置は、図2に示すように、車両の速度vを検出する車速センサ25と、エンジンの出力軸の回転数Neを検出するエンジン回転数センサ26と、アクセル操作量θを検出するアクセルペダルセンサ27と、無段変速機の入力軸1の回転数N1を検出する入力軸回転数センサ29と、各種センサからのアナログ信号が入力してこれをディジタル信号に変換する入力回路24と、マイクロコンピュータである制御ユニット20と、制御ユニット20からの信号に基づいて無段変速機を動作させる駆動回路30とを備えている。

0051

制御ユニット20は、ハードウェアー的には、入力回路24からのデータに基づいて各種演算を実行するCPU21と、CPU21が演算するためのプログラムや後述するマップ等が記憶されているROM22と、入力回路24からのデータやCPU21の演算結果によるデータ等を一時的に記憶しておくRAM23とを備えている。

0052

また、制御ユニット20は、ソフトウェアー的には、図3に示すように、変速比マップを用いて変速比gを求める変速比演算部41と、エンジン特性マップを用いてエンジントルクTeを求めるエンジントルク演算部42と、トルクコンバータの入力軸回転数(=エンジン回転数Ne)と出力軸回転数(=変速機入力軸回転数N1)との回転比eを求めるトルクコンバータ回転比演算部46と、トルクコンバータ特性マップを用いてタービントルク、つまり入力軸トルクT1を求める入力軸トルク演算部43と、変速比演算部41で求められた変速比gと入力軸トルク演算部43で求められた入力軸トルクT1とを用いて磁気摩擦効果による必要増量分の摩擦力FMを求める磁気摩擦力演算部44と、この磁気摩擦力FMが得られるコイル電流値Iを求めるコイル電流値演算部45とを有している。

0053

変速比マップは、図4に示すように、横軸を車速vとし、縦軸を入力軸回転数N1として、アクセル操作量θをパラメータとしたマップである。このマップには、原理的には原点を通る無数変速線が描かれていると考えてよい(実際には、補間演算により求められる。)変速比演算部41では、この変速比マップを用いて、車速センサ25で検出された車速v及びアクセルセンサ27で検出されたアクセル操作量θに対応した変速比gを求める。この変速比gは、駆動回路30を介して、入力側プーリ移動機構4の一部を構成する油圧回路4b(図2に示す。)に出力される。油圧回路bは、入力側プーリ移動機構4の他の一部を構成する油圧シリンダ4aを動作させて、入力側移動プーリ3を移動させる。なお、ここでは、変速比gを求めるに当たり、車速vを用いたが、車速vの代わりに、車速vを間接的に表すもの、例えば、出力軸6の回転数を用いてもよい。

0054

エンジン特性マップは、図5に示すように、横軸をエンジン回転数Neとし、縦軸をエンジントルクTeとして、無数のアクセル操作量曲線が描かれているものである。エンジントルク演算部42は、このエンジン特性マップを用いて、アクセルセンサ27で検出されたアクセル操作量θ及びエンジン回転数センサ26で検出されたエンジン回転数Neに対応したエンジントルクTeを求める。なお、ここでは、エンジントルクTeを求めるに当たりアクセル操作量θを用いたが、このアクセル操作量θの代わりに、このアクセル操作量θと一定の関係があるスロットル開度や吸入空気量を用いてもよい。

0055

トルクコンバータ特性マップは、図6に示すように、横軸を回転比eとし、縦軸をトルク比tとして、トルク比曲線が描かれているものである。ここで、回転比eとは、トルクコンバータの出力軸回転数、つまりここでは変速機の入力軸回転数N1と、トルクコンバータの入力軸回転数であるエンジン回転数Neとの比(=N1/Ne)である。また、トルク比tとは、トルクコンバータの出力軸トルク、つまりここでは変速機の入力軸トルクT1と、トルクコンバータの入力軸トルクであるエンジントルクTeとの比(=T1/Te)である。

0056

入力軸トルク演算部43では、このトルクコンバータ特性マップを用いて、入力軸トルクT1を求める。具体的には、まず、トルクコンバータ回転比演算部46において、エンジン回転数センサ26で検出されたエンジン回転数Neと入力軸回転数センサ29で検出された入力軸回転数N1とから、トルクコンバータの回転比e(=N1/Ne)を求める。入力軸トルク演算部43は、この回転比eをトルクコンバータ特性マップのトルク比曲線上にプロットして、トルク比tを求める。そして、入力軸トルク演算部43が、このトルク比t(=T1/Te)から、エンジントルクTeに対する入力軸トルクT1を求める。なお、ここでは、エンジン特性マップを用いてエンジントルクTeを求め、これをトルクコンバータ特性マップを用いて、入力軸トルクに変換したが、トルクセンサを入力軸1に取り付け、直接入力軸トルクを得ることができるようにしてもよい。

0057

磁気摩擦力演算部44では、(数12)に、変速比演算部41で求められた変速比g及び入力軸トルク演算部43で求められた入力軸トルクT1を代入して、磁気摩擦力FMを求める。コイル電流演算部45では、(数17)に、磁気摩擦力演算部44で求められた磁気摩擦力FMを代入して、コイル電流値Iを求め、このコイル電流値Iに対応するパルス幅変調(PWM)信号を駆動回路30に出力する。

0058

図7は、駆動回路30中のコイル駆動回路の一実施例を示している。このコイル駆動回路は、トランジスタチョッパによって、バッテリからコイル13’,13に供給される電流量を制御するものである。

0059

制御ユニット20より与えられたパルス幅変調(PWM)信号は、トランジスタTR1をON・OFFして、パワートランジスタTR2をチョッピングする。その結果、コイル13’,13には、図8に示すような波形の電流が流れる。すなわち、コイル13’,13には、パワートランジスタTR2がON状態の時には、バッテリーからの電流がパワートランジスタTR2を介してコイル13’,13に流れ、パワートランジスタTR2がOFF状態の時には、コイル13’,13には、コイル13’,13とフリーホイールダイオードFD31との間を循環するフリーホィール電流が流れる。このフリーホィール電流は、シャント抵抗SR1で検出される。検出された電流値は、オペアンプOP1及びオペアンプOP2で増幅され、制御ユニット20にフィードバックされて、電流制御が行われる。なお、トランジスタTR3は、保護用であり、シャント抵抗SR2で電流を検出して、パワートランジスタTR2及びコイル13’,13に過大電流が流れないようにする。コイル13,13’を有する回路では、コイル13,13’のインダクタンスが比較的大きいのでフリーホイールダイオード31は欠かせない。もし、これは、このフリーホイールダイオードの回路が断線した場合は、断線点に異常な高電圧が発生し、火花を発したり電子回路破壊したりすることがあるからである。このような現象は、スリップリング14’,14が接触不良になったときにも同じ現象が現れる。このため、スリップリング14’,14には、フリーホィール電流が流れないようにすることが好ましい。

0060

そこで、図9に示すように、コイル13’,13とスリップリング14’,14との間に、コイル13’,13に対して並列にフリーホイールダイオード31を設けるとよい。つまり、フリーホィールダイオード31は、プーリ2,7又は軸1,6に設けるとよい。この場合、シャント抵抗SR1には、先の実施例と異なり、フリーホィール電流が流れないので、図10に示すようなパルス電流が流れる。制御ユニット20は、このパルス立上り時点の電流値Ip1と立ち下がり時点の電流値Ip2とを読み込んで、平均電流を計算して、コイル電流のフィードバック制御を行う。本実施例の方式によると、スリップリング14’,14で接触不良が生じたときにも、コイル13’,13のインダクタンスによるフリーホイール電流を接触不良のスリップリング14’,14で遮断しないので、スリップリング14’,14の接点が火花により荒らされることはない。また、このような回路にすることにより、フリーホィールダイオード31は、その熱がプーリーや変速機内の油に放散されるので、ダイオード31自体の耐久性も高めることができる。

0061

以上において、説明した無段変速制御装置では、入力軸トルク及び変速比に応じた電磁摩擦力が得られるよう、コイルに電流を供給することができる。従って、その時々に応じた適正な摩擦力を得ることができるので、前述したように、良好な動力伝達率を保つことができる。

0062

次に、本発明に係る無段変速機の第2の実施例について、図12を用いて説明する。本実施例の無段変速機は、コイルの位置を変え、これに対応してプーリの形状を変えたもので、その他に関しては、第1の実施例と基本的に同一である。

0063

円錐状の固定プーリ2a,7a及び移動プーリ3a,8aは、それぞれ、その中央部において、テーパ面側から背面側へ凹んだ凹部2b,7b,8bが形成されている。固定プーリ2a,7aの凹部2b,7bの底部及び移動プーリ3a,8aの凹部7bの底部には、貫通孔が形成されており、そこに、軸1,6が貫通している。移動プーリ3a,8aの凹部8bと固定プーリ2a,7aの凹部2b,7bとは、互いに向い合っており、両者の凹部でコイル収納空間を形成している。コイル13aは、このコイル収納空間内に納められている。なお、コイル13aは、固定プーリ2a,7aに固定されている。移動プーリ3a,8aの貫通孔の内周面には、移動プーリ3a,8aが軸に対して移動しやすいように、薄く非磁性体17がコーティングされている。

0064

以上のように構成することにより、コイル13a回りに、固定プーリ2a,7a、ベルト5、移動プーリ3a,8a、軸1,6の順で又はこの逆順で磁束が循環する磁気回路18aを形成することができる。このようにコイル13aを固定プーリ2a,7aのテーパ面側に配置することにより、コイル13aの回りを固定プーリ2a,7a、移動プーリ3a,8a及びベルト5で囲むことができるので、第1の実施例における継鉄11や非磁性体12が無くとも、このコイル13aの回りに磁気回路18aを形成することができる。

0065

なお、本実施例では、移動プーリ3a,8aと固定プーリ2a,7aとに、それぞれ凹部を形成したが、いずれか一方にのみ凹部を形成してもよい。また、以上の各種実施例では、入力側プーリと出力側プーリとの両方にコイル13,13’を設けたが、製造コスト削減のために、一方のプーリのみにコイルを設けるようにしてもよい。

発明の効果

0066

本発明によれば、プーリをベルトに無理に押し付けなくとも、磁気摩擦効果により、両者間に働く摩擦力を高めることができる。従って、ベルトの耐久性を向上させることができる。また、コイルに供給する電流量を調整することにより、プーリとベルトとの間に働く摩擦力を調整することができるので、その時々に応じて、適正な摩擦力を瞬時に得ることができ、動力伝達率を良好に保つことができると共に、油圧で摩擦力を調整するものよりも応答性を高めることができる。

図面の簡単な説明

0067

図1本発明に係る第1の実施例の無段変速機の要部断面図である。
図2本発明に係る一実施例の無段変速制御装置の回路構成図である。
図3本発明に係る一実施例の制御ユニットの機能ブロック図である。
図4本発明に係る一実施例の変速比マップを示す説明図である。
図5本発明に係る一実施例のエンジン特性マップを示す説明図である。
図6本発明に係る一実施例のトルクコンバータ特性マップを示す説明図である。
図7本発明に係る第1の実施例のコイル駆動回路を示す回路図である。
図8本発明に係る第1の実施例のコイル駆動回路を用いた場合にコイルに流れる電流値を示すグラフである。
図9本発明に係る第2の実施例のコイル駆動回路を示す回路図である。
図10本発明に係る第2の実施例のコイル駆動回路を用いた場合にコイルに流れる電流値を示すグラフである。
図11変速比の変化に伴うベルト張力及びベルト摩擦力の変化を示すグラフである。
図12本発明に係る第2の実施例の無段変速機の要部断面図である。

--

0068

1…入力軸、2,2a…入力側固定プーリ、2b,7b,8b…凹部、3,3a…入力側移動プーリ、4…入力側プーリ移動機構、5…スチールベルト、6…出力軸、7,7a…出力側固定プーリ、8,8a…出力側移動プーリ、9…出力側プーリ移動機構、10…バネ、11…継鉄、12,17…非磁性体、13,13’…コイル、14,14’…スリップリング、18,18a…磁気回路、20…制御ユニット、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…入力回路、25…車速センサ、26…エンジン回転数センサ、27…アクセルセンサ、29…入力軸回転数センサ、30…駆動回路、31…フリーホィールダイオード、41…変速比演算部、42…エンジントルク演算部、43…入力トルク演算部、44…電磁摩擦力演算部、45…コイル電流値演算部、46…トルクコンバータ回転比演算部。

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