図面 (/)

技術 組換え変異型リンホトキシン

出願人 ジェネンテック,インコーポレイテッド
発明者 バラー・ブシャン・アガーワルティモシー・スコット・ブリングマンパトリック・ウィリアム・グレイグレン・エバン・ネドウィン
出願日 1985年5月31日 (35年8ヶ月経過) 出願番号 1995-006657
公開日 1995年11月7日 (25年3ヶ月経過) 公開番号 1995-291995
状態 拒絶査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 微生物による化合物の製造 非環式または炭素環式化合物含有医薬 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 微生物、その培養処理 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 組立て物 部分体 立体障害作用 ピッケ イギリス特許 移動率 閉じたループ 熱プラスチック
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年11月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

目的

変異型リンホトキシンを提供する。

構成

図4および図5に示されるリンホトキシンのアミノ酸配列に、アミノ酸残基欠失、挿入、または置換が施された変異体

概要

背景

概要

変異型リンホトキシンを提供する。

図4および図5に示されるリンホトキシンのアミノ酸配列に、アミノ酸残基欠失、挿入、または置換が施された変異体

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

図4および図5に示されているリンホトキシンの配列において、アミノ酸残基が(a)欠失または(b)他の残基で置換され、あるいは(c)該配列中に他の残基が挿入されている変異型リンホトキシン(ただし、Leu+1またはHis+24にアミノ末端を有する図4および図5の配列のリンホトキシンを除く)。

請求項2

図4および図5の配列のヒト−アレルである請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項3

動物のリンホトキシンである請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項4

動物のリンホトキシンがウシのものである請求項3に記載の変異型リンホトキシン。

請求項5

残基−34〜−1が欠失しており、少なくとも1個の挿入されたアミノ酸残基を含有する請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項6

挿入が、リンホトキシンのカルボキシ末端ポリペプチドが融合することにより行われている請求項5に記載の変異型リンホトキシン。

請求項7

ポリペプチドが、タンパク分解酵素による加水分解部位を介してリンホトキシンと融合している請求項6に記載の変異型リンホトキシン。

請求項8

加水分解部位がlys−lysまたはlys−argである請求項7に記載の変異型リンホトキシン。

請求項9

タンパク分解酵素による加水分解を受けるまでは細胞溶解活性が不活性である請求項7に記載の変異型リンホトキシン。

請求項10

疎水性ジペプチドまたはトリペプチドがleu+171に融合している請求項5に記載のリンホトキシン。

請求項11

glu+127とpro+128との間にala−lysが挿入されている請求項5に記載の変異型リンホトキシン。

請求項12

thr+163とval+164との間に疎水性のアミノ酸残基が挿入されている請求項5に記載の変異型リンホトキシン。

請求項13

図4および図5のリンホトキシン配列の少なくとも1個のアミノ酸残基が他の残基で置換されている請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項14

図4および図5の配列中、残基−34から−1まで(それらを含む)がメチオニル残基またはホルミルメチオニル残基で置換されている請求項13に記載の変異型リンホトキシン。

請求項15

残基−34から+23まで(それらを含む)がメチオニル残基またはホルミルメチオニル残基で置換されている請求項13に記載の変異型リンホトキシン。

請求項16

残基−34〜−1を欠失し、かつ、(a)リシル+89をヒスチジルで置換する;(b)アラニル+168をバリルイソロイシルまたはロイシルで置換する;(c)スレオニル+163をチロシルで置換する;(d)セリル+82をリシルで置換する;(e)セリル+42をイソロイシル、ロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはヒスチジルで置換する;(f)リシル+84をグルタミルトリプトファニル、セリルまたはヒスチジルで置換する;(g)スレオニル+163をアスパルチルまたはリシルで置換する;(h)セリル+70をリシルまたはグリシルで置換する;(i)スレオニル+69をチロシルで置換する;(j)リシル+28をアルギニルまたはヒスチジルで置換する;(k)ヒスチジル+32をアルギニルまたはリシルで置換する;(l)アスパルチル+36をプロリル、セリル、スレオニル、チロシルまたはグルタニルで置換する;(m)セリル+38をチロシル、メチオニルまたはグルタミルで置換する;(n)セリル+61をスレオニル、チロシル、ヒスチジルまたはリシルで置換する;(o)グリシル+124をアスパルチル、セリルまたはチロシルで置換する;(p)ヒスチジル+135をアルギニル、リシル、チロシル、トリプトファニルまたはプロリルで置換する;(q)スレオニル+142をアスパルチルで置換する; または、(r)グルタミル+146をリシルまたはスレオニルで置換する、ことにより、得られる請求項13に記載の変異型リンホトキシン。

請求項17

動物のリンホトキシンとヒト−リンホトキシンのハイブリッドである請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項18

メチオニル残基、+20、+120および+133がそれぞれスレオニル、セリルおよびバリル残基で置換されている請求項17に記載の変異型リンホトキシン。

請求項19

腫瘍壊死因子フラグメントを含有する請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項20

ロイシル−アミノ末端リンホトキシンの最初の27、26または25個のアミノ末端残基が、式:val−arg−ser−ser−ser−arg−thr−pro−ser−asp;val−arg−ser−ser−ser−arg−thr−pro−ser;またはval−arg−ser−ser−ser−arg−thr−proで示されるポリペプチド群から選択されたポリペプチドで置換されたものである、請求項19に記載の変異型リンホトキシン。

請求項21

1個のアミノ酸残基の置換を含む請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項22

1〜約30のアミノ酸残基による単一の欠失を含む請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項23

1個のアミノ酸残基の挿入を含む請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項24

ロイシル+1から約30残基の間で置換、欠失または挿入がなされている請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項25

カルボキシ末端アミノ酸の25残基の中で、予定されたアミノ酸残基の置換がなされている請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項26

中性酸性または塩基性のいずれかのクラスのアミノ酸残基で、その置換に用いるアミノ酸とは別のクラスの残基を置換することによって置換が行なわれている請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

請求項27

細胞毒性を有する請求項1に記載の変異型リンホトキシン。

--

0001

技術的背景
本発明はリンホカイン類に関するものである。更に詳しくは、本発明はリンホトキシンおよびその誘導体に関するものである。リンホトキシンは当初、新生細胞系統(ネオプラスチックセルライン)に対して抗細胞活性を有する生物学的因子として確認された。ミトゲン刺激リンパ細胞から得られ、リンホトキシンと命名された活性体は、ある種の腫瘍細胞系統に対する細胞抑制作用から、他の形質転換細胞に対する著しい細胞溶解作用に至る範囲の細胞毒活性スペクトルを有する。しかしながら、リンホトキシン活性は、一次細胞培養および正常な細胞系統に関する試験では、殆どまたは全く、抗細胞活性を示さないという特徴を有する。この様に、リンホトキシンは識別性のある抗細胞特性を有すると予測されることから、リンホトキシンが強力な抗腫瘍活性を有しているかも知れないことを示唆するインビボ実験が行われる様になった。

0002

リンホトキシンという語句一連分子呼称に用いられてきた。リンホトキシン分子は、分子量に基づいて5つのクラスに分けられる糖蛋白質類であり、各クラスはその電荷に関してヘテロジーニアス(異質)である。ヒト−アルファ(MW70−90,000)およびベータ(MW25−50,000)クラスのものは、ほとんどのリンパ球上澄液中に優勢に存在している様である。このアルファMWクラスは電荷に基づいて少なくとも7つのサブクラスに分けることができるが、ベータクラスは2つの明確に区別し得るサブクラスに分けられている[G.グランガー(Granger)ら、モーゼ(Mozes)ら編、1981、セルラーレスポンスイズ・トウモレキュラーモジュレーターズ(Celluler Responses to Moleculer Modulators)pp287−310]。更に、コンプレックス(MW>200,000)およびガンマ(MW10−20,000)リンホトキシン形も確認されている。様々なリンホトキシン形やクラスは、安定性や培養中の出現動力学において互いに異なっている。さらに、それらは低イオン強度条件下にコンプレックス・クラスのものと凝集することもある。リンホトキシンの内、低分子量クラスのものは高分子量クラスのものに比べて比較的不安定であり、細胞溶解作用が弱いとされている[ヒセロット(Hiserodt)ら、1976、“セルラー・イムノロジィ(Cell.Immun.)"26:211;グランガー(Granger)ら、ドウエック(De Weck)ら編、1980、バイオケミカル・キォラクタリゼイションオブ・リンホカインズ(Biochemical Characterization of Lymphokines)pp279−283]。ガンマ・クラスは不安定なので、その活性について広範な研究はなされていない[G.グランガーら、1978“セルラー・イムノロジィ"38:388−402]。ベータ・クラスも不安定であると報告されている[ウォーカー(walker)ら、“ジャーナル・オブ・イムノロジィー(J.of Immun.)"116[3]:807−815[1976、3月]]。

0003

リンホカインに関する用語は一定でないことを理解しておく必要がある。今日では、細胞培養産物に対する命名は、この産物を生成すると思われる細胞、および生物学的分析における該産物の示す性質に基づいてなされている。しかしながら、大多数の研究が部分的に純粋な標品を使用しており、また、産物を特徴づけるために採用された分析法が分子特異的でないために、十分な特徴づけがなされているとは言えず、いずれにしてもかなり変動しやすい。種々の細胞毒性因子類の真の同定は、アミノ酸配列免疫エピトープ(抗原決定基)の如き明確に分析し得る識別可能な特性に基づいた標準的な用語がないとわからないままにおかれることになるであろう。細胞毒性を有する細胞培養産物に付されたその他の名称としては、例えば、腫瘍壊死因子NK細胞細胞毒性因子、出血性壊死因子およびマクロファージ細胞毒素またはマクロファージ細胞毒性因子を挙げることができる。

0004

同時係属出願のU.S.N.608,316(1984年5月7日出願)、およびEP100,641A(1984年2月15日公開)には、ヒト−リンパ芽球(様)細胞系統(セルライン)RPMI−1788から単離されたヒト−リンホトキシンのアミノ酸配列が示されている。

0005

ヤシらは、ウサギ細網内皮系を刺激した後、該ウサギから単離されるタンパク質について述べている(EP132,125A、1985年1月23日公開)。このタンパク質は抗腫瘍活性を有し、そのN−末端アミノ酸配列は、式:Ser−Ala−Ser−Arg−Ala−Leu−Ser−Asp−Lys−Pro−Leu−Ala−His−Val−Val−Ala−Asn−Pro−Gln−Val−Glu−Gly−Gln−Ser−Trp−Leuで示されることを報告している。

0006

また、同時係属出願のU.S.S.N.628,059(1984年7月5日出願)には、腫瘍壊死因子として確認され、式:Val−Arg−Ser−Ser−Ser−Arg−Thr−Pro−Ser−Asp−Lys−Pro−Val−Ala−His−Val−Val−Ala−Asn−Proで示されるN末端アミノ酸配列を有する細胞毒性活性を持ったヒト−ポリペプチドの精製およびその組換え合成法が開示されている。

0007

オオニシらは、BALL−1細胞培養から、ヒト−腫瘍細胞の増殖を抑制し、Ala−AlaN末端を有する7−91000MWの物質(CB×3と命名)を得たことを開示している(アメリカ特許第4,481,137号)。

0008

トスおよびグランガー(Toth and Granger)[“モレキュラー・イムノロジィ(Mol.Immun.)"16:671−679(1979)]によると、ノイラミノダーゼ処理によってリンホトキシン含有リンパ球上澄液からシリアル酸を除去しても、あるいは該上澄液にN−アセチルグルコサミンガラクトースラクトースマンノース、α−メチルマンノシッドまたはフコースを加えても、インビトロでの細胞溶解活性になんら影響を及ぼさないことが報告されている。従って、トスらは、単糖類がこれらのリンホトキシン活性に寄与しているとは思われないと結論している。しかしながら、トスらはまた、他のリンホカイン類の作用には糖類が重要な役割を果たしていることを観察しており、従って、それら糖類がリンホトキシンの細胞毒性において、より複雑なオリゴ糖の形で関与している、という説を排除し得ない、と結論している。

0009

次いで、プロクター(Proctor)、クロスターガード(Klostergaard)およびグランガー(Granger)は、ツニカマイシン(tunicamycin)の存在下(N−結合炭水化物部分がリンホトキシン分子に付加されるのを避けるため)、PHAでヒト−リンパ球を刺激すると、生物学的に不活性なリンホトキシンが放出される、ということを報告している(“クリニカルリサーチ(Clinical Research)"、1982、30(1):55A)。彼らはまた、免疫化学的研究により、リンホトキシンの炭水化物部分は、活性化されたリンパ細胞からその上澄液中へのリンホトキシンの移送および放出、にとって必須の部分ではないが、該炭水化物部分は、リンホトキシン分子(類)が適切な立体配座をとるのに寄与していることから、標的細胞を効果的に破壊する上では必須の部分である、ということを明らかにした。

0010

本発明との関係において検討されるべき他の文献には、エバンス(Evans)、“カンサー・イムノロジィ・アンド・イムノセラピイ"12:181−190(1982);リー(Lee)ら、“セル・イムノロジィ"48:166−181(1979);ドウエック(De Weck)ら編(1980)、バイオケミカル・キャラクタリゼーション・オブ・リンホカインズpp279−312;カーン(Khan)ら編(1982年6月30日)ヒューマン・リンホカインズ(Human Lymphokines)pp459−477;アガーワル(Aggarwal)ら、第3回国際リンホカイン学会[(ハバーフォード(Haverford)、PA.にて、1982年8月1日〜5日)]における発表;ランソム(Ransom)ら、“カンサー・リサーチ"43:5222−5227(1983年11月);カル(Kull)ら、“ジャーナル・オブ・イムノロジィ"126(4):1279−1283(1981年4月);J.サワダら“ジャパン・ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディソン(Jpn.J.Exp.Med.)"46:263−267(1976):G.グランガーら、“セルラー・イムノロジィー"38:388−402(1978);J.ランデル(J.Rundell)ら、“イムノファーコロジイ(Immunopharmacology)"3:9−18(1981);G.グランガーら“ジャーナル・オブ・リンホカイン・リサーチ(J.Lymphokine Res.)"1:45−49(1982);N.ラッデル(N.Ruddle)ら、“リンホカイン・リサーチ(Lymphokine Res.)"2:23−31(1983);M.ミツハシら(イギリス特許出願第2,106,117号);H.エノモト(ヨーロッパ特許出願第87,087A号);B.ウイリアムソン(B.Williamson)"ら、“P.N.A.S.USA"80:5397−5401(1983)およびS.ライト(S.Wright)ら、“ジャーナル・オブ・イムノロジィー"126:1516−1521(1981)が含まれる。

0011

これまでにリンパ球培養物から得られたリンホトキシン(またはリンホトキシンであると同定された物質)は、RPMI−1788細胞または一次リンパ細胞の上澄液中に0.05−2×106単位/l程度の低濃度で含まれているにすぎない。収穫量にはかなりの開きがあり、また一次リンパ細胞は高価である。従って、リンホトキシンの経済的な製造方法が求められている(ヤマモトら、“ジャーナル・オブ・バイオロジカル・レスポンス・モディファイヤース(J.of Biological Response Modifiers)"3:[1]76−87[1984])。

0012

また、先行技術は、薬物の有用性にとって重要な点である。アミノ酸配列に関してホモジーニアス(均質)なリンホトキシンを得ることに成功を収めていない。細胞系統(セルライン)の培養物から回収されたリンホトキシンは、多分タンパク質分解的プロセッシングに起因して、そのアミノ末端不均質である(前記U.S.S.N.608,316参照)。一次リンパ細胞(例、アデノイドまたは末梢血液から得たもの)の培養物は、経済上の理由から、必然的に様々な供給源の細胞を含有することになる。しかしながら、これらの細胞の産物は供給源間の遺伝的な変動を反映しているので、得られた“リンホトキシン"は事実上、アレイック(対立遺伝子)性の種(species)の混合物となる。その様なアレル(対立遺伝子)の比率を知り、同定することは、ロットごとに異なるので、明らかに不可能である。従って、アミノ酸配列に関して均質なリンホトキシンを製造する方法が求められている。

0013

先行技術の方法は、天然に見出される物質の、一次アミノ酸配列に相当する配列を有するリンホトキシンの生産に限定されている。これらの配列中のアミノ酸置換または欠失させ、あるいは別のアミノ酸をその中に挿入することは、それがかりに達成されたにしても、広範囲に及ぶ、高価な化学的修飾を必要とする。従って、リンホトキシンのアミノ酸配列中に、容易に変異を導入する方法が求められている。

0014

リンホトキシン活性の抗腫瘍効果、およびその明白な治療的価値は1968年から文献中に報告されているにもかかわらず、従来法で得られたリンホトキシンが少量であることと、ヘテロジーニアス性を有していることから、広範囲に及ぶ臨床的プロトコールにおいて研究がなされておらず、また商業化もされていない。従って、臨床研究が適切な量のリンホトキシンを経済的に製造する方法が求められている。

0015

リンホトキシンとして同定された物質をも含めて、種々の細胞毒の細胞溶解活性を中和し得るウサギの抗血清が文献に記載されている(ヤマモトら“セルラー・イムノロジィー"38:403−416(1978);ゲイトリィ(Gately)ら、“セルラー・イムノロジィー"27:82−93(1976);ヒセロット(Hiserodt)ら、“ジャーナル・オブ・イムノロジィ"119(2):374−380(1977);ザカルチャック(Zacharchuk)ら、“P.N.A.S.USA"80:6341−6345(1983年);ラッドルら“リンホカイン・リサーチ"2(1)23−31(1983);マンネル(Mannel)ら、“インフェクション・アンド・イムニティー(Infection and Immunity)"33(1):156−164(1981);ワラック(wallach)ら、E.ドウメイヤー(E.De Maeyer)ら編(ザ・バイオロジィー・オブ・ザ・インターフェロン・システム(The Biology of the Interferon System)pp293−302(1983年9月発行);およびストンウォルフ(Stone−Wolff)ら、“ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディソン"159:828−843(1984年3月))。この抗血清はポリクローナルであるので、免疫原であるリンホトキシンに対する多種多様の抗体を含有している。これらの抗体のどれか1つまたはそれ以上が“リンホトキシン"活性を中和するのに働いている。また、一般的に、これらの文献報告は、免疫原として用いられたリンホトキシン活性に係る物質の分子としての同定が不明確である。診断および免疫親和性(イムノアフィニティ)精製法においては、明確かつ明瞭に同定されたリンホトキシン分子に対する単一特異性抗体が必要とされる。本発明の目的は、その様な抗体を提供することにある。

0016

本発明の他の目的は、実質的に全てのリンホトキシン分子の一次アミノ酸配列が同じである様なリンホトキシン形の組成物の経済的な製造方法を提供することにある。さらにまた本発明は、リンホトキシン形のアミノ酸配列中に所定の変化をもたらす方法、特に、アミノ酸の欠失、挿入、置換またはそれらを組合わせて行う方法を提供せんとするものである。

0017

発明の要約
本発明者らは、組換え法によってリンホトキシン活性を有するタンパク質を発現させることに成功し、上記の目的を達成した。本明細書において、その活性および天然のあるいは変異型のアミノ酸配列によって示されるリンホトキシン種は、以降リンホトキシンと称する。驚くべきことに、ホモローガスな細胞内では微少ベルのリンホトキシンしか発現されず、また、どの時点でリンホトキシンを暗号化したメッセンジャーRNAがホモローガス細胞中に現れるかが不確かであるにもかかわらず、リンホトキシンを暗号化しているDNAが同定された。さらに驚くべきことに、リンホトキシンをグリコシル化しない組換え細胞(あるいは、ホモローガス細胞と同様にその様な作用を持たないだろうと考えられる組換え細胞)内で、生物学的に活性なリンホトキシンを発現させると共に、この様にして発現された、実質的に均一なアミノ酸配列を有するリンホトキシンを、N末端の酵素的加水分解を伴うことなく、回収することができた。リンホトキシンを暗号化しているDNAは、細胞培養内で、培養リゼイト(溶菌液)1l中に0.1〜1×10"単位以上というおびただしい量で発現される。

0018

組換え宿主細胞によるリンホトキシンの発現は、リンホトキシンまたはその前駆体を暗号化するのに用いたDNA、並びに選択した宿主細胞によって左右される。本発明においてリンホトキシンの合成に用いた核酸配列新規である。それらのヌクレオチド配列は、固有の、または天然の配列から、以下に示す相違点の1またはそれ以上において異なることを特徴としている:DNA中にイントロンが含まれていない(ヒト−リンホトキシンの場合、ヌクレオチド284と285の間にイントロンが存在する(図4および図5));DNA中に、該DNAの起源である生物の他のタンパク質を暗号化している核酸が含まれていない;リンホトキシンを暗号化している核酸がベクター内にライゲートされている;そして/またはこの核酸は、リンホトキシンを暗号化している核酸と雑種形成(ハイブリダイズ)することができる(ただしこのハイブリダイズする核酸は、リンホトキシンを暗号化している天然のDNAまたはRNAのヌクレオチド配列を持ってはいない。)。

0019

リンホトキシンを暗号化している核酸突然変異体は組換え操作によって生産される。リンホトキシンの5’非翻訳または翻訳核酸に於けるサイレント突然変異を行なう。例えばmRNAの核酸の5’領域にステム・アンド・ループ構造が生じる可能性を減少させたり、天然の核酸単離体中に見出されるコドン宿主にとって好ましいコドンで置換したりすることにより、選択した宿主内での発現を促進することができる。

0020

サイレントではなくて、発現される核酸の突然変異により、固有のリンホトキシンのアミノ酸配列を持つリンホトキシン種、または固有のリンホトキシンと異なるアミノ酸配列を有する、その一次配列変異体を生成させることができる。突然変異体リンホトキシンはそのまま回収するか、または宿主細胞内でさらに加工され、所望のリンホトキシンを得る。

0021

これらの核酸またはそれとハイブリダイズする核酸、あるいはそれらのフラグメント標識化し、リンホトキシンを暗号化している遺伝的物質の同定または確認のためのハイブリダイゼーションアッセイに用いる。

0022

リンホトキシンの合成法は、リンホトキシンを暗号化しているDNAをベクターにライゲートし、このベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、この宿主細胞を培養し、その培養からリンホトキシンを回収することからなる。この一般的な方法を用い、ベクターの組立ておよび形質転換のための宿主の選択に応じて、固有のリンホトキシンのアミノ酸配列を有するリンホトキシンを合成するか、あるいは、新規なリンホトキシン変異体を組立てる。本発明に従って得ることができるリンホトキシン種には、ロイシル(ロイシン)−アミノ末端リンホトキシン、ヒスチジル(ヒスチジン)−アミノ末端リンホトキシン、プレ−リンホトキシン、並びに以下に示す種々のリンホトキシン変異体が含まれる:(a)ヘテロローガスなタンパク質またはポリペプチドがペプチド結合によってリンホトキシンのアミノ末端および/またはカルボキシ末端に結合してなる融合タンパク質、(b)リンホトキシンフラグメントであって、特に、そのフラグメントのアミノ末端アミノ酸がプレリンホトキシンの−34から+23までのアミノ酸のいずれかである様な、プレリンホトキシンのフラグメント、(c)1または1以上のアミノ酸残基が置換、挿入または欠失しているリンホトキシン突然変異体、(d)メチオニルアミノ末端誘導体、または修飾されたメチオニル(ホルミルメチオニル、その他の保護されたメチオニル基)アミノ末端誘導体、および/または(e)以上全てについて、グリコシル化されていないものおよび様々にグリコシル化されたもの。

0023

真核性分泌性リーダー配列(リンホトキシン固有の分泌型リーダーを含む)に機能的にライゲート(結合)したリンホトキシン暗号化核酸によって哺乳類細胞を形質転換するか、あるいはリンホトキシンを暗号化している核酸を、ベクター内の原核性または酵母性の分泌リーダー配列であって形質転換しようとしている宿主細胞が認識し得るリーダー配列(通常、宿主細胞は、リーダー配列の供給源微生物である)に機能的にライゲートし、このベクターで形質転換した宿主を培養すると、その培養物からアミノ末端がメチオニル化されていないリンホトキシン種を常法通り回収することができる。

0024

また、リンホトキシンを暗号化しているDNAを分泌リーダー配列を含んでいないベクターに機能的にライゲートさせ、これを用いて宿主細胞を形質転換する場合は、通常合成されるリンホトキシン種は、アミノ末端メチオニル残基またはホルミルメチオニルの如き修飾されたメチオニル残基で置換される。

0025

本発明は、これまでは入手することができなかったリンホトキシン変異体を発現させる様、インビトロにおいてリンホトキシンを暗号化している核酸に突然変異を起こす方法を提供するものである。第一の方法は、リンホトキシンを暗号化しており、直接的に発現される(即ち、分泌リーダー配列と機能的に結合していない)核酸で形質転換した宿主細胞により、N末端メチオニル、または修飾メチオニルリンホトキシンを発現させる方法である。

0026

第二の方法は、インビトロにおいて、部位特異的に、所定のまたはランダムな突然変異を誘発し、リンホトキシンを暗号化している核酸に、欠失、置換および/または挿入を行なう。この様にしてリンホトキシン融合物を生成させる。突然変異した核酸の発現によって得られるリンホトキシンは、改良された特徴を示す。

0027

最後の方法では、新規なリンホトキシン種である、グリコシリル化されていないまたは異様にグリコシリル化されたリンホトキシンを得る。非−グリコシリル化リンホトキシンは、リンホトキシンを暗号化しているDNAの原核生物内での発現によって生産される。異様にグリコシリル化されたリンホトキシン種は、より高等真核細胞(通常、哺乳類の細胞)の形質転換体の組換え培養により、生産される。

0028

本発明方法で生産されたリンホトキシンは、培養物の上澄みまたはリゼイト(溶解物)から、不溶化されたリンホカイン中和抗体を使用したイムノアフィニティ吸着法により精製することができる。モノクローナル細胞培養中で最も効率良く生産されるこの抗体は、明ばん(アルム)に吸着させたリンホトキシンで免疫化したマウスで生成させる。

0029

本発明に係るリンホトキシンは、生理学的に無毒な安定剤や賦形剤と混合し、投薬ビン内で凍結乾燥して滅菌投与剤形にするか、安定化した水剤の形で保存し、治療に用いることができる。あるいは、このリンホトキシンをポリマーマトリックスの中に組込ませ、腫瘍部位または腫瘍切除に係る術後部位に埋め込むことにより、リンホトキシンが局所的に高い濃度勾配で、好機に放出される様にすることもできる。

0030

本発明に係る治療用組成物は、その治療有効量を、悪性腫瘍を有する動物、特に人間の患者に、埋め込み、注射または注入することにより、投与し得る。

0031

図面の解説
図1はリンホトキシンフラグメントを暗号化しているDNA配列および推定のアミノ酸配列の模式図である。図2および図3図1に示したフラグメントを暗号化している合成DNAの組立て模式図である。図4および図5はプレリンホトキシンの全アミノ酸配列、並びに、5'および3'非翻訳領域をも含めた、その暗号DNAの模式図である。図6はメチオニル・ロイシル−アミノ末端リンホトキシンおよびそのアミノ末端メチオニル誘導体のための発現ベクター組立て方法を示す模式図である。図7および図8は、メチオニル・ヒスチジル−アミノ末端リンホトキシンのための発現ベクターの組立て方法を示す模式図である。図9図10図11および図12はヒト、ネズミおよびウシのリンホトキシンアミノ酸配列、並びにこれらの哺乳類におけるリンホトキシン共通(コンセンサス)塩基配列を示す模式図である。図13図14図15および図16は、リンホトキシンと細菌性シグナル配列の融合物を暗号化しているプラスミドの組立て模式図である。

0032

詳細な説明
明細書中では、リンホトキシンを、実質上、図4および図5に示したリンホトキシンのアミノ酸配列の少なくとも1部分とホモロジイ(相同)な構造アミノ酸領域を有する、生物学的に活性なポリペプチドと定義する。生物学的活性は以下に述べる選択的な細胞毒活性、細胞毒リンホトキシンとの免疫交差反応活性、あるいは細胞表面のリンホトキシン受容体に対する細胞毒リンホトキシンとの競合能力に基づいて定められる。後二者の場合においては、リンホトキシンがそれ自体、細胞毒性であることを要しない。免疫学的交差反応性を有する突然変異体は動物の体内に抗リンホトキシンを生成させるための免疫原として有用であり、例えばイムノアッセイ用試薬を製造する上で有用であり、一方非−細胞毒性の競合的突然変異体は、生物学的に活性なリンホトキシンの競合的なイムノアッセイにおいて、標識化した試薬として用いることができる。

0033

選択的細胞毒活性とは、インビボまたはインビトロにおいて、同じ条件下にある正常細胞と比較した場合に、腫瘍細胞を優先的に破壊するかまたはその増殖を阻害する様な活性である、と定義する。活性の測定においては、インビトロでは溶解、インビボでは壊死による腫瘍細胞の破壊を終末点に用いるのが好ましいが、細胞性塞栓活性または増殖阻害活性を利用してもよい。

0034

リンホトキシンの抗細胞活性を検出するのに好適な測定法はB.アガーワル(B.Aggarwal)ら“ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリィ"259(1)、689−691およびE.カースウェル(E.Carswall)ら、1975、“プロシーディングス・オブ・ザ・ナシナルアカデミィ・オブ・サイエンスイズ・オブ・ザ・USA"72、3666−3670によって示されている。

0035

本明細書中では、リンホトキシンの特異活性を、細胞塞栓活性ではなく標的細胞の溶解に基づいて定義する。リンホトキシン1単位は、実施例1に記載する如く、各ウエルプレートした標的細胞の50%を溶解させるのに必要な量である、と定義する。しかしながら、他の細胞毒活性の測定方法も可能である。

0036

実質的に構造上ホモロジィ(相同)である、とは、通常、そのポリペプチド中のアミノ酸残基の内約60%以上、一般的には約70%以上が図4および図5に示した対応する残基と同じであるかまたは保存的置換であることを意味する。

0037

リンホトキシンポリペプチドの全配列が図4および図5に示した配列とホモローガスである必要はない。そのものが所望の生物学的活性を示す限り、一部分だけが図4および図5の配列中のどこかとホモローガスであってもよい。通常、ホモロジィ領域は、ホモロジィを最大にするために時折ギャップを導入する必要があるということをふまえた上で、約20〜100アミノ酸残基の領域について証明されることが必要である。図4および図5に示した配列とホモロジィである領域がリンホトキシンの鍵(key)領域(即ち、細胞毒活性にとって重要な領域)の1つでない場合は、この定義の範囲に入るポリペプチドに要求されるホモロジィはもっと少なくてよい。図4および図5の配列中の鍵領域は残基約162〜171、52〜83および127〜148の領域であると思われる。

0038

リンホトキシンは、具体的にヒトの腫瘍の壊死因子、または天然の動物におけるその類似体を除くと定義されている(D.ペニカ(D.Pennica)ら、“ネイチャー"312:20/27 1984年12月号、pp.724−729、およびB.アガーワルら“ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリィ"260[4]:2345−2354[1985])。

0039

構造上の類似性とは、アミノ酸側鎖の主要な特性、例えば塩基性中性または酸性親水性または疎水性、あるいは立体的な大きさがあるか無いか等の性質についての類似性をいう。構造上類似であるアミノ酸の一方を他方と置換することは、当該技術分野で通常、保存的置換として知られている。

0040

あるポリペプチドがリンホトキシンであると同定する上で重要なファクターは、実質的にホモジーニアスなリンパ芽球様(または天然の)リンホトキシンを実質上中和し得る抗血清が、該ポリペプチドの細胞毒活性をも実質上中和することができる、ということである。しかしながら、免疫学的な同定と細胞毒に基づく同定とは必ずしも同じ幅を持っている訳ではないことは理解されよう。例えば、図4および図5のリンホトキシンに対する中和抗体は、該中和抗体がたまたまリンホトキシンの細胞毒活性にとって必要な領域に隣接した領域に結合するものである、という理由で(ただしこの中和抗体はリンホトキシン活性部位に対する立体障害作用を介して中和作用を奏する)、リンホトキシン候補のタンパク質とは結合しないかもしれない。この様な無関係な領域に突然変異を生じた候補タンパク質はもはや中和抗体とは結合しないが実質的なホモロジィおよび生物学的活性、という観点からは依然、リンホトキシンである。

0041

リンパ芽球様細胞系統(セルライン)の培養によって得られたリンホトキシンは次の特徴を有する:分子量はグリコシル化およびN末端の変化の程度に応じて、20,000または25,000である:Asn+62(図4および図5参照)がグリコシル化されている;凝集し易く、特にマルチマー(重合体)を形成し易い;等電点は約5.8である;pH変化に不安定である(重炭酸アンモニウム緩衝液(濃度10μg/ml)中、pHレベル約5以下または約10以上で24時間保つと、細胞毒活性が50%以上失われる);水溶液中で、80℃において5分間インキュベートすると実質的に活性が消失する。2種類の分子量のリンパ芽球様リンホトキシン種が同定されている。それらリンパ芽球様リンホトキシンの内、25,000da種はアミノ末端にロイシン残基を有している。この25,000da種の一次アミノ酸配列を有するポリペプチドはロイシル(ロイシン)−アミノ末端リンホトキシンと呼ばれる。リンパ芽球様リンホトキシンの内、20,000da種はアミノ末端にヒスチジンを有することが特徴であり、相当する配列をヒスチジル(ヒスチジン)−アミノ末端リンホトキシンと称する。これらの特徴がリンパ芽球様細胞培養から得られた天然の、あるいは野性型のヒト−リンホトキシンを表わしているということを認識することは重要なことである。本明細書で定義したリンホトキシンには天然の、グリコシル化されたリンホトキシンが含まれるが、その他の関連の細胞毒性ポリペプチドも定義の範囲内に含まれる。例えば、動物のリンホトキシンに一般に付随しているグリコシル化部分は、ヘテロローガスな真核性の組換え宿主細胞内で発現される場合には修飾されるかもしれず、その結果、ヒト−リンパ芽球様リンホトキシンについて確立されている分子量あるいは等電点と異なる性質の、修飾されたリンホトキシンが生成されることになる。組換え細菌培養中では、それ相応の修飾を受けた分子量、等電点、およびその他の特性を持った、全くグリコシル化されていないリンホトキシンが生産される。さらに、ある動物種(第1番目の動物)から得られた細胞系統内で他種動物(第2番目の動物)のプレリンホトキシンが翻訳後プロセッシングを受けると、その第2番目の動物種の場合において通常であるものとは異なるアミノ末端残基が得られるかもしれない。同様に、本発明の突然変異誘発方法によって、例えばリンホトキシンのアミノ酸配列やN末端を変化させ、そうすることにより、pH安定性や等電点を改良することができる。

0042

翻訳されたヒト−リンホトキシンのアミノ酸配列を図4および図5に示した。この配列中には34残基からなるプレ−配列が含まれており(その突然変異体を含めて、ここでは“プレ−リンホトキシン"と称する)、これはヒト−細胞内での翻訳された転写体の正常なプロセッシング過程で除去され、その結果ロイシル(ロイシン)−アミノ末端種が得られる、という点に留意すべきである。ヒスチジル(ヒスチジン)−アミノ末端種は、このロイシル−アミノ末端種の最初の23個のアミノ酸を有しないことを除いて、該ロイシル−アミノ末端種とホモローガスである。これらの3種、即ち、プレ−リンホトキシン、ロイシル−アミノ末端リンホトキシン、およびヒスチジル−アミノ末端リンホトキシンは全て、そのメチオニル突然変異体、修飾されたメチオニル突然変異体、および非−グリコシル化体と共に、本発明のリンホトキシンの範囲内に包含される。非−グリコシル化体およびヒスチジル−アミノ末端種は、前記のリンパ芽球様細胞からのホモローガスな種よりも低分子量であろう。

0043

プレ−リンホトキシンは前述の定義の範囲内に含まれるリンホトキシンの一種である。その特徴は、分子のアミノ末端にシグナル(またはリーダー)ポリペプチドが存在することにある。一般に、リンホトキシンの天然のシグナル(信号)ポリペプチドは、このタンパク質が細胞から分泌される際の分泌プロセスの一プロセスとして、リンホトキシンからタンパク分解的に開裂される。この信号ペプチドは微生物あるいは哺乳動物(天然の、この34残基からなるプレ−配列をも含む)のいずれのものであってもよいが、宿主細胞にとってホモローガスな信号であることが好ましい。ある種の信号−リンホトキシン融合物は宿主細胞によって認識されず、N−末端メチオニン不含リンホトキシンに加工“プロセス"されない。微生物性の信号を含有する融合物は、例えばリンホトキシン免疫源として用いることができる。“細胞毒活性を有する"という語句は、例えば酵素的加水分解を受けて、酵素原に似た不活性な状態から、所望の生物学的活性を現すポリペプチドフラグメントへと変換され得るポリペプチドを含むリンホトキシンを示すことに注目されたい。インビトロまたはインビボで“細胞毒性活性を有する"という語句は、例えば酵素的加水分解により、酵素原に似た不活性な状態から明確な生物学的活性を現すポリペプチドフラグメントに変換され得る、非−細胞毒性ポリペプチドを包含する。一般に、不活性な前駆体は、リンホトキシンのカルボキシ末端に他のタンパク質またはポリペプチドがペプチド結合を介して結合している融合タンパク質である。インビボで、あるいはまたインビトロにおける製造工程の一段階として、タンパク分解的加水分解を受け易くしてリンホトキシンを放出させるために、このポリペプチド結合またはその近くの配列を選択する。代表的な結合配列はlys−lysまたはarg−lysである。その様なプロリンホトシン中の非リンホトキシン成分は、該融合物の免疫原性を最少限度にするため、ホモローガスなタンパク質であることが好ましい。このホモローガスなタンパク質は無毒であり、かつ細胞表面と結合しないものであることを要する。この様にして生成したリンホトキシンは、明確な、所望の細胞毒活性を現す。

0044

通常、リンホトキシンとはヒト−リンホトキシンを表わすが、ネズミ、ブタウマまたはウシの様な他の供給源から得られたリンホトキシンも、それが、ホモローガス領域および生物学的活性に関して述べた前の基準に合致する限り、リンホトキシンの定義内に含まれる。例えば、ウシおよびネズミのリンホトキシンはヒト−リンホトキシンと高度(約80%)のホモローガス性を有する。リンホトキシンは種特異的でなく、例えばヒト−リンホトキシンはマウスの腫瘍および新生細胞系統に対して活性である。従って、ある種から得たリンホトキシンを他の種の治療に用いることができる。

0045

リンホトキシンには重合形も含まれる。リンホトキシンは自然に凝集し、通常、二重体またはそれ以上のマルチマーに重合する。マルチマーは細胞毒性を有するのでインビボでの治療に用い得る。組換え宿主内で発現されるリンホトキシンはモノマーである。しかしながら、その後、リンホトキシンは自然にマルチマーを形成する傾向がある。均質なマルチマー、あるいは種々のマルチマーの混合物は治療上有用である。

0046

変異型リンホトキシンには、図4および図5に示した分子の予め定められた、または標的をしぼった変異体、即ち、部位特異的突然変異体またはそのフラグメントが含まれる。変異型リンホトキシンとは、そのアミノ酸配列が、残基の欠損、置換または挿入のいずれかによって図4および図5に示した配列と異なっていることを特徴とする、という点を除けば、リンホトキシンについて定義した特性を有するポリペプチドを意味する。本明細書中に述べる非−ヒトリンホトキシン、およびヒト−リンホトキシンのアレル体は、天然の対応物を持たない部位指定性突然変異リンホトキシンであるといえる。突然変異変異型誘発の目的は、上に定義したリンホトキシンをコードしており、かつ、天然のリンホトキシンの生物学的活性を改良し、あるいは、リンホトキシンの製造を容易ならしめるという特性を示すDNAを組立てることにある。例えば、リジン残基の代わりにヒスチジン残基を発現させるためにリジン+89コドンを突然変異させる。このヒスジン+89はもはやトリプシンで加水分解されない(トリプシンは、通常、arg−Xまたはlys−X結合の位置でタンパク質を開裂する)。かくしてプロテアーゼ耐性を得たこの突然変異体は、図4および図5の配列を有するリンホトキシン(またはそのフラグメント)よりも長い生物学的半減期を有することになる。その他のリンホトキシン内のリジンまたはアルギニン残基(例、リジン+28、リジン+19またはアルギニン+15)もヒスチジンに変異させることができる。

0047

前記の如く、リンホトキシン分子のある領域は腫瘍壊死因子と呼ばれる類似した活性を有するタンパク質と実質上ホモロジィである。この様な、実質的にホモロジィな領域またはそのすぐ両隣りの領域のアミノ酸残基は、様々な生物活性、および細胞毒活性を示すリンホトキシン突然変異体を同定することを目的として突然変異を誘発するのに好都合である。その様な突然変異体は自体既知の方法で生成させることができ、所望の生物学的活性、例えば治療すべき特定の新生物に対して増強された細胞毒性、あるいは動物の免疫化を目的とするリンホトキシン種の場合ならば、より強力な免疫応答惹起させる能力等に関してスクリーニングする。その様なリンホトキシン変種の例を次下に示す:Ala+168を分枝鎖アミノ酸(val、ileまたはleu)に変異させる;thr+163とval+164の間に疎水性アミノ酸(例、phe、val、ileまたはleu)を挿入する;thr+163をチロシンで置換する;ser+82をリジンで置換する;ser+42をイソロイシン、ロイシン、フェニルアラニンバリンまたはヒスチジンで置換する;lys+84をグルタミントリプトファンセリンまたはヒスチジンで置換する;ser+82を欠失させる;leu+171に疎水性のジーまたはトリペプチドを融合させる;thr+163をアスパラギン酸またはリジンで置換する;glu+127とpro+128との間にala−lysを挿入する;ser+70をリジンまたはグリシンで置換する;thr+69をチロシンで置換する;lys+28をアルギニンまたはヒスチジンで置換する;his+32をアルギニンまたはリジンで置換する;asp+36をプロリン、セリン、スレオニン、チロシンまたはグルタミン酸で置換する;ser+38をチロシン、メチオニンまたはグルタミン酸で置換する;ser+61をスレオニン、チロシン、ヒスチジンまたはリジンで置換する;gly+124をアスパラギン酸、セリンまたはチロシンで置換する;his+135をアルギニン、リジン、チロシン、トリプトファンまたはプロリンで置換する;thr+142をアスパラギン酸で置換する;そしてgln+146をリジンまたはスレオニンで置換する。

0048

ヒト−リンホトキシン残基の+20、+120および+133におけるメチオニン残基が欠失している突然変異体が特に望ましく、あるいは、更に好ましくは、それらが本明細書中に記載した他の種のリンホトキシン中に見出される、対応する残基で置換されている突然変異体が特に好ましい。例えば、met+20、+120および+133をそれぞれスレオニン、セリンおよびバリンで置換する。これらはウシ−リンホトキシン中の対応残基である。置換は、自体既知の方法に従い、更にM13Mp8ファージを用いた突然変異誘発工程を経てmet+133をvalに変異させることを除けば、実施例9に示した方法によって行うことができる。この突然変異体である、動物種ハイブリッドリンホトキシンDNAを実施例7におけるロイシル−アミノ末端DNAの代わりに用い、融合物として発現させる。既知の方法に従い、臭化シアンを用いてこのハイブリッドリンホトキシンからSTIIシグナル(信号)を開裂させ、成熟ロイシル−アミノ末端リンホトキシン変種を回収する。

0049

その他の有用なリンホトキシン変種は、腫瘍壊死因子中の残基対応するリンホトキシン残基が置換されて形成されたハイブリッド・腫瘍壊死因子−リンホトキシン変異体である。その代表例は、成熟腫瘍壊死因子の最初の8、9または10個の残基(例、val−arg−ser−ser−ser−arg−thr−pro−ser−asp−)でロイシル・アミノ末端リンホトキシンの最初の27残基が置換されたものである。この変種は大腸菌(E.coli)内での直接発現に際して、N末端の脱メチオニル化をより起こし易いと思われる。

0050

突然変異誘発部位は予め定めておくが、突然変異そのものを予め定めておく必要はない。例えばヒスチジン+89での適切なリンホトキシン突然変異体を得るためには、リジン+89に関するコドンに無作為変異誘発を行い、発現されたリンホトキシン突然変異体を、細胞毒活性とタンパク分解酵素耐性の適当な組合わせについてスクリーニングする。

0051

リンホトキシンには、通常、アミノ酸残基数約1〜10程度の挿入、または約1〜30残基の欠失も含まれる。置換、欠失、挿入、またはそれらの併用、等を組合わせて最終的な組立てを行う。挿入には、アミノ末端またはカルボキシ末端の融合、例えばカルボキシ末端に疎水性の延長部分を付加すること、も含まれる。しかしながら、置換的突然変異誘発だけを行うことが好ましい。言うまでもなく、暗号DNA内における突然変異は、その配列をリーディングフレーム外に位置せしめるようなものであってはならず、また、mRNAの二次構造を形成させる可能性のある相補領域をつくらないことが好ましい。ロイシル−アミノ末端リンホトキシンの後部16個のカルボキシ末端アミノ酸、または前部約33個のアミノ末端残基が欠失されたリンホトキシン突然変異体を暗号化しているDNAを含有するベクターで形質転換された大腸菌の抽出液は細胞毒活性を示さない。しかしながら、この活性の欠如の原因は不明であり、後述の実施例1に示した理由のいづれかによるものであろう。

0052

リンホトキシンを暗号化しているDNAに於ける突然変異の全てが組換え細胞培養内で最終的な生産物として発現されるわけではない。例えば、置換型のDNA突然変異体の主なものは、図4および図5分泌リーダーが、その34個のリーダー残基内での欠失、または置換のいずれかにより、固有のリーダー配列の全部または大部分を所望の宿主によって一層認識され易いリーダーに置き換え、別のリーダー配列に変えたものである。例えば、原核性の発現ベクターを組立てるには、図4および図5の分泌リーダーを細菌性のアルカリ性ホスファターゼまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーに有利な様に欠失させ、酵母のための発現ベクターを組立てるには、図4および図5のリーダー配列を酵母インバターゼ、アルファ因子、または酸ホスファターゼ・リーダーに好都合な様に置換する。しかしながら、このことはヒト分泌リーダヒト細胞系統以外の宿主では認識されない、ということを意味するものではない。宿主によって分泌リーダーが“認識"されると、通常、リンホトキシンとリーダーからなる融合タンパク質はリーダー−リンホトキシン間のペプチド結合の位置で切り開かれ、通常リンホトキシンが分泌される。この様に、宿主の形質転換に突然変異DNAを用いても、得られるリンホトキシン生産物は、融合物のプロセッシングに関する宿主の機能に応じて、融合型、または固有のリンホトキシンのいずれかとなる。

0053

リンホトキシン変異体として発現されないもう一つの主要なDNA突然変異体は、発現を促進する様にヌクレオチド置換を行なうものであり、(それは、主として転写されたmRNA内でステム・アンド・ループ構造が生じることを避ける(同時出願係属中のU.S.S.N.303,687号参照)ことにより行なう)、かもう1つは選択した宿主内で、より転写され易いコドンを与える(例えば、大腸菌内で発現させるには、よく知られている大腸菌にとって好ましいコドンがある)ためにヌクレオチド置換を行なうものである。

0054

突然変異した核酸は、自体周知の方法によって製造される[A.フイ(A.Hui)ら、1984、“EMBOジャーナル(The EMBO Journal)3(3):623−629;J.アデルマン(J.Adelman)ら、1983“DNA"2(3):183−193;イギリス特許出願第2,130,219A;G.ウインター(G.Winter)ら、1982、“ネイチャー"299:756−758;およびR.ワラス(R.Wallace)ら、1981、“ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic AcidsResearch)"9(15):3647−3656]。これらの方法には、M13ファージ突然変異誘発、実施例1およびそれ以降に述べ、突然変異体リンホトキシン遺伝子の合成、あるいはその他の、当該技術分野での既知の、または既知となるであろう方法が含まれている。

0055

リンホトキシンを暗号化している核酸には、そのヌクレオチド配列が天然に見い出される配列に相当するか否かに係らず、本発明のリンホトキシンの定義内に含まれるポリペプチドを暗号化しているあらゆるDNAまたはRNA配列が含まれる。更に、少なくとも低いストリッジェンシィ(stringency)条件下に、リンホトキシンを暗号化している核酸とハイブリダイズし得る核酸は、例えそのハイブリダイズし得る核酸が、それ以外の点ではリンホトキシンの明確な定義にかなうタンパク質をコード(暗号化)していなくても、本発明の範囲内に含むものとする。後者の例としてプローブがある。何故ならば、それが暗号化している短いポリペプチドは、生物学的に活性なリンホトキシンを発現しないからである。リンホトキシンを暗号化している核酸、またはそれとハイブリダイズし得るものは、実質上、実施例1に示した有機合成法に従って製造するか、あるいは本明細書中の実施例に示した如く、ゲノムまたはcDNAライブラリィをプロープすることにより、天然起源のものから得ることができる。

0056

本発明のリンホトキシンは、一般に、所望のリンホトキシンを暗号化している核酸を担ったベクターによる宿主細胞の形質転換を必要とする方法によって得られる。ベクターとは、複製可能なDNA組立て物である。本発明においては、リンホトキシンを暗号化しているDNAの増幅、あるいは発現のためにベクターを用いる。発現ベクターとは、その内部で、リンホトキシンを暗号化しているDNA配列が、適当な宿主内でリンホトキシンを発現させ得る適当なコントロール配列と機能的に結合している、DNA組立て物である。その様なコントロール配列には転写プロモーター、転写をコントロールするための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボゾーム結合部位をコードしている配列、および転写および翻訳の終止をコントロールするための配列が含まれる。

0057

ベクターはプラスミド、ウイルス(ファージを含む)、または組込み可能なDNAフラグメント(即ち、組換えによって宿主のゲノム内に組込まれ得るもの)であってよい。適当な宿主に導入(トランスフォーム)されると、ベクターは宿主ゲノムとは独立に複製、機能し、または、ある場合にはゲノムそのものの中に組込まれる。プラスミドは、今日最も普通に用いられるベクターであるため、本明細書中では、時に“プラスミド"と“ベクター"とを相互変換可能な用語として用いることとする。しかしながら、同等の機能を有し、当該技術分野で知られており、またはいずれ知られるであろう。その他の形のベクターも全て、本発明方法に用いるのに好適である。

0058

好適なベクターは、発現させようとする宿主と適合し得る種から導かれたレプリコンおよびコントロール配列を含んでいる。形質転換された宿主細胞とは、組換えDNA技術を用いて組立てられたリンホトキシンベクターで形質転換され、もしくはトランスフェクトされた細胞である。形質転換された宿主細胞は、通常、リンホトキシンを発現する。発現されたリンホトキシンは、選択された宿主細胞により、細胞内に止まるか、あるいはペリプラスミック空間、または培養液の上澄に分泌される。

0059

DNA領域は、それらが、互いに機能的に関連している場合は、機能的に結合している。例えば、プレ配列または分泌リーダーのためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に与るプレタンパク質として発現されるならば、該ポリペプチドに関するDNAと機能的に結合している;プロモーターは、それが結合している暗号配列の転写をコントロールするならば、該配列と機能的に結合している;リボゾーム結合部位は、それが結合している暗号配列を翻訳され得る位置に置くならば、該配列と機能的に結合している。一般に、機能的に結合している、ということは近接(コンティギュアス)していることを意味し、特に分泌リーダー配列の場合には、近接し、かつ解読相内にあることを意味する。

0060

適当な宿主細胞は、原核細胞酵母細胞およびより高等な真核細胞である。原核生物にはグラム陽性またはグラム陰性の微生物、例えば、大腸菌やバチルス(桿菌、Bacilli)が含まれる。より高等な真核細胞には、以下に述べる如く哺乳類動物起源から得られた細胞系統(セルライン)が含まれる。好適な宿主細胞は実施例に記載した、ファージ耐性のE.coli W3110(ATCC27,325)株であるが、他の原核生物、例えばE.coli B、E.coli X1776(ATCC31,537)、E.coli 294(ATCC31,446)、シュードモナス(pseudomonas)種、あるいはセラシア・マーセサンス(Serratia Marcesans、霊菌)等も適する。

0061

リンホトキシンの発現には原核性宿主−ベクター系が好ましい。適当な微生物系ベクターは、多数手に入れることができる。一般に、微生物類のベクターは所望の宿主が認識し得る複製起源、宿主内で機能し得るプロモーター、並びに表現型選択性遺伝子(例えば抗生物質耐性を付与する遺伝子、または栄養要求変異種の要求を与える様な遺伝子)を含む。他の宿主に関しても、同様な組立て物を作ることができる。大腸菌は、通常、E.coli種から得られるプラスミドpBR322を用いて形質転換される(ボリバー(Bolivar)ら、1977、“ジーン(Gene)"2:95)。pBR322はアンピシリンおよびテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含有しており、これらは形質転換細胞を容易に同定し得る手段となる。

0062

発現ベクターは宿主微生物によって認識され得るプロモーターを含有する必要があるが、クローニングベクターにはその必要がない。一般にプロモーターは所望の宿主にとってホモローガスである。組換えDNAの組立てに最も普通に用いられるプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(チャン(Chang)ら、1978“ネイチャー"、275:615;およびゲッデル(Goeddel)ら、1979“ネイチャー"281:544)、トリプトファン(trp)プロモーター系(ゲッデル(Goeddel)ら、1980“ヌクレイック・アシッズ・リサーチ"3:4057およびEPO出願公開番号第36,776)、並びにsacプロモーター[H.ドゥボエル(H.De Boer)ら、“プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンスイズ、U.S.A.”80:21−25(1983)]が含まれる。これらが最も普通に用いられているが、その他の微生物プロモーターも使用し得る。それらの詳しいヌクレオチド配列は公開されており、それによって当業者は、それらをプラスミドベクター内のリンホトキシン暗号化DNA(シーベンリスト(Siebenlist)ら、1980、“セル"20:269)、およびリンホトキシンを暗号化しているDNAと、機能的にライゲート(結合)させることができる。現在のところ好ましいベクターは、大腸菌アルカリ性ホスファターゼプロモーターとtrpシャインダルガノ配列を有するpBR322誘導体である。このプロモーターおよびシャイン−ダルガノ配列を、リンホトキシンを暗号化しているDNAと機能的に結合させる(即ち、DNAからのリンホトキシンmRNAの転写を促進する様に位置せしめる)。

0063

この原核生物に加えて、酵母培養の如き真核性微生物もリンホトキシン−暗号ベクターにより、形質転換される。下等な真核性微生物宿主の内、サッカロミケスセレビシエ(Saccharomyces cereviciae)または通常のパン酵母が最も一般的に用いられるが、その他多数の菌株も普通に用い得る。酵母ベクターは、通常、2ミクロン酵母プラスミドからの複製起源または自律複製配列(ARS)、プロモーター、リンホトキシン(特にヒト−プレリンホトキシンを含む)を暗号化しているDNA、並びにポリアデニル化、転写終止、および選択遺伝子のための配列を含有している。酵母内でリンホトキシンを発現させるのに好適なプラスミドはYRp7である(ステインコム(Stinchcnmb)ら、1979、“ネイチャー"282:39;キングスマン(Kingsman)ら、1979、“ジーン"、7:141;チェンパー(Tschemper)ら、1980“ジーン"10:157)。このプラスミドは既にtrp1遺伝子を含有しているので、トリプトファン中で増殖する能力を持たない、酵母の突然変異株(例えばATCCNo.44076またはPEP4−1(ジョーンズ(Jones)、1977、“ジェネテックス"85:12)に選択マーカーを与える。この酵母宿主細胞ゲノムにtrp1障害があるので、形質転換体をトリプトファンの非存在下で増殖させることによって、形質転換体を検出する際の有効な環境を提供することになる。

0064

酵母用ベクターの好適なプロモティング配列には、以下のものに対するプロモーターが含まれる:メタロチオナイン(metallothionein)、3−ホスホグリセレートキナーゼ(ヒッツマン(Hitzeman)ら、1980“ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリィ"255:2073)またはエノラーゼグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼヘキソキナーゼピルベートデカルボキシラーゼホスホフルクトキナーゼグルコース−6−ホスフェート・イソメラーゼ、3−ホスホグリセレート・ムターゼ、ピルベート・キナーゼ、トリオセホスフェート・イソメラーゼ、ホスホグルコース・イソメラーゼ、グルコキナーゼ等の他の解糖酵素類(ヘス(Hess)ら、1968、“ジャーナル・オブ・アドバンスイズ・イン・エンザイムレグ(J.Adv.Enzyme Reg.)"7:149;およびホランド(Holland)ら、1978、“バイオケミストリィ"17:4900)。更に、酵母内で発現させる上で好適なベクターおよぴプロモーターはR.ヒッツマン(R.Hitzeman)により、EPO公開番号第73,657号の中に記述されている。

0065

その他、増殖条件によって転写がコントロールされるという利点をさらに有するプロモーターとして、アルコール・デヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する減成酵素、前記メタロチオナイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート・デヒドロゲナーゼ、並びにマルトースおよびラクトースの利用に与る酵素類等に関するプロモーター領域が含まれる。適当な発現プラスミドを組立てるには、これらの遺伝子に伴った終止配列を、発現ベクター内の、リンホトキシン暗号配列の3'側にライゲートし、mRNAのポリアデニル化および終止を提供する。

0066

微生物に加えて、多核生物からの細胞培養を宿主として用いることもできる。しかしながら、リンホトキシン発現は、これまで微生物によって卓越した成果が得られているので、それが好ましいとは言えない。原則として、脊椎動物であるか無脊椎動物であるかに拘わらず、あらゆる高等な真核細胞培養を使用し得る。しかしながら、最近では脊椎動物細胞に大きい関心が寄せられており、培養(組織培養)で脊椎動物細胞を増殖させることは日常的な操作となっている[ティッシュカルチャー(Tissue Culture)アカデミック・プレス、クルスおよびパターソン(Krus and Patterson)編、(1973)]。有用な宿主細胞系統の例には、VEROおよびHeLa細胞チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、並びにW138、BHK、COS−7およびMDCK細胞系等が含まれる。その様な細胞のための発現ベクターには、通常(必要ならば)複製起源および発現されるべき遺伝子の前方に位置しているプロモーターが、リボゾーム結合部位、RNAスプライス部位(イントロン含有ゲノムDNAを用いる場合)、ポリアデニル化部位および転写終止配列と共に含有されている。

0067

形質転換される脊椎動物細胞内で使用するための発現ベクター用の転写およびコントロール配列は、しばしばウイルス性起源によって供給される。例えば、普通用いられているプロモーターはポリオーマアデノウイルス2、および最も頻繁にはシミアンウイルス40(SV40)から導かれる。このさきのおよびあとのプロモーターは、いずれも該ウイルスから、SV40のウイルス性複製起源含有フラグメントとして容易に得られるので特に有用である(ファイヤーズ(Fiers)ら、1978“ネイチャー"273:113)。SV40のより小さい、またはより大きいフラグメントも、それらがウイルス性複製起源内に位置するHindIII部位からBglI部位に至る約250bpの配列を含有している限り用いることができる。更に、正常な状態でリンホトキシンと関連しているヒト−ゲノムプロモーター、コントロールおよび/または信号配列も、その様なコントロール配列が宿主系に適合し得ることを条件として用いることができ、またしばしば好ましいことである。

0068

複製起源は、例えばSV40その他のウイルス性起源(例えばポリオーマ、アデノウイルスVSV、BPV等)から得られるものの様に、外来性の起源を含む様にベクターを組立てるか、あるいは宿主細胞の染色体複製機構によって与えられる。もしもベクターが宿主細胞染色体に組込まれるのなら、その様な染色体でもよい。リンホトキシンは、高等動物の真核細胞をヒト−プレリンホトキシンDNAで形質転換することにより、アミノ末端のメチオニル化なしにつくられる。

0069

リンホトキシンとデヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の両者を暗号化しているDNA配列を含むベクターでトランスフェクトするのに好適な哺乳類宿主細胞を選択するに際しては、用いるDHFRタンパク質のタイプに従って宿主を選択するのが適当である。野性型DHFRタンパク質を用いる場合には、DHFR欠損宿主細胞を選択するのが好ましく、そうすることにより、ヒポキサンチン、グリシンおよびチミジン欠く選択用培地内で、満足のいくトランスフェクションを選択するためのマーカーとしてDHFR暗号配列を用いることができる。この場合、好ましい宿主細胞はDHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系統であり、これは、ウーラウブおよびチャッシン(Urlaub and Chasin)(1980、“プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンスイズ"(USA)77:4216)の述べた如くにして調製し、増殖させることができる。

0070

他方、メトトレキセート(MTX)に対する結合親和性の低いDHFRタンパク質をコードしているDNAをコントロール配列に用いる場合には、DHFR耐性細胞を用いる必要はない。何故ならば突然変異DHFRはMTX耐性であるので、宿主細胞自身がMTX感受性であるならば、MTX含有培地を選択の手段として用いることができるからである。MTXを吸着することのできる真核細胞の大多数は、メトトレキセート感受性であると思われる。その様な、有用な細胞系統の1つはCHO系、CHOK1(ATCCNo.CCL61)である。

0071

形質転換された宿主細胞とは、組換えDNA技術を用いて組立てられたリンホトキシンベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞である。形質転換された細胞は通常、リンホトキシンを発現する。発現されたリンホトキシンは、一般に細胞内に保持される。

0072

リンホトキシンは、非分泌細胞での組換え培養物から、これを溶解し、次いで遠心分離する等によって顆粒成分を除去することにより回収される。リンホトキシン分泌細胞の場合は、遠心によって培養上澄液からこれを分離する。不純物を含むリンホトキシン溶液を、上で示した方法、または後述の実施例4に示すイムノアフィニティ法より、精製する。薬学的な使用に適する程度に精製した後、リンホトキシンを通常の使用形態、例えば投薬ビンや注射器に入れる。リンホトキシンの混合物、例えば一連の細胞毒性を示すリンホトキシン突然変異体を用いる。リンホトキシンの長期保存には凍結乾燥が適しており、あるいは安定剤や賦形剤を入れた水溶液(例えば等張食塩水)に入れ、B.アガーワル(B.Aggarwal)らがヨーロッパ特許出願第100641号で開示している様に患者に対して投与することができる。

0073

リンホトキシン組成物は、腫瘍を有する動物に投与することができる。投与経路は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内投与、滅菌リンホトキシン溶液の病巣内注入または注射の如き既知の方法により、あるいは以下に述べる如き放出時間調節系により投与することもできる。リンホトキシンは病巣内投与(即ち、固状の腫瘍内に直接注射する)し得る。白血病の様な播種性腫瘍の場合には、静脈内またはリンパ系への投与が好ましい。卵巣腫瘍の様な腹部器官の腫瘍は、腹膜透析器を使用し、腹膜適合性の溶液で腹腔内に注入することにより、有効に治療できる。ボーラス注入も可能であるが、通常、リンホトキシンは連続注入法で投与する。

0074

リンホトキシンは、埋め込み可能な、時間調節製品を介して投与することができる。リンホトキシンの二量体または三量体の分子量を有するタンパク質に対する適当な系の例には、Lグルタミン酸とγ−エチル−L−グルタマートとのコポリマー(U.シドマン(U.Sidman)ら、1983、“バイオポリマーズ(Biopolymers)"22(1):547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)[R.ランガー(R.langer)ら、1981“ジャーナル・オブ・バイオメディカルマテリアルズ・リサーチ(J.Biomed.Mater.Res.)"15:167−277、およびR.ランガー、1982“ケミカル・テクノロジィ(Chem.Tech.)"12:98−105]またはエチレングリコール(R.ランガーら、同)が含まれる。リンホトキシン含有製品は腫瘍が切除された後の外科的部位に埋め込まれる。別法として、リンホトキシンを半透膜マイクロカプセルまたはリポゾーム内に封入し、腫瘍内部へ注射してもよい。この方法は、脳腫瘍の如き外科的な切除術を適用できない腫瘍に対して特に有用である。

0075

リンホトキシンの投与量は、例えば、投与経路、問題となっている腫瘍、および患者の症状等によって左右される。治療を施す者は、標的腫瘍に対して適切な細胞毒性を奏す様に、例えば腫瘍の生検、または胎生がん抗原の如き推定の腫瘍マーカー診断学的測定、等により、用量の増加に伴う組換え体の毒性を考慮しながら用量を検討して定め、投与経路を改良する必要がある。通常、マウスに対しては、組換えリンホトキシン約50〜200μg/kg体重/日の静注投与が実質上、非毒性であり、インビボで有効であることが分かっている。もちろん、この投与計画は動物が異なれば変化する。

0076

本発明はまた、リンホトキシン中和抗体の製造法をも提供するものである。本明細書中では中和抗体を、ここで定義したリンホトキシンと免疫学的に結合し、その活性を、後に述べるネズミL929アッセイの様な細胞抑制または細胞溶解性リンホトキシン活性の測定法において、実質上減少させることができる抗体である、と定義する。この抗体がリンホトキシンの活性を中和し得るということは、必ずしも該抗体がリンホトキシンの活性部位または受容体結合部位に結合しなければならない、という意味ではない。抗体は、その様な臨界的な部位に隣接した領域(即ち、これは立体配座の上で隣接していることを意味し、アミノ酸配列という観点から、隣接していることは必須でない)に立体的(ステリカリー)に結合している場合にも、実質上、リンホトキシン活性を中和し得る。

0077

リンホトキシンに対する中和モノクローナル抗体を調製する試みにおいて、マウスの体内でリンホトキシン中和抗体を生成させ、あるいは高めるように該動物を免疫することが困難であるということが分かった。リンパ芽球様リンホトキシン、あるいはグルタルアルデヒド交差結合したリンホトキシンのいずれで免疫した場合にも、免疫化されたマウス中に酵素免疫法で検出可能な非中和性の抗−リンホトキシン抗体は生成しているにも拘らず、該動物の血清中には、検出可能な中和抗体は生成されなかった。しかしながら、リンホトキシン−明ばん(alum、水酸化アルミニウムまたはアルミナ、Al2O3・3H2O)吸着コンプレックスで免疫すれば、この明ばんコンプレックスで免疫する前には活性な抗体を生成し得なかった動物においても中和抗体を惹起させ得る。明ばんの製造方法および抗血清製造のためのその使用についてはC.ウイリアムス(C.Williams)らが開示している(C.ウイリアムス編、1967、メソッズ・イン・イムノロジィ・アンド・イムノケミストリィ(Methodsin Immunology and Immunochemistry)I、pp197−229)。

0078

中和抗体を産生する動物の脾細胞とネズミ骨髄腫細胞との融合物を調製する。中和抗体を合成する1個のクローンを同定するためには、平均、約50〜100個のクローンをスクリーニングする必要がある。所望の活性を有するクローンののスクリーニング法は当該技術分野において日常的に、容易に行なわれており、極く僅かな実験作業で再現することができる。

0079

免疫された動物から得た血清血漿、またはIgGフラクションは、免疫動物脾臓またはリンパ細胞から得られたハイブリドーマによって分泌される免疫グロブリンと同様、本発明において使用することができる。本発明の好ましい態様では、中和抗体は実質上、ハイブリドーマ培養物中の他の抗−リンホトキシン抗体を含まない状態で得られる。

0080

中和抗体を、ポリスチレンの様な熱プラスチック等の表面に吸着させるか、臭化シアン活性化セファロースの如きマトリックス構造共有結合的に結合させることにより、固定化する。次いで、これをイムノアッセイまたはイムノアフィニティ精製法に用いる。この抗体は中和抗体なので、生物学的に活性なリンホトキシンまたはそのフラグメントのみを吸着しやすく、それらを検出しやすい。この抗体は、非中和性の抗−リンホトキシン・モノクローナル抗体または非中和性の抗−リンホトキシンを含有するポリクローナル抗血清に関するイムノラジオメトリック・イムノアッセイ(“サンドイッチ法")に用いるのに、特に有用である。この免疫検定(イムノアッセイ)は、蛍光化学発光、または放射性同位元素等の検出可能な物質により、当業者周知の標識化法で有効に標識した中和抗体または非中和抗体を、標識化成分として用いて行なう。リンホトキシンのための競合型のイムノアッセイにおいては、同様にしてリンホトキシンを標識する。リンホトキシンおよびリンホトキシン抗体トレーサーの製造にはクロラミン−Tラジオアイオディネーション(放射性沃素化)が好適であり、あるいはJ.クロスターガード(J.Klostergaard)らの方法(“モレキュラー・イムノロジィ(Mol.Immun.)"18:455(1980))も採用することができる。

0081

実施例の記載を簡単にするため、頻繁に用いられる方法を短い熟語に略して示す。ブラスミドは小文字のpを先頭にし、そして/または大文字および/または数字を続けることによって表わされる。本発明の出発物質であるプラスミドは市販されているか、または非制限的な施設から一般に入手可能であり、あるいはこの様にして入手し得るプラスミドから、公知の方法に従って組立てることができる。更に、その他の同等なプラスミドも当業者には知られており、通常の技術者にとっては自明であろう。

0082

DNAの“消化"とは、DNAを、該DNAのある位置に対してのみ作用する酵素で触媒的に開裂することを指す。その様な酵素を制限酵素と称し、該酵素にとって特異的な部位を制限部位(サイト)と称する。“部分"消化とは、制限酵素による不完全な消化であり、与えられたエンドヌクレアーゼに対するDNA基質中の部位の全てでなく、そのうちのいくつかを開裂する様な条件を選ぶことをいう。本発明において用いる様々な制限酵素は市販品されており、その反応条件コファクター、およびその他必要なものは、酵素の供給業者の指示に従って使用した。制限酵素類は、各制限酵素が最初に得られた微生物を表示する大文字、次いで他の文字、更に、通常、数字からなる略号で表わされる。一般に、約1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントは、約20μlの緩衝液中、約1単位の酵素と共に使用する。特定の酵素について適当な緩衝液および基質の量は、製造業者によって明示されている。通常、インキュベーション時間は37℃で1時間とするが、供給者の指示に従ってかえてもよい。インキュベーションした後、フェノールおよびクロロホルムでタンパク質を抽出して回収し、水性のフラクションからエタノール沈澱によって消化された核酸を回収する。制限酵素による消化の後、5'末端のホスフェートを細菌性アルカリホスファターゼで加水分解することが多い。これは、DNAフラグメントの2つの制限的開裂末端が“閉環(サーキュラディング)"したり、閉じたループを形成することにより、該制限部位に他のDNAフラグメントが挿入されにくくなるのを防止するためである。明示しない限り、プラスミドの消化には、5'末端の脱りん反応は伴わないものとする。脱りんの方法および試薬は常法に従う(T.マニアティス(T.Maniatis)ら、1982、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)pp.133−134)。

0083

制限酵素による消化によって得られたDNAフラグメントの“回収"または“単離"とは、この消化物ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて分離し、フラグメントの移動度分子量既知のマーカーDNAフラグメントのそれと比較して所望のフラグメントを同定し、該フラグメントを含むゲルの部分を取り除き、該ゲルからDNAを分離することを意味する。この方法は一般的に知られている。例、R.ローン(R.Lawn)ら、1981、“ヌクレイック・アシッズ・リサーチ"9:6103−6114およびD.ゲッデル(D.Goeddel)ら、1980“ヌクレイック・アシッズ・リサーチ"8:4057参照。

0084

“サザーン分析"とは、消化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在を、既知の標識したオリゴヌクレオチドまたはDNAフラグメントとのハイブリダイゼーションによって確認する方法である。本明細書中では、特に断らない限り、サザーン分析という時は、E.サザーン(E.Southern)、1975“ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ(J.Mol.Biol.)"98:503−517、の方法に従って消化物を1%アガロース上で分離し、変性し、そしてニトロセルロース上に移し、T.マニアティスらの方法(1978、“セル"15:687−701)に従ってハイブリダイゼーションを行なうことを意味する。

0085

“形質転換"とは、DNAを生物内に導入することを意味し、その結果DNAが染色体外成分として、あるいは染色体内に組込まれて複製されることを意味する。特に明示しない限り、本発明における大腸菌の形質転換法にはマンデル(Mandel)らのCaCl2法(1970、“ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ"53:154)を採用した。

0086

ライゲーション(結合)"とは、2個の二重鎖核酸フラグメントの間にホスホジエステル結合を形成する工程を言う(T.マニアティスら、前掲p146)。特に明示しない限り、ライゲーションは既知の緩衝液と条件を使用し、略等モル量のライゲートすべきDNA0.5μg当たりT4DNAリガーゼ(“リガーゼ")10単位を用いて行う。

0087

形質転換体からDNAを“調製する"とは、プラスミドDNAを微生物培養物中から単離することを意味する。明示しない限り、マニアティスらのアルカリ性/SDS法(同上)を採用する。

0088

“オリゴヌクレオチド"とは、短い一本鎖または二本鎖ポリデオキシヌクレオチドであって、実施例1に記載の引用文献の方法によって化学的に合成され、次いでポリアクリルアミドゲル上で精製されたものである。

0089

引用した文献は全て参照例として示した。

0090

実施例1リンホトキシンの精製および配列決定
ヒトのリンパ芽球様セルラインRPMI−1788(ATCCNO.CCL−156)を、15Lのスピナー(撹拌)フラスコ中、血清不含培養培地(RPMI−1640)を使って、4×105細胞/mlの細胞密度になるまで増殖させた。血清不含RPMI−1640培地中にフォルボール(phorbol)ミリステートアセテート20ng/mlを含ませることによってリンホトキシンを基礎レベルの10〜20倍生成させた(下記の方法で測定した場合、500〜1000リンホトキシン単位/ml)。培養65時間後に細胞を濾取回収し、5mMリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した、5cm×20cmのカラム中の、孔径を調節したガラスビーズ(Electronucleonics)に、濾液中のリンホトキシン活性物を吸収させ、5mMリン酸緩衝液(pH7.4)中の50%エチレングリコールで溶出した。この精製中、微生物の増殖を阻止するために、全ての緩衝液に0.1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、プロテアーゼ阻害剤および1mMのアジ化ナトリウムを含ませた。ガラスビーズからの溶出液は84,000単位のリンホトキシン/mgタンパク質を含んでいた。次いで、アガルウォール(B.Aggarwal)らの方法[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、259、(1):686−691]に従い、DEAEセルロースクロマトグラフィーレンチル(Lentil)レクチンセファロースクロマトグラフィーおよびプレパラティブ天然PAGEを行なった。細胞毒性活性に関与しているタンパク質であるかどうかは、SDS−PAGE、リクロソルブ(Lichrosorb)RP−18カラムでの逆相HPLCおよびアミノ末端配列決定により調べた。

0091

このリンホトキシン標本は、SDS−PAGEにおいて約25,000の分子量を示すロイシンアミノ末端リンホトキシンを95重量%以上含んでいた。このN−末端ロイシン種のタンパク成分の理論分子量は18,664ダルトンであり、残りの約6,500ダルトンはAsn+62のグリコシル側鎖と、多分、その他のO−結合糖残基によるものである。組織培養の上清は、この種類の推定上のマルチマー(多量体)を含んでいた(TSK−HPLCにより60,000Da、あるいはセファデックスG−100クロマトグラフィーにより64,000Da)。

0092

このリンホトキシン混合物の残りの5%は、分子量約20,000のN末端ヒスチジン種であった。この両種の物質は、少なくとも、下に述べるネズミ線維芽細胞溶解分析法に由来する偏差の限度内で、実質的に同じ細胞溶解活性を示す。

0093

無傷のリンホトキシン分子をトリプシン消化すると、ほんの少数のフラグメントが得られた。ヒスチジン・アミノ末端リンホトキシンは、89位および90位のアミノ酸間で2個のフラグメントに消化され、一方、ロイシン・アミノ末端体は、トリプシン消化により、15位と16位、19位と20位、および89位と90位間で切断された4個のフラグメントを生成した。

0094

エドマン(Edman)の分解法によってミクロ配列決定を行なうことにより、無傷の分子およびトリプシン開裂により生成したフラグメントについての配列情報が得られた。

0095

カルボキシペプチダーゼPおよびキモトリプシン消化、酢酸消化および臭化シアン開裂により生成したリンホトキシンフラグメントにより、更に配列情報を得た。この方法により、ヒトリンホトキシンのほとんど全配列を決定した。156個の隣接残基群はアミノ末端から決定した。この配列情報により、2つのリンホトキシン種間の違いは、ヒスチジンアミノ末端種には存在しない23個のアミノ末端残基をロイシンアミノ末端種には存在するという事実であることが明らかになった。最初の3個の残基の先のカルボキシ末端配列は、この領域に、ある種のペプチド結合が存在すること、およびその残基が疎水性であることから、決定するのが困難であることがわかった。

0096

ミクロ配列決定により測定したタンパク質の配列をコードする様に合成遺伝子を設計した。この遺伝子設計には、一般的な大腸菌のコドンバイアス(性癖)を採用した。即ち、めったに使われない大腸菌コドンは、この配列に使用しなかった。大腸菌コドンバイアスが明らかでない場合は、ヒトにとって好ましいコドンで代用した。このバイアスは、大腸菌における発現に役立つ様に、そしてまた、この合成遺伝子がヒトcDNAまたはゲノムライブラリーからの天然のDNA配列を同定するためのプローブとして役立つ様に選択した。フラグメントの組立てに役立つ様に、そしてその後の遺伝子操作を可能にするために、特異な制限部位XbaI、BamHI、HindIIIおよびBglIIを配列内にデザインした。

0097

マテウシ(M.Matteucci)らの方法[ジャックス(J.Amer.Chem.Soc.)、103: 3185−3190、1981]およびボイカーゲ(S.Beaucage)らの方法[テトラヘドロレタース(Tet.Letters)、22: 1859−1862、1981]である固相ホスファイト法により、合成リンホトキシン遺伝子のために設計された58オリジナルオリゴマーを合成した。16塩基から20塩基の範囲のこれらのオリゴマーの寸法を図1に示す。オリゴマー間の重複は長さが6塩基であり、特異的である様に設計した。全遺伝子を図2および図3に示した様に組立てた。

0098

この遺伝子は3個の断片にして組立てた。最初の断片、セグメントAは、長さ117の塩基対であり、ロイシンアミノ末端種のアミノ末端の5'暗号領域を表している。セグメントBはリンホトキシン分子の中央部をコードしている長さ145塩基対のDNAである。長さ217塩基対のセグメントCは、リンホトキシンカルボキシ末端の、16アミノ酸残基を除く全てをコードしていると考えられるものである。各セグメントを合成するのに必要なオリゴマーは、電気泳動により精製してプールした。合成の誤りを減らすために、比較的寸法の小さいオリゴマー(即ち、16〜20塩基)を選んだ。

0099

50μl中に20mMトリス−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、20mMジチオトレイット、0.5mMATP、および15単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼを含んでいる反応系で、各グループのオリゴマーをリン酸化した。この反応系には約50ピコモルの各オリゴマーを含ませた。37℃で30分間反応させた後、反応物を65℃に加熱してキナーゼ活性失活させ、1時間かけて20℃まで徐々に冷却した。リン酸化したオリゴマーに10単位のT4DNAリガーゼを添加し、20℃で2時間反応させて結合させた。DNAリガーゼを加熱して失活させ、連結したオリゴマーを、設計した末端部位を認識する制限酵素(エンドヌクレアーゼ)例えばセグメントAについてはXbaIおよびBamHI)によって37℃で3時間消化した。各セグメントのフラグメントを、7%ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動により分離した。正しい移動率のフラグメントを、各セグメントについて、エチジウムブロミド染色法で同定し、ゲルから電気溶出した。pFIF trp69[ゲッデル(Goeddel)らのネーチャー(Nature)、287: 411−416(1980)、またはクレア(Crea)らのヨーロッパ特許出願第0048970号参照]をXbaIおよびBamHIで消化し、大きいベクターフラグメントを6%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分離した。セグメントA約50ngをpFIFtrp69フラグメントに結合させた。同様にして、セグメントBをBamHIおよびHindIII消化pBR322に、そしてセグメントCをHindIIIおよびBglII消化pLeIFA−125−1に結合した[ゲッデル(D.Goeddel)ら、ヌク・アシッドレス(Nuc.AcidsRes.)、8: 4057−4073、1980参照]。

0100

このライゲーション(結合、連結)混合物を使って大腸菌ATCC31446を形質転換し、得られた組換えプラスミドの特性を、制限酵素分析およびマキサムおよびギルバート(Maxam and Gilbert)の化学分解法によるDNAの配列決定法により決定した。6個のセグメントAクローンの内5個が正しい配列を含んでいた。4個のセグメントBおよび4個のセグメントCプラスミドを分離した。これらの全ての挿入物は正しい配列を持っていた。各セグメントを、末端部位を認識する制限エンドヌクレアーゼで消化して分離し、XbaIおよびBglIIで消化したプラスミドベクターpFIFtrp69に結合させた。得られた組換えプラスミド、pLTXB1を、挿入したXbaI−BglIIフラグメントを配列化することにより特性化した。これは図1に示された配列を含んでいた。

0101

この合成遺伝子が生物学的に活性なリンホトキシンを実際に生産するかどうかを調べるために、大腸菌pLTXB1形質転換体を、trpプロモーターを脱抑制し合成リンホトキシン遺伝子を発現し得る条件下、最小培地中で増殖させた。550nmにおける光学密度が1.0になるまで培養し、遠心分離により回収した。細胞ペレットを1/10容に懸濁し、音波破壊により溶菌した。

0102

リンホトキシン活性は、スポフォード(B.Spofford)の改良細胞溶解法[ジャーナル・イミユノロジー(J.Immunol.)、112: 2111、1984]に従って測定した。簡単に説明すると、マウスのL−929線維芽細胞を、アクチノマイシンDの存在下、マイクロタイター平板で増殖させる。12〜18時間後、リンホトキシンを分析しようとする順次希釈した試料を各ウエルに加える。18時間後、平板を洗浄し、リンホトキシンによって惹起された細胞の溶解(菌)性を、メタノール:水(1:4v/v)中の1%クリスタルバイオレット溶液で平板を染色し、平板に付着したものを検出することにより検出した。染色の強さを肉眼およびダイナテク(Dynatech)分光器を使って450nmおよび570nm透過率の吸収により、分光光度学的に測定した。培地のみと一緒にマイクロタイターウエルに入れた細胞を0%溶菌と定め、3Mグアニジン塩酸塩溶液を入れたものを100%溶菌の終末点とした。各ウエルに入れた12,000細胞の内の50%の細胞を溶菌するのに必要な量をリンホトキシン1単位と定義する。

0103

細胞毒性活性を分析するためのその他の方法も使用し得ることに留意すべきである[アガルウオル(B.Aggarwall)らの「チミックホルモンリンホキン(Thymic Hormones and Lymphokines)」、1983、編者、ゴールドシュタイン(A.Goldstein)、スプリングシンポジウムオンヘルス・サイエンス、ジョージワシトンユニバーシティ・メディカル・センター(Spring Symposium on Health Sciences, George Washington Univ.Medical Center)](ここでA549セルライトと呼ばれているものは、ATCCから、CCL185として入手可能)。培養溶菌液は、上記のネズミの細胞分析において、検出不能の細胞溶解活性を示した。ガンマーインターフェロンを発現する培養物からの対照溶菌液は、ガンマーインターフェロン活性を含んでいた。この結果は、合成遺伝子が活性リンホトキシンをコードづけていなかったことを示唆していた。これにはいくつかの説明が成り立つ。例えば(1)大腸菌がリンホトキシンを分解した、(2)リンホトキシン遺伝子は大腸菌では転写されなかった、(3)リンホトキシンの情報(メッセージ)が大腸菌内で翻訳されなかった、(4)タンパク質配列決定の誤りにより、タンパク質が適切な配列を持っていなかった、または(5)リンホトキシン分子の活性または適切な立体配置には、16の残基カルボキシ末端配列またはその一部が実際に必要である。

0104

実施例2リンホトキシンをコードしているcDNAの入手法
ホルボールミリステートアセテート(10ng/ml)、スタフィロコッカルエンテロトキシンB(1μg/ml)およびチモシンα−1[ベルガー(S.Berger)らのバイオケミストリー(Biochemistry)、18: 5143−5149、1979]で誘導した48時間後に、ヒトの末梢血液リンパ球の非粘着(付着)細胞フラクションの培養物は400単位のリンホトキシン活性/上清1mlを生産していた。このmRNAを固定化オリゴdTに吸着させて濃縮し、溶出し、逆転写[グレイ(P.Gray)らのネーチヤー(Nature)、295: 503−508、1982参照]によりcDNAを調製した。メッセンジャーRNAのcDNAコピーを作成するために逆転写酵素を使用し、第2の鎖をクレノー(Klenow)処理により常法通り調製し、そのcDNAをS−1ヌクレアーゼで処理してヘアピンループを除去した。このcDNAをベクターに挿入するために、その末端をアダプターまたはリンカーと結合させ、予定制限酵素部位のための5'および3'制限酵素部位、または好ましくは粘着末端を作成した。この目的に式:

0105

2個のファージがこのプローブとハイブリダイズし、プラーク精製を行なった。精製したファージは、セグメントAプローブとセグメントBから調製したプローブの両者とハイブリダイズした。2個のハイブリダイズファージ、λLT1およびλLT2のcDNA挿入物をM13mp8にサブクローンし、ジデオキシターミネーション法[スミス(A.Smith)、メソッド・イン・エンイモロジー(Methodsin Enzymology)、1980、65: 560−580]により配列決定した。λLT2の挿入体は僅か600bpであり、リンホトキシンのための全3'暗号領域を含んでいなかった。λLT1の挿入体はロイシンアミノ−末端リンホトキシンのための全暗号領域および650bp3'非翻訳領域(一致したポリアデニル化信号を含む)およびロイシン末端への18アミノ酸アミノ末端のためのコドンを含んでいた。これは全リンホトキシン暗号領域を構成していなかったので、λLT1のcDNA挿入体から、更に32P−標識プローブを調製し、非常に厳密に追加の25,000組換えλgt10ファージのスクリーニングに使用した[フィーン(T.Huynh)ら、プラクチカル・アプローチ・イン・バイオケミストリィ(Practical Approaches in Biochemistry)、IRLプレス、オックスホード]。12の追加のハイブリダイズファージを分離し、最も長い挿入体の配列を(λLT11から)、図4および図5に示した。最も長いオープンリーディングフレームは、最初に観察されたATGから出発して翻訳された。各列の上の番号はアミノ酸の位置、各列の下の番号はヌクレオチドの位置を表している。1の記号を付したロイシン残基は、ロイシンアミノ末端リンホトキシン(図1)の配列決定された最初の残基であり、多分、成熟リンホトキシン種の最初のアミノ末端残基である。最初の34残基はシグナル配列である。156−171残基はリンホトキシンのタンパク配列決定法により決定できなかったのでヌクレオチド配列から転用した。

0106

実施例3ロイシンアミノ末端リンホトキシンのためのハイブリッド合成遺伝子/天然のcDNA発現ベクターの組立て

0107

この組立ては図6に示した。pLTXB1(非活性合成遺伝子を含む)をEcoRIとPstIで部分消化し、リンホトキシンの125N−末端残基をコードしているDNAを含んでいる685bpフラグメントを回収した。部分的PstI消化を行った理由は、残基10にもう1つのPstI部位が存在するからである(図1)。リンホトキシンのC−末端の51個のアミノ酸をコードしているDNAを含んでいる301bpフラグメントを、λLT1のサブクローンしたcDNAをEcoRIとPstIで消化することにより分離した(これらの部位は、図4および図5において、554および855ヌクレオチド位に示されている)。これらのフラグメントを、5%ポリアクリルアミド上の電気泳動および電気溶出により分離した。このフラグメントを、バックグランド形質転換体を減らすために、EcoRIで消化し細胞性アルカリホスファターゼで脱リン酸化したpBR322に結合させた。得られた発現プラスミド、pLTtrp1の適切な方向性および配列を、制限エンドヌクレアーゼ消化およびDNA配列決定法により特徴づけた。ロイシンアミノ末端リンホトキシンは、大腸菌31446をpLTtrp1で形質転換し、その形質転換体をテトラサイクリン含有培地中、ODが1.0になるまで37℃で4〜6時間培養することにより発現させた。細胞溶解液は細胞毒性活性を持っていた。発現されたリンホトキシン種のロイシンアミノ末端は、保護されたメチオニン残基で置換されることがわかった。この合成の生成物はメチオニン残基ではなくホルミルメチオニンであると考えられる。

0108

実施例4リンホトキシンの免疫アフィニティーによる精製
抗リンホトキシンを分泌するネズミのモノクロナールセルラインをマウス中で増殖させ、イオン交換クロマトグラフィーにより、腹水から精製した。イオン交換溶出物を、臭化シアン活性化セファロースに、2mg/ml(樹脂)の濃度でカップリングさせた。20mlのカラムをTBS(0.05Mトリス−HCl(pH7.0)、0.15M塩化ナトリウムおよび2mMEDTAを含有している)、次いで溶出緩衝液(0.1M酢酸(pH4.5)、150mM塩化ナトリウム)、および最後にTBSで順次平衡化させた。pLTtrp1−形質転換大腸菌音波処理溶菌液(先に遠心分離により清澄化したもの)の40%飽和硫酸アンモニウム沈澱物を0.1Mトリス塩酸(pH7.4)および5mM EDTAに懸濁させ、1時間当たり1カラム容量の割合でカラムに入れた。0.05%のツウイーン20を含んでいるTBSでよく洗浄した後、溶出用緩衝液で特異的に結合した物質を溶離し、直ちにpHを、0.1容量の1Mトリス−HCl(pH8.5)で7.8に調節し、4℃で保存した。この精製したリンホトキシンの比活性は、上記のネズミL−929分析法で測定したところ、2−10×107単位/mgであった。

0109

この溶出液は、カラムに入れた活性の大部分を含んでいた。全溶出タンパクの大部分は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法において、還元条件下でも、非還元条件下でも、単一のバンド(帯)として泳動した。このバンドの移動率は、約18,000MWに相当し、これは、推定したアミノ酸配列に基づくグリコシル化されていないロイシン−アミノ末端リンホトキシンの予想値、18,664MWに合致している。その生物活性を更に特性化するために、精製した組換えリンホトキシンを、インビトロにおける細胞溶解活性、およびインビボにおける抗腫瘍活性について試験した。

0110

実施例5組換えリンホトキシンのインビボにおける生物活性
組換えのおよびリンパ芽球のリンホトキシンをインビボにおける腫瘍壊死分析法で試験した。MethA(a)肉腫を感受性マウス[BALB/CXC57B1/6f1またはCB6f1]中で7〜10日間増殖させ、その腫瘍に、実験例4のリンホトキシン、リンパ芽球のリンホトキシン(既述の方法で調製し、精製)、または対照試料を直接注射した。20〜24時間後にマウスを殺し、腫瘍を摘出し、壊疽(ネクローゼ)の程度を組織学的に評価した。表1に示した様に、組換えおよびリンパ芽球のリンホトキシンは、共に、インビボにおけるMethA(a)肉腫に著しいネクローゼを生ぜしめた。対照試料は、MethA(a)肉腫のネクローゼを惹起しなかった。

0111

組換えおよび天然のリンホトキシンによるインビボでのMethA(a)肉腫のネク
ローゼ
処置肉腫ネクローゼ評価(マウス数)
+++ ++ + −
緩衝液1対照− − − 3
リンパ芽球のL* 4 − − −
(25,000単位)
リンパ芽球のL 4 − − −
(10,000単位)
組換えL 14 2 2 −
(200,000単位)
組換えL 3 − − 1
(25,000単位)
組換えL 3 − 1 −
(10,000単位)
緩衝液2対照 − − − 9
* L=リンホトキシン

0112

リンパ芽球のリンホトキシンは緩衝液1(0.01Mトリス−HCl、0.05M(NH4)2HCO3、pH8.0)に溶解して注射し、組換えリンホトキシンは緩衝液2(0.15M NaCl、0.1M酢酸ナトリウム、および0.1Mトリス−HCl、pH7.8)に溶かして注射した。

0113

組換え体の培養物(2−10×107単位/mg)によって調製されたリンホトキシン活性は、リンパ芽球のリンホトキシン(4×107単位/mg)について報告されているものと同じであったので、組換えリンホトキシンに炭水化合が存在しないことは生物活性に影響を与えない様である。

0114

組換えリンホトキシン活性は天然のリンホトキシンに似た非耐熱性を示した。即ち、水溶液中、80℃で1時間加熱すると不活性化する。

0115

実施例6メチオニン・ヒスチジンアミノ末端リンホトキシンのための発現ベクターの組立て
メチオニン・ヒスチジンアミノ末端リンホトキシンを大腸菌で発現するプラスミドの組立てを図7および図8に示す。ヒスチジンアミノ末端リンホトキシンのヒスチジンコドン(図4および図5の残基24)に隣接して開始メチオニンコドンをコードする様に、発現プラスミドに合成オリゴヌクレオチドを挿入した。これは、pLTtrp1からXbaIおよびClaI消化によって4630bpベクターフラグメントを分離し、プレパラティブ1%アガロースゲル電気泳動および電気溶出により行った。リンホトキシン暗号配列の大部分を含んでいる570bpBamHI−ClaIフラグメントを、同様にしてpLTtrp1から分離した。先に述べた方法で2個の合成オリゴヌクレオチドを合成し、図1のオリゴヌクレオチド6、7、52および53と混合した。各オリゴヌクレオチド約50ピコモルを、実施例1に記載した様にポリヌクレオチドキナーゼで処理した。このオリゴヌクレオチドをアニーリングし、570bp BamHI−ClaIフラグメントおよび4630bp XbaI−ClaIベクターフラグメントの混合物と結合させた。この結合混合物で大腸菌ATCC31446を形質転換し、組換え体を、テトラサイクリン耐性に基づいて選択した。1個の形質転換体からプラスミドp20KLTを回収した。プラスミドp20KLTは制限酵素およびDNA配列分析により特性化した。

0116

実施例7細胞毒性性リンホトキシン融合変異体の調製
リンホトキシンと細菌タンパク質との融合物をコードしているDNAを含有しているプラスミドを、リンホトキシンの構造遺伝子に隣接した細菌性シグナル配列をコードしている配列をクローニングすることにより組立てた。大腸菌の熱安定性エンテロトキシンII(STII)のための遺伝子配列は特性化されており[ピッケン(R.N.Picken)ら、1983、インフェクション・アンド・イミユニィティ(Infection and Immunity)、42: 269−275]、大腸菌のペリプラスム間隙へSTIIを排泄させる23個のアミノ酸シグナル配列をコードしている。

0117

プラスミドpWM501[ピッケン(Picken)ら、1983、インフェクション・アンド・イミユニィティ、42[1]: 269−275]は熱安定性エンテロトキシン(STII)遺伝子を含んでいる。このSTII遺伝子をコードしているDNA部分を、以下の方法でpWM501から回収した。pWM501をRsaIで消化し、550bpDNAフラグメントを分離した。この遺伝子フラグメントを、予めSmaIで消化したファージM13mp8[メッシング(J.Messing)ら、“巨大分子についての第3回クリーブランド・シンポジウム"、:組換えDNA、編者: ワルトン(A.Walton)、エルスビール、アムステルダム[1981]、143−153頁]に結合させた。結合したDNAを使って大腸菌JM101(M13ファージと共に使用するための市販株)を形質転換した。澄明なプラークを回収した。標準的な方法[メッシングら、上記]を使い、このファージで感染させた大腸菌JM101から、2本鎖M13mp8 STII Rsa誘導体を分離した。今述べたM13mp8サブクローニング法を使うことにより、STIIリーダー遺伝子を含んでいる約550塩基対フラグメントは今や、ファージによって提供された一連の異なった制限エンドヌクレアーゼで囲まれている。次いで、このM13mp8 STII Rsa誘導体をEcoRIおよびPstIで消化し、550bpDNAフラグメントより少し大きいDNAフラグメントを分離した。

0118

このEcoRI−PstIフラグメントをpBR322にサブクローンした。これは、pBR322をEcoRIとPstIで消化し、このベクターを単離することにより行った。単離したベクターをEcoRI−PstIDNAフラグメントに結合させた。このDNA混合物を使って大腸菌ATCC31446を形質転換し、テトラサイクリン耐性コロニーを選択した。耐性大腸菌コロニーからプラスミドを分離し、pSTII−部分体と命名した。

0119

pSTII−部分体をMnlIおよびBamHIで消化し、STIIシャイン−ダルガルノ(Shine−Dalgarno)配列、STIIシグナル配列、および成熟STII遺伝子の最初の30コドンを含んでいる180bpフラグメントを分離した。180bpDNAフラグメントを、trpプロモーターを含んでいるプラスミドに結合させた。この様にプラスミドの1つ、pHGH207−1は既に記載されている[ボイアー(H.de Boer)ら、1982、“プロモーター: 構造および機能"、編者: ロドレゲッツ(R.Rodreguez)ら、Chambrlin, Praeger出版ニューヨーク、NY、462−481頁] 本実施例では、このプラスミドの誘導体、pHGH207−1*[これはtrpプロモータの5'へのEcoRI部位が、DNAポリメラーゼI(DNA polI)による充填および平滑末端のライゲーションによる結合によりEcoRI*に変換されている(キャビリィ(S.Cabilly)ら、1984、プロナス(Proc.NaH.Acad.Sci.)、USA、81: 3273−3277)]を使用した。このtrpプロモータ含有プラスミドをXbaIで消化し、DNApolIおよび全ての4個のdNTPで処理して突出配列を満たした。このDNA標品をBamHIで消化し、ベクター含有フラグメントを分離した。このベクターフラグメントを、上で分離した180bpSTIIシグナル−含有DNAフラグメントと結合させた。この結合混合物を使って大腸菌ATCC31446を形質転換してアンピシリン耐性とした。STII−リーダー命名したプラスミドを、アンピシリン耐性コロニーから分離した。

0120

STII暗号領域を含んでいるM13ファージを、pSTII−リーダーの180bpXbaI−BamHIフラグメントを、XbaIおよびBamHI消化M13mp10に結合させることにより、先づ組立てた。得られたファージDNA、pSTII−シャトル、を制限エンドヌクレアーゼ分析およびヌクレオチド配列決定により特性化した。次いでpLTtrp1のHpaI−EcoRI700bpフラグメントをSmaI−EcoRI消化pSTII−シャトル複製可能形(RF.2本鎖)DNAに結合させることにより、LT暗号領域をこのベクターに導入した; SmaIおよびHpaI部位を両者共に平滑末端化し、互いに結合させた(両部位を失うことになる)。得られたファージDNA、M13−STII−LTを特性化し、以下のごとくして突然変異誘発に使用した:プライマー5'p CAAATGCTATGCACTGCCAGGCGTAGGをキナーゼ処理し、リガーゼ緩衝液およびXbaI−EcoRI消化M13mp10 RF DNA(DNAのプライム化を促進するため、アデルマン(J.P.Adelman)ら、1983、「DNA」2: 183−193頁参照)の存在下で鋳型(M13−STII−LT)と混合した; この混合物を95℃に加熱し、室温で30分間アニーリングさせ、上に30分間放置した。ATP、T4DNAリガーゼ、および大腸菌DNAポリメラーゼIの大きいフラグメント(Klenow)と共に、全ての4個のデオキシヌクレオチド・トリホスフェートを添加した。この混合物を14℃で1時間インキュベートし、これを使って市販株であるコンピテントな大腸菌JM101、またはその他のM13ファージ宿主をトランスフェクトした。プローブとして32P−標識プライマーを使って、正しく突然変異したファージをハイブリダイゼーション・スクリーニング法で同定した。得られたファージST−LT−mutを、DNA配列分析により特性化した。このファージから複製型DNAを調製し、ロイシン−アミノ末端リンホトキシンの暗号配列に隣接したSTIIシグナル配列のためのDNAを含んでいる761bpXbaI−EcoRIフラグメントの分離に使用した。このDNAを、XbaI−BamHI消化p20KLT(大きい4285bpベクターフラグメント)およびpBR322の375bpEcoRI−BamHIフラグメントと結合させた。得られたプラスミド、pST18LTを制限地図およびDNA配列決定により特性づけた。同様にして、STIIシグナルアミノ末端とヒスチジンアミノ末端リンホトキシンのヒスチジン残基の融合物をコードしている組立て物を調製した。得られたプラスミドで大腸菌31446を形質転換した。プラスミドpSTLT18とpSTLT16を回収した。制限酵素分析およびジデオキシ配列決定法により、それらがSTII融合物をコードしていることを確認した。プラスミドpSTLT18またはpSTLT16で形質転換した大腸菌は、ゲル電気泳動により計算された分子量と一致することにより決定される様に、ロイシンアミノ−末端およびヒスチジンアミノ−末端リンホトキシンとのSTIIシグナル配列融合体を合成する。これらの融合タンパク質を含んでいるこの大腸菌溶解物は細胞毒性活性を示した。

0121

実施例8リンホトキシン中和能を有するモノクロナールネズミ抗体の調製法
実施例1で得た、純化したリンパ芽球リンホトキシンを、リン酸緩衝食塩水(PBS)に対して透析した。透析物には200μgのリンホトキシン/mlが含まれていた。グルタルアルデヒドを、70mMグルタルアルデヒドの濃度になるまで透析物に加え、この混合物を室温で2時間インキュベートし、更にグルタルアルデヒドを加えてその全添加濃度を140mMとし、更に6時間インキュベートを続け、この混合物をPBSに対して再び透析した。グルタルアルデヒドで交叉結合したリンホトキシン(以降、「ポリリンホトキシン」という)50μgとフロインド完全アジュバント0.5mlをマウス(BALB/C株)に皮下注射した。1週間後、このマウスに、ポリリンホトキシン50μgおよびフロインドの不完全アジュバント0.5を、半分は筋肉内に、そして半分は腹腔内に注射してブースター(促進)免疫した。7日後に血清をとり、ELISA分析により抗−リンホトキシン活性を調べた。

0122

ELISA分析は次の様にして行った:純化リンホトキシンの緩衝溶液をマイクロタイター・ウエルに入れ、約100ngのリンホトキシンで各ウエルが覆われる様にした。吸着しなかったリンホトキシン溶液を、アスピレターでウエルから除去した。適当に希釈した被験試料50μlを、5mg/mlの牛血清アルブミンを含むPBS100μl(PBS−BSA緩衝液)と混合し、各ウエルに加え、室温で2時間インキュベートし、0.05%のツウイーン20を含んでいるPBSで洗浄し、西ワサビペルオキシダーゼ−標識化山羊−マウスIgG(PBS−BSA緩衝液中)100μlを各ウエルに加え、1時間インキュベートした。各ウエルを0.05%のツウイーン20を含んでいるPBS、次いで0.1mgのオルトフェニレンジアミン/ml(基質溶液)を含んでいるクエン酸リン酸緩衝液(pH5)で洗浄し、30%H2O2水溶液(基質溶液10ml当たり30%(v/v)H2O2溶液4μlの割合)を各ウエルに加えた。ウエルを30分間インキュベートし、2.5M硫酸50μlで反応を停止させ、492nmにおける吸光度を測定した。10.0以上の吸光度を示したウエルを抗−リンホトキシン陽性とみなした。

0123

ネズミL929における、リンホトキシンの細胞溶解活性の中和能についても被験試料を分析した。免疫動物から採取した血清またはハイブリドーマ上澄液を、10%の牛胎児血清および約100リンホトキシン単位/mlを含むRPMI−1640培地に入れて任意に希釈し、その他は細胞溶解分析の常法に従い、培養したL929細胞を含んでいるマイクロタイターウエルに入れた。対照では、全ての細胞が溶解した。リンホトキシンがL929細胞を溶解しないことをもって中和抗体を検出した。

0124

グルタルアルデヒド−ポリメリ化リンホトキシンで免疫した動物は、ELISA分析で活性を示す抗体を生成したが、血清中和活性(活性中和血清)は検出されなかった。

0125

100μgのリンホトキシンおよび水酸化アルミニウム[Al(OH)3]の1.64%(w/v)懸濁液1mlを含む懸濁液を調製し、同じマウスを免疫するのに使用した。マウスには、この懸濁液の100μlを筋肉内注射し、400μlを腹腔内投与した。1週間後、PBS100μlに入れた、ポリメリ化していない、吸着しなかったリンパ芽球リンホトキシン10μgを静脈内注射した。3日後、この動物の血清の1/80希釈液を試験すると、リンホトキシン中和抗体の存在することがわかった。

0126

この動物の脾臓を摘出した。3×107の脾臓細胞を5×107のネズミミエローマ細胞と融合させ、ファカス(S.Fazekas)らの方法に従って、HAT培地および約3000個の腹膜マクロファージ/マイクロタイターウエルを含んでいるマイクロタイタウエルに入れた[ファゼカスおよびグロス(St.Groth)、1980、ジャーナル・オブ・イミユノロジカル・メソッド(J.Immunol.Meth.)、35: 1−21]。上記のELISA分析で陽性であった上澄液を含んでいるウエルからのハイブリドーマを、20%の牛胎児血清、10%のNCTC−135培地、5×10-5Mのβ−メルカプトエタノールおよびHATを含んでいるDMEM培地1ml中で増殖させ、統計学的にウエル当たり平均細胞数が1となる様に、マイクロタイターウエルに分配し、同じ培地1mlまたは5ml中で培養した。次いで上澄液を中和抗体について分析した。統計学的に、水酸化アルミニウム免疫法からのELISA陽性ハイブリドーマの約2%が中和抗体を合成した。高親和性リンホトキシン抗体は、所望により、このグループのハイブリドーマから選択した。

0127

実施例9リンホトキシンの部位得意的突然変異誘発
合成オリゴヌクレオチドのセグメント6が、配列: 5'CTCAACTCTGCACCCA3'を持つ様に修飾し、その相補鎖(セグメント53)が配列: 3'AGACGTGGGTCGTCGT5'を持つ様に修飾するほかは実施例3と全く同様の操作を行った。

0128

修飾したオリゴヌクレオチドを残りのオリゴヌクレオチドとアニーリングさせ、実施例6に述べた如く発現ベクターに結合させた。このベクターは2bp置換を含んでおり、これがリシン+28コドンをリシンからヒスチジンに変換した。このヒスチジン突然変異体は、大腸菌ATCC31446の形質転換により発現される。

0129

その他の部位指向的突然変異体も、同様の方法で調製される。この場合、EcoRI制限部位を導入しない様にコドンを選択するのが好ましい。さもないと、実施例3で必要となるpLTXB1の消化において、部分的EcoRI制限消化を用いなければならなくなる。この突然変異は、フラグメントA(図2および図3)に更にXbaIまたはBamHI部位を導入しない様に、フラグメントBにBamHIまたはHindIII部位を導入しない様に、そしてフラグメントCにHindIIIまたはBglII部位を導入しない様にしなければならない。さもないと、pLTXB1突然変異体を適切に組み合わせるのに部分消化が必要となる。完全に消化してしまうと、このケースにおいて目的とする置換変異体よりも欠落変異体が生成することになる。

0130

実施例10ネズミおよびウシのリンホトキシンをコードしているゲノムDNAの同定: ネズミおよびウシのリンホトキシンのアミノ酸配列
ネズミおよびウシのリンホトキシン遺伝子をゲノム−λライブラリーから分離した。ヒトのリンホトキシンcDNAフラグメント(Pvu−EcoRI、600bp)を、ニックトランスレーションにより32pを用いて放射標識し、ネズミのゲノムDNA−λライブラリー(λシャロン4A中のM600株ネズミゲノムDNA、マニアティス(T.Maniatis)ら、モレキュラー・クローニング(MolecularCloning)、31頁、1982)および、別々に、ウシゲノムDNAライブラリー(EP88622A)をスクリーニングするためのプローブとして使用した。ハイブリダイゼーションは、20%ホルムアミド中、低いストリンジエンシーで行い[グレイ(Gray)およびゲッデル(Goeddel)、P.N.A.S.USA80: 5842−5846(1983)]、0.3M塩化ナトリウム、0.03Mクエン酸ナトリウム、および0.1%SDSの水溶液中で2回洗浄した。ヒトのリンホトキシンプローブとハイブリダイズした数個のファージをプラーク精製した[マニアティス(T.Maniatis)ら、細胞(Cell)、15: 687−701、1978]。ファージDNAをつくり[マニアティスら、細胞、15: 687−701(1978)]、制限エンドヌクレアーゼで消化し、サウザン・ハイブリダイゼーション法で分析した。3500bpのEcoRIネズミDNAフラグメントおよび2200bpEcoRIウシDNAフラグメントが、それぞれヒトのリンホトキシンプローブとハイブリダイズした。これらのDNAフラグメントをプラスミドpBR322にサブクローンし、ジデオキシ鎖−末端法[スミス(A.J.H.Smith)、メソッド・イン・エンザイモロジー(Methodsin Enzymology)、65: 560−580、1980]で配列決定した。この推論されたネズミおよびリンホトキシンのタンパク質配列を、比較のためのヒトリンホトキシンの配列と共に図9図10図11および図12に示す。

0131

実施例11ADHプロモータのコントロール下にある酵母におけるリンホトキシンの発現
プラスミドpLTtrp1を、リンホトキシンの開始コドンにすぐ近接しているXbaI部位でプラスミドを開裂するために、XbaIで消化した。このXbaI粘着末端を大腸菌DVAポリメラーゼIのクレナウフラグメントにより、4個のdNTPを用いて平滑化した。以下の式:

0132

プラスミドpFRPn(EP60,057A)をEcoRIで消化し、再環化を防ぐためにアルカリホスファターゼで処理し、T4DNAリガーゼを使ってSPリンホトキシンフラグメントに結合させ、その結合混合物を使って大腸菌ATCC31,446を形質転換した。アガロース電気泳動ゲル上で制限分析によって決定したところ、アンピシリン耐性コロニーから、SP挿入物を互いに反対方向に持っている2種のプラスミドが得られた。プラスミドを大腸菌形質転換体から純化し、これを使ってtrp1突然変異を持った酵母(例えば酵母株RH218、非制限的ATCC寄託No.44076)を形質転換し、trp+表現型にした。セグメントSPの開始コドンがアルコールデヒドロゲナーゼ・プロモータフラグメントに隣接して存在する様に配向しているプラスミドは、リンホトキシンを発現する様に酵母を形質転換することがわかった。酵母形質転換体抽出物からリンホトキシンを回収する。pFRPn染色体複製起源(ars1)の代わりに2ミクロン複製起源を含有している発現プラスミド、および適合し得る宿主株[ベッグス(J.Beggs)、1978、ネーチャー(Nature)、275: 104−109]を用いることにより、大規模発酵におけるプラスミドの安定性を改良することができる。

0133

実施例12哺乳動物細胞内でのリンホトキシンの発現
λLT11(実施例2)をEcoRIで消化し、リンホトキシン含有DNAフラグメント(逆転写体)を回収する。プラスミドpEHER(EP117,060A)をEcoRIで消化し、牛腸内性アルカリホスファターゼで処理し、λLT11のEcoRI−リンカー処理逆転写体と結合させた。得られたプラスミドを大腸菌ATCC31446(EP117,060A)を使って増殖させ、pEHERLT IおよびpEHERLT IIと命名した。ポリアクリルアミドゲル上で制限分析した結果、これらは互いに逆方向のリンホトキシンDNAを含有していた。これらのプラスミドを使ってトランスフェクトを行い、CHO DHFR−DUX−B11,CHO1およびLtK-細胞を選択する。

0134

上で調製したpEHERLTIまたはpEHERLT II 1μgを10μgのラットキャリアーDNA(250μlの容量中、0.25M CaCl2)と混合し、次いで250μlのHEPES緩衝食塩水(280mM NaCl、1.5mM Na2PO4、50mM HEPES、pH7.1)を滴加することにより組織培養細胞をトランスフェクトした。室温で30分間放置した後、60mmのプラスチック製組培養皿中で増殖している組織培養細胞にこの溶液を加える。CHO1、CHO DHFR−DUX−B11およびLtK-細胞を使用する。皿は宿主細胞に適した3mlの培養培地を含んでいる。

0135

CHO1およびCHO DHFR−DUX−B11細胞についての培地は、10%の牛血清、100μ/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2μmMのL−グルタミンを補充したHam F−12培地(Gibco)であり、LtK-セルラインについての培地は、上と同様の補充を行ったドルベッコ(Dulbecco)の改良イーグル(Eagle)培地である。

0136

3〜16時間後、培地を除去し、リン酸緩衝食塩水中の20%グリセロールで洗浄する。各プレートに新しい培地を加え、更に2日間細胞をインキュベートする。

0137

2日間増殖させた後、細胞をトリプシン処理し(これは、0.2mg/mlのEDTAを含有している滅菌トリプシン0.5mg/mlで細胞を処理することからなる)、約3×105細胞を、選択性培地を有する10mmの組織培養プレートに加えることによりトランスフェクトした宿主細胞を選択する。dhfr-細胞のための培地は、グリシン、ヒポキサンチンおよびチミジンを含まない(F−12GIBCO)培地(GHT-培地)の系統である。DHFR+宿主細胞については、正常な増殖培地メトトリキセート(100−1000nM)を添加する。プラスミドを使用しないか、正常なDHFRを含有しているプラスミドpFD−11(EP117,060A)を使って、トランスフェクションの条件下で対照実験を行う。DHFRを取り込み、これを発現する細胞から生じるコロニーは1〜2週間以内に観察される。成熟リンホトキシンを発現する形質転換体を同定する。

図面の簡単な説明

0138

図1リンホトキシンを暗号化しているDNA配列および推定のアミノ酸配列を示す模式図である。
図2組換えプラスミドpLTXB1の組立てを示す模式図である。
図3組換えプラスミドpLTXB1の組立てを示す模式図である。
図4プレリンホトキシンの全アミノ酸配列並びに5'および3'非翻訳領域をも含めた暗号DNA配列を示す模式図である。
図5プレリンホトキシンの全アミノ酸配列並びに5'および3'非翻訳領域をも含めた暗号DNA配列を示す模式図である。
図6発現ベクターpLTtrp1の組立てを示す模式図である。
図7発現ベクターp20KLTの組立てを示す模式図である。
図8発現ベクターp20KLTの組立てを示す模式図である。
図9ヒト、ネズミ、ウシのリンホトキシン、および哺乳類に共通したリンホトキシンの塩基配列を示す模式図である。
図10ヒト、ネズミ、ウシのリンホトキシン、および哺乳類に共通したリンホトキシンの塩基配列を示す模式図である。
図11ヒト、ネズミ、ウシのリンホトキシン、および哺乳類に共通したリンホトキシンの塩基配列を示す模式図である。
図12ヒト、ネズミ、ウシのリンホトキシン、および哺乳類に共通したリンホトキシンの塩基配列を示す模式図である。
図13プラスミドpST18LTの組立てを示す模式図である。
図14プラスミドpST18LTの組立てを示す模式図である。
図15プラスミドpST18LTの組立てを示す模式図である。
図16プラスミドpST18LTの組立てを示す模式図である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ