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技術 電力系統安定化制御装置及び電力系統安定化制御方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 天野雅彦渡辺雅浩小西博雄谷藤真也中村知治
出願日 1995年2月17日 (25年10ヶ月経過) 出願番号 1995-029078
公開日 1995年10月27日 (25年2ヶ月経過) 公開番号 1995-284231
状態 特許登録済
技術分野 交流の給配電
主要キーワード 制御動作情報 時間応答波形 制御方策 補償位相 動揺周波数 フライホイール発電機 事故条件 動揺モード
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年10月27日)のものです。
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図面 (11)

目的

複数の電力系統安定化機器協調を取りながら系統条件や事故条件に対応した適切な制御方策を設定する。

構成

系統情報入力手段11が系統情報を取り込み、系統状態決定手段13により系統状態を決定する。機器運用状態入力手段12が安定化機器の運用状態を取り込む。制御方策決定手段14は、系統状態と機器の運用状態を考慮しながら制御方策を決定する。制御方策決定の際には、まず動揺モード分析手段15が時間応答波形に基づいて各地点の動揺モードを分析し、制御分担設定手段16がそれをもとに各機器の制御分担を決定し、制御パラメータ設定手段17が制御分担に基づいて各機器の制御パラメータを設定する。複数の制御方策案がある場合には固有値または時間応用シミュレーションにより評価して、最適なものを選択する。決定された制御方策は、制御方策出力手段18により各安定化機器へ出力される。

概要

背景

電力系統事故等の異常により発生した電力動揺を抑えるための系統安定化機器として、発電機の励磁制御装置に付加するPSS(Power System Stabilizer)や、静止型無効電力補償装置SVC),サイリスタ制御直列コンデンサ,サイリスタ制御高速移相器フライホイール発電機(FWG),SMES電池などがある。

これらの安定化機器は、電力動揺を含む信号を検出してフィードバック制御により系統の安定化を図る。しかし電力系統に発生する電力動揺は、系統の接続状態潮流状態外乱の場所や大きさなどにより様々に変化する。そのため安定化機器の制御方策も、これらの変化に対応して最適な値となるよう変化させる必要がある。従来の制御方策を変化させる方法としては、特開平4−121024 号に記載されているように、線路潮流の大きさに応じてSVCの制御ゲインを変化させる方法があった。

概要

複数の電力系統安定化機器の協調を取りながら系統条件や事故条件に対応した適切な制御方策を設定する。

系統情報入力手段11が系統情報を取り込み、系統状態決定手段13により系統状態を決定する。機器運用状態入力手段12が安定化機器の運用状態を取り込む。制御方策決定手段14は、系統状態と機器の運用状態を考慮しながら制御方策を決定する。制御方策決定の際には、まず動揺モード分析手段15が時間応答波形に基づいて各地点の動揺モードを分析し、制御分担設定手段16がそれをもとに各機器の制御分担を決定し、制御パラメータ設定手段17が制御分担に基づいて各機器の制御パラメータを設定する。複数の制御方策案がある場合には固有値または時間応用シミュレーションにより評価して、最適なものを選択する。決定された制御方策は、制御方策出力手段18により各安定化機器へ出力される。

目的

また複数のモードの電力動揺が発生する場合、どの機器がどの動揺モードに対応する制御を行うかという制御分担を適切に設定する必要があるが、上記従来技術は単体の安定化機器についての変更方法のため、他の安定化機器の運用状態の変化については考慮できず、複数の機器の制御分担を設定することができない。本発明の目的は、電力系統の接続状態や潮流状態,事故条件などが変化しても、常に適切な制御が実施できるよう複数の安定化機器間の協調を図り、安定化機器の制御方策を変更できる電力系統安定化装置および方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
7件

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請求項1

系統安定化機器が設置された電力系統から系統情報を取り込む系統情報入力手段と、前記系統安定化機器の機器運用状態を判断する機器運用状態判断手段と、前記系統情報をもとに系統状態を決定する系統状態決定手段と、前記機器運用状態と前記系統状態に基づいて前記系統安定化機器の制御動作を決定する制御動作決定手段と、該決定された制御動作を前記系統安定化機器に出力する制御情報出力手段を備えたことを特徴とする電力系統安定化制御装置

請求項2

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記制御動作決定手段は前記系統情報と前記機器運用状態から外乱によって発生する動揺モードを求める動揺モード分析手段と、前記電力系統に接続された複数の系統安定化機器に対し、それぞれが抑制する前記動揺モードを分担させる抑制動揺モード分担設定手段と、分担された動揺モードを抑制する為に前記複数の系統安定化機器に対し制御パラメータを設定する制御パラメータ設定手段とを備えたことを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項3

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記制御動作決定手段は前記系統情報と前記機器運用状態から外乱によって発生する複数の動揺モードを求める動揺モード分析手段と、該複数の動揺モード中から抑制すべき抑制動揺モードを抽出し、前記系統安定化機器に対し、抑制すべき抑制動揺モードを担当させる抑制動揺モード担当手段と、該担当された動揺モードを抑制する為に前記系統安定化機器に対し制御パラメータを設定する制御パラメータ設定手段とを備えたことを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項4

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記制御動作決定手段は前記系統情報と前記機器運用状態から外乱によって発生する動揺モードを求める動揺モード分析手段と、前記電力系統に接続された複数の系統安定化機器に対し、前記動揺モードを抑制するように、前記複数の系統安定化機器に制御パラメータを設定する制御パラメータ設定手段とを備えたことを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項5

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記動揺モード分析手段は前記電力系統の潮流の動揺モードを分析することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項6

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記動揺モード分析手段は前記電力系統の電圧の動揺モードを分析することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項7

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記動揺モード分析手段は前記電力系統の周波数の動揺モードを分析することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項8

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記動揺モード分析手段は前記電力系統の位相の動揺モードを分析することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項9

請求項第1項の電力系統安定化制御装置において、前記動揺モード分析手段は前記電力系統の時間応答シミュレーションを行うこと、を特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項10

系統安定化機器が設置された電力系統から系統情報を取り込む系統情報入力手段と,前記系統安定化機器の機器運用状態を取り込む機器運用状態判断手段と,予め外乱を想定する想定事故設定手段と,前記想定事故に対する系統安定化機器の制御方策から構成される制御方策テーブルを作成する制御方策テーブル作成手段と,実際の事故発生時に前記制御方策テーブルの中から前記事故に該当する前記制御動作を求める制御動作決定手段と,決定された前記系統安定化機器へ前記制御動作情報を出力する制御動作情報出力手段とを備えることを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項11

系統安定化機器が設置された電力系統から系統情報を取り込む系統情報入力手段と,前記系統安定化機器の機器運用状態を取り込む機器運用状態判断手段と,予め外乱を想定する想定外乱設定手段と,前記系統情報及び前記想定事故情報とをもとに系統状態を決定する系統状態決定手段と,前記系統状態と前記運用状態に対して前記想定外乱によって発生する動揺モードを求める動揺モード分析手段と,求められた前記動揺モードを前記系統安定化機器に分担する制御分担設定手段と,分担された前記動揺モードを抑制するための前記系統安定化機器の制御パラメータを設定する制御パラメータ設定手段と,前記想定事故に対する前記制御パラメータから構成される制御方策テーブルを作成する制御方策テーブル作成手段と,実際の外乱発生時に前記制御方策テーブルの中から前記外乱に該当する前記制御パラメータを求める制御方策決定手段と,前記系統安定化機器へ決定された前記制御動作を出力する制御動作情報出力手段とを備えたことを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項12

系統安定化機器が設置された電力系統から系統情報を取り込む系統情報入力手段と,前記系統安定化機器の機器運用状態を取り込む機器運用状態判断手段と,前記系統情報をもとに系統状態を決定する系統状態決定手段と,前記系統状態と前記機器運用状態とに基づいて前記系統安定化機器の制御動作を決定する制御動作決定手段と,前記制御動作決定手段に接続されて前記制御動作案を運転員提示し、前記運転員の指示入力応動して選択された前記制御動作を前記制御動作決定手段に出力する制御方策選択手段と,出力された前記制御方策を前記系統安定化機器に出力する制御動作出力手段とを有することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項13

複数の電力系統からなり、各前記電力系統に系統安定化機器、及び前記電力系統から系統情報を取り込む系統情報入力手段、及び前記系統安定化機器の機器運用状態を取り込む機器運用状態判断手段、及び前記系統情報をもとに系統状態を決定する系統状態判断手段及び、前記系統状態と前記機器運用状態とに基づいて前記系統安定化機器の制御動作を決定する制御方策決定手段、及び決定された前記制御動作を前記系統安定化機器に出力する制御動作出力手段、及び前記制御動作決定手段に接続され前記系統情報または前記機器運用状態または前記制御動作を入出力する地域間情報入出力手段とを備え、前記地域間情報入出力手段が他の前記地域間情報入出力手段と前記系統情報または前記機器運用状態または前記制御動作を交信することを特徴とする電力系統安定化制御装置。

請求項14

系統安定化機器が設置された電力系統から系統情報及び前記系統安定化機器の機器運用状態を入力して潮流方程式満足する条件を設定する第1の方法と、前記電力系統の事故を設定して時間応答シミュレーションにより前記電力系統の動揺モードを求め、前記動揺モードを抑制する制御動作を前記系統安定化機器に配分する第2の方法と、および前記制御動作に基づいて前記系統安定化機器を制御する第3の方法とからなる電力系統安定化制御方法

請求項15

請求項14において前記動揺モードはフーリエ解析またはプローニー解析から求めることを特徴とする電力系統安定化制御方法。

技術分野

0001

本発明は電力系統に発生した動揺を抑制するための電力系統安定化装置および方法に係り、特に複数地点に設置された系統安定化機器協調を取ることにより、様々な系統の運用条件事故条件に対して柔軟かつ的確に対応できる電力系統安定化装置および方法に関する。

背景技術

0002

電力系統に事故等の異常により発生した電力動揺を抑えるための系統安定化機器として、発電機の励磁制御装置に付加するPSS(Power System Stabilizer)や、静止型無効電力補償装置SVC),サイリスタ制御直列コンデンサ,サイリスタ制御高速移相器フライホイール発電機(FWG),SMES電池などがある。

0003

これらの安定化機器は、電力動揺を含む信号を検出してフィードバック制御により系統の安定化を図る。しかし電力系統に発生する電力動揺は、系統の接続状態潮流状態外乱の場所や大きさなどにより様々に変化する。そのため安定化機器の制御方策も、これらの変化に対応して最適な値となるよう変化させる必要がある。従来の制御方策を変化させる方法としては、特開平4−121024 号に記載されているように、線路潮流の大きさに応じてSVCの制御ゲインを変化させる方法があった。

発明が解決しようとする課題

0004

ところで電力系統に複数の安定化機器が設置されている場合、機器間で制御する際に協調を取る必要がある。特に系統の接続状態や潮流状態の変化に対応させて制御方策を変更する場合には、機器間の協調を取らなければ適切な制御が実施できない。

0005

また複数のモードの電力動揺が発生する場合、どの機器がどの動揺モードに対応する制御を行うかという制御分担を適切に設定する必要があるが、上記従来技術は単体の安定化機器についての変更方法のため、他の安定化機器の運用状態の変化については考慮できず、複数の機器の制御分担を設定することができない。本発明の目的は、電力系統の接続状態や潮流状態,事故条件などが変化しても、常に適切な制御が実施できるよう複数の安定化機器間の協調を図り、安定化機器の制御方策を変更できる電力系統安定化装置および方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するため、電力系統からの系統情報を取り込む系統情報入力手段と,安定化機器の運用状態を取り込む機器運用状態入力手段と,取り込んだ系統情報をもとに系統状態を決定する系統状態決定手段と,決定した系統状態と安定化機器の運用状態とに基づいて制御方策を決定する制御方策決定手段と,決定した制御方策を系統安定化機器に出力する制御方策出力手段と、を設けるようにした。

0007

さらに想定外乱を設定し、設定した想定事故に対する制御方策を予め作成できるようにした想定事故設定手段を設け、想定事故に対応した制御方策を制御方策テーブル作成手段が制御方策テーブルに保存し、その制御方策を制御方策決定手段が決定するようにした。

0008

さらに制御方策選択手段を設け、制御方策決定手段が呈示した制御方策案の中から運転員が制御方策を選択できるようにした。

0009

また他の電力系統の安定化制御装置の制御方策出力手段から出力された制御方策を入力する制御方策入力手段を設けた。

0010

さらに、電力系統の系統情報と電力系統機器運用状態から、外乱によって発生する複数の動揺モードを求める動揺モード分析手段と、この複数の動揺モードから、抑制すべき抑制動揺モードを抽出し、前記系統安定化機器に対し、抑制すべき抑制動揺モードを担当させる抑制動揺モード担当手段とを備えるようにした。また、電力系統の系統情報と電力系統機器運用状態から、外乱によって発生する動揺モードを求める動揺モード分析手段と、この動揺を押さえるように、複数の電力系統安定化機器に対し、制御パラメータを設定するようにしたものである。

0011

制御方策決定手段は、系統情報をもとに決定した系統状態と複数の系統安定化機器の運用状態とに基づいて各安定化機器の協調を取りながら各機器の制御方策を決定する。それにより系統状態に対応した適切な制御方策が決定できる。

0012

制御方策決定の際には、まず外乱を仮定した時間応答シミュレーションを行って、どの地点にどのような動揺モードが現われるかを分析する。分析した結果に基づいて、どの地点の系統安定化機器がどの動揺モードを担当するかを設定する。担当する動揺モードが決まれば、それに基づいて制御パラメータを決定する。このように動揺モードの分析により機器の制御分担を設定することにより、適切な制御方策が決定できる。

0013

また予め作成してある制御方策テーブルを用いれば制御方策を直接決定することもできる。この場合は代表的な系統状態や機器の運用状態に対する制御方策を前もってテーブルとして作成しておくので、様々な制御方策案の中から選ぶ手間が省略でき、迅速に制御方策が決定できる。

0014

さらに想定事故設定手段により代表的な事故を想定し、予め決定しておいたその事故に対する制御方策を、制御方策テーブル作成手段により制御テーブルに保存しておく。そして実際に事故が発生したら、制御方策決定手段が系統情報入力手段と系統状態決定手段からの情報により事故点事故種別を認識し、対応する制御方策を制御方策テーブルから選択することにより制御方策が決定できる。

0015

また制御方策の決定に運転員が介入できるよう、制御方策決定手段は制御方策選択手段を介して制御方策案とその評価結果を表示すると、運転員はそれを見て適切な制御方策案を制御方策選択手段から選定することができる。

0016

また制御方策を決定する系統安定化制御装置を電力系統内の複数の地点に設置する場合は、他の安定化制御装置の制御方策出力手段から制御方策入力手段を介して制御方策が出力されるので、他の地域の系統安定化機器との協調も取りながら制御方策を決定することができる。

0017

さらに安定化機器が1台であっても動揺モードを分析し最も抑えたいモードに対する制御方策をその安定化機器が取ることで最も効率的な抑制動作が可能になる。

0018

そして、動揺モードを分析し、これを抑えるために、複数の安定化機器に対し、特定の動揺を押さえるためにそれぞれ制御パラメータを設定することにより、例えば大きな動揺が発生した場合でも、複数の安定化機器が同時に対応することにより、系統の安定化が図れるようにするものである。

0019

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

0020

図1は本発明を適用した系統安定化制御装置1001の構成図である。電力系統内の各地点から検出された電圧電流電力情報やスイッチの接続状態が系統情報として系統情報入力手段11を介して入力される。また系統情報には母線電圧負荷電力,発電機の出力電力送電線の線路潮流なども含まれる。

0021

一方、この実施例では電力系統内の複数箇所に設置された系統安定化機器の例として、SVC31とフライホイール発電機(以下FWGと呼ぶ)32とが設置されている。系統安定化機器から出力された機器の運用状態(後述)が機器運用状態入力手段12を介して入力される。系統状態決定手段13は、状態推定計算により系統情報の補足修正を行って、潮流方程式満足する系統状態を作成する。

0022

制御方策決定手段141は、系統状態と運用状態を考慮しながら系統安定化機器の制御方策を決定し、制御方策出力手段18が制御方策を各系統安定化機器に出力する。制御方策を決定するための補助手段として、動揺モード分析手段15,制御分担設定手段16,制御パラメータ設定手段17がある。

0023

以下に制御方策決定手段141が、制御方策を決定する方法の一例を、図2フローチャートを用いて説明する。

0024

まず系統情報入力手段11により系統情報が取り込まれる。SVC31,FWG32についてはそれぞれの機器から発生または吸収される有効電力,無効電力値の情報が取り込まれ、又、前もってデータとして入力しておくこれらの系統情報に基づいて、系統状態決定手段13が状態計算を行って、潮流方程式を満足する最も確からしい系統状態を作成する。潮流方程式とはキルヒホッフの法則から導かれるもので、電力系統の回路の特性を表す式であるが、オンライン入力情報誤差時差を含むため、一般に潮流方程式は満足しない。そこで状態推定から、例えば最小自乗法などの手法を用いて潮流方程式が成立するよう入力情報を修正するものである。例えば深尾 毅,豊田 淳一著「電力へのコンピュータへの応用」産業図書(昭和47年発行)p167〜p173、あるいは特開平3−215124 号に記載されており、公知である。

0025

また機器の運用状態としては、SVC31とFWG32が使用可能かどうかの状態、例えば使用可能ならば1、または使用不可ならば0といった2値情報で示される情報、又、必要に応じてさらにより詳細な機器運用状態を設定するために、それぞれの機器が系統に対してあと、どの程度安定化のために貢献できるかを示す動作変更可能量が機器運用状態入力手段12により取り込まれる。以上の結果をもとに機器運用状態と系統状態が設定される(ステップ21)。

0026

次にステップ22で外乱として事故を起こす送電線を、例えば送電線L1の3相短絡事故等をモデル的に設定し、又、場合によっては実際に発生した事故等を設定する、ステップ23でその外乱に対する時間応答シミュレーションを行う。動揺モード分析手段15は、シミュレーション結果をもとに動揺モードの分析を行う(ステップ24)。動揺モードの分析とは、どの地点の時間応答波形にどの動揺モードが多く含まれているかを調べるものである。

0027

例えば図1の系統における母線B1,B4の間に流れる有効電力P1および発電機G2から出ていくP2の潮流の時間応答波形が図3のようになったとする。P1には比較的周期の長い動揺モード(これをモード2と呼ぶ)が、P2には周期の短い動揺モード(モード1と呼ぶ)が多く含まれていることが、フーリエ解析,プローニー解析等で求めることが可能になる。このように電力系統では複数の動揺モードが発生する場合が多く、これら複数モードの動揺を複数の安定化制御機器協調制御により抑制する必要がある。

0028

動揺モード分析手段15は系統の固有値をまず計算し、どのような動揺モードが発生するかを調べる。系統の固有値とは、系統の動特性を現わす式を線形化した状態方程式
dx/dy=Ax x:状態変化ベクトル
係数行列Aの固有値のことで、系統に外乱が加わったとき、どのような動揺が発生するかを表すものである。固有値は線路インピーダンス,潮流状態,発電機の動特性、および制御系がわかっていれば計算できる。このうち線路インピーダンスと発電機の動特性については固定値であり、予めデータベースに蓄えておくことが可能となる。

0029

潮流状態についてはステップ21で決定したものを用いれば良い。また各機器の制御系のパラメータについては、最終的には制御方策決定音段141によって定まるが、決定する前の段階では標準的なパラメータを仮の数値として用いるようにしてもよい。

0030

この固有値を用いた安定度解析は従来から行われているもので、例えば電気評論1990年第3月号p62〜p66の連載講座・「電力系統解析技術の基礎と応用」が詳しい。

0031

次にシミュレーションによるそれぞれの時間応答波形について、例えばフーリエ解析手法やプローニー解析手段などを用い、各動揺モードがどれだけ多く含まれているかを調べる(ステップ24)。

0032

次のステップ25で制御分担設定手段16が制御分担を設定する。例えばSVC31は有効電力P1を、FWG32は有効電力P2を制御入力として用いるとすれば、図3に示すように、有効電力P1にはモード2が、有効電力P2にはモード1がそれぞれ多く含まれているので、SVC31がモード2,FWG32がモード1を抑制するように分担を定める。

0033

また、このステップで系統を安定させるために使用する機器が、有効電力情報だけではなく、周波数,電圧、又は相対的な位相制御情報を用いても制御できるのであれば、前述のステップで、これらの制御情報を求めるようにしてもよい。

0034

なお系統安定化機器の数よりも動揺モードの数が多い場合、制御分担設定手段16は抑制したい動揺モードを系統安定化機器の数に限定し、制御分担を設定する。また逆に系統安定化機器の数よりも動揺モードの数が少ない場合は、同一モードを複数の系統安定化機器で分担制御するようにすれば良い。詳細については、近文治著「電子制御工学コロナ社(昭和38年発行)p101〜p102に記載のようにして位相補償を構成する要素の値を決めれば良い。

0035

制御分担が決まれば、それに基づいて制御パラメータ設定手段17がFWG32とSVC31の制御パラメータを設定する(ステップ26)。

0036

例えば図4に示すように各機器の制御系がリセットフィルタ,位相補償,ゲインから構成され制御パラメータT0,T1,T2,K を有しているとする。リセットフィルタおよび位相補償のパラメータ設定については、分担する動揺モードを決めれば、それに基づいて特定できる。例えば位相補償として90゜遅らせたいときは、動揺周波数における位相遅れが90゜になるよう補償位相を定めれば良い。

0037

一方ゲインはゲインの変化に対する固有値の変化を見ながら最適な値を探す方法を取ればよい。例えずFWG32とSVC31のゲインをそれぞれ変化させたとき、電力動揺ダンピングに対する動揺周波数の固有値が図5のように変化したとする。この場合FWG32はモード1を分担しているので、電力動揺のダンピングが最小のゲイン=2.0 を選ぶようにすれば良い。同様にしてSVC31のゲインはモード2の固有値に着目してゲイン=3.0 を設定する。

0038

しかしある動揺モードを良くすると他の動揺モードが悪化する場合には、各動揺モードの固有値に重み付けして合成して総合的に評価すればよい。例えば固有値の実部が小さいほど安定なので各モードの固有値の実部に重み係数掛けて合計したものを評価指標とし、評価指標が最小になるようにゲインを定めれば良い。その際、着目する動揺モードの重み係数を大きくして、その動揺モードを優先的に抑制するように制御パラメータを定めるようにすれば良い。

0039

以上のような方法で制御パラメータが設定されたら、設定した値をもとにステップ27で時間応答シミュレーションを行い、制御方策の有効性を確認する。そして、有効性が確認できない場合は、ステップ25に戻って、制御分担の再設定を行いリトライする。有効性が確認できれば、制御方策の決定となる(ステップ28)。

0040

なお上記実施例では安定化制御機器が二つだけであったが、実際にはもっと多くの安定化機器があり、制御分担が一通りに定まらない場合もある。例えば安定化機器が三つ(A,B,C)に対し動揺モードが二つ(X,Y)あり、制御分担として(A−X,B−Y,C−X)と、(A−X,B−Y,C−Y)の二通りが考えられるとする。この場合それぞれの制御分担について制御パラメータを設定し、シミュレーションまたは固有値によりどちらが良いかを決定すれば良い。

0041

上記の例では、制御入力や制御モードは固定としたが、制御入力や制御モードを設定するようにしてもよい。例えばSVC31の制御入力としてP1の他にP3があり、どちらかを選択する場合には、P1およびP3のそれぞれについて動揺モード分析を行って有効なモードを選ぶか、あるいは各モードのそれぞれについて制御パラメータを設定し、シミュレーションによって良い方を選択しても良い。例えばSVCの制御モードとして電圧一定制御ダンピング制御があるが、どちらを優先させるかについても同様のやり方で設定できる。

0042

次に安定化機器の運用状態が変化した場合の制御方策決定方法について説明する。図6は系統安定化機器として2台のサイリスタ制御直列コンデンサ(以下直コンと呼ぶ)711と712、及びFWG72が設置されている例である。直コンは2回線送電線のそれぞれの回線に設置されていて、2回線のうち1回線L12が停止になったとする。そうすると直コン712が使用不可という情報が機器運用状態入力手段12から取り込まれる。制御パラメータ設定手段17は、その直コン712の運用状態を考慮して各機器、具体的には直コン711,FWG72のパラメータを設定するため、直コン712が脱落した影響をFWG72が補うように制御パラメータを設定する。

0043

このように他の安定化機器の運用状態を考慮して制御方策を決定するため、機器間の協調を取った最適な制御方策が設定できる効果がある。

0044

次に想定事故に対する制御方策を決定するための他の実施例について説明する。図7の系統安定化制御装置1002は、図1の系統安定化制御装置1001の制御方策決定手段142に想定事故設定機能を追加したもので、想定事故設定機能は想定事故設定手段81,制御方策テーブル作成手段82,制御方策テーブル83から構成される。

0045

想定事故設定手段81は、予め事故を想定するもので、例えば送電線の3相地絡事故等を設定する。系統状態決定手段13は系統情報入力手段11からの系統情報と合わせて事故状態を系統状態として決定する。また事故によって機器の運用状態も変わるのでそれも考慮する。例えば直コンが設置された送電線で事故が起きると、事故回線側の直コンは使用できなくなる。

0046

次に制御方策決定手段142は、その状態に合わせた制御方策を決定する。決定方法は上述した方法と同様である。決定された制御方策は制御方策テーブル作成手段82に渡され、想定事故と制御方策とを対応付けられて例えば図8に示したような制御方策テーブル83に格納される。以上の手順を想定事故の数だけ繰り返すことにより、想定事故に対する適切な制御方策が制御方策テーブル83に記憶される。

0047

実際に事故が発生した際には、保護リレー遮断器動作情報など事故に関する情報が系統情報として系統情報入力手段11から入力される。系統状態決定手段13は、この情報をもとに事故点や事故種別を判定する。制御方策決定手段142は制御方策テーブル83の中から対応する事故を選び出し、例えばSVCのゲイン,T1,T2を呼び出し制御方策を決定する。この方法によると、実際に事故が発生した場合に、テーブルを検索するだけで迅速に制御方策が設定できる効果がある。

0048

なお図8ではオンラインで予め動揺モードを分析し、制御分担を決めておく例を示したが、動揺モード分析手段15及び制御分担設定手段16,制御パラメータ設定手段17を他のシステムに設けて、オフラインにより制御方策を求めても良い。この場合には系統安定化制御装置1002が小規模の構成にできるので安価となる利点がある。

0049

次に本発明の他の実施例について説明する。図9は制御方策決定支援機能を持つ系統安定化制御装置1003の構成図である。制御方策決定手段143は制御方策案とその評価結果、例えば固有値を表す図やシミュレーション結果の時間応答波形を制御方策選択手段20を介し運転員に提示する。運転員がその表示内容から最も望ましい制御方策を選択し、制御方策選択手段20から制御方策決定手段143へ入力すると、制御方策決定手段143は選択された制御方策を制御方策出力手段18から各安定化機器に出力する。この方法によれば運転員が最善の制御方策を容易に選定でき、対策を直接把握できるという効果がある。

0050

次に系統安定化制御装置が電力系統内の複数の地点に分散配置された場合の実施例について説明する。図10は地域Aと地域Bの二つの地域からなる電力系統であり、系統安定化制御装置1004と1005が地域ごとに設置されている。地域Aには系統安定化機器として、静止型無効電力補償装置SVC31とフライホイール発電機FWG32が使用され、地域Bには静止型無効電力補償装置SVC41と直コン(サイリスタ制御直列コンデンサ)42とが用いられている例を示している。

0051

系統安定化制御装置1004と1005のそれぞれに設けた制御方策決定手段144と145とが、それぞれ地域間情報入出力手段191と192とを備えているので、他の地域の系統情報,機器の運用状態,制御方策を出力し確認し合うことができる。この構成により他の系統安定化制御装置が決定した安定化機器の制御方策も情報として得られるので、それに基づいて自分の地域の安定化機器の制御方策を設定できるから、他の地域との協調を取った設定が可能となる。さらに電力系統全体の系統情報や運用状態が出力系制約により入力できなくても、他の装置からの情報によりそれを補うことができるし、またいずれかの系統安定化制御装置が万一故障しても、他の系統安定化制御装置が系統動揺を押さえるように代用することができる。

0052

以上、本発明の一実施例として系統安定化機器として、SVC,FWGの例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、安定化機器としては、直コン,SMES,位相補償器等の種々の装置が使用できることは言うまでもない。

発明の効果

0053

本発明によれば、電力系統内に設置された複数の安定化機器間の協調が取れ、しかも系統の潮流状態や事故条件に対応した適切な制御方策が設定できる効果がある。また実際に事故が発生した場合にも、迅速に制御方策が設定できる効果がある。また運転員が制御方策を決定する際に容易に決定できる効果がある。また複数の地域に系統安定化制御装置が分散配置されている場合でも、他の地域との協調を取った制御方策が決定できる効果がある。さらに安定化機器が1台であっても動揺モードを分析し最も抑えたいモードに対する制御方策をその安定化機器が取ることで最適な制御が可能となる。

0054

なお系統安定化機器の数より分析した動揺モードの数が多い場合は、制御分担設定手段16は抑制したい動揺モードを系統安定化機器の数に限定し、制御分担を設定するから最適な系統安定化を図ることができる。

図面の簡単な説明

0055

図1本発明を適用した電力系統安定化制御装置の構成図。
図2制御方策決定の手順例を表すフローチャート。
図3時間応答波形の例を示す図。
図4SVCの制御ブロック図。
図5固有値をグラフ上に表した例を示す図。
図6電力系統の例を表す系統図。
図7想定事故設定機能を持つ系統安定化制御装置の構成図。
図8制御方策テーブル83の例。
図9制御方策決定支援機能を持つ系統安定化制御装置の構成図。
図10複数の地域に設置された場合の系統安定化制御装置の構成図。

--

0056

11…系統情報入力手段、12…機器運用状態入力手段、13…系統状態決定手段、15…動揺モード分析手段、16…制御分担設定手段、17…制御パラメータ設定手段、18…制御方策出力手段、19…地域間情報入出力装置、20…制御方策選択手段、141〜145…制御方策決定手段、1001〜1005…系統安定化制御装置。

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