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技術 熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法、熱可塑性エラストマーの発泡成形方法及び熱可塑性エラストマーの発泡体

出願人 東海興業株式会社
発明者 伊藤俊和平井洋一
出願日 1994年4月14日 (26年7ヶ月経過) 出願番号 1994-076062
公開日 1995年10月24日 (25年0ヶ月経過) 公開番号 1995-278336
状態 特許登録済
技術分野 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 プラスチック等の押出成形 プラスチック等の特殊発泡成形、タイヤ成形
主要キーワード 気泡のつぶれ 発生成長 発泡媒体 定圧ポンプ 回転数調節 樹脂糸 気泡収縮 熱可塑性エラストマー発泡体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年10月24日)のものです。
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図面 (8)

目的

環境及びコストの点で好都合熱可塑性エラストマーの水発泡方法において、発泡体発泡倍率を調整する。

構成

水蒸気による気泡の発生・成長時において流動化あるいは可塑化された状態の熱可塑性エラストマーの溶融延性を変えることにより、得られる発泡体の発泡倍率を調整すること。

概要

背景

従来より、熱可塑性エラストマーを水を発泡剤として発泡させ得ることが知られている(国際公開公報WO92/18326、米国特許第5070111号)。水を発泡剤として用いるこの発泡方法(以下、単に「水発泡方法」という。)は、労働環境や地球環境に悪影響がなく、低コストであるという点で優れた方法といえる。

概要

環境及びコストの点で好都合な熱可塑性エラストマーの水発泡方法において、発泡体発泡倍率を調整する。

水蒸気による気泡の発生・成長時において流動化あるいは可塑化された状態の熱可塑性エラストマーの溶融延性を変えることにより、得られる発泡体の発泡倍率を調整すること。

目的

そこで、本発明は、環境及びコストの点で好都合な熱可塑性エラストマーの水発泡方法において、発泡体の発泡倍率を調整する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、水発泡方法が有効でない熱可塑性エラストマーにおいて、水発泡により有効な発泡倍率を得ることができる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、安価な熱可塑性エラストマーの発泡体を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

熱可塑性エラストマーに水を発泡剤として添加して発泡体を得る方法において、水蒸気による気泡の発生・成長時において流動化あるいは可塑化された状態の熱可塑性エラストマーの溶融延性を変えることにより、得られる発泡体の発泡倍率を調整することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法

請求項2

請求項1において、前記熱可塑性エラストマーに溶融延性向上剤を添加することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法。

請求項3

請求項1において、前記熱可塑性エラストマーの発泡成形温度を変えることにより、得られる発泡体の発泡率を調整することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法。

請求項4

熱可塑性エラストマーにその熱可塑性エラストマーの溶融延性向上剤を添加することにより、水を発泡剤として発泡体を形成可能にしたこと特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡成形方法

請求項5

請求項4において、前記熱可塑性エラストマーは、塩化ビニル重合体ハードセグメントとする重合体ブレンドであることを特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡成形方法。

請求項6

水を発泡剤として発泡してなる発泡体であって、熱可塑性エラストマーとその熱可塑性エラストマーの溶融延性向上剤との混合物発泡媒体としたことを特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡体。

技術分野

0001

この発明は、水を発泡剤として用いて熱可塑性エラストマー発泡させる方法及びこの方法により得られた発泡体に関する。

背景技術

0002

従来より、熱可塑性エラストマーを水を発泡剤として発泡させ得ることが知られている(国際公開公報WO92/18326、米国特許第5070111号)。水を発泡剤として用いるこの発泡方法(以下、単に「水発泡方法」という。)は、労働環境や地球環境に悪影響がなく、低コストであるという点で優れた方法といえる。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、水を発泡剤として用いる場合には、発泡媒体となる熱可塑性エラストマーの種類で適正な添加水量の範囲がほぼ決まっており、この範囲を越えてあるいはこの範囲を下回る添加水量では、良好な発泡体を得ることができなかった。したがって、熱可塑性エラストマーの種類により得られる発泡体の発泡倍率の範囲が決まってしまい、通常は狭い範囲でしか発泡倍率を選択することができなかった。また、全ての熱可塑性エラストマーについて水による発泡が有効であるわけではなく、また、同一種類の熱可塑性エラストマーであっても水による発泡がほとんどできない場合もあった。

0004

そこで、本発明は、環境及びコストの点で好都合な熱可塑性エラストマーの水発泡方法において、発泡体の発泡倍率を調整する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、水発泡方法が有効でない熱可塑性エラストマーにおいて、水発泡により有効な発泡倍率を得ることができる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、安価な熱可塑性エラストマーの発泡体を提供することを目的とする。

0005

かかる課題を解決するために、本発明者は、発泡倍率と発泡媒体たる熱可塑性エラストマーの物性に着目して鋭意検討した結果、熱可塑性エラストマーの溶融延性気泡の発生・成長・安定という発泡体形成のプロセスとの間に一定の関係を見いだし、以下の発明を創作した。すなわち、請求項1の発明は、熱可塑性エラストマーに水を発泡剤として添加して発泡体を得る方法において、水蒸気による気泡の発生・成長時において流動化あるいは可塑化された状態の熱可塑性エラストマーの溶融延性を変えることにより、得られる発泡体の発泡倍率を調整することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法である。また、請求項2の発明は、請求項1において、前記熱可塑性エラストマーに溶融延性向上剤を添加することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法である。また、請求項3の発明は、請求項1において、前記熱可塑性エラストマーの発泡成形温度を変えることにより、得られる発泡体の発泡率を調整することを特徴とする熱可塑性エラストマー発泡体の発泡倍率調整方法である。また、請求項4の発明は、熱可塑性エラストマーにその熱可塑性エラストマーの溶融延性向上剤を添加することにより、水を発泡剤として発泡体を形成可能にしたこと特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡成形方法である。また、請求項5の発明は、請求項4において、前記熱可塑性エラストマーは、塩化ビニル重合体ハードセグメントとする重合体ブレンドであることを特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡成形方法である。また、請求項6の発明は、水を発泡剤として発泡してなる発泡体であって、熱可塑性エラストマーとその熱可塑性エラストマーの溶融延性向上剤との混合物を発泡媒体としたことを特徴とする熱可塑性エラストマーの発泡体である。

0006

以下、本発明を詳細に説明する。一般に、発泡プラスチックをつくる方法としては、流動するポリマー相低密度気泡状態に発泡させ、この状態を保つのが通常である。本発明においては、加圧下において流動状態あるいは可塑状態の発泡媒体に水を含ませ、この発泡媒体を除圧した際に生じる水蒸気の圧力により気泡を発生・成長させるものである。具体的には、押出し成形射出成形等において水を発泡剤として添加して発泡体を成形することができる。かかる気泡形成に際しては、発泡媒体が伸びやすさや外力に対する強さを有していることにより、気泡が発生し、成長に伴って発泡媒体がセル壁を形成しつつ伸び、かつ、気泡収縮の際にセル壁を維持してセル構造を形成することができる。

0007

前記熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメント成分の重合体及びソフトセグメント成分の重合体の重合体ブレンドをいい、これらの各重合体が一部相互に架橋している場合も含まれる。また、溶融時に水を混合可能であることが必要である。さらに、発泡成形は、通常熱可塑性エラストマーを高温に加熱して溶融状態とするものである。したがって、高温時においても前述した発泡媒体の強さを安定して確保するためには、温度によって外力に対する強さが変化しにくいソフトセグメント成分、特に部分架橋されたソフトセグメント成分を有することが好ましい。高温下において安定して発泡媒体の強さが得られることにより、後述する溶融延性を調整することによる発泡倍率の調整が容易かつ効果的なものとなり、広い範囲で発泡倍率を調整することが可能となる。

0008

上記した重合体ブレンドからなる熱可塑性エラストマーとしては、ポリ塩化ビニルニトリルブタジエンゴム(NBR)の重合体ブレンド(以下、PVC−NBRブレンドという。)、ポリプロピレンとEPDMとの重合体ブレンド(以下、PP−EPDMブレンドという。)、ポリスチレン樹脂ブタジエンゴム若しくはポリイソプレンゴム若しくはポリエチレンポリブチレンとの共重合体との重合体ブレンド(以下、PS−BRブレンドという)が挙げられる。

0009

前記熱可塑性エラストマーの溶融延性とは、熱可塑性エラストマーの溶融軟化時の伸びやすさをいい、具体的には、所定温度で溶融軟化状態の熱可塑性エラストマーを樹脂糸として一定条件下押出し、この樹脂糸をプーリーを用いて引き取りロールに引き取る場合において、引き取り速度を順次早めていって樹脂糸が切れ直前限界引き取り速度(単位:m/min )で表すものとする。

0010

前記発泡倍率とは、本発明においては、発泡前の発泡媒体の密度発泡成形品の密度で割った得た数値をいう。前記溶融延性向上剤(以下、単に向上剤という。)とは、上記した熱可塑性エラストマーの溶融延性を向上させることができる添加剤をいう。すなわち、溶融延性を向上させようとする熱可塑性エラストマーと相溶性を有し、かつその熱可塑性エラストマーの溶融延性を向上させることができるものを使用する必要がある。

0011

例えば、前記したPVC−NBRブレンドにおいては、アルキルエステル重合体を向上剤として使用でき、具体的には、ポリメタクリル酸メチルPMMA)、PMMAと塩化ビニルとの重合体ブレンド、メタクリル酸メチルと塩化ビニルとの共重合体、塩化ビニルとエチレンの共重合体が挙げられる。また、前記したPP−EPDMブレンドにおいては、α−オレフィン重合体を向上剤として使用でき、具体的には、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)である。また、前記したPS−BRブレンドにも、同様にα−オレフィン重合体を向上剤として使用でき、具体的には、ポリプロピレンやポリエチレンである。さらに、この他、アルキルエステルとα−オレフィンの共重合体、アルキルエステルと他のモノマーの共重合体も向上剤として使用しうる。

0012

発泡成形温度とは、加圧下において発泡媒体たる熱可塑性エラストマーあるいは向上剤を添加した熱可塑性エラストマーを可塑状態あるいは流動状態として、水を発泡剤として添加する際の温度をいう。この発泡成形温度にて、発泡媒体に水が含有され、その後発泡媒体の除圧により気泡が発生成長し、発泡媒体の冷却により発泡体が形成される。

0013

請求項1の発明では、加圧下で水を発泡剤として添加した熱可塑性エラストマーが除圧され、水が気化する際の水蒸気の圧力により発泡媒体中に気泡が発生・成長される。この場合において、熱可塑性エラストマーの溶融延性が気泡の発生・成長程度を影響を及ぼす。請求項2の発明では、向上剤の添加が熱可塑性エラストマーの溶融延性を向上させ、発泡時の気泡の発生・成長を促進する。請求項3の発明では、熱可塑性エラストマーの溶融延性は、温度によって変化する。請求項4の発明では、熱可塑性エラストマーにその向上剤を添加して溶融延性を向上させることにより、水を発泡剤として用いて気泡構造が形成される。請求項5の発明では、熱可塑性エラストマーのハートセグメント成分として安価で用途の広い樹脂である塩化ビニルを有する。請求項6の発明では、向上剤の添加により多様な種類の熱可塑性エラストマーを媒体とした水発泡体を得ることができる。

発明の効果

0014

請求項1の発明によれば、熱可塑性エラストマーの溶融延性を変えることにより、気泡の成長を調整することができるため、得られる発泡体の発泡倍率を溶融延性の調整により調整することができる。したがって、一定の発泡圧下でも、発泡倍率を選択することができるとともに、安全かつ安価に所望の発泡倍率の熱可塑性エラストマーの発泡体を得ることができる。請求項2の発明によれば、熱可塑性エラストマーの溶融延性を向上剤を添加することにより向上させて、発泡時の気泡の成長を促進して、水の添加(発泡圧)にかかわらず発泡率を増加させることができる。請求項3の発明によれば、温度により熱可塑性エラストマーの溶融延性が変化するため、発泡成形温度を変えることにより発泡体の発泡率を調整することができる。請求項4の発明によれば、熱可塑性エラストマーに良好な溶融延性が付与されるとにより、水蒸気圧により発生した気泡の発生・成長が促進され、従来水発泡に有効でなく不適応であった熱可塑性エラストマーについても安全かつ安価に発泡体を得ることが可能となる。請求項5の発明によれば、ポリ塩化ビニルをハードセグメント重合体とする重合体ブレンドを熱可塑性エラストマーとして使用するため、低コストでかつ用途の広い発泡体を水発泡により得ることができる。請求項6の発明によれば、発泡媒体として向上剤が添加された熱可塑性エラストマーを用いるため、多種多様な熱可塑性エラストマーを発泡媒体とした発泡体を安全かつ安価に提供することができるとともに、各種熱可塑性エラストマーの機能に応じた用途の各種発泡体を提供することができる。

0015

次に、本発明を具現化した実施例について説明する。
〔実施例1〕本実施例は、熱可塑性エラストマーとしてPP−EPDMブレンドを用い、向上剤としてポリプロピレン(PP)を用いて発泡率を調整する方法についてのものである。本実施例においては、PP−EPDMブレンドとして、米国A.E.S.社製、商品サントプレーンロット番号101−64(以下、単に「サントプレーンA」という。)を用いた。

0016

サントプレーンAに対して以下の表に示す割合でPPを混合して試料a〜dを調製した。これらの試料につき、以下に示す条件により、溶融延性を測定するとともに、発泡成形を行い、発泡体を得て発泡体の密度、発泡倍率を測定した。なお、併せて溶融延伸時の張力も測定した。

0017

0018

i溶融延性の測定条件
試料a〜dの溶融延性は、図6に示すラボストミル式のメルトストレングス測定装置((株)東洋精機製作所製RCT−400G)を用いた。すなわち、小スケール押出し成形機1を用いて190℃で溶融軟化状態の試料を樹脂糸2としてダイ4から押し出してこの樹脂糸2をプーリー6、7、8を介して引き取りロール10と押さえロール12との間に導くものである。なお、プーリー7は引っ張りバネ14を介して固定されている。引き取りロール10は回転速度を順次早められる図示しない回転数調節手段に接続されており、樹脂糸2が切れる直前の回転速度が引き取り限界速度(溶融延性)として記録されるようになっている。なお、引き取り限界速度を呈した際の、樹脂糸2の張力が引っ張りバネ14により測定可能となっている。

0019

ii発泡成形の条件
発泡成形は、成形機として、45mmの2軸押出し機を用い、以下に示す条件により行った。なお、成形機の概略構造図7に示す。
項目成形条件
発泡成形温度 190℃
水の注入量 3g/min
注入圧力10〜50kgf/cm2
口金形状内径2mmの円形形状
押出し機回転数50rpm
この成形機20は、ベント部22の途中からプランジャー式の定圧ポンプ24を用いて一定量の水(発泡剤)を注入するものである。

0020

試料a〜dについての試験結果は表2及び図1に示すとおりであった。

0021

0022

表2及び図1から明らかなように、PPの混合比の上昇に伴い、試料a〜dの溶融延性は向上し、この溶融延性の向上に伴い、発泡倍率も向上した。また、得られた発泡体の性状は、いずれも気泡のつぶれ等がなく良好であった。なお、試料a〜dについての溶融時の張力はほぼ一定であった(図1参照)。したがって、試料a〜dは、溶融延性の向上に伴う気泡成長に応じてセル構造を形成でき、かつ冷却時の収縮応力抵抗しえてセル構造を維持するセル壁の強度を有していたと考えられる。すなわち、試料a〜dは、気泡が成長する際の外力や気泡が収縮する際の外力に抗してセル構造が破壊されず維持できるねばり強さをを有しているといえる。

0023

次に、発泡倍率自体については、PPが混合されていない試料a(サントプレーンA単体)においては、発泡倍率が4.5と、通常の発泡媒体としては不適当なものであったが、PPの混合比の上昇及び溶融延性の向上に伴って、発泡媒体として使用するのに適すると思われる発泡倍率8.5までに増大されていた。したがって、本実施例では、単体にあっては水発泡媒体として不適当なサントプレーンAを、単体に向上剤としてPPを混合することにより水発泡に適する媒体に変えることができたといえる。また、本実施例においては、溶融延性の向上に伴って発泡倍率が増大されており、溶融延性の測定値から発泡倍率、さらには水発泡の媒体として適するか否かの判断が可能である。

0024

〔実施例2〕次に、実施例1と同様にPP−EPDMブレンドであるサントプレーン(ロット番号201−68、以下「サントプレーンB」という。)を用いて、発泡成形温度を変えることにより溶融延性を変えて、発泡倍率を調整した場合について説明する。発泡成形温度を、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃の五種類として試料e〜iを準備し、これらの各発泡成形温度につき、その他の条件は実施例1と同様の条件により溶融延性を測定し、発泡成形を行った。なお、併せて溶融延伸時の張力も測定した。試料e〜iについての試験結果は表3及び図2に示すとおりであった。

0025

0026

表3及び図2に示すように、溶融延性は200℃での値(試料h)最大値を呈してその後低下し、発泡倍率は、それぞより20℃低い180℃(試料f;表3中の*印参照)を最大値を呈してその後低下した。すなわち、本実施例においては、かならずしも溶融延性の向上と発泡率の向上とが対応する結果を得ることができなかった。また、180℃をこえる発泡成形温度の試料g〜iにおいては、口金から押し出し直後における発泡倍率(一次発泡率)は大きいが、その後発泡体のセルつぶれが観察された。なお、試料e〜iの張力は順に低下していた(図2参照)。したがって、試料g〜iにおいては、溶融延性の向上により、発泡体における気泡の成長が促進されるが、その一方でセル壁の強度がセル構造を維持するに足りず冷却時の収縮応力によりセルのつぶれが発生し、結果として発泡率が低下する結果になっていると考えられる。

0027

この結果より、気泡の成長により形成されたセル壁の強度が維持される範囲においては、熱可塑性エラストマーの溶融延性の向上と発泡体の発泡率の向上とが対応し、この範囲において、発泡成形温度を変えることにより発泡率を向上させることができる。

0028

ここに、実施例1における試料a(サントプレーンA単体、成形温度190℃))と本実施例における試料g(サントプレーンB単体、成形温度190℃)とは、ロット番号が異なるのみで成形温度その他の実験条件は共通である。そこで、試料aと試料gの結果(表2及び表3)から溶融延性を比較してみると、試料aは7.6、試料gは12.1となっている。すなわち、本実施例で用いたサントプレーンBは溶融延性が良好なロットであった。したがって、本実施例では、溶融延性が良好で水発泡に適する媒体を、向上剤を添加することなく、発泡成形温度を変えることによって、その溶融延性を変化させ、発泡倍率を調整することができたといえる。ただし、本実施例では、張力との関係により、必ずも溶融延性の向上が発泡倍率の増大に貢献する結果とはなっていない。

0029

〔実施例3〕本実施例においては、PVC−NBRブレンドを熱可塑性エラストマーとして用い、向上剤としてPMMAとPVCとの重合体ブレンド(以下、PMMA−PVCブレンドという。)を用いて発泡倍率を調整した場合について説明する。本実施例においては、PVC−NBRブレンドとして電気化学工業(株)製、商品名デンカLCS、ロット番号D2331(以下、単にLCS−1という。)を用いた。また、PMMA−PVCブレンドは、以下に示す組成のものを用いた。なお、本実施例において、PMMA−PVCブレンドを用いたのは、特にPMMAの溶融延性向上剤としての作用に着目したものであって、PVCとのブレンドとしたのは、PVC−NBRブレンドに対する相溶性を考慮したものである。
PMMA−PVCブレンドの組成
成分 分量(重量部)
PVC 100
PMMA 10
DOP(可塑剤) 40
Ba−Sn(安定剤) 4
エポキシ化合物(安定助剤) 6
CaCO3 (充填剤) 10

0030

LCS−1に対して以下の表に示す割合でPMMA−PVCブレンドを混合して試料j〜qを調整し、これらの試料j〜qにつき、以下の条件により溶融延性を測定するとともに、発泡成形を行い、発泡体を得て発泡体の密度、発泡倍率を測定した。なお、併せて溶融延伸時の張力も測定した。

0031

LCS−1とPMMA−PVCブレンドの混合比(単位:重量%)
ID=000006HE=065 WI=073 LX=1135 LY=0900

0032

i溶融延性の測定条件
試料j〜qの溶融延性は、溶融温度を170℃として他の条件については実施例1と同様に行った。
ii発泡成形の条件
発泡成形は、成形機としては実施例1と同様のものを用い、以下に示す条件により行った。
項目成形条件
発泡成形温度 170℃
水の注入量 13g/min
注入圧力10〜50kgf/cm2
口金形状内径2mmの円形形状
押出し機回転数50rpm

0033

試料j〜qについての試験結果は表5及び図3に示すとおりであった。

0034

0035

表5及び図3から明らかなように、PMMA−PVCブレンドの混合比の変化により、発泡倍率は著しく変化した。しかし、PMMA−PVCブレンドの混合比が50重量%以下である試料j〜mについては混合比の増大により、発泡倍率の増加が観察されたが(試料mで最大;表5中の*印参照)、試料n〜qについては、逆に低下する結果が得られた。また、試料n〜qについては、セルのつぶれが観察された。一方、溶融延性は、ほぼ向上剤の添加に比例して向上されていた。したがって、実施例1と同様に、溶融延性の向上に伴って気泡が成長され、一次発泡倍率は向上するが、発泡媒体の収縮応力に抵抗するセル壁の強度がないため、結果的に発泡率が低下したものと考えられる。このように溶融延性の向上に反して発泡倍率が低下するのは、実施例2における結果と一致している。さらに、溶融延性の向上と延伸時の張力の低下(図3参照)が同時に観察される範囲で発泡倍率が最大値をとる結果においても実施例2と一致している。

0036

〔実施例4〕次に、実施例3で用いたLCS−1とPMMA−PVCブレンドを用いて、発泡成形温度を変えることにより発泡率を調整する場合について説明する。

0037

LCS−1とPMMA−PVCブレンドの混合比は、1:1とし、発泡成形温度を150℃、160℃、170℃、180℃、190℃の五種類として試料r〜vを準備し、各発泡成形温度について、実施例2と同様に、溶融延性を測定するとともに、発泡成形を行い、発泡体の密度及び発泡倍率を測定した。なお、併せて溶融延伸時の張力も測定した。試料r〜vについての試験結果は表6及び図4に示すとおりであった。

0038

0039

表6及び図4に示すように、発泡倍率は、160℃(試料s;表5中の*印参照)を最大値としてその後低下し、溶融延性には大きな変化はなかった。また、成形温度160℃を越える試料t〜vについては、セルのつぶれが観察されており、セル壁の強度が発泡媒体の収縮応力に耐えきれない結果、結果として発泡率が低下したものと考えられる。なお、試料r〜vにおける溶融延伸時の張力は、成形温度の上昇とともに低減され(図4参照)、このことはセル壁の強度の低下に対応していると考えられる。したがって、実施例2及び実施例3と同様に、溶融延性の向上と延伸時の張力低下が同時に観察される範囲において、発泡倍率が最大値を呈する結果となっている。

0040

〔実施例5〕本実施例では、熱可塑性エラストマーとしてPS−BRブレンドを用い、向上剤としてPPを用いて、発泡倍率を調整した場合について説明する。本実施例においては、PS−BRブレンドとして、三菱油化(株)製、商品名ラバロン、ロット番号7400(以下、単に「ラバロン」という。)を用いた。

0041

ラバロンに対して以下の表に示す割合でPPを混合して試料w〜zを調整し、これらの試料w〜zにつき、以下の条件により溶融延性を測定するとともに、発泡成形を行い、発泡体を得て発泡体の密度、発泡倍率を測定した。なお、併せて溶融延伸時の張力も測定した。

0042

0043

i溶融延性の測定条件
試料w〜zの溶融延性は、溶融温度を180℃として他の条件については実施例1と同様に行った。
ii発泡成形の条件
発泡成形は、成形機としては実施例1と同様のものを用い、発泡成形温度を180℃とする以外は、実施例1に示す条件により行った。

0044

試料j〜qについての試験結果は表8及び図5に示すとおりであった。

0045

0046

表8及び図5から明らかなように、PPの混合比の増加に伴い、溶融延性は増大したが、発泡倍率は試料xにおいて最大値を呈し(表8の*印参照)、その後低下した。本実施例においては、溶融延性の著しい増大に反し、発泡倍率には大きな変化が観察されなかった。これは、これらの試料w〜zについて、溶融延伸時の張力が低い値でほぼ一定であり(図5参照)、溶融延性が増大しても発泡媒体が気泡の成長を許容しない状態であるためと考えられる。

図面の簡単な説明

0047

図1実施例1において、サントプレーンAへのPPの混合比を変えた場合の発泡倍率、溶融延性及び張力の変化を示すグラフ図である。
図2実施例2において、サントプレーンBの発泡成形温度を変えた場合の発泡倍率、溶融延性及び張力の変化を示すグラフ図である。
図3実施例3において、LCS−1へのPMMA−PVCブレンドの混合比を変えた場合の発泡倍率、溶融延性及び張力の変化を示すグラフ図である。
図4実施例4において、LCS−1とPMMA−PVCブレンドの混合物(1:1)の発泡成形温度を変えた場合の発泡倍率、溶融延性及び張力の変化を示すグラフ図である。
図5実施例5において、ラバロンへのPPの混合比を変えた場合の発泡倍率、溶融延性及び張力の変化を示すグラフ図である。
図6溶融延性の測定装置の構成を示す図である。
図7発泡成形に用いる成形機の概略構造を示す図である。

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