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図面 (17)

構成

縮環芳香族構造を有し、無秩序積層構造よりなる炭素系材料であって、該材料がアルカリイオン吸着した際に、吸着量が組成式でC6 A(式中、Aはアルカリ元素を示す)のとき、そのアルカリ原子核のNMRスペクトル化学シフトδが−3ppm<δ<10ppmの範囲にあるアルカリイオン吸脱着材料。

効果

本発明のアルカリイオン吸脱着材料により、アルカリイオンの吸蔵量を大幅に増大することができ、吸脱着の際の構造変化もなくすことができる。さらに、アルカリイオン吸蔵放出反応を増大することもできる。そこで、この材料を電極材料に用いることによって、高容量で、サイクル定性に優れ、しかも高電流密度充放電に耐え得る二次電池を得ることができる。

概要

背景

近年、電子機器の小型化が進み、これに伴い電池高エネルギー密度化が求められ、種々の非水電解液電池が提案されている。例えば、従来より非水電解液電池用負極として、主に一次電池用に金属リチウムが知られており、またアルミニウムリチウム合金に代表されるリチウム合金、炭素負極なども知られている。しかしながら、金属リチウムは、二次電池の負極として用いた場合、デンドライトの生成などに起因してサイクル定性に劣ることが知られている。また、アルミニウム/リチウム合金に代表されるリチウム合金負極も、金属リチウムよりはサイクル安定性の向上はみられるものの、リチウム電池の性能を充分に引き出すとはいえない。

このような問題を解決するため、リチウム吸脱着するものとして、リチウムの炭素層化合物電気化学的に容易にできることを利用した炭素負極を用いることも提案されている。従来のLi二次電池負極に用いられる炭素系材料は、結晶構造的に分類すると、易黒鉛化炭素難黒鉛化炭素に分類される。これらの分類方法としては、主にX線回折法によるD(002)の面間隔およびC軸方向、a軸方向の結晶子の大きさ、レーザーラマンスペクトル解析による積層構造乱層構造比率で分類する方法が用いられている。この2つの評価方法は、充分に炭化が終了した炭素(焼成温度1,500℃以上)に対して有効である。また、現在までに公開されている多くの特許は、これらの数値を規定した炭素の構造で出願されている。

このような炭素負極としては、多種・多様なものがあり、例えば結晶セルロースチッ素ガス流下、1,800℃で焼成して得られる炭素物質(特開平3−176963号公報)、石炭ピッチあるいは石油ピッチ不活性雰囲気で2,500℃以上で黒鉛化処理したもの(特開平2−82466号公報)、2,000℃を超える高温で処理されたグラファイト化の進んだものなどが用いられ、金属リチウムやリチウム合金と比較して容量の低下はあるが、サイクル安定性のあるものが得られている。しかしながら、このような負極でも、高電流密度での充放電においては充分なサイクル安定性は得られていない。

概要

縮環芳香族構造を有し、無秩序積層構造よりなる炭素系材料であって、該材料がアルカリイオン吸着した際に、吸着量が組成式でC6 A(式中、Aはアルカリ元素を示す)のとき、そのアルカリ原子核のNMRスペクトル化学シフトδが−3ppm<δ<10ppmの範囲にあるアルカリイオン吸脱着材料。

本発明のアルカリイオン吸脱着材料により、アルカリイオンの吸蔵量を大幅に増大することができ、吸脱着の際の構造変化もなくすことができる。さらに、アルカリイオン吸蔵放出反応を増大することもできる。そこで、この材料を電極材料に用いることによって、高容量で、サイクル安定性に優れ、しかも高電流密度の充放電に耐え得る二次電池を得ることができる。

目的

そこで、アルカリイオン吸蔵量が大きく、吸蔵放出を繰り返しても構造が破壊されず、さらにまたアルカリイオンの吸蔵放出反応速度の大きいアルカリイオン吸脱着材料が望まれていた。本発明は、以上のような従来の技術的課題背景になされたものであり、アルカリイオン吸蔵量が大きく、アルカリイオンを吸脱着する化合物の構造変化が無く、吸蔵放出反応速度も大きい優れたアルカリイオン吸脱着材料を得ることを目的とし、これによって、高容量でサイクル安定性に優れ、高出力(高電流密度)の充放電にも対応できる二次電池用電極材料を得ることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

縮環芳香族構造を有し、無秩序積層構造よりなる炭素系材料であって、該材料がアルカリイオン吸着した際に、吸着量が組成式でC6 A(式中、Aはアルカリ元素を示す)のとき、そのアルカリ原子核のNMRスペクトル化学シフトδが−3ppm<δ<10ppmの範囲にあることを特徴とするアルカリイオン吸脱着材料。

請求項2

アルカリイオンがリチウムイオンである請求項1記載のアルカリイオン吸脱着材料。

請求項3

炭素系材料のフラクタル次元Dが、1.7≦D<2.0である請求項1または2記載のアルカリイオン吸脱着材料。

請求項4

炭素系材料が、o−結合、m−結合、枝分かれおよび架橋構造の群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む芳香族構造を有する有機高分子化合物焼成したものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリイオン吸脱着材料。

請求項5

芳香族構造を有する有機高分子化合物が、そのX線回折の2θ=20°付近回折ピーク半値幅が0.75°以上のものであり、焼成時に700℃までに溶融せず、かつその焼成物焼成到達温度での収率が40%以上となるものである請求項4記載のアルカリイオン吸脱着材料。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項記載のアルカリイオン吸脱着材料からなる二次電池用電材料

技術分野

0001

本発明は、アルカリイオン吸脱着材料に関し、さらに詳細には二次電池用電極材料に、特に非水電解液二次電池用電極材料に好適なアルカリイオン吸脱着材料に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器の小型化が進み、これに伴い電池高エネルギー密度化が求められ、種々の非水電解液電池が提案されている。例えば、従来より非水電解液電池用負極として、主に一次電池用に金属リチウムが知られており、またアルミニウムリチウム合金に代表されるリチウム合金、炭素負極なども知られている。しかしながら、金属リチウムは、二次電池の負極として用いた場合、デンドライトの生成などに起因してサイクル定性に劣ることが知られている。また、アルミニウム/リチウム合金に代表されるリチウム合金負極も、金属リチウムよりはサイクル安定性の向上はみられるものの、リチウム電池の性能を充分に引き出すとはいえない。

0003

このような問題を解決するため、リチウム吸脱着するものとして、リチウムの炭素層化合物電気化学的に容易にできることを利用した炭素負極を用いることも提案されている。従来のLi二次電池負極に用いられる炭素系材料は、結晶構造的に分類すると、易黒鉛化炭素難黒鉛化炭素に分類される。これらの分類方法としては、主にX線回折法によるD(002)の面間隔およびC軸方向、a軸方向の結晶子の大きさ、レーザーラマンスペクトル解析による積層構造乱層構造比率で分類する方法が用いられている。この2つの評価方法は、充分に炭化が終了した炭素(焼成温度1,500℃以上)に対して有効である。また、現在までに公開されている多くの特許は、これらの数値を規定した炭素の構造で出願されている。

0004

このような炭素負極としては、多種・多様なものがあり、例えば結晶セルロースチッ素ガス流下、1,800℃で焼成して得られる炭素物質(特開平3−176963号公報)、石炭ピッチあるいは石油ピッチ不活性雰囲気で2,500℃以上で黒鉛化処理したもの(特開平2−82466号公報)、2,000℃を超える高温で処理されたグラファイト化の進んだものなどが用いられ、金属リチウムやリチウム合金と比較して容量の低下はあるが、サイクル安定性のあるものが得られている。しかしながら、このような負極でも、高電流密度での充放電においては充分なサイクル安定性は得られていない。

発明が解決しようとする課題

0005

このような炭素負極は、金属リチウムやリチウム合金に較べ、充電状態、すなわち炭素にリチウムがインターカレーションされた状態においても、水との反応が充分に穏やかで、充放電にともなうデンドライトの形成もほとんどみられず優れたものである。しかしながら、炭素の種類によっては、充放電のほとんどできないものや、理論容量充電時にLiC6 の状態を最大容量と仮定)と比較して容量が極端に低いものが多い。また、初期容量は比較的大きくても、充放電を繰り返すことで劣化し、急激に容量が低下したり、また比較的容量の大きい炭素負極においても、高電流密度で充放電を繰り返すと劣化が激しく、二次電池としての性能を満足し得ないなど、従来の炭素負極では、満足すべき性能の負極は得られていない。

0006

例えば、易黒鉛化炭素の特長は、放電電位平坦性に優れることであるが、充放電電流密度を上げるとその容量は極端に低下してしまう(第15回新電池構想部会討論会p24〜31)。そこで、その用途としては、メモリーバックアップなどの比較的電流密度の低い用途に限定される。

0007

一方、難黒鉛化炭素の特長は、放電電位の平坦性には劣るものの、易黒鉛化炭素に比べ高い電流密度で充放電できることである。しかしながら、電気自動車などの大電流を必要とする用途に対しては充分ではない。この原因は、これらの炭素では充放電反応が炭素6角網面へのLiイオンのインターカレーション−ディインターカレーション反応で進行するためである。そこで、Liイオンの層間への侵入、脱離は結晶エッジ(6角網面の積層方向に対して垂直な面)からのみしか進行することができない。また、このため結晶の大きさが小さい方が反応速度は速くなるので、従来より提案されているX線回折法やレーザーラマンスペクトル解析で評価できるような炭素では結晶が大きいため充放電は速やかに進行しないのである。

0008

また、アルカリイオンの吸蔵量インターカレーション化合物組成比に制限されてしまい、容量を大きくすることができないという問題もある。さらに、インターカレーション時には層間が約10%増加し、ディインターカレーション時には元に戻るので、充放電を繰り返すと、炭素の構造破壊が生じ、サイクル安定性が低下してしまうという問題もある。

0009

そこで、アルカリイオン吸蔵量が大きく、吸蔵放出を繰り返しても構造が破壊されず、さらにまたアルカリイオンの吸蔵放出反応速度の大きいアルカリイオン吸脱着材料が望まれていた。本発明は、以上のような従来の技術的課題背景になされたものであり、アルカリイオン吸蔵量が大きく、アルカリイオンを吸脱着する化合物の構造変化が無く、吸蔵放出反応速度も大きい優れたアルカリイオン吸脱着材料を得ることを目的とし、これによって、高容量でサイクル安定性に優れ、高出力(高電流密度)の充放電にも対応できる二次電池用電極材料を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、縮環芳香族構造を有し、無秩序積層構造よりなる炭素系材料であって、該材料がアルカリイオンを吸着した際に、吸着量が組成式でC6 A(式中、Aはアルカリ元素を示す)のとき、そのアルカリ原子核のNMRスペクトル化学シフトδが−3ppm<δ<10ppmの範囲にあることを特徴とするアルカリイオン吸脱着材料を提供するものである。

0011

本発明の炭素系材料は、縮環芳香族構造を有し、かつその構造は無秩序積層構造となっている。ここで、無秩序積層構造とは、縮芳香族環平面の配向が全く無秩序であるか、もしくは3枚を超えての配向を有しない構造をいう。無秩序積層構造でなく、積層構造が発達しているものは、アルカリイオンを層間にインターカレートしてしまい、本発明の吸脱着材料とはいえない。

0012

このような本発明に用いられる炭素系材料としては、黒鉛化前駆段階の構造をもっているものが好ましい。黒鉛化前駆段階の炭素は熱処理温度が低いため結晶はまだ未発達であり、その大きさは小さく、大電流を流すのに好適であり、実施例で示す様にインターカレーション反応の理論限界値LiC6 (372Ah/kg)を超える放電容量を示すものもある。しかしながら、黒鉛前駆段階の炭素でもその特性には開きがある。ところが、黒鉛化前駆段階の炭素はX線回折、レーザーラマンスペクトルでは黒鉛化が進行していないことは分かるが、その構造を充分に解析することは困難である。そこで、本発明では、これらの黒鉛前駆段階の炭素をより詳細に解析する方法として、高分解能透過型電子顕微鏡TEM)でその格子像撮影し、種々の炭素のフラクタル解析を行い、フラクタル次元Dで表すこととした。

0013

ここで、フラクタル理論について説明する。すなわち、複雑に入り組んだ線の長さを測定するのに、長い物差しで測った場合と短い物差しで測った場合では、短い物差しで測った方が線の長さは長くなる。逆に、滑らかな線では物差しの長さを変えても、線の長さはほとんど変化しない。すなわち、線の形状が入り組んでいるほど、線の長さは測る物差しの長さに依存する。これより、距離の複雑さの尺度として、物差しの長さを短くしたとき、2点間の距離がどのようなな率で長くなるかが、ある割合で表せることになる。この割合がフラクタル次元Dに相当し、曲線の複雑さを表している。N次元のフラクタル次元Dは次式で定義される。
D=N+logED /log(l/r)
(式中、rは尺度比、ED =尺度比を変えた場合の距離の増加分を示す。)本発明においては、フラクタル次元をDとして、好ましくは1.7≦D<2.0、さらに好ましくは1.8≦D<2.0を満たす炭素系材料が望ましい。フラクタル次元がこの範囲にある炭素系材料は、充電時にLiの一部が共有結合性のLiを形成するため、インターカレーション反応に比べ遙かに多くのLiを吸蔵することが可能である。

0014

このような炭素系材料は、本質的に易黒鉛化材料である有機高分子化合物に積層を阻害する要因を導入したものを焼成して得ることができ、例えばp−結合のほかに、o−結合、m−結合、枝分かれおよび架橋構造の群から選ばれた少なくとも1種の構造を含む芳香族構造を有する有機高分子化合物を焼成したものが挙げられる。本質的に易黒鉛化材料である有機高分子化合物としては、芳香族構造を有していればどのようなものでもよいが、例えばポリフェニレン)、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(フェニレンキシレン)(PPX)、ポリスチレンノボラック樹脂などが挙げられる。積層構造を阻害する因子としては、上記のように屈曲構造(o−,m−位結合)、分岐構造(枝分かれ)、架橋構造などが挙げられる。また、これらの有機高分子化合物には、5員間、7員間を持つ有機高分子化合物を含んでいてもよい。

0015

これらの有機高分子化合物の中でも、結晶化度の低いものが好ましく、X線回折の2θ=20°付近回折ピーク半値幅が好ましくは0.75°以上、さらに好ましくは0.95°以上であることが望ましい。また、有機高分子化合物には、キノイド構造を含むことが好ましい。ここで、キノイド構造を含むことは、有機高分子化合物の粉末拡散反射スペクトルにおいて600〜900nmの範囲に吸収端観測されることで確認できる。

0016

このような有機高分子化合物として好ましいものとしては、ある程度重合度の高いポリフェニレンが挙げられる。本発明においては、ポリフェニレンの重合度の目安として次式で定義されるR値を適用するが、なかでもこのR値が好ましくは2以上、さらに好ましくは2.3〜20のものが望ましい。
R=A〔δ(para)〕/{A〔δ(mono1)〕+A〔δ(mono2)〕}
ここにおいて、A〔δ(para)〕は赤外吸収スペクトルにおける804cm-1付近のC−H面外変角振動モードの吸収帯吸光度、A〔δ(mono1)〕、A〔δ(mono2)〕はそれぞれ760cm-1付近、690cm-1付近の末端フェニル基の吸収帯の吸光度を示す。

0017

これらの有機高分子化合物をあまり高温でなく、電気伝導性の生じるのに限界の低い温度、通常、300〜1,000℃で焼成すればよい。このような有機高分子化合物は、焼成時に700℃までに溶融せず、焼成物である炭素系材料の焼成到達温度(好ましくは700℃前後である)での収率が好ましくは40%以上、さらに好ましくは70〜90%であることが望ましい。700℃までに溶融してしまうものは、枝分かれしていないので好ましくない。

0018

本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、このようにして得られた炭素系材料であるが、この材料がアルカリイオンを組成式C6 Aだけ吸着した際のNMRスペクトルの化学シフトδが、−3ppm<δ<10ppmの範囲、好ましくは−1ppm<δ<2ppmになければならない。ここにおいて、アルカリ元素がリチウムの場合、観測核は 7Li、化学シフトの基準はLiClの1モル/l水溶液ピークを0としたときのものである。化学シフトがこの範囲にあるということは、アルカリイオン上の不対電子密度が殆ど0となっていることを意味し、これは、アルカリイオンがインターカレーションでなく、吸着によって吸蔵されており、炭素とアルカリイオンが離れた距離をとっていることを示すものである(本発明者は、これを「スプーンコンパウンド」と呼ぶ)。

0019

一方、インターカレートしたリチウム化シフトが正の値をとることは報告されており(例えば、田中ら、1992年電気化学大会講演要旨集p129)、本発明者らの測定においてもインターカレートしたリチウム化学シフトは例外なく正の値をとることが分かっている。この正の化学シフトの原因は、炭素系材料のラジカルによる常磁性シフトである。リチウムが吸蔵されると同時に炭素系材料は電子受取り電気的な中性を保つ。電子を受け取った炭素は、ラジカルアニオンとなる。従って、リチウムを吸蔵した炭素系材料は不対電子を持ち、電子の磁気モーメントと核の磁気モーメントの相互作用により、化学シフトが生じる。理論によれば、電子スピンとの相互作用による化学シフトの符号は、電子と当該核の超微細結合定数の符号と一致する。 7Liの超微細結合定数の符号は正であり、ラジカルによる化学シフトは正となる。化学シフトの大きさは、測定核上の不対電子密度に比例する。インターカレートしたリチウムイオン黒鉛層間閉じ込められているため、黒鉛層がラジカルアニオン化するとリチウムイオン上にもある程度の不対電子密度が存在し正の化学シフトをもたらす。

0020

このように、前記の範囲を超えた化学シフトを持つものは、アルカリイオンをインターカレートにより吸蔵しており、本発明の材料とはいえない。本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、アルカリイオンを吸脱着するものであるが、中でもリチウムイオンにおいて、優れた性能を発揮するものである。本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、縮環芳香族をもつが、積層構造が発達しておらず、リチウムのようなアルカリイオンをインターカレーションによって吸蔵していないので、アルカリイオンは層間にではなく、縮環芳香族面上に吸脱着する。このような吸脱着反応はインターカレーション化合物の組成比に制限されないので、アルカリイオンの吸脱着量を非常に大きくすることができる。

0021

また、層間をアルカリイオンが出入りするのではないので、吸脱着に伴う材料の構造変化が少なく、さらに積層構造が発達してしていないので、アルカリイオンは積層している方向と平行な一方向に限定されず、どの方向からも侵入でき、吸脱着反応速度が大きい。従って、このような本発明のアルカリイオン吸脱着材料を電極材料に用いることによって、電池を非常に高容量にし、サイクル安定性を向上し、大電流充放電を可能とすることができ、本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、二次電池用電極の材料として非常に優れたものである。

0022

次に、本発明のアルカリイオン吸脱着材料を製造する方法について具体的に説明する。本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、前述したような、縮環芳香族構造を有する有機高分子化合物を、通常、アルゴンヘリウムチッ素などの不活性ガス、あるいは水素などの還元性ガス中で300〜1,000℃、好ましくは600〜800℃の温度で、0〜6時間、好ましくは0〜1時間熱処理することにより得られる。

0023

この具体的な熱処理方法としては、熱分析において、原料有機化合物重量減少開始温度まではどのような昇温速度でもよく、重量減少開始温度から熱処理温度までは5℃/時間〜200℃/時間、好ましくは20℃/時間〜100℃/時間の昇温速度で昇温する方法が挙げられる。ここで、熱処理温度とは、熱分析において、重量が減少しなくなるまで減少した重量に対し、70〜95重量%の重量減少を示す温度をいう。

0024

このようにして得られる熱処理物は、通常、粉体または固体であり、このアルカリイオン吸脱着材料を機械的に粉砕し、優れた二次電池用電極材料を得ることができる。この電極材料を用いて負極を作製する場合、電極材料の粒径は必ずしも制限されるものではないが、平均粒径が5μm以下のものを用いることにより高性能の負極を作ることができる。この場合、これらの粉末に、ポリエチレン粉末などのバインダー添加混合し、ロール圧延し、負極を作ることができる。バインダーの配合量は、電極材料100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。

0025

ここで、バインダーとしては、有機無機いずれのバインダーも使用することができる。有機バインダーとしては、前記ポリエチレンのほかに、ポリテトラフルオロエチレンポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂ポリビニルアルコールポリ塩化ビニルなどの多くのバインダーを使用することができる。また、無機バインダーとしては、ケイ素ガラスなどのケイ素系バインダーが使用できるが、この場合もバインダーとしての性能を発揮させるために融点を超えた温度での熱処理が必要である。

0026

このようにして得られる負極体は、これにリチウムまたはリチウムを主体とするアルカリ金属担持させて、リチウム電池用負極とすることができる。

0027

担持させる方法としては、リチウム箔を接触させ熱拡散させたり、リチウム塩溶液中で電気化学的にリチウムをドープさせたり、あるいは溶融リチウムに浸漬させ炭素系材料中にリチウムを拡散させるなど、従来より行われているどのような方法でもよい。本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、リチウム電池の負極として広範囲に使用でき、各種の正極、例えば二酸化マンガン五酸化バナジウムなどの酸化物ポリピロールなどの有機高分子を用いた正極などと組み合わせて使用することができる。

0028

また、本発明のアルカリイオン吸脱着材料からなる電極材料を用いた電池に使用する非水系の電解質としては、正極材料および負極材料に対して化学的に安定であり、かつリチウムイオンが正極活物質電気化学反応をするために移動できる非水物質であればどのようなものでも使用でき、特にカチオンアニオンの組み合わせよりなる化合物であって、カチオンとしてはLi+ 、またアニオンの例としてはPF6- 、AsF6 - 、SbF6 - のようなVa族元素ハロゲン化物アニオン、I- 、I3 - 、Br- 、Cl- のようなハロゲンアニオン、ClO4- のような過塩素酸アニオン、HF2 - 、CF3 SO3 - 、SCN- などのアニオンを有する化合物を挙げることができるが、必ずしもこれらのアニオンに限定されるものではない。このようなカチオン、アニオンを持つ電解質の具体例としては、LiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl4 、LiHF2 、LiSCN、LiCF3 SO3 などが挙げられる。これらのうちでは、特にLiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiCF3 SO3 が好ましい。

0029

なお、非水系の電解質は、通常、溶媒に溶解された状態で使用され、この場合、溶媒は特に限定されないが、比較的極性の大きい溶媒が良好に用いられる。具体的にはプロピレンカーボネートエチレンカーボネートテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランジオキソランジオキサンジメトキシエタンジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグライム類γ−ブチロラクトンなどのラクトン類トリエチルホスフェートなどのリン酸エステル類ホウ酸トリエチルなどのホウ酸エステル類、スルホランジメチルスルホキシドなどのイオウ化合物アセトニトリルなどのニトリル類ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドなどのアミド類硫酸ジメチルニトロメタンニトロベンゼンジクロロエタンなどの1種または2種以上の混合物を挙げることができる。これらのうちでは、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジオキソランおよびγ−ブチロラクトンから選ばれた1種または2種以上の混合物が好適である。

0030

さらに、この非水電解質としては、上記非水電解質を、例えばポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのイソシアネート架橋体エチレンオキサイドオリゴマーを側鎖に持つホスファゼンポリマーなどの重合体含浸させた有機固体電解質、Li3 N、LiBCl4 などの無機イオン誘導体、Li4 SiO4 、Li3 BO3 などのリチウムガラスなどの無機固体電解質を用いることもできる。

0031

本発明のアルカリイオン吸脱着材料からなる電極材料を使用したリチウム二次電池を、図面を参照してさらに詳細に説明する。すなわち、本発明のアルカリイオン吸脱着材料からなる電極材料を負極に使用したリチウム二次電池は、図17に示すように開口部10aが負極蓋板20で密閉されたボタン形正極ケース10内を微細孔を有するセパレータ30で区画し、区画された正極側空間内に正極集電体40を正極ケース10側に配置した正極50が収納される一方、負極側空間内に負極集電体60を負極蓋板20側に配置した負極70が収納されたものである。

0032

なお、セパレータ30としては、多孔質電解液を通したり含んだりすることのできる、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成樹脂製の不織布、織布および編布などを使用することができる。また、正極50に用いられる正極材料としては、リチウム含有五酸化バナジウム、リチウム含有二酸化マンガンなどの焼成体粒子を使用することができる。なお、符号80は、正極ケース10の内周面に周設されて負極蓋板20を絶縁支持するポリエチレン製の絶縁パッキンである。

0033

本発明のアルカリイオン吸脱着材料は、縮環芳香族構造をもつが、積層構造が発達しておらず、リチウムのようなアルカリイオンは層間にインターカレートするのではなく、縮環芳香族面上に吸脱着する。吸脱着反応はインターカレーション化合物の組成比に制限されないので、アルカリイオンの吸脱着量を非常に大きくすることができる。従って、これを電極材料に用いることによって、電池を非常に高容量にすることができる。

0034

また、層間をイオンが出入りするのではないので、吸脱着に伴う材料の構造変化が少なく、電極材料に用いた場合、その電池はサイクル安定性に優れる。さらに、積層構造が発達していないので、イオンは積層している方向と平行な一方向に限定されず、どの方向からも侵入でき、反応速度が大きく、大電流充放電が可能となる。従って、本発明のアルカリイオン吸脱着材料を、二次電池、特に非水電解質液二次電池、例えばリチウム電池の電極材料として用いることにより、高容量でかつ充放電におけるサイクル安定性に優れ、しかも高電流密度の充放電に耐え得る電池を得ることができる。

0035

以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
コバチック法(Kovacic)によりポリフェニレンを合成した〔Kovacic,P.andKyriakis,A.,Journal of theAmerican Chemical Society 85,454〜458(1963)による〕。すなわち、塩化第2銅(CuCl2 )、塩化アルミニウム無水)(AlCl3 )、ベンゼン(C6 H6 )をモル比で1:1:4となるように混合し、不活性ガス雰囲気下で攪拌した。得られた粉末を塩酸(6N−HCl)で数度洗浄し、水洗、さらにアセトン洗浄、水洗を繰り返したのち、100℃にて真空乾燥した。このようにして合成したポリフェニレンは、屈曲、分岐構造やキノイド構造のような積層阻害要因を含んでいる。

0036

このように合成したポリフェニレンを水素気流下700℃で焼成して炭素系材料を得た。具体的には、室温から500℃まで250℃/時間の昇温速度で昇温し、500℃から700℃までは40℃/時間で昇温し、700℃に到達した時点で加熱を中止し室温まで冷却して炭素系材料を得た。得られた炭素系材料のX線回折測定より求められる(002)面の面間距離は、約3.65Åであった。(002)面の回折ピークは、非常に幅が広くC軸方向の結晶子の大きさは10Å以下と見積もられる。すなわち、積層枚数は3枚以下であった。

0037

この材料、およびこの材料に370Ah/kgに相当するリチウムイオンを充電した状態で透過型電子顕微鏡(TEM)により格子像を撮影した。その結果を図1に示す。(a)がこの材料、(b)がこの材料に充電した後のものである。黒い部分が炭素網面で白い部分が空間である。

0038

炭素網面と炭素網面との間隔とその間隔の方向を、FFTパワースペクトル化したものを図2に示す。(a)が充電前、(b)が充電後である。中心の白い点が原点で中心からの距離が炭素網面の間隔を示し、方向が炭素網面の方向を示している。白い点がリング状になることにより、炭素網面の方向性規則性がないことが明らかである。充電後もこの状態はほとんど変化しない。さらに、FFTパワースペクトルの垂直成分の分布図3に示す。(a)が充電前、(b)が充電後である。充電前後でその面間隔は広がっていない。

0039

この材料に、バインダーとしてポリエチレン粉末を重量比で30%加えて加圧成形電極とした。作用極としてこの電極を、対極および参照極としてリチウム箔を、電解液として、PC(プロピレンカーボネート)とDME(ジメトキシエタン)(重量比=1:1)の溶媒に、過塩素酸リチウムを1モル/lの濃度で溶解したものを用いて、半電池セルを構成した。このセルを用い、1.6mA/cm2 の電流密度、充電終止電位mV放電終止電位3V、休止時間20分で充放電を繰り返した。この電極はリチウムイオンを電気化学的に吸蔵放出し、リチウム二次電池用負極として機能した。

0040

(容量)図4充放電電位曲線を示す。405Ah/kgの放電容量を示している。積層枚数と容量の関係を図5に模式的に示したが、この図からも分かるように、この容量はインターカレーション反応の限界である372Ah/kgを上回っている。さらに、X線回折測定から見積もられる積層枚数が高々3枚であることを考慮すれば、インターカレーション反応の容量の限界は248Ah/kgになる筈であり、405Ah/kgとうい高容量はインターカレーション反応では説明できない。

0041

(NMR)この電極に30Ah/kg、150Ah/kgおよび300Ah/kg充電した試料を作製し、吸蔵されたリチウムの固体分解能NMRスペクトルを測定した。測定試料は、乾燥アルゴン雰囲気グローブボックス内でDMEで洗浄乾燥し、電解液を除去したのち、KBrと混合しNMR試料管充填した。観測核は 7Liである。化学シフトの基準としてLiClの1モル/l水溶液のピークを0ppmとした。スペクトル図6に示す。図6から明らかなように、リチウムの吸蔵量によらず化学シフトは0ppmである。約60ppm間隔で最大ピークの左右に対照的に現れているピークはスピニンクサイドバンドである。

0042

電流密度依存性)この電極に、電流密度を1mA/cm2 〜15mA/cm2 の範囲で変化させて充放電を行い、電位曲線を求めた。結果を図7に示す。15mA/cm2 では一部金属リチウム析出によると思われるノイズが出るが、10mA/cm2 という高電流密度においても金属リチウム析出は無く、充放電可能である。

0043

守田らは、各種炭素系材料について、充放電電流密度を変えた時の放電容量を報告している〔守田ら、第15回新電池構想部会討論会資料p24〜31(1992)〕。その結果を実施例1の材料についての発明者の測定結果とともに、表1に示す。

0044

0045

炭素は、一般に黒鉛構造が発達するほどD(002)は狭くなり、Lc (c軸方の結晶子の大きさ)は大きくなる。表1から分かるように、電流密度を上げると黒鉛構造の発達した炭素ほど容量の低下が激しい。実施例1の材料はこれに反して電流密度を上げるほど容量が大きくなる。これは電流密度が低いほど1サイクルに要する時間が長いため評価セル内への水分の侵入量が多くなり、容量低下が生じるためである。水分の侵入がない条件で評価を行えば、放電容量はほぼ同じと推察される。このように実施例1の材料は、高い電流密度においても容量の低下なしに充放電が可能である。

0046

比較例1
ポーラスカーボンを電極として、電解液として過塩素酸リチウムの1モル/lのEC(エチレンカーボネート)+DME(重量比=1:1)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして半電池セルを構成し、充放電サイクル試験を行った。この電極は、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵放出し、リチウム二次電池用負極として機能した。

0047

この電極に、200Ah/kg充電した試料を作製し、実施例1と同様にして7Liの固体高分解能NMRスペクトルを測定した。結果を図8に示す。最大ピークは26.1ppmの化学シフトを示している。264.2ppmのピークは金属リチウムによるものであり、ポーラスカーボンではリチウムのインターカレーション以外にリチウムの鍍金反応が起きていることを示す。

0048

(NMR)インターカレートしたリチウムの化学シフトが正の値をとることは、この比較例以外にも報告されており(例えば、田中ら、1992年電気化学秋季大会講演要旨集p129)、本発明の材料以外の材料についての発明者らの測定においてもインターカレートしたリチウムの化学シフトは例外なく正の値をとることが分かっている。

0049

この正の化学シフトの原因は、炭素系材料のラジカルによる常磁性シフトである。リチウムが吸蔵されると同時に炭素系材料は電子を受取り、電気的な中性を保つ。電子を受け取った炭素はラジカルアニオンとなる。従って、リチウムを吸蔵した炭素系材料は不対電子を持ち、電子の磁気モーメントと核の磁気モーメントの相互作用により、化学シフトが生じる。理論によれば、電子スピンとの相互作用による化学シフトの符号は電子と当該核の超微細結合定数の符号と一致する。 7Liの超微細結合定数の符号は正であり、ラジカルによる化学シフトは正となる。化学シフトの大きさは測定核上の不対電子密度に比例する。インターカレートしたリチウムイオンは黒鉛層間に閉じ込められているため、黒鉛層がラジカルアニオン化するとリチウムイオン上にもある程度の不対電子密度が存在し正の化学シフトをもたらす。

0050

一方、本発明の炭素系材料の場合、インターカレーションではなく、吸着によってリチウムイオンを吸蔵するため、炭素とリチウムが離れた距離を取りうる。そのため、リチウムイオン上の不対電子密度はほとんど0となり、化学シフトも0となる。

0051

比較例2(電流密度依存性)
2,600℃で黒鉛化処理を行った気相成長炭素繊維(VGCF)を負極として、実施例1と同様にして電流密度を変化させて充放電電位曲線を求めた。結果を図9に示す。電流密度9mA/cm2 では充電時に金属リチウム析出による電位平坦部が生じ、放電時はまず金属リチウムの溶出反応が生じ次いで炭素からの放電が起きた。

0052

以上のことから、 7Liの固体分解能NMRの化学シフトがリチウム吸蔵量によらず0であること、および平均積層枚数が3枚以下でありながら、405Ah/kgの放電容量を示すことから、本発明の材料は従来のインターカレーション反応によるリチウムイオンの吸蔵放出とは異なる吸脱着による吸蔵放出機能を有することが分かる。この新規の吸蔵放出機能のため、本発明の材料はこれを電極材料として用いた場合、その電池は高い充放電容量を持ち、高電流密度での充放電が可能となり、充放電にともなう構造変化がないためサイクル安定性に優れている。

0053

実施例2
実施例1と同様にしてコバチック法によりポリフェニレンを得た。このようにして合成したポリフェニレンは原料モノマーがベンゼンであるため、結合部位パラ位に限定されず、オルトメタ位での結合や分岐、架橋構造を含んでいる。コバチック法では、重合触媒酸化力により、キノイド構造が生成することが知られている。本実施例のポリマーは褐色であり、その粉末の拡散反射スペクトルには820nmに吸収端が観測された。拡散反射スペクトルを図10に示す。これはキノイド構造による吸収である。

0054

また、ポリフェニレンの赤外吸収スペクトルにおいては804cm-1付近にC−H面外変角振動モード〔δ(para)〕に帰属される吸収帯、760cm-1付近と690cm-1付近に、それぞれ末端フェニル基の振動モード〔δ(mono1)〕と〔δ〔mono2)〕に帰属される吸収帯が観測された。それぞれの吸収の吸光度をそれぞれA〔δ(para)〕、A〔δ(mono1)〕、A〔δ(mono2)〕とすると、
R=A〔δ(para)〕/{A〔ω(mono1)〕+A〔ω(mono2)〕}
で定義されるR値は、ポリフェニレンの重合度の目安になるが、この値は6.09であった。

0055

さらに、X線回折の結果、2θ=19.4°に半値幅2.372°の幅広い回折ピークを示しており、結晶化度が低かった。このようなコバチック法により得られたポリフェニレンを水素気流下700℃で焼成して炭素系材料を得た。焼成中の目視観察により、このポリマーは700℃に到達するまで融解しなかった。焼成収率は84%であった。

0056

この炭素系材料の格子像をTEM〔日本電子(株)製〕により、400kVにて撮影した。その結果を図11に示す。これをイメージスキャナーコンピューターに入力し、炭素を白、空間を黒に2値化処理した。この結果を図12に示す。図12中の全ての線についてフラクタル次元を測定した。その結果を図13に示す。これよりフラクタル次元は1.91であった。

0057

この炭素系材料に重量比で30重量%のポリエチレンバインダーを加え、直径10mmの電極を圧粉成型により作製した。PC(プロピレンカーボネート)/DME(ジメトキシエタン)(体積比=1:1)の溶媒に、LiPF6を1モル/lの濃度で溶解し、電解液とした。対極、参照極はLi金属を用いた。充放電電流密度1.6mA/cm2 、充電終止電位0V、放電終止電位3Vで評価を行った。この電極の充放電曲線図14に示す。この炭素のフラクタル次元Dは1.91であり、炭素6角網面の規則的な積層が全くないため、放電容量は695Ah/kgになった。これは従来から知られている、グラファイト層間へのインターカレーション反応の理論容量372Ah/kgを大きく上回る値である。

0058

比較例3
実施例2と同様にして得られたポリ(パラフェニレン)を1,500℃で焼成し炭素系材料を得た。この炭素系材料のフラクタル次元Dは1.6であり、無秩序積層構造ではなかった。この炭素系材料について実施例2と同様にして評価を行った。充放電曲線を図15に示す。この炭素系材料は、炭素6角網面の積層構造がある程度規則的に配列しているために、リチウムはインターカレーション反応で充電される。よって、その放電容量は372Ah/kgが限界となる。

0059

比較例4
p−ジブロモベンゼンマグネシウム等モル、テトラヒドロフラン中で反応させ、グリニャール試薬を合成した。これに触媒量の塩化ニッケル−2,2′−ビピリジン錯体を加え4時間リフラックスした。反応混合物希塩酸中に投下し攪拌したのち、ろ過した。ろ別された固形物を、蒸留水エタノール、熱トルエン、エタノールの順に溶剤で洗浄したのち、80℃にて真空乾燥した。これにより、100%パラ位のみで結合し、分岐や橋架けのないポリ(パラフェニレン)が得られた。

0060

この方法は酸化剤を用いないため、キノイド構造は生成しない。このポリマーの粉末は薄い黄色であり、拡散反射スペクトルは可視領域にほどんど吸収をもたず、吸収端が470nmに観測された。拡散反射スペクトルを図16に示す。赤外吸収スペクトルから求められるR値は1.91であった。X線回折は2θ=19.6°に半値幅0.72°の鋭い回折ピークを示しており、結晶化度が高い。このポリマーを実施例2と同様にして焼成した。焼成中の目視観察により融解が認められた。焼成収率は38%であった。実施例と同様にして求めた初期放電容量は、150Ah/kgであった。

発明の効果

0061

本発明のアルカリイオン吸脱着材料により、アルカリイオンの吸蔵量を大幅に増大することができ、吸脱着の際の構造変化もなくすことができる。さらにアルカリイオン吸蔵放出反応を増大することもできる。そこで、この材料は電極材料として非常に有用で、これを用いることによって、高容量で、サイクル安定性に優れ、しかも高電流密度の充放電に耐え得る二次電池を得ることができる。

図面の簡単な説明

0062

図1実施例1で得られた炭素系材料の透過型電子顕微鏡(TEM)による格子像の写真である。
図2実施例1におけるFFTパワースペクトルの写真である。
図3実施例1のFFTパワースペクトルの垂直成分の分布を表すグラフである。
図4実施例1における充放電電位曲線である。
図5積層枚数と容量の関係を示すグラフである。
図6実施例1におけるNMRスペクトルである。
図7実施例1における、電流密度を変化させたときの充放電電位曲線である。
図8比較例1におけるNMRスペクトルである。
図9比較例2における充放電電位曲線である。
図10実施例2得られた炭素系材料粉末の拡散反射スペクトルである。
図11実施例2得られた炭素系材料の透過型電子顕微鏡(TEM)による格子像の写真である。
図12実施例2における格子像の写真をコンピューターで2値化処理したコンピューター画像の写真である。
図13実施例2におけるフラクタル次元Dの解析結果を示す図である。
図14実施例2における炭素系材料を用いた電極の充放電曲線を示す図である。
図15比較例3における炭素系材料を用いた電極の充放電曲線を示す図である。
図16比較例4得られた炭素系材料粉末の拡散反射スペクトルである。
図17本発明のアルカリイオン吸脱着材料を負極に用いたリチウム二次電池の一部断面図を含む正面図である。

--

0063

30セパレータ
50 正極
70 負極

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