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効果
概要
背景
概要
トリメタジジン、又は薬学的に許容しうるその塩類のひとつの持続的放出のためのリザーバー(貯蔵所)系を有する薬剤組成物であって、アクリル酸誘導体又はエチルセルロースなどの水不溶性ポリマーと、クエン酸ジブチルなどの可塑剤の混合物が、活性成分を被覆するフィルムの形になっているリザーバー系により、放出が制御される組成物。
上記リザーバー系を有するトリメタジジン組成物は、投与後1時間以内に始まって16時間にわたる有効成分の放出により、相対的に一定の血漿濃度が期待され、狭心症発症の予防的処置としての投与などにおいて効果をもたらす。
目的
従って、持続的放出型剤型は、均一な一定の血中レベルを提供することにより、これらの血中ピークを低減させる利点を有する。更にこれは、患者の治療への応諾にとって好ましい1日1回投与を可能にする。従ってこれは、治療のより良い経過観察を可能にする。
効果
実績
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請求項1
請求項2
ポリマーと可塑剤との混合物が、トリメタジジン、又は薬剤学的に許容される酸とのその付加塩の1つを含有する、錠剤又は微小顆粒剤を被覆するフィルムの形になっている、リザーバー系により、トリメタジジンの制御された放出が保証される、請求項1記載の薬剤組成物。
請求項3
トリメタジジンが二塩酸塩の形である、請求項1記載の薬剤組成物。
請求項4
リザーバー系がリザーバー錠剤である、請求項2記載の薬剤組成物。
請求項5
リザーバー系が、被覆微小顆粒剤を含有するリザーバー・ゼラチンカプセル剤である、請求項2記載の薬剤組成物。
請求項6
請求項7
使用されるポリマーがアクリル酸誘導体である、請求項1記載の薬剤組成物。
請求項8
請求項9
可塑剤がセバシン酸ジブチルである、請求項1記載の薬剤組成物。
請求項10
投与の開始時から、かつ少なくとも16時間にわたって、トリメタジジンの制御された均一な放出を可能にする、請求項1記載の薬剤組成物。
請求項11
技術分野
背景技術
0002
下記式:
0003
0004
で示される化合物であるトリメタジジン、即ち1−(2,3,4−トリメトキシベンジル)ピペラジンは、低酸素又は虚血状態に曝された細胞のエネルギー代謝を保つことにより、アデノシン三リン酸(ATP)の細胞内レベルの分解を回避する分子である。トリメタジジンはこのようにして、イオンポンプの機能と膜を介するナトリウム−カリウムの流出入を保証して細胞の恒常性を維持する。
0005
トリメタジジンの薬学的に許容される塩の中でも、特に、血管系由来のめまい(メニエール病のめまい、耳鳴り)の治療時及び脈絡網膜障害時の狭心症発症の予防処置のための冠状血管拡張剤として治療に使用される、二塩酸塩が挙げられる。
0006
トリメタジジン二塩酸塩は、これまで、20mgの用量を含有する錠剤か又は20mg/ml の用量を含有する経口溶液の剤型で、40から60mgの1日用量で経口投与されていた。これら2つの剤型は、即時放出型の剤型である。
発明が解決しようとする課題
0007
トリメタジジン二塩酸塩は、急速に吸収されて体から排出され、その血漿半減期は6時間未満である。このため、比較的一定の血漿レベルを保証するために活性成分の投与を1日に2又は3回の用量に分割することが必要である。しかし、急速な吸収のため、これらの即時放出型剤型は、また、投与直後の大きな血漿ピークと、次回投薬時の非常に低い血中レベルをもたらすことになる。
0008
従って、持続的放出型剤型は、均一な一定の血中レベルを提供することにより、これらの血中ピークを低減させる利点を有する。更にこれは、患者の治療への応諾にとって好ましい1日1回投与を可能にする。従ってこれは、治療のより良い経過観察を可能にする。
0010
可溶性活性成分の拡散を制御するために求められる作用機作の中で、保持されるべき第一のものは、剤型が溶解液(in vitro:インビトロ、生体外)又は胃腸液(in vivo :インビボ、生体内)に接触した時の、リザーバー(reservoir :貯蔵所)からの、かつポリマーフィルムを介しての活性成分の拡散である。
0011
このような拡散を可能にするものとして、非常に多くのポリマーが記載されてきた。主要なものは、エチルセルロースとメタクリル酸誘導体である。このようなリザーバー系の製造に一般に使用される製造方法は、被覆を要する:この被覆は、裸錠の被覆か(この場合、活性成分の用量は1単位に分配される)、又は細顆粒の被覆(この後者の場合、投与される活性成分の用量は非常に多くの小単位に分配されて次にゼラチンカプセル又は錠剤中に組入れられる)である。
0012
活性成分の持続的放出を可能にする障壁フィルムを形成するために、使用されるポリマーは水と胃腸液に不溶性のポリマーである。これらは、有機性溶液の形か又は水性分散液(ラテックス又は擬似ラテックス(pseudolatex ))の形で使用される。圧縮を利用する方法も記載されている。
課題を解決するための手段
0013
本発明に記載された薬学的組成物は、完璧に限定された血漿レベルをもたらす活性成分の放出を得るために、活性成分(錠剤の形又は微小顆粒剤の形で供される)と、完璧に制御された厚さのポリマーフィルム(該錠剤又は微小顆粒剤を個々に被覆している)とを結び付けたリザーバー系により、その持続的放出が保証されている事実により、特徴づけられる。
0014
高度に水溶性である活性成分の放出の制御について、非常に多くの研究が行われて来た。これらの多くは、以下の問題に遭遇した:活性成分が比較的小さく(分子量<300)、加えて高度に水溶性であるとき、活性成分の放出の制御は相対的に複雑化し、12時間以上にわたる活性成分の放出を保証することは不可能である。
0015
これまでの研究は、同様のことがトリメタジジン二塩酸塩にも適用されるということを、発明者らに示した。
0016
塩基型のトリメタジジンの分子量は266.33で、二塩酸塩の水への溶解度は1000mg/ml を超える。このため、16時間以上に渡る活性成分の放出を制御するマトリックス錠剤を得ることは非常に難しかった。この問題は、本発明に記載されるリザーバー系の使用により解決された。
0017
活性成分を比較的透過するフィルムの調製を可能にする、水不溶性ポリマー(例えばエチルセルロース又はポリメタクリレート)と可塑剤との組合せが、トリメタジジン二塩酸塩の均一な放出を得ることを可能にすると思われた。
0018
ポリメタクリレートフィルム(商品名:オイドラギットRS(Eudragit RS))の透過性に及ぼす可塑剤の影響が、塩酸フェニルプロパノールアミンで測定され、K. Lehman の「Aqueous polymeric coatings for pharmaceutical dosage forms Ed. J.W. McGinity, Marcel Dekker,Inc., NY, 1989, P.205」に記載されている。K. Lehman により得られた結果は、下記の表に整理した。
0019
0020
トリメタジジン二塩酸塩の非常に高い溶解性と上記の表に示される結果を考慮すれば、最も低い透過性を与える可塑剤を使用することが賢明であると思われた。ところが驚くべきことに、最善の結果はクエン酸アセチルトリブチルで得られた。
0021
実際、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリエチル又はトリアセチンのような可塑剤の使用は、4時間程もある非常に長い遅延時間(lag time)をもたらすが、この時間の終了時には放出はクエン酸アセチルトリブチルを用いた場合よりはるかに急速である。これらの結果は図1に示した。
0022
トリメタジジンを用いようとする冠状動脈疾患の治療には、患者に迅速で効果的な治療を提供することができるよう、患者への剤型の投与後すぐに活性成分の放出が開始されることが非常に重要であった。従って1時間を越える遅延時間は、本発明が克服することができた悪条件であった。更に、相対的に一定の血漿レベルを得ることを目的とするならば、活性成分の徐々の放出が必須である。
0023
本発明に記載される薬学的組成物は、特にリザーバー錠剤又はリザーバー微小顆粒剤の形で与えられる。
0024
剤型の製造の原理
リザーバー錠剤の製造の原理
錠剤は、数工程で調製される。
0025
最初に、成分の予備的な混合により、最終のトリメタジジン二塩酸塩投薬用量の均一性を得ることが可能になる。次に顆粒化段階により、最初の粉末混合物を稠密化させ得る。この凝塊形成は、水性又は水性−アルコール性溶媒に可溶性の結合剤の助けにより達成される。次に潤滑化段階により、錠剤を製造する機械の正確な運転を可能にする。
0026
錠剤の調製後、活性成分の拡散を保証してそして放出の動力学を制御するために選ばれたポリマーの、溶液又は懸濁液によって、錠剤は被覆される。ポリマー性フィルムにより錠剤の優れた被覆を達成するために、この工程で可塑剤が使用される。
0027
リザーバー微小顆粒剤の製造の原理
押し出し成形と球形化(spheronization)の技術を利用する方法か、又は中性の核上に活性成分を積層する(mounting)技術を利用する方法のいずれかである2つの方法により、微小顆粒剤は調製され得る。
0028
a押し出し成形と球形化による微小顆粒剤の製造
この方法では、トリメタジジン二塩酸塩と補助の賦形剤を含有する湿った塊体が、穴あき格子を通して押し出される。次に楕円柱の形で得られたこの生成物は、歯の付いたプレート球形化機(toothed plate spheronizer )によって球形化される。続いてこうして得られた微小顆粒剤は、換気装置のあるオーブンか、又は流動床で乾燥される。
0029
b中性の核上に活性成分を積層することによる微小顆粒剤の製造
この方法では、穴あきか穴あきでないコーティング・タービン(coating turbine)、又は流動床装置によって、活性成分の連続する層によって中性の核が被覆される。水性又は有機性の、溶液又は懸濁液の形で調製された活性成分は、中性の核上に噴霧され、次に例えば熱空気で乾燥される。
0030
c微小顆粒剤の被覆
上記のどちらかの方法で調製された微小顆粒剤は、続いて穴あきか穴あきでないコーティング・タービン、又は流動床装置で被覆される。この微小顆粒剤は、活性成分の拡散を保証してそして放出の動力学を制御するために選ばれた、ポリマーの溶液又は懸濁液によって被覆される。ポリマー性フィルムにより微小顆粒剤の優れた被覆を達成するために、この工程で可塑剤が使用される。
0031
以下の実施例は、本発明を説明するものであっていかなる意味でも制限するものではない。
0032
錠剤
持続的放出型錠剤の調製は以下の方法で行った:
工程A
トリメタジジン二塩酸塩、希釈剤、及び結合剤として作用するポリビドン(ポリビニルピロリドン)を混合して、次に水性又は水性−アルコール性溶液によって湿らせた。次にこの湿った塊体を顆粒化し、乾燥させて、次にその物理的特性が高速打錠機の鋳型に充填可能な顆粒を得るために一定の大きさにした。
工程B
工程Aで得られた顆粒をコロイド状シリカ及び/又はステアリン酸マグネシウムで潤滑化した。
工程C
工程Bで得られた潤滑化混合物を交互式(alternating)又は回転式打錠機で錠剤化した。
工程D
工程Cで得られた錠剤を、活性成分の拡散を保証するポリマーの水性又は有機性の、溶液又は懸濁液によって被覆した。この溶液又は懸濁液には可塑剤を含有させることもあった。コーティング・タービン又は流動床装置でこの被覆を行った。
0033
実施例1:工程AからCに記載した操作方法により、表2に示した処方を使用して持続的放出型錠剤(PR1)を調製した。
0034
0035
次に、穴あきタービンで、可塑剤として使用されるクエン酸アセチルトリブチルを含有するエチルセルロースのアルコール性溶液によって、この錠剤を被覆した。この剤型(PR1)のインビトロの溶解グラフを図2に表した。
0037
実施例2:上述の方法に従い、表2に記載した処方で持続的放出型錠剤(PR2)を得た。次に、穴あきタービン(Manesty type Accela Cota 10 )で、可塑剤として使用されるセバシン酸ジブチルを含有するエチルセルロースの水性懸濁液(アクアコート(商品名:Aquacoat))によって、この錠剤を被覆した。この剤型(PR2)のインビトロの溶解グラフを図3に示した。
0038
このPR2剤型では、活性成分のインビトロでの溶解の動力学的遅延時間が1時間未満であった。放出の速度はこの実施例では高かった。有機性溶液の代わりにエチルセルロースの水性懸濁液を使用することにより、少々異なる放出グラフを得ることが可能となった。
0039
微小顆粒剤:持続的放出型微小顆粒剤の調製は、2つの方法により行った:
0040
押し出し成形と球形化の方法
工程A
トリメタジジン二塩酸塩を微結晶セルロースと混合して、次に精製水によって湿らせた。次にこの湿った塊体を顆粒化して、続いて押し出し機によって押し出した。次いでこの押し出し成形物を球形化して乾燥させた。
工程B
コーティング・タービン又は流動床装置で、ポリマーの有機性溶液又は水性懸濁液(可塑剤も含有してもよい)によって、工程Aで得られる微小顆粒剤を被覆した。
工程C
被覆された微小顆粒剤をゼラチンカプセルに詰めた。
0041
積層に基づく方法:
工程A
活性成分の水溶液(ポリビドン又はメチルヒドロキシプロピルセルロースのような結合剤を含有してもよい)によって、例えば蔗糖、又は蔗糖とデンプン、又は微結晶セルロースからなる中性の細顆粒を被覆した。この被覆はコーティング・タービン又は流動床装置で行った。
工程B
この工程Bは、押し出し成形と球形化に基づく方法の工程Bと同一であった。
工程C
被覆された微小顆粒剤をゼラチンカプセルに詰めた。
0042
実施例3:押し出し成形と球形化に基づく操作方法により、表3に示した処方を使用して持続的放出型微小顆粒剤(PR3)を含有するゼラチンカプセルを調製した。
0043
0044
可塑剤として使用されるクエン酸アセチルトリブチルを追加したエチルセルロース(活性成分の放出を制御するポリマー)のアルコール性溶液で、工程Aで得られた微小顆粒剤を被覆した。
0045
この剤型(PR3)のインビトロの溶解グラフは、図4に示した。
0047
実施例4:積層に基づく操作方法により、表4に示した処方を使用して持続的放出型微小顆粒剤(PR4)を含有するゼラチンカプセルを調製した。
0048
0049
工程Aで得られた微小顆粒剤を、クエン酸アセチルトリブチルを追加したエチルセルロースのアルコール性溶液で被覆した。
0051
実施例5:PR3型ゼラチンカプセル(実施例3)について記載した方法を使用し、エチルセルロースのアルコール性溶液による被覆を、エチルセルロースの水性懸濁液(アクアコート)による被覆に置き換えて、PR5ゼラチンカプセルを調製した。インビトロのこれの溶解グラフを図7に示した。
0052
遅延時間は存在しなかった。インビトロの溶解の動力学は、4時間以降直線であった。
0053
実施例6:PR4ゼラチンカプセルについて記載した方法を使用して、エチルセルロースのアルコール性溶液による被覆を、ポリメタクリレート(オイドラギット)の水性分散液による被覆に置き換えて、PR6型ゼラチンカプセルを調製した。インビトロのこれの溶解グラフを図8に示した。
0054
このように、オイドラギットの水性懸濁液によって被覆した場合は、遅延時間がなかった。活性成分のインビトロの放出の動力学は、12時間にわたって実質的に直線であった。
図面の簡単な説明
0055
図1インビトロでの溶解度に与える各可塑剤の影響を示す図である。
図2インビトロでのPR1剤型の溶解度を経時的に示す図である。
図3インビトロでのPR2剤型の溶解度を経時的に示す図である。
図4インビトロでのPR3剤型の溶解度を経時的に示す図である。
図5インビボでの、PR3ゼラチンカプセル投与後及び即時放出型錠剤投与後の経時的血漿濃度の比較図である。
図6インビトロでのPR4剤型の溶解度を経時的に示す図である。
図7インビトロでのPR5剤型の溶解度を経時的に示す図である。
図8インビトロでのPR6剤型の溶解度を経時的に示す図である。
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0056
1R即時放出型トリメタジジン錠剤
PR3持続的放出型のトリメタジジンPR3ゼラチンカプセル
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