図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(1995年9月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

目的

排気ガス再循環の実行及び停止によらず、学習値を用いた噴射量の補正を常に適正に行い、特に排気再循環が行われず空燃比補正量を用いた噴射量補正が行われないときに排気ガス中の特定成分許容値を越えるのを防止する。

構成

電子制御装置(ECU)41 は、エンジン1の運転状態が排気ガスの再循環(EGR)実行領域内ならばEGR弁29にてEGR通路28を開放させる。ECU41は各種センサ検出値に基づき燃料噴射弁19からの噴射量を算出する。ECU41は空燃比フィードバック補正係数と、エンジン1 の運転領域毎に記憶・更新された学習値とにより噴射量を補正する。エンジン1 の運転領域がEGR実行領域から外れ、かつ補正係数を用いた噴射量補正が停止されるとき、学習値が噴射量に反映されることにより排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値で学習値を制限する。

概要

背景

従来、一般的な内燃機関では、吸気通路を流れる空気に燃料噴射弁から燃料噴射されて混合気が生成される。この混合気は、点火プラグにより点火されて燃焼室燃焼される。燃焼により生じたガス排気ガス)は、排気通路触媒浄化された後、機関外部へ排出される。

上記内燃機関においては、燃料噴射弁による燃料噴射電子制御装置によって制御される。この燃料噴射制御に際しては、機関の運転状態に基づき噴射量が演算され、その噴射量が空燃比補正量学習値によって補正される。そして、補正後の噴射量となるように燃料噴射弁が駆動制御される。

空燃比補正量は、混合気の空燃比理論空燃比等の所定値収束させるためのものであり、排気通路の酸素センサ検出値に基づき決定される。空燃比は、混合気中の空気と燃料の重量比であり、理論空燃比は、燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比である。

また、学習値は内燃機関間のばらつき、経時変化使用環境条件等に起因する空燃比のばらつきに対処するためのものである。学習値は内燃機関の運転領域毎に設定されており、これらの学習値は電子制御装置のメモリに記憶されている。そして、酸素センサによる空燃比が予め定めた範囲から外れたとき、そのときの運転状態に対応する運転領域の学習値が書換えられる。所定の学習条件を満たしている場合にも学習値は書換えられる。そして、そのときの内燃機関の運転状態に対応した学習値が選択され、噴射量の補正に用いられる。これらの空燃比補正量や学習値を用いた噴射量の補正は、内燃機関の冷却水温が所定値以上のときに行われる。

一方、例えばガソリンを燃料とした内燃機関においては、排気ガス中に含まれる酸化窒素(NOx)を低減するために、排気ガス再循環装置が搭載される場合がある。この装置は、排気通路及び吸気通路間を連通させる排気ガス再循環通路と、その通路に設けられた流量制御弁とからなる。排気ガス再循環装置においては、そのときの内燃機関の運転状態が再循環実行領域内ならば、流量制御弁によって排気ガス再循環通路が開放される。この開放により排気ガスの一部が吸気通路へ戻されると、混合気の燃焼温度下げられ、NOxの発生が抑制される。

上記再循環実行領域は、図10で示すように、内燃機関の冷却水温が所定値(例えば50℃)以上であり、かつ内燃機関の機関回転速度機関負荷とによって規定される領域のうちの一部である。図10において、再循環実行領域を除いた部分(高負荷かつ高回転の部分等)や、図11で示すように、冷却水温が所定値よりも低い領域の全域は再循環停止領域となっている。

上記の排気ガス再循環装置を備え、かつ噴射量が空燃比補正量や学習値によって補正される内燃機関では、その学習値が、排気ガス再循環の実行時に書換えられたものであることから、そのときの内燃機関の運転状態が再循環実行領域内ならば、噴射量は学習値によって適正に補正される。そのため、補正によって得られた噴射量に基づき燃料噴射弁が制御されると、混合気の空燃比が理論空燃比に収束される。

しかし、冷却水温が所定値よりも低く排気再循環が停止されているときにも、上記と同様にして学習値が噴射量の補正に用いられると、場合によっては、噴射量が過剰に増量補正されたり減量補正されたりすることがある。このときには空燃比補正量を用いた噴射量の補正が行われないことから、特に、過剰な増量補正が行われた場合には、排気ガス中の特定成分炭化水素HC、一酸化炭素CO等)が増加してしまう。

上記の問題に対処する関連技術として、例えば特開平4−1439号公報に開示された「内燃機関の空燃比制御装置」がある。この技術では、排気ガス再循環の実行時と停止時とで異なる制御マップを用い、独立に学習値を書換えている。そして、排気ガス再循環の有無に応じて異なる学習値を用いて噴射量を補正するようにしている。

概要

排気ガス再循環の実行及び停止によらず、学習値を用いた噴射量の補正を常に適正に行い、特に排気再循環が行われず空燃比補正量を用いた噴射量補正が行われないときに排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止する。

電子制御装置(ECU)41 は、エンジン1の運転状態が排気ガスの再循環(EGR)実行領域内ならばEGR弁29にてEGR通路28を開放させる。ECU41は各種センサの検出値に基づき燃料噴射弁19からの噴射量を算出する。ECU41は空燃比フィードバック補正係数と、エンジン1 の運転領域毎に記憶・更新された学習値とにより噴射量を補正する。エンジン1 の運転領域がEGR実行領域から外れ、かつ補正係数を用いた噴射量補正が停止されるとき、学習値が噴射量に反映されることにより排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値で学習値を制限する。

目的

本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気ガス再循環の実行及び停止にかかわらず、学習値を用いた噴射量の補正を常に適正に行うことができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

内燃機関燃焼室に連通する吸気通路に設けられた燃料噴射弁と、前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段の検出値に応じた燃料噴射弁からの噴射量を算出する噴射量算出手段と、前記噴射量算出手段による噴射量となるように前記燃料噴射弁を駆動制御する噴射制御手段と、前記燃焼室から排出された排気ガスの一部を前記吸気通路へ導くための排気ガス再循環通路に設けられた流量制御弁と、前記運転状態検出手段の検出値に基づき、そのときの内燃機関の運転状態が再循環実行領域内ならば、前記流量制御弁を制御して排気ガス再循環通路を開放させ、運転状態が再循環実行領域から外れると、前記流量制御弁を制御して排気ガス再循環通路を閉塞させる排気再循環制御手段と、前記内燃機関の空燃比を検出するための空燃比検出手段と、前記空燃比検出手段の検出値に応じて、前記混合気の空燃比を所定値収束させるための空燃比補正量を算出する空燃比補正量算出手段と、前記空燃比補正量算出手段による空燃比補正量に基づき噴射量算出手段による噴射量を補正する第1の噴射量補正手段と、前記内燃機関の運転領域毎学習値を予め記憶した学習値記憶手段と、前記空燃比検出手段による空燃比が予め定めた範囲から外れたとき、そのときの運転状態に対応する前記学習値記憶手段の運転領域の学習値を書換える学習値書換え手段と、前記内燃機関の運転状態が再循環実行領域から外れ、かつ、前記第1の噴射量補正手段による空燃比補正量を用いた噴射量の補正が停止されるときには、学習値が噴射量に反映されることにより排気ガス中の特定成分許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値と学習値記憶手段の学習値とを比較し、学習値が学習上限値よりも大きいとき、その学習値を学習上限値に強制的に変更する学習値変更手段と、前記運転状態検出手段によるそのときの内燃機関の運転状態に対応した前記学習値記憶手段の学習値を用いて噴射量算出手段の噴射量を補正する第2の噴射量補正手段とを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置

請求項2

大気圧の変化を検出する大気圧検出手段と、前記大気圧検出手段による大気圧の低下にともない、前記学習値変更手段の学習上限値を小さくする学習上限値変更手段とを設けた請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。

技術分野

0001

本発明は、燃焼室から排出された排気ガスの一部を吸気通路に戻すようにした内燃機関において、燃料噴射弁を制御して所望の量の燃料を燃焼室へ供給するようにした燃料噴射制御装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、一般的な内燃機関では、吸気通路を流れる空気に燃料噴射弁から燃料が噴射されて混合気が生成される。この混合気は、点火プラグにより点火されて燃焼室で燃焼される。燃焼により生じたガス(排気ガス)は、排気通路触媒浄化された後、機関外部へ排出される。

0003

上記内燃機関においては、燃料噴射弁による燃料噴射電子制御装置によって制御される。この燃料噴射制御に際しては、機関の運転状態に基づき噴射量が演算され、その噴射量が空燃比補正量学習値によって補正される。そして、補正後の噴射量となるように燃料噴射弁が駆動制御される。

0004

空燃比補正量は、混合気の空燃比理論空燃比等の所定値収束させるためのものであり、排気通路の酸素センサ検出値に基づき決定される。空燃比は、混合気中の空気と燃料の重量比であり、理論空燃比は、燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比である。

0005

また、学習値は内燃機関間のばらつき、経時変化使用環境条件等に起因する空燃比のばらつきに対処するためのものである。学習値は内燃機関の運転領域毎に設定されており、これらの学習値は電子制御装置のメモリに記憶されている。そして、酸素センサによる空燃比が予め定めた範囲から外れたとき、そのときの運転状態に対応する運転領域の学習値が書換えられる。所定の学習条件を満たしている場合にも学習値は書換えられる。そして、そのときの内燃機関の運転状態に対応した学習値が選択され、噴射量の補正に用いられる。これらの空燃比補正量や学習値を用いた噴射量の補正は、内燃機関の冷却水温が所定値以上のときに行われる。

0006

一方、例えばガソリンを燃料とした内燃機関においては、排気ガス中に含まれる酸化窒素(NOx)を低減するために、排気ガス再循環装置が搭載される場合がある。この装置は、排気通路及び吸気通路間を連通させる排気ガス再循環通路と、その通路に設けられた流量制御弁とからなる。排気ガス再循環装置においては、そのときの内燃機関の運転状態が再循環実行領域内ならば、流量制御弁によって排気ガス再循環通路が開放される。この開放により排気ガスの一部が吸気通路へ戻されると、混合気の燃焼温度下げられ、NOxの発生が抑制される。

0007

上記再循環実行領域は、図10で示すように、内燃機関の冷却水温が所定値(例えば50℃)以上であり、かつ内燃機関の機関回転速度機関負荷とによって規定される領域のうちの一部である。図10において、再循環実行領域を除いた部分(高負荷かつ高回転の部分等)や、図11で示すように、冷却水温が所定値よりも低い領域の全域は再循環停止領域となっている。

0008

上記の排気ガス再循環装置を備え、かつ噴射量が空燃比補正量や学習値によって補正される内燃機関では、その学習値が、排気ガス再循環の実行時に書換えられたものであることから、そのときの内燃機関の運転状態が再循環実行領域内ならば、噴射量は学習値によって適正に補正される。そのため、補正によって得られた噴射量に基づき燃料噴射弁が制御されると、混合気の空燃比が理論空燃比に収束される。

0009

しかし、冷却水温が所定値よりも低く排気再循環が停止されているときにも、上記と同様にして学習値が噴射量の補正に用いられると、場合によっては、噴射量が過剰に増量補正されたり減量補正されたりすることがある。このときには空燃比補正量を用いた噴射量の補正が行われないことから、特に、過剰な増量補正が行われた場合には、排気ガス中の特定成分炭化水素HC、一酸化炭素CO等)が増加してしまう。

0010

上記の問題に対処する関連技術として、例えば特開平4−1439号公報に開示された「内燃機関の空燃比制御装置」がある。この技術では、排気ガス再循環の実行時と停止時とで異なる制御マップを用い、独立に学習値を書換えている。そして、排気ガス再循環の有無に応じて異なる学習値を用いて噴射量を補正するようにしている。

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、上記公報の技術では学習値が書換えられる運転領域は、再循環実行領域を含んでいる。そのため、図10の再循環停止領域では再循環停止時のための学習値の書換えができるものの、再循環実行領域では再循環停止時のための学習値の書換えができない。その結果、冷却水温が所定値よりも低くなって排気再循環が停止されたとき、図11において二点鎖線で囲まれる領域では、学習値を用いて噴射量を補正することが困難である。

0012

本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気ガス再循環の実行及び停止にかかわらず、学習値を用いた噴射量の補正を常に適正に行うことができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するために請求項1に記載の第1の発明は、図1実線で示すように、内燃機関M1の燃焼室M2に連通する吸気通路M3に設けられた燃料噴射弁M4と、前記内燃機関M1の運転状態を検出するための運転状態検出手段M5と、前記運転状態検出手段M5の検出値に応じた燃料噴射弁M4からの噴射量を算出する噴射量算出手段M6と、前記噴射量算出手段M6による噴射量となるように前記燃料噴射弁M4を駆動制御する噴射制御手段M7と、前記燃焼室M2から排出された排気ガスの一部を前記吸気通路M3へ導くための排気ガス再循環通路M8に設けられた流量制御弁M9と、前記運転状態検出手段M5の検出値に基づき、そのときの内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域内ならば、前記流量制御弁M9を制御して排気ガス再循環通路M8を開放させ、運転状態が再循環実行領域から外れると、前記流量制御弁M9を制御して排気ガス再循環通路M8を閉塞させる排気再循環制御手段M10と、前記内燃機関の空燃比を検出するための空燃比検出手段M11と、前記空燃比検出手段M11の検出値に応じて、前記混合気の空燃比を所定値に収束させるための空燃比補正量を算出する空燃比補正量算出手段M12と、前記空燃比補正量算出手段M12による空燃比補正量に基づき噴射量算出手段M6による噴射量を補正する第1の噴射量補正手段M13と、前記内燃機関M1の運転領域毎に学習値を予め記憶した学習値記憶手段M14と、前記空燃比検出手段M11による空燃比が予め定めた範囲から外れたとき、そのときの運転状態に対応する前記学習値記憶手段M14の運転領域の学習値を書換える学習値書換え手段M15と、前記内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域から外れ、かつ、前記第1の噴射量補正手段M13による空燃比補正量を用いた噴射量の補正が停止されるときには、学習値が噴射量に反映されることにより排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値と学習値記憶手段M14の学習値とを比較し、学習値が学習上限値よりも大きいとき、その学習値を学習上限値に強制的に変更する学習値変更手段M16と、前記運転状態検出手段M5によるそのときの内燃機関M1の運転状態に対応した前記学習値記憶手段M14の学習値を用いて噴射量算出手段M6の噴射量を補正する第2の噴射量補正手段M17とを備えている。

0014

請求項2に記載の第2の発明は、第1の発明の構成に加え、図1において二点鎖線で示すように、大気圧の変化を検出する大気圧検出手段M18と、前記大気圧検出手段M18による大気圧の低下にともない、前記学習値変更手段M16の学習上限値を小さくする学習上限値変更手段M19とを設けている。

0015

第1の発明においては、噴射量算出手段M6は、運転状態検出手段M5によって検出された内燃機関M1の運転状態に応じた噴射量を算出する。噴射制御手段M7は、算出された噴射量が得られるように燃料噴射弁M4を駆動制御する。すると、燃料噴射弁M4から燃料が噴射され、その燃料は吸気通路M3を流れる空気と混ざり合って混合気となる。混合気は燃焼室M2に取り込まれた後、燃焼されて燃焼室M2から排出される。

0016

また、排気再循環制御手段M10は、そのときの内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域内ならば、流量制御弁M9を制御して排気ガス再循環通路M8を開放させる。すると、燃焼室M2から排出された排気ガスの一部が吸気通路M3へ導かれる。この排気ガスは大部分が不活性なガスなので混合気の燃焼温度が下げられ、排気ガス中の特定成分の発生が抑制される。排気再循環制御手段M10は、運転状態が再循環実行領域から外れると、流量制御弁M9を制御して排気ガス再循環通路M8を閉塞させる。

0017

さらに、空燃比補正量算出手段M12は、空燃比検出手段M11によって検出された空燃比に応じて、その空燃比を所定値に収束させるための空燃比補正量を算出する。この所定値としては、例えば燃料を完全に酸化させるのに必要な酸素量を過不足なく含んだ混合気の空燃比(理論空燃比)が採用される。第1の噴射量補正手段M13は、算出された空燃比補正量に基づき噴射量算出手段M6の噴射量を補正する。補正後の噴射量が得られるように、噴射制御手段M7によって燃料噴射弁M4が駆動制御されると、空燃比は理論空燃比等の所定値に収束される。

0018

学習値書換え手段M15は、空燃比が所定の範囲から外れると、そのときの運転状態に対応する学習値記憶手段M14の運転領域の学習値を書換える。また、学習値変更手段M16は、内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域から外れ、かつ、第1の噴射量補正手段M13による空燃比補正量を用いた噴射量の補正が停止されるとき、以下のようにして学習値記憶手段M14の学習値に制限を加える。すなわち、学習値変更手段M16は、学習値が噴射量に反映されることにより排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値と学習値記憶手段M14の学習値とを比較する。学習値変更手段M16は、学習値が学習上限値以下のときにはその学習値をそのまま用い、学習値が学習上限値よりも大きいときにはその学習値を学習上限値に強制的に変更する。

0019

そして、第2の噴射量補正手段M17は、運転状態検出手段M5によるそのときの内燃機関M1の運転状態に対応した学習値記憶手段M14の学習値を用いて、噴射量算出手段M6の噴射量を補正する。補正後の噴射量が得られるように、噴射制御手段M7は燃料噴射弁M4を駆動制御する。

0020

従って、内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域に属しているときや、第1の噴射量補正手段M13により空燃比補正量を用いた噴射量の補正が行われているときには、学習値書換え手段M15によって書換えられた学習値が、そのまま噴射量の補正に用いられる。すると、前記学習値が、排気ガス再循環の実行時に書換えられた値であることから、噴射量は学習値によって適正に補正される。そのため、補正後の噴射量に基づき燃料噴射弁M4が制御されると、混合気の空燃比が理論空燃比等の所定値に収束される。

0021

また、内燃機関M1の運転状態が再循環実行領域から外れ、かつ、第1の噴射量補正手段M13による空燃比補正量を用いた噴射量の補正が停止されているときには、学習値が学習上限値以下であれば、その学習値が噴射量の補正にそのまま用いられ、学習値が学習上限値より大きければ、学習上限値が噴射量の補正のための学習値として用いられる。そのため、空燃比補正量を用いた噴射量の補正が行われないにもかかわらず、学習値によって噴射量が過剰に増量補正されることがない。

0022

ところで、平地より海抜の高い地点では大気圧が低下し、排気ガスの再循環量が減少する。このため、平地と同様の学習値を用いた場合、噴射量が過剰に増量補正されるおそれがある。これに対し、第2の発明においては、学習上限値変更手段M19は大気圧検出手段M18によって検出された大気圧の低下にともない、学習値変更手段M16での学習上限値を小さな値に変更する。従って、排気ガスの再循環量の減少に起因する学習値の上昇は、学習上限値の変更により相殺される。

0023

以下、第1及び第2の発明を具体化した一実施例を図2図9に従って説明する。

0024

図2は、車両に搭載された内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)1の概略構成図である。エンジン1のシリンダブロック1aには、紙面の厚み方向へ向けて複数のシリンダ(図では1つのみ図示)2が並設されている。各シリンダ2内にはピストン3が上下方向への往復動可能に収容されている。ピストン3はコネクティングロッド4によってクランクシャフト5に連結されている。

0025

ピストン3の上方には燃焼室6が形成され、ここに吸気通路7及び排気通路8が連通している。燃焼室6と吸気通路7との連通部分吸気ポート9となっている。吸気ポート9は、シリンダヘッド1bに取付けられた吸気弁11によって開放及び閉塞される。また、燃焼室6と排気通路8との連通部分は排気ポート10となっている。排気ポート10は、シリンダヘッド1bに取付けられた排気弁12によって開放及び閉塞される。

0026

前記吸気通路7には、上流側から燃焼室6へ向けて順に、エアクリーナ13、スロットルボディ14、サージタンク15、吸気マニホルド16が配設されており、これらを介してエンジン1の外部の空気が燃焼室6に取り込まれる。スロットルボディ14内には、スロットル弁17が軸18により一体回動可能に支持されている。軸18はケーブル等によってアクセルペダル(図示しない)に連結されている。そして、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれると、その踏み込み動作がケーブル等を介して軸18に伝達され、スロットル弁17が軸18と一体で回動する。スロットル弁17の回動角に応じて吸気通路7の流路面積が変化し、その吸気通路7を流れる空気の量が調節される。サージタンク15は、吸入空気脈動平滑化させたり、各気筒吸気干渉を防止するためのタンクである。

0027

吸気マニホルド16には、各気筒に燃料を供給するための電磁式の燃料噴射弁19が取付けられている。燃料噴射弁19はニードルバルブソレノイドコイル等を備え、そのソレノイドコイルが通電されることによりニードルバルブが移動して、噴射口が開かれる。噴射口の開放にともない高圧の燃料が噴射される。そして、各燃料噴射弁19から噴射される燃料と吸気通路7内へ導入された空気とからなる混合気は、吸気弁11の開かれる際に吸気ポート9を通じて燃焼室6内へ導入される。

0028

燃焼室6に導入された混合気に着火するために、半導体点火方式点火装置20が設けられている。この点火装置20はイグナイタ21、イグニションコイル22、ディストリビュータ23及び気筒毎の点火プラグ24を備えている。

0029

イグナイタ21は外部(後記する電子制御装置)からの点火信号に基づきイグニションコイル22の一次側コイルへの通電を許容あるいは遮断する。一次側コイルへの通電が遮断されると、イグニションコイル22の二次側コイルに高圧の二次電圧が発生する。この二次電圧は、ディストリビュータ23によって気筒毎の点火プラグ24に分配される。すると、プラグ24の電極間電流が流れ(放電が起こり)、火花が発生する。

0030

燃焼室6内へ導入された混合気は、点火プラグ24の点火によって燃焼される。この燃焼によりピストン3が作動し、その往復運動がコネクティングロッド4によって回転運動に変換され、クランクシャフト5が回転駆動される。燃焼室6内での燃焼により生じたガス(排気ガス)は、排気弁12が開かれる際に排気ポート10から排気通路8へ導出される。

0031

排気通路8には、燃焼室6から下流側へ向けて順に排気マニホルド25、触媒コンバータ26が配設されており、これらを通じて排気ガスがエンジン1の外部へ排出される。触媒コンバータ26は、排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、酸化窒素(NOx)を触媒の作用で浄化させる装置である。

0032

エンジン1には、排気通路8内の排気ガスの一部を吸気通路7へ戻して排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)を行うための排気ガス再循環装置(EGR装置)27が設けられている。EGR装置27は、燃焼室6を迂回した状態で排気通路8及び吸気通路7間を連通させる排気ガス再循環通路(EGR通路)28と、その通路28の途中に配設された流量制御弁としてのEGR弁29とからなる。

0033

EGR弁29は、ステップモータ31と、そのロータ31aの先端に取付けられた弁体31bとを備えている。このEGR弁29では、パルス信号に応じてステップモータ31のロータ31aが回転し、その回転により弁体31bのリフト量が変化する。この変化に応じてEGR通路28の流路面積が変化し、吸気通路7へ戻される排気ガスの流量が調整される。

0034

前記エンジン1の運転状態やその周囲の状態を検出するために、以下の各種センサが用いられている。吸気通路7においてエアクリーナ13の近傍には、同通路7を流れる空気の温度(吸気温HA)を検出するための吸気温センサ32が取付けられている。スロットルボディ14にはスロットルセンサ33が取付けられている。このセンサ33は、スロットル弁17が吸気通路7を閉塞したときアイドル信号を出力する。また、スロットルセンサ33は、スロットル弁17が吸気通路7をわずかでも開放しているときには、そのスロットル弁17の回動角(スロットル開度TA)を検出する。サージタンク15には、真空を基準とした場合の同サージタンク15内の圧力(吸気圧PM)を検出するための半導体式の吸気圧センサ34が取付けられている。

0035

シリンダブロック1aには、エンジン1の冷却水の温度(冷却水温THW)を検出するための水温センサ35が取付けられている。ディストリビュータ23内には、クランクシャフト5の回転速度(エンジン回転速度NE)を検出するための回転速度センサ36と、クランク角基準位置を検出するための基準位置センサ37とが設けられている。回転速度センサ36は、自身の外周に多数の突起を有するタイミングロータと、その外側に配置されたピックアップコイルとからなる。このセンサ36は、クランクシャフト5の回転にともないタイミングロータ上の突起がピックアップコイルの前方を通過する毎に、パルス状の回転速度信号を出力する。基準位置センサ37は、自身の外周に1個の突起を有するタイミングロータと、その外側に配置されたピックアップコイルとからなる。このセンサ37は、クランクシャフト5の回転にともないタイミングロータ上の1個の突起がピックアップコイルの前方を通過する毎に、パルス状の基準位置信号を出力する。

0036

排気マニホルド25には排気ガス中の酸素濃度を検出するための酸素センサ38が取付けられている。酸素センサ38はジルコニア素子白金コーティングして構成されており、図8に示すように酸素の濃度に応じた電圧出力電圧V)を出力する。酸素センサ38は、理論空燃比(14.5)近傍で出力電圧Vが急変する特性を有している。

0037

さらに、車室内には、大気圧(絶対圧)PAを検出するための半導体式の大気圧センサ39が設けられている。上記各種センサ32〜39のうち、吸気圧センサ34及び回転速度センサ36によって運転状態検出手段が構成されている。また、酸素センサ38によって空燃比検出手段の一部が構成され、大気圧センサ39によって大気圧検出手段が構成されている。

0038

車両には、上記センサ32〜39の検出信号に基づき、燃料噴射弁19、イグナイタ21及びEGR弁29の各作動を制御するために、電子制御装置(以下ECUという)41が設けられている。

0039

図3に示すようにECU41は、前記酸素センサ38とともに空燃比検出手段を構成する中央処理装置(以下CPUという)42、読み出し専用メモリ(以下ROMという) 43、ランダムアクセスメモリ(以下RAMという)44、バックアップRAM45、外部入力回路46、外部出力回路47を備え、これらは互いにバス48によって接続されている。ROM43は所定の制御プログラム初期データを予め記憶している。CPU42はその制御プログラム及び初期データに従って各種演算処理を実行する。RAM44はCPU42による演算結果を一時的に記憶する。バックアップRAM45は、ECU41に対する電源供給が停止された後にも、RAM44内の各種データを保持するためにバッテリ(図示しない)によってバックアップされている。

0040

前記吸気温センサ32からの吸気温度信号、スロットルセンサ33からのスロットル開度信号及びアイドル信号、吸気圧センサ34からの吸気圧信号、水温センサ35からの冷却水温信号、回転速度センサ36からの回転速度信号、基準位置センサ37からの基準位置信号、酸素センサ38からの酸素濃度信号、大気圧センサ39からの大気圧信号は外部入力回路46に入力される。CPU42はこれらの信号に基づき、吸気温THA、スロットル開度TA、アイドル信号、吸気圧PM、冷却水温THW、エンジン回転速度NE、クランク角の基準位置、酸素濃度、大気圧PA等を検出する。

0041

一方、CPU42は外部出力回路47を介してイグナイタ21を制御する。すなわち、エンジン1の運転状態に応じた最適な点火時期が予めROM43に記憶されており、CPU42は上記各種センサからの信号によりエンジン1の運転状態を検知し、最適な点火時期を演算する。そして、CPU42は外部出力回路47を介してイグナイタ21へ点火信号を出力し、点火プラグ24の点火時期を制御する。

0042

さて、図4フローチャートはCPU42によって実行される各処理のうち、EGR弁29を駆動制御するためのルーチンを示している。また、図7のフローチャートは燃料噴射弁19から噴射される燃料の量(噴射量)を算出するためのルーチンを示している。ここで、噴射量は、燃料噴射弁19のニードルバルブが開いている時間(噴射時間)、すなわち、ソレノイドコイルへの通電時間によって決定される。そのため、図7のルーチンでは、噴射量として噴射時間TAUが算出されるようになっている。さらに、図9のフローチャートは、図7での噴射時間TAUの算出に際し用いられる、学習値KG0,KGiを更新及び記憶するための学習ルーチンを示している。いずれのルーチンもエンジン1の始動時から停止時までの期間、繰り返し実行される。

0043

図4EGR制御ルーチンにおいては、まずステップ101で、吸気圧PM、エンジン回転速度NE及び冷却水温THWをそれぞれ読み込む。続いて、ステップ102において、読み込んだ値PM,NE,THWに基づき、そのときのエンジン1の運転状態が排気ガスを再循環させるための運転状態であるか否かを判定する。この判定には、ROM43に予め格納された2つのマップが用いられる。図5のマップには、冷却水温THWが所定値α(例えば50℃)以上のときの、再循環実行領域(EGR実行領域)Z1及び再循環停止領域(EGR停止領域)Z2が規定されている。また、図6のマップには、冷却水温THWが所定値αより低いときの再循環停止領域(EGR停止領域)Z3が規定されている。図6から明らかなように、冷却水温THWが所定値αより低いときには、エンジン回転速度NE及び吸気圧PMにかかわらず常にEGRが停止されるようになっている。そして、これらのマップを参照して、そのときのエンジン1の運転状態がいずれの領域Z1〜Z3に属しているかを判断する。

0044

ステップ102でEGR実行領域Z1であると判断すると、ステップ103へ移行し、EGR弁29の目標ステップ数を算出する。この算出には、ROM43に予め格納されているマップ(図示しない)が用いられる。このマップは、エンジン回転速度NE及び吸気圧PMをパラメータとして目標ステップ数を規定したものである。

0045

一方、ステップ102でEGR停止領域Z2,Z3であると判断すると、ステップ104へ移行し、EGR通路28を閉塞するために目標ステップ数を「0」に設定する。

0046

ステップ103又は104で目標ステップ数を決定すると、ステップ105において、その目標ステップ数に応じたパルス信号を、外部出力回路47を介してEGR弁29のステップモータ31に出力する。この信号に応じてステップモータ31のロータ31aが所定角度回転して弁体31bのリフト量が変化し、EGR通路28の流路面積が調整される。その結果、EGR通路28を通って吸気通路7へ戻される排気ガスの流量が調整される。ステップ105の処理を実行すると、このルーチンを一旦終了する。

0047

ここで、上述したEGR制御ルーチンのステップ101〜105の処理は排気再循環制御手段に相当する。次に、図7の噴射時間算出ルーチンについて説明する。まずステップ201において、エンジン回転速度NEに基づき、燃料噴射弁19の噴射時間TAUを算出するタイミングであるか否かを判定する。この計算タイミングでないときには、このルーチンを一旦終了する。

0048

これに対し噴射時間TAUの算出タイミングであるとステップ202へ移行し、次式(1)に従って噴射時間TAUを算出する。
TAU=TP×FEGR×f …(1)
上記式(1)中、TPは、空燃比を理論空燃比にするための基本噴射時間であり、以下のようにして求められる。ROM43には、エンジン回転速度NE及び吸気圧PMをパラメータとして基本噴射時間を規定したマップが予め格納されている。このマップを参照して、そのときのエンジン回転速度NE及び吸気圧PMに対応する基本噴射時間TPを算出する。

0049

また、FEGRは、EGRの実行時に基本噴射時間TPを補正するための補正係数である。すなわち、EGRの実行時には、EGRの停止時に比べ、混合気中に占める空気の割合が少なくなる。そのため、EGR停止時と同じ量の燃料が噴射されると、空燃比が理論空燃比に対し過剰に小さくなってしまう。そこで、このEGR実行時にも、空燃比が理論空燃比となるように、補正係数FEGRを用いて基本噴射時間TPを短く補正するようにしている。この補正係数FEGRの算出に際し、ROM43に予め格納されたマップを用いる。このマップには、エンジン回転速度NE及び吸気圧PMをパラメータとして補正係数FEGRが規定されている。そして、マップを参照し、そのときのエンジン回転速度NE及び吸気圧PMに対応する補正係数FEGRを求め、その値を基本噴射時間TPに乗ずる。従って、補正によって得られた噴射時間TAUは、EGRの影響が考慮されたものとなる。

0050

また、fは各種係数の和や積によって算出される補正係数である。各種係数としては、例えば吸気温、暖機増量、始動後増量、出力増量、空燃比のフィードバック制御等に関するものがある。

0051

吸気温に関する係数は、吸気温による吸入空気の密度の差に起因して生ずる空燃比のずれを補正するためのものであり、吸気温THAに基づき求められる。暖機増量に関する係数は、冷間時の運転性能向上を目的として基本噴射時間TPを長くするためのものであり、吸気温THAに基づき求められる。始動後増量に関する係数は、エンジン1の始動直後のエンジン回転速度NEを安定させるためのものであり、冷却水温THWに基づき求められる。

0052

出力増量に関する係数は、エンジン1や触媒コンバータ26内の触媒が過熱しやすい状態のときに基本噴射時間TPを長く補正するためのものである。この係数を用いた補正により、エンジン1の高負荷時の運転性能が向上し、触媒の温度の上昇が抑制される。出力増量に関する係数は、吸気圧PM、エンジン回転速度NE、スロットル開度TA等に基づき求められる。

0053

空燃比のフィードバック制御に関する係数としては空燃比補正量(フィードバック補正係数FAF)が用いられる。この補正係数FAFは、混合気の空燃比が理論空燃比に収束するように基本噴射時間TPを補正するためのものである。この補正係数FAFを、図7とは別のルーチンにて以下のようにして求める。

0054

図8で示すように、酸素センサ38の出力電圧Vと理論空燃比に対する基準値Vrとを比較し、出力電圧Vが基準値Vrよりも高ければリッチと判断し、基準値Vrよりも低ければリーンと判定する。リッチの場合、前回の検出結果と比較し、リーンからリッチに判定したか否かを判断する。リーンからリッチに反転すると、FAF−RS(RSはスキップ量)を新たな補正係数FAFとするとともに、リーンからリッチに反転がないとFAF−KI(KIは積分量,RS≧KI)を新たな補正係数FAFとする。

0055

また、酸素センサ38からの信号に基づく空燃比がリーンの場合、前回の検出結果と比較し、リッチからリーンに反転したか否かを判断する。リッチからリーンに反転すると、FAF+RSを新たな補正係数FAFとするとともに、リッチからリーンに反転がないとFAF+KIを新たな補正係数FAFとする。従って、空燃比がリッチとリーンとの間で反転すると、補正係数FAFが階段状に変化(スキップ)し、空燃比がリッチ又はリーンのときには補正係数FAFが徐々に増減する。このようにして、酸素センサ38の検出値に応じて空燃比を理論空燃比に収束させるための補正係数FAFが求められる。この補正係数FAFを基本噴射時間TPに乗算する。

0056

なお、空燃比が理論空燃比に制御されているとき、補正係数FAFは「1.0」を中心に変動する。また、温度が低いときには酸素センサ38の検出精度が低下する。この観点から、エンジン1の始動時や始動から十分に時間が経過しておらず冷却水温THWが低いときには、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われない。また、車両の走行性を確保するために、空燃比が理論空燃比よりもリッチに設定されるとき(高負荷・高回転走行時)にも、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われない。

0057

上記のようにして噴射時間TAUを算出すると、図7のステップ203において、スロットルセンサ33からアイドル信号が出力されているか否か、すなわち、スロットル弁17が吸気通路7を閉塞しているか否かを判定する。アイドル信号が出力されていると、エンジン1がアイドル状態にあると判断し、ステップ212へ移行し、アイドル時の学習値KG0を、前記ステップ202で求めた噴射時間TAUに乗算する。その乗算結果を新たな噴射時間TAUとして設定し、このルーチンを一旦終了する。

0058

一方、ステップ203の判定条件成立していないと、エンジン1がアイドル状態にないと判断し、ステップ204において学習値KGiを決定する。より詳しくは、バックアップRAM45には、吸気圧PMの採り得る範囲が「i」個の領域に分けられ、領域毎に学習値KGiが対応付けられて設定されている。例えば、学習値KGiとして、100mmHg≦PM≦200mmHgの領域ではKG1、200mmHg≦PM≦300mmHgの領域ではKG2、300mmHg≦PM≦400mmHgの領域ではKG3、400mmHg≦PM≦500mmHgの領域ではKG4、500mmHg≦PM≦600mmHgの領域ではKG5、を設定することができる。

0059

そして、そのときの吸気圧PMが属している領域を選択し、その領域に対応する学習値KGiを決定する。求められた学習値KGiはおおまかなものであるため、次のステップ205において、前記学習値KGiを補間計算して、そのときの吸気圧PMに対応する学習値KGxを得る。なお、上記学習値KG0,KGiは後述する学習ルーチンで算出され、補正係数FAFがスキップする毎に更新及び記憶される。

0060

続いて、ステップ206において、冷却水温THW、エンジン回転速度NE、吸気圧PMに基づき、エンジン1の運転状態がEGR実行領域Z1に属しているか否かを判定する。この判定条件が成立しているとステップ211へ移行し、成立していないとステップ207へ移行する。

0061

ステップ207において、補正係数FAFを用いた空燃比のフィードバック制御を実行するための条件が成立しているか否かを判定する。この判定にかえて、冷却水温THWが予め定めた値以下であるか否かを判定してもよい。ステップ207の判定条件が成立しているとステップ211へ移行し、成立していないとステップ208へ移行する。

0062

ステップ208において学習上限値KGmax を算出する。この学習上限値KGmax は、学習値KGxが噴射時間TAUに反映されることにより排気ガス中の特定成分(HC,CO)が許容値を越えるのを防止するためのものであり、その許容値に対応した値が設定される。より詳しくは、ROM43には、大気圧PAの採り得る範囲(例えば500〜760mmHg)が複数の領域に分けられ、領域毎に学習上限値KGmax が対応付けられて設定されている。この学習上限値KGmaxは、大気圧PAが低い領域ほど小さな値に設定されている。

0063

そして、大気圧センサ39によって検出された実際の大気圧PAがどの領域に属しているかを判断し、その領域に対応する学習上限値KGmax を補間計算する。この補間計算により、そのときの大気圧PAに対応した学習上限値KGmax が決定される。

0064

次に、ステップ209において、前記ステップ205で求めた学習値KGxが上記学習上限値KGmax 以下であるか否かを判定する。この判定条件が成立しているとステップ211へ移行し、成立していないとステップ210において、その学習上限値KGmax を学習値KGxとして設定し、ステップ211へ移行する。

0065

そして、ステップ206,207,209あるいは210から移行したステップ211において、前記ステップ202で求めた噴射時間TAUに学習値KGxを乗算し、その乗算結果を新たな噴射時間TAUとして設定する。従って、EGR実行領域Z1である場合、空燃比のフィードバック制御中である場合、及び学習値KGxがそのときの大気圧PAに応じた学習上限値KGmax 以下である場合、にはステップ205での学習値KGxがそのままの形で噴射時間TAUの算出に反映される。これに対し、EGR実行領域Z1でなく、かつ空燃比のフィードバック制御が停止されており、かつ学習値KGxがそのときの学習上限値KGmax よりも大きい場合には、学習値KGxが学習上限値KGmax に制限された状態で噴射時間TAUの算出に反映される。

0066

ここで、上記のように学習値KGxに制限を付すのは以下の理由による。仮にEGRが行われておらず、しかも補正係数FAFによる基本噴射時間TPの補正が行われていないときにも、上記と同様にして学習値KGxを用いた基本噴射時間TPの補正が常に行われたとする。すると、場合によっては、噴射時間TAUが過剰に長くなったり短くなったりすることがある。噴射時間TAUが過剰に長くなるのは、適正値よりも大きな学習値KGxが用いられるからである。このような場合としては、例えば、海抜の低い地点(平地)から高い地点(高地)へ移動してEGR量が減少した場合、EGR通路28での異物堆積により所定量の排気ガスが再循環されなかった場合が考えられる。そのほかにも、EGR実行時の噴射量の減量補正のための補正係数FEGRとして、適正値よりも大きな値が設定された場合も考えられる。

0067

このときには補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われないことから、特に、噴射時間TAUが過剰に長くなった場合(過剰な増量補正が行われた場合)には、排気ガス中の特定成分が許容値を越えるおそれがある。そのため、このような不具合を防止するために、学習値KGxが、許容値に対応する学習上限値KGmax よりも大きくならないようにしている。

0068

上記のようにしてステップ211又は212で噴射時間TAUを算出すると、このルーチンを一旦終了する。そして、別のルーチンにて、その噴射時間TAUに応じた駆動信号を外部出力回路47を介して燃料噴射弁19に出力する。この信号に応じ、燃料噴射弁19のソレノイドコイルへの通電時間が制御され、ニードルバルブが開いている時間が調整され、同噴射弁19から所定量の燃料が噴射される。ここで、上記噴射時間算出ルーチンにおいては、エンジン1の運転領域毎に学習値KGiを記憶したバックアップRAM45が学習値記憶手段に相当する。基本噴射時間TPの算出処理が噴射量算出手段に相当する。補正係数FAFの算出処理が空燃比補正量算出手段に相当し、この補正係数FAFを用いた噴射時間TPの補正処理が第1の噴射量補正手段に相当する。また、ステップ206,207,209,210の各処理が学習値変更手段に相当し、燃料噴射弁19への駆動信号の出力処理が噴射制御手段に相当する。さらに、ステップ208の処理が学習上限値変更手段に相当し、ステップ211の処理が第2の噴射量補正手段に相当する。

0069

次に、図9の学習ルーチンについて説明する。まずステップ301で学習条件が成立しているか否かを判定する。この学習条件としては、例えば空燃比のフィードバック制御中で、かつ冷却水温THWが80℃以上であることが挙げられる。

0070

学習条件が成立している場合、ステップ302において、空燃比がリッチとリーンとの間で反転し、補正係数FAFがスキップしたか否かを判定する。スキップしている場合、次のステップ303でスキップ直前の補正係数FAFの値を読み込み、ステップ304で前回のスキップ直前の補正係数FAFとの相加平均値FAFAVを算出する。

0071

続いて、ステップ305で相加平均値FAFAVが「1.01」よりも大きいか否かを判定する。この値「1.01」は、フィードバック制御時の目標空燃比に対応する補正係数FAFの値(目標空燃比が理論空燃比のときは「1.0」)を含む所定範囲の上限値である。

0072

相加平均値FAFAVが「1.01」よりも大きい場合、ステップ306においてスロットルセンサ33からアイドル信号が出力されているか否か、すなわち、スロットル弁17が吸気通路7を閉塞しているか否かを判定する。

0073

アイドル信号が出力されている場合、エンジン1がアイドル状態にあると判断し、ステップ307において、前回のアイドル時の学習値KG0に「0.005」を加算する。その加算結果を新たな学習値KG0として、バックアップRAM45に記憶し、このルーチンを一旦終了する。これに対し、アイドル信号が出力されていない場合、エンジン1がアイドル状態にないと判断し、ステップ308において、前回のフィードバック制御時の学習値KGiに「0.005」を加算する。その加算結果を新たな学習値KGiとしてバックアップRAM45に記憶し、このルーチンを一旦終了する。

0074

また、前記ステップ305で相加平均値FAFAVが上限値「1.01」以下である場合、ステップ309へ移行し、その相加平均値FAFAVが「0.99」未満か否かを判定する。この値「0.99」は、フィードバック制御時の目標空燃比に対応する補正係数FAFの値(目標空燃比が理論空燃比のときは「1.0」)を含む所定範囲の下限値である。相加平均値FAFAVが下限値「0.99」未満の場合、ステップ310においてスロットルセンサ33からアイドル信号が出力されているか否か、すなわち、スロットル弁17が吸気通路7を閉塞しているか否かを判定する。

0075

アイドル信号が出力されている場合、エンジン1がアイドル状態にあると判断し、ステップ211において、前回のアイドル時の学習値KG0から「0.005」を減算する。その減算結果を新たな学習値KG0としてバックアップRAM45に記憶し、このルーチンを一旦終了する。これに対し、アイドル信号が出力されていない場合、エンジン1がアイドル状態にないと判断し、ステップ312において、前回のフィードバック制御時の学習値KGiから「0.005」を減算する。その減算結果を新たな学習値KGiとしてバックアップRAM45に記憶し、このルーチンを一旦終了する。

0076

一方、ステップ309での相加平均値FAFAVが「0.99」以上である場合、すなわち、0.99≦FAFAV≦1.01の場合、学習値KG0,KGiの更新は行わず、そのままこのルーチンを一旦終了する。

0077

また、前記ステップ301の判定条件が成立していない場合、及びステップ301の判定条件が成立していてもステップ302の判定条件が成立していない場合、学習値KG0,KGiの更新は行わず、この学習ルーチンを一旦終了する。

0078

このように、空燃比が目標空燃比よりリーンになっている場合には、相加平均値FAFAVが上限値(「1.01」)を越えるので、学習値KG0,KGiが大きな値に変更される。一方、空燃比が目標空燃比よりリッチになっている場合には、相加平均値FAFAVが下限値(「0.99」)未満となるので、学習値KG0,KGiが小さな値に変更される。そして、この学習値KG0,KGiが図7のステップ211,212で噴射時間TAUに反映される。その結果、相加平均値FAFAVが「0.99」以上で、かつ「1.01」以下の範囲内に入る。

0079

上記した学習ルーチンにおいては、ステップ305〜312の各処理が学習値書換え手段に相当する。このように本実施例では、吸気圧PMの採り得る範囲が複数の領域に分けられ、領域毎に学習値KGiが対応付けられてバックアップRAM45に記憶されている。補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われ、冷却水温THWが所定値α以上であり、補正係数FAFの相加平均値FAFAVが予め定めた範囲(0.99≦FAFAV≦1.01)から外れたときには、そのときの吸気圧PMの属する領域の学習値KGiが書換えられる。

0080

また、エンジン1の運転状態がEGR実行領域Z1から外れ、かつ、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が停止されるとき、学習値KGxに制限が加えられる。すなわち、学習値KGxが基本噴射時間TPに反映されることにより排気ガス中の特定成分(HC,CO等)が許容値を越えるのを防止するべく、その許容値に対応する学習上限値KGmax と学習値KGxとが比較される。学習値KGxが学習上限値KGmax 以下のときにはその学習値KGxがそのまま用いられ、学習値KGxが学習上限値KGmax よりも大きいときにはその学習値KGxが学習上限値KGmax に強制的に変更される。

0081

そして、吸気圧センサ34によるそのときの吸気圧PMに対応した学習値KGxが用いられて、基本噴射時間TPが補正される。補正により得られた噴射時間TAUに基づき燃料噴射弁19が駆動制御される。

0082

従って、エンジン1の運転状態がEGR実行領域Z1に属しているときや、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われているときには、上記のように書換えられた学習値KGxが、そのまま基本噴射時間TPの補正に用いられる。すると、前記学習値KGxが、EGRの実行時に書換えられた値であることから、基本噴射時間TPは学習値KGxによって適正に補正される。そのため、補正後の噴射時間TAUに基づき燃料噴射弁19が制御されると、混合気の空燃比が理論空燃比に収束される。

0083

また、エンジン1の運転状態がEGR実行領域Z1から外れ、かつ、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が停止されているときには、学習値KGxが学習上限値KGmax 以下であれば、その学習値KGxが基本噴射時間TPの補正にそのまま用いられる。学習値KGxが学習上限値KGmax より大きければ、学習上限値KGmax が基本噴射時間TPの補正のための学習値KGxとして用いられる。そのため、補正係数FAFを用いた基本噴射時間TPの補正が行われないにもかかわらず、学習値KGxによって基本噴射時間TPが過剰に増量補正されることがない。

0084

従って、EGRの実行及び停止に応じて独立に学習した学習値を用いて噴射量を補正するようにした従来技術とは異なり、冷却水温THWが所定値αよりも低い領域でも、学習値KGxを用いた噴射量の補正を行うことができる。しかも、その学習値KGxを学習上限値KGmax によって制限したので、排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを確実に防止することができる。

0085

さらに、平地より海抜の高い地点では大気圧PAが低下し、EGR量が減少するため、仮に平地と同様の学習上限値KGmax を用いた場合には、補正により噴射時間TAUが過剰に長くなるおそれがある。これに対し本実施例では、大気圧のPAの低下にともない学習上限値KGmax が小さな値に変更される。従って、EGR量の減少に起因する学習値の上昇は、学習上限値KGmax の変更により相殺される。このため、エンジン1が海抜の異なる地点で運転された場合にも、常に適正な学習上限値KGmax によって学習値を制限し、基本噴射時間TPが過剰に長くなるのを防止できる。

0086

なお、本発明は次のような別の実施例に具体化することができる。
(1)前記実施例では、そのときの大気圧PAに応じて学習上限値KGmax を変更するようにしたが、この処理(図7の噴射時間算出ルーチンのステップ208)を省略してもよい。

0087

(2)燃料噴射量の演算方法を前記実施例以外のものに変更してもよい。例えば、吸気圧PMとエンジン回転速度NEとから、エンジンの1サイクル当たりの吸入空気量を推定し、その値に基づき基本噴射時間を算出するタイプ(スピードデンシティ方式)に変更してもよい。また、スロットル開度TAとエンジン回転速度NEとから、エンジンの1サイクル当たりの吸入空気量を推定し、その値に基づき基本噴射時間を算出するタイプ(スロットルスピード方式)に変更してもよい。

発明の効果

0088

以上詳述したように第1の発明によれば、内燃機関の運転状態が再循環実行領域から外れ、かつ、空燃比補正量を用いた噴射量の補正が停止されるときには、学習上限値と学習値とを比較する。学習値が学習上限値よりも大きいとき、その学習値を学習上限値に強制的に変更する。そして、そのときの内燃機関の運転状態に対応した学習値を用いて噴射量を補正するようにしている。

0089

このため、排気ガス再循環の実行及び停止にかかわらず、学習値を用いた噴射量の補正を常に適正に行うことができる。そして、排気再循環が行われず空燃比補正量を用いた噴射量補正が行われないときに排気ガス中の特定成分が許容値を越えるのを防止できる。

0090

また、第2の発明では大気圧の低下にともない学習上限値を小さくするようにしている。このため、第1の発明の効果に加え、内燃機関が海抜の異なる地点で運転された場合にも、適正な学習上限値で学習値を制限し、噴射量が過剰に増量補正されるのを防止できる。

図面の簡単な説明

0091

図1第1及び第2の発明の概念構成図である。
図2第1及び第2の発明を具体化した一実施例において、エンジン及びその周辺装置を示す概略構成図である。
図3電子制御装置(ECU)の内部構成等を示すブロック図である。
図4CPUによって実行されるEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。
図5冷却水温が所定値以上の場合に、EGR実行領域の判定に用いられるマップを示す特性図である。
図6冷却水温が所定値よりも低い場合に、EGR実行領域の判定に用いられるマップを示す特性図である。
図7CPUによって実行される噴射時間算出ルーチンを示すフローチャートである。
図8酸素センサの出力電圧とフィードバック補正係数との対応関係を示す特性図である。
図9CPUによって実行される学習ルーチンを示すフローチャートである。
図10従来技術において、冷却水温が所定値以上の場合の、再循環実行領域及び再循環停止領域を示す特性図である。
図11従来技術において、冷却水温が所定値よりも低い場合の再循環停止領域を示す特性図である。

--

0092

1…内燃機関としてのガソリンエンジン、6…燃焼室、7…吸気通路、19…燃料噴射弁、28…排気ガス再循環通路としてのEGR通路、29…流量制御弁としてのEGR弁、34…運転状態検出手段の一部を構成する吸気圧センサ、36…運転状態検出手段の一部を構成する回転速度センサ、38…空燃比検出手段の一部を構成する酸素センサ、39…大気圧検出手段としての大気圧センサ、45…学習値記憶手段としてのバックアップRAM、PM…吸気圧、NE…エンジン回転速度、TP…噴射量に相当する基本噴射時間、FAF…空燃比補正量としてのフィードバック補正係数、KG0,KGi,KGx…学習値、KGmax …学習上限値、Z1…EGR実行領域。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ