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技術 ミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法

出願人 森永製菓株式会社
発明者 今井正武桑田五郎村山直子
出願日 1994年2月15日 (27年8ヶ月経過) 出願番号 1994-040558
公開日 1995年8月29日 (26年1ヶ月経過) 公開番号 1995-227215
状態 特許登録済
技術分野 食品の着色及び栄養改善 ペプチド又は蛋白質 食用蛋白質及び食用リン脂質
主要キーワード 多数交互 イミテーション ゲージ内 無機塩溶液 被処理液流 比較材料 食塩量 濃縮大豆蛋白質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年8月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

目的

大豆蛋白質含有原料からフィチン酸及びその塩を効率よく除去して、ミネラル吸収促進効果の高い大豆蛋白質を容易に、高収率にかつ安価に製造する方法を提供する。

構成

大豆蛋白質含有原料に、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩を添加した食塩溶液を加えて大豆蛋白質を抽出し、この抽出液電気透析処理してフィチン酸及びその塩などの成分を除去し、精製する。

概要

背景

現在、日本人の栄養摂取状況は良好で、栄養成分の欠乏症はほとんどないと言われている。しかしながら、毎年行われている国民栄養調査によると、カルシウムだけは、その所要摂取量が充足されないでいる。こうしたカルシウム摂取量不足を補うため、乳製品小魚海藻ホウレンソウ等のカルシウム補給食品の摂取が奨励されており、一方において、各種カルシウム剤や、カルシウム強化食品などの開発が盛んに行われている。

しかしながら、カルシウムをはじめとするミネラルには、一般に難吸収性のものが多いために、単に食品中のミネラルを強化しただけでは、充分なミネラル補給効果が得られない。また、1種類のミネラルだけを強化した食品は、他のミネラルの吸収を拮抗阻害し、却って微量ミネラル欠乏状態を引き起こす虞れがあることが指摘されている(Dairy Council Digest, Vol.60(3) )。

このため、近年、摂取が不足しがちなミネラル、特にカルシウムの吸収を促進させる各種吸収促進剤の開発が行われている。例えば、ホスホセリンを含むアミノ酸数20程度のペプチドであるカゼインホスホペプチドCPP)は、消化管内におけるカルシウムの不溶化を抑制してカルシウムの吸収を促進させることが知られている。

一方、大豆蛋白質は、主として11s、7s、2.8 sなどのグロブリンからなる蛋白質であり、β−カゼインとは異なり、リン酸基を持つホスホセリンはほとんど含まれていない。また、大豆蛋白質には、フィチン酸及びその塩が相当量含まれており、こうしたフィチン酸及びその塩は、ミネラル、特にカルシウムの体内吸収を阻害することが知られている(早川利郎、第1回新県食品バイオテクノロジー懇談会別冊)。このような理由から、これまで大豆蛋白質にはミネラル吸収促進効果はないとされてきた(日本栄養食糧学会紙、45 (4) 333 (1992))。

また、大豆蛋白質から限外濾過膜を用いてフィチン酸及びその塩を0.14%まで除去できたという報告がなされている(Rham and Jost, J.Food Sci. 44 (2) 596 (1979))。しかし、フィチン酸及びその塩を除去した大豆蛋白質がミネラル吸収促進効果を有するという報告はこれまでになされていない。

概要

大豆蛋白質含有原料からフィチン酸及びその塩を効率よく除去して、ミネラル吸収促進効果の高い大豆蛋白質を容易に、高収率にかつ安価に製造する方法を提供する。

大豆蛋白質含有原料に、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩を添加した食塩溶液を加えて大豆蛋白質を抽出し、この抽出液電気透析処理してフィチン酸及びその塩などの成分を除去し、精製する。

目的

上記のように、CPPがカルシウム吸収促進効果を有することが知られているが、CPPはカゼイン中に50分の1程度の量しか含まれていないため、非常に高価であるという問題があった。また、CPPは、アミノ酸数20程度のペプチドであるため、胃液腸液に含まれる蛋白質分解酵素により消化されると、カルシウムの可溶化に必要な分子構造破壊され、目的とする効果が得られないという虞れがあった。

したがって、本発明の目的は、大豆蛋白質含有原料から、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩による沈殿法と、電気透析法とを組み合わせることにより、フィチン酸及びその塩を効率よく除去して、ミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質を容易に、高収率で、かつ安価に製造する方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

大豆蛋白質含有原料に、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩を添加した食塩溶液を加えて大豆蛋白質を抽出する工程と、この抽出液電気透析処理してフィチン酸及びその塩を除去する工程とを含むことを特徴とするミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法

請求項2

前記大豆蛋白質含有原料が、脱脂大豆粉濃縮大豆蛋白質分離大豆蛋白質豆乳から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法。

請求項3

前記食塩溶液は、食塩濃度が7.5 重量%以上で、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩の添加量が前記食塩量に対して0.5 〜2重量%である請求項1又は2記載のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法。

請求項4

前記抽出をpH6〜9の条件下で行う請求項1〜3のいずれか1つに記載のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法。

請求項5

前記抽出液を、分画分子量が5000以下のイオン交換膜又は分子篩膜を用いて電気透析処理する請求項1〜4のいずれか1つに記載のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法。

請求項6

前記フィチン酸及びその塩の含量が0.1 重量%以下になるように除去する請求項1〜5のいずれか1つに記載のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法。

技術分野

0001

本発明は、大豆蛋白質含有原料からフィチン酸及びその塩を効率的に除去して、ミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質を製造する方法に関する。

背景技術

0002

現在、日本人の栄養摂取状況は良好で、栄養成分の欠乏症はほとんどないと言われている。しかしながら、毎年行われている国民栄養調査によると、カルシウムだけは、その所要摂取量が充足されないでいる。こうしたカルシウム摂取量不足を補うため、乳製品小魚海藻ホウレンソウ等のカルシウム補給食品の摂取が奨励されており、一方において、各種カルシウム剤や、カルシウム強化食品などの開発が盛んに行われている。

0003

しかしながら、カルシウムをはじめとするミネラルには、一般に難吸収性のものが多いために、単に食品中のミネラルを強化しただけでは、充分なミネラル補給効果が得られない。また、1種類のミネラルだけを強化した食品は、他のミネラルの吸収を拮抗阻害し、却って微量ミネラル欠乏状態を引き起こす虞れがあることが指摘されている(Dairy Council Digest, Vol.60(3) )。

0004

このため、近年、摂取が不足しがちなミネラル、特にカルシウムの吸収を促進させる各種吸収促進剤の開発が行われている。例えば、ホスホセリンを含むアミノ酸数20程度のペプチドであるカゼインホスホペプチドCPP)は、消化管内におけるカルシウムの不溶化を抑制してカルシウムの吸収を促進させることが知られている。

0005

一方、大豆蛋白質は、主として11s、7s、2.8 sなどのグロブリンからなる蛋白質であり、β−カゼインとは異なり、リン酸基を持つホスホセリンはほとんど含まれていない。また、大豆蛋白質には、フィチン酸及びその塩が相当量含まれており、こうしたフィチン酸及びその塩は、ミネラル、特にカルシウムの体内吸収を阻害することが知られている(早川利郎、第1回新県食品バイオテクノロジー懇談会別冊)。このような理由から、これまで大豆蛋白質にはミネラル吸収促進効果はないとされてきた(日本栄養食糧学会紙、45 (4) 333 (1992))。

0006

また、大豆蛋白質から限外濾過膜を用いてフィチン酸及びその塩を0.14%まで除去できたという報告がなされている(Rham and Jost, J.Food Sci. 44 (2) 596 (1979))。しかし、フィチン酸及びその塩を除去した大豆蛋白質がミネラル吸収促進効果を有するという報告はこれまでになされていない。

発明が解決しようとする課題

0007

上記のように、CPPがカルシウム吸収促進効果を有することが知られているが、CPPはカゼイン中に50分の1程度の量しか含まれていないため、非常に高価であるという問題があった。また、CPPは、アミノ酸数20程度のペプチドであるため、胃液腸液に含まれる蛋白質分解酵素により消化されると、カルシウムの可溶化に必要な分子構造破壊され、目的とする効果が得られないという虞れがあった。

0008

また、前記のように、大豆蛋白質から限外濾過膜を用いてフィチン酸及びその塩を除去するという報告がなされているが、フィチン酸及びその塩が0.14%までしか除去されておらず、それ以上に除去する方法は知られていなかった。更に、そのようにして得られた大豆蛋白質がミネラル吸収促進効果を有するという知見はまったくなかった。

0009

したがって、本発明の目的は、大豆蛋白質含有原料から、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩による沈殿法と、電気透析法とを組み合わせることにより、フィチン酸及びその塩を効率よく除去して、ミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質を容易に、高収率で、かつ安価に製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、大豆蛋白質に含まれるフィチン酸及びその塩について研究する過程で、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩による沈殿法と、電気透析法とを組み合わせることにより、大豆蛋白質含有原料からフィチン酸及びその塩を効率よく除去できること、及び、そうして得られた低フィチン酸及びその塩の大豆蛋白質が優れたミネラル吸収促進効果を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明のミネラル吸収促進効果を有する大豆蛋白質の製造法は、大豆蛋白質含有原料に、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩を添加した食塩溶液を加えて大豆蛋白質を抽出する工程と、この抽出液電気透析処理してフィチン酸及びその塩を除去する工程とを含むことを特徴とする。

0012

以下、本発明について好ましい態様を挙げて詳細に説明する。

0013

まず、大豆蛋白質を抽出する工程について説明すると、大豆蛋白質含有原料の種類は、特に限定されず、脱脂大豆粉濃縮大豆蛋白質分離大豆蛋白質豆乳など、各種のものが使用できる。これらの原料は、各種市販のものを用いても、原料大豆から調製してもよい。なお、蛋白質の抽出率を高くする点から、上記原料は変性の少ないものが好ましく、具体的には、変性率(NSI)80%以上のものが好ましい。

0014

上記原料に加える食塩溶液は、食塩濃度が7.5 重量%以上のものが好ましく、それ未満の濃度では大豆蛋白質を効率よく抽出することができない。また、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩の添加量は、上記食塩量に対して0.5 〜2重量%が好ましい。カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩の添加量が上記よりも少ないと、フィチン酸及びその塩を効果的に沈殿させることができず、また、同添加量が上記よりも多いと、大豆蛋白質の沈殿が生じて収率が減少するという問題があり好ましくない。

0015

抽出に使う食塩溶液の量は、特に限定されないが、収量、製造コスト等を考えると、大豆蛋白質含有原料に対して5〜20倍容量が好ましい。抽出温度及び抽出時間についても、特に限定されないが、室温で、0.5 〜1時間程度抽出するのが好ましい。抽出時のpHは6〜9の範囲が好ましい。pHが6よりも低いと、大豆蛋白質が溶解しにくく、pHが9よりも高いと、蛋白質が一部アミノ酸に分解するという問題があるので好ましくない。なお、抽出後における抽出液の固液分離法は、デカンテーション遠心分離濾過法等、特に限定されない。

0016

次に、抽出液からフィチン酸及びその塩を除去するための電気透析処理工程について説明すると、この電気透析処理はイオン交換膜分子篩膜などの分離膜を用いた電気透析装置を用いて行うのが好ましい。

0017

図1には、このような電気透析装置の一例が示されている。すなわち、陽極1と陰極3との間に、陰イオン交換膜5と陽イオン交換膜6とが多数交互に配置され、陽極1側から見て陰イオン交換膜5、陽イオン交換膜6の順序で配列された膜間が、被処理液が流れる脱塩室7とされ、陽イオン交換膜6、陰イオン交換膜5の順序で配列された膜間が、被処理液中の陽イオン及び陰イオンが集められるイオン回収室8とされている。

0018

陽極室2及び陰極室4には、電極液流路10を通してポンプ11により電極液が循環され、脱塩室7には、被処理液流路12を通してポンプ13により被処理液、すなわち上記抽出液が循環される。更に、イオン回収室8には、回収液流路14を通してポンプ15により回収液が循環される。

0019

そして、陽極1と陰極3との間に電圧を加えると、抽出液中の陽イオンは、陽イオン交換膜6を通して回収室8に集められ、抽出液中の陰イオンは、陰イオン交換膜5を通して回収室8に集められる。なお、大豆蛋白質自体もイオン化するが、その分子量が大きいため、イオン交換膜を透過することができず、脱塩室7内に残される。こうして、抽出液中のフィチン酸及びその塩等が除去され、脱塩室7側から精製された抽出液を得ることができる。

0020

上記において、イオン交換膜5、6としては、大豆蛋白質自体の透過を阻止し、フィチン酸及びその塩等を選択的に透過させるため、分画分子量が好ましくは5000以下、より好ましくは300 〜1000のイオン交換膜又は分子篩膜が用いられる。このようなイオン交換膜又は分子篩膜としては、例えば「AC-230-800」(カートリッジ名、旭化成工業株式会社製)等を用いることができる。なお、分画分子量が300 よりも小さい膜は、フィチン酸及びその塩が透過できないので好ましくない。

0021

また、イオン回収液としては、各種無機塩溶液等が使用できるが、中でも食塩溶液を用いるのが好ましく、その濃度は0.1 〜1.0 重量%程度が好ましい。

0022

上記電気透析処理の時間は、原料の種類や、抽出液の量、濃度などに応じて適宜決定されるが、抽出液中の食塩濃度が大体0.25〜1.5 重量%程度になるまで行うのが好ましい。食塩濃度が1.5 重量%よりも高いと、精製が不充分な虞れがあり、食塩濃度が0.25重量%未満になると、脱塩により大豆蛋白質が凝集を生じるので好ましくない。

0023

また、電気透析処理は、大豆蛋白質全体に対するフィチン酸及びその塩の含量が、固形分比で0.1 重量%以下になるまで行うのが好ましく、0.05重量%以下になるまで行うのがより好ましい。フィチン酸及びその塩の含量が0.1 重量%よりも多いと、充分なミネラル吸収促進効果が得られないので好ましくない。

0024

こうして脱塩室7側から回収された、フィチン酸及びその塩を除去された抽出液に塩酸溶液等を滴下して、pHを4.5 〜5.5 程度に調整すれば、大豆蛋白質が等電点沈殿するので、抽出液から大豆蛋白質を分離することができる。

0025

こうして分離された大豆蛋白質は、適当な濃度となるように水等に溶解してそのまま製品化することもできるが、水等に溶解した後、更に乾燥粉末化して製品化するのが、製品の安定性の点から好ましい。乾燥方法としては、スプレードライ法凍結乾燥法など各種の方法が採用できる。なお、上記いずれの方法で製品化する場合においても、102 〜120 ℃で5〜15分程度加熱処理を行って、大豆蛋白質の消化に問題となるトリプシンインヒビター失活させておくのが好ましい。

0026

こうして得られた大豆蛋白質は、高蛋白質で、かつ、ミネラル吸収促進効果を有する素材として、粉乳などの乳製品や、豆乳、各種植物性蛋白質の代わりに使用でき、例えば、イミテーション乳飲料乳酸飲料インスタントスープ、豆乳等の各種飲料や、チョコレート、ケーキ、キャラメル等の各種菓子類パン豆腐ハムソーセージハンバーグ等の加工食品、ちくわ、かまぼこ等の水産練製品などの各種食品類に添加して使用することができる。

0027

本発明によれば、大豆白質含有原料から大豆蛋白質を抽出する際に、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩を添加した食塩溶液を用いることにより、抽出液中のフィチン酸及びその塩を不溶化して沈殿させることができ、この抽出液を通常の手段で固液分離することで、フィチン酸及びその塩を容易に除去することができる。

0028

そして、上記工程に続いて、抽出液を電気透析法により脱塩処理することにより、抽出液中に残存するフィチン酸及びその塩などの成分を更に効率的に除去することができ、例えばフィチン酸及びその塩の含量を0.1 重量%以下にすることができる。

0029

こうして得られた、フィチン酸及びその塩の含有量の少ない大豆蛋白質は、後述する試験例に示されるように、カゼインよりも優れたミネラル吸収促進効果を有している。

0030

また、本発明の方法によれば、大豆蛋白質自体のアミノ酸組成や、大豆に本来含有されるイソフラボン類等の各種有用成分の含量に影響を与えずに、フィチン酸及びその塩を除去することができる。

0031

大豆に含有されるイソフラボン類、特にダイゼインゲニステイン、ダイジインゲニスチンには、女性ホルモンであるエストロゲンと同様の生理活性効果があるとの報告があり(Cheng et al., Science 118 164 (1953); Brigger et al., Biochem. J. 58 278 (1954) )、例えば骨塩溶出を抑制する効果などを有するとされている。

0032

このため、本発明の製造方法で得られた製品には、ミネラル吸収促進効果だけでなく、大豆が本来有する、エストロゲン効果等の各種生理活性効果をも期待することができる。

0033

実施例1
市販の脱脂大豆フレーク商品名「不二宝豆」、不二製油株式会社製、変性率NSI 80以上)8kgを、食塩溶液(イオン交換水72kgに精製塩8kg、塩化カルシウム40g、硫酸マグネシウム30gを溶解したもの)に懸濁させ、ゆっくりと撹拌しながら2N−水酸化ナトリウム溶液を滴下して、30分間かけてpH8.0 に調整した後、更に30分間撹拌して大豆蛋白質を抽出した。抽出液を篭型連続遠心分離機(国産遠心器株式会社製)にかけて、おから等の大きめ不溶性残渣を除去し、次いで、バッチ型遠心分離機(商品名「J6-HC 」、BECKMAN社製)を用いて4000rpm 、30分間遠心分離し不溶物を完全に除去した。

0034

こうして得られた大豆蛋白質抽出液を、市販の電気透析装置「マイクロアシライザーG4DX」(商品名、旭化成株式会社製)を用いて6〜7時間、すなわち、食塩濃度が0.2 〜0.3 重量%程度になって大豆蛋白質が凝集を生じる直前まで精製を行い、フィチン酸及びその塩を除去した。なお、電気透析装置の膜カートリッジとしては、分画分子量1000のイオン交換膜である「AC-230-800」(カートリッジ名、旭化成株式会社製)を使用し、イオン回収液としては、0.3 重量%食塩水を使用した。

0035

上記精製後の抽出液に水を加えて3〜4倍容量に希釈した後、泡立てないようにゆっくりと撹拌しつつ、1N−塩酸を少しづつ滴下し、pH5.5 に調整して30分間静置し、大豆蛋白質を等電点沈殿させた後、デカンテーションして上澄みを除去し、次いで、上記バッチ型遠心分離機により4000rpm 、10分間遠心分離して、得られた沈殿物に10倍量の水を加えてよく懸濁させ、ホモミキサーで強く撹拌しつつ2N−水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを加えてpH7.0 に調整し、大豆蛋白質含有溶液を得た。

0036

実施例2
実施例1で得られた大豆蛋白質含有溶液2kgを、3kg容のスタンディングパウチ膜構成:12μPET/25μNY/9μAl/100μCPP)に充填し、高圧調理殺菌装置(商品名「PCS-40」、株式会社日阪製作所製)を用いて101 ℃で40分間加熱して、トリプシンインヒビターを失活させた後、ゼリー状になった大豆蛋白質をトレー上に広げて凍結乾燥し、粉末状の大豆蛋白質を得た。

0037

実施例3
実施例1で得られた大豆蛋白質含有溶液に水を加えて2倍量に希釈した後、スプレードライ法により粉末状の大豆蛋白質を得た。

0038

試験例1
実施例2で得られた大豆蛋白質(以下「本発明品」と記載する)の化学組成及びフィチン酸含量を測定し、原料に用いた市販の脱脂大豆フレーク(商品名「不二宝豆」、不二製油株式会社製、変性率NSI 80以上、以下「市販品」と記載する)と比較した。その結果を表1に示す。なお、化学組成は常法により測定し、フィチン酸含量は MOHAMEDらの方法(A.MOHAMED et al., Cereal Chemistry 63, 475, 1986)により測定した。

0039

0040

表1から明らかなように、本発明の方法により、大豆蛋白質中のフィチン酸及びその塩の含量を、原料である市販品の約400 分の1にまで減少させることができた。

0041

試験例2
試験例1で用いたのと同様の本発明品及び市販品について、蛋白質中のアミノ酸組成を分析、比較した。その結果を表2に示す。なお、アミノ酸組成の分析は、「改訂・日本食品アミノ酸組成表」(科学技術資源調査会編)に記載の方法により行った。

0042

0043

表2に示されるように、本発明の方法により得られた大豆蛋白質は、原料である市販の大豆蛋白質とほぼ同様のアミノ酸組成を有しており、本発明の製造方法が、大豆蛋白質中のアミノ酸組成にほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった。

0044

試験例3
試験例1で用いたのと同様の本発明品及び市販品について、イソフラボン類の含量を測定し、比較した。その結果を表3に示す。なお、イソフラボン含量の測定については、飼料からの抽出条件定量値に影響するので、大久保ら(Agr. Bio. Chem. 55 (9), 2227 (1991) )の方法により抽出した値として測定した。すなわち、本発明品及び市販品を10倍量の70%エタノール水溶液に懸濁させ、80℃で15時間抽出した後定容し、その濾液を常法に従いHPLC法で分析した。なお、標品としては、OHTAらの方法(N.OHTA et al., Agric. Biol. Chem. 43(7), 1415, 1979 )により調製したダイジイン、ゲニスチン、ダイゼイン及びゲニステインを用いた。

0045

0046

表3に示されるように、本発明の方法により得られた大豆蛋白質は、原料である市販の大豆蛋白質に近い量のイソフラボン類を含有しており、本発明の製造方法が、大豆蛋白質中のイソフラボン含量にほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった。

0047

試験例4
試験例1で用いたのと同様の本発明品を用いて、表4に示すような組成の飼料を調製した(試験区)。また、比較のために、市販のカゼイン蛋白質精製飼料用、日本農産工業株式会社製)を用いて、表4に示すような組成の飼料を調製した(対照区)。

0048

0049

なお、対照区の飼料において、蛋白質源としてカゼイン蛋白質を使用した理由は、カゼイン蛋白質が、ラット飼育試験において通常使用される蛋白質源であることと、普通の大豆蛋白質等よりもミネラルの吸収促進性に優れているとされていることから、本発明品のミネラル吸収促進効果を評価する上での比較材料として最適であると思われたためである。

0050

試験区及び対照区のそれぞれについて、4週令のウィスターラット(雄)30匹を、各群の平均体重が等しくなるように、1群6匹の計5群に分け、ステンレス製代謝ゲージ内で個別飼育(6匹を一緒に飼育するのではなく、1つのゲージに1匹づつ入れて飼育)し、表4の各飼料を4週間投与した。飼育は室温22±2℃、湿度60±10%で、12時間ごとの明暗サイクルの条件下で行い、飼料及び飲料水自由摂取とした。

0051

各飼料の投与開始後週目及び4週目に当たる週について、各7日間の及び尿を毎日採取した。糞は採取後直ちに冷凍し、各ラットの個体毎に1週間分をまとめて、5%塩酸を噴霧後、50〜60℃で通風乾燥した。乾燥した糞は、乾燥重量を測定した後粉砕し、ミネラル分析に供した。一方、尿は濃硫酸を1滴入れた採尿シリンダーに集め、1週間分をまとめて定容した後、−20℃の冷凍庫内冷凍保存し、ミネラル分析に供した。

0052

糞及び尿中のミネラル分析は、上記各試料をHNO3-HClO4(4:1, V/V)を用いて高圧湿式灰化した後、希釈して原子吸光分析装置「AA-975型」(商品名、Varian社製)により、カルシウム、マグネシウム亜鉛の含量をそれぞれ測定した。

0053

ラットの給餌量から計算した各ミネラルの摂取量から、上記測定により得られた、各ミネラルの糞への排出量を差し引いて、吸収率を求めた。その結果を、表5に示す。なお、対照区における4週時の吸収率は、2週時の値とほとんど変わらなかったので、表5への記載を省略した。また、表5において、**は、試験区の値と、対照区(2週時)の値との間に、危険率1%で有意差が生じたことを示している。

0054

0055

表5に示されるように、対照区におけるカルシウム吸収率が2週時において39%であったのに対し、試験区では2週時で84.9%、4週時で77.3%という高い吸収率を得た。なお、この差は統計的にも危険率1%で有意であった。また、マグネシウムにおいても、カルシウムと同様に有意差が認められ、亜鉛についても、カルシウムやマグネシウムに比べてその差こそ少ないものの、有意差が認められた。

発明の効果

0056

以上説明したように、本発明によれば、大豆蛋白質含有原料からフィチン酸及びその塩を効率的に除去することができ、ミネラル吸収促進効果の高い大豆蛋白質を容易にかつ低コストで製造することができる。また、大豆蛋白質中のアミノ酸組成やイソフラボン含量などに影響を与えずにフィチン酸及びその塩を除去できるので、大豆蛋白質が本来有する栄養価や各種生理活性効果を損なうことなく、ミネラル吸収効果の高い大豆蛋白質を製造することができる。

図面の簡単な説明

0057

図1本発明に使用される電気透析装置の一例を示す概略説明図である。

--

0058

陽電極
2 陽電極室
陰電極
4 陰電極室
5陰イオン交換膜
6陽イオン交換膜
7脱塩室
8イオン回収室
10電極液流路
12被処理液流路
14回収液流路
11、13、15 ポンプ

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