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技術 熱電装置およびその製造方法

出願人 日産自動車株式会社
発明者 生駒圭子小林正和篠原和彦
出願日 1993年12月28日 (26年7ヶ月経過) 出願番号 1993-337218
公開日 1995年8月4日 (24年11ヶ月経過) 公開番号 1995-202274
状態 特許登録済
技術分野 超音波モータ、圧電モータ、静電モータ 熱電素子 特殊な電動機、発電機 珪素及び珪素化合物
主要キーワード ドーナツ型形状 弓型形状 マンガンシリサイド 超音波半田付け 加熱処理領域 FeSi相 混合原料粉 混在層
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図面 (5)

目的

電極との接触抵抗が小さく、耐熱性耐熱衝撃性に優れた熱電装置を提供する。

構成

熱電素子2が電極5と接合した熱電装置1において、熱電素子2としてSiを含有する熱電素子2を用い、Siを含有する熱電素子2の接合部分に高融点金属シリサイドからなる中間層3が形成されているものとした。

概要

背景

概要

電極との接触抵抗が小さく、耐熱性耐熱衝撃性に優れた熱電装置を提供する。

熱電素子2が電極5と接合した熱電装置1において、熱電素子2としてSiを含有する熱電素子2を用い、Siを含有する熱電素子2の接合部分に高融点金属シリサイドからなる中間層3が形成されているものとした。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

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請求項1

熱電素子電極接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子と電極との接合部分に中間層が形成されていることを特徴とする熱電装置。

請求項2

熱電素子が電極と接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子の接合部分に高融点金属シリサイドからなる中間層が形成されていることを特徴とする熱電装置。

請求項3

熱電素子が、硅化鉄あるいはシリコンゲルマニウム化合物を主成分とする請求項1または2に記載の熱電装置。

請求項4

FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置において、熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層が形成されていることを特徴とする熱電装置。

請求項5

FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置を製造するに際し、α相FeSi2焼結体を形成する工程と、前記α相FeSi2焼結体の接合面にメタライズ金属層を形成して熱処理する工程と、前記α相FeSi2焼結体をβ化する工程を経ることによって、FeSi2熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層を形成することを特徴とする熱電装置の製造方法。

請求項6

FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置を製造するに際し、α相FeSi2圧粉体を形成する工程と、前記α相FeSi2圧粉体の接合面にメタライズ金属層を形成して熱処理する工程と、前記α相FeSi2圧粉体を焼結した後β化する工程を経ることによって、FeSi2熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層を形成することを特徴とする熱電装置の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、熱源から熱起電力を取り出すのに利用される熱電装置に関するものである。

0002

熱電発電装置は、p型半導体n型半導体からなり熱電素子電極接合されてpn素子対を形成し、両端部の温度差に依存した起電力を取り出す装置である。

0003

熱電発電装置では、接合両端部を介して流れる電流量が大きいほど、取り出せる電力は大きい。また、両端部の温度差が大きい程、取り出せる電力が大きい。そのため、高温側の温度はできるだけ高い方が好ましい。

0004

熱電素子の接合は、金属ペースト法や半田付け法,ろう付け法,溶着加圧拡散接合法などによる方法が知られている。このうち、金属ペースト法や半田付け法,ろう付け法では、熱衝撃に対して接合強度が不十分であるため、剥離を生じたり素子脱落したりするなどの問題や、熱電装置の使用時にろう材半田材が熱電素子に拡散するため、徐々に発電能力が低下する問題があった。また、接合部分のエネルギーバンド構造が不連続で接合障壁が形成され、接触抵抗が大きくなるため、発電出力を十分取り出せない問題があった。

0005

他方、溶着や加圧拡散接合法では、熱電素子と電極の融点が大きく異なる場合は、接合強度や接触抵抗の点で不十分であり、SiGe熱電素子−Si電極の様な限られた材料においてしか使用できない欠点があった。

0006

そこで、接合強度を増加するためやろう材等の拡散を阻止するため、また、接触抵抗の小さい接合を形成するために、熱電素子の接合面に中間層が形成された熱電装置が提案されている。たとえば、接合強度を増加するためにPbTe熱電素子にMo層Niめっき層を形成した後、電極をろう付けする接合方法(特開平5−55638号)や、BiTe熱電素子にNiめっき層が形成され、これを半田層を介して電極に接合した熱電装置(特開平5−41543号)や、熱電素子に無電解ニッケルホウ素合金めっきする方法(特開平5−63243号)などが提案されている。

0007

一般的に、PbTeの熱電装置は300℃から500℃程度の中温領域で使用される。しかし、Siを含有する熱電素子は約500℃以上の高温領域で使用可能であり、この高温領域ではNiめっき層では耐熱性が不十分で、熱電発電時にNiが熱電素子内に拡散して、発電能力が低下する問題がある。また、電気的に良好な接合を形成するために、PbTeからなる熱電素子とCu電極との間にAu中間層を挿入した熱電素子も提案されている(特開平5−152615号)。しかし、Siを含有する熱電素子に対しては、素子の動作温度においてAuが熱電素子内に拡散し易く、徐々に熱電素子の特性を低下させる問題があった。

0008

特にSiを含有する熱電素子であるFeSi2熱電素子は高温での耐酸化性に優れ、高温領域で動作が可能であるが、耐熱性,耐熱衝撃性に優れた接触抵抗の小さい接合を形成することが技術課題である。このようなFeSi2熱電素子の接合方法としては、p−n素子対を直接接合する冷間プレス焼結法と、熱電素子−電極接合を形成する超音波半田付け法が知られている。

0009

このうち、冷間プレス焼結法では、p型半導体とn型半導体の相互拡散層を形成して接合するため、接合部分では両方の不純物が混在して正孔電子補償された半導体になっている。それゆえ、接合部分の抵抗が大きくなってしまう問題があった。また、電極金属を介してp−n接合した場合は、一般的に、接合部分の抵抗が大きくならない長所がある。しかし、超音波半田付け法による接合では、半田層の耐熱性が不十分である問題があった。

0010

FeSi2には、金属相であるα相と半導体相であるβ相の2種類の結晶相が存在する。そして、接触抵抗を低下させ、接合強度に優れた接合を形成するため、このα相−β相転移を利用した接合方法が開発されている。一般的に、FeSi2粉は、α相の焼結体を形成した後、熱処理してβ化し、熱電素子を製造する。熱電素子として使用されるのは半導体であるβ相で、α相は金属相である。

0011

接合部分での接触抵抗を下げるため、熱電素子の接合部分が金属相であるα相との混晶状態の硅化鉄からなる熱電装置が提案されている(特開昭57−169283号)。その製造方法として、焼結し、β化した素子を形成した後、接合部分を熱処理してα相を形成する方法が開示されている。しかし、α相−β相転移は1255Kと高温であるので、素子の一部分だけ加熱処理する工程は温度制御が困難で、素子の信頼性が低下する問題がある。

0012

α相が混在する素子部分は抵抗は低下するが、ゼーベック係数も低下するので、加熱処理領域が大きくなると、熱電装置の発電能力が低下する問題がある。また、一部分だけ加熱処理を行うと、熱によるひずみによって熱電素子に亀裂が入るなどの問題があった。

0013

さらに、接合強度の強い熱電素子−電極接合を形成するために、FeSi2α相焼結体を形成し、電極金属を抵抗溶接した後、熱処理を行ってFeSi2β相に相転移する製造方法が提案されている(特開平2−228082号)。この方法では、抵抗溶接法を使うことができ、接合強度は増加する長所がある。しかし、溶接に伴う急熱急冷過程によって、部分的に熱電素子のドーパント濃度分布が変化したり、電極金属元素が熱電素子中に拡散したりするため、半導体化した後、熱電素子の接合界面付近熱電特性が低下する問題があった。

0014

本発明は、上記した問題を解決し、Siを含有する熱電素子に対して、高温で接触抵抗が低い熱電素子−電極接合が形成された熱電装置を提供することを目的としているものである。また、熱電素子の剥離や素子の脱落が起きず、熱反応による熱電素子の特性低下がない熱電装置を提供することを目的とするものである。

0015

さらに、FeSi2からなる熱電素子において、接触抵抗が低い熱電素子−電極接合、熱電素子−熱電素子接合が形成された熱電装置およびその製造方法を提供することを目的とするものである。さらには、接合強度が大きい熱電装置および信頼性が高い製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0016

本発明は、熱電素子が電極と接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子と電極との接合部分に中間層が形成されている構成としたことを特徴としている。

0017

また、熱電素子が電極と接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子の接合部分に高融点金属シリサイドからなる中間層が形成されている構成としたことを特徴としており、実施態様において、熱電素子が、硅化鉄あるいはシリコンゲルマニウム化合物を主成分とするものであるようにしたことを特徴としている。

0018

図1は、本発明の実施態様による熱電装置の基本構成を示すものである。図1に示す熱電装置1は、熱電素子としてSiを含有する熱電素子2を用い、このSiを含有する熱電素子2の接合面上に高融点金属シリサイドからなる中間層3が形成され、この中間層3がろう材4を介して電極5と接合されている構成を有するものである。

0019

高融点金属シリサイドよりなる中間層3と電極5とは、公知の半田付け法やろう付け法,溶接法などで接合される。また、高融点金属シリサイドからなる中間層3と電極5との間に、熱反応によって電極材料が熱電素子2に拡散するのを防止するためや、電極5と高融点金属シリサイドからなる中間層3との接合強度を増加するためなどに、第二、第三の中間層を形成することもできる。

0020

本発明に係わる熱電装置1において、高融点金属シリサイドからなる中間層3を形成する高融点金属シリサイドは、高温の動作温度において熱電素子2との接触抵抗が小さく、熱安定性の高いものが好ましく、たとえば、チタンシリサイドジルコニウムシリサイドバナジウムシリサイド,クロムシリサイドニオブシリサイドモリブデンシリサイド,ハフニウムシリサイドタンタルシリサイドタングステンシリサイドマンガンシリサイドルテニウムシリサイドコバルトシリサイドなどが挙げられる。

0021

また、電気的な接合をさらに制御する等のために、これらの高融点金属シリサイド中に異種元素ドーピングすることもできる。

0022

高融点金属シリサイドの形成方法は、公知の方法で行うことができる。たとえば、高融点金属シリコンとを同時に蒸着する方法や、同時にスパッタリングする方法、高融点金属シリサイドをスパッタリングする方法、CVDによる方法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。

0023

本発明のSiを含有する熱電素子2としては、硅化鉄あるいはシリコンゲルマニウム化合物を主成分とするものとすることができるが、これらの化合物を主成分とし、熱電特性を制御するためや耐熱性を制御するためなどで、異種元素が混在されたものとすることもできる。たとえば、硅化鉄に対しては異種元素として、Ru,Co,Mn,Cr,Ni,Ti,V,In,Sb,Zn,Cu,Ge,C,O,Al,等の元素を挙げることができ、シリコンゲルマニウム化合物に対しては、B,Al,Ga,N,P,AsなどのIII族およびV族,Pb,Ge,Auなどの元素をあげることができる。

0024

本発明に係わる熱電装置はまた、FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置において、熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層が形成されている構成としたことを特徴としている。

0025

また、本発明に係わる熱電装置の製造方法は、FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置を製造するに際し、α相FeSi2焼結体を形成する工程と、前記α相FeSi2焼結体の接合面にメタライズ金属層を形成して熱処理する工程と、前記α相FeSi2焼結体をβ化する工程を経ることによって、FeSi2熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層を形成する構成としたことを特徴としている。

0026

さらに、本発明に係わる熱電装置の製造方法では、FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置を製造するに際し、α相FeSi2圧粉体を形成する工程と、前記α相FeSi2圧粉体の接合面にメタライズ金属層を形成して熱処理する工程と、前記α相FeSi2圧粉体を焼結した後β化する工程を経ることによって、FeSi2熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層を形成する構成とすることを特徴としている。

0027

図2は、本発明の実施態様による熱電装置の基本構成を示すものである。図2に示す熱電装置11は、FeSi2を主成分とする熱電素子12の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層13が形成されており、このFeSi相混在層13を介して電極14と接合されている構成を有するものである。

0028

この種の熱電装置11において、熱電素子12の接合部分を金属的な特性とすることによって、電極14や半導体との接触抵抗が小さくなり、出力損失を低減できる。この接合部分の層はできるだけ薄い方が、熱電装置全体の特性は低下しない。

0029

Siが欠乏したFeSi相が混在した場合は、FeSi2α相と同様にゼーベック係数は低下するが、抵抗も低下する特性を有し、FeSi相はFeSi2相と金属を反応させることによって形成することができることを発見した。そのような特性を有する金属を本発明においてはメタライズ金属と総称することにする。

0030

本発明は、FeSi2を主体とする熱電素子12の接合面に、メタライズ金属層を形成した後、熱処理を行うことによって、FeSi2を主体とする熱電素子12の接合面にFeSi相が混在するFeSi相混在層13を形成するものである。

0031

熱処理によってメタライズ金属原子が熱電素子中に拡散するかあるいはFeSi2熱電素子中のSi原子がメタライズ金属層中に拡散することによって、接合部分だけにFeSi相とメタライズ金属のシリコン化合物相を形成することができる。

0032

本発明におけるメタライズ金属は、熱処理時においてシリコン化合物が形成でき、熱電装置の使用温度においては形成したシリコン化合物が熱電素子中に拡散したり、熱電特性を低下させる反応が進行しないものが好ましい。本発明におけるメタライズ金属としては、例えば、Ge,Cr,Mn,Co,W,Mo,Nb,Hf,Ta,Ruなどを挙げることができる。

0033

接合部分の表層にFeSi相が混在するFeSi相混在層13が形成された熱電素子12の製造工程は、図3に示す順序で行うことができる。すなわち、まず、FeSi2原料粉を調製したのち、熱電素子形状のα相FeSi2焼結体を加圧焼成などの公知の方法で形成する。次いで、メタライズ金属層を焼結体の接合部分に形成し、FeSi相形成のための熱処理を行う。その後、α相FeSi2焼結体をβ化するために熱処理を行う。

0034

また、図4に示す工程で製造することもできる。すなわち、まず、FeSi2原料粉を調製したのち、熱電素子形状のα相FeSi2原料粉の圧粉体を形成する。次いで、圧粉体の接合部分にメタライズ金属層を形成し、FeSi相形成のための熱処理を行う。その後、公知の方法に従って焼結を行い、公知の方法に従ってβ化するために熱処理を行う。

0035

次に、接合表面メタライズしたp型あるいはn型FeSi2半導体からなる熱電素子12と電極14あるいは別の熱電素子12と接合を形成する。このとき、接合温度がFeSi2熱電素子をα相−β相転移温度より高温に保持される場合は、β化のための熱処理を行う前に接合工程を行うこともできる。

0036

また、接合強度を増加させるため、図3図4のメタライズ金属層を形成し、熱処理を行う工程を複数回繰り返すこともできる。図4に示す工程では、FeSi相形成のための熱処理と焼結のための熱処理を単一工程として行うこともできる。

0037

本発明による熱電装置11は、p型あるいはn型FeSi2熱電素子12がそれぞれを単独で電極14に接合したタイプ、電極14を介してp−n熱電素子対を形成したタイプ、あるいはp−n熱電素子対を直接接合したタイプを含む。また、本発明に従って製造したFeSi2熱電素子12と、FeSi2以外の熱電素子を接合して熱電装置を製造することもできる。熱電素子12の形状は、棒状以外に、熱電発電効率を上げるために、弓型形状ドーナツ型形状に製造することもでき、これに制限されるものではない。

0038

接合は、公知の加圧拡散接合法,ろう付け法,半田付け法などによって行うことができる。

0039

α相FeSi2原料粉は、公知の金属間化合物の形成方法に従って合成し、粉砕して製造することができる。また、熱電特性を向上させるために、不純物元素を含む化合物を混合した原料粉や表面処理を行った原料粉を使用することができる。不純物元素としては、Ru,Co,Mn,Cr,Al,B,Ni,Ti,V,In,Sb,Zn,Cu,Ge,C,Oなどを挙げることができる。

0040

さらに、メタライズ金属層の形成は、公知の方法に従って形成できる。たとえば、電子ビーム蒸着法スパッタリング法イオンビーム蒸着法などの真空成膜法による方法や、めっき法,メタライズ金属粉とバインダーからなる接着剤を塗布焼成する方法などを挙げることができる。

0041

また、メタライズ金属層を形成する端面の酸化層を除去するためや、表面凹凸を小さくするためなどで、端面にエッチング研磨等の表面処理を行うことも含まれ、本発明はこれに制限されるものではない。

0042

FeSi相を形成するための熱処理温度は、使用するメタライズ金属に依存するが、650℃〜1250℃が好ましい。この場合、650℃より低温では、FeSi相の形成速度が著しく遅く、製造効率が悪くなるので好ましくない。また、1250℃より高温では、FeSi2結晶格子振動活発になり、反応の制御がむずかしくなるため好ましくない。熱処理の雰囲気は、メタライズ金属に依存するが、酸素雰囲気酸化雰囲気ではSiO2の生成など不必要な反応が起きるため好ましくない。

0043

本発明に係わる熱電装置は、熱電素子が電極と接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子と電極との接合部分に中間層が形成されている構成としたから、電極との接触抵抗が小さなものとなり、例えば、熱電発電装置の出力は損失なく取り出されることとなる。また、耐熱性,耐熱衝撃性が向上したものとなり、剥離を生じがたく、特性劣化も少ない高特性の熱電装置となる。

0044

また、本発明に係わる熱電装置は、熱電素子が電極と接合した熱電装置において、熱電素子としてSiを含有する熱電素子を用い、前記Siを含有する熱電素子の接合部分に高融点金属シリサイドからなる中間層が形成されている構成としたから、電極との接触抵抗が小さなものとなり、例えば、熱電発電装置の出力は損失なく取り出されることとなる。また、約500℃以上の高温領域で使用しても耐熱性,耐熱衝撃性にも優れたものとなり、剥離を生じにくく、特性の劣化が少ない熱電装置となる。

0045

さらに、本発明に係わる熱電装置は、FeSi2を主成分とする熱電素子を使用した熱電装置において、熱電素子の接合部分に、FeSi相が混在したFeSi相混在層が形成されている構成としたから、電極との接触抵抗が小さなものとなり、例えば、熱電発電装置の出力は損失なく取り出されることとなる。また、耐熱性,耐熱衝撃性にも優れたものとなり、剥離を生じにくく、特性劣化も少ないFeSi2熱電装置となる。

0046

以下、本発明を実施例に基づき、比較例と共に、詳細に説明する。

0047

実施例1
図1に示した基本構成の熱電装置1を製造するに際し、Siを含有する熱電素子2を製作するにあたっては、FeSi2とCoSi2とを組成比がFe1−xCoxSi2(0.02<x<0.1)となるように量し、ボールミルで350mesh以下まで粉砕混合した。次に、混合原料粉ホットプレス装置を用いて、1145℃,300kgf/cm2で20分間加圧焼結した。続いて、焼結体の両端部を逆スパッタ法により表面をエッチングし、2元スパッタ法によりタングステンとシリコンとを同時にスパッタリングして、タングステンシリサイドからなる中間層3を0.7μm形成した。次いで、タングステンシリサイドからなる中間層3を形成した熱電素子2を高温用ろう材4によって、0.1kgf/cm2の圧力をかけて650℃でモリブデン板よりなる電極5にろう付けした。

0048

次に、600℃において、この実施例1で得た熱電装置1の抵抗を測定した。熱電装置1の抵抗Rは、熱電素子2の抵抗Rs、両端の熱電素子−電極接合部分の抵抗Rc1,Rc2から
R=Rc1+Rs+Rc2
と表わされる。電極5の接触抵抗が無視できる4探針法によって熱電素子自体の比抵抗Rsを測定し、抵抗Rc1+Rc2から接触抵抗率を算出すると、0.05Ωcm2であった。

0049

比較例1
実施例1と同じ棒状の熱電素子を形成した。そして、シリサイド層を形成せず、モリブデン板よりなる電極にろう付けした。次いで、実施例1と同様に、600℃で抵抗を測定し、接触抵抗を算出したところ、0.1Ωcm2であった。

0050

実施例1のように、高融点金属シリサイド層を形成した熱電装置では、接触抵抗が低く、熱電発電した電流を効率良く取り出すことができる熱電装置を製造することができるという良好な結果が得られたのに対して、比較例1のようにシリサイド層を形成しない場合には、接触抵抗が高いものとなっていて好ましくなかった。

0051

実施例2
ボロンがドープされたSiとGeとを5:1で混合粉砕し、焼成ルツボに入れてAr雰囲気中1300℃で仮焼した。次に、生成したシリコンゲルマニウム合金をボールミルで粉砕し、350mesh以下の原料粉を形成した。続いて、ホットプレスを用いて、1100℃,300kgf/cm2で30分間加圧焼結した。次いで、試料を切断し、焼結体の両端部を逆スパッタ法により表面をエッチングして、2元スパッタ法により表1に示す高融点金属シリサイド層を0.3μm形成した。

0052

次に、高融点金属シリサイドからなる中間層3を形成した熱電素子2の端部に高温用ろう材4を用いたろう付け法でステンレス鋼製電極5を接合した。

0053

次に、実施例1と同様にして熱電装置1の抵抗を500℃で測定した。算出した接触抵抗を表1に示す。また、500℃でAr雰囲気中において100時間の熱処理を行った後、どの試料も特性の劣化や熱電素子の剥離は認められなかった。

0054

比較例2
実施例2と同じ熱電素子にシリサイド層を形成することなく直接ろう付け法でステンレス鋼製電極を接合した。そして、実施例2と同様にして、熱電装置の抵抗を500℃で測定した。算出された接触抵抗は0.2Ωcm2であった。また、500℃でAr雰囲気中において100時間の熱処理を行った後に、接触抵抗は1Ωcm2以上に劣化した。

0055

0056

表1に示すように、シリサイド層を形成することによって接触抵抗が低く、接合強度が高い熱電装置を製造することができた。

0057

実施例3
熱電素子2を製作するにあたっては、SiとGeとを組成比が10:1となるように秤量し、ボールミルで350mesh以下まで粉砕混合して1250℃で溶融した。次いで、Si−Ge化合物にFeを組成比がFeSi1.9Ge0.1となるように粉砕混合して真空封入し、1250℃で溶融した。続いて、これを粉砕しホットプレス装置を用いて、1145℃,300kgf/cm2で20分間加圧焼結した。次に、2元蒸着法によりダングステンとシリコンを同時に蒸着して、タングステンシリサイドからなる中間層3を0.5μm形成した。次いで、シリサイドよりなる中間層3の上に銅製電極5を1000℃で加熱圧着した。

0058

次に、600℃において熱電装置1の抵抗を測定し、室温に冷却する熱サイクルを10回くりかえしたが、特性の劣化はなかった。

0059

実施例4
図2に示した基本構成の熱電装置11を図3に示した工程によって製造するに際し、FeSi2を主成分とする熱電素子12を製作するにあたっては、FeSi2とMnSi2とを組成比がFe1−xMnxSi2(0.02<x<0.1)となるように秤量し、ボールミルで350mesh以下まで粉砕混合した。次に、混合原料粉をホットプレス装置を用いて、1145℃,300kgf/cm2で20分間加圧焼結して、α相FeSi2焼結体を形成した。次いで、この焼結体を真空蒸着装置に設置し、接合面にメタライズ金属層としてモリブンデン層を成膜速度0.5nm/secで、膜厚300nm蒸着した。次いで、焼結体を熱処理炉に設置し、Ar雰囲気中において1150℃で3時間の熱処理を行った。引き続き、850℃で48時間の熱処理を行い、焼結体をβ化して熱電素子12を形成した。

0060

次に、熱電素子12のX線結晶回折を測定した。接合端面から測定すると、金属Mo,MoSi2,FeSi2とFeSiに由来するピークが検出された。一方、熱電素子側面から測定すると、主にFeSi2に由来するピークだけが検出された。また、メタライズした熱電素子12の両端に電極14としてMo板を加熱圧着し、700℃で抵抗を測定したところ、0.04Ωcm2であった。

0061

また、一旦、室温に冷却した後昇温して抵抗を測定する評価を10回繰り返したところ、熱電素子12と電極14との界面での剥がれは観測されず、特性の劣化は認められなかった。

0062

比較例3
実施例4と同じα相FeSi2焼結体を形成し、メタライズせずにβ化のための熱処理を行って、熱電素子を形成した。この熱電素子に対するX線結晶回折による評価では、端面,側面ともにFeSi2に由来するピークだけが検出された。そして、実施例4と同様に電極としてMo板を加熱圧着し、700℃で接触抵抗を測定した。この結果、1回目の接触抵抗は0.1Ωcm2であった。さらに、3回目の昇温測定で1Ωcm2以上となり、熱電素子−電極界面に亀裂が生じていた。

0063

実施例5
図2に示した基本構成の熱電装置11を図4に示した構成によって製造するに際し、FeSi2を主成分とする熱電素子12を製作するにあたっては、組成比がFe1−xInxSi2(0.01<x<0.1)となるように各元素単体を秤量し、ボールミルで350mesh以下まで粉砕混合した。次に、混合原料粉を真空中、1250℃で3時間加熱溶融した。これを再度350mesh以下に粉砕し、3000kgf/cm2で圧粉成型した。この成型体試料の接合面にメタライズ金属層としてMn層を電子ビーム蒸着法によって50nmの厚さで形成した。次いで、熱処理炉においてAr雰囲気中1100℃で10時間加熱する熱処理を行った。引き続き1200℃で3時間の熱処理を行なって焼結し、さらに、850℃で48時間の熱処理を施してβ化を行った。

0064

この熱電素子12では、X線結晶回折法によって、接合端面にFeSi相が形成していることを確認した。そして、形成したFeSi2を主成分とする熱電素子12をろう材によって、0.1kgf/cm2で加圧し550℃でCu板よりなる電極14にろう付け接合した。次いで、300℃で熱電装置11の抵抗を測定し、接触抵抗を算出したところ、0.01Ωcm2であった。また、300℃で100時間の耐熱試験後においても、劣化は認められなかった。

0065

比較例4
Mn層を形成して1100℃で10時間の熱処理を行う工程以外は、実施例5と同様にしてFeSi2熱電素子を形成した。そして、実施例5と同様にCu電極板をろう付け接合して、熱電装置の抵抗を測定したところ、算出された接触抵抗は0.1Ωcm2であった。また、300℃で100時間の耐熱試験後において、接触抵抗は1Ωcm2以上に増加していた。

0066

実施例6
FeSi2とCoSi2とを組成比がFe1−xCoxSi2(0.01<x<0.05)となるように秤量し、ボールミルで350mesh以下まで粉砕混合した。次に、混合原料粉をホットプレス装置を用いて、1150℃,300kgf/cm2で10分間加圧焼結して、α相FeSi2焼結体を形成した。続いて、この焼結体を真空蒸着装置に設置し、接合面にメタライズ金属層としてCr層を膜厚100nmでスパッタ法により成膜した。次いで、焼結体を熱処理炉に設置し、真空中において1150℃で3時間の熱処理を行った。この後、X線結晶回折によって、接合端面にFeSiが形成していることを確認した。

0067

一方、CrSi2原料粉をホットプレス装置を用いて、1250℃,300kgf/cm2で10分間加圧焼結して、CrSi2熱電素子を形成した。そして、α相FeSi2焼結体のCr層を形成した接合面とCrSi2焼結体を1150℃で加熱圧着した。その後、α相FeSi2焼結体をβ化するため、850℃で48時間の熱処理を行って、p−n熱電素子対を形成した。

0068

接合部分をガス炎で3分間加熱し、その後2分間冷却を繰り返して、耐熱衝撃性テストを行ったところ、100回以上の加熱冷却に対して、素子接合部分での破壊や剥離は認められなかった。

0069

比較例5
実施例6と同様にしてα相FeSi2焼結体とCrSi2熱電素子を形成した。さらに、接合面のメタライズ処理は行わないで、実施例6と同様にして両者を加熱圧着した。そして、同様の耐熱衝撃性テストを行ったところ20回で接合部分に亀裂が入ったのが認められた。

発明の効果

0070

以上のように、本発明に係わる熱電装置では、電極との接触抵抗を小さなものとすることが可能であり、それゆえ、例えば、熱電発電装置の出力を損失無く取り出すことが可能になると共に、耐熱性,耐熱衝撃性にすぐれ、剥離を生じにくく、特性の劣化が少ない熱電装置を提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。

図面の簡単な説明

0071

図1本発明による熱電装置の一実施例における基本構成を示す説明図である。
図2本発明による熱電装置の他の実施例における基本構成を示す説明図である。
図3本発明による熱電装置の製造方法の一工程例を示す説明図である。
図4本発明による熱電装置の製造方法の他の工程例を示す説明図である。

--

0072

1熱電装置
2 Siを含有する熱電素子
3高融点金属シリサイドからなる中間層
4ろう材
5電極
11 熱電装置
12 FeSi2を主成分とする熱電素子
13FeSi相が混在したFeSi相混在層
14 電極

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