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技術 マグネシウム合金製部材およびその製造方法

出願人 マツダ株式会社
発明者 山本幸男藤田誠坂手宣夫大内勝哉平原庄司
出願日 1994年2月7日 (26年10ヶ月経過) 出願番号 1994-013629
公開日 1995年7月25日 (25年5ヶ月経過) 公開番号 1995-188826
状態 特許登録済
技術分野 鋳造前の予備処理と金属の鋳造 鍛造 非鉄金属または合金の熱処理 非鉄合金の製造
主要キーワード Mg合金製 溶融材 供試片 圧力注入 Sr含有量 合金製部材 凝固冷却速度 エア抜き孔
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

目的

マグネシウム合金製部材を製造するにあたり、塑性加工における成形性の向上を図り、高い引張強度及び耐力を得ることができるようにする。

構成

マグネシウム合金製部材を製造するに際して、ストロンチウムを0.02〜0.5重量%含有するマグネシウム合金溶湯によってマグネシウム合金製素材鋳造する工程と、該マグネシウム合金製素材を所定形状のマグネシウム合金製部材に塑性加工する工程とを順に行なうことを特徴とし、また、上記鋳造工程では、上記マグネシウム合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにストロンチウムの含有量を調整することを特徴とし、更に、上記塑性加工として鍛造加工を採用することを特徴とする。

概要

背景

周知のように、マグネシウム(以下、その元素記号Mgで表示する)合金は、鍛造等の塑性加工を含む加工用鋳造用の材料として利用されており、近年では、例えば自動車ホイールなど、軽量でかつ引張強度ないしは耐力が要求される部材に適用することが考えられている。上記Mg合金合金元素としては、従来、アルミニウム(Al),マンガン(Mn),亜鉛(Zn)等が一般に採用されている。そして、かかる合金元素の作用として、MgにAlを添加することによって合金の強さが増加し、また鋳造組織が細かくなること、Mnの少量添加によって耐蝕性の向上と鋳造組織の微細化による強度向上とが図れること、Znの少量添加によって機械的性質が向上することなどが知られている。さらに、Mg合金における鋳造組織の微細化手段としては、Zrの少量合金、C接種、FeCl3接種等が知られている。

ところで、金属製部材の製造方法として、製品形状に近似した素材鋳造した後に、この鋳造素材を鍛造するという方法が知られている(特開昭51−120953号公報参照)。すなわち、インゴットから最終的な製品形状のものを鍛造する場合、通常、荒鍛造から始めて仕上げ鍛造まで多数の鍛造工程を必要とするのであるが、上記従来公報に記載された方法は、予め(鍛造前に)最終的な製品形状に近似した素材を鋳造によって形成しておくことにより、中間的な鍛造工程を減らすというものである。

概要

マグネシウム合金製部材を製造するにあたり、塑性加工における成形性の向上を図り、高い引張強度及び耐力を得ることができるようにする。

マグネシウム合金製部材を製造するに際して、ストロンチウムを0.02〜0.5重量%含有するマグネシウム合金溶湯によってマグネシウム合金製素材を鋳造する工程と、該マグネシウム合金製素材を所定形状のマグネシウム合金製部材に塑性加工する工程とを順に行なうことを特徴とし、また、上記鋳造工程では、上記マグネシウム合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにストロンチウムの含有量を調整することを特徴とし、更に、上記塑性加工として鍛造加工を採用することを特徴とする。

目的

そこで、本発明は、塑性加工性に優れ、引張強度および耐力さらには耐食性がより高いMg合金製部材およびその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
5件

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請求項1

ストロンチウムを0.02〜0.5重量%含有することを特徴とするマグネシウム合金製部材

請求項2

ストロンチウムを0.02〜0.5重量%含有するマグネシウム合金溶湯によってマグネシウム合金製素材鋳造する工程と、該マグネシウム合金製素材を所定形状のマグネシウム合金製部材に塑性加工する工程とを順に行なうことを特徴とするマグネシウム合金製部材の製造方法。

請求項3

上記鋳造工程では、上記マグネシウム合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにストロンチウムの含有量を調整することを特徴とする請求項2記載のマグネシウム合金製部材の製造方法。

請求項4

上記塑性加工として鍛造加工を採用することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のマグネシウム合金製部材の製造方法。

請求項5

溶融状態で、ストロンチウムを0.02〜0.5重量%含有されるように添加する工程と、このストロンチウムを含有するマグネシウム合金溶湯によってマグネシウム合金製素材を鋳造する工程と、該マグネシウム合金製素材を所定形状のマグネシウム合金製部材に鍛造加工する工程とを順に行なうことを特徴とするマグネシウム合金製部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、マグネシウム合金製部材およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

周知のように、マグネシウム(以下、その元素記号Mgで表示する)合金は、鍛造等の塑性加工を含む加工用鋳造用の材料として利用されており、近年では、例えば自動車ホイールなど、軽量でかつ引張強度ないしは耐力が要求される部材に適用することが考えられている。上記Mg合金合金元素としては、従来、アルミニウム(Al),マンガン(Mn),亜鉛(Zn)等が一般に採用されている。そして、かかる合金元素の作用として、MgにAlを添加することによって合金の強さが増加し、また鋳造組織が細かくなること、Mnの少量添加によって耐蝕性の向上と鋳造組織の微細化による強度向上とが図れること、Znの少量添加によって機械的性質が向上することなどが知られている。さらに、Mg合金における鋳造組織の微細化手段としては、Zrの少量合金、C接種、FeCl3接種等が知られている。

0003

ところで、金属製部材の製造方法として、製品形状に近似した素材鋳造した後に、この鋳造素材を鍛造するという方法が知られている(特開昭51−120953号公報参照)。すなわち、インゴットから最終的な製品形状のものを鍛造する場合、通常、荒鍛造から始めて仕上げ鍛造まで多数の鍛造工程を必要とするのであるが、上記従来公報に記載された方法は、予め(鍛造前に)最終的な製品形状に近似した素材を鋳造によって形成しておくことにより、中間的な鍛造工程を減らすというものである。

発明が解決しようとする課題

0004

ところが、上記のように鋳造と鍛造とを組合せた場合、確かに、鍛造工程の簡素化を図ることができるのであるが、これをMg合金製部材の製造方法として採用したとしても、鍛造加工率限界があって当該部材の引張強度や耐力の向上については、それほど大きく期待することはできない。また、先に述べた鋳造組織の微細化は鍛造加工を含む塑性加工性の向上に有効であり、引張強度や耐力の向上が図ることができるのであるが、従来用いられてきたAl,MnあるいはZn等の合金元素の添加等による組織の微細化を利用して成形性を向上させるにも限度がある。一方、Mg合金部材を、例えば、自動車用のホイールなど外部環境にさらされる箇所に用いる場合には、より高い耐食性が求められる。

0005

そこで、本発明は、塑性加工性に優れ、引張強度および耐力さらには耐食性がより高いMg合金製部材およびその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。

0006

本願発明者は、かかる目的を達成するために鋭意研究した結果、一定範囲の量のストロンチウム(以下、その元素記号Srで表示する)を合金元素として用いると、Srにより鋳造組織が微細化されて塑性加工における成形性が高まるだけでなく、特に、Srがある程度以上多量に含有された場合には、Sr自体が結晶粒微細化とは別の方面から成形性の向上に寄与すること、更に、Sr含有量が比較的少ない場合でも、例えば鋳造時の凝固冷却速度が速い条件下などでは、Sr含有量が増加するに従って、鋳造組織が素材の表面近傍のみならずその内部までより微細化されること、また更に、Mg合金製部材がSrを含有することによってその耐食性が高まることを見出した。

0007

そして、上記課題を解決する手段として、本願の請求項1に記載された発明(以下、本願の第1の発明という)に係るMg合金製部材は、Srを0.02〜0.5重量%含有することを特徴としたものである。

0008

本願の第1の発明においては、Mg合金を鋳造後に塑性加工して上記Mg合金製部材を得る場合、Srを含有させることによって鋳造組織の微細化が図れるとともに、塑性加工における成形性が向上する。すなわち、鋳造組織の微細化は塑性加工における成形性の向上につながるが、Srを含有した溶湯で鋳造することによる鋳造組織の微細化効果は、一般に、Sr含有量が0.02重量%程度で飽和する。しかしながら、鋳造時の凝固冷却速度が速い条件下などでは、0.02重量%以上の範囲でも、Sr含有量が増加するに従って組織がより微細化され、特に、素材の表面近傍のみならずその内部まで微細化される(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本発明では、このSrを0.02重量%以上含有させており、鋳造組織がより微細化され、塑性加工における成形性がより向上し、引張強度および耐力がより高くなる。上記Srは0.1重量%以上含有されることが望ましい。Srを0.1重量%以上含有することによって、鋳造時の凝固冷却速度が特に速くない場合でも、Sr含有量が比較的低いものに比べて高い塑性加工性が得られ、機械的性質も向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。その理由は明確ではないが、Sr含有量が比較的高い(0.1重量%以上)場合には、Srは結晶粒の微細化効果だけで成形性の向上に寄与しているのではなく、多量に用いられていることによって別の形でも成形性の向上に寄与しているものと認められる。すなわち、SrがMg合金の結晶粒界近傍高濃度に存在して結晶粒界強化し、成形時の結晶粒界からの割れを抑制しているのではないかと、推察される。

0009

この第1の発明において、Sr含有量の下限を0.02重量%としているのは、Mg合金の鋳造組織の微細化効果、従ってMg合金製部材の機械的性質の向上について所期の効果が得られるようにするためである。また、上限を0.5重量%としているのは、Sr含有量がこれよりも多くなると、Mg,Al,Zn等との化合物を生成し、部材の機械的性質に悪影響を及ぼすからであり、また、鋳造が困難になるからである。尚、Srは非常に高価な材料であるので、材料特性の向上と経済性とを両立させるためには、上限としてさらに好ましいのは0.2重量%である。

0010

また、Mg合金製部材にSrを含有させた場合、その含有量が高くなるに従って当該部材の耐食性が向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本発明に係るMg合金製部材は、Srを0.02〜0.5重量%含有しており、より高い耐食性が得られる。

0011

また、本願の請求項2に記載された発明(以下、本願の第2の発明という)に係るMg合金製部材の製造方法は、Srを0.02〜0.5重量%含有するMg合金溶湯によってMg合金製素材を鋳造する工程と、該Mg合金製素材を所定形状のMg製合金製部材に塑性加工する工程とを順に行なうことを特徴としたものである。

0012

本願の第2の発明においては、Mg合金製部材を製造するに際して、Mg合金溶湯でMg合金製素材を鋳造した後に、この素材を塑性加工するようにした。この場合、Srを含有させることによって鋳造組織の微細化が図れるとともに、塑性加工における成形性が向上する。すなわち、鋳造組織の微細化は塑性加工における成形性の向上につながるが、Srを含有した溶湯で鋳造することによる鋳造組織の微細化効果は、一般に、Sr含有量が0.02重量%程度で飽和する。しかしながら、鋳造時の凝固冷却速度が速い条件下などでは、0.02重量%以上の範囲でも、Sr含有量が増加するに従って組織がより微細化され、特に、素材の表面近傍のみならずその内部まで微細化される(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本発明では、このSrを0.02重量%以上含有させており、鋳造組織がより微細化され、塑性加工における成形性がより向上し、引張強度および耐力がより高くなる。上記Srは0.1重量%以上含有されることが望ましい。Srを0.1重量%以上含有することによって、鋳造時の凝固冷却速度が特に速くない場合でも、Sr含有量が比較的低いものに比べて高い塑性加工性が得られ、機械的性質も向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。その理由は明確ではないが、Sr含有量が比較的高い(0.1重量%以上)場合には、Srは結晶粒の微細化効果だけで成形性の向上に寄与しているのではなく、多量に用いられていることによって別の形でも成形性の向上に寄与しているものと認められる。すなわち、SrがMg合金の結晶粒界近傍に高濃度に存在して結晶粒界を強化し、成形時の結晶粒界からの割れを抑制しているのではないかと、推察される。

0013

この第2の発明において、Sr含有量の下限を0.02重量%としているのは、Mg合金の鋳造組織の微細化効果、従ってMg合金製部材の機械的性質の向上について所期の効果が得られるようにするためである。また、上限を0.5重量%としているのは、Sr含有量がこれよりも多くなると、Mg,Al,Zn等との化合物を生成し、部材の機械的性質に悪影響を及ぼすからであり、また、鋳造が困難になるからである。尚、Srは非常に高価な材料であるので、材料特性の向上と経済性とを両立させるためには、上限としてさらに好ましいのは0.2重量%である。

0014

また、Mg合金製部材にSrを含有させた場合、その含有量が高くなるに従って当該部材の耐食性が向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本発明に係るMg合金製部材は、Srを0.02〜0.5重量%含有しており、より高い耐食性が得られる。

0015

更に、本願の請求項3に記載された発明(以下、本願の第3の発明という)に係るMg合金製部材の製造方法は、上記第2の発明において、上記鋳造工程では、上記Mg合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにSrの含有量を調整することを特徴としたものである。

0016

ここに、上記鋳造工程で、上記Mg合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにSrの含有量を調整するようにしたのは、当該素材の塑性加工性を高めるためである。

0017

また、更に、本願の請求項4に記載された発明(以下、本願の第4の発明という)に係るMg合金製部材の製造方法は、上記第2の発明または第3の発明において、上記塑性加工として鍛造加工を採用することを特徴としたものである。

0018

ここに、上記塑性加工として鍛造加工を採用したのは、その後の熱処理(溶体化処理)によって結晶粒の微細化を図り強度向上を図る上で有利になるからである。

0019

また、更に、本願の請求項5に記載された発明(以下、本願の第5の発明という)に係るMg合金製部材の製造方法は、溶融状態で、Srを0.02〜0.5重量%含有されるように添加する工程と、このSrを含有するMg合金溶湯によってMg合金製素材を鋳造する工程と、該Mg合金製素材を所定形状のMg合金製部材に鍛造加工する工程とを順に行なうことを特徴としたものである。

0020

本願の第5の発明においては、Mg合金製部材を製造するに際して、Mg合金溶湯でMg合金製素材を鋳造した後に、この素材を鍛造加工するようにした。この場合、溶融状態で上記重量%のSrが含有されるようにSrを添加することによって鋳造組織の微細化が図れるとともに、鍛造加工における成形性が向上する。すなわち、鋳造組織の微細化は鍛造加工における成形性の向上につながるが、Srを含有した溶湯で鋳造することによる鋳造組織の微細化効果は、一般に、Sr含有量が0.02重量%程度で飽和する。しかしながら、鋳造時の凝固冷却速度が速い条件下などでは、0.02重量%以上の範囲でも、Sr含有量が増加するに従って組織がより微細化され、特に、素材の表面近傍のみならずその内部まで微細化される(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本第5の発明では、このSrを0.02重量%以上含有させており、鋳造組織がより微細化され、鍛造加工における成形性がより向上し、引張強度および耐力がより高くなる。上記Srは0.1重量%以上含有されることが望ましい。Srを0.1重量%以上含有することによって、鋳造時の凝固冷却速度が特に速くない場合でも、Sr含有量が比較的低いものに比べて高い塑性加工性が得られ、機械的性質も向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。その理由は明確ではないが、Sr含有量が比較的高い(0.1重量%以上)場合には、Srは結晶粒の微細化効果だけで成形性の向上に寄与しているのではなく、多量に用いられていることによって別の形でも成形性の向上に寄与しているものと認められる。すなわち、SrがMg合金の結晶粒界近傍に高濃度に存在して結晶粒界を強化し、成形時の結晶粒界からの割れを抑制しているのではないかと、推察される。

0021

この第5の発明において、Sr含有量の下限を0.02重量%としているのは、Mg合金の鋳造組織の微細化効果、従ってMg合金製部材の機械的性質の向上について所期の効果が得られるようにするためである。また、上限を0.5重量%としているのは、Sr含有量がこれよりも多くなると、Mg,Al,Zn等との化合物を生成し、部材の機械的性質に悪影響を及ぼすからであり、また、鋳造が困難になるからである。尚、Srは非常に高価な材料であるので、材料特性の向上と経済性とを両立させるためには、上限としてさらに好ましいのは0.2重量%である。

0022

また、Mg合金製部材にSrを含有させた場合、その含有量が高くなるに従って当該部材の耐食性が向上する(この点は後述する実施例によって明らかになる)。本第5の発明に係るMg合金製部材は、Srを0.02〜0.5重量%含有しており、より高い耐食性が得られる。

発明の効果

0023

以上のように、本願の第1の発明によれば、Mg合金製部材に0.02〜0.5重量%のSrを含有させることにより、当該Mg合金製部材を鋳造後に塑性加工して製造した場合に、塑性加工時の成形性が向上し、引張強度および耐力等の機械的性質が高くなる。また、Srを含有することにより、Mg合金製部材の耐食性が高くなる。

0024

また、本願の第2の発明によれば、Mg合金製部材を製造するに際して、Srを0.02〜0.5重量%含有するMg合金溶湯によってMg合金製素材を鋳造し、該Mg合金製素材を所定形状のMg合金製部材に塑性加工するようにしたから、鋳造組織の微細化を図ることができるとともに、塑性加工時の成形性を飛躍的に高めることができ、Mg合金製部材の引張強度および耐力等の機械的性質の向上を図ることが可能になる。また、Srを含有することにより、Mg合金製部材の耐食性を高めることができる。

0025

更に、本願の第3の発明によれば、基本的には、上記第2の発明と同様の効果を奏することができる。特に、鋳造工程では上記Mg合金製素材の平均結晶粒径が200μm以下となるようにSr量を調整したので、当該素材の塑性加工性をより確実に高めることができる。

0026

また、更に、本願の第4の発明によれば、基本的には、上記第2の発明または第3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記塑性加工として鍛造加工を採用したので、その後の熱処理(溶体化処理後時効処理)によって結晶粒の微細化を図ることができ、強度の高いMg合金製部材を得る上で有利になる。

0027

また、更に、本願の第5の発明によれば、Mg合金製部材を製造するに際して、溶融状態で0.02〜0.5重量%のSrが含有されるようにSrを添加したMg合金溶湯によってMg合金製素材を鋳造し、該Mg合金製素材を所定形状のMg合金製部材に鍛造加工するようにしたから、鋳造組織の微細化を図ることができるとともに、鍛造加工時の成形性を飛躍的に高めることができ、Mg合金製部材の引張強度および耐力等の機械的性質の向上を図ることが可能になる。また、Srを含有することにより、Mg合金製部材の耐食性を高めることができる。

0028

以下、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら説明する。まず、Sr(ストロンチウム)含有量のMg(マグネシウム)合金製部材の機械的性質に及ぼす影響を調べた第1実施例について説明する。本実施例では、それぞれ所定量のSrを含有するMg合金製部材を基材とした5種類の供試片(試料)を作成し、これらの試料について、その機械的性質(引張強度および耐力)等を比較する実験を行った。

0029

−試料1−
試料1については、下記の化学成分(重量%)のMg合金Aを用いてMg合金製素材を鋳造した。
〈Mg合金A〉Al:8.6,Zn:0.58,Mn:0.50,Sr:0.10, 残Mg
鋳造時の注湯温度は750〜760℃、金型予熱温度は210〜230℃とした。但し、Srについては、図1に示すように、溶湯温度が750〜760℃に上昇した時点で、90%Sr−10%Al合金を上記成分量となるように添加することによって配合した。また、当該添加後に溶湯を上記温度に保持した状態で10分間攪拌し15分間沈静させてから鋳造を行なった。鋳造によって得られたMg合金製素材の平均結晶粒径は115〜180μm(素材表面近傍で115μm; 素材中心部で180μm)であった。

0030

次に、上記Mg合金製鋳造素材に図2に示すように鍛造成形(塑性加工)を施した。同図において、1は当該Mg合金製素材、3はダイ、4はパンチ、5は鍛造品である。素材温度は350℃とした。また、次式で定義される鍛造加工率は50%とした。
・ 鍛造加工率={(H−H')/H}×100
尚、H及びH'は、それぞれ鍛造前後における供試材鍛造方向の高さである(図2参照)。また、同時に鍛造成形限界について調べた。すなわち、供試材に割れ7を発生した時点の鍛造加工率を鍛造成形限界とした。

0031

次に、得られた鍛造品5に熱処理(T6)を施した。熱処理条件は次の通りである。
ID=000007HE=015 WI=083 LX=0635 LY=1350

0032

−試料2−
試料2については、上記Mg合金Aを用いて試料1と同様にMg合金製素材を鋳造し、鍛造加工率が65%となるように鍛造成形を行なった。そして、得られた鍛造品に試料1と同じ熱処理(T6)を施した。

0033

引張試験
そうして、上記試料1,2の各熱処理品図3に示す棒状の引張試験片6に加工した。同図において、L1=42、L2=17、L3=2、L4=8、D1=4±0.03、D2=4.5、ねじ部はM6×1.0(以上の単位はmm)である。そして、上記試験片6を用いて引張試験を行ない、引張強度及び0.2%耐力を測定した。試験結果は試料3〜5と共に表1に示されている。同表中の試料3及び試料42は下記のMg合金Bを用いたものであって、試料3はSr量を0.02重量%とした点及び鍛造を行なわなかった点が試料1と相違し、試料4はSr量のみが試料1と相違する。また、試料5はMg合金Aを用いたものであって、鍛造を行なわなかった点のみが試料1と相違する。
〈Mg合金B〉Al:8.6,Zn:0.58,Mn:0.50,Sr:0.02,残Mg
このMg合金Bの鍛造前の平均結晶粒径は125〜285μm(素材表面近傍で125μm;素材中心部で285μm)であり、上記Mg合金Aと比べて、素材表面近傍については大きな差はなかっが、素材中心部についてはかなりの差が認められた。これは、鋳造時の冷却速度が十分に速くなかったためと考えられる。

0034

0035

尚、上記Mg合金A,Mg合金Bを用いて鋳造成形された鋳造素材の正面形状図4に示す。また、得られたMg合金製鋳造素材9の平均結晶粒径を測定する場合の測定位置を図5に示す。これら図4および図5において2点鎖線仮想線は、上記Mg合金製鋳造素材9の鋳造に用いられた金型8の外形形状を示している。上記引張試験に用いた各試験片6は、上記Mg合金製鋳造素材9から切り出した後に鍛造したもの及び鍛造を行わなかったものの両方ともに、上記鋳造素材9の表面に比較的近い部分、つまり、組織の結晶粒が比較的微細な部分から採取したものである。一方、鍛造成形限界を調べるための供試材の場合には、上記鋳造素材9の中心部に比較的近い部分、つまり、組織の結晶粒が比較的粗大な部分をも含んで採取されている。

0036

−試験結果について−
鍛造成形限界はSr量が0.10重量%のMg合金Aの溶湯を用いたものでは67%であるのに対し、Sr量が0.02重量%のMg合金Bの溶湯を用いたものでは52%であり、多量のSrを含有したものでは鍛造成形性が向上していることが分かる。すなわち、Sr0.02重量%以上では鋳造組織の微細化効果がほぼ飽和し、一般にそれ以上の微細化は望めないはずであるが、Srが多いMg合金Aを用いた試料(試料1,2)では、Srが少ないMg合金Bを用いた試料(試料3,4,5)に比べて鍛造成形性が高くなっている。これは、基本的には、Srが結晶粒の微細化によって鍛造成形性の向上に寄与するだけでなく、SrがMg合金の結晶粒界近傍に高濃度に存在して結晶粒界を強化し、成形時の結晶粒界からの割れを抑制することで鍛造成形性の向上に寄与しているからではないかと推察される。尚、鋳造素材を鍛造加工する場合、良好な鍛造成形を安定して行うには、通常、その成形限界が60%を越える鍛造成形性が必要とされるが、Sr含有量が少ない(0.02重量%)Mg合金Bを用いた試料3,4,5では、その鍛造成形限界がこの基準値をかなり下回っている。これは、上述のように、Mg合金Bの場合には、その鋳造素材の中心部の結晶粒径がMg合金Aの場合に比べてかなり粗大(285μm)になっており、かつ、鍛造成形限界を調べるための供試材の場合には、上述のように、上記鋳造素材9の中心部に比較的近い部分をも含んで採取されている関係上、供試材中に結晶粒径がかなり粗大(285μm)な部分が含まれることとなるためであると推察される。

0037

熱処理後の引張強度及び耐力についてみると、試料1は、試料3〜試料5のいずれと比べても引張強度及び耐力が共に向上している。試料1及び試料4が試料3,5よりも良い結果を示しているのは、鍛造によって加工のエネルギーが材料内部に歪みとしてたくわえられ、その後の熱処理によって結晶粒の微細化が図れたためと認められる。

0038

また、試料1と試料4とを比べた場合、同じ鍛造加工率でありながら、試料1の方が結果が良い。この理由は、試料4の場合は鍛造成形限界が試料1に比べて低く、その成形限界の比較的近くまで鍛造加工が施されていることと、試料1の場合には、Srをより多く含有しているので、Mg合金の結晶粒界近傍にSrが高濃度に存在して結晶粒界を強化し、引張試験時に発生する結晶粒界に沿ったクラック進展を阻止しているためではないかと考えられる。更に、試料2の方が試料1よりも良い結果となっているのは、鍛造加工率が高くなっているためと認められる。

0039

次に、Sr含有量とMg合金製鋳造素材の結晶粒度との関係を調べた第2実施例について説明する。図6は、本実施例で用いた溶解実験装置を示している。この溶解実験装置11では、ケース12の中心部分にシリンダ13で上下動可能に支持された筒状のルツボ15が配置され、このルツボ15の周囲にはヒータ14が配設されている。上記ルツボ15は例えば軟鋼で形成され、ルツボ15内の溶融金属16(溶湯)の温度は熱電対17で計測できる。また、ルツボ15内の溶融金属16の表面にはガス供給管18から保護ガスが供給されるようになっている。

0040

また、図7は、本実施例で用いた鋳造実験装置を示している。この鋳造実験装置21では、ベース22の上方に、油圧シリンダ23に連結されたプランジャ24の下端部に支持された金型25が配置されている。図8に詳しく示すように、この金型25の上部にはエア抜き孔26,…,26が形成され、これらエア抜き孔26,…,26の上方は、溶融材吹き抜け防止のためのNi(ニッケル)セルメット27で覆われている。そして、上記金型25の下方に溶融金属16を入れたルツボ15を位置させ、プランジャ24を所定の荷重および速度で降下させることにより、図9に示すように、金型25の成形キャビティ25a内に溶融金属16が圧力注入される。この結果、図10に示すような鋳造素材29が得られる。本実施例では、この圧力注入条件について、例えば、プランジャ24の荷重を300kN、降下速度を30mm/sec.とした。

0041

本実施例では、表2にその化学成分を示す各試料について、上記各実験装置11,21を用いて鋳造を行い、Sr含有量と鋳造素材29の結晶粒度との関係を調べた。実験結果を図12に示す。この図12グラフにおいて、丸印は鋳造素材29の比較的表面近傍での結晶粒度を、また、三角印は鋳造素材29の比較的内部での結晶粒度を示している。尚、図11は、図10のX−X線に沿った縦断面図であり、上記鋳造素材29の表面近傍および内部での結晶粒度の測定位置を示している。

0042

0043

図12の実験結果から、Srを含まない場合には、表面近傍では比較的小さい粒度を維持できるものの、内部では結晶粒度が大きくなっている。これに対して、Sr含有量が0.02重量%以上の場合には、表面近傍だけでなく、特に、内部での結晶粒が大幅に微細化されており、その含有量が下限値(0.02重量%)の場合でも、結晶粒度は200μm以下に抑制されていることが分かる。尚、本第2実施例の場合、上述の第1実施例とは鋳造方法が異なり、より速い冷却速度を確保することができるため、仮に同成分の合金を鋳造したとしても、得られる鋳造組織が異なる。つまり、両者における鋳造素材内部にも部位による差異はあるが、全般的に第2実施例の方が第1実施例に比べて、結晶粒度が小さい鋳造組織が得られる。

0044

このMg合金製鋳造素材の結晶粒度と塑性加工性との関係を調べる実験を行った。この実験は、下記表3に示す化学成分(重量%)のMg合金を用いて鍛造用素材(直径28mm×高さ42mm)を鋳造し、この鋳造素材を、図2(第1実施例参照)に示された方法と同様の方法にて据え込み加工(つまり鍛造加工)を施して行った。そして、第1実施例における鍛造成形限界を評価する場合と同様に、供試材を徐々に圧縮(据え込み)した際に、その表面に微細なクラックが発生するまでの圧縮代で据え込みによる成形性を評価した。また、実験条件は以下に示す通りであった。
・素材温度: 350℃
・ 据え込み時の歪み速度: 低速

0045

0046

実験結果を図13に示す。鋳造素材を鍛造加工する場合、良好な鍛造成形を安定して行うには、通常、限界据え込み率60%を越える鍛造成形性が必要とされるが、このような良好な鍛造成形性を得るためには、平均結晶粒径を200μm以下とする必要があることが分かった。換言すれば、このように、鋳造素材29の組織を結晶粒度が200μm以下となるように微細化することにより、良好な塑性加工性(鍛造成形性)が得られる。

0047

次に、Sr含有量とMg合金製部材の耐食性との関係を調べた第3実施例について説明する。本実施例では、下記の表4に示すように、それぞれ所定量のSrを含有したMg合金を加熱溶解し、そのMg合金溶湯を用いて鋳造した後、所定の塑性加工(鍛造)を行い、その後に熱処理としてT6処理を施した試料から、板状の試験片をそれぞれ作成した。

0048

0049

上記各試料の鍛造加工率はいずれも30%とし、また、熱処理(T6処理)条件は第1実施例の場合と同様で、以下の通りとした。
ID=000008HE=015 WI=083 LX=0635 LY=0900
更に、上記板状試験片の寸法は以下の通りとした。
試験片寸法: 幅50mm×長さ90mm×厚さ5mm
この試験片を用いて、JIS Z 2371の規定に準じた塩水噴霧試験による腐食試験を行った。試験条件を以下に示す。
試験温度: 35℃
塩水濃度: 5重量%
・試験時間 : 1000時間,2000時間

0050

試験結果を図14に示す。この図14のグラフから分かるように、Sr含有量が多くなるに従って腐食減量が少なくなり、Srの添加がMg合金製部材の耐食性を向上させることが確認された。

図面の簡単な説明

0051

図1本発明の第1実施例に係るMg合金製部材の鋳造時における溶湯処理タイムチャート図である。
図2第1実施例に係るMg合金製鋳造素材の鍛造成形限界を調べる試験方法および供試材を示す説明図である。
図3第1実施例に係る引張試験片の正面図である。
図4上記Mg合金製鋳造素材の素材形状を示す正面図である。
図5図4のY−Y線に沿った縦断面説明図である。
図6本発明の第2実施例に係る溶解実験装置の説明図である。
図7上記第2実施例に係る鋳造実験装置の説明図である。
図8上記鋳造実験装置を用いて行う鋳造工程の一部を示す縦断面説明図である。
図9上記鋳造工程の一部を示す縦断面説明図である。
図10上記鋳造工程によって得られた鋳造素材の斜視図である。
図11図10のX−X線に沿った縦断面説明図である。
図12第2実施例に係るMg合金製鋳造素材の結晶粒度とSr含有量との関係についての実験結果を示すグラフである。
図13第2実施例に係るMg合金製鋳造素材の結晶粒度と塑性加工性との関係についての実験結果を示すグラフである。
図14本発明の第3実施例に係るMg合金製部材の耐食性とSr含有量との関係についての実験結果を示すグラフである。

--

0052

1…素材
3…ダイ
4…パンチ
5…鍛造品
7…割れ
8,25…金型
9,29…鋳造素材

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