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目的
構成
概要
背景
ねじり振動を利用する用途は幅広く、超音波モータ、振動ジャイロ、工作機械等がある。このような目的のために、周方向に分極をほどこし、厚み方向に駆動電圧を印加して周方向にすべり振動を発生させる電歪素子を用い、この電歪素子をその両側より金属材にて一体的に挟持して共振振動させるものが提案されている。この従来の電歪素子の一例を図6に基いて説明する。即ち、円環状電歪素子1の一方の面から側面をえて他表面にわたる多数の電極2を周方向に対して均等に設け、隣合う電極間に直流高電圧を印加して矢印のごとくに周方向に順次全ての電極について分極を行い、全周の分極後、全ての電極を除去し、しかるのちに、両面を再ラップして分極による面の荒れを修正し、再度両面に電極を設けて電歪素子を形成しているものである。そして、ねじり振動発生体としては、特公昭50−9159号公報にみられるように、複数枚の電歪素子を電気的に並列に重ね合せ、その両面に金属材を接合させて中心ボルト等により一体的に締着しているものである。
概要
歩留が良く、分極処理時間を短縮できるねじり圧電素子およびその分極処理方法を提供することにある。
本発明のねじり圧電素子は、周方向に分極処理がなされた複数の電極を有し、隣接する電極間の分極強度が異なることを特徴とし、このねじり圧電素子の分極処理は、例えば、軸対称形状の圧電素子の上下面あるいは側面、又はその両者に、複数の分極処理用の電極2c、2d、2eを周方向距離が互い違いに異るように設け、その隣接する電極に互い違いに電圧を加え、全体が周方向に十分に分極されるまで分極を行った後、加える電圧を反転させ、電極間隔の狭い間(2c−2d)のみが十分に分極されるまでの時間分極し、その後上下面全面に駆動電圧印加用の電極を設けたことを特徴とするものである。
目的
効果
実績
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技術分野
背景技術
0002
ねじり振動を利用する用途は幅広く、超音波モータ、振動ジャイロ、工作機械等がある。このような目的のために、周方向に分極をほどこし、厚み方向に駆動電圧を印加して周方向にすべり振動を発生させる電歪素子を用い、この電歪素子をその両側より金属材にて一体的に挟持して共振振動させるものが提案されている。この従来の電歪素子の一例を図6に基いて説明する。即ち、円環状電歪素子1の一方の面から側面をえて他表面にわたる多数の電極2を周方向に対して均等に設け、隣合う電極間に直流高電圧を印加して矢印のごとくに周方向に順次全ての電極について分極を行い、全周の分極後、全ての電極を除去し、しかるのちに、両面を再ラップして分極による面の荒れを修正し、再度両面に電極を設けて電歪素子を形成しているものである。そして、ねじり振動発生体としては、特公昭50−9159号公報にみられるように、複数枚の電歪素子を電気的に並列に重ね合せ、その両面に金属材を接合させて中心ボルト等により一体的に締着しているものである。
0003
しかしながら、前述の電歪素子においては、周方向に残留分極を与えるためには隣合う電極間の分極処理を分極の数の回数だけ行わなければならない。しかも、周方向に揃えて分極しようとすれば、分割数が多くなり、その作業は非常に大変になる。
0004
また、分極形成時においては、部分的に行われるために分極歪みによる材料の割れが発生して歩止まりを低下させる。さらに、分割数が少ない場合ほど周方向の回り込みにより必要な分極を打ち消す形で他の部分に逆方向に電界を生じ、分極効果を低下させる。例えば、図6のように周方向に分極処理が8分割されている場合、電極2a,2b間に高圧電流の電圧を印加して分極を行うと、電極2a−2b間が矢印の方向に分極されたとき、近似的には他の7か所は1/7の強度で逆方向に分極されてしまう。従って、電圧を印加する箇所を順次変えて、同じ操作を繰り返すと、結果として、電極間、例えば電極2a−2b間の分極の強度は
1−(1/7)×7=0
のように、0となってしまう。
0005
本発明の目的を実現するねじり圧電素子の構成は、上下面全面に電極を有し、周方向に分極処理がなされたことを特徴とし、かかるねじり圧電素子の分極処理は、軸対称形状の圧電素子の上下面あるいは側面、又はその両者に、複数の分極処理用の電極を周方向距離が互い違いに異るように設け、その隣接する電極に互い違いに電圧を加え、全体が周方向に十分に分極されるまで分極を行った後、加える電圧を反転させ、電極間隔の狭い間のみが十分に分極されるまでの時間分極し、その後上下面全面に駆動電圧印加用の電極を設けたことを特徴とする。
0007
図1は第1の実施例を示す。
0008
ドーナツ状の電歪素子(以下PZTと略記)の表面から側面を経て裏面まで、8か所に電極2が設けられている。なお、裏面の電極パターンは表面と同じである。電極2は、隣合う電極間距離、即ち電極2c−電極2d間の距離と、電極2d−電極2e間の距離が異なるように配置されている。このようなPZTに、図(a)のように、直流電圧V1 を加え、各電極間に矢印で示した方向の分極を行う。
0009
いま、分極の強度は、図1(c)のように、時間の経過とともに強まり、ある一定値a2 に飽和する。電圧や分極温度が一定なら、電極間距離が短いとき、即ち電極2c−電極2d間のような場合には図1(c)の実線のように早く飽和に達し、電極間距離が長い(2d−2e間)ならば、図1(c)破線のように、飽和に達するまでに時間がかかる。そこで、図1の(a)の分極を、距離の短い電極間と長い電極間のどちらの電極間も飽和に達するまでの時間、即ちt2 以上、行う。その後に、図1の(b)のように、分極方向を変え、今度はt1 までの時間V2 =V1 なる電圧を加え、分極する。すると、電極2c−電極2d間は飽和し、分極の強度は反時計まわりにa2 となるが、電極2d−電極2eの分極強度は、1度目の反時計まわりの分極強度a2 から、2度めの時計まわりの分極強度a1 を差し引いた値、即ち反時計まわりにa2 −a1 となる。結果として、このPZTには、全周に渡って反時計まわりの分極が行われたことになる。
0010
なお、いまは分極電圧及び分極温度を一定として、分極時間をt2 及びt1 として2度の分極を行う例を示したが、分極電圧や分極温度を高くすると、飽和に達するまでの時間t1 ,t2 は短くなるので、1度めと2度めの電圧又は温度を変えてもよい。いずれにしても、1度めの分極では全体の分極強度が飽和するまで、2度めの分極では電極間隔の狭い部分のみが略飽和するまで、分極を行う。分極が終了したら図1に示した電極をとり除き、上下面全面に電極を設ける。すると、上下の電極間に電位差を加えると圧電素子は周方向にねじれ、逆に周方向にねじれると、上下の電極間に電位差が生じる。
0012
本実施例による圧電素子1および曲げ振動を検出するための圧電素子1が振動体3および4に挟持されている。圧電素子1に電圧Vcを印加すると、振動体5および6にはZ軸回りのねじり振動が発生する。いま、x軸又はy軸まわりに角速度が加わると、振動体3および4には上下方向のコリオリ力によってxz面内又はzy面内の曲げ振動が発生する。すると、圧電素子には角速度に比例した量の歪みに起因する電圧VA又はVBが発生する。このような作用により、x軸およびy軸回りの角速度を検出することができる。
0013
図3は第2の実施例である。
0014
第1の実施例では電極を多数個設けていたが、本実施例は電極を2か所21a,21bとしたもので、この場合、分極時の配線は単純化できるが、電極間距離は増大し、高電圧、高温、又は長時間の分極が必要である。この例の場合、1度めの分極は図3のように電圧を加えて全体の分極強度が飽和するまで分極する。その後V1 とグランドを逆にして、電極間隔の狭い手前の部分の分極強度が飽和するまで分極する。その結果、全体が時計回りに分極される。
0015
図4は第3の実施例を示す。
0016
第1の実施例では上面から側面を経て裏面まで電極が設けられていたが、この例では上下面のみに設けている。
0017
すなわち、側面に電極を設ける工程は複雑であって、この例では電極を設ける工程を単純化できる。
0018
図5は第4の実施例を示し、本実施例では側面のみに電極を設けている。
0019
すなわち、このように側面の面積が大きいときには、第2の実施例とは逆に、側面に電極を設ける方が容易であり、製造工程の単純化につながる場合もあり得る。
発明の効果
0020
以上に説明したように本発明によれば、簡単に、周方向同一方向に全面に分極された圧電素子が得られる。したがって、製造工程の簡素化、コストダウンにつながる。
図面の簡単な説明
0021
図1第1の実施例を示し、(a),(b)は分極処理の電圧印加方向を示す斜視図、(c)は残留分極の強度を示す図。
図2振動ジャイロの斜視図。
図3第2の実施例を示す斜視図。
図4第3の実施例を示す斜視図。
図5第4の実施例を示す斜視図。
図6従来のねじり圧電素子の斜視図。
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0022
1…圧電素子2…電極