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技術 植物細胞集団中の物質の測定方法、植物細胞集団の選別方法および植物系統の改良方法

出願人 日本製鉄株式会社日鉄ケミカル&マテリアル株式会社協和キリン株式会社
発明者 田原誠大橋広明坂本哲雄高見正道滝川健次
出願日 1993年12月22日 (25年9ヶ月経過) 出願番号 1993-324775
公開日 1995年7月21日 (24年2ヶ月経過) 公開番号 1995-181184
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 微生物、その培養処理
主要キーワード 母材料 乳ばち 成育状況 有色物質 グルタアルデヒド 乾物重 セルロースアセテート膜 イチイ属植物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年7月21日)のものです。
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図面 (2)

目的

本発明は、高効率で所望の細胞集団選別するための基準となる、植物の細胞集団中の特定物質の量を高い信頼度および精度で、迅速かつ簡易に決定する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別し、選別した細胞集団を増殖することにより植物の系統を改良する方法を提供することを目的とする。

構成

植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定することを特徴とする、植物の細胞集団中の特定物質の測定方法。前記の方法により決定された特定物質の量を基準にして細胞集団を選別する方法、および、このようにして選別した細胞集団を増殖することにより、植物の系統を改良する方法。

概要

背景

医薬品や工業原料として利用される数多くの有用物質が植物から生産されている。このような有用物質は、自然界の草木栽培した植物体から、あるいは、植物の培養細胞培養組織からの抽出によって生産されるが、生産効率の点から植物の培養細胞や培養組織から生産されることが望ましい。しかしながら、植物の培養細胞や培養組織からの有用物質の生産は、シコニンなどの有色物質の生産を除くと、実用化されているものは少ない。この主な理由の一つとしては、培養細胞や培養組織が有する有用物質の生産能を維持あるいは改良するための有効な手段が限られていることが挙げられる。

培地中での増殖と新しい培地への植継ぎを繰り返す培養細胞または培養組織の一つのまとまり系統と呼んでいる。植物の培養細胞または培養組織について、有用物質の生産能を維持あるいは改良する方法としては、培養中の系統の中から該有用物質の生産能が高いものを見いだし、これらを選別して増殖することが効果的である。このための従来の技術としては、1)細胞色彩によって特定の細胞を選別し増殖する方法、2)クローン株を作りその一部を破砕し、有用物質を抽出または濃縮して定量し、その結果を基準に特定のクローンを選別し、選別したクローンと同一の未破砕の細胞を増殖する方法、3)培地に加えたアミノ酸アナログなどに対する耐性を利用して選別し増殖する方法等が提唱されている(山田康之編著「植物細胞培養マニュアル」、1984年、講談社サイエンティフィク)。しかしながら、これらの方法は、1)の方法の中でも有用物質が有色で、その色彩によって該有用物質の高含有細胞を選別し増殖する方法を除くと、選別の指標細胞中の有用物質の含有量との間に必ずしも相関関係がないこと、有用物質の定量方法の精度が十分でないこと、作業量が多く多数の細胞や組織を短時間に扱えないことなどの欠点を有している。

概要

本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別するための基準となる、植物の細胞集団中の特定物質の量を高い信頼度および精度で、迅速かつ簡易に決定する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別し、選別した細胞集団を増殖することにより植物の系統を改良する方法を提供することを目的とする。

植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定することを特徴とする、植物の細胞集団中の特定物質の測定方法。前記の方法により決定された特定物質の量を基準にして細胞集団を選別する方法、および、このようにして選別した細胞集団を増殖することにより、植物の系統を改良する方法。

目的

従って、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別するための基準となる、植物の細胞集団中の特定物質を高い信頼度および精度で、迅速かつ簡易に測定する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別する方法を提供することを目的とする。

さらに、本発明は、高効率で所望の細胞集団から構成されるように、植物の系統を改良する方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定することを特徴とする、植物の細胞集団中の特定物質の測定方法

請求項2

植物の細胞集団が、細胞塊器官組織、またはこれらの混合物である、請求項1記載の方法。

請求項3

植物の細胞に存在する特定物質が、植物の生産する一次代謝産物または二次代謝産物である、請求項1記載の方法。

請求項4

植物の細胞に存在する特定物質が、微生物を構成する物質または微生物が生産する物質である、請求項1記載の方法。

請求項5

植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定し、次いでその特定物質の量を基準にして細胞集団を選別することを特徴とする、植物の細胞集団の選別方法

請求項6

植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定し、次いでその特定物質の量を基準にして細胞集団を選別し、選別した植物の細胞集団を増殖することにより、植物の系統を改良する方法。

技術分野

0001

本発明は、植物の細胞集団中の特定物質測定方法植物細胞集団選別方法および植物系統改良方法に関し、さらに詳細には、植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体を用いて植物の細胞集団中の特定物質を測定する方法、並びにその方法を利用して植物の細胞集団を選別する方法および植物の系統を改良する方法に関する。

背景技術

0002

医薬品や工業原料として利用される数多くの有用物質が植物から生産されている。このような有用物質は、自然界の草木栽培した植物体から、あるいは、植物の培養細胞培養組織からの抽出によって生産されるが、生産効率の点から植物の培養細胞や培養組織から生産されることが望ましい。しかしながら、植物の培養細胞や培養組織からの有用物質の生産は、シコニンなどの有色物質の生産を除くと、実用化されているものは少ない。この主な理由の一つとしては、培養細胞や培養組織が有する有用物質の生産能を維持あるいは改良するための有効な手段が限られていることが挙げられる。

0003

培地中での増殖と新しい培地への植継ぎを繰り返す培養細胞または培養組織の一つのまとまりを系統と呼んでいる。植物の培養細胞または培養組織について、有用物質の生産能を維持あるいは改良する方法としては、培養中の系統の中から該有用物質の生産能が高いものを見いだし、これらを選別して増殖することが効果的である。このための従来の技術としては、1)細胞の色彩によって特定の細胞を選別し増殖する方法、2)クローン株を作りその一部を破砕し、有用物質を抽出または濃縮して定量し、その結果を基準に特定のクローンを選別し、選別したクローンと同一の未破砕の細胞を増殖する方法、3)培地に加えたアミノ酸アナログなどに対する耐性を利用して選別し増殖する方法等が提唱されている(山田康之編著「植物細胞培養マニュアル」、1984年、講談社サイエンティフィク)。しかしながら、これらの方法は、1)の方法の中でも有用物質が有色で、その色彩によって該有用物質の高含有細胞を選別し増殖する方法を除くと、選別の指標細胞中の有用物質の含有量との間に必ずしも相関関係がないこと、有用物質の定量方法の精度が十分でないこと、作業量が多く多数の細胞や組織を短時間に扱えないことなどの欠点を有している。

発明が解決しようとする課題

0004

従って、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別するための基準となる、植物の細胞集団中の特定物質を高い信頼度および精度で、迅速かつ簡易に測定する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高効率で所望の細胞集団を選別する方法を提供することを目的とする。

0005

さらに、本発明は、高効率で所望の細胞集団から構成されるように、植物の系統を改良する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、この測定値を従来の方法(すなわち、細胞集団から特定物質を抽出してその量を測定する方法)に従って測定した値と比較したところ有意な相関があることを見出した。さらに、本発明者らは、上記の方法に従って、特定物質の含有量が多いと決定された細胞集団を選別し増殖したところ、増殖した細胞集団における前記物質の含有量が多かったこと、また逆に、該植物の細胞に存在する物質の量が少ないと決定された細胞集団を選別し増殖したところ、増殖した細胞集団における前記物質の含有量が少なかったことを確認して、本発明を完成させるに至った。

0007

すなわち、本発明は、植物の細胞集団を、該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定し、その測定値から該細胞集団中の特定物質の量を決定することを特徴とする、植物の細胞集団中の特定物質の測定方法を提供するものである。また、本発明は、上記の方法によって決定された特定物質の量を基準にして細胞集団を選別することを特徴とする、植物の細胞集団の選別方法を提供するものである。さらに、本発明は、上記の選別方法により選別された植物の細胞集団を増殖することを特徴とする、植物の系統を改良する方法を提供するものである。

0008

本発明において、細胞集団とは、ひとかたまりの複数の細胞をいうものとし、これには、細胞塊器官、組織、およびこれらの混合物が含まれる。本発明に従って測定される物質は、当該植物の細胞に存在する物質であって、それ自体が免疫原性を有しているか、または、他のタンパク質と結合させることによりその物質に対する免疫原性を付与できるものであれば、いかなるものであってもよい。具体的には、植物が生産する有機酸、糖、脂質、アミノ酸核酸、タンパク質等の一次代謝産物、またはテルペン類ステロイド類アルカロイド芳香族化合物等の二次代謝産物、植物細胞に存在するウイルス、細菌、酵母または糸状菌等の微生物を構成するタンパク、脂質、糖類などの物質、あるいは、これらの微生物が生産する抗生物質ファイトトキシン等の物質を例示することができる。

0009

このような物質に対する抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらでもよく、また、少なくとも抗原認識部位を有していれば、抗体の一部であっても使用できる。上記のような抗体は、公知の方法、例えば、Ed Halowand David Lane 著 "Antibodies, A Laboratory Manual", 1988, Cold SpringHarbor Laboratory や P. Tijssen 著、石川栄治監訳「エンザイムイムノアッセイ生化学実験講座11、1989年、東京化学同人に記載された方法などで作成することができる。

0010

植物の細胞集団は、固形状の培地または液体状の培地のどちらで培養してもよいが、固形状の培地で培養する場合には、抗体と反応させる細胞集団に培地が付着しないように細胞集団のみを切除し利用することが好ましく、また、液体状の培地で培養する場合には、抗体と反応させる細胞集団を新鮮な培地であらかじめ洗浄しておくことが好ましい。

0011

植物の細胞集団を該植物の細胞に存在する特定物質に対する抗体と反応させた後、その遊離抗体の量を測定する手順は、遊離抗体の量が正確に求められる方法であれば、いかなる方法であってもよい。その一例としては、以下のような手順が挙げられる。まず、抗体を適当な緩衝液希釈した抗体液容器中に準備する。ここで用いられる容器としては、抗原抗体反応に際して抗体などの成分を非特異的に吸着することの少ない材質、例えば、テフロンポリプロピレンなどで作られたものが好ましい。抗体を希釈するための緩衝液としては、50mMリン酸緩衝液(pH7.0、150mM塩化ナトリウム含有)などの公知の緩衝液、または、MS(Murashige & Skoog)培地、SH(Scenk & Hildebrandt)培地などの植物細胞用の培養液が利用できる。抗体液の量は、反応させる細胞集団全体を浸漬できる量であればよい。抗体液中の抗体濃度は、細胞集団と反応させることによって変化する遊離抗体量を細胞集団間で正確に比較できるように調整することが好ましい。

0012

次いで、この抗体液に植物の培養細胞集団を浸漬して抗原抗体反応を行わせる。培養細胞集団は、該植物の細胞に存在する特定物質の量を迅速かつ正確に推定するには、0.5mg以上の重量あるいは直径1mm以上の大きさであることが好ましく、また、培養細胞集団の単位重量または容積当たりの特定物質の量を培養細胞集団の間で迅速かつ簡便に比較するためには、培養細胞集団の大きさをできる限りそろえることが好ましい。抗原抗体反応は、通常、適温下で反応がおおよそ平衡化するまでの時間行う。

0013

その後、反応液採取して、あらかじめ抗原である前記の植物の細胞に存在する特定物質を固相化しておいた容器に移して、遊離抗体を固相化した特定物質に捕捉する。抗原物質は、固相化用のプラスチック容器への物理的吸着、固相化用のポリスチレングルタアルデヒド処理し共有結合させる方法、固相化用のプラスチックへの結合性の弱い抗原は、BSAなどの橋渡しをする物質により結合させる方法など(P.Tijssen 著、石川栄治監訳「エンザイムイムノアッセイ」生化学実験講座1、1989年、東京化学同人)により、固相化することができる。また、遊離抗体は、反応液を上記の抗原抗体反応と同様の反応条件下で反応させることにより固相化した特定物質に捕捉することができる。

0014

次いで、捕捉した抗体の量を測定する。捕捉した抗体の定量は、たとえば、"Antibody Capture Immunoassays." (Ed Halow and David Lane 著 "Antibodies,A Laboratory Manual", 1988, Cold Spring Harbor Laboratory)などの公知の方法で行うことができる。以上の操作は、遊離抗体量を測定した培養細胞集団を継続して培養しようとする場合には、微生物などの汚染が生じないよう、すべての操作を無菌的に行うことが好ましい。

0015

上記のようにして測定される遊離抗体の量が少ない場合には、細胞集団中の該植物の細胞に存在する抗原物質の量が多いと決定することができ、また逆に、遊離抗体の量が多い場合には、培養細胞集団中の前記物質の量が少ないと決定することができる。あるいは、同じ系統の植物の同量の細胞集団から該植物の細胞に存在する特定物質を抽出して定量し、この数値と上記の方法により測定された遊離抗体の量との間で数量的な関係を求め、これを検量線として培養細胞集団中の該植物の細胞に存在する特定物質の量を求めてもよい。

0016

本発明においては、上記の方法によって決定される植物の細胞集団中の特定物質の量を基準にして所望の細胞集団を選別することができる。さらに、選別した細胞集団を増殖することにより、植物の系統を改良することができる。植物の細胞に存在する特定物質が有用物質であり、培養細胞集団中の量を増加させたい場合には、上記の方法により該物質の量が多いと決定された培養細胞集団を選別し、培養用の培地に植え付け、増殖すればよい。また、植物の細胞に存在する物質が有害物質のような好ましくないものであり、培養細胞集団中の量を減少させたい場合には、上記の方法により該物質の含有量が少ないと決定された培養細胞集団を選別し、培養用の培地に植え付け、増殖すればよい。選別した培養細胞集団を植え付ける培地は、該植物の培養細胞集団を増殖できる培地であればどのような培地でもよいが、選別を行う前までの培養に用いていた培地と同一の新鮮培地が好ましい。

0017

植物の細胞集団中から少量をサンプリングして該植物の細胞に存在する特定物質の量を決定し、残りの細胞集団を選別および系統の改良に用いてもよいが、植物の細胞集団は通常、上記のような特定物質の測定を行った後でも増殖可能であるので、該植物の細胞集団中の特定物質の量を決定するために使用した細胞集団をさらに選別および系統の改良に用いることもできる。

0018

以下の実施例により、さらに具体的に本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕イチイ属(Taxus spp.) 植物に含まれるタキソール(Taxol)について、タキソールに対する抗体をイチイ属植物振盪培養細胞塊と反応させ、その遊離抗体の量と培養細胞塊中のタキソール量との関係を以下の実験により明らかにした。
1.実験の方法
1)遊離抗体量の定量
イチイ属植物の細胞塊をSH培地中で20℃で約4週間振盪培養した後、培養細胞塊をサンプリングし、そのサンプルを乳ばちすりつぶし、細胞1g当たり2mlのメタノールに約2時間浸漬してタキソールを抽出し、抽出したタキソール量をエンザイムイムノアッセイ(ELISA)法により測定した。以下の量でタキソールを含有する系統A、BおよびCの3を選択して実験に用いることとした。
系統A (タキソール含有量: 2500μg/g細胞乾物重以上)
系統B (タキソール含有量: 0.2μg/g細胞乾物重以下)
系統C (タキソール含有量: 0.2μg/g細胞乾物重以下)
これら3系統の細胞塊を回収し、新鮮SH液体培地に懸濁した後、メッシュい分けし、1mm以上の集塊を集めた。大きさがほぼ同じ細胞塊を、1バイアル当たり1個の細胞塊となるように、ポリプロピレン製で容量1.5mlのバイアルに移した後、新鮮なSH培地で再度懸濁した。培地を全量捨て、タキソール抗体液(Hawaii Biotechnology Group社製のタキサン定量用のエンザイムイムノアッセイのキットに含まれる抗体液で、ウサギポリクローン抗体を希釈したもの)を150mM塩化ナトリウム、0.25%のウシ血清アルブミン、0.05%のツイーン20および0.02%アジ化ナトリウムを含有する50mMリン酸緩衝液(pH7.0、以下、「PBS−T」という。)で1000倍に希釈した液220μlを加え、細胞塊と25℃の室温下で1時間反応させた。

0019

また、タキソールを0、10、100、500、1000pg/ml含有するタキソールの標準濃度溶液(10%のメタノールを含むPBS−T溶液)をあらかじめ用意しておき、各溶液とも、等量のタキソール抗体液(PBS−Tによる1000倍希釈液)と混合してバイアル中で25℃の室温下で1時間反応させた。抗原抗体反応の後、それぞれのバイアルから、反応液100μlずつを採取し、タキソールを固相化しておいた、タキソール定量用の96穴マイクロタイタープレートの各ウェル(穴)に移した。

0020

反応液を25℃の室温下で、1時間、タイタープレートのウェル上で反応させて、反応液中の遊離抗体をタイタープレートに固相化したタキソールで捕捉した。反応液を捨て、50mM Tris HCl緩衝液(pH7.0、150mM塩化ナトリウム、0.05%ツイーン20、0.02%アジ化ナトリウム含有、以下、「TBS−T」という。)で、タイタープレートを3回洗浄し、固相化したタキソールと結合した抗体以外の抗体をタイタープレートから除いた。

0021

上記のタイタープレートの各ウェルにPBS−Tにより2000倍に希釈した抗ウサギIgGアルカリホスファターゼ標識ヤギ抗体(Caltag Laboratories 社製)を100μlずつ注入し、1時間、25℃の室温下で反応させた。反応終了後、反応液を捨て、タイタープレートをTBS−Tにより3回洗浄した。アルカリ・ホスファターゼの基質であるρ・ニトロフェニルホスフェートを、25mM Tris緩衝液(pH9.5、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、0.02%アジ化ナトリウム含有)に濃度が1mg/mlとなるように溶解した溶液200μlを上記のタイタープレートの各ウェルに注入して、25℃で12時間の酵素反応を行った。その後、反応液の波長405nmにおける吸光度を測定した。

0022

タキソール含有量の多い系統Aのサンプルおよびタキソールの標準濃度溶液では、吸光度は小さかった。これは、遊離のタキソール抗体の量が少なく、これを標識するアルカリ・ホスファターゼの量が少なかったためと考えられる。また、タキソール含有量の少ない系統BおよびCならびにタキソールの標準濃度溶液では、吸光度は大きかった。これは、遊離のタキソール抗体の量が多く、これを標識するアルカリ・ホスファターゼの量が多かったためと考えられる。
2)細胞塊のタキソール含有量の定量
1)においてタキソール抗体を反応させた細胞塊からタキソールを抽出して、以下のようにして定量した。

0023

1)において細胞塊とタキソール抗体を反応させて得られた反応液100μlを採取したバイアルから、残りの反応液を全量抜き取り、そのバイアルにメタノール20μlを注入し、25℃の室温下で一晩タキソールを細胞塊から抽出した。タキソール抽出液20μlを200μlのPBS−Tで希釈し、このうち、55μlを等量のタキソール抗体液(PBS−Tによる500倍希釈液)と25℃で1時間反応させた。

0024

また、タキソールを0、10、100、500、1000pg/ml含有するタキソールの標準濃度溶液(10%のメタノールを含むPBS−T)をあらかじめ用意しておき、各溶液とも、等量のタキソール抗体液(PBS−Tによる500倍希釈液)と混合して25℃で1時間反応させた。抗原抗体反応の後、それぞれのバイアルから、反応液100μlずつを採取し、タキソールを固相化しておいたタキソール定量用の96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに移した。

0025

反応液を25℃の室温下で、1時間、タイタープレートのウェル上で反応させて、反応液中の遊離抗体をタイタープレートに固相化したタキソールで捕捉した。反応液を捨て、TBS−Tを用いてタイタープレートを3回洗浄し、固相化したタキソールと結合した抗体以外の抗体をタイタープレートから除いた。上記のタイタープレートの各ウェルに、PBS−Tにより2000倍に希釈した抗ウサギIgG・アルカリ・ホスファターゼ標識ヤギ抗体(Caltag Laboratories社製)を100μlずつ注入し、1時間、25℃の室温下で反応させた。反応終了後、反応液を捨て、タイタープレートをTBS−Tにより3回洗浄した。

0026

アルカリ・ホスファターゼの基質であるρ・ニトロフェニルホスフェートを、25mM Tris緩衝液(pH9.5、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、0.02%アジ化ナトリウム含有)に濃度が1mg/mlとなるように溶解した溶液200μlを上記のタイタープレートの各ウェルに注入して、9.5時間の酵素反応を行った。その後、反応液の波長405nmにおける吸光度を測定した。

0027

タキソール含有量の多い系統Aの細胞塊からのタキソール抽出液およびタキソール含有量の多い標準濃度溶液では、吸光度は小さかった。これは、遊離のタキソール抗体の量が少なく、これを標識するアルカリ・ホスファターゼの量が少なかったためと考えられる。また、タキソール含有量の少ない系統BおよびCの細胞塊からのタキソール抽出液ならびにタキソール含有量の少ない標準濃度溶液では、吸光度は大きかった。これは、遊離のタキソール抗体の量が多く、これを標識するアルカリ・ホスファターゼの量が多かったためと考えられる。
2.実験の結果
各細胞塊サンプルについて、1)で測定された吸光度を縦軸に、2)で測定された吸光度を横軸にしてプロットした結果を図1に示す。

0028

遊離タキソール抗体量を示す1)で測定された吸光度と、細胞塊から抽出したタキソールの量を示す2)で測定された吸光度との間の相関係数ピアソンの相関係数)は、全細胞塊についても、各系統についても、0()よりも有意に大きく、遊離タキソール抗体量と細胞塊から抽出したタキソールの量との間には、有意な相関があることがわかった。
3.結論
以上のことから、振盪培養中の1mm程度以上のイチイ属の植物の細胞塊とタキソール抗体を反応させた後の遊離タキソール抗体の量を測定することにより、細胞塊からタキソールの抽出を行うことなく、タキソール含有量を測定することが可能であることが明らかになった。

0029

遊離タキソール抗体量を基準とした植物の細胞塊の選抜の効果を明らかにするために、以下の実験を行った。
1.実験の方法
1)振盪培養細胞塊の準備
SH培地を含む300mlのフラスコ中で25℃で約4週間振盪培養したイチイ属植物の振盪培養細胞系統の細胞塊を培地とともに篩い目の大きさが約40μmのナイロンメッシュにあけ、細胞塊を回収した。

0030

回収した細胞塊を、新鮮SH液体培地に懸濁した後、篩い目の大きさが1mmのメッシュで篩い分けし、メッシュに残った1mm以上の集塊を新鮮SH培地で洗浄した。この細胞塊をシャーレに移し、大きさがほぼ同じ細胞塊を選んで、1ウェル当たり1個の細胞塊となるように、ポリプロピレン製の96ウェルのマイクロタイタープレート6枚に1タイタープレート当たり72個の細胞塊を移した。
2)タキソール抗体との反応
タキソール抗体液(Hawaii Biotechnology Group社製のタキソール定量用のエンザイムイムノアッセイのキットに含まれる抗体液) を、新鮮SH培地で250倍に希釈した液を、孔径が0.22μmのセルロースアセテート膜を通して濾過滅菌した。この抗体液を1)の細胞塊を移したタイタープレートの各ウェルに150μlずつ注入し、細胞塊と25℃の室温下で1時間反応させた。
3)遊離抗体量の定量
2)の各タイタープレートについて、抗原抗体反応の後、各ウェルから反応液100μlずつを採取し、タキソールを固相化しておいた、タキソール定量用の96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに移した。また、反応液を採取した各ウェル中の残りの反応液を吸引により除き、新鮮SH培地を300μl注入して、細胞塊の増殖能を損なわないようにした。

0031

採取した反応液を25℃の室温下で、1時間、タイタープレートのウェル中で反応させて、反応液中の遊離タキソール抗体をタイタープレートに固相化したタキソールで捕捉した。反応液を捨て、TBS−Tでタイタープレートを3回洗浄し、固相化したタキソールと結合した抗体以外の抗体をタイタープレートから除いた。

0032

抗ウサギIgG・アルカリ・ホスファターゼ標識ヤギ抗体(Caltag Laboratories 社製)をPBS−Tで2000倍に希釈し、上記のタイタープレートのウェルに100μl注入し、1時間、25℃の室温下で反応させた。反応終了後、反応液を捨て、タイタープレートをTBS−Tにより3回洗浄した。アルカリ・ホスファターゼの基質であるρ・ニトロフェニルホスフェートを、25mM Tris緩衝液(pH9.5、150mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、0.02%アジ化ナトリウム含有)に濃度が1mg/mlとなるように溶解した溶液を、上記のタイタープレートのウェルに200μl注入し、12時間の酵素反応を行った。その後、反応液の波長405nmにおける吸光度を測定した。

0033

吸光度の小さい培養細胞塊サンプルにおいては、遊離のタキソール抗体量が減少していることが言えるから、タキソールの含有量が多いと決定した。
4)細胞塊の選別および増殖
3)の吸光度測定の結果、各タイターごとに、吸光度の小さかった(すなわち、遊離抗体量が少なかった)または吸光度の大きかった(すなわち、遊離抗体量が多かった)細胞塊をそれぞれ11個選び、タイターあたり合計22個の細胞塊を、ココナッツクリームを2%含むSH固体培地1枚へ植え付けた。培地に置床した後、86日目に細胞塊の成育状況を調べ、特に成育の旺盛な細胞塊の一部を採取し、タキソールの含有量を測定した。
2.実験の結果
培地に置床した後86日目の成育状況の調査では、約3分の1の細胞塊で旺盛な増殖が認められた。このうち、特に成育の旺盛な細胞塊(数mm以上となったもの)26個を選び、薬匙でその一部(数〜数十mg)をバイアルに入れ、細胞塊10mg当たり20μlのメタノールを加えて、25℃の室温下で一晩タキソールを抽出した。抽出液をPBS−Tで10倍に希釈して、ELISA法によりタキソール量を測定した。26個の細胞塊のうち、12個は遊離抗体量が少ない(従って、細胞塊中のタキソール量が多いと決定される)細胞塊であり、残り14個は遊離抗体量が多い(従って、細胞塊中のタキソール量が少ないと決定される)細胞塊であった。これらの細胞塊中のタキソール量(細胞塊乾物重(DW,Dry Weight)1g当たりのタキソールμg)とその頻度図2に示した。

0034

なお、選別母材料の細胞塊のタキソール量の平均値は12μg/gDWであり、タキソール含有量が多いと決定された選別細胞塊12個中のタキソール量の平均値は16μg/gDWであり、タキソール含有量が少ないと決定された選別細胞塊14個中のタキソール量の平均値は8.6μg/gDWであった。これらのデータから、遊離抗体量からタキソール含有量が多いと決定された細胞塊を選別し増殖することにより、細胞中のタキソール量が多くなるように、また、遊離抗体量からタキソール含有量が少ないと決定された細胞塊を選別し増殖することにより、細胞中のタキソール量が少なくなるように、イチイ属植物の系統を改良することができたことがわかる。

発明の効果

0035

本発明により、植物の細胞集団中の特定物質の量を、細胞集団を損傷することなく高い信頼度および精度で、迅速かつ簡易に決定することが可能となった。また、本発明の方法に従って決定した特定物質の量を基準にして細胞集団を選別することにより、所望の細胞集団を高効率で選別することができるようになった。

0036

さらに,本発明の方法に従って選別した細胞集団を増殖することにより、植物の系統を改良することができ、このような改良方法は、単一の独立した細胞では培養細胞の増殖が難しく、細胞の集塊で成育し増殖するような植物に適用することができるので有利である。本発明の方法によって改良された植物の系統を用いて、多くの有用物質を生産することが可能となる。

図面の簡単な説明

0037

図1図1は、遊離タキソール抗体量を示す吸光度を縦軸に、培養細胞塊中のタキソール量を示す吸光度を横軸にしてプロットしたグラフである。
図2図2は、成育した選別細胞塊中のタキソール量とその頻度を示すグラフである。

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