図面 (/)
概要
背景
概要
傾斜地でも短時間で車体を水平に設置する。
自走自在な下部走行体の前後に、作業時車体を安定させるアウトリガを設けた作業車において、上記車体の前後及び左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器15と、各ジャッキシリンダに油圧検出器17を設けて、上記2軸傾斜検出器15が検出した車体の傾斜に応じて上記ジャッキシリンダの伸縮量をコントローラ20で演算し、かつ各ジャッキシリンダの接地圧力が、一定の値以上で且つ、各接地反力の和が車体総重量に近似となるように各ジャッキシリンダ毎に設けられたアウトリガ個別バルブ11を制御するようにしたもので、自動水平設置スイッチ21を操作するだけで、短時間で車体を水平に設置することができる。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
自走自在な下部走行体1の前後に、作業時車体1aを安定させるアウトリガ5を設けた作業車において、上記車体1aの前後及び左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器15と、各ジャッキシリンダ7に油圧検出器17を設けて、上記2軸傾斜検出器15が検出した車体1aの傾斜に応じて上記ジャッキシリンダ7の伸縮量をコントローラ20で演算し、かつ各ジャッキシリンダ7の油圧が演算値となるように各ジャッキシリンダ7毎に設けられたアウトリガ個別バルブ11を制御することを特徴とするアウトリガを有する作業車の車体水平設置装置。
請求項2
伸縮自在なアウトリガアーム6の張り出し長さを検出する張り出し長さ検出器16を設けて、これら張り出し長さ検出器16が検出した張り出し長さに応じてアウトリガ個別バルブ11の動作時間を補正してなる請求項1記載の車体水平設置装置。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
従来クレーン車のように作業時車体を安定させるためのアウトリガを有する作業車においては、傾斜地においても車体を水平に保持する必要がある。このため、特公平2−30906号公報で、傾斜地でも自動的に車体を水平に設置する装置が提案されている。
発明が解決しようとする課題
0003
しかし上記従来の車体水平設置装置では、車体を水平に設置するに当ってまず各持ち上げジャッキを最大伸長状態にした後、傾斜検出手段からの信号を基に車体が水平になるよう持ち上げジャッキを縮小することにより車体を水平に設置しており、動作開始から車体が水平に設置されるまで時間を要して作業能率が悪いなどの不具合があった。
0004
またジャッキを最大ストロークにして車体を最大に持ち上げた状態から水平設置制御を開始するため、通常の場合車体が最大に持ち上げられた状態で制御を完了することが多い。その結果重心位置が高くなって作業時の安定性が欠けるなどの不具合もあった。
0005
この発明はかかる不具合を改善するためになされたもので、低い重心位置で車体を水平に設置できるようにした作業車の車体水平設置装置を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0006
この発明は上記目的を達成するために、自走自在な下部走行体の前後に、作業時車体を安定させるアウトリガを設けた作業車において、上記車体の前後及び左右の傾斜を検出する2軸傾斜検出器と、各ジャッキシリンダに油圧検出器を設けて、上記2軸傾斜検出器が検出した車体の傾斜に応じて上記ジャッキシリンダの伸縮量をコントローラで演算し、かつ各ジャッキシリンダ接地圧力が所定値となるように各ジャッキシリンダ毎に設けられたアウトリガ個別バルブを制御するようにしたものである。
0007
上記構成により、傾斜地に作業車を停止して作業を行う場合、自動水平設置スイッチを操作するだけで、短時間で車体を水平に設置できると共に、低い重心位置で車体が水平となるため、作業時の安定性も向上する。
0008
この発明の一実施例を図面を参照して詳述する。図1は、アウトリガを有する作業車を示すもので、自走自在な下部走行体1上に上部旋回体2が旋回自在に設けられており、この上部旋回体にクレーンブーム3や運転室4が設置されている。また下部走行体1の前後には、作業時下部走行体1の車体1aを安定させるためのアウトリガ5が設けられている。
0009
上記アウトリガ5は、図2に示すように、車体1aの側方へ伸縮するアウトリガアーム6を有していて、これらアウトリガアーム6の先端に、それぞれジャッキシリンダ7が上下方向に固着されており、これらジャッキシリンダ7より下方へ突出されたピストン杆7aの先端にフロート8が揺動自在に取付けられている。
0011
一方図3は上記アウトリガ5の油圧回路を示すもので、エンジン8により駆動される油圧ポンプ9より吐出された圧油は、電磁弁よりなるアウトリガセレクタバルブ10により2方に分岐され、一方は各ジャッキシリンダ7毎に設けられた電磁弁よりなるアウトリガ個別バルブ11を介して、各アームスライドシリンダ12のボトム側と、ダブルチェック弁13を介して各ジャッキシリンダ7のヘッド側へ供給され、他方は各アームスライドシリンダ12のヘッド側へ供給されるようになっている。
0012
また上記車体1aには、図1に示すように車体1aの前後方向の傾斜を検出する前後方向傾斜検出器15aと、左右方向の傾斜を検出する左右方向傾斜検出器15bよりなる2軸傾斜検出器15が設けられていると共に、アウトリガ5には図2に示すようにアウトリガアーム6の伸縮をワイヤ16aを介して検出するアウトリガ張り出し長さ検出器16が、そして各ジャッキシリンダ7には、ジャッキシリンダ7のボトム側の油圧を検出する油圧検出器17がそれぞれ設けられていて、これら検出器15、16、17で検出された信号は図4ないし図6に示す制御系コントローラ20へ入力され、これら信号に基づいて、各バルブ10、11が次のように制御されるようになっている。
0014
次に図4に示す制御系を用いた水平設置時の作用を図7に示すフローチャートを参照して説明する。傾斜地などに作業車を停止させて、クレーンブーム3により作業を行う場合、まず、車体を安定させるため、アウトリガアーム6をできるだけ長く伸長する。次にこの状態で自動水平設定スイッチ21をONにすると、図7に示すフローのステップ101に進み、コントローラ20がセンサ等に異常がないかをチェックして、異常がある場合は、警報を出し、異常がなければステップ102に進み、水平フラグ、圧力フラグの何れもOKかチェックされる。
0015
水平フラグ、圧力フラグどちらか一方又は、何れもがOKでない場合はステップ103へ進み、圧力フラグのチェックがなされ、圧力フラグがOKでない場合はさらにステップ104へ進んで図8に示す圧力制御ルーチンを実施し、その後、ステップ105へ進んで図10に示す水平制御ルーチンが実施される。
0016
またステップ103で圧力フラグOKならば、ステップ106へ進んで水平制御ルーチンが実施され、その後、ステップ107へ進んで圧力制御ルーチンが実施された後、ステップ102に戻って水平、圧力両フラグともOKかチェックされ、OKならば、作業車は、車体水平設置が完了したとして、制御終了表示を表示装置22へ出して動作を終了する。
0017
次に図8及び図9に示す圧力制御ルーチンを説明する。まずステップ201で、4つのジャッキシリンダ7の油圧がタイヤを浮かす設定値まで達しているか(図8の場合)、且つその和が車両総重量に相当する油圧の範囲内に入っているか(図9の場合)どうかが判断され、足りない場合はステップ202へ進んで、足りない場所のアウトリガジャッキ7のアウトリガ個別バルブ11とアウトリガセレクタバルブ10をti秒間動作させて、不足する油圧を供給する。その後ステップ201へ戻ってチェックし、OKなら、圧力フラグをONにして、次のステップへ進む。またステップ203では、ジャッキシリンダ7の油圧がリリーフ設定圧まで達しているかがチェックされ、リリーフ圧に達していればジャッキシリンダ7がストロークエンドに達しているものとして、ステップ204、ステップ205と進み、警報を出力し、制御終了する。
0018
次に図10により水平制御ルーチンを説明する。傾斜地に停止した車体1aの傾斜が、例えば前後傾斜角αは、α>0が前上り、左右傾斜角βは、β>0が左上りとする。まずステップ301でα、及びβの絶対値の何れもが設定値a°以下かどうかチェックされ、そうでない場合はステップ302に進む。ステップ302では、例えば前後左右の傾斜がα>0、β>0の場合、車体1aが前左上りと判断して、後右のアウトリガ個別バルブ11をα、βの大きさに応じて、tj秒間作動させる。そしてステップ301でα、βの何れもがa°以下となると、水平フラグをONにして次のステップへ進む。
0019
一方上記自動水平制御動作において、アウトリガアーム6を長く張り出している場合と短く張り出している場合では、ジャッキシリンダ7を同じ時間作動させた場合、アウトリガアーム6を長く張り出しているときには短く張り出している場合に較べ車体1aの傾斜角度の変化量が少なく、正確な水平設置までの時間を多く要する。
0020
そこで図5および図6に示す制御系では、アウトリガアーム6の張り出し長さを検出する検出器16を設けて、この張り出し長さ検出器16が検出した値に応じてアウトリガ個別バルブ11の動作時間tjを補正している。これによってアウトリガアーム6の張り出し長さに関係なく精度の高い水平設置制御が短時間で可能になる。
0021
またジャッキシリンダ7油圧を、ジャッキシリンダ7のボトム側とヘッド側より検出することにより、その面積差と圧力によりジャッキシリンダ7の軸力として演算できるため、ジャッキシリンダに加わる接地反力の検出がより正確にできるようになり、これによって圧力制御ルーチンの完了時間を短縮させることができる。なお上記実施例では、ジャッキシリンダに加わる接地反力の検出に、ジャッキシリンダの油圧を用いたが、歪ゲージ等による方法でも容易に実施可能である。
発明の効果
0022
この発明は以上詳述したように、自動水平スイッチをONするだけで、必要な圧油が制御弁よりアウトリガのジャッキシリンダへ供給されて車体が水平状態に設置されるため、短時間で車体を水平状態に固定することができる。これによって作業が速やかに開始できるため、作業能率の向上が図れると共に、従来の制御弁などがそのまま使用できるため、大幅な改造をせずに実施でき、経済的である。
0023
また車体が可能な限り低い位置で水平に設置されるため、重心位置が低くなって作業時の安定性が向上すると共に、車体の水平保持に必要な圧油が確実にジャッキシリンダへ供給され、もしくは必要な軸力がジャッキシリンダに発生するようジャッキシリンダへ圧油が供給されるため、車体の水平設置後油圧不足や軸力不足により車体の安定が損なわれたり、車体が転倒するなどの虞もない。
0024
さらに、アウトリガアームの張り出し長さを検出して、ジャッキシリンダを制御するアウトリガ個別バルブの動作時間を補正したことから、アウトリガアームの張り出し長さが場所によって異なっても、常に短時間で車体を水平に設置することができる。
図面の簡単な説明
0025
図1この発明の一実施例になる車体水平設置装置を装備した作業車の側面図である。
図2この発明の一実施例になる車体水平設置装置を装備した作業車の正面図である。
図3この発明の一実施例になる車体水平設置装置を装備した作業車のアウトリガ油圧回路を示す回路図である。
図4この発明の一実施例になる車体水平設置装置の制御系を示すブロック図である。
図5この発明の別の実施例になる車体水平設置装置の制御系を示すブロック図である。
図6この発明のさらに別の実施例になる車体水平接地装置の制御系を示すブロック図である。
図7この発明の一実施例になる車体水平設置装置の作用を示すフローチャートである。
図8この発明の一実施例になる車体水平設置装置の圧力制御ルーテンを説明するフローチャートである。
図9この発明の別の実施例になる車体水平接地装置の圧力制御ルーテンを説明するフローチャートである。
図10この発明の一実施例になる車体水平設置装置の水平制御ルーテンを説明するフローチャートである。
--
0026
1下部走行体
1a 車体
5アウトリガ
6アウトリガアーム
7ジャッキシリンダ
11 アウトリガ個別バルブ
15 2軸傾斜検出器
16張り出し長さ検出器
17油圧検出器
20 コントローラ