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技術 点突然変異導入法及びキット

出願人 株式会社明治
発明者 松浦基池辺光男垣本建一桑田有山本良郎
出願日 1993年6月28日 (28年7ヶ月経過) 出願番号 1993-157608
公開日 1995年5月30日 (26年8ヶ月経過) 公開番号 1995-135976
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 煮沸法 停止コード 閉環状DNA M13ファージベクター 認識塩基配列 保持能力 機能改変 デュプレックス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年5月30日)のものです。
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図面 (2)

構成

DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を完了させた後に、DNAリガーゼを添加して2本鎖cDNAを合成し、前記2本鎖cDNAをアルカリ−SDS法による処理を施してプラスミドDNAを調製し、前記プラスミドDNAを制限酵素消化させて、そのうち未消化のcDNAのみ抽出し、前記抽出したcDNAを宿主細胞形質転換して増殖させ、変異cDNAを得ることを特徴とする点突然変異導入方法、及び点突然変異導入方法に必要な点突然変異導入キット

効果

本発明により、効率の良い点突然変異導入方法を提供することができる。

概要

背景

近年、特定のタンパク質をコードするDNA塩基配列に対し、種々の欠損、挿入、あるいは置換を行い、当該タンパク質のアミノ酸配列を変えることによって、DNAやタンパク質の構造解析機能解析を行うことが盛んになっている。更にこれらの研究により、タンパク質の機能改変を行って産業的に有用なタンパク質を生産する試みが多くなされつつある。

DNA塩基配列に種々の欠損、挿入、置換を行う場合には、合成オリゴヌクレオチドを用いた点突然変異導入法が多く用いられている。即ち、変異を導入しようとする塩基配列オリゴヌクレオチド化学的に合成し、一本鎖DNA相補的な部分に結合させた後に、DNA鎖の合成と環状化を行って環状二本鎖変異cDNAを得る方法である。

そして、未変異cDNAと変異cDNAを区別し、効率よく変異cDNAが得られるように多くの研究者によって種々の点変異導入法が開発され、報告され〔Tsurushita,et al., Gene 62, 135 (1988)〕、それらの一部はキットとして市販されている。例えば、従来のギャップデュプレックス法〔gapped duplex 法;Kramer,etal., Cell 38, 879 (1984)〕は、変異導入目標となるDNAをM13ファージベクターアンバーミュータント(M13tv18/19)にサブクローニングし、点変異を導入する方法である。本方法では、既にクローニングされているクローニングベクターから変異導入の目標となるDNAをM13ファージベクターのアンバーミュータント (M13tv18/19)にサブクローニングしなければならない。従って、(1)特殊なファージベクター(M13tv18/19)が必要であること、 (2)点突然変異を行うためのサブクローニングに数日の日数と手間がかかること、 (3) 大きなDNA断片をM13tv18/19 にはサブクローニングできない (M13ファージベクターの場合、DNAの保持能力が悪く、あまり大きなDNA断片をクローニングすると培養中に欠失を起こすことがある。)、等の問題点がある。

また、変異導入の目標となるDNAに、合成オリゴヌクレオチドを結合させた後に相補的なDNAを合成して二本鎖cDNAとする際に、特殊な試薬を用いて変異プラスミドと未変異プラスミドを区別する方法も報告されている〔Eckstein,et al., Nucl. AcidsRes.,16, 791 (1988),Vandeyar,et al.,Gene 65, 129 (1988)〕。即ち、DNA合成時にEcksteinらはdCTPαSを用い、Vandeyarらは5−メチル−dCTPを用いて、特定の制限酵素がcDNAを消化することができないような二本鎖cDNAを合成し、未変異cDNAを除去して変異cDNAを得る方法を報告している。しかし、本方法では (1) DNAの合成時に特殊な試薬を必要とすること、 (2) 変異を導入する近辺に特定の制限酵素部位が存在する場合には本方法は使用できないこと、 (3)選別使用可能な制限酵素が限られること、 (4) 特殊な宿主細胞(Vandeyarらの方法ではEscherichia colimcrAB- ) を必要とする、等の問題点がある。

一方、W.P.Dengらによって報告された方法(Analytical Biochemistry 200,81,1992)では、変異を導入しようとする塩基配列のオリゴヌクレオチドとそのcDNAに一つしか存在しない制限酵素部位の塩基配列を消去するオリゴヌクレオチドの2種類の合成オリゴヌクレオチドを用いることを特徴とし、特殊なプラスミドベクター、試薬、あるいは宿主細胞を必要としない。従って変異を導入しようとするDNAをクローニングベクターから特殊なプラスミドにサブクローニングしなおしたり、特殊な試薬、あるいは宿主細胞を準備する必要がない。それ故点変異の導入を短時間に、かつ、手軽に行うことが可能であると期待される。しかし、彼らの方法では、特定のcDNAに対しては効率的に点変異を導入することが可能であるが、対象となるcDNAが変わると点突然変異導入の効率が低下し、場合によっては数%以下の低効率になり、全てのcDNAに用いることができなくなる。特に、DNA断片の大きさが大きくなるにつれて点変異導入の効率は著しく低下する、といった問題が生じる。

概要

DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を完了させた後に、DNAリガーゼを添加して2本鎖cDNAを合成し、前記2本鎖cDNAをアルカリ−SDS法による処理を施してプラスミドDNAを調製し、前記プラスミドDNAを制限酵素で消化させて、そのうち未消化のcDNAのみ抽出し、前記抽出したcDNAを宿主細胞に形質転換して増殖させ、変異cDNAを得ることを特徴とする点突然変異導入方法、及び点突然変異導入方法に必要な点突然変異導入キット

本発明により、効率の良い点突然変異導入方法を提供することができる。

目的

そこで、本発明は、これらの諸問題を解決し、対象となるcDNAの種類や断片の大きさにかかわらず効率的に点変異を導入する方法の開発を目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

プラスミドDNAに点突然変異を導入する方法において、鋳型となる一本鎖DNAと変異を及ぼす2種類以上の合成オリゴヌクレオチドとの混合物DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を行い、得られるDNA鎖にDNAリガーゼを添加し結合・環状化して2本鎖cDNAを合成し、前記2本鎖cDNAをアルカリ−SDS法による処理を施してプラスミドDNAを調製し、前記合成オリゴヌクレオチドを認識しない制限酵素で前記プラスミドDNAを消化し、それから変異部位である合成オリゴヌクレオチドを含む未消化のcDNAのみを分離し、そして前記分離したcDNAを宿主細胞形質転換して増殖させて変異cDNAを得ることを特徴とする点突然変異を導入する方法。

請求項2

合成オリゴヌクレオチドを用いて変異cDNAを合成する場合に、DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を行い、その後にDNAリガーゼを1回又は複数回添加して、DNA鎖を結合・環状化して2本鎖cDNAを合成することを特徴とする請求項1記載の点突然変異導入法。

請求項3

DNA鎖の合成酵素がエッシェリヒアコリDNAポリメラーゼI、クレノウフラグメントオブエッシェリヒア コリ DNAポリメラーゼ(クレノウ酵素)、T4−DNAポリメラーゼ、T7−DNAポリメラーゼの1つ又は複数を含み、DNA鎖の環状化酵素がT4−DNAリガーゼ、エッシェリヒア コリDNAリガーゼの1つ又は複数を含み、鋳型となるDNA鎖を調製するための試薬がMgCl2,NaCl,pH−緩衝液を含み、cDNAの合成を行うための試薬がdNTPsとATP,DTT,及びpH−緩衝液を含み、点突然変異を導入するための詳細な手順を記載したプロトコルを含むことを特徴とする点突然変異導入キット

技術分野

TATAGGGCGA ATTGGGATCCGGGCCCCCCC 30

背景技術

0001

本発明は、プラスミドDNAに点突然変異を効率的に導入する方法に関する。更に詳しくは、特定部分タンパク質一次構造をコードするDNAを含む、あるいは含まないプラスミドDNAに対し所望の数の塩基置換、挿入、欠失させた変異プラスミドを効率的に得る方法に関する。

0002

近年、特定のタンパク質をコードするDNA塩基配列に対し、種々の欠損、挿入、あるいは置換を行い、当該タンパク質のアミノ酸配列を変えることによって、DNAやタンパク質の構造解析機能解析を行うことが盛んになっている。更にこれらの研究により、タンパク質の機能改変を行って産業的に有用なタンパク質を生産する試みが多くなされつつある。

0003

DNA塩基配列に種々の欠損、挿入、置換を行う場合には、合成オリゴヌクレオチドを用いた点突然変異導入法が多く用いられている。即ち、変異を導入しようとする塩基配列オリゴヌクレオチド化学的に合成し、一本鎖DNA相補的な部分に結合させた後に、DNA鎖の合成と環状化を行って環状二本鎖変異cDNAを得る方法である。

0004

そして、未変異cDNAと変異cDNAを区別し、効率よく変異cDNAが得られるように多くの研究者によって種々の点変異導入法が開発され、報告され〔Tsurushita,et al., Gene 62, 135 (1988)〕、それらの一部はキットとして市販されている。例えば、従来のギャップデュプレックス法〔gapped duplex 法;Kramer,etal., Cell 38, 879 (1984)〕は、変異導入目標となるDNAをM13ファージベクターアンバーミュータント(M13tv18/19)にサブクローニングし、点変異を導入する方法である。本方法では、既にクローニングされているクローニングベクターから変異導入の目標となるDNAをM13ファージベクターのアンバーミュータント (M13tv18/19)にサブクローニングしなければならない。従って、(1)特殊なファージベクター(M13tv18/19)が必要であること、 (2)点突然変異を行うためのサブクローニングに数日の日数と手間がかかること、 (3) 大きなDNA断片をM13tv18/19 にはサブクローニングできない (M13ファージベクターの場合、DNAの保持能力が悪く、あまり大きなDNA断片をクローニングすると培養中に欠失を起こすことがある。)、等の問題点がある。

0005

また、変異導入の目標となるDNAに、合成オリゴヌクレオチドを結合させた後に相補的なDNAを合成して二本鎖cDNAとする際に、特殊な試薬を用いて変異プラスミドと未変異プラスミドを区別する方法も報告されている〔Eckstein,et al., Nucl. AcidsRes.,16, 791 (1988),Vandeyar,et al.,Gene 65, 129 (1988)〕。即ち、DNA合成時にEcksteinらはdCTPαSを用い、Vandeyarらは5−メチル−dCTPを用いて、特定の制限酵素がcDNAを消化することができないような二本鎖cDNAを合成し、未変異cDNAを除去して変異cDNAを得る方法を報告している。しかし、本方法では (1) DNAの合成時に特殊な試薬を必要とすること、 (2) 変異を導入する近辺に特定の制限酵素部位が存在する場合には本方法は使用できないこと、 (3)選別使用可能な制限酵素が限られること、 (4) 特殊な宿主細胞(Vandeyarらの方法ではEscherichia colimcrAB- ) を必要とする、等の問題点がある。

発明が解決しようとする課題

0006

一方、W.P.Dengらによって報告された方法(Analytical Biochemistry 200,81,1992)では、変異を導入しようとする塩基配列のオリゴヌクレオチドとそのcDNAに一つしか存在しない制限酵素部位の塩基配列を消去するオリゴヌクレオチドの2種類の合成オリゴヌクレオチドを用いることを特徴とし、特殊なプラスミドベクター、試薬、あるいは宿主細胞を必要としない。従って変異を導入しようとするDNAをクローニングベクターから特殊なプラスミドにサブクローニングしなおしたり、特殊な試薬、あるいは宿主細胞を準備する必要がない。それ故点変異の導入を短時間に、かつ、手軽に行うことが可能であると期待される。しかし、彼らの方法では、特定のcDNAに対しては効率的に点変異を導入することが可能であるが、対象となるcDNAが変わると点突然変異導入の効率が低下し、場合によっては数%以下の低効率になり、全てのcDNAに用いることができなくなる。特に、DNA断片の大きさが大きくなるにつれて点変異導入の効率は著しく低下する、といった問題が生じる。

課題を解決するための手段

0007

そこで、本発明は、これらの諸問題を解決し、対象となるcDNAの種類や断片の大きさにかかわらず効率的に点変異を導入する方法の開発を目的とするものである。

0008

本発明者らは上記課題について鋭意研究を行った結果、W.P.Dengらによって報告された方法(Analytical Biochemistry 200,81,1992)を改良することにより、特殊なプラスミドベクター、宿主細胞、試薬を必要とせず、プラスミドクローニングベクターにクローニングされたDNAに対し、その断片の大きさにかかわらず、点変異を直接、しかも効率よく導入する方法を見出し、本発明を完成するに至った。

0009

即ち、本発明は、(1)プラスミドDNAに点突然変異を導入する方法において、鋳型となる一本鎖DNAと変異を及ぼす2種類以上の合成オリゴヌクレオチドとの混合物DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を行い、得られるDNA鎖にDNAリガーゼを添加し結合・環状化して2本鎖cDNAを合成し、前記2本鎖cDNAをアルカリ−SDS法による処理を施してプラスミドDNAを調製し、前記合成オリゴヌクレオチドを認識しない制限酵素で前記プラスミドDNAを消化し、それから変異部位である合成オリゴヌクレオチドを含む未消化のcDNAのみを分離し、そして前記分離したcDNAを宿主細胞に形質転換して増殖させて変異cDNAを得ることを特徴とする点突然変異を導入する方法、(2)合成オリゴヌクレオチドを用いて変異cDNAを合成する場合に、DNAポリメラーゼを添加してDNA鎖の合成を行い、その後にDNAリガーゼを1回又は複数回添加して、DNA鎖を結合・環状化して2本鎖cDNAを合成することを特徴とする(1)記載の点突然変異導入法、(3)DNA鎖の合成酵素がエッシェリヒアコリDNAポリメラーゼI、クレノウフラグメントオブエッシェリヒア コリ DNAポリメラーゼ(クレノウ酵素)、T4−DNAポリメラーゼ、T7−DNAポリメラーゼの1つ又は複数を含み、DNA鎖の環状化酵素がT4−DNAリガーゼ、エッシェリヒアコリDNAリガーゼの1つ又は複数を含み、鋳型となるDNA鎖を調製するための試薬がMgCl2, NaCl, pH−緩衝液を含み、cDNAの合成を行うための試薬がdNTPsとATP,DTT,及びpH−緩衝液を含み、点突然変異を導入するための詳細な手順を記載したプロトコルを含むことを特徴とする点突然変異導入キット、である。

0010

本発明の作用と構成を詳細に説明する。まず、W.P.Dengらによって報告された方法(以下、原法とする) を概略する。目的とするcDNAに変異を導入しようとする塩基配列のオリゴヌクレオチドと、そのcDNAに一つしか存在しない制限酵素部位の塩基配列を消去するオリゴヌクレオチドの2種類の合成オリゴヌクレオチドを添加する。100 ℃、3分の加熱によって環状の2本鎖DNAを各々1本鎖とした後、急冷して、先に添加したオリゴヌクレオチドと1本鎖DNAを結合させる。次に、T4−DNAポリメラーゼとT4−DNAリガーゼを同時に添加して、37℃の条件下で変異cDNAを合成する。これを2本鎖DNAのミスマッチ補正しない宿主大腸菌Escherichia coli(以下、E.コリとする)BMH71-18 mut.S に形質転換して増殖させ、煮沸法を用いて未変異cDNAと変異cDNAが混在するプラスミド標品を得る。次に得られたプラスミドを制限酵素で消化し、未変異cDNAを直鎖状とする(直鎖DNAの宿主大腸菌への形質転換の効率は、環状DNAの約1/10から1/100程度であり、形質転換の効率は大幅に低下する)。この消化産物を直接宿主大腸菌へ形質転換し、形質転換の効率の良い環状DNAである変異cDNAを増殖させてこれを得る。

0011

次に、本発明である効率の良い点変異の導入方法を以下に述べる。
(1)点突然変異を導入しようと試みるDNAの種類は限定されず、どのようなプラスミドベクターにクローニングされていてもよく、その例としては例えばpBluescript IISK+(2.9kb, STRATAGENE社製)、pT7-7( U.S.B. 社製)等が挙げられる。

0012

(2)本発明では、DNA合成に用いる酵素は特に限定しない。即ち、DNA鎖の合成には、E.コリDNAポリメラーゼI、クレノウフラグメントオブエッシェリヒア コリ DNAポリメラーゼ(クレノウ酵素)、T4−DNAポリメラーゼ、T7−DNAポリメラーゼ等のいずれを用いてもよく、適宜選択して使用することができる。例えば、対象となるcDNA中にグアニンシトシンを多く含み、容易にヘアピン構造をとりやすい領域が存在する場合には、T4−DNAポリメラーゼによりDNA合成反応はこのヘアピン領域で停止することがある。この場合には、T7−DNAポリメラーゼを用いることにより、DNA合成反応を停止させずに変異cDNAの合成をすることが可能である。

0013

DNA合成に続いてDNA鎖の結合・環状化にはT4−DNAリガーゼ、E.コリDNAリガーゼ等を用い、適宜選択して使用することができる。但し、DNAリガーゼは、DNAポリメラーゼを添加した後に添加する。また、DNAリガーゼを添加する回数は、1回以上数回を経時的に添加する。
(3)プラスミドを調製する際、未変異cDNAと変異cDNAを制限酵素消化によって判別する場合には、調製したcDNAの純度を向上させる必要がある。制限酵素によってcDNAを消化するときに、cDNA標品にRNAやタンパク質が混在していると、消化反応がこれらによって阻害される場合があるからである。そこで本発明では、プラスミドの調製はアルカリ−SDS法〔Manitatis,et al., Molecular Cloning 1.25, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕を採用する。

0014

(4)本発明では、制限酵素による消化を行って未変異のDNAを直鎖状とし、未消化の環状DNAのみを得て宿主大腸菌へ形質転換して増殖させることにより、変異cDNAを効率的に得ることができる。ここで用いる制限酵素は、目的とするcDNA中にその認識塩基配列が1つしか存在せず、合成オリゴヌクレオチドによってこの塩基配列が消去されたはずの制限酵素である。

0015

未消化の環状cDNAを得るためにアガロース電気泳動を行い、直鎖状DNAよりも速く移動する環状cDNAをアガロースゲルより回収する。環状cDNAをアガロースゲルより回収する方法としては、DEAE-cellulose membrane 法、Electroelution法、Low-melting temperature agarose gel 法等のいずれを用いても構わない〔Manitatis,et al., Molecular Cloning 6.22〜6.23, Cold SpringHarbor Laboratory Press (1989)〕。

0016

上記(1)〜(4)に基づき、本発明と原法における特徴の相違点を示すと以下の通りである。原法のように、合成オリゴヌクレオチドを用いて変異cDNAを合成する方法において、T4−DNAポリメラーゼとT4−DNAリガーゼを同時に添加し、37℃の条件下で変異cDNAを合成する方法では、T4−DNAポリメラーゼがDNA鎖の合成を完了する前にT4−DNAリガーゼが変性失活してDNA鎖が環状化されず、その結果として変異cDNAが合成されないことがある。T4−DNAリガーゼは変性しやすいので(通常は16℃の温度条件で使用される酵素である)、長いDNA断片に点変異を導入させようとする場合にこのような現象が発生すると、点変異の導入効率が著しく低下する。本発明の方法では、たとえ37℃でT4−DNAリガーゼを用いても、DNA鎖の合成が既に完了しているので、T4−DNAリガーゼの基質となるDNA鎖が存在し、本酵素は安定化される。その結果、T4−DNAリガーゼの変性・失活の速度が遅くなり、DNA鎖の結合反応を進行させることができる。

0017

このように、T4−DNAポリメラーゼ等によるDNAの合成を完了した後にT4−DNAリガーゼ等を添加して反応させ、変異cDNAの合成を図ることにより、確実にDNAの合成、DNAの結合という過程をたどることができ、点変異を効率良く導入することが可能となる。原法では煮沸法によりプラスミドDNAを調製しているが、この方法では求めるプラスミドDNAの純度が低く、制限酵素による消化が阻害されるので点変異の導入効率が悪くなる。本発明ではアルカリ−SDS法を採用することにより、純度の高いプラスミドDNAを調製することができる。従って、制限酵素による消化がRNAやタンパク質によって阻害されることなく、効率的に点変異を導入することが可能となる。

発明の効果

0018

原法では、変異cDNAを宿主大腸菌へ形質導入して増殖させるときには、未変異cDNAも混在する状況下で形質導入を行っている。但し、制限酵素消化によって変異cDNAと未変異cDNAを選別し、未変異cDNAを直鎖状にしている。その結果、宿主大腸菌へのcDNA導入効率を変異cDNAである環状cDNAの1/10から1/100 に低下させることによって、結果的に変異cDNAを得る確率を増加させようと試みている。しかし、cDNA混合物中に変異cDNAが未変異cDNAの1/100 以下しか存在しなければ、得られるcDNAは未変異のものが大半を占め、変異cDNAが得られる確率は大幅に低下する。本発明では直鎖状となった未変異cDNAを除去し、変異cDNAのみを選択的に抽出しているので効率的である。

0019

本発明により、効率の良い点突然変異導入方法を提供することができる。本発明の点突然変異導入方法は、特殊なプラスミドベクター、宿主細胞、試薬を必要としない。また、クローニングベクターにクローニングしたDNAに対して、そのDNA断片の大きさに関わらず、しかも、新たにDNA断片のサブクローニングを行うことなしに点突然変異を直接、効率よく、かつ短時間で導入することが可能となる。これらにより、タンパク質や遺伝子の構造解析や機能解析が容易となり、タンパク質の機能改変が容易となることから、産業上極めて有用である。

0020

以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によってその技術的範囲を制限するものではない。
〔実施例−1〕pBluescript IISK+(2.9kb, STRATAGENE 社製) にクローニングされたニワトリ砂嚢ミオシンのS−2領域の大部分をコードするDNA(1.2kb) に停止コード“TAA”を導入することを試みた。以下の2つの合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。
プライマー1(変異プライマー):配列番号1の配列表に示す。
プライマー2(選択プライマー; pBluescript II SK+上の制限酵素KpnIサイトを消去する):配列番号2の配列表に示す。

0021

なお、配列表中、配列番号1の第16番目の塩基(T)、及び配列番号2の第17、18番目の塩基(それぞれA、T)は、共に変異を導入しようとする塩基である。対象DNAを0.1μg 、上述のプライマーを各々0.2μg 添加し、20mM Tris-HCl (pH 7.5)、10mM MgCl2、50mM NaCl の溶液(全容量20μl ) 中で100℃、3分間加熱した後に氷水中に浸漬して急冷した。5分後、これに100mM Tris-HCl (pH7.5)、10mM dNTPs、20mM DTT、10mMATP溶液を3μl 、T4−DNAポリメラーゼ( 3Units/μl 、New England Biolabs社製) を1μl 添加し、37℃で30分間反応させた後にT4−DNAリガーゼ(400Units/μl 、New England Biolabs社製) を1μl 、滅菌水を5μl 添加し、37℃で更に1時間30分反応させた。これに0.25%SDS、5mMEDTA(pH 8.0) 溶液を3μl 添加し、65℃5分間加熱した。このDNA溶液5μl を200μl のE.コリstrain BMH71-18 mut.Sコンピテントセル宝酒造社製)に形質転換し、5mlの液体培地(アンピシリン添加LB培地) 中で形質転換細胞を増殖させた。これよりプラスミドを調製した。調製したプラスミドの約100ng に10 Unitsの制限酵素KpnIを添加し、全容量を20μl として37℃で2時間消化した。2時間後10 UnitsのKpnIを添加し、更に37℃で2時間消化した。消化後65℃で10分間加熱し、全量を1%アガロースゲル電気泳動に供した。なお、消化したプラスミドを供したレーンの横のレーンに未消化のプラスミドを供した。

0022

電気泳動後アガロースゲルをエチレンブロマイドで染色し、閉環状DNAが存在すると推定される部分のゲル切り出し (閉環状DNAの位置は同時に泳動した未消化プラスミドのレーンより推定した) 、これよりDNAを抽出した。抽出したDNAをE.コリstrain XL1-Blueコンピテントセル(STRATAGENE社製)に形質転換し、アンピシリン添加LB平板培地上で形質転換細胞を増殖させた。約300個のコロニーが得られた。この内の20コロニーよりプラスミドを調製し、点突然変異導入の有無を確認した。その結果、17個が変異プラスミドであった。従って点突然変異導入の効率は85%であった。

0023

本実施例で用いたcDNAの構造と点変異を導入しようとした部分の概略を図1に示す。図中、SpeI, EcoRI, KpnI は、各々制限酵素であるSpeI, EcoRI, KpnI が認識する塩基配列の場所を示す。また、2254, 3394は、各々開始コドンであるATGからの塩基数を示す。
〔比較例−1〕実施例−1で用いたDNAとプライマーを用い、原法の方法に従って点変異の導入を試みた。最終的に平板上に得られたコロニーより20個のプラスミドを調製し、点突然変異導入の有無を確認した。その結果、4個のプラスミドが変異プラスミドであり、点変異導入の効率は20%であった。

0024

〔実施例−2〕pBluescript IISK+ (2.9kb, STRATAGENE社製) にクローニングしたニワトリ砂嚢筋ミオシンのS−1部分とS−2部分の約半分をコードするDNA (2.9kb)に停止コード“TGA”を導入し、同時に制限酵素SpeIサイトを導入することを試みた。以下の3つの合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。プライマー3 (停止コードTGAを導入するプライマー) :配列番号3の配列表に示す。
プライマー4 (SpeIサイトを導入するプライマー、塩基“A”の挿入) :配列番号4の配列表に示す。
プライマー5 (選択プライマー; pBluescript II SK+上のKpnIサイトを消去する) :配列番号5の配列表に示す。

0025

なお、配列表中、配列番号3の第16番目の塩基(T)、配列番号4の第17番目の塩基(A)、配列番号5の第17、18番目の塩基(それぞれA、T)は、いずれも変異を導入しようとする塩基である。これらのDNAと3種のプライマーを同時に用いて、実施例−1に示した方法に準じて点変異の導入を試みた。最終的に平板上に20個のコロニーが形成された。形成されたコロニー全てよりプラスミドを調製し、点突然変異導入の有無を確認した。その結果、20個のプラスミドの内、16個のプラスミドが2カ所に点変異が導入されていた。従って、点変異導入の効率は80%であった。

0026

本実施例で用いたcDNAの構造と点変異を導入しようとした部分の概略を図2に示す。図中、SpeI, EcoRI, KpnI は、各々制限酵素であるSpeI, EcoRI, KpnI が認識する塩基配列の場所を示す。また、-44, 2973 は、各々開始コドンであるATGからの塩基数を示す。
〔比較例−2〕実施例−2で用いたDNAとプラスミドを用い、原法の方法に従って点変異の導入を試みた。最終的に平板上に得られたコロニーより100個のプラスミドを調製し、点突然変異導入の有無を確認した。その結果、変異プラスミドはひとつも得られなかった。

0027

〔比較例−3〕実施例−2で用いたDNAとプラスミドを用い、原法の方法に準じて開発したとする点突然変異導入キット(TransformerTM Site−Directed Mutagenesis Kit,CLONTECH社製) を購入し、これに従って点変異の導入を試みた。最終的に平板上に得られたコロニーより 120個のプラスミドを調製し、点突然変異導入の有無を確認した。その結果、変異プラスミドはひとつも得られなかった。

図面の簡単な説明

0028

配列番号:1
配列の長さ:33
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列:
GCCAGGCTTG AAGATTAAAC TAGTTCTAGA GCG 33
配列番号:2
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列:
TATAGGGCGA ATTGGGATCCGGGCCCCCCC 30
配列番号:3
配列の長さ:31
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列:
AAGAAAATGG AAGATTGAAT TCCTGCAGCC C 31
配列番号:4
配列の長さ:33
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列:
CCCTACTTGG ACAACTAGTA ATTACTGAGT CAA 33
配列番号:5
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸 合成DNA
配列:

0029

図1実施例−1で用いたcDNAの構造と点変異を導入しようとした部分の概略を示す図である。
図2実施例−2で用いたcDNAの構造と点変異を導入しようとした部分の概略を示す図である。

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