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技術 イオン注入装置及びイオン注入方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 橋本浩行
出願日 1994年7月19日 (25年11ヶ月経過) 出願番号 1994-167085
公開日 1995年4月11日 (25年2ヶ月経過) 公開番号 1995-099035
状態 特許登録済
技術分野 物理蒸着 電子顕微鏡(3) 荷電粒子線装置 アニール
主要キーワード 収束器 帯電センサ 磁力強度 表面帯電量 帯電防止法 捕獲量 螺旋運動 放出角度
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図面 (9)

目的

注入材料表面が帯電を起こさず、歩留まり良く、半導体ウエハ等の材料にイオン注入できるイオン注入装置を提供する。

構成

イオン源1からのイオンイオンビーム5として被注入材料7に入射させることにより、該被注入材料7に前記イオンを注入するイオン注入装置において、該被注入材料7のイオンビームが照射される面とは反対の面側に磁力発生手段8が設置される。

効果

被注入材料表面の電荷蓄積が防止される。

概要

背景

イオン注入装置を用いた被注入材料に対するイオン注入は、以下のようなメリットを有する。
1.注入される不純物の濃度や深さ、プロファイルイオンビーム電流イオンエネルギーのような注入条件によって精度良く決めることができ、実行できる。
2.他の膜を通してイオンを注入することができる。
3.レジストを含む他の膜をマスクとして選択的な打ち込みができる。
4.低温で処理可能である。
そのため、ボロン低濃度拡散なども容易になり、半導体ウエハのような被注入材料に不純物を注入するプロセスにおいて不可欠の装置となっている。

イオン注入装置の概要は、例えば、「イオン注入技術」(難波、株式会社工業調査会、p9〜p28、1975)、「イオン注入装置」(橋本他、電子材料別冊、株式会社工業調査会発行、p56、1988)、「VLSIプロセス装置ハンドブック」(前田、株式会社工業調査会、p259〜272、1990)等の文献に記載されている。

イオン注入装置は、一般的には、イオン源質量分析器加速器ビーム収束系を有する。質量分析器はイオン源から発生したイオンをマグネットを用いて所望のイオンを取り出す。加速器はイオンを所望のエネルギーまで加速するために用いられる。ビーム収束系はイオンビームの拡りを抑える。

ところで、一般に、加速したイオンをウエハ等の被注入材料に注入する際、多数の二次電子が被注入材料表面から放出されるため、被注入材料表面に正電荷蓄積し、被注入材料表面は正に帯電しやすい。また、被注入材料に注入されるイオンは正イオンである場合が多く、この正イオンも正電荷の蓄積に寄与する。被注入材料表面が正に帯電する結果、被注入材料表面の静電破壊が誘発されたり、劣化が促進されて、製品歩留まりが低下するという問題が生ずる場合がある。また、被注入材料が完全な絶縁性材料である場合には、特にこの傾向が顕著であり、被注入材料表面が大きく破壊され、所望の製品が得られない場合がある。

従って、イオン注入方法において、被注入材料表面の帯電防止、特に正電荷蓄積防止技術は必要不可欠であり、各種検討されている。

そこで、帯電防止法として、次のような方法が採用されてきた。即ち、(1)イオンビームの経路面積当り電荷量を小さくする、(2)低エネルギー電子を供給する、という方法である。(1)の方法としては、具体的には、例えば、ビーム径を大きくする、あるいは、走査速度を上げる等の方法があり、(2)の方法としては、エレクトロンシャワーに代表される。

概要

被注入材料表面が帯電を起こさず、歩留まり良く、半導体ウエハ等の材料にイオン注入できるイオン注入装置を提供する。

イオン源1からのイオンをイオンビーム5として被注入材料7に入射させることにより、該被注入材料7に前記イオンを注入するイオン注入装置において、該被注入材料7のイオンビームが照射される面とは反対の面側に磁力発生手段8が設置される。

被注入材料表面の電荷蓄積が防止される。

目的

本発明は、上記した問題点に鑑みて成されたものであり、被注入材料表面が帯電を起こさず、歩留まり良く、半導体ウエハ等の材料を加工できるイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

また、本発明は、処理効率が高く、簡単な装置構成のイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

加えて、本発明は、被注入材料表面に蓄積される正電荷を中和し、被注入材料の静電破壊や劣化を防止することができるイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

また、本発明は、イオン種、イオンビーム電流、イオンエネルギー等のイオン注入条件が異なる場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止することが可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

更に本発明は、イオン注入条件が刻々と変化する場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

また、本発明はプロセスの条件設定が容易なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

イオン源からのイオンイオンビームとして被注入材料入射されることにより、該被注入材料に前記イオンを注入するイオン注入装置において、該被注入材料のイオンビームが照射される面側とは反対の面側に磁石が配置されたことを特徴とするイオン注入装置。

請求項2

前記磁石が永久磁石を有する請求項1に記載のイオン注入装置。

請求項3

前記磁石が電磁石を有する請求項1に記載のイオン注入装置。

請求項4

前記磁石は一方の極性が中心に、他方の極性が該一方の極性の周りに同心円状に設けられた請求項1乃至3のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項5

前記磁石を前記被注入材料に対して相対的に移動可能にする手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項6

前記磁石の磁束密度を変化させるための手段を有する請求項1乃至5のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項7

前記磁石の磁束密度を変化させるための手段は、帯電センサ電源及び電源を制御する手段を有する請求項6に記載のイオン注入装置。

請求項8

更に前記被注入材料のイオンビームが照射される面側に電子を供給する手段を有する請求項1乃至7のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項9

前記帯電センサは電流の変動又は電位を検出するセンサである請求項7に記載のイオン注入装置。

請求項10

前記磁石は前記被注入材料に接する位置に配されている請求項1乃至9のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項11

イオン源、質量分析器加速器ビーム収束系及び被注入材料載置部を有するイオン注入装置において、前記被注入材料載置部の前記ビーム収束系と反対側に磁力発生手段を有することを特徴とするイオン注入装置。

請求項12

前記磁力発生手段は永久磁石を有する請求項11に記載のイオン注入装置。

請求項13

前記磁力発生手段は電磁石を有する請求項11に記載のイオン注入装置。

請求項14

前記磁力発生手段は移動可能である請求項11乃至13のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項15

前記磁力発生手段から被注入材料の前記ビーム収束系側表面に作用させる磁力を変化させる手段を有する請求項11乃至14のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項16

前記磁力を変化させる手段は帯電センサと該帯電センサからの情報に基づいて制御信号を発生する制御手段を有する請求項15に記載のイオン注入装置。

請求項17

前記制御手段は電磁石を駆動する電力を発生する電源を制御する請求項16に記載のイオン注入装置。

請求項18

前記被注入材料載置部より前記ビーム収束系側に、前記被注入材料載置部側に電子を供給する外部電子供給手段を更に有する請求項11乃至17のいずれかに記載のイオン注入装置。

請求項19

被注入材料にイオンビームを照射して該被注入材料中にイオンを注入するイオン注入方法において、前記イオンビーム照射時に前記被注入材料のイオンビーム照射側面に磁力を作用させることを特徴とするイオン注入方法。

請求項20

前記磁力は前記被注入材料の前記イオンビーム照射側面と対向する面側から作用される請求項19に記載のイオン注入方法。

請求項21

前記被注入材料に作用される前記磁力は変化可能とされる請求項19乃至20のいずれかに記載のイオン注入方法。

請求項22

前記磁力の変化は磁石の移動によって行われる請求項21に記載のイオン注入方法。

請求項23

前記磁力の変化は、磁石が電磁石であって、該電磁石を駆動する電力の変化によって為される請求項21に記載のイオン注入方法。

請求項24

前記磁力の変化は前記被注入材料の帯電量に応じて行われる請求項21に記載のイオン注入方法。

請求項25

前記帯電量の変化は前記被注入材料中を流れる電流の変化による請求項24に記載のイオン注入方法。

請求項26

前記帯電量の変化は前記被注入材料表面の電位の変化による請求項24に記載のイオン注入方法。

請求項27

更に前記イオンビーム照射時に前記被注入材料のイオンビーム照射側面に外部電子を供給する請求項19乃至26のいずれかに記載のイオン注入方法。

請求項28

前記被注入材料は半導体材料を有する請求項19乃至27のいずれかに記載のイオン注入方法。

請求項29

前記被注入材料は絶縁性材料を有する請求項19乃至27のいずれかに記載のイオン注入方法。

請求項30

前記絶縁性材料は前記被注入材料のイオンビーム照射側面側に有する請求項29に記載のイオン注入方法。

請求項31

前記被注入材料は多層構成である請求項19乃至30のいずれかに記載のイオン注入方法。

技術分野

0001

本発明は、イオン注入装置及びイオン注入方法に関し、更に詳しくは、半導体装置の製造プロセスに好適に用いられるイオン注入装置及びイオン注入方法に関する。

背景技術

0002

イオン注入装置を用いた被注入材料に対するイオン注入は、以下のようなメリットを有する。
1.注入される不純物の濃度や深さ、プロファイルイオンビーム電流イオンエネルギーのような注入条件によって精度良く決めることができ、実行できる。
2.他の膜を通してイオンを注入することができる。
3.レジストを含む他の膜をマスクとして選択的な打ち込みができる。
4.低温で処理可能である。
そのため、ボロン低濃度拡散なども容易になり、半導体ウエハのような被注入材料に不純物を注入するプロセスにおいて不可欠の装置となっている。

0003

イオン注入装置の概要は、例えば、「イオン注入技術」(難波、株式会社工業調査会、p9〜p28、1975)、「イオン注入装置」(橋本他、電子材料別冊、株式会社工業調査会発行、p56、1988)、「VLSIプロセス装置ハンドブック」(前田、株式会社工業調査会、p259〜272、1990)等の文献に記載されている。

0004

イオン注入装置は、一般的には、イオン源質量分析器加速器ビーム収束系を有する。質量分析器はイオン源から発生したイオンをマグネットを用いて所望のイオンを取り出す。加速器はイオンを所望のエネルギーまで加速するために用いられる。ビーム収束系はイオンビームの拡りを抑える。

0005

ところで、一般に、加速したイオンをウエハ等の被注入材料に注入する際、多数の二次電子が被注入材料表面から放出されるため、被注入材料表面に正電荷蓄積し、被注入材料表面は正に帯電しやすい。また、被注入材料に注入されるイオンは正イオンである場合が多く、この正イオンも正電荷の蓄積に寄与する。被注入材料表面が正に帯電する結果、被注入材料表面の静電破壊が誘発されたり、劣化が促進されて、製品歩留まりが低下するという問題が生ずる場合がある。また、被注入材料が完全な絶縁性材料である場合には、特にこの傾向が顕著であり、被注入材料表面が大きく破壊され、所望の製品が得られない場合がある。

0006

従って、イオン注入方法において、被注入材料表面の帯電防止、特に正電荷蓄積防止技術は必要不可欠であり、各種検討されている。

0007

そこで、帯電防止法として、次のような方法が採用されてきた。即ち、(1)イオンビームの経路面積当り電荷量を小さくする、(2)低エネルギー電子を供給する、という方法である。(1)の方法としては、具体的には、例えば、ビーム径を大きくする、あるいは、走査速度を上げる等の方法があり、(2)の方法としては、エレクトロンシャワーに代表される。

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記した帯電防止法には、次のような問題を生ずる場合があった。即ち、前記(1)の方法では、イオンビーム電流を大きくできず、イオン注入に長時間を要する。また、この方法は、帯電現象をある程度緩和できるが、根本的な解決にはならない。前記(2)の方法では、低エネルギーの電子を供給するための独立した電子銃が必要になり、装置が大がかりになる。また、一般に、電子銃から供給される電子数電流)は、被注入材料の電子照射面における中心部と周辺部とで異なるため、被注入材料表面の帯電を2次的に均一に中和することは難しい。

0009

本発明は、上記した問題点に鑑みて成されたものであり、被注入材料表面が帯電を起こさず、歩留まり良く、半導体ウエハ等の材料を加工できるイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

0010

また、本発明は、処理効率が高く、簡単な装置構成のイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

0011

加えて、本発明は、被注入材料表面に蓄積される正電荷を中和し、被注入材料の静電破壊や劣化を防止することができるイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

0012

また、本発明は、イオン種、イオンビーム電流、イオンエネルギー等のイオン注入条件が異なる場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止することが可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

0013

更に本発明は、イオン注入条件が刻々と変化する場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止可能なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

0014

また、本発明はプロセスの条件設定が容易なイオン注入装置及びイオン注入方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記目的を達成する本発明は、イオン源からのイオンがイオンビームとして被注入材料に入射されることにより、該被注入材料に前記イオンを注入するイオン注入装置において、該被注入材料のイオンビームが照射される面側とは反対の面側に磁石が配置されたことを特徴とするイオン注入装置である。

0016

また、本発明は、イオン源、質量分析器、加速器、ビーム収束系及び被注入材料載置部を有するイオン注入装置において、前記被注入材料載置部の前記ビーム収束系と反対側に磁力発生手段を有することを特徴とするイオン注入装置である。

0017

更に本発明は、被注入材料にイオンビームを照射して該被注入材料中にイオンを注入するイオン注入方法において、前記イオンビーム照射時に前記被注入材料のイオンビーム照射側面に磁力を作用させることを特徴とするイオン注入方法である。

0018

以下、本発明のイオン注入装置及びイオン注入方法について説明する。

0019

本発明のイオン注入装置及びイオン注入方法を簡単に説明すると、磁力を利用して被注入材料の電荷蓄積を軽減もしくは防止するものである。

0020

図1は、被注入材料のイオンビームが入射される面側とは反対の面側に、同心円状磁石を配置した本発明のイオン注入装置の好適な一例を説明するための模式的構成図である。

0021

図1において、1はイオン源、2は質量分析器、3は加速器、4はビーム収束器、5はイオンビーム、6は試料ホルダー、7は被注入材料、8は磁力発生手段である。

0022

図1に示されるように、イオン源1から発生されたイオン種はマグネットを利用した質量分析器2により所望のイオン種が選択され、選択されたイオン種は加速器3によって試料ホルダー6に着脱自在に固定された被注入材料(試料)7に向けて加速され、被注入材料7へ注入される。磁石を有する磁力発生手段8は、被注入材料7のイオンビーム5の照射面とは反対の面側、即ち、図1においては被注入材料下面側、に配されている。尚、イオンビーム5は被注入材料7の表面に垂直又は実質的に垂直に入射される。

0023

この磁力発生手段8から発生された磁界の作用によって、イオンビーム5が被注入材料7に照射されて被注入材料7から放出される二次電子は被注入材料7のイオンビーム照射表面近傍に捕らえられ、被注入材料7の表面近傍で電子による電流が閉じる領域が形成される。そして、この二次電子により、被注入材料7の表面に蓄積しあるいは蓄積される正電荷が中和される。

0024

図2(A)及び図2(B)に磁力発生手段8の好適な一例を示す。図2(A)は磁力発生手段の模式的平面図、図2(B)はその模式的断面図である。

0025

図2(A)及び図2(B)に示されるように、磁力発生手段は基体23上に環状(ドーナツ状)のS型磁石21と該S型磁石21の内部に円柱状のN型磁石22が同心円状に配置されている。磁力発生手段として永久磁石を使用する場合は特に材料に限定はないが、磁束密度の大きさ、成型性入手のし易さから適宜選択すればよい。

0026

具体的な一例としては、アルニコ系、フェライト系、希土類コバルト系などを挙げることができる。

0027

このような磁力発生手段により、二次電子が被注入材料7の表面近傍に捕らえられる様子について説明する。

0028

一般に、静止している電子は磁界から力を受けないが、運動している電荷eを持つ電子が磁束密度Bの磁界内に直角に入射すると、電子は進行方向及び磁界の方向に直角に、磁束密度B、その速度vに比例した力f=Bevを受ける。その方向はフレミングの左手の法則に従う。また、電子の進行方向と磁界の方向とが平行な場合は力が生じない。

0029

一方、被注入材料7から放出される二次電子は、初速度v0を持っているため、磁界から力を受けることになる。ところが、(1)同心円状磁石(磁力発生手段8)から発せられる磁界が、被注入材料7のイオンビームが入射される面側では水平ではなく、円弧状となっている、(2)上記二次電子の放出角度が一定でない、(3)上記二次電子の初速度v0が一定でない、等の理由で、被注入材料7の表面近傍における二次電子の振舞いは複雑で、これを説明するのは容易ではない。

0030

そこで、上記同心円状磁石8から発せられる磁界のうち、被注入材料と平行な磁界を対象とし、二次電子が該被注入材料表面から垂直に放出された場合について以下説明する。

0031

図3は、この場合の二次電子の振舞いを示した模式的断面図である。図3に示すように、この場合、二次電子10が磁束密度Bの磁界内に直角に入射することになるので、二次電子10は、進行方向及び磁界の方向に直角に、磁束密度B、その速度vに比例した力f=Bevを受ける。その結果、二次電子10は、被注入材料7の表面近傍で円運動することになる。

0032

また、一般に、イオン注入装置においては、注入イオン加速度を上げること等を目的として、試料ホルダー6に正または負の電圧印加する場合がある。また、加速器3から電場漏洩する場合がある。このような場合には、上記の被注入材料7の表面近傍における二次電子は、前記電場(電界)によっても影響を受ける。

0033

そこで、図3を用いて説明したものに電界Eが加わった場合、即ち、同心円状磁石8から発せられる磁界のうち被注入材料表面と平行な磁界を対象とし、二次電子が該被注入材料表面から垂直に放出され、更に電界Eが該被注入材料表面から垂直方向に存在する場合について以下図4を用いて説明する。

0034

図4は、電界Eが加えられた場合の二次電子の振舞いを示した模式的断面図である。この場合、二次電子10は、磁束密度Bの磁界及び電界Eの作用を受け、図4に示すように、被注入材料7の表面近傍で螺旋運動することになる。

0035

このように、磁力発生手段によって、二次電子が閉じ込められた領域内を円運動や螺旋運動等をすることにより、被注入材料表面に蓄積した正電荷が該電子により中和される。

0036

尚、S型磁石とN型磁石との位置が入れ替わっても、つまり、どちらが環状側になっても、二次電子の捕捉効果は基本的に同一である。従って、必要とされる磁石の磁力強度はどちらの場合も基本的に差はない。

0037

しかしながら、イオン種、イオンビーム電流、イオンエネルギー等のイオン注入条件(運転条件)が異なると、磁石の最適磁力強度は変化するので、この最適磁力強度は、予め、実験等により求めておくことが好ましい。

0038

具体的には、より軽いイオン種、より高いイオンビーム電流、より大きいイオンエネルギーの場合は磁力強度をより大きくすることが好ましい。

0039

基本的には、磁力によって二次電子が捕捉されれば良い。

0040

磁力発生手段は被注入材料に接して設けられた方が効率が高くなるが(磁力は距離の3乗に反比例するため)、被注入材料の設置のし易さなどを考え、被注入材料から離して配置してもよいものである。

0041

尚、磁力強度はより具体的には50ガウス以上とすることが好ましく、特に密着させた場合は50ガウス以上とすることが望ましい。

0042

尚、図1において試料ホルダー6は、複数の被注入材料を回転軸9を中心として環状に着脱可能な状態で固定できるよう構成されており、図示しない駆動機構により回転軸9を中心に回転できるよう構成されている。

0043

図1で例示したイオン注入装置において、磁力発生手段8として説明した同心円状磁石の代わりに電磁石11をもまた使用することができる。図5は電磁石の一態様を示す模式的断面図である。

0044

電磁石11はFe,Cr,Co,Niなどの磁性体を図2(A)及び図2(B)に示されるような形状、即ち、円板51の一面の端部側に環状に凸部と該円板51の中心に円柱状の凸部を有する形状とした基材の前記円柱状の凸部にコイル52を巻き付けて構成される。

0045

コイル52に流す電流の向きによって、円柱状の凸部の被注入材料側の極性をS極、N極に任意に変えることができる。

0046

また、コイル52に印加する電圧を変化させることで磁力強度を任意に変えることができる。

0047

尚、コイル52の両端に接続される導通路を回転軸9を通じてイオン注入装置の外部から電力を供給できるようにすることは好ましい。

0048

また、上述のごとく、電磁石11を利用した場合は、磁力強度を任意に設定することが容易に可能になるので、例えば、試料ホルダー6に帯電センサを組み込んでおき、イオン注入時に被注入材料7の表面帯電量の変化量に応じフィードバックをかけて、コイル52に流れる電流量リアルタイムに制御することもできる。

0049

例えば、図6に示されるように帯電センサ63で検出した帯電量に基づいて制御手段62により所望の磁力が得られるように電源61の出力を調整して磁力発生手段である電磁石11に所望の電力を供給すれば良い。

0050

帯電センサとしては試料に流れる電流の変動をモニターする方法、試料表面の電位を測定する方法などがある。帯電量の検出は任意に選択可能であるし、これらに限定されるものではない。

0051

また、磁力発生手段8は単一の永久磁石や電磁石とする必要はなく、被注入材料表面に平行もしくは実質的に平行な磁界を与えることが可能であれば複数組合せても良いし、永久磁石と電磁石とを組合せても良い。

0052

本発明における被注入材料は半導体分野などで行われるイオン注入される材料を選べることは勿論である。

0053

特に本発明においては絶縁性表面を被注入材料が有している場合には、被注入材料の表面がチャージアップし易いので一層効果的である。

0054

更に本発明においては、被注入材料の表面の帯電を中和するために更に被注入材料の表面に更に電子を供給するようにしても良い。

0055

図7は本発明の別のイオン注入装置の一例を説明するための模式的構成図である。

0056

図7においては被注入材料7と磁力発生手段である電磁石11との間を離して配した場合の例が示されており、該電磁石11には電源61から電力が供給される。電源61から電磁石11に供給される電力は被注入材料7に流れる電流を電流計64によって検出し、これから帯電センサ63で帯電量を検知してこのデータをもとに制御手段62によって必要な量とされる。

0057

被注入材料7のイオン照射側には、外部電子供給手段65を設けている。外部電子供給手段65はフィラメント66からの一次電子67をファラデーケージ68に当て、そこから二次電子69を発生させて、この二次電子69が被注入材料7に照射可能にされている。

0058

フィラメント66は、例えば、タングステン(W)のような仕事関数の小さい材料を用いることができ、フィラメント66の加熱によって熱電子が一次電子として放出される。

0059

尚、被注入材料7と電磁石11との距離dは任意の量で良いが、距離dが大き過ぎると磁力が有効に作用しなくなるため好ましくは数mm以下、より好ましくは2〜3mm以下、更に好ましくは1mm以下とされる。もちろん、磁力をより有効に作用させるには密着させるのが良い。

0060

図7に示される構成のイオン注入装置によれば、磁力発生手段として電磁石11を用いており、電源61から供給される電力を適宜制御しつつ、更に表面側から電子を供給して帯電を中和しているため、より均一で精密なイオン注入を行うことができる。

0061

図8に磁力発生手段8近傍のイオン注入装置の別の構成例を示す。

0062

図8に示される例も被注入材料7と磁力発生手段8とが距離dmm離れている例で示されているが、これはd=0mmの場合であっても良い。

0063

図8に示される磁力発生手段8は支持手段81によって支持され、必要に応じて被注入材料7に磁力発生手段8を近づけたり離したりすることができる。

0064

これによって永久磁石を磁力発生手段8に使用した場合であっても適宜作用する磁力を制御することができる。

0065

従って、図8に示される構成を図7のイオン注入装置に適用すれば、永久磁石を用いて支持手段81による磁石の移動によって、帯電量に応じて作用される磁力を変化させることができる。つまり、被注入材料と磁石との相対移動によって磁力を変化させても良いものである。

0066

いずれにせよ作用される磁力を可変とすることで電磁石を用いたイオン注入装置を使用してイオン注入を実施する場合に説明した効果に加え、次の効果が得られる。

0067

即ち、被注入材料表面の帯電量の変化量に応じ、フィードバックがかかり、電磁石に流れる電流量が自動的に制御され、または磁石の位置が制御されるので、イオン種、イオンビーム電流、イオンエネルギー等のイオン注入条件(運転条件)が異なる場合や、イオン注入時に被注入材料表面の帯電量が刻々と変化する場合であっても、最適な磁力強度が自動的に調整されて二次電子の捕獲量が精度良く制御される結果、被注入材料表面の正電荷を有効に中和することができる。

0068

実施例1
上記構成のイオン注入装置を用いて半導体ウエハ等の被注入材料に対して、イオンを注入する一例を以下に示す。

0069

試料ホルダー6に、被注入材料7を所定枚数だけ固定し、続いて、磁力発生手段8を被注入材料の下部、即ち、イオンビーム照射面側と反対の面側に配置し、試料ホルダー6に固定する(磁石は試料ホルダーと一体となっていても良い。)。

0070

次に試料ホルダー6を、不図示の搬送機構を用いて回転軸9に固定し、続いて、図示しない真空排気機構により、所定の圧力まで装置内を真空排気する。試料ホルダー6を所定の回転数で回転させる。

0071

続いて、所望のイオン種を、所定のエネルギーまで加速し、イオンビーム電流を計測しながら、被注入材料に注入する。こうして、所望のイオン種を注入した被注入材料、例えば、不純物イオンを注入した半導体ウエハ等を得ることができる。

0072

表1に、0.5mm厚のシリコン基板上に比抵抗1×107Ω・cmで厚さ0.5μmのGaAsを有する被注入材料にリン(P)イオンを注入する場合のチャージアップの測定結果を示す。

0073

表1において、試料No.1−1,1−2,1−3は被注入材料のイオンビーム照射側面と反対の面側に磁力発生手段として永久磁石を配置した。

0074

この際、試料No.1−1,1−2は被注入材料に磁石を密着させ、試料No.1−3は被注入材料から1mm下方に設置した。

0075

また、試料No.1−4は磁力を作用させなかった。

0076

本実施例では永久磁石として希土類コバルト磁石を用いた。

0077

尚、チャージアップは試料表面の帯電量とし、この帯電量は電流の変化から測定した。表中に示される数値は試料No.1−4を100とした場合の相対的数値で示した。

0078

表1からわかるように、磁力を作用させた場合はチャージアップが少なく、注入イオンも所望量を均一に注入することができた。

0079

0080

実施例2
次に、被注入材料として、0.5mm厚のシリコン基板上に1μm厚の酸化シリコンを使用し、ボロン原子を注入した。

0081

尚、磁力発生手段を使用した試料No.2−1,2−2は夫々アルニコ系の永久磁石とフェライト系の永久磁石を用い、被注入材料に密着させて使用した。

0082

試料No.2−3は磁力発生手段を使用していない。

0083

結果を表2に示す。

0084

表2において、チャージアップの値は試料No.2−3を100とした時の相対的値として示している。

0085

本実施例では絶縁性材料である二酸化シリコンを表面に有しているのでチャージアップが生じ易い難条件であるにもかかわらず、磁力発生手段を用いることでチャージアップが明らかに減少した。

0086

0087

実施例3
次に実施例2と同じ被注入材料を用い、永久磁石の代わりに電磁石を用いて同様にボロンを注入した。

0088

電磁石は図6または図7に示されるようなフィードバック系を設け帯電量に応じて最適制御をした。

0089

また試料No.3−2は更に外部供給二次電子を付与し、被注入材料表面の帯電の中和を更に促進した。

0090

この結果を表3に示す。

0091

尚、チャージアップの数値は表2の試料No.2−3を100とした場合の相対的値である。

0092

表3からわかるように、電磁石によって最大磁束を永久磁石より大幅に向上させ更にフィードバック系によって最適制御をすることでチャージアップは激減させることができた。

0093

また、更に二次電子を供給することにより、実質的にチャージアップを解消することができ、より一層均一に所望量のイオン注入を行うことができた。

0094

尚、上記実施例において、磁束密度はN極とS極の各上部を結ぶ線の中心から被注入材料側へ0.5mm上方の位置tにおけるものである(図2(B)参照)。

0095

0096

以上、本発明を図面及び実施例に基づき説明したが、本発明は、上記説明に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲において適宜変形できることは云うまでもない。

0097

例えば、上記説明では磁石として同心円状磁石または電磁コイルを使用したが、二次電子を被注入材料表面近傍に捕捉できるように磁力線(磁界)を形成できるものであれば磁石の形状は問わない。更に、上記説明においては、一つの被注入材料に対し一つの磁石を設置したが、二次電子を捕捉できる磁力線(磁界)を形成する配置であれば、磁石は複数の被注入材料、場合によっては全被注入材料にまたがっていても良い。

0098

また、試料ホルダーに被注入材料を固定した後に、磁力発生手段を試料ホルダーに固定するのではなく、磁力発生手段と試料ホルダーとは一体となっていても良い。

0099

本発明は、イオン注入技術を利用するあらゆる分野において使用可能であり、特に半導体ウエハへの不純物注入等に代表される半導体製造プロセスの分野に適用可能である。

発明の効果

0100

以上説明したように、本発明のイオン注入装置及びイオン注入方法によれば、イオン注入の際に、被注入材料表面から放出される二次電子を磁界の作用により捕捉し、電子による電流が閉じられる領域を被注入材料表面近傍に形成することにより、被注入材料表面に蓄積する正電荷を中和することができる。従って、被注入材料における静電破壊や劣化を防止することができ、製品の歩留まりを大幅に向上させることができる。

0101

更に、予め最適磁力強度を決定しておくことにより、イオン種、イオンビーム電流、イオンエネルギー等のイオン注入条件(運転条件)が異なる場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止することができる。

0102

また、フィードバック制御により電磁石へ流す電流を調整することにより、前記イオン注入条件(運転条件)が刻々と変化する場合であっても有効に正電荷の蓄積を防止することができる。

0103

更に、工程に長時間を要することなく、低イオンエネルギーの電子を供給する電子銃等の装備も必要としないので、イオン注入装置及びプロセスの簡略化が可能になる。

0104

加えて、被注入材料のイオン照射面側とは反対の面側に磁力発生手段を配置することによって、被注入材料の表面からの二次電子の捕捉量がより制御し易くなるばかりか、注入イオンビームの光学系への影響をより一層小さくできるので、特に低エネルギーイオンの注入の場合には有効である。

0105

更に、二次電子を外部から供給する場合も被注入材料表面近傍に該外部から供給された電子をより均一に捕捉できるので、イオン注入の濃度分布を一層少なくすることができる。

0106

従って、磁力発生手段は上述した位置に必ずしも配置する必要はなく、所望に応じて適宜配置位置を選択可能ではあるが、被注入材料のイオン照射面と反対の面側であって、イオン照射面に対応する位置に設けることは上記理由から望ましい。

0107

尚、本発明は、上記説明した内容に限定されない。本発明の主旨の範囲内で適宜組合せ可能であり、変形できることは云うまでもない。

図面の簡単な説明

0108

図1本発明のイオン注入装置の好適な一例を説明するための模式的構成図である。
図2図2(A)及び(B)は夫々本発明の磁力発生手段の好適な一例を説明するための図であり、(A)は模式的平面図、(B)は模式的断面図である。
図3磁界の作用による二次電子の振舞いを示した模式的断面図である。
図4磁界及び電界の作用による二次電子の振舞いを示した模式的断面図である。
図5本発明の磁力発生手段の別の好適な一例を示す模式的断面図である。
図6本発明のイオン注入装置のフィードバック機構を説明するための模式的ブロック構成図である。
図7本発明の別のイオン注入装置の一例を説明するための模式的構成図である。
図8本発明のイオン注入装置の磁力発生手段近傍の好適な一例を説明するための模式的構成図である。

--

0109

1イオン源
2質量分析器
3加速器
4ビーム収束器
5イオンビーム
6試料ホルダー
7 被注入材料
8磁力発生手段
9回転軸
10二次電子
11電磁石
21 S型磁石
22N型磁石
23基体
51円板
52コイル
61電源
62 制御手段
63帯電センサ
64電流計
65 外部電子供給手段
66フィラメント
67一次電子
68ファラデーケージ
69 二次電子
81 支持手段

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