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技術 低水素系被覆アーク溶接棒

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 阿部知之笠井登成瀬省三
出願日 1993年9月29日 (27年1ヶ月経過) 出願番号 1993-265628
公開日 1995年4月11日 (25年7ヶ月経過) 公開番号 1995-096394
状態 特許登録済
技術分野 溶接用非金属材料(フラックス)
主要キーワード スプレー化 高張力鋼管 溶着効率 保護筒 Fe分 粘性剤 突合せ継手 高能率化
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1995年4月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

目的

ウィービング施工による1層1パス溶接でもスラグ垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による溶接施工が可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供する。

構成

粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を40%以上含むTi酸化物:1〜6%を含有した被覆剤を、鋼心線外周に被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接棒全体の下記式による炭素量を0.08〜0.25%に規制した低水素系被覆アーク溶接棒である。

炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}

ここで、被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100%、心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%。

効果

特にパイプ円周突合せ継手下進溶接に適する。

概要

背景

従来より、パイプライン現場における円周突合せ溶接は、国内では低水素系被覆アーク溶接棒イルミナイト被覆アーク溶接棒を用いた上進溶接が行われており、一方、外国ではハイセルロース系被覆アーク溶接棒を用いた下進溶接が行われている。しかし、高張力鋼管溶接、特に寒冷地における現場溶接では水素による割れが大きな問題となることから、低水素系被覆アーク溶接棒の使用が望ましいものの、従来は、低水素系被覆アーク溶接棒では下進で溶接することが非常に困難であった。

概要

ウィービング施工による1層1パス溶接でもスラグ垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による溶接施工が可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供する。

粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を40%以上含むTi酸化物:1〜6%を含有した被覆剤を、鋼心線外周に被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接棒全体の下記式による炭素量を0.08〜0.25%に規制した低水素系被覆アーク溶接棒である。

炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}

ここで、被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100%、心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%。

特にパイプの円周突合せ継手の下進溶接に適する。

目的

本発明は、上記従来技術の欠点を解消して、ウィービング施工による1層1パス溶接でもスラグの垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による溶接施工が可能となる低水素系被覆アーク溶接棒を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

被覆剤全重量%で(以下、同じ)、金属炭酸塩:30〜50%、金属フッ化物:1.5〜4%、SiO2:5〜12%、Ti酸化物:1〜6%(但し、粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を40%以上含有すること。)、Si:3〜9%、Mn:1〜6%、Fe:25〜50%、を含有した被覆剤を、鋼心線外周に被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接棒全体の下記(1)式による炭素量を0.08〜0.25%に規制してなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。記炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1)ここで、被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100%心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%

請求項2

被覆剤が更に、Ni:0.5〜4.5%、Mo:0.1〜4.5%、Ti:0.1〜3%のうちの1種又は2種以上を含有していることを特徴とする請求項1に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

請求項3

被覆剤が更に、B:0.05〜0.2%を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。

技術分野

0001

本発明は、低水素系被覆アーク溶接棒に関し、特にパイプ円周突合せ継手下進溶接に適用して優れた効果を発揮するものである。

背景技術

0002

従来より、パイプライン現場における円周突合せ溶接は、国内では低水素系被覆アーク溶接棒やイルミナイト被覆アーク溶接棒を用いた上進溶接が行われており、一方、外国ではハイセルロース系被覆アーク溶接棒を用いた下進溶接が行われている。しかし、高張力鋼管溶接、特に寒冷地における現場溶接では水素による割れが大きな問題となることから、低水素系被覆アーク溶接棒の使用が望ましいものの、従来は、低水素系被覆アーク溶接棒では下進で溶接することが非常に困難であった。

発明が解決しようとする課題

0003

この問題を解決するため、本件出願人は先に特開平4−367393号を提案した。しかし、上記提案の低水素系被覆アーク溶接棒は、それ以前のものに比較すると格段に優れた性能を有するものであるが、最近、より高能率化苛酷な性能が求められるようになり、必ずしも満足し得るものではなく、改善が求められていた。

0004

すなわち、高能率化を図るために、パス数をできる限り少なくした1層1パス溶接が望まれている。つまり、1層2パス溶接の場合は、第1ビードを溶接した後、第2ビードを溶接する前に開先内の第1ビード止端部をグラインダー等で研削して、開先を広げて溶込み不足などを防止していた。しかし、その作業に時間がかかるため、1層1パスで溶接すれば、上記の工程が不要なことから、1層1パスが可能な低水素系被覆アーク溶接棒が望まれていた。

0005

しかしながら、従来の低水素系被覆アーク溶接棒では、1層1パス溶接をするためにウィービング施工を行うと、スラグ垂れやすく、溶接金属の垂れが発生しやすい欠点があった。

0006

また、従来の低水素系被覆アーク溶接棒では、裏波溶接を高能率に施工しようとして高電流、高溶接速度の条件で行うと、スラグが垂れやすく、溶接金属が凹形裏波ビードになる欠点があった。

0007

本発明は、上記従来技術の欠点を解消して、ウィービング施工による1層1パス溶接でもスラグの垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による溶接施工が可能となる低水素系被覆アーク溶接棒を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0008

以上の状況において、本発明者らは、まず、スラグの垂れを防止する方法を検討した。従来の溶接棒アーク広がりが少なく、また溶滴移行も安定性欠け、その結果、ウィービングを行った時、クレータの広がりが不充分でスラグが垂れやすいことが判明した。したがって、クレータの広がりを充分確保し、かつアークをスプレー化し、溶滴移行を安定にさせる手段について種々検討した。その結果、超微粒Ti酸化物を添加することにより、保護筒が安定し、つまり保護筒が均一に溶融して、アークの方向性が安定し、クレータの広がりを制御しやすいことが判明した。

0009

従来の溶接棒ではストレートに近い施工で且つコンタクト溶接であるため、保護筒の安定性はそれほど問題にはならなかったが、ウィービング施工においては、若干溶接棒を母材から離して施工するため、より保護筒の均一な溶融性が必要となり、これが、従来の溶接棒ではウィービング施工に適さなかった理由と考えられた。

0010

しかしながら、超微粒のTi酸化物は、上記の効果が得られるものの、一方では、スパッタ量は充分少なくならず、後工程でのスパッタ除去や溶接中の安全面でより一層の改善が必要であることが判明した。

0011

そこで、本発明者らは種々の成分を検討した結果、従来の低水素系被覆剤では耐割れ性の点で低いのが望ましいとされていた炭素量を逆に増加させることで、アークを安定化させ、かつスパッタの発生量も減少できることを見い出し、ここに本発明を完成したものである。

0012

すなわち、本発明は、被覆剤全重量%で、金属炭酸塩:30〜50%、金属フッ化物:1.5〜4%、SiO2:5〜12%、Ti酸化物:1〜6%(但し、粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を40%以上含有すること。)、Si:3〜9%、Mn:1〜6%、Fe:25〜50%、を含有した被覆剤を、鋼心線外周に被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接棒全体の下記(1)式による炭素量を0.08〜0.25%に規制してなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒を要旨としている。

炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1)
ここで、
被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100%
心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%

0013

また、他の本発明は、被覆剤が更に、Ni:0.5〜4.5%、Mo:0.1〜4.5%、Ti:0.1〜3%のうちの1種又は2種以上、及び/又は、B:0.05〜0.2%を含有していることを特徴としている。

0014

まず、本発明における各成分並びに被覆率の限定理由は以下のとおりである。

0015

金属炭酸塩:30〜50%
金属炭酸塩はガス発生剤として添加するが、30%未満ではガス発生量が少なくシールド不足になると共にスラグの粘性が小さくなってビード表面ピットが発生する。一方、50%を超えるとスラグの粘性が著しく増大してビードのなじみが悪くなり、またガス発生量が多くなってスパッタの発生が多くなる。したがって、金属炭酸塩量は30〜50%の範囲とする。なお、金属炭酸塩は例えばCaCO3、BaCO3、MgCO3などが使われる。

0016

金属フッ化物:1.5〜4%
金属フッ化物はスラグの粘性と流動性を調整する作用がある。しかし、1.5%未満ではその効果がなく、これより多くすると2〜4時の位置で良好なビードが形成させるが、4%を超えるとスラグの粘性が比較的小さくなり、スラグの流動性が増して、4.5〜6時及び7.5〜6時の位置(図1参照)においてビードと母材のなじみが悪くなる。したがって、金属フッ化物量は1.5〜4%の範囲とする。なお、金属フッ化物としては例えばCaF2等々が使われる。

0017

SiO2:5〜12%
SiO2はアークを強くして溶込みを確保する作用がある。しかし、5%未満ではアークが弱く、クレータの広がりが小さい。またビードのなじみも劣化する。一方、12%を超えると2〜4時の位置において、スラグが邪魔し巻き込み易くなり、良好なビードが得られなくなる。したがって、SiO2量は5〜12%の範囲とする。

0018

Ti酸化物:1〜6%(但し、粒径0.3μm以下の超微粒Ti酸化物を40%以上含むこと)
Ti酸化物は保護筒の溶融を均一化することにより、アークの方向性が一定になり、ウィービング施工においても溶接金属の垂れを防止する効果がある。そのためには、粒径0.3μm以下の超微粒Ti酸化物を40%以上含んだTi酸化物を1〜6%含有させることが必要である。1%未満ではその効果が得られず、更にビードのなじみも劣化する。また6%を超えるとスラグの流動性が増し、2〜4時の位置でスラグ邪魔が生じやすい。

0019

Si:3〜9%、Mn:1〜6%
Si、Mnは脱酸剤として添加されるが、それぞれ下限値未満ではその効果がなく、また上限値を超えると脱酸過剰となってビード表面にピットが発生するようになる。なお、Siは単体或いはFe−Si、Si−Mn、Ca−Si等の形で添加でき、Mnは金属Mn或いはFe−Mn、Si−Mn等の形で添加できる。

0020

Fe:25〜50%
Feは溶着効率を向上させるために添加するが、25%未満ではその効果が少なく、また50%を超えると相対的にスラグ形成剤の量が少なくなり、スラグの被包性が悪くなる。したがって、Fe量は25〜50%の範囲とする。なお、Feは鉄粉として、又はFe−Mn、Fe−Si等のFe分として添加できる。

0021

被覆率:20〜35%
被覆率が20%未満ではスラグ形成剤が少なくなり、シールド不足によるピットが発生する。また35%を超えるとスラグ形成剤が多くなりすぎ、スラグの邪魔が発生し、良好なビードが得られない。したがって、被覆率は20〜35%の範囲とする。

0022

炭素量(式(1)の値):0.08〜0.25%
下記の(1)式で定義される炭素量が0.08%未満では溶滴大粒になり、スパッタが増し、また、0.25%を超えるとアークが強くなりすぎて、クレータを掘り下げ溶接金属が垂れやすくなったり、またスパッタ量もやや増すことが判明した。したがって、本発明では下記の(1)式で定義される炭素量を0.08〜0.25%の範囲に規制する。より好ましくは0.12〜0.20%である。

0023

炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1)
ここで、
被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100%
心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%

0024

なお、上記成分のほか、必要に応じて、以下の成分の1種又は2種以上を適量にて被覆剤中に添加することができる。

0025

Ni:0.5〜4.5%
Niはフェライト組織強靱化を図るのに有効であるが、0.5%未満ではその効果が得られず、一方、4.5%を超えるとアークが弱くなり溶滴移行性が悪くなって溶込み不良が発生する。したがって、Ni量は0.5〜4.5%の範囲とする。

0026

Mo:0.1〜4.5%
Moは強度の調整のために有効であるが、0.1%未満ではその効果が得られず、一方、4.5%を超えると衝撃値が劣化する。したがって、Mo量は0.1〜4.5%とする。

0027

Ti:0.1〜3%
Tiの溶接作業性に与える作用としては、アークの集中性を改善し、かつアークをソフトにすることができる点である。しかし、0.1%未満ではアークの集中性が劣るので融合不良発生原因となり運棒操作に熟練を要する。また3%を超えるとアークが弱くなりすぎて溶込み不良が発生する。したがって、Ti量は0.1〜3%の範囲とする。なお、Tiは例えばFe−Ti等の形態で添加する。

0028

B:0.05〜0.2%
Bは母材とのなじみを改善するために有効であるが、0.05%未満では母材とのなじみが劣るので、運棒操作に熟練を要する。また0.2%を超えるとアークが弱くなりすぎ、溶込み不良が発生する。したがって、B量は0.05〜0.2%の範囲とする。なお、BはB合金若しくはB酸化物の形態で添加することができる。

0029

なお、溶着金属機械的性質を調整するためにCr、Cu、Nb等の合金成分の1種類以上を被覆剤又は心線中に添加してもよい。鋼心線の他の成分組成は特に限定されない。

0030

また、本発明では通常粘性剤として水ガラスを使用するが、水ガラスにはNa2O、K2O等の成分が若干量含まれているので、スラグ形成剤、アーク安定剤としても作用する。なお、直流電源を使用する場合には水ガラスとしてK2Oを含まないものの方が保護筒がより安定して好ましい。

0031

次に本発明の実施例を示す。

0033

表中、No.1〜No.10はいずれも本発明例であり、良好な結果を示した。溶接金属の垂れ、スラグの垂れもなく、スパッタ発性量も少ない。

0034

これに対し、比較例のNo.11は、金属炭酸塩が多すぎ、スパッタ発生量が増し、かつスラグの安定性に欠けた。またTi酸化物中の超微粒Ti酸化物量が40%未満であり、溶接金属の安定性(垂れ)に欠けた。

0035

比較例No.12は、Ti酸化物が多すぎスラグの邪魔が生じている。また(1)式の炭素量も低いためスパッタが多発した。また金属フッ化物が多く、スラグの流動性が増し、母材とのなじみが劣化した。

0036

比較例No.13は、SiO2量が多く、スラグの邪魔が生じている。また(1)式の炭素量が高すぎて溶接金属の安定性が劣化した。

0037

0038

0039

0040

以上詳述したように、本発明の低水素系被覆アーク溶接棒によれば、ウィービング施工による1層1パス溶接でも、スラグの垂れ等を防止することができ、少ないパス数による施工が達成できる。また裏波施工も可能である。

発明の効果

0041

図1パイプの円周突合せ継手の下進溶接における溶接位置時計式に表わした説明図である。

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