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技術 固体有機物の改良された熱分解法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 橋本健治三浦孝一前一広大隈修井上聡則
出願日 1993年9月27日 (27年3ヶ月経過) 出願番号 1993-240109
公開日 1995年4月4日 (25年8ヶ月経過) 公開番号 1995-090280
状態 未査定
技術分野 コークス工業 炭化水素油の製造、分解及び精製 石油精製,液体炭化水素混合物の製造
主要キーワード 酸化石 乾式酸化処理 固体有機物 チャー収率 炭化水素主体 酸化性水溶液 有価資源 酸素換算
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この項目の情報は公開日時点(1995年4月4日)のものです。
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構成

固体有機物湿式処理を施してアルコール性水酸基フェノール性水酸基カルボキシル基のいずれかを導入した後、更に部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれを含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤とを接触させて吸収せしめ、次いで300〜1000℃で熱分解し、あるいは部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれと常圧における沸点が250℃以下の溶剤との共存下に300〜1000℃で熱分解する。

効果

石炭や各種有機質廃棄物汚泥等の固体有機物を効率的に熱分解し、燃料あるいは各種の化学原料となる液状の炭化水素収率良く得ることができる。

概要

背景

石炭不活性ガス雰囲気水素等の還元性雰囲気下熱分解し、メタン等の炭化水素系燃料ガスBTX等の有用化学物質を含んだ液生成物タール)を得る方法は公知である。しかし従来の熱分解法では、大量のチャー熱分解残渣)が発生する為、最も利用価値の高い液状生成物収率が低くなるという難点があるところから、液状生成物の収率を高めるための改良研究が種々進められている。

従来の熱分解法で液状生成物の収率が上がらない最大の理由は、石炭の熱分解によって発生したフラグメントが、安定化され液状生成物が生成するまでに、再結合してチャーが生成する為であることが確認されており、該熱分解フラグメントの再結合に、石炭中水素結合に代表される非共有結合が大きな役割を果たしていることも確かめられている。そこで改善法として、石炭を熱分解する前に予め非共有結合を解放する方向に改質し、それにより液状生成物の収率向上を図る試みがなされている。例えば、フェノールピリジンの様に分子中にヘテロ原子を含む有機化合物や低極性水素供与性化合物を石炭に吸収せしめ、これらの化合物により非共有結合を解裂させ、あるいは石炭中の水素結合を一部切断すると共に熱分解反応中に水素を供与し、液状生成物の収率向上を図る方法[燃料協会誌」第69巻 第8号 P721(1990)等]などが提示されている。

他方、最近その急増社会的問題になっている都市廃棄物産業廃棄物あるいは有機質汚泥等には套大な量の炭化水素源が含まれているが、現状では単純な燃焼により、減容化と熱や電気エネルギーとしての利用が行なわれているだけであって、産業上有用な炭化水素系のガス液状物質として回収し得る様な技術は確立されていない。

概要

固体有機物湿式処理を施してアルコール性水酸基フェノール性水酸基カルボキシル基のいずれかを導入した後、更に部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれを含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤とを接触させて吸収せしめ、次いで300〜1000℃で熱分解し、あるいは部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれと常圧における沸点が250℃以下の溶剤との共存下に300〜1000℃で熱分解する。

石炭や各種有機質廃棄物汚泥等の固体有機物を効率的に熱分解し、燃料あるいは各種の化学原料となる液状の炭化水素を収率良く得ることができる。

目的

効果

実績

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請求項1

固体有機物湿式処理を施してアルコール性水酸基フェノール性水酸基カルボキシル基の内、少なくとも一種を導入した後、更に部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を接触させて吸収せしめ、次いで300〜1000℃で熱分解することを特徴とする固体有機物の熱分解法

請求項2

アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基の内、少なくとも一種が導入された有機物に対し、部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を0.5〜100重量%吸収させる請求項1記載の熱分解法。

請求項3

アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基の内、少なくとも一種が導入された有機物に対し、部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤を接触し、吸収させる請求項1または2記載の熱分解法。

請求項4

固体有機物に湿式処理を施してアルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基の内、少なくとも一種を導入した後、部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物の共存下に300〜1000℃で熱分解することを特徴とする固体有機物の熱分解法。

請求項5

アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基の内、少なくとも一種が導入された有機物に対し、部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を0.5〜100重量%吸収させる請求項4記載の熱分解法。

請求項6

アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基の内、少なくとも一種が導入された有機物を、部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤との共存下で熱分解を行なう請求項4または5記載の熱分解法。

技術分野

0001

本発明は、石炭や各種有機質廃棄物汚泥等の固体有機物を効率的に熱分解し、燃料あるいは各種の化学原料となるガス状もしくは液状の炭化水素を得る為の、改良された固体有機物の熱分解法に関するものである。

背景技術

0002

石炭を不活性ガス雰囲気水素等の還元性雰囲気下で熱分解し、メタン等の炭化水素系燃料ガスBTX等の有用化学物質を含んだ液生成物タール)を得る方法は公知である。しかし従来の熱分解法では、大量のチャー熱分解残渣)が発生する為、最も利用価値の高い液状生成物収率が低くなるという難点があるところから、液状生成物の収率を高めるための改良研究が種々進められている。

0003

従来の熱分解法で液状生成物の収率が上がらない最大の理由は、石炭の熱分解によって発生したフラグメントが、安定化され液状生成物が生成するまでに、再結合してチャーが生成する為であることが確認されており、該熱分解フラグメントの再結合に、石炭中水素結合に代表される非共有結合が大きな役割を果たしていることも確かめられている。そこで改善法として、石炭を熱分解する前に予め非共有結合を解放する方向に改質し、それにより液状生成物の収率向上を図る試みがなされている。例えば、フェノールピリジンの様に分子中にヘテロ原子を含む有機化合物や低極性水素供与性化合物を石炭に吸収せしめ、これらの化合物により非共有結合を解裂させ、あるいは石炭中の水素結合を一部切断すると共に熱分解反応中に水素を供与し、液状生成物の収率向上を図る方法[燃料協会誌」第69巻 第8号 P721(1990)等]などが提示されている。

0004

他方、最近その急増社会的問題になっている都市廃棄物産業廃棄物あるいは有機質汚泥等には套大な量の炭化水素源が含まれているが、現状では単純な燃焼により、減容化と熱や電気エネルギーとしての利用が行なわれているだけであって、産業上有用な炭化水素系のガス液状物質として回収し得る様な技術は確立されていない。

発明が解決しようとする課題

0005

前記熱分解法のうち、石炭分子中の非共有結合をフェノール等の極性溶剤により解放して熱分解する方法では、添加したフェノール等が共炭素化するため、チャー収率の減少は顕著ではない。また、水素供与性テトラリン等を石炭に含浸させてから熱分解する方法では、これらの溶剤が低極性であるため十分な溶剤含浸率が得られ難く、そのため石炭の非共有結合を十分に解裂させることができず、液状生成物としての収率の増加は依然満足できるものではない。また、これら非共有結合解裂による液状物の収率向上は、非共有結合を形成する酸素含有量の高い低品位炭褐炭等)ではある程度有効に発揮されるが、酸素含有量の少ない瀝青炭等の高品位炭に対する効果は乏しい。

0006

また、前述の如く都市廃棄物や有機質汚泥等の大部分は炭化水素であるから、炭化水素系のガスや液状物の生成源になり得るものと考えられるが、多量の夾雑物が含まれていることもあって、現在実用化されているのは、減容化と熱や電気エネルギーとしての利用に止まっており、炭化水素源として回収し得るまでには至っていない。

0007

本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は低酸素含有量高品位の石炭であっても、熱分解時のチャー収率を低減して液状生成物を高収率で得ると共に、熱分解条件自体も緩和し得る様な熱分解法を確立しようとするものである。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決することのできた本発明に係る固体有機物の熱分解法とは、固体有機物に湿式処理を施してアルコール性水酸基フェノール性水酸基カルボキシル基の内、少なくとも一種を導入した後、更に部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれを含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤とを接触させて吸収せしめ、次いで300〜1000℃で熱分解し、あるいは部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物、もしくはこれを含む常圧における沸点が250℃以下の溶剤の共存下に300〜1000℃で熱分解するところに要旨を有するものである。

0009

このとき使用する部分水素化多環式芳香族化合物および/もしくはヘテロ原子含有有機化合物の量は、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基のいずれかが導入された有機物に対して0.5〜100重量%の範囲が好ましい。

0010

本発明において熱分解の対象となる固体有機物とは、石炭および炭化水素を主成分として含有する都市廃棄物や産業廃棄物、有機質汚泥等を包含するものであり、後述する様な手段によって分子中にアルコール性水酸基、フェノール系水酸基もしくはカルボキシル基を導入し得る構造単位を有するものであれば、全ての固体有機物に適用することができる。その様な構造単位としては、たとえば側鎖を有する芳香族不飽和脂肪族単位、アルデヒド基エポキシ基エステル構造被還元性カルボニル構造ハロゲン化アルキルニトリル基等が例示され、これらを分子中に有するもの全ての炭化水素主体の固体有機物が対象となるが、以下、石炭を主体にして本発明の作用効果を詳細に説明する。

0011

先に説明した様に、石炭の熱分解で液状生成物の収率が上がらない理由のひとつとして、水酸基等に起因する非共有結合(水素結合等)の影響が挙げられる。そして、石炭にピリジンやテトラリン等を吸収させて該非共有結合を解裂してやれば、チャーの生成量が減少して液状生成物の回収率が向上することも確かめられている。ところが様々の石炭を対象として上記の熱分解法の追試研究を進めるうち、次の様な事実が明らかになってきた。

0012

即ち、石炭への非共有結合解裂成分の吸収量は石炭の種類によってかなり変わり、褐炭の様な低品位の石炭では高い吸収量が得られ易いが、瀝青炭の様な高品位の石炭では高い吸収量が得られ難い。これらのことが原因となって、褐炭等では、前述の様な非共有結合解裂成分を用いた熱分解法を採用することにより液状生成物の回収率はかなり高められるが、瀝青炭等ではそれほどの回収率向上効果が得られない。

0013

そこで本発明者らは石炭の種類に関わらず、また前述の如き石炭以外の固体有機物(廃棄物や汚泥等)に対しても、非共有結合解裂成分を用いた熱分解法による液状生成物の回収率向上効果をより効果的に発揮させ得る様な技術を確立すべく鋭意研究を進めてきた。

0014

その結果、石炭に湿式処理によって予めアルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基のいずれかを導入してから非共有結合解裂成分を吸収させてやれば、石炭の種類に関わらず、また石炭以外の固体有機物に対しても非共有結合解裂成分の吸収量を十分に高めることができ、それに伴って熱分解時における液状生成物の回収率が大幅に高められることをつきとめた。

0015

ここで湿式処理法とは、湿潤雰囲気下で石炭を処理して前述の様な官能基を導入する方法を言い、この導入に用いられる薬剤としては、石炭の様に側鎖を持った芳香族単位や不飽和脂肪族単位を有するものである場合は、過酸化水素硝酸重クロム酸塩、過マンガン酸塩等の酸化性水溶液を使用し、また塩化ビニル樹脂の如きハロゲン化アルキル等を多量含有する廃棄物の場合は、水酸化ナトリウム等の加水分解剤を使用する等、熱分解の対象となる固体有機物の種類に応じて適宜選択して使用すればよい。そしてこれら官能基の導入量は特に限定されないが、その後の非共有結合解裂成分の吸収とそれに伴う熱分解時の液状生成物の収率向上効果をより有効に発揮させるには、熱分解の対象となる固体有機物の種類に応じて官能基の導入量を制御することが好ましい。例えば石炭の場合、酸素換算含有率で20〜30重量%の範囲が好ましく、20重量%未満ではその効果が不十分であり、一方30重量%を超えると、官能基導入時の有用成分の質量損失が大きくなるため、液状生成物の回収率がかえって低下傾向を示す様になる。

0016

ところで石炭等に前述の様な官能基を導入する他の手段として、酸素や空気を用いる乾式酸化処理法がある。しかしながらこの様な乾式酸化処理は、通常200℃以上の高温で行なわれるので、酸化と共に石炭等の熱分解が起こってラジカルが生成し、熱重合もしくは脱水縮合等が併発して石炭等の分子構造がかえって強化される現象が起こり、非共有結合解裂成分の吸収を阻害して液状生成物の収率を逆に悪化させる。これに対し前述の湿式処理は室温付近低温で行なわれるためラジカル重合や脱水縮合等が殆ど起こらず、石炭等の内部構造弛緩しつつ緩やかに酸化が進行して水酸基やカルボキシル基等が導入されるため、その後の非共有結合解裂成分の吸収も促進されることになり、それにより、熱分解時の液状生成物の回収率は大幅に高められる。

0017

上記の様にして官能基の導入された石炭等に吸収される非共有結合解裂成分は、前記従来技術の項でも述べた様に分子相互間における水素結合等を分断して熱分解時のチャー生成量を低減し、液状生成物の収率向上に寄与するもので、それ自身は新規なものではなく、たとえばテトラリンの様な水素供与性を有する部分水素化多環式芳香族化合物、あるいはピリジンやフェノールの如く分子内にヘテロ原子を有する種々の有機化合物、あるいはそれらの混合物が例示される。更にはこれらの化合物を含む各種溶剤、たとえば石炭液化油ナフサコールタール等を使用することも可能である。但し、分子量の大きいものになると固形有機物への吸収率上がり難くなるので、好ましくは常圧での沸点が250℃程度以下のものを使用するのがよい。

0018

これら非共有結合解裂成分を石炭等に吸収させる方法も特に制限されないが、一般的なのは該解裂成分もしくはその溶剤溶液に石炭等を浸漬する方法、もしくはそれらを蒸気として石炭等に接触・含浸させる方法である。また石炭等への該解裂成分の好ましい吸収量は、石炭等の固形有機物に対して0.5〜100重量%の範囲であり、0.5重量%未満では非共有結合解裂効果もしくは水素供与量が不十分で満足のいく収率向上効果が得られ難く、またそれらの効果は100重量%程度の吸収量で飽和するので、それ以上の吸収は経済的に無駄である。このとき、非共有結合解裂成分を吸収させるときの作業性やハンドリング性を高め、あるいは該吸収物を熱分解工程へ移行させるときのライン輸送性等を高めるため、適当な溶剤を用いてスラリー状で処理することも有効である。

0019

この様にして前処理された固体有機物は、湿式法を採用した水酸基やカルボキシル基の導入による内部構造の弛緩作用と極性の向上が相まって、非共有結合解裂成分が内部まで浸入し易くなると共に吸収量が増大し、その後に行なわれる熱分解によってチャーの生成が抑制され、液状生成物の回収率を大幅に高めることができる。尚、熱分解は300〜1000℃の温度範囲で行なうべきであり、300℃未満では分解速度が極端に遅いため実用的でなく、一方1000℃を超える高温になると、本発明で抑制しようとする固形有機物内の重合反応縮合反応抑制効果よりも、部分水素化多環式芳香族化合物やヘテロ原子含有有機物自体の分解が大きくなり、本発明の特徴が有効に発揮されなくなる。

0020

尚これまでの説明では、水酸基やカルボキシル基の導入された固形有機物に部分水素化多環式芳香族化合物及び/もしくはヘテロ原子含有有機化合物を予め吸収させてから熱分解する方法を主体にして説明してきたが、この方法に代えて、水酸基やカルボキシル基の導入された固形有機物を、部分水素化多環式芳香族化合物やヘテロ原子含有有機化合物の蒸気もしくはこれらと溶剤の蒸気の共存下で熱分解を行なうことによっても、効果が小さくなることがあるが、類似の効果を得ることができる。しかして上記の化合物は、熱分解の為の昇温過程で水酸基やカルボキシル基の導入された固形有機物に効率良く吸収され、その後で熱分解が開始されるためと思われる。

0021

次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。

0022

比較例1
炭素含有量が75%(重量%:以下同じ)、酸素含有量が18%の石炭を破砕し、窒素雰囲気下に764℃で10秒間熱分解を行なった。結果は表1に示す通りであり、チャーおよび液状生成物の収率は、それぞれ原料石炭中の有機分に対して54.32%および25.49%であった。

0023

比較例2
比較例1で用いたのと同じ炭素含有量75%、酸素含有量18%の石炭を破砕した後、これに石炭中の有機分に対して33%のテトラリンを加えて窒素雰囲気下に200℃で1時間接触させ、テトラリン吸収炭を調製した。この吸収炭を比較例1と同様にして熱分解を行なった。結果は表1に示す通りであり、各熱分解生成物の収率は、比較例1に比べて液状生成物の収率で約8%の増加、チャーの収率で約6.5%の低下が認められるものの、その効果は僅かであった。

0024

比較例3
比較例1で用いたのと同じ炭素含有量75%、酸素含有量18%の石炭2gを破砕し、これを過酸化水素30%の酸化性水溶液中、60℃で4時間酸化処理した。次いで酸化石炭をろ取し脱イオン水洗浄した後、真空中、110℃で8時間乾燥した。このものの酸素濃度は、酸化処理により25%まで上昇していた。この酸化石炭を使用し、比較例1と同様の条件で熱分解を行なったところ、チャー収率は42.32%まで低減したものの、液状生成物の収率は26.84%であり、比較例に比べて殆ど上昇が認められなかった。

0025

実施例1
比較例1で用いたのと同じ炭素含有量75%、酸素含有量18%の石炭1gを破砕し、次いで比較例3と同様にして過酸化水素水処理を行ない、酸素含有率を25%にまで高めた後、比較例2に示したテトラリン吸収処理を行なった。この酸化・吸収炭を用いて比較例1と同じ条件で熱分解を行なったところ、表1に示す如く比較例に比べてチャー収率が9%低下すると共に液状生成物収率は15%増加することが確認された。

0026

比較例4
比較例1で用いたのと同じ炭素含有量75%、酸素含有量18%の石炭1gを破砕し、酸化性クロム酸水溶液(97%硫酸:50g,Na2 Cr2 O7・2H2O:2.5g,水4g)中、常温で1時間酸化処理した。その後、酸化石炭をろ取し、ろ液のpHが7となるまで脱イオン水で十分に洗浄した後、真空中、110℃で8時間乾燥した。このものの酸素含有率は23%であった。この酸化処理炭を用いて同様の熱分解を行なった結果は表1に示す通りであり、比較例に比べて液状生成物の収率は殆ど上がっていない。

0027

実施例2
比較例1で用いたのと同じ炭素含有量75%、酸素含有量18%の石炭1gを破砕し、比較例4に示したのと同じ条件でクロム酸酸化処理することにより酸素含有率を23%に高めた後、比較例2に示したのと同じ条件でテトラリン吸収処理を行なった。この酸化・吸収炭を用いて比較例1と同様にして熱分解を行なったところ、表1に示す如く比較例に比べてチャー収率が13%低減すると共に液状生成物収率は15%の増加と有意な上昇が認められた。

0028

比較例5
炭素含有量67%、酸素含有量27%の石炭を使用し、前記比較例1と同じ条件で熱分解を行なったところ、チャー収率は49.34%、液状生成物の収率は19.02%であった。

0029

比較例6
比較例5で用いたのと同じ炭素含有量67%、酸素含有量27%の石炭を使用し、比較例2で採用したのと同じテトラリン吸収処理を行なってから同様の条件で熱分解を行なった、結果は表1に示す通りであり、液状生成物としての収率は比較例5に比べて10%以上の向上が認められるが、絶対値としては必ずしも満足し得るものとは言えない。

0030

比較例7
比較例5で用いたのと同じ炭素含有量67%、酸素含有量27%の石炭を破砕し、比較例4で採用したのと同様のクロム酸酸化処理を施し、酸素含有量を30%に高めた後、前記と同様の条件で熱分解を行なった。結果は表1に示す通りであり比較例5に比べて液状生成物の収率はかえって低下している。

0031

実施例3
比較例5で用いたのと同じ炭素含有量67%、酸素含有量27%の石炭を破砕し、実施例2で採用したのと同じ条件でクロム酸酸化処理を行なって酸素含有率を30%に高めた後、これに実施例2で採用したのと同様のテトラリン吸収処理を施してから熱分解を行なった。結果は表1に示す通りであり、比較例5に比べてチャー収率は約20%低減し、液状生成物の収率は20%以上向上していることが分かる。

0032

実施例4
比較例5で用いたのと同じ炭素含有量67%、酸素含有量27%の石炭を破砕し、前記比較例3で採用したのと同様の過酸化水素水処理を施すと、酸素含有量は35%まで上昇した。これに実施例3で採用したのと同様の条件でテトラリン吸収処理を行なってから同様の熱分解を行なった。結果は表1に示す通りであり、チャー収率は大幅に低減しているが、液状生成物の収率は実施例3に比べてかなり低く、比較例6と同レベルの値しか得られていない。

0033

この実験例から、酸化処理による水酸基やカルボキシル基の導入効果は、酸素含有量として多くすれば良いという訳ではなく、酸素含有量が高くなり過ぎると液状生成物の収率はかえって低下することが分かる。これは、過度の酸化処理によって熱分解時におけるガス成分の生成量が増大し、液状生成物としての収率が低下したためである。

0034

発明の効果

0035

本発明は以上の様に構成されており、炭化水素主体の固形有機物を熱分解してガス状もしくは液状生成物を回収する際に、該固形物を湿式法により酸化処理して水酸基やカルボキシル基を導入してから、水素供与性の部分水素化多環式芳香族化合物もしくはヘテロ原子含有有機化合物を吸収させ、もしくはこれらの共存下で熱分解を行なうことによって、熱分解時の重合反応や縮合反応を抑えてチャー成分の生成量を低減すると共に液状生成物の回収率を大幅に高めることができ、石炭はもとより有機質廃棄物や有機質汚泥の有価資源としての実用的価値を著しく高め得ることになった。

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