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技術 ボンド型永久磁石の製造方法と原料粉末

出願人 住友金属工業株式会社株式会社NEOMAX
発明者 大北雅一松永秀樹北川晃朗
出願日 1993年9月1日 (26年10ヶ月経過) 出願番号 1993-217688
公開日 1995年3月17日 (25年3ヶ月経過) 公開番号 1995-074012
状態 拒絶査定
技術分野 硬質磁性材料
主要キーワード 機械的強度試験 結合用樹脂 不規則化 大型コンピューター 非正規分布 樹脂成形法 噴出圧 曲げ破壊
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重要な関連分野

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目的

磁石粉末熱硬化性樹脂被覆した原料粉末圧縮成形熱硬化により製造されるボンド磁石において、磁石粉末の充填率を向上させ、磁石粉末間の空隙を大きく低減させ、異方性磁石粉末の場合に粉末の配向度を向上させることにより、機械的強度磁気特性のいずれも向上させる。

構成

原料粉末の形状を実質的に球形 (アスペクト比0.75以上) にする。この球形の原料粉末は、熱硬化性樹脂の有機溶媒溶液硬磁性磁石粉末を混合した混合液噴霧乾燥することにより製造できる。原料粉末が正規分布粒度分布を有することが好ましい。

概要

背景

永久磁石は、ボンド磁石焼結磁石とに大別される。焼結磁石の方が古くからあり、ハードフェライト希土類磁石などの硬磁性を示す磁石粉末を必要により金属質焼結助剤と混合して成形した後、加熱焼結することにより一般に製造される。

一方、ボンド型磁石は、磁石粉末を樹脂で結合(即ち、ボンド)した樹脂結合型の磁石であり、射出成形圧縮成形などの各種の樹脂成形法を利用して多様な形状の磁石を容易に得ることができることから、雑貨品から一般家庭用各種電気製品、さらには大型コンピューター周辺端末機器に至るまで幅広く利用されようになった。

ボンド型磁石の結合用樹脂としては、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂のいずれも利用可能であるが、熱硬化性樹脂を使用した方が、樹脂量を少なくすることができるため、磁石の磁気特性が向上する。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂フェノール樹脂ポリエステル樹脂などが利用されている。

ボンド型磁石は、焼結磁石に比べて、磁性発現しない樹脂分を含むことから磁気特性は劣るが、焼結による収縮がないため、寸法精度良く種々の形状の磁石が得られるという特徴がある。そのため、スピンドルモーター等の小型モーターに近年多く用いられている。

ボンド型磁石に用いられる成形法のうち、射出成形は、成形時に充分な流動性が必要となることから、必然的に磁石粉末に対する樹脂量が多くなり、磁石粉末の充填率の増大 (従って、磁気特性の向上) には限界がある。

これに対し、圧縮成形(プレス成形) は、射出成形に比べると成形工程が多く、コストが高くなる反面、熱硬化性樹脂の量は、例えば5重量%以下と少量でよいので、磁石粉末の充填率を大きくすることが可能で、良好な磁気特性を得ることができる。

しかし、近年のコンピュータ通信機器をはじめとする電気電子製品の小型化、高性能化の進展はめざましく、ボンド型磁石に対しても、一層の磁気特性の向上が求められている。

圧縮成形法によりボンド型磁石を製造するには、まず、磁石粉末と熱硬化性樹脂溶液とを容器中で混合し、溶媒除去後に得られた磁石粉末の凝集体物理的に破砕することにより、熱硬化性樹脂で表面被覆された原料粉末を調製する。この樹脂被覆された磁石粉末からなる原料粉末を、プレス金型充填してプレス成形機で圧縮成形して所望の形状に賦形した後、通常は脱型してから加熱して樹脂を硬化させるとボンド型磁石が得られる。従って、圧縮成形法で製造されるボンド型磁石の磁気特性を向上させるには、用いる磁石粉末の磁気特性を向上させるか、或いは単位体積中の磁石粉末の充填率を高める必要がある。

後者の磁石粉末の充填率を高める手段としては、圧縮成形時プレス圧力を高めること (例、特開昭60−207302号公報) 、ならびに潤滑剤やシランカップリング剤磁性粉末の表面に予め被覆しておくか、或いは熱硬化性樹脂中に配合することにより磁石粉末相互間および磁石粉末と樹脂との間の摩擦を低減させること(例、特開昭60−220920号、特開昭62−264602号、特開平3−74810 号各公報)などが提案されている。

しかし、プレス圧力の増大は、プレスの大型化が避けられず、コストが高くなる上に、高い圧力をかけることによってパンチやダイの摩耗、損傷が著しくなるという問題があり、パンチなどの強度面からも、圧力の増大は実際には困難である。

また、潤滑剤やシランカップリング剤の粉末被覆や樹脂との混合は、結合剤である熱硬化性樹脂中に硬化に寄与しない成分が混入するため、磁気特性の改善は達成されても、機械的強度が低下するという問題がある。従って、上記のような難点のない、磁石粉末の充填率の増大が可能なボンド型磁石がなお求められている。

一方、磁石粉末の磁気特性自体の向上についても、近年盛んに研究が行われている。その1手段として、Sm2Co17合金系やNdFeB合金系などの磁石粉末では、どの方向に磁化しても同じ磁気特性を発現する従来の等方性磁石粉末に比べてより優れた磁気特性を発揮できる、磁気異方性(以下、単に異方性という) の磁石粉末が開発されている。

この異方性磁石粉末は、ある決まった特定方向 (磁化容易方向) にのみ磁気特性が極めて高いので、磁気特性を向上させるには、磁石粉末を樹脂で結合する際に磁石粉末の磁化容易方向を同じ方向に揃える (即ち、磁石粉末を配向させる)必要がある。この磁石粉末の配向は、通常は成形を磁場の印加下で行う、即ち、実際には磁石粉末を入れたプレス金型に対して加圧中に1方向の磁場を外部より印加することにより行われる。しかし、このような磁場の印加による配向を行っても、磁石粉末の配向が不完全なため、予想されるような磁気特性の向上が達成されないことが経験されてきた。

概要

磁石粉末を熱硬化性樹脂で被覆した原料粉末の圧縮成形と熱硬化により製造されるボンド型磁石において、磁石粉末の充填率を向上させ、磁石粉末間の空隙を大きく低減させ、異方性磁石粉末の場合に粉末の配向度を向上させることにより、機械的強度と磁気特性のいずれも向上させる。

原料粉末の形状を実質的に球形 (アスペクト比0.75以上) にする。この球形の原料粉末は、熱硬化性樹脂の有機溶媒溶液に硬磁性磁石粉末を混合した混合液噴霧乾燥することにより製造できる。原料粉末が正規分布粒度分布を有することが好ましい。

目的

本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、磁気特性と共に機械的強度が優れるボンド型永久磁石の製造方法とそれに用いる原料粉末を提供することを目的とする。本発明のより具体的な目的は、磁石粉末を熱硬化性樹脂で結合したボンド型永久磁石の圧縮成形による製造において、磁石粉末の充填率が向上し、磁石粉末間の空隙が解消ないし大きく低減され、かつ異方性磁石粉末の場合に磁場の印加による磁石粉末の回転が容易な、機械的強度と磁気特性のいずれもが向上したボンド型永久磁石の製造が可能な方法と、それに用いる原料粉末とを提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
4件

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請求項1

熱硬化性樹脂により被覆された永久磁石粉末からなるボンド永久磁石製造用の原料粉末であって、被覆後の形状が実質的に球形であることを特徴とするボンド型永久磁石製造用原料粉末。

請求項2

正規分布粒度分布を有する、請求項1記載のボンド型永久磁石製造用原料粉末。

請求項3

磁石粉末磁気異方性を示す粉末である、請求項1または2記載のボンド型永久磁石製造用原料粉末。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の原料粉末を圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂熱硬化させることからなる、ボンド型永久磁石の製造方法。

請求項5

請求項3に記載の原料粉末を磁場の印加下で圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂を熱硬化させることからなる、磁気異方性を示すボンド型永久磁石の製造方法。

請求項6

熱硬化性樹脂の有機溶媒溶液に永久磁石粉末を混合し、この混合液噴霧乾燥することからなる、請求項1〜3のいずれかに記載のボンド型永久磁石製造用原料粉末の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、磁気特性機械的強度耐食性耐酸化性)に優れたボンド永久磁石の製造方法とそれに用いる原料粉末に関する。

背景技術

0002

永久磁石は、ボンド型磁石焼結磁石とに大別される。焼結磁石の方が古くからあり、ハードフェライト希土類磁石などの硬磁性を示す磁石粉末を必要により金属質焼結助剤と混合して成形した後、加熱焼結することにより一般に製造される。

0003

一方、ボンド型磁石は、磁石粉末を樹脂で結合(即ち、ボンド)した樹脂結合型の磁石であり、射出成形圧縮成形などの各種の樹脂成形法を利用して多様な形状の磁石を容易に得ることができることから、雑貨品から一般家庭用各種電気製品、さらには大型コンピューター周辺端末機器に至るまで幅広く利用されようになった。

0004

ボンド型磁石の結合用樹脂としては、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂のいずれも利用可能であるが、熱硬化性樹脂を使用した方が、樹脂量を少なくすることができるため、磁石の磁気特性が向上する。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂フェノール樹脂ポリエステル樹脂などが利用されている。

0005

ボンド型磁石は、焼結磁石に比べて、磁性発現しない樹脂分を含むことから磁気特性は劣るが、焼結による収縮がないため、寸法精度良く種々の形状の磁石が得られるという特徴がある。そのため、スピンドルモーター等の小型モーターに近年多く用いられている。

0006

ボンド型磁石に用いられる成形法のうち、射出成形は、成形時に充分な流動性が必要となることから、必然的に磁石粉末に対する樹脂量が多くなり、磁石粉末の充填率の増大 (従って、磁気特性の向上) には限界がある。

0007

これに対し、圧縮成形(プレス成形) は、射出成形に比べると成形工程が多く、コストが高くなる反面、熱硬化性樹脂の量は、例えば5重量%以下と少量でよいので、磁石粉末の充填率を大きくすることが可能で、良好な磁気特性を得ることができる。

0008

しかし、近年のコンピュータ通信機器をはじめとする電気電子製品の小型化、高性能化の進展はめざましく、ボンド型磁石に対しても、一層の磁気特性の向上が求められている。

0009

圧縮成形法によりボンド型磁石を製造するには、まず、磁石粉末と熱硬化性樹脂溶液とを容器中で混合し、溶媒除去後に得られた磁石粉末の凝集体物理的に破砕することにより、熱硬化性樹脂で表面被覆された原料粉末を調製する。この樹脂被覆された磁石粉末からなる原料粉末を、プレス金型充填してプレス成形機で圧縮成形して所望の形状に賦形した後、通常は脱型してから加熱して樹脂を硬化させるとボンド型磁石が得られる。従って、圧縮成形法で製造されるボンド型磁石の磁気特性を向上させるには、用いる磁石粉末の磁気特性を向上させるか、或いは単位体積中の磁石粉末の充填率を高める必要がある。

0010

後者の磁石粉末の充填率を高める手段としては、圧縮成形時プレス圧力を高めること (例、特開昭60−207302号公報) 、ならびに潤滑剤やシランカップリング剤磁性粉末の表面に予め被覆しておくか、或いは熱硬化性樹脂中に配合することにより磁石粉末相互間および磁石粉末と樹脂との間の摩擦を低減させること(例、特開昭60−220920号、特開昭62−264602号、特開平3−74810 号各公報)などが提案されている。

0011

しかし、プレス圧力の増大は、プレスの大型化が避けられず、コストが高くなる上に、高い圧力をかけることによってパンチやダイの摩耗、損傷が著しくなるという問題があり、パンチなどの強度面からも、圧力の増大は実際には困難である。

0012

また、潤滑剤やシランカップリング剤の粉末被覆や樹脂との混合は、結合剤である熱硬化性樹脂中に硬化に寄与しない成分が混入するため、磁気特性の改善は達成されても、機械的強度が低下するという問題がある。従って、上記のような難点のない、磁石粉末の充填率の増大が可能なボンド型磁石がなお求められている。

0013

一方、磁石粉末の磁気特性自体の向上についても、近年盛んに研究が行われている。その1手段として、Sm2Co17合金系やNdFeB合金系などの磁石粉末では、どの方向に磁化しても同じ磁気特性を発現する従来の等方性磁石粉末に比べてより優れた磁気特性を発揮できる、磁気異方性(以下、単に異方性という) の磁石粉末が開発されている。

0014

この異方性磁石粉末は、ある決まった特定方向 (磁化容易方向) にのみ磁気特性が極めて高いので、磁気特性を向上させるには、磁石粉末を樹脂で結合する際に磁石粉末の磁化容易方向を同じ方向に揃える (即ち、磁石粉末を配向させる)必要がある。この磁石粉末の配向は、通常は成形を磁場の印加下で行う、即ち、実際には磁石粉末を入れたプレス金型に対して加圧中に1方向の磁場を外部より印加することにより行われる。しかし、このような磁場の印加による配向を行っても、磁石粉末の配向が不完全なため、予想されるような磁気特性の向上が達成されないことが経験されてきた。

発明が解決しようとする課題

0015

本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、磁気特性と共に機械的強度が優れるボンド型永久磁石の製造方法とそれに用いる原料粉末を提供することを目的とする。本発明のより具体的な目的は、磁石粉末を熱硬化性樹脂で結合したボンド型永久磁石の圧縮成形による製造において、磁石粉末の充填率が向上し、磁石粉末間の空隙が解消ないし大きく低減され、かつ異方性磁石粉末の場合に磁場の印加による磁石粉末の回転が容易な、機械的強度と磁気特性のいずれもが向上したボンド型永久磁石の製造が可能な方法と、それに用いる原料粉末とを提供することである。

課題を解決するための手段

0016

本発明者らは、ボンド型磁石を一定の樹脂被覆量と圧力で圧縮成形した場合に、樹脂被覆した磁石粉末の形状と粒度分布により磁石粉末の充填量が変化することを見出し、本発明の完成に至った。

0017

ここに、本発明の要旨は、熱硬化性樹脂により被覆された永久磁石粉末からなるボンド型永久磁石製造用の原料粉末であって、被覆後の形状が実質的に球形であることを特徴とするボンド型永久磁石製造用原料粉末にある。

0018

この実質的に球形形状の原料粉末は、熱硬化性樹脂の有機溶媒溶液に硬磁性磁石粉末を混合し、この混合液噴霧乾燥することにより製造できる。好適態様にあっては、この原料粉末は正規分布粒度分布を有する。また、磁石粉末が異方性を示す異方性磁石粉末であることも好ましい。

0019

この原料粉末を圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂を熱硬化させることにより、ボンド型永久磁石を製造することができる。磁石粉末が異方性磁石粉末である場合には、本発明の原料粉末を磁場の印加下で圧縮成形し、成形中および/または成形後に樹脂を熱硬化させることにより、異方性を示すボンド型永久磁石を製造することができる。

0020

ここで、原料粉末の形状が「実質的に球形である」とは、外観観察で互いに直交する3方向の長さの最小長さ/最大長さの比(以下、長さ比という)が平均で0.75〜1.0 の範囲内にあることを意味する。

0021

本発明者らは、圧縮成形されたボンド型磁石の表面や、機械的強度試験を行って破断したボンド型磁石の破断面について、顕微鏡などによりミクロ観察を行った。その結果、圧縮成形されたボンド型磁石においては、磁石粉末の粒子間が樹脂で完全には充填されておらず、空隙が多く存在しており、この空隙が多いほど機械的強度が低く、かつ磁気特性も低下することを究明した。この空隙は、磁石粉末の樹脂被覆量を多くしても大きくは低減させることができなかった。

0022

その理由は次のように考えられる。ボンド型磁石に用いる永久磁石粉末は、一般に形状が偏平であったり、表面に突起を持つ不定形であり、それを少量の樹脂で被覆した原料粉末もやはり不定形のままである。さらに、磁石粉末が球形であっても、樹脂被覆工程での物理的破砕により、樹脂被覆された原料粉末の形状は不規則化する。この不定形の形状のために、圧縮成形時にプレス金型内に原料粉末を充填する際の充填密度は比較的小さくなり(即ち、空隙が多く)、よほど大きなプレス圧力をかけないと、金型内に充填した際に生じた空隙を磁石粉末や樹脂で埋めることができない。

0023

また、この原料粉末の不定形の形状により、異方性ボンド型磁石の製造時には、磁場を印加した際の原料粉末の回転が妨害されるため、得られたボンド型磁石中の配向度(磁化容易方向が磁場方向に一致した磁石粉末粒子の割合)が低下し、異方性磁石粉末に固有の優れた磁気性能が十分に発揮しえない。

0024

以上の理由により、従来の圧縮成形ボンド型磁石は、機械的強度と磁気特性のいずれも十分な性能を示すことができなかったものと考えられる。

0025

本発明によれば、このような問題点が、樹脂被覆された磁石粉末である原料粉末の形状を実質的に球形に制御し、好ましくはその粒度分布を正規分布に制御することにより解決される。即ち、原料粉末が実質的に球形であると、粉末の流動性が向上し、金型に充填した時の原料粉末の充填密度が増大すると共に、プレス時の原料粉末同士のすべりが向上するため、磁石粉末の充填率も増大し、磁気特性が向上する。同時に、通常の圧力での圧縮成形により、数重量%程度の少量の樹脂量で磁石粉末の粒子間の空隙が樹脂で埋まり易くなり、空隙が解消されるか大きく低減するので、機械的強度も向上する。

0026

この球形の原料粉末を用いた場合の金型内の原料粉末の充填密度や磁石粉末の充填率は、原料粉末の粒度分布によっても変化する。即ち、シャープな粒度分布や正規分布以外の粒度分布に比べ、RR粒度線図上で直線にのる正規分布の粒度分布に近いほど、原料粉末の充填密度が増大し、その結果として磁石粉末の充填率も増大する。従って、好ましくは原料粉末の粒度分布を正規分布とする。

0027

また、異方性磁石粉末を用いた異方性ボンド型磁石においては、原料粉末が実質的に球形であると、成形時の磁場の印加による配向の際に、原料粉末の回転の妨害が少なく、回転が容易に起こる。そのため、磁石粉末の配向度の向上、即ち、磁化容易方向が磁場方向に揃った磁石粉末の割合の増大が得られ、異方性磁石粉末による磁気特性の向上効果が十分に達成され、等方性の磁石粉末を用いた場合に比べて磁気特性は著しく向上する。

0028

本発明で用いる磁石粉末は、従来よりボンド型永久磁石の製造に用いられてきた任意の永久磁石粉末でよい。その例には、Nd、Pr、Ce、Dy、Tbなどの希土類元素とFeとBとを主成分とする希土類鉄系磁石粉末のほか、希土類コバルト系磁石粉末、鉄の酸化物を主成分とするハードフェライトなどの粉末が挙げられる。好ましい磁石粉末は磁気異方性を示すもの、即ち、前記の希土類鉄系や希土類コバルト系の異方性磁石粉末である。

0029

使用する磁石粉末は、長さ比が0.5 以上のものがよく、板状や鱗片状のものは好ましくない。磁石粉末の平均粒度は 300μm以下であることが好ましい。使用する磁石粉末は、公知方法で製造したものでも、或いは市販品でもよい。

0030

この磁石粉末の被覆に用いる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂を始めとする任意の熱硬化性樹脂を使用することができる。必要であれば、熱硬化性樹脂に硬化剤組合わせる。熱硬化性樹脂は室温で固体のものがよい。好ましい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、特にノボラック型エポキシ樹脂である。

0031

本発明の原料粉末は噴霧乾燥(スプレードライ)法により製造することができる。即ち、熱硬化性樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液中に磁石粉末を混合して分散させ、得られた混合液をスプレーガンから加熱雰囲気中に噴射して、溶媒揮散させると、磁石粉末が樹脂で被覆された実質的に球形の粒子を得ることができる。樹脂の被覆が容易となるように、樹脂溶液は低粘度のもの (例、室温で約1ps以下のもの) が好ましい。樹脂溶液には、必要に応じて硬化剤を配合し、さらに所望によりシランカップリング剤、潤滑剤などの添加剤を添加してもよい。

0032

磁石粉末に対する熱硬化性樹脂(固形分)の割合は、一般には1〜20重量%の範囲内であり、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。樹脂の割合が1重量%未満では、成形されたボンド型磁石内の磁石粉末の結合が不十分となり、成形性が悪く、かつ機械的強度を著しく低下する。一方、樹脂の割合が20重量%を越えると、所定の高磁気特性を発揮できなくなる。実際の樹脂の割合は、磁石粉末を実質的に完全に被覆でき、かつ実質的に球形の原料粉末が得られる範囲内で可及的に少ないことが望ましい。従って、磁石粉末の形状や粒径に応じて、適当な樹脂量を実験により決定することができる。

0033

噴霧乾燥により得られる実質的に球形の原料粉末の平均粒径(完全な球形でない場合には最大直径を粒径とする) は30〜500 μmの範囲内が好ましい。

0034

前述したように、原料粉末はシャープな粒度分布よりも、正規分布に近い粒度分布をもつことが好ましい。その意味で、粒度分布において最大粒径最小粒径との差が少なくとも100 μmあることが好ましく、特に好ましくは粒度分布が正規分布を示す。

0035

原料粉末の粒径および粒度分布は、使用した磁石粉末の粒度分布に依存するので、正規分布の粒度分布を有する原料粉末を製造するには、用いる磁石粉末を分級してその粒度分布が正規分布となるように調整しておくことが好ましい。もちろん、製造された原料粉末を分級することにより、正規分布となるように粒度分布を調整することもできる。

0036

本発明の原料粉末を用いたボンド型永久磁石の製造は常法により行うことができる。成形法は圧縮成形が好ましいが、樹脂量が多い場合には射出成形も適用できる。圧縮成形の場合、原料粉末が実質的に球形の形状を有するため、金型内での原料粉末の充填密度が高く、かつ加圧中の原料粉末のすべりも良好なため、圧力を非常に高くしなくても、磁石粉末の充填率を高くすることができる。成形圧力は通常10 ton/cm2以下で十分である。圧縮成形により所望形状に成形した後、通常は脱型後、場合によっては成形中から加熱して樹脂を熱硬化させると、目的とするボンド型磁石が得られる。

0037

以下に実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中、%および部は特に指定のない限り重量%および重量部である。また、平均粒径は粒子の最大直径の平均値を意味する。

0038

(a)磁石粉末の調製
原子分率で13%のNd、12%のCo、1%のGa、6%のB、残部がFeからなるNd−Fe−B系合金を 970〜1170Kの水素ガス中に保持して、Nd水素化物、 Fe2B、Feに分解する。次にこの温度領域水素圧下げ、Nd水素化物から水素解離させることによって、微細な Nd2Fe14B結晶からなる磁気異方性を示す磁石粉末を作製した。得られた磁石粉末をさらに粉砕し、分級することにより、表1に示す所定の平均粒径を有する磁石粉末を得た。この磁石粉末の長さ比は0.66であった。

0039

(b)原料粉末の製造
熱硬化性樹脂として常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用し、この樹脂100 部とフェノール系硬化剤3部とを有機溶媒のメチルエチルケトンに溶解して樹脂液を得た。この樹脂液に磁石粉末を混合して分散させ、得られた23℃での粘度が50〜100 psの混合液を噴霧乾燥に用いた。磁石粉末との混合割合は、磁石粉末100 部に対して樹脂液中の樹脂固形分の量が3部となる割合であった。

0040

噴霧乾燥は、噴射口の孔径が 1.0mmのスプレーガンを用いて、上記混合液を噴出圧3kg/cm2で50〜70℃の雰囲気に噴射することにより行った。溶媒のメチルエチルケトンは蒸発し、硬化剤を含有する上記エポキシ樹脂で磁石粉末が被覆された原料粉末が得られた。原料粉末は噴射終了後、粉末が室温まで冷えてから回収した。得られた原料粉末は、顕微鏡での外観観察により実質的に球形 (互いに直交する3方向の長さの最小長さ/最大長さの比の平均値が0.75〜1.0 の範囲内、測定粒子数 200個) であるか否か判定した。

0041

比較のために、従来の混合解砕法によっても原料粉末を調製した。この方法では、磁石粉末に上記樹脂とメチルエチルケトンとを適宜混合し、メチルエチルケトンを蒸発させた後、乳鉢で粉砕して、原料粉末を得る方法であった。この場合も、磁石粉末100 部に対して樹脂固形分の量が3部になるようにした。これらの原料粉末の粒度分布を表2に示す。

0042

(c)ボンド型磁石の製造
ボンド型磁石は圧縮成形法により作製した。上記の原料粉末をプレス金型内に充填し、金型の外部から磁場 (20 kOe) を印加することによって磁石粉末を配向させつつ6ton/cm2 の圧力で常温においてプレスした。続いて、脱型後、アルゴンガス雰囲気中で150 ℃に60分間加熱して樹脂を熱硬化させ、長さ100 mm、幅10mm 、厚み5 mmの成形物と10 mm 立方の成形物とからなるボンド型磁石を得た。これらのボンド型磁石の磁石粉末充填率、密度、および磁石粉末配向度を測定した。

0043

磁石粉末の配向度は、使用した原料磁石粉末の着磁方向残留磁束密度と着磁方向と垂直な方向の残留磁束密度との比を1とした時の得られたボンド磁石の着磁方向ならびにそれに垂直な方向の残留磁束密度の比率(%) で表示した。

0044

0045

また、各ボンド型磁石の磁気特性と曲げ強度を、下記の方法で評価した。
(1) 磁気特性測定
10 mm 立方のボンド型磁石を用い、BHトレーサーにより残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)ならびに最大エネルギー積(BHmax)を測定した。

0046

(2)曲げ強度試験
100 mm×10mm×5mmのボンド型磁石を用いてJIS K7203 の硬質プラスチック曲げ試験方法に準じて行った。支点間距離は75 mm 、試験速度は2mm/分で行い、試験結果より曲げ破壊強度を算出した。

0047

実施例1〜4
原料粉末の製造を上記の噴霧乾燥法により行った。得られた原料粉末はいずれも実質的に球形の形状を有していた。

0048

比較例1〜4
原料粉末の製造を上記の混合解砕法により行った。得られた原料粉末の形状はいずれも実質的に球形ではなかった。

0049

なお、原料粉末の粒度分布は、実施例1と比較例1ではシャープな粒度分布であり、実施例2と比較例2ではブロードな粒度分布であるが非正規分布であり、1施例3、4と比較例3、4ではブロードな粒度分布で、かつ正規分布である粒度分布であった。試験結果を次の表3にまとめて示す。

0050

0051

0052

0053

表3に示した試験結果から明らかな通り、本発明の実質的に球形の原料粉末から製造されたボンド型磁石は、磁石粉末の充填率、従ってボンド型磁石の密度が高く、磁気特性に優れている上、曲げ破壊強度も著しく向上している。これらの向上は、特に原料粉末の粒度分布が正規分布である実施例3および4において顕著であった。

発明の効果

0054

本発明によれば、原料粉末が実質的に球形であるため、金型内での原料粉末の充填密度が向上し、それによりボンド型磁石中の磁石粉末の充填率が向上するとともに空隙が大幅に低減されるため、ボンド型磁石の磁気特性と機械的強度が向上する。この効果は、原料粉末の粒度分布が正規分布である場合にはさらに顕著になる。

0055

また、異方性の磁石粉末から異方性のボンド型磁石を製造する場合、従来は磁場の印加による配向時に金型内の原料粉末の回転が起こりにくく、配向度を上げることが困難であった。これに対し、本発明では原料粉末が実質的に球形であるため、原料粉末の磁化容易方向が容易に磁場方向に揃うように回転するので、配向度が向上し、それによっても磁気特性が向上し、異方性ボンド型磁石に固有の高い磁気特性を十分に発現させることが可能となる。

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