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目的
構成
概要
背景
図6は従来例の説明図であり、51はルビジウムを用いた光マイクロ波共鳴器、52は電圧制御水晶発振器、53はスイープ回路、54は共鳴信号検出回路、55はアラーム発生回路、56は共鳴周波数合成部、57は前置増幅器、58は基本波増幅器、59は位相比較器、60はローパスフィルタ(又は積分回路)、61は切替回路(又は加算回路)である。
電圧制御水晶発振器52の出力信号は、例えば、5MHz或いは10MHz等のシステム内で取扱いが容易な周波数に選定されている。この電圧制御水晶発振器52の出力信号を共鳴周波数合成部56に於いて逓倍,加算等の処理によってルビジウム(Rb)の共鳴周波数のマイクロ波信号に合成して、光マイクロ波共鳴器51に加える。この光マイクロ波共鳴器51からは、ルビジウムの共鳴周波数と、共鳴周波数合成部56から加えたマイクロ波信号の周波数との差に対応した共鳴信号が出力され、前置増幅器57により増幅されて共鳴信号検出回路54と基本波増幅器58とに加えられる。
共鳴信号は、マイクロ波を位相変調した信号の基本波成分と2倍波成分とを含み、光マイクロ波共鳴器51に印加したマイクロ波周波数がルビジウムの共鳴周波数と一致した時に、共鳴信号の基本波成分は最小となり、2倍波成分は最大となる。そこで、基本波増幅器58により増幅した基本波成分を位相比較器59により位相比較し、その検波出力信号をローパスフィルタ60と切替回路61とを介して電圧制御水晶発振器52の制御電圧とし、電圧制御水晶発振器52の発振周波数を、ルビジウムの共鳴周波数と所定の関係となるように制御して、電圧制御水晶発振器52の発振周波数を安定化することができる。
この電圧制御水晶発振器52の構成を簡略化することにより経済化並びに小型化を図ったルビジウム原子発振器も提案されている。このような構成を簡略化した電圧制御水晶発振器52を用いた場合、運用中に特性が劣化して何らかの原因により発振周波数が大きくずれることがある。それによって、共鳴周波数合成部56から光マイクロ波共鳴器51に加えるマイクロ波周波数がルビジウムの共鳴周波数に対して大きくずれて、光マイクロ波共鳴器51から共鳴信号が出力されなくなる場合がある。
このような問題を解決する為に、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープするスイープ回路53を設けている。又共鳴信号検出回路54は、共鳴信号の2倍波成分を検出し、所定レベルを超えた時は、電圧制御水晶発振器52の発振周波数が、ルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して所定の比率関係にロックされたと判定し、又所定レベル以下の時は、電圧制御水晶発振器52の発振周波数が、ルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して大きくずれていると判定して、アラーム発生回路55からアラーム信号を出力させ、その時に、共鳴信号検出回路54により或いはアラーム発生回路55からのアラーム信号によりスイープ回路53を起動し、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープする。
この場合、切替回路61をローパスフィルタ60側からスイープ回路53側に切替えて、スイープ回路53のスイープ出力電圧を制御電圧とするか、又は切替回路61を加算回路とし、スイープ回路53を起動して発生させたスイープ電圧をローパスフィルタ60を介した制御電圧に加算して、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープすることもできる。このような制御電圧のスイープによって電圧制御水晶発振器52の発振周波数を変化させ、共鳴信号が得られた時に電圧制御水晶発振器52の制御電圧のスイープを停止し、電圧制御水晶発振器52の発振周波数をルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して所定の比率関係にロックすることができる。
概要
ルビジウムの共鳴周波数を利用したルビジウム原子発振器に関し、立上時の発振周波数の引込みを容易にし、且つ運用中に於けるシステムへ与える悪影響を防止する。
ルビジウムを用いた光マイクロ波共鳴器1と、電圧制御水晶発振器2と、この電圧制御水晶発振器2にスイープ電圧を加える為のスイープ回路3と、光マイクロ波共鳴器1の共鳴信号を検出する共鳴信号検出回路4と、この共鳴信号検出回路4により共鳴信号を安定に検出できた時にスイープ回路3の動作を停止させてその状態を保持するスイープ制御回路5と、電圧制御発振器1の発振周波数をルビジウムの共鳴周波数に合成する共鳴周波数合成部6と、電圧制御水晶発振器2の制御電圧を形成する為の周波数制御部7と、この周波数制御部7とスイープ回路3とを切替える切替回路8とを備えている。
目的
前述のような従来例のルビジウム原子発振器に於いて、動作中に何らかの原因により共鳴信号検出回路54で共鳴信号を検出できなくなった時、電圧制御水晶発振器52の発振周波数は、その可変幅だけ振られ続けることになる。例えば、テレビジョン放送に於ける基準発振器として用いた場合に、放送中に前述のようなアラーム状態となって、スイープ回路53による電圧制御水晶発振器52の制御電圧がスイープされると、基準発振器としての出力周波数が可変幅内に変化することになり、受像画質の劣化が生じる欠点がある。又各種の通信ネットワークに於ける網同期系の基準発振器として用いた場合にも、アラーム状態となった時に電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープすると、基準周波数が可変幅内に繰り返し変化するから、同期外れ等の問題が生じる。本発明は、立上時に於ける発振周波数の引込みを容易にし、且つ運用中に於けるシステムへ与える影響を最小限に抑えることを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 2件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ルビジウムを用いた光マイクロ波共鳴器(1)と、該光マイクロ波共鳴器(1)の共鳴周波数の信号位相に同期化するように制御電圧によって発振周波数が制御される電圧制御水晶発振器(2)と、該電圧制御水晶発振器(2)の前記制御電圧をスイープするスイープ回路(3)と、前記光マイクロ波共鳴器(1)の共鳴信号を検出する共鳴信号検出回路(4)とを備えたルビジウム原子発振器に於いて、前記共鳴信号検出回路(4)の検出出力信号を基に、立上時から前記電圧制御水晶発振器(2)の出力信号位相が前記光マイクロ波共鳴器(1)の共鳴周波数の信号位相に引込まれて安定化されるまでの間のみ前記スイープ回路(3)の動作を可能とするスイープ制御回路(5)を設けたこを特徴とするルビジウム原子発振器。
請求項2
前記スイープ制御回路(5)は、前記共鳴信号検出回路(4)の検出出力信号により積分を開始し、該検出出力信号が得られない時に積分値をクリアする積分回路と、該積分回路の積分値が所定値となった時に、前記スイープ回路(3)の動作を停止させる為のラッチ回路とからなることを特徴とする請求項1記載のルビジウム原子発振器。
請求項3
技術分野
0001
本発明は、各種システムに於ける基準周波数の信号を発生するルビジウム原子発振器に関する。ルビジウム(Rb)原子発振器は、高精度の水晶発振器に比較して数100倍程度の長期安定度を有するものであり、又セシウム(Cs)原子発振器に比較して長期安定度は劣るが、短期安定度は優れているものである。又セシウム原子発振器に比較して小型化が可能であると共に、寿命が長い利点がある。従って、各種の通信,放送,計測等のシステムの高精度基準信号発生器として広く採用されている。このようなルビジウム原子発振器を更に小型化すると共に動作の安定化を図ることが要望されている。
背景技術
0002
図6は従来例の説明図であり、51はルビジウムを用いた光マイクロ波共鳴器、52は電圧制御水晶発振器、53はスイープ回路、54は共鳴信号検出回路、55はアラーム発生回路、56は共鳴周波数合成部、57は前置増幅器、58は基本波増幅器、59は位相比較器、60はローパスフィルタ(又は積分回路)、61は切替回路(又は加算回路)である。
0003
電圧制御水晶発振器52の出力信号は、例えば、5MHz或いは10MHz等のシステム内で取扱いが容易な周波数に選定されている。この電圧制御水晶発振器52の出力信号を共鳴周波数合成部56に於いて逓倍,加算等の処理によってルビジウム(Rb)の共鳴周波数のマイクロ波信号に合成して、光マイクロ波共鳴器51に加える。この光マイクロ波共鳴器51からは、ルビジウムの共鳴周波数と、共鳴周波数合成部56から加えたマイクロ波信号の周波数との差に対応した共鳴信号が出力され、前置増幅器57により増幅されて共鳴信号検出回路54と基本波増幅器58とに加えられる。
0004
共鳴信号は、マイクロ波を位相変調した信号の基本波成分と2倍波成分とを含み、光マイクロ波共鳴器51に印加したマイクロ波周波数がルビジウムの共鳴周波数と一致した時に、共鳴信号の基本波成分は最小となり、2倍波成分は最大となる。そこで、基本波増幅器58により増幅した基本波成分を位相比較器59により位相比較し、その検波出力信号をローパスフィルタ60と切替回路61とを介して電圧制御水晶発振器52の制御電圧とし、電圧制御水晶発振器52の発振周波数を、ルビジウムの共鳴周波数と所定の関係となるように制御して、電圧制御水晶発振器52の発振周波数を安定化することができる。
0005
この電圧制御水晶発振器52の構成を簡略化することにより経済化並びに小型化を図ったルビジウム原子発振器も提案されている。このような構成を簡略化した電圧制御水晶発振器52を用いた場合、運用中に特性が劣化して何らかの原因により発振周波数が大きくずれることがある。それによって、共鳴周波数合成部56から光マイクロ波共鳴器51に加えるマイクロ波周波数がルビジウムの共鳴周波数に対して大きくずれて、光マイクロ波共鳴器51から共鳴信号が出力されなくなる場合がある。
0006
このような問題を解決する為に、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープするスイープ回路53を設けている。又共鳴信号検出回路54は、共鳴信号の2倍波成分を検出し、所定レベルを超えた時は、電圧制御水晶発振器52の発振周波数が、ルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して所定の比率関係にロックされたと判定し、又所定レベル以下の時は、電圧制御水晶発振器52の発振周波数が、ルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して大きくずれていると判定して、アラーム発生回路55からアラーム信号を出力させ、その時に、共鳴信号検出回路54により或いはアラーム発生回路55からのアラーム信号によりスイープ回路53を起動し、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープする。
0007
この場合、切替回路61をローパスフィルタ60側からスイープ回路53側に切替えて、スイープ回路53のスイープ出力電圧を制御電圧とするか、又は切替回路61を加算回路とし、スイープ回路53を起動して発生させたスイープ電圧をローパスフィルタ60を介した制御電圧に加算して、電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープすることもできる。このような制御電圧のスイープによって電圧制御水晶発振器52の発振周波数を変化させ、共鳴信号が得られた時に電圧制御水晶発振器52の制御電圧のスイープを停止し、電圧制御水晶発振器52の発振周波数をルビジウム(Rb)の共鳴周波数に対して所定の比率関係にロックすることができる。
発明が解決しようとする課題
0008
前述のような従来例のルビジウム原子発振器に於いて、動作中に何らかの原因により共鳴信号検出回路54で共鳴信号を検出できなくなった時、電圧制御水晶発振器52の発振周波数は、その可変幅だけ振られ続けることになる。例えば、テレビジョン放送に於ける基準発振器として用いた場合に、放送中に前述のようなアラーム状態となって、スイープ回路53による電圧制御水晶発振器52の制御電圧がスイープされると、基準発振器としての出力周波数が可変幅内に変化することになり、受像画質の劣化が生じる欠点がある。又各種の通信ネットワークに於ける網同期系の基準発振器として用いた場合にも、アラーム状態となった時に電圧制御水晶発振器52の制御電圧をスイープすると、基準周波数が可変幅内に繰り返し変化するから、同期外れ等の問題が生じる。本発明は、立上時に於ける発振周波数の引込みを容易にし、且つ運用中に於けるシステムへ与える影響を最小限に抑えることを目的とする。
課題を解決するための手段
0009
本発明のルビジウム原子発振器は、図1を参照して説明すると、ルビジウムを用いた光マイクロ波共鳴器1と、この光マイクロ波共鳴器1の共鳴周波数の信号位相に同期化するように制御電圧によって発振周波数が制御される電圧制御水晶発振器2と、この電圧制御水晶発振器2の制御電圧をスイープするスイープ回路3と、光マイクロ波共鳴器1の共鳴信号を検出する共鳴信号検出回路4とを備えたルビジウム原子発振器に於いて、共鳴信号検出回路4の検出信号を基に、立上時から電圧制御水晶発振器2の出力信号位相が光マイクロ波共鳴器1の共鳴周波数の信号位相に引込まれて安定化されるまでの間のみスイープ回路3の動作を可能とするスイープ制御回路5を設けたものである。なお、6は共鳴周波数合成部、7は周波数制御部、8は切替回路(又は加算回路)である。
0010
又スイープ制御回路5は、共鳴信号検出回路4の検出信号により積分を開始し、検出出力信号が得られない時に積分値をクリアする積分回路と、この積分回路の積分値が所定値となった時に、スイープ回路3の動作を停止させる為のラッチ回路とから構成することができる。
0011
又スイープ制御回路5は、共鳴信号検出回路4の検出出力信号によりクロック信号のカウントを行わせ、検出出力信号が得られない時にリセットするカウンタと、このカウンタのカウント値が所定値となった時に、スイープ回路3の動作を停止させる為のラッチ回路とから構成することができる。
0012
ルビジウム原子発振器の立上時には、光マイクロ波共鳴器1から共鳴信号が出力されないので、共鳴信号検出回路4は共鳴信号を検出できないことになる。そこで、共鳴信号検出回路4が共鳴信号を検出できない時に、スイープ制御回路5を介してスイープ回路3を起動し、且つ切替回路8をスイープ回路3側に切替えるように制御し、スイープ回路3の出力信号により電圧制御水晶発振器2の制御電圧をスイープする。
0013
それにより、電圧制御水晶発振器2の発振周波数が変化し、共鳴周波数合成部6からのマイクロ波周波数も変化し、その変化範囲内にルビジウムの共鳴周波数が存在すると、光マイクロ波共鳴器1から共鳴信号が出力される。又共鳴信号検出回路4はこの共鳴信号を検出すると、スイープ制御回路5を介してスイープ回路3の動作を停止し、且つ切替回路8を周波数制御部7側に切替えるように制御し、共鳴信号の基本波を検出して同期検波し、ローパスフィルタを介して制御電圧を出力する周波数制御部7によって電圧制御水晶発振器2を制御する。
0014
又スイープ制御回路5は、共鳴信号が出力されない場合でも、ルビジウム原子発振器の再立上げを行うまで、スイープ回路3の動作を停止させる。それによって、電圧制御水晶発振器2の発振周波数がずれた場合或いは何らかの原因により共鳴信号が検出できなくなった場合等に於いても、電圧制御水晶発振器2のスイープが行われないので、電圧制御水晶発振器2の発振周波数は、ルビジウムの共鳴周波数と所定の比率関係からずれたまま、或いはロックされた状態のままとなり、スイープによる可変範囲内の周波数の変化が繰り返し生じることがなく、システムを安定に維持することができる。
0015
又スイープ制御回路5を、積分回路とラッチ回路とにより構成した場合、積分回路は、共鳴信号検出回路4の検出出力信号により積分を開始し、検出出力信号が得られない時に積分値をクリアし、その積分値が所定値となった時に、ラッチ回路にスイープ回路3の動作の停止信号をラッチして、スイープ回路3の動作をルビジウム原子発振器を再立上げするまで停止する。
0016
又スイープ制御回路5を、カウンタとラッチ回路とにより構成した場合、カウンタは、共鳴信号検出回路4の検出信号によりクロック信号のカウントを開始し、検出出力信号が得られない時にリセットし、カウンタのカウント値が所定値となった時に、ラッチ回路にスイープ回路3の動作の停止信号をラッチして、スイープ回路3の動作をルビジウム原子発振器を再立上げするまで停止する。
0017
図2は本発明の第1の実施例の11は光マイクロ波共鳴器、12は電圧制御水晶発振器、13はスイープ回路、14は共鳴信号検出回路、15はスイープ制御回路、16は共鳴周波数合成部、17は周波数制御部、18は切替回路、19はアラーム発生回路、20は前置増幅器、21は基本波増幅器、22は位相比較器、23はローパスフィルタ、24はラッチ回路である。
0018
この実施例は、スイープ回路13を有する従来例のルビジウム原子発振器に、スイープ回路13の動作停止信号をラッチするラッチ回路24を有するスイープ制御回路15を設けた構成に相当するものである。ルビジウム原子発振器を立上げる時には、ラッチ回路24は図示を省略した制御部によりイニシャルリセットされる。又切替回路18はスイープ回路13側に切替えられる。
0019
スイープ制御回路15のラッチ回路24に動作停止信号がラッチされていないことにより、スイープ回路13は動作を開始し、且つ切替回路18はスイープ回路13側に切替えられる。従って、スイープ回路13の出力信号は切替回路18を介して電圧制御水晶発振器12の制御電圧として加えられ、電圧制御水晶発振器12の発振周波数は制御電圧の変化に従って変化する。それにより、共鳴周波数合成部16から光マイクロ波共鳴器11に加えるマイクロ波周波数もスイープされ、その可変範囲内にルビジウムの共鳴周波数が存在することにより、光マイクロ波共鳴器11から共鳴信号が出力される。
0020
共鳴信号は、前述の従来例と同様に、マイクロ波を位相変調した信号の基本波成分と2倍波成分とを含むものとなり、光マイクロ波共鳴器11に印加するマイクロ波周波数が、ルビジウムの共鳴周波数に一致した時に、基本波成分は最小となり、2倍波成分は最大となる。この共鳴信号は、前置増幅器20により増幅され、周波数制御部17の基本波増幅器21と、2倍波成分を検出する共鳴信号検出回路14とに加えられる。
0021
共鳴信号検出回路14に於いて共鳴信号を検出すると、スイープ制御回路15のラッチ回路24に動作停止信号を加えてラッチさせ、そのラッチ出力信号によりスイープ回路13の動作を停止させ、且つ切替回路18を周波数制御部17側に切替えるように制御する。それにより、周波数制御部17による制御電圧が切替回路18を介して電圧制御水晶発振器12に加えられ、この電圧制御水晶発振器12の発振周波数が、ルビジウムの共鳴周波数と所定の比率関係となるように自動制御されて安定化される。
0022
又共鳴信号検出回路14の障害により共鳴信号を検出できない場合、或いは、電圧制御水晶発振器12の発振周波数が周波数制御部17の制御範囲を超えて変化し、共鳴信号が発生しなくなった場合、アラーム発生回路19からアラーム信号が出力されるが、スイープ制御回路15のラッチ回路24に動作停止信号がラッチされているので、スイープ回路13は動作しないことになる。
0023
従って、システム立上げに伴うルビジウム原子発振器の立上時には、自動的に電圧制御水晶発振器12がルビジウムの共鳴周波数に対して所定の比率関係に引込まれることになり、又システム運用中に於いては、アラーム信号が出力される状態の場合でも、電圧制御水晶発振器12のスイープ制御は行われないので、発振周波数が可変幅の範囲を繰り返し変化するようなことがなくなり、システムに対する擾乱を与えるようなこともなく、システムの安定化を図ることができる利点がある。なお、アラーム発生回路19からアラーム信号が出力される状態の時は、経年変化による特性の劣化や故障発生等によるものであるから、各部を点検して再立上げを行うことにより、自動的に電圧制御水晶発振器12の発振周波数を、ルビジウムの共鳴周波数に対して所定の比率関係に引込むことができる。
0024
図3は本発明の第2の実施例の説明図であり、図2と同一符号は同一部分を示し、30は積分回路、31は判定回路である。この実施例は、ノイズ等による誤動作を防止した場合を示す。例えば、ノイズを共鳴信号として共鳴信号検出回路14により検出してスイープ回路13の動作を停止すると、電圧制御水晶発振器12をルビジウムの共鳴周波数に対して所定の比率関係で引込むことができなくなる。そこで、安定に共鳴信号を検出できる状態を積分回路30と判定回路31とにより識別できた時に、スイープ回路13の動作を停止するものである。又切替回路18は、ラッチ回路24の出力信号によって制御される。
0025
図4は本発明の第2の実施例の動作説明図であり、(a)は共鳴信号検出回路14の検出出力信号、(b)は積分回路30の出力信号、(c)はラッチ回路の出力信号、(d)はスイープ回路13の出力信号の一例を示す。
0026
ルビジウム原子発振器の立上時に、ラッチ回路24はイニシャルリセットされるから、スイープ回路13は動作を開始し、又切替回路18はスイープ回路13側に切替えられる。従って、(d)に示すスイープ回路13の出力信号を切替回路18を介して電圧制御水晶発振器12の制御電圧として加えることになり、電圧制御水晶発振器12の発振周波数は、制御電圧の変化に追従して変化し、共鳴周波数合成部16から光マイクロ波共鳴器11に加えられるマイクロ波周波数も変化し、ルビジウムの共鳴周波数に一致する時に、共鳴信号中の2倍波成分のレベルは大きくなる。
0027
共鳴信号検出回路14は、共鳴信号中の2倍波成分のレベルの所定値以上を検出出力信号とするものであり、図4の(a)に示す検出出力信号が積分回路30に加えられると、積分回路30は、その検出出力信号の立上りで積分を開始し、立下りで積分値をクリアする。従って、積分回路30の積分値は図4の(b)に示すものとなる。判定回路31は、積分値を判定値V1と比較し、この判定値V1を超えると、“1”の動作停止信号をラッチ回路24に加えるから、(c)に示す“1”のラッチ回路24の出力信号によりスイープ回路13の動作が停止され、且つ切替回路18は周波数制御部17側に切替えられる。
0028
従って、ノイズ等のパルス状の検出出力信号が出力されても、積分値は判定値V1を超えることにならないからスイープ動作は継続され、積分値が判定値V1を超えるような安定状態となると、スイープ動作を停止させることになる。そして、(c)に示すラッチ回路24の出力信号が“1”となってスイープ回路13の動作が停止されると、積分値が判定値V1以下となっても、スイープ回路13の動作は再開されないので、電圧制御水晶発振器12は、周波数制御部17からの制御電圧によって発振周波数が制御され、スイープ動作による発振周波数の変化は生じないことになる。
0029
図5は本発明の第3の実施例の説明図であり、図2及び図4と同一符号は同一部分を示し、40はカウンタ、41はクロック発生部である。この実施例は、スイープ制御回路15を、ラッチ回路24とカウンタ40とクロック発生部41とにより構成した場合を示し、クロック発生部41からのクロック信号がカウンタ40に加えられる。この場合のクロック発生部41は、装置内の他のクロック発生部からのクロック信号を利用する構成とすることもできる。
0030
前述のように、ルビジウム原子発振器の立上時に、スイープ回路13が動作して、電圧制御水晶発振器12の制御電圧がスイープ回路13の出力信号によってスイープされ、光マイクロ波共鳴器11からの共鳴信号を共鳴信号検出回路14により検出することになり、例えば、図4の(a)に示す検出信号が得られた場合、その検出信号の立上りでカウンタ40はクロック信号のカウントを開始し、検出信号の立下りでカウント内容をリセットする。
0031
このカウンタ40のカウント内容を判定値V1と同様な判定値と比較し、この判定値を超えた時、或いは判定値に相当するカウント内容となった時のキャリ信号により、動作停止信号を出力してラッチ回路24に加えるものである。例えば、カウンタ40のカウント内容は、図4の(b)に示すように、共鳴信号検出回路14の検出出力信号に対応して増加することになるが、ノイズ或いはこれに近い共鳴信号の検出出力信号の場合には、カウント内容は判定値を超えないので、スイープ回路13の動作は継続される。
0032
カウンタ40のカウント内容が判定値を超えて動作停止信号がラッチ回路24に加えられると、ラッチ回路24の出力信号によりスイープ回路13は動作を停止し、且つ切替回路18は周波数制御部17側に切替えられる。そして、ルビジウム原子発振器の再立上げまで、ラッチ回路24は動作停止信号をラッチするから、共鳴信号を検出できない状態の時でも、電圧制御水晶発振器12のスイープ動作が行われないので、発振周波数のスイープ幅内に繰り返し変化して、システム内の安定度を劣化させることがなくなる。
0033
前述の各実施例は、スイープ回路13と周波数制御部17とを切替回路18によって切替える構成の場合を示すが、本発明は前述の各実施例に限定されるものではなく、例えば、切替回路18を加算回路とし、周波数制御部17からの制御電圧に、スイープ回路13の出力信号を加算して、電圧制御水晶発振器12のスイープ時の制御電圧とすることも可能である。又スイープ制御回路15は、ラッチ回路24、又はラッチ回路24と積分回路30と判定回路31、又はラッチ回路24とカウンタ40とクロック発生部41とからなる場合を示すが、共鳴信号検出回路14の検出機能に対応して、他のノイズ等による誤動作防止の論理構成を用いることも可能である。
発明の効果
0034
以上説明したように、本発明は、光マイクロ波共鳴器1と、この光マイクロ波共鳴器1の共鳴周波数に対して所定の比率関係に発振周波数が制御される電圧制御水晶発振器2と、スイープ回路3と、共鳴信号検出回路4と、スイープ制御回路5とを備えて、ルビジウム原子発振器の立上時に、スイープ回路3により電圧制御水晶発振器2の制御電圧をスイープし、電圧制御水晶発振器2の発振周波数が、ルビジウムの共鳴周波数に対して所定の比率関係に引込まれた時に、光マイクロ波共鳴器1から共鳴信号が出力され、その共鳴信号を共鳴信号検出回路4により検出して、ラッチ回路を含むスイープ制御回路5を介してスイープ回路3の動作を停止し、次の立上時までは、共鳴信号を検出できない状態の時でも、電圧制御水晶発振器2のスイープを行わないものである。
0035
それによって、ルビジウム原子発振器を基準発振器として運用中に、共鳴信号検出回路4の障害等により共鳴信号を検出できない場合や、電圧制御水晶発振器2の経年変化等による特性劣化によって発振周波数のロックが外れたような場合でも、電圧制御水晶発振器2の発振周波数を強制的にスイープすることがないから、システムの安定性等を阻害することがない利点がある。又共鳴信号を検出できないような状態の時にアラーム信号を出力させ、そのアラーム信号により再立上げを行わせることも可能である。
0036
又ラッチ回路と積分回路とを含むスイープ制御回路5又はラッチ回路とカウンタとを含むスイープ制御回路5としたことにより、電圧制御水晶発振器2の発振周波数がルビジウムの共鳴周波数に対して所定の比率関係に引込まれるまでスイープ回路13の動作を、ノイズ等による誤動作によって停止させることがなくなるから、立上時の信頼性を向上することができる利点がある。
図面の簡単な説明
0037
図1本発明の原理説明図である。
図2本発明の第1の実施例の説明図である。
図3本発明の第2の実施例の説明図である。
図4本発明の第2の実施例の動作説明図である。
図5本発明の第3の実施例の説明図である。
図6従来例の説明図である。
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0038
1光マイクロ波共鳴器
2電圧制御水晶発振器
3スイープ回路
4共鳴信号検出回路
5スイープ制御回路
6共鳴周波数合成部
7周波数制御部
8 切替回路
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