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技術 生理学的に活性なペプチドを含有する膣投与製剤

出願人 帝國製薬株式会社
発明者 高間重幸内田正彰稲本千子
出願日 1993年6月7日 (27年5ヶ月経過) 出願番号 1993-135738
公開日 1994年12月20日 (25年11ヶ月経過) 公開番号 1994-345665
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード プラスチックコンテナー プラスチック製コンテナ 形状コア ポリアクリル酸ゲル 筋拘縮 水溶性キレート化剤 エーテル型界面活性剤 水溶性ゲル
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目的

本発明は、生理学的に活性なぺプチドを安全かつ効率よく吸収させるための改良した投与製剤を提供する。

構成

生理学的に活性なペプチドに、少なくともショ糖脂肪酸エステル有機酸とを配合してなる生理学的に活性なペプチドを含有した膣投与製剤。

概要

背景

概要

本発明は、生理学的に活性なぺプチドを安全かつ効率よく吸収させるための改良した投与製剤を提供する。

生理学的に活性なペプチドに、少なくともショ糖脂肪酸エステル有機酸とを配合してなる生理学的に活性なペプチドを含有した膣投与製剤。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

生理学的に活性ペプチドに、少なくともショ糖脂肪酸エステル有機酸またはその薬学的に許容し得る塩とを配合したことを特徴とする生理学的に活性なペプチドを含有する投与製剤

請求項2

ショ糖脂肪酸エステルがショ糖ステアリン酸エステルショ糖パルミチン酸エステルショ糖オレイン酸エステルショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステルおよびショ糖エルカ酸エステルよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の膣投与製剤。

請求項3

有機酸が、炭素数2〜6の飽和脂肪族カルボン酸不飽和脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸より選ばれる請求項1に記載の膣投与製剤。

請求項4

飽和脂肪族カルボン酸が、一塩基酸オキシ酸および多価カルボン酸よりなる群から選ばれる請求項3に記載の膣投与製剤。

請求項5

一塩基酸が、酢酸プロピオン酸酪酸吉草酸またはカプロン酸、オキシ酸がリンゴ酸乳酸酒石酸またはクエン酸および多価カルボン酸がリンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、マロン酸グルタル酸アジピン酸またはフタル酸である請求項4に記載の膣投与製剤。

請求項6

不飽和脂肪族カルボン酸が、フマル酸またはマレイン酸である請求項3に記載の膣投与製剤。

請求項7

芳香族カルボン酸が、安息香酸、フタル酸またはヒドロキシ安息香酸である請求項3に記載の膣投与製剤。

請求項8

有機酸が、アスコルビン酸またはイソアスコルビン酸である請求項1に記載の膣投与製剤。

請求項9

生理学的に活性なペプチドが、インスリンアンギオテンシンバソプレシンデスモプレシンLH−RHソマトスタチンカルシトニングルカゴンオキシトシンガストリンソマトメジンセクレチン、h-ANP、ACTHMSH、β-エンドルフィンムラミルジペプチドエンケファリンニューロテンシンボンベシン、VIP、CCK−8、PTHCGRP、TRHTSHエンドセリンおよびこれらの合成および半合成体を含む誘導体よりなる群から選ばれた分子量1万5千以下のペプチドである請求項1に記載の膣投与製剤。

請求項10

カルシトニンが、サケカルシトニンヒトカルシトニンブタカルシトニン、ウナギカルシトニン、ニワトリカルシトニン、ラットカルシトニン、およびヒツジカルシトニンよりなる群から選ばれる請求項(9)に記載の膣投与製剤。

請求項11

ウナギカルシトニンが(Asu1.7)ウナギカルシトニン(エルカトニン)である請求項(10)に記載の膣投与製剤。

技術分野

0001

本発明は、生理学的に活性ペプチドを有効成分とする投与製剤に係わり、少なくともショ糖脂肪酸エステル有機酸とを配合したことを特徴とする、生理学的に活性なペプチドが人体に安全で、且つ、より効率よく膣粘膜から吸収されるように改良した生理学的に活性なペプチドを含有する膣投与製剤に関する。

0002

生理学的に活性なペプチドの研究は、近年の急速な科学の進歩の中でも、特にその恩恵を受けている領域である。その基礎的な研究成果としては、生産分野における遺伝子操作や精製技術の発展等による、より純度の高いペプチドの大量生産や、薬理治療分野における薬物受容体レセプター)の構造等を含む作用機作解明病態モデル動物発見や改良等に伴う新たな生理活性の発見などが挙げられる。以上のような発展に伴い、これらの生理学的に活性なペプチドは必然的に、近未来の重要な薬物治療薬として期待され、今日、その臨床応用に至るための研究に多大な努力が注がれている。

0003

既に臨床に供されているペプチド製剤の代表的な例としては、インスリンカルシトニンが挙げられる。これらのペプチドの関与する主な病気である糖尿病骨粗鬆症は、近年の老齢化社会や簡便で豊かな食生活に伴う偏食などによるものとされ、その人口がとみに増加し、社会的な問題にもなっている。インスリンは筋肉肝臓における糖、アミノ酸カリウムイオン膜透過グリコーゲン合成酵素リボゾームの活性化、タンパク脂肪酸合成の促進、糖利用の促進と新生の抑制、脂肪組織における糖の膜透過性の促進、脂肪酸合成の促進に関与し、インスリン依存性糖尿病や精神分裂病におけるショック療法臨床的に使用されている。また、カルシトニンは、生体に重要なカルシウムの代謝の恒常性に関与することが知られ、老人、特に老に多発する骨粗鬆症の疼痛や、高カルシウム血症骨ページェット病に対する治療薬として臨床的に使用されている。カルシトニン類は、更に、運動器疾患、消化器疾患内分泌代謝疾患血液疾患心血管疾患などに関与することが明らかにされ、広範囲な分野での治療薬としての可能性が幅広く検討されている。

0004

しかしながら、これらのペプチドは胃液ペプシン、およびトリプシンなどの腸プロテアーゼにより容易に分解される水溶性高分子化合物であり、経口投与すればほとんど吸収されず、薬効を示すことができない。そのため、所望の生理学的活性を得るために、現在のところ、これらのペプチドは通常、注射薬として投与されているのが現状である。このような投与形態は、上述の如き慢性疾患等の治療には、該ペプチドを含有する製剤を定期的、且つ、頻繁に投与しなければならず、これに伴う病院への頻繁な通院注射部位の疼痛や精神的苦痛は、患者にとって極めて不都合であり、困難を伴う。更には、注射においては局所アレルギー反応筋拘縮症などが起こる危険性もある。以上の理由から、使用がより簡便で、自己投与可能な投与剤型出現待ち望まれている。

0005

ペプチドを注射以外の方法で有効に投与する方法として、直腸鼻腔口腔、膣などの粘膜からの吸収が研究されてきた。即ち、これら経粘膜投与の場合、単独ではほとんど吸収されないペプチドも、界面活性作用を有する物質等の添加により吸収が促進されることが明らかにされ、今日まで数多くの吸収促進剤報告されている。例えば、ヒライ(Hirai)らの米国特許第 4,659,696 号およびウダ(Uda)らの米国特許 4,670,419 号各明細書には、胃腸管でほとんど吸収されない親水性薬物シクロデキストリンからなる鼻腔、経膣または直腸投与医薬が記載されている。この医薬中の薬物の中には、インスリン、LH−RH類似体オキシトシンおよびTRHなどのペプチドが含まれている。モリシタ(Morishita)らの米国特許第 4,609,640 号明細書には、水溶性の薬物と特定タイプ水溶性キレート化剤とを含み、吸収性が優れているといわれている直腸または経膣投与用医薬が記載されている。薬物としてはインスリン、ソマトスタチン、カルシトニンなどのホルモン活性を有するペプチドを含む。

0006

ヨーロッパ特許出願公開第0183527号明細書には、ベンジル酸とその塩、カプリン酸とその塩、ポリエチレングリコール400、ピリドキサールとその塩、リンゴ酸とその塩およびピロリン酸とその塩よりなる群から選ばれる吸収促進剤の少なくとも1種およびカルシトニンからなる吸収性経鼻カルシトニン医薬が記載されている。特定の吸収促進剤の1種を用いることにより、鼻腔膜を通した吸収の有効性が改善されるといわれている。

0007

英国特許公開第2127689号には、鼻腔粘膜投与に適した液体希釈剤または担体中のカルシトニン、塩化ベンザルコニウムおよび/または経鼻投与に適した界面活性剤からなる経鼻投与用医薬が開示されている。この医薬に界面活性剤が含まれているときには、界面活性剤は好ましくは非イオン性の界面活性剤、最も好ましくはポリオキシアルキレン高級アルコールエーテルである。これらのカルシトニン経鼻投与用製剤によりバイオアベイラビリティーが改善され、安定性が良くなるといわれている。モリモト(Morimoto)らの J. Pharm. Pharmacol., 1985, 37, 759〜760 には、ウナギカルシトニンの半合成類似体の直腸吸収における非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテルの作用、およびポリアクリル酸ゲルベースの吸収促進能について報告されている。ポリアクリル酸ゲルベースは直腸粘膜、膣粘膜および鼻粘膜からのインスリンの吸収を改善すること、および直腸や経鼻経路によるカルシトニンの吸収を改善することが初期にわかった。

0008

初期の研究では、また、両性およびカチオン性の両界面活性剤、とりわけ非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテルが用いられたが、残念ながら、好ましいエーテル型界面活性剤は鼻粘膜を破壊することにより医薬の吸収性を促進するといわれている。さらには、初期の報告は吸収性の悪い医薬をエナミンカルボン酸および界面活性剤とともに投与することによりその医薬の吸収性が高められることを指摘している。一方、中田らの特開昭 62-10020 号明細書には、HLB価11〜16に調製したショ糖脂肪酸エステルとカルシトニンよりなるトローチ剤バッカル錠舌下錠咀しゃく錠滴下剤水溶性ゲル製剤および口腔粘膜付着剤などの組成物が記載されている。

0009

しかしながら、上記のごとき多数の研究にもかかわらず、これらを応用した製剤は吸収性あるいは局所刺激性の点で充分満足のいくものとはいい難い。従って、年齢性別等の違いからくる患者間の生理学的・組織学的な差をも考慮にいれた、より安全性の高い、より高い吸収促進効果をもつ製剤が所望されている。

0010

本発明者らの特開平 01-294632 号明細書および特開平 03-99021 号明細書には、アルキルフェニルエーテルN-アシルアミノ酸コール酸類ペクチン酸タウリンサッカリングリチルリチンアスパルテームおよびそれらの塩、アルキルフェニルエーテル、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、中鎖脂肪族カルボン酸もしくはその塩類などの、 単独、または2種以上を吸収促進剤として用いた膣投与製剤が開示されている。閉経後女性においてはホルモン分泌の変化が明らかにされており、男性、壮年女性や幼児とは生理的機能が異なっていることは公知の事実である。また、膣においても膣内pHや粘膜厚など、生理学的・組織学的にも環境や構造が異なっている。上記製剤もこれらの点を考慮したものではあるが、閉経後の女性に対するさらに一層の配慮が必要とされる。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、これらの点に留意し、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、生理学的に活性なペプチドの注射によらない投与形態の開発段階で、有機酸単独配合の膣投与製剤やショ糖脂肪酸エステル単独配合の膣投与製剤は吸収を改善するものの、両者を組合せて配合した膣投与製剤の方がはるかに優れた吸収の改善を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、生理活性のあるペプチドに、少なくともショ糖脂肪酸エルテルと有機酸またはその薬学的に許容し得る塩とを配合したことを特徴とする高吸収性膣投与製剤を提供するものである。

0012

本発明に使用する生理学的に活性なペプチドとは分子量1万5千以下のペプチドをいう。該ペプチドの好ましい例示としては、インスリン、アンギオテンシンバソプレシンデスモプレシン、LH−RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)、ソマトスタチン、カルシトニン、グルカゴン、オキシトシン、ガストリンソマトメジンセクレチン、h-ANP(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)、ACTH副腎皮質刺激ホルモン)、MSH黒色素胞刺激ホルモン)、β-エンドルフィンムラミルジペプチドエンケファリンニューロテンシン(neurotensin)、ボンベシン(bombesin)、VIP(血管作用性小腸ペプチド)、CCK−8(コレシストキニン−8)、PTH副甲状腺ホルモン)、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)、TSH甲状腺刺激ホルモンエンドセリン(endothelin)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)およびこれらの誘導体が挙げられる。本発明に使用する種々のペプチドには、天然のペプチド自体のみならず、生理学的・薬理学的に活性な合成および半合成体を含む誘導体およびこれらの類似体も含まれる。例えば、本発明に使用しようとするカルシトニンには、サケカルシトニンヒトカルシトニンブタカルシトニン、ウナギカルシトニンおよびニワトリカルシトニンなどの天然物のみならず(Asu1.7)-ウナギカルシトニン、即ちエルカトニンの様な類似体もまた含まれる。本発明に使用するのに特に好ましいペプチドは、カルシトニンおよびPTHである。

0013

本発明の膣投与製剤中における生理学的に活性なペプチドの含有量は使用するペプチドの種類にもよるが、所望の薬効を示すに充分な量である。例えば、カルシトニンを選択したときは、ページェット病、高カルシウム血症または骨粗鬆症などの病的状態を治療するに充分な量である。PHT、CGRP、ソマトメジンまたはそれらの類似体の場合には、骨代謝の種々の異常を治療するのに充分な量が用いられる。インスリンの場合には、血糖レベルを調節し、糖尿病を治療するのに充分な量が用いられる。本発明で使用することのできる他の生理学的に活性なペプチドについても同様である。

0014

本発明において用いられるショ糖脂肪酸エステルはショ糖と1種または2種以上の脂肪酸エステルで、ショ糖1分子に脂肪酸が1分子結合したモノエステルから8分子結合したオクタエステルがあり、通常これらの混合物として使用される。一般には、シュガーエステルと呼ばれ、安全性の極めて高い添加物として、食品化粧品および医薬品中に添加剤として汎用されている。その結合脂肪酸としては、ステアリン酸パルミチン酸ラウリン酸オレイン酸などが挙げられる。それらショ糖脂肪酸エステルの具体例としては、ショ糖ステアリン酸エステルショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステルショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、およびショ糖エルカ酸エステルよりなる群から選ばれ、特にショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステルが挙げられる。これらを1種または2種以上用いる。その配合量は製剤全重量に対して 0.1 〜 30w/w %、好ましくは 0.5 〜15 w/w %である。

0015

本発明に用いられる有機酸としては、炭素数2〜6の飽和脂肪族カルボン酸不飽和脂肪族カルボン酸芳香族カルボン酸アスコルビン酸類、またはそれらの薬学的に許容し得る塩よりなる群より選ばれる。飽和脂肪族カルボン酸としては、一塩基酸オキシ酸および多価カルボン酸が挙げられる。一塩基酸の例示としては、酢酸プロピオン酸酪酸吉草酸カプロン酸などが挙げられる。オキシ酸の例示としては、リンゴ酸、乳酸酒石酸クエン酸などが挙げられる。多価カルボン酸としては、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸マロン酸グルタル酸アジピン酸などが挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、安息香酸フタル酸などが例示され、またアスコルビン酸類としてはアスコルビン酸イソアスコルビン酸などが挙げられる。これら有機酸のうち、特にクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、安息香酸が好ましい。これらを1種または2種以上用いる。その配合量は製剤全重量に対して 0.1 〜 20 w/w %、好ましくは 0.5 〜 10 w/w %である。これらの有機酸はクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸の名の如く、天然の植物や動物から発見されたものであり、広く天然に存在し、日常食物や飲料として摂取している。その安全性においては古来からの実証が何よりも証明している。また、医薬添加物としての実績もある。上述のように、本発明に用いるショ糖脂肪酸エステルと有機酸は安全性に関しても問題がなく、したがって、本発明の膣投与製剤はきわめて安全な製剤である。

0016

本発明の膣投与製剤には、必須不可欠の成分というのではないが、投与後ペプチドが吸収される過程に起るペプチドの酵素的分解を回避するために、および/または薬効成分であるペプチドまたはその誘導体が不安定な場合や配合処理で使用する容器の壁にペプチドが吸着される場合に、必要に応じて動物性タンパク質および/または植物性タンパク質を配合することができる。そのような動物性タンパク質および植物性タンパク質は、食用化粧用、または医薬用に供されているものが好ましい。動物性タンパク質の好ましい例としては、アルブミン(例えばウシ血清アルブミンヒト血清アルブミンなど)、レチシンカゼインおよびゼラチンなどが挙げられる。また植物性タンパク質の例としては、グルテンゼインダイズタンパク質レシチンなどが挙げられる。これら動物性タンパク質または植物性タンパク質をそれぞれ単独で用いてもよく、また両者を適当な割合で組合せて用いることもできる。本発明の膣投与製剤中に用いる動物性および/または植物性タンパク質の配合量は安定化しようとするペプチドにもよるが、一般に製剤全重量当り0.001 〜25 w/w %の範囲である。

0017

本発明の膣投与製剤の剤形としては、一般に、生理学的に活性なペプチド、有機酸とショ糖脂肪酸エステル、必要に応じて動物性タンパク質および/または植物性タンパク質からなる液状製剤ゲル剤(高粘性のものが好ましい)、坐剤フィルム剤錠剤軟カプセル剤タンポンクリーム剤などが含まれる。本発明の膣投与製剤の調製は、生理学的に活性なペプチド、有機酸とショ糖脂肪酸エステル、必要に応じて動物性タンパク質および/または植物性タンパク質を、直接混合、ないしは精製水または生理食塩水等に溶解ないしは混合し、得られた溶液または混合物を各種製剤にすることにより行うことができる。

0018

本発明の膣投与製剤の pH は膣内の pH にできるだけ近いことが好ましい。従って、有機酸を溶解するのに必要かつ最小限の希釈剤を用い、次いで塩基性薬剤有機酸溶液に加え、該溶液の pH が 3〜7、好ましくは 3〜5 の範囲になるように調製する。pH を調節するのに用いる薬剤は、調製した最終の溶液が人に対して毒性がなく、刺激を起こすこともなくなる公知の塩基またはそれらの塩であってよく、その好ましい例示としては、水酸化ナトリウム水酸化カリウム、および水酸化カルシウムのような塩基が挙げられる。次にこの溶液に生理学的に活性なペプチド、ショ糖脂肪酸エステル、必要に応じて動物性タンパク質および/または植物性タンパク質を加え、溶解ないしは混合する。高粘性のゲル製剤を得るには、必要に応じて公知の粘性増強剤を添加すればよい。粘性増強剤の例としては、セルロース低級アルコールエーテル、PVA(ポリビニルアルコール)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコールブロックコポリマー(PluronicTM)などを挙げることができる。

0019

本発明の膣投与製剤には、賦形剤等張剤、防腐剤酸化防止剤および着色剤などの1種または2種以上を添加してもよい。例えば、デンプンデキストリン、D-マンニトール、シクロデキストリンおよびトラガントなどの賦形剤;塩化ナトリウム塩化カリウム炭酸ナトリウムなどの等張剤;安息香酸、パラオキシ安息香酸メチルパラオキシ安息香酸プロピルなどのパラオキシ安息香酸エステル類ベンジルアルコールソルビン酸などの防腐剤;ブチルヒドロキシアニソール亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;β-カロチン食用赤色2号および食用青色1号などの着色剤を使用することができる。

0020

以下、実験例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0021

[実験例]
実験例 1 (ショ糖脂肪酸エステルと有機酸との組合せによるカルシトニンの吸収促進効果:ショ糖脂肪酸エステル単独、有機酸単独添加との比較)
ヒトカルシトニン2 mg を精し、クエン酸50 mg およびショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS-970)100 mg を加えよく混合した。この混合物にあらかじめ加温・攪拌して均質化したウイテプゾールS-55(ウイテプゾールE-85を最終膣坐剤溶融温度が 36.5℃になるように組成比を調製したもの)(ダイナミットノーベル社(現、ヒルス社)製)を膣坐剤全重量が5.00 g となるように加え、約 40℃でホモジナイザーを用いて充分に分散し、均質な膣坐剤用組成物を得た。これを約40℃で、内径約 3 mm のテフロンチューブ流し込み、冷却固化せしめた後、チューブから取り出し、約 50 mg ずつに切断して1個当り20μg のヒトカルシトニンを含有するラット用膣坐剤を得た。同様に操作して、クエン酸だけを添加した膣坐剤およびショ糖脂肪酸エステルだけを添加した同様な膣坐剤2種類を得た。同様に操作して、クエン酸およびショ糖脂肪酸エステルを含まないヒトカルシトニン含有膣坐剤を作製し、対照とした。一夜絶食させた体重約 200 〜 250 g の卵巣摘出したWistar系雌ラットエーテル麻酔し、投与前に右頸静脈より必要量採血した。膣坐剤を膣内に投与した後、経時的(2,4および6時間後)に採血した。血清分離後、血清中カルシウム濃度をカルシウム測定キット(カルシウムCテストワコー;和光純薬(株)製)を用いて測定した(n=3)。

0022

その結果を第1表に示す。第1表から明らかなように、血清中のカルシウム値低下率の変化をみると、ショ糖脂肪酸エステルまたはクエン酸の単独使用に比べ、両者を組合せた方がカルシトニンの吸収促進効果がはるかに優れていることが示された。

0023

第 1 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

膣坐 剤投与後の時間
主 薬 添加した化合物2 4 6
ショ糖脂肪酸エステル(S-970)及び 14.9 19.5 11.1
クエン酸
ヒトカルシトニンショ糖脂肪酸エステル(S-970)のみ 10.6 10.5 10.7

クエン酸のみ 9.5 8.0 5.7

対 照 2.6 2.2 3.8

0024

実験例 2 (各種基剤のショ糖脂肪酸エステルと有機酸との組合せによるカルシトニンの吸収促進効果に及ぼす影響)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、クエン酸50 mg およびリョートーシュガーエステルS970 100 mg を加えよく混合した。この混合物にあらかじめ加温・攪拌して均質化した下記の各基剤(実験例1と同様、溶融温度を調整したもの)を膣坐剤全重量が 5.00 g となるように加え、約 40℃でホモジナイザーを用いて充分に分散し、均質な膣坐剤用組成物を得た。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg のヒトカルシトニン 20μg を含有するラット用膣坐剤5種類を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2,4および6時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=4)。
基 剤
1.ウイテプゾールH-15
2.ウイテプゾールW-35
3.ウイテプゾールS-55
4.ファーマゾールB-105
5.カカオ脂
(注:ファーマゾール;日本油脂(株)社製)

0025

結果を第2表に示す。第2表に示すように、ショ糖脂肪酸エステルとクエン酸との組合せは、いずれの基剤を用いても顕著な吸収促進効果を示し、その効果は基剤の種類には影響されないことが明らかとなった。

0026

第 2 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主 薬 使用した基剤投与後の時間(hr)
2 4 6
ウイテプゾールH-15 16.8 17.7 10.4
ヒトカルシトニンウイテプゾールW-35 6.6 20.4 13.2
ウイテプゾールS-55 16.5 22.5 13.0
ファーマゾールB-105 13.4 14.8 10.6
カカオ脂12.5 10.7 8.3

0027

実験例 3 (各種ショ糖脂肪酸エステルの有機酸との組合せによるカルシトニンの吸収促進効果に及ぼす影響)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、クエン酸50 mg および下記のHLB価の異なる各種ショ糖脂肪酸エステル(表A)100 mg を加え、よく混合した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg の ヒトカルシトニン 20μgを含有するラット用膣坐剤6種類を得た。同様にして、下記のHLB価が同一で結合脂肪酸の異なる各種ショ糖脂肪酸エステルを調製し(表B),それらの各 100 mg を用いて同様なラット用膣坐剤4種類を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2,4および6時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=4)。

0028

表A
ショ糖脂肪酸エステルHLB価結合脂肪酸
1.リョートーシュガーエステルS-370 3ステアリン酸
2. 〃 S-570 5 〃
3. 〃 S-770 7 〃
4. 〃 S-970 9 〃
5. 〃 S-1670 16 〃
6. 〃 L-1695 16 ラウリン酸

0029

表B
ショ糖脂肪酸エステル(HLB価:9)組成比結合脂肪酸
1.リョートーシュガーエステルS-370+S-1670 (5:6)ステアリン酸
2. 〃 P-070+P-1670 (4:5)パルミチン酸
3. 〃 L-595+L-1695 (3:2)ラウリン酸
4. 〃 S-970 (対 照) ステアリン酸

0030

結果を第3表および第4表に示す。第3表および第4表に示すようにショ糖脂肪酸エステルとクエン酸との組合せによる顕著な吸収促進効果は、使用するショ糖脂肪酸エステルのHLB価にも、また結合脂肪酸の種類にも影響されないことが明らかとなった。

0031

第 3 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主 薬ショ糖脂肪酸エステルHLB価結合脂肪酸投与後の時間(hr)
2 4 6
リョートーシュカ゛ーエステル(S-370) 3ステアリン酸13.4 18.2 11.4
〃 (S-570) 5 〃 12.8 17.2 12.0
〃 (S-770) 7 〃 13.6 14.8 11.8
ヒトカルシトニン〃 (S-970) 9 〃 12.2 17.4 11.8
〃 (S-1670) 16 〃 11.4 16.4 12.6
〃 (L-1695) 16ラウリン酸12.8 13.4 11.4

0032

第 4 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主 薬ショ糖脂肪酸エステルHLB価結合脂肪酸投与後の時間(hr)
リョートーシュカ゛ーエステル組成比2 4 6
S-370+S-1670 5:6 9ステアリン酸6.9 15.3 12.3
ヒトカルシトニンP-070+P-1670 4:5 9 ハ゜ルミチン酸 8.2 17.3 13.8
L-595+L-1695 3:2 9ラウリン酸11.0 14.4 9.7
S-970 1:0 9 ステアリン酸 6.3 11.6 11.0

0033

実験例 4 (ショ糖脂肪酸エステル濃度のカルシトニン吸収促進効果に及ぼす影響)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、クエン酸100 mg およびリョートーシュガーエステルS-970をそれぞれ 50 mg、 100 mg、および 400 mg ずつ加え、よく混合した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg の ヒトカルシトニン 20μg を含有する3種類のラット用膣坐剤を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2および4時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=3)。結果を第5表に示す。第5表から明らかなように、ショ糖脂肪酸エステルとクエン酸との組合せによる吸収促進効果は、ショ糖脂肪酸エステルのいずれの添加濃度でも著明な血中カルシウム値の低下を示した。

0034

第 5 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主 薬 添加したショ糖脂肪酸エステルの量投与後の時間(hr)
(膣坐剤換算:W/W %) 2 4
1 10.8 16.5


ヒトカルシトニン2 8.0 18.2
8 21.8 17.5

0035

実験例 5 (ショ糖脂肪酸エステルと各種有機酸との組合せによるカルシトニンの吸収促進効果)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、pH 4 に調製した下記の各種有機酸 50 mgを含む水溶液に溶解した後、リョートーシュガーエステルR-970 100 mg を加え、よく混合した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg のヒトカルシトニン 20μg を含有するラット用膣坐剤4種類を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2,4および6時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=5)。
有 機 酸
1.クエン酸
2.酒石酸
3.乳酸
4.リンゴ酸
結果を第6表に示す。第6表から明らかなように、いずれの有機酸を用いても著明な血中カルシウム値の低下を示した。

0036

第 6 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主薬使用した有機酸投与後の時間(hr)
2 4 6
ク エ ン 酸 11.4 19.6 8.4
ヒトカルシトニン酒 石 酸 12.2 8.0 3.4
乳 酸 17.0 10.6 5.4


リ ン ゴ 酸 18.6 13.0 7.0

0037

実験例 6 (有機酸濃度のカルシトニン吸収促進効果に及ぼす影響)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、pH 3.5 に調製したクエン酸50 mg を含む水溶液700 mg、クエン酸 100 mg を含む水溶液 750 mg、クエン酸 250 mg を含む水溶液 900 mg、およびクエン酸 500 mg を含む水溶液 1150 mg にそれぞれ溶解した後、リョートーシュガーエステルS-970 100 mg を加え、よく混合し均一化した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg の ヒトカルシトニン 20μg を含有する4種類のラット用膣坐剤を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2、4および6時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=3)。結果を第7表に示す。第7表から明らかなように、ショ糖脂肪酸エステルとクエン酸との組合せによる吸収促進効果は、いずれのクエン酸添加濃度でも著明な血中カルシウム値の低下を示した。

0038

第 7 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

主 薬 添加した有機酸の量投与後の時間 (hr)
(膣坐剤換算:W/W %) 2 4 6
1 14.6 15.7 9.2
ヒトカルシトニン2 15.3 18.7 8.2
5 17.9 19.4 7.5
10 18.4 19.0 5.0

0039

実験例 7 (膣坐剤中の溶液の pH がカルシトニン吸収促進効果に及ぼす影響)
ヒトカルシトニン2 mg を精秤し、クエン酸100 mg を含む pH 3.0、3.5、4.0、4.5、5.0 および 5.5 に調製した水溶液にそれぞれ溶解した後、リョートーシュガーエステルS-970 100 mg を加え、よく混合し均質化した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg のヒトカルシトニン 20μg を含有するラット用膣坐剤6種類を得た。実験例1と同じ方法で各膣坐剤をラット膣内に投与し、経時的(2,4および6時間後)に採血を行い、血清中のカルシウム濃度を測定した(n=3)。結果を第8表に示す。この結果から、ショ糖脂肪酸エステルとクエン酸との組合せによる吸収促進効果は、pH3.0 〜 5.5 の範囲で認められ、特に pH 3.0 〜 4.5 の間ではその効果にほとんど差がないことが明らかとなった。

0040

第 8 表
血清中のカルシウム値の低下率(%)

膣坐剤中の投与後の時間(hr)
溶液のpH 2 4 6
3.0 11.0 22.0 8.7
3.5 9.4 19.8 8.8
4.0 9.4 20.2 10.2
4.5 9.5 22.8 9.1
5.0 10.2 11.4 2.7
5.5 8.1 13.2 4.3

0041

実験例 8 (ビーグル犬におけるカルシトニン膣坐剤の投与実験:クロスオーバー試験
エルカトニン4 mg を精秤し、pH 3.2 に調製したクエン酸0.5 g を含む水溶液2.5gに溶解した後、リョートーシュガーエステルS-970 1.0 g を加えよく混合した。この混合物にあらかじめ加温・攪拌して均質化したウイテプゾールS-55(実験例1と同様、溶融温度を調整したもの)を膣坐剤全重量が 50.0 g となるように加え、約 40℃でホモジナイザーを用いて充分に分散し、均質な膣坐剤用組成物を得た。これを約 40℃で、市販の坐剤用プラスチック製コンテナー(0.9 ml;(株)カナエ製)に約 0.5 g になるように充填し、冷却固化せしめて1個当り40μg のエルカトニンを含有するビーグル犬用膣坐剤を得た。一夜絶食させた体重約 10 〜 12 kg の卵巣を摘出した雌ビーグル犬を用い、投与前にその前腕静脈より、必要量採血した。上記の摘ビーグル犬を2群(1群3匹)に分け、1群に上記膣坐剤を膣内に、他の1群には 1 ml 当り 8μg のエルカトニンを含む注射剤(エルシトニン;旭化成工業(株)製)を筋肉内に投与した後、経時的(10,20,30,45,60,90,120,180 および 240 分後)に採血した。血漿分離後、血漿中のエルカトニン濃度をRIA法で測定した。ついで、各群の投与方法入れ替え、前者には筋肉内注射を、後者には膣坐剤を投与し、同様にして、血漿中のエルカトニン濃度を測定した。

0042

その結果を第9表および第1図に示す。第9表および第1図から明らかなように、血漿中のエルカトニン濃度の変化をみると、上記のショ糖脂肪酸エステルとクエン酸とを組合せて配合した膣坐剤は筋肉内投与とほぼ同等のエルカトニンの血漿中濃度推移を示した。従って、本発明による膣投与製剤の場合、筋肉内投与の 約 5 倍量で同等の結果が得られるという、極めて優れた結果を得ることができた。

0043

第9表
血漿中のエルカトニンの濃度(pg/ml)

投与剤 形 エルカトニン 投与後の時間(min)


部位 投与量 10 20 30 45 60 90 120 180 240
筋肉内注射剤8 μg 315 368 337 255 165 82 50 16 -4
膣膣坐剤40 μg 158 363 370 363 231 128 76 36 -10

0044

実験例 9 ((1-34))-酢酸テリパラチド(PTH)膣坐剤のラット投与実験)
(1-34)-酢酸テリパラチド(旭化成工業(株)製)2 mg を精秤し、クエン酸50mg および、リョートーシュガーエステルS-970 100 mg を加え、よく混合し均質化した。以下、実験例1と同様に操作して1個の重量が 50 mg の酢酸テリパラチド 4μg を含有するラット用膣坐剤を得た。一夜絶食させた体重約 200 〜 250 g の卵巣を摘出したWistar系雌ラットにエーテル麻酔し、投与前に右頸静脈より必要量採血した。上述の卵摘ラットを2群(1群3匹)に分け、1群に上記膣坐剤を膣内に、他の1群には1 ml当り3 μg のPTHを含む注射剤(酢酸テリパラチドを 1 mlの滅菌生理食塩水に溶かしたもの)0.2 ml を筋肉内に投与した後、経時的(30,60,120および240分後)に採血を行い、血漿中のPTH濃度をPTH測定キット(INS-PTHキットエコルス社製)を用いて測定した。その結果を第10表に示す。第10表から明らかなように、血漿中のPTH濃度の変化をみると、ショ糖脂肪酸酸エステルと有機酸とを組合せて配合した膣坐剤は、実験例8のエルカトニンの場合と同様、約 6 倍量で、筋肉内投与とほぼ同等の血漿PTH濃度推移を示した。

0045

第10表
血漿中のPTHの濃度(pg/ml)

投与剤 形 PTH 投与後の時間(hr)
部位 投与量 30 60 120 240
筋肉内注射液0.6μg 530 298 136 21
膣膣坐剤4.0μg 575 437 170 87

0046

実施例 1 (膣投与坐剤の調製)
坐剤を調製するには、ウイテプゾール(Witepsol)、マクロゴールグリセロゼラチンなどの公知の坐剤基剤を用いることができる。生理学的に活性なペプチドを含有する液状ないしはペースト調製物を適当な温度(坐剤基剤に適当な流動性を与えるのに充分な最低温度)で機械的な混合装置(ホモジナイザー、ミキサーなど)を用いて坐剤基剤と充分に混合して均質化し、坐剤型枠に注入した後、冷却させる。下記処方に従い、実験例5に準じて膣投与用坐剤を調製した。尚、型枠は坐剤用プラスチックコンテナー(0.9 ml)を使用した。

0047

処方1.
エルカトニン0.004 g
クエン酸0.5 g
水酸化ナトリウム溶液2.0 g
ショ糖脂肪酸エステル1.0 g
ウィテプゾール 適 量
全 量 50.0 g(100 個分)

0048

処方2.
ヒトカルシトニン0.002 g
コハク酸0.05 g
水酸化ナトリウム溶液0.6 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
ウシ血清アルブミン(BSA) 0.015 g
p-オキシ安息香酸ブチル0.001 g
ウィテプゾール 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)
下記処方に従い、実験例1に準じて膣投与用坐剤を調製した。型枠は、実施例1と同様、坐剤用プラスチックコンテナー(0.9 ml)を使用した。

0049

処方1.
ヒトカルシトニン0.002 g
フタル酸0.05 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
ウィテプゾール 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)

0050

処方2.
サケカルシトニン0.002 g
フマル酸0.5 g
ショ糖脂肪酸エステル1.0 g
ウィテプゾール 適 量
全 量 50.0 g(100 個分)

0051

処方3.
インスリン1,000 I.U.
p−ヒドロキシ安息香酸0.05 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
ウィテプゾール 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)

0052

実施例 2 (膣投与錠剤の調製)
錠剤を調製するには、生理学的に活性なペプチドを含有する液状またはペースト状調製物を充填剤結合剤崩壊剤などの適当な添加剤とともに充分に混合し、次いで乾燥させ、必要ならば滑沢剤などの他の添加剤を加える。最終の混合物を打錠機により打錠して錠剤にすることができる。なお、非崩壊性錠剤剤型の場合には、本発明の経膣投与用製剤のために膣中でヒドロゲルを生成することの可能な基剤が必要である。そのような基剤の例としては、グルコマンナンアルギン酸およびそのカルシウム塩ペクチンヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。崩壊性錠剤では速効効果が得られるが、非崩壊性錠剤では通常、徐放性の効果が得られる。下記処方に従い、常法により膣投与用錠剤を調製した。

0053

処方1.
エルカトニン0.004 g
吉草酸0.5 g
水酸化ナトリウム溶液2.0 g
ショ糖脂肪酸エステル1.0 g
CMC・Na 1.0 g
コーンスターチ15.0 g
乳 糖 適 量
全 量 50.0 g(100 個分)

0054

処方2.
ヒトPTH0.002 g
アスコルビン酸0.05 g
水酸化ナトリウム溶液0.2 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
CMC・Na 0.1 g
コーンスターチ1.5 g
乳 糖 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)

0055

実施例 3 (膣投与発泡錠の調製)
実施例2の膣投与錠剤の調製に於て、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸剤を添加剤として用い、有機酸を相当量増して発泡錠とすることもできる。下記処方に従い、常法により膣投与用発泡錠を調製した。

0056

処方1.
ヒトカルシトニン0.004 g
プロピオン酸0.05 g
水酸化ナトリウム溶液0.2 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
クエン酸0.5 g
CMC・Na 0.1 g
コーンスターチ1.0 g
炭酸水素ナトリウム0.5 g
ステアリン酸Mg 0.25 g
乳 糖 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)

0057

処方2.
インスリン1,000 I.U.
乳酸0.05 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
クエン酸0.5 g
CMC・Na 0.1 g
コーンスターチ1.0 g
炭酸水素ナトリウム0.5 g
ステアリン酸Mg 0.25 g
乳 糖 適 量
全 量 5.0 g(10 個分)

0058

実施例 4 (膣投与クリーム剤の調製)
クリーム剤を調製する場合には、本発明の組成にしたがって油中水型クリーム剤および水中油型クリーム剤の両方を調製することができる。下記処方に従い、常法により膣投与用クリームを調製した。

0059

処方3.
インスリン1,000 I.U.
フマル酸0.05 g
水酸化ナトリウム溶液0.2 g
ショ糖脂肪酸エステル0.1 g
白色ワセリン1.25 g
ステアリルアルコール1.0 g
PG0.5 g
モノステアリン酸グリセリン0.25 g
p-ヒドロキシ安息香酸メチル0.005 g
精製水適 量
全 量 5.0 g(10 回分)

0060

処方2.
エルカトニン0.004 g
酒石酸0.5 g
水酸化ナトリウム溶液2.0 g
ショ糖脂肪酸エステル1.0 g
白色ワセリン12.5 g
ステアリルアルコール10.0 g
PG5.0 g
モノステアリン酸グリセリン2.5 g
p-ヒドロキシ安息香酸メチル0.05 g
BSA 0.15 g
精製水適 量
全 量 50.0 g(100 回分)

0061

その他の製剤の製法として、以下の様なものが挙げられる。フィルム剤を調製するには、上記液状ないしはペースト状調製物をヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサンプルラン(pullulan)、グルコマンナン(glucomannan)、ポリアクリレートエステルなどのフィルム基剤とともに充分に攪拌して均質化し、次いで均質な混合物をキャスティングし、蒸発(乾燥)させて製造する。軟カプセル剤を調製するには、生理学的に活性なペプチドを含有する油性の調製物もしくはポリエチレングリコール調製物を軟カプセル殻中に封入すればよい。タンポン型の用具を調製するには、種々の方法が考えられる。典型的な方法は次のようにして行う。即ち、シリコーン樹脂のタンポン形状コアを、生理学的に活性なペプチドを含有するキトサンやポリアクリレートメタクリレートコポリマーのようなポリマーフィルム被覆させればよい。

発明の効果

0062

生理学的に活性なペプチドは経口投与した場合、タンパク質分解酵素の分解を受け、充分に吸収されず、所望の薬効が発揮されない。そのため、これらのペプチドはもっぱら注射によって投与されている。本発明の少なくとも有機酸とショ糖脂肪酸エステルとを組合せて配合した膣投与製剤によれば、難吸収性のペプチドが少量で、また少量のショ糖脂肪酸エステルと有機酸の添加によって、極めて高い吸収が得られる。従って、本発明の膣投与製剤を用いれば、従来注射でしか得られなかったような効果を、投与時の苦痛も少なく、容易に得ることができる。特に、頻繁に投与を必要とする慢性疾患にも、本発明の膣投与製剤を用いれば患者自ら容易に投与でき、自宅療法を可能にするものである。以上述べた如く、本発明の膣投与製剤は、従来の注射剤の欠点を克服し得る製剤として極めて意義あるものである。

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