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概要
背景
モノグリセリド硫酸塩はその分子構造中に脂肪酸およびグリセリン骨格を有し、低刺激性、かつ生分解性に優れた洗浄基剤として有用であり、さらに、近年の世界的な天然アルコールの増産に伴って副生するグリセリンの有効利用といった点からも注目を集めている。
モノグリセリド硫酸塩は公知であり、化粧品原料基準外成分規格、いわゆる粧外規収載の化合物であるが、その製造法については十分に検討されているとは言い難い。すなわち、モノグリセリド硫酸塩の製造法としては、油脂と2モル倍のグリセリンとを大過剰の硫酸で硫酸化する方法(ドイツ特許第702598号、ドイツ特許第689511号) 、α−モノグリセリドを適当な硫酸化剤で硫酸化する方法(米国特許第2023387 号、特公昭58−52989 号公報)、グリセリンの硫酸化を行いグリセリントリ硫酸化物を得、次いでエステル化を行う方法(米国特許第2868812 号、米国特許第4832876 号) 等が知られている。
しかしながら、いずれの文献に記載の方法においても不思議なことに理論量よりも過剰量の硫酸化剤を必要とし多量の無機硫酸塩が生成すること、酸性条件下におけるエステル基の好ましくない転移、加水分解が起こりグリセリン、ジグリセリド、トリグリセリドの副生を伴うことから、溶媒抽出、洗浄といった精製工程が不可欠となると共に目的物であるモノグリセリド硫酸塩の収率が低いため製造コストの上昇を避けることができない。
さらに、α−モノグリセリドを硫酸化する方法においては、エステル基の転移や加水分解を避けるためより温和な硫酸化剤の使用も種々試みられている。例えば、特開昭54−5919号公報では、スルファミン酸、J. Am. Oil Chemists' Soc.,37巻, p.171(1960年) では過剰量の三酸化イオウ・ピリジン錯体が使用されている。また、特開昭63−135367号公報には三酸化イオウによる硫酸化をアミン溶媒中で行うことが提案されている。しかし三酸化イオウ・アミン錯体は温和な硫酸化剤であるがこの場合には反応性に乏しく、また、アミンに特有の匂い、着色の除去が困難であるという欠点があり工業化に適しているとはいい難い。
概要
工業的に利用できる、安価で、副生物も少なく、効率のよいモノグリセリド硫酸塩の製造方法を提供する。
一般式(1) で示されるα−モノグリセリドに硫酸化剤を反応させ、次いで塩基性物質で中和して一般式(2) で示されるモノグリセリド硫酸塩を製造するに際し、硫酸化時の溶媒として、アミド基又はスルホキシド基を有する溶媒を用いる。
X はH 又は -SO3M、M はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム又はアルカノールアンモニウムを示す。)
目的
本発明は、工業的に利用できる、安価で、副生物も少なく、効率のよいモノグリセリド硫酸塩の製造方法の提供を目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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請求項1
一般式(1)
請求項
請求項
ID=000004HE=050 WI=120 LX=0450 LY=1000M はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム又はアルカノールアンモニウムを示す。)で示されるモノグリセリド硫酸塩を製造するに際し、硫酸化時の溶媒として、アミド基又はスルホキシド基を有する溶媒を用いることを特徴とするモノグリセリド硫酸塩の製造方法。
請求項2
請求項
ID=000005HE=045 WI=057 LX=0315 LY=2050(式中、R1,R2, R3, R4及びR5は同一又は異なって H又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。なお、R1とR3、R2とR3、R4とR5が一緒になって環を形成していてもよい。)
請求項3
アミド基を有する溶媒が N−メチルホルムアミド、 N,N−ジメチルホルムアミド、 N,N−ジメチルアセトアミド、 N−メチルピロリドン、 N,N−ジメチルラウリルアミド又は N,N−ジメチルイミダゾリジノンであり、スルホキシド基を有する溶媒がジメチルスルホキシドである請求項1記載のモノグリセリド硫酸塩の製造方法。
請求項4
請求項5
技術分野
背景技術
0002
モノグリセリド硫酸塩はその分子構造中に脂肪酸およびグリセリン骨格を有し、低刺激性、かつ生分解性に優れた洗浄基剤として有用であり、さらに、近年の世界的な天然アルコールの増産に伴って副生するグリセリンの有効利用といった点からも注目を集めている。
0003
モノグリセリド硫酸塩は公知であり、化粧品原料基準外成分規格、いわゆる粧外規収載の化合物であるが、その製造法については十分に検討されているとは言い難い。すなわち、モノグリセリド硫酸塩の製造法としては、油脂と2モル倍のグリセリンとを大過剰の硫酸で硫酸化する方法(ドイツ特許第702598号、ドイツ特許第689511号) 、α−モノグリセリドを適当な硫酸化剤で硫酸化する方法(米国特許第2023387 号、特公昭58−52989 号公報)、グリセリンの硫酸化を行いグリセリントリ硫酸化物を得、次いでエステル化を行う方法(米国特許第2868812 号、米国特許第4832876 号) 等が知られている。
0004
しかしながら、いずれの文献に記載の方法においても不思議なことに理論量よりも過剰量の硫酸化剤を必要とし多量の無機硫酸塩が生成すること、酸性条件下におけるエステル基の好ましくない転移、加水分解が起こりグリセリン、ジグリセリド、トリグリセリドの副生を伴うことから、溶媒抽出、洗浄といった精製工程が不可欠となると共に目的物であるモノグリセリド硫酸塩の収率が低いため製造コストの上昇を避けることができない。
0005
さらに、α−モノグリセリドを硫酸化する方法においては、エステル基の転移や加水分解を避けるためより温和な硫酸化剤の使用も種々試みられている。例えば、特開昭54−5919号公報では、スルファミン酸、J. Am. Oil Chemists' Soc.,37巻, p.171(1960年) では過剰量の三酸化イオウ・ピリジン錯体が使用されている。また、特開昭63−135367号公報には三酸化イオウによる硫酸化をアミン溶媒中で行うことが提案されている。しかし三酸化イオウ・アミン錯体は温和な硫酸化剤であるがこの場合には反応性に乏しく、また、アミンに特有の匂い、着色の除去が困難であるという欠点があり工業化に適しているとはいい難い。
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は、工業的に利用できる、安価で、副生物も少なく、効率のよいモノグリセリド硫酸塩の製造方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
0007
本発明者らは、モノグリセリド硫酸塩の製造方法について鋭意検討した結果、α−モノグリセリドを硫酸化する際、特定の溶媒を用いることにより、必要最少量の硫酸化剤で、硫酸ナトリウム等の無機塩、及び未反応油分の副生がほとんどなく、精製操作なしにそのまま商品用途に供することのできるモノグリセリド硫酸塩を製造することができることを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明は、一般式(1)
0008
0010
0011
M はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム又はアルカノールアンモニウムを示す。)で示されるモノグリセリド硫酸塩を製造するに際し、硫酸化時の溶媒として、アミド基又はスルホキシド基を有する溶媒を用いることを特徴とする、高品質で安価なモノグリセリド硫酸塩の製造方法を提供するものである。
0012
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。本発明においては、α−モノグリセリドをアミド基又はスルホキシド基含有溶媒中において硫酸化剤により硫酸化し、酸型のモノグリセリド硫酸を得、これを中和して目的とするその塩を得る。このような本発明の反応の一例の概略を式で示せば下記反応式1の様である。
0013
0014
本発明の硫酸化においてはその反応溶媒が重要である。すなわち、分子内にアミド基又はスルホキシド基を有する溶媒以外の溶媒中で硫酸化を行った場合にはアミド基又はスルホキシド基含有溶媒中における硫酸化のような良好な結果は得られない。本発明に用いられるアミド基又はスルホキシド基を有する溶媒としてはアミド基又はスルホキシド基を有するものであればいずれでもよいが、好ましくは一般式(3) で示されるアミド化合物又は一般式(4) で示されるスルホキシド化合物
0015
0016
(式中、R1,R2, R3, R4及びR5は同一又は異なって H又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。なお、R1とR3、R2とR3、R4とR5が一緒になって環を形成していてもよい。)が挙げられ、より好ましくは、アミド化合物としてN −メチルホルムアミド、 N,N−ジメチルホルムアミド(DMF) 、N,N −ジメチルアセトアミド(DMA) 、 N−メチルピロリドン、 N,N−ジメチルラウリルアミド、 N,N−ジメチルイミダゾリジノン等、スルホキシド化合物としてジメチルスルホキシド等を挙げることができ、特に好ましくは N,N−ジメチルホルムアミド(DMF) である。
0017
アミド基又はスルホキシド基含有溶媒以外の溶媒としてはまず硫酸化反応に用いられる最も一般的なものとしてハロゲン化炭化水素系の溶媒、具体的にはクロロホルム、塩化メチレン等が考えられるが、これらの溶媒を用いて硫酸化を行った場合には、過剰量の硫酸化剤を必要とし、酸性条件下におけるエステル基の好ましくない転移、加水分解が起こり多量の油脂分が副生するため、目的とするモノグリセリド硫酸塩の純度、収率は共に著しく低下する。
0018
また、前述の如く溶媒としてアミンを用いることも考えられるが三酸化イオウやクロロスルホン酸等の硫酸化剤とアミンとの混合により生成する錯体は安定で硫酸化能に乏しく本発明の硫酸化に用いる溶媒としては好ましくない。その他、硫酸化反応の溶媒としてはエーテル系の溶媒が考えられるが、この場合にもハロゲン化炭化水素系の溶媒と同様、エステル基の好ましくない転移、加水分解が起こり、目的とするモノグリセリド硫酸塩の純度、収率が共に著しく低下するので好ましくない。
0019
これに対し、本発明のアミド基又はスルホキシド基含有溶媒中におけるα−モノグリセリドの硫酸化反応においてはエステル交換等の副反応なしに硫酸化反応が定量的に進行し、必要最少量の硫酸化剤で、硫酸ナトリウム等の無機塩、及び油分の副生がほとんどなく、精製操作なしにそのまま商品用途に供することのできるモノグリセリド硫酸塩の製造が可能である。
0020
また、本発明の硫酸化反応の条件下では、モノグリセリドモノ硫酸及びモノグリセリドジ硫酸が生成し、その中和によって対応する硫酸塩が得られる。モノ硫酸塩とジ硫酸塩の比率は原料のα−モノグリセリドと硫酸化剤の比率により調整できるが、モノグリセリドジ硫酸を含む反応混合物を昇温、熟成することにより、モノグリセリドジ硫酸をモノグリセリドモノ硫酸に変換することもできる。これを利用すれば、中和物中のモノ硫酸塩/ジ硫酸塩比率を自由に選択することができる。これは、J. Am. Chem. Soc., 81 巻、p.1620(1959年)に記載されているように、硫酸の脱離にアシル基が関与しているためと考えられる(以下の反応式2参照)。
0021
0022
本発明の硫酸化反応のこの様な利点は、アミド基又はスルホキシド基含有溶媒が硫酸化剤と錯体を形成することによって硫酸化条件が温和となることに加え、硫酸化により生成する硫酸エステルや硫酸を中和することにより、反応系内の遊離酸を捕捉する効果があるためと考えられる。すなわち、硫酸化剤と錯体を形成する傾向はアミドよりもアミン、エーテルの方が強いにもかかわらず、アミド基又はスルホキシド基含有溶媒を用いた場合にのみ本発明の硫酸化が可能である。
0023
本発明の硫酸化反応に用いる硫酸化剤としては公知のものいずれを用いてもよいが、反応性の点より好ましくは三酸化イオウ、クロロスルホン酸、発煙硫酸等であり、三酸化イオウが最も好ましい。用いる硫酸化剤の量は原料のα−モノグリセリドに対して 0.3〜3.0モル倍が好ましく、0.5 〜2.0 モル倍が更に好ましい。なお、ジグリセリド等を含む混合物を原料として用いる場合にはその混合物の水酸基価を基に補正すればよい。過剰の硫酸化剤の使用は不必要であるばかりでなく、中和物中の無機硫酸塩含量の増加を招くため好ましくない。
0024
本発明の硫酸化反応の反応温度は−20℃から80℃、好ましくは0℃から60℃である。また、前述した様に生成するモノグリセリド硫酸塩中のモノグリセリドモノ硫酸塩とモノグリセリドジ硫酸塩の組成比を変化させたい場合には、モノグリセリドに対する硫酸化剤の比率を調整する他、反応温度の調整により行うことが出来る。すなわち、低温側(−20〜20℃)の反応温度でモノグリセリドジ硫酸塩が、逆に高温側(20〜80℃)の反応温度でモノグリセリドモノ硫酸塩が優勢に生成する。
0025
本発明の硫酸化反応の反応時間は、反応温度、硫酸化剤の強さにより変化するが一般的には数時間、好ましくは 0.1から5時間で十分である。本発明の出発物質である一般式(1) で表されるα−モノグリセリドにおいて、
0026
0027
混合、あるいは単一組成のいずれでもよく、具体的にはやし油脂肪酸残基、パーム油脂肪酸残基、パーム核油脂肪酸残基、牛脂脂肪酸残基あるいはそれらの硬化脂肪酸残基等、あるいはそれらの脂肪酸残基を構成する単一脂肪酸残基、即ち、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等の残基、又はそれらの混合脂肪酸残基が挙げられる。
0028
また、α−モノグリセリドの中に、α−モノグリセリド製造上の副生物であるβ−モノグリセリド、あるいはジグリセリド、トリグリセリドが含有されていても硫酸化反応には支障ない。また、硫酸化生成物中にそれらの成分に由来する構造の硫酸化物が含有されていても全く差し支えない。
0029
本発明において中和反応に用いられる塩基性物質としては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等や、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミンが挙げられるが、好ましくはNaOH、KOH 、Na2CO3、NaHCO3であり、特にNaOH、KOH が好ましい。
0030
上記硫酸化反応終了後、塩基性物質を好ましくは高濃度の水溶液として添加して中和し、更に溶媒を除去すれば目的物が得られる。以上記載の本発明の方法により得られたモノグリセリド硫酸塩は少量の無機塩等を含んでいるが、用途によってはそのまま使用出来るなど高純度のものである。しかし要すれば、再結晶、電気透析、溶媒抽出等の方法により精製すればより高純度のものが得られる。
発明の効果
0031
本発明の製造法により、従来の技術と比較して少量の硫酸化剤を用い、硫酸ナトリウム等の無機塩、及び未反応油分の副生がほとんどなく、精製操作なしにそのまま商品用途に供することのできるモノグリセリド硫酸塩を製造することができる。
0032
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、例中の反応生成物の組成は、モノグリセリドジ硫酸塩、モノグリセリドモノ硫酸塩及びモノグリセリドについては液体クロマトグラフィーにより、脂肪酸及び石鹸は酸価の分析により、ジグリセリド及びトリグリセリドはエーテル可溶分の量から、硫酸ナトリウムは灰分の量から決定した。
0033
実施例1
液体SO3 240 g(3モル、α−モノラウリンに対し 1.2モル倍)を10℃で N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1700gに滴下し、三酸化イオウ・DMF錯体を含むDMF溶液を調製した。α−モノラウリン 686g(2.5モル)とDMF 1kgを10℃で攪拌した。その中へ先ほどの三酸化イオウ・DMF 錯体を含む DMF溶液を10℃に保ちながら40分で滴下した。滴下終了後、30℃で1時間熟成した。反応混合物を氷水3.5kgに注ぎ反応を停止した。35%水酸化ナトリウム水溶液390g(3.41モル)で中和した後、溶媒を留去してα−モノラウリン硫酸塩1kgを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表1に示す。
0034
実施例2
N,N−ジメチルアセトアミド(DMA) 240g中でα−モノラウリン68.6g(0.25モル)を攪拌した。0℃で SO3・空気混合ガス(SO3 濃度、 4.4体積%)を吹き込んだ。1時間で0.33モル(α−モノラウリンに対し1.3モル倍)のSO3 を吹き込んだ。40℃に昇温した後、さらに1時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、25%水酸化ナトリウム水溶液55g(0.34モル)で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩 109gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表1に示す。
0035
実施例3
N−メチルピロリドン140g中に、0℃で液体SO3 20g(0.25モル)を15分で滴下し攪拌した。10℃に昇温した後、α−モノラウリン68.6g(0.25モル)を添加しさらに30℃で3時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表1に示す。
0036
実施例4
N−メチルホルムアミド137.2g中に10℃で液体SO3 20g(0.25モル)を15分で滴下した後、α−モノラウリン68.6g(0.25モル)を10℃で添加し攪拌した。40℃に昇温してさらに3時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液25g(0.3モル)で中和し、溶媒、水を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩96.0gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表1に示す。
0037
実施例5
DMF109.8g中に10℃でクロロスルホン酸23.3g(0.2モル)を5分で滴下し攪拌した。α−モノラウリン54.9g(0.2モル)を10℃で添加し攪拌した。30℃に昇温しさらに1時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液34.2g(0.41モル)で中和し、溶媒、水を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩87.6gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表1に示す。
0038
実施例6
DMF1kg中に10℃で液体SO3 141.2 g(1.76モル、水酸基に対し 0.5当量)を40分で滴下し、さらにヤシ油脂肪酸(炭素数6〜18)のモノグリセリド(モノグリセリド含量67%、α/β比=8/2) 500g(水酸基価396)を10℃で添加し攪拌した。40℃に昇温しさらに30分攪拌を続けた。反応混合物を氷水1.5kgに注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液154.2 g(1.85モル)にて0〜30℃で中和し、溶媒、水を留去して目的とするヤシ油脂肪酸のモノグリセリド硫酸塩 682gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表2に示す。
0039
実施例7
N,N−ジメチルラウリルアミド150g中に20〜30℃で液体SO3 16g(0.2モル)を15分で滴下した後、α−モノラウリン54.9g(0.2 モル)を25℃で添加し攪拌した。30℃に昇温し、さらに4時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液17.1g(0.205 モル)で中和し、溶媒、水を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩75.4gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表2に示す。
0040
実施例8
N,N−ジメチルイミダゾリジノン95.3g中に10℃で液体SO3 13.8g(0.174モル)を5分で滴下した後、α−モノラウリン47.7g(0.174 モル)を10℃で添加し攪拌した。30℃に昇温し、さらに3時間攪拌を続けた。反応混合物中に10〜30℃で48%水酸化ナトリウム水溶液15.9g(0.191 モル)を加え中和し、溶媒、水を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩65.7gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表2に示す。
0041
実施例9
ジメチルスルホキシド(DMSO) 109.8g中に20〜25℃で液体SO3 16.0g(0.2モル)を10分で滴下した後、α−モノラウリン54.9g(0.2 モル)を10℃で添加し攪拌した。30℃に昇温し、さらに2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液17.1g(0.205 モル)で中和し、溶媒、水を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩75.4gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表2に示す。
0042
比較例1
α−モノラウリン106.9 g(0.39モル)をクロロホルム500ml中で20℃で攪拌した。クロロスルホン酸136.3 g(1.17モル)を30℃以下で1時間で滴下した。この間、反応系内に窒素を吹き込み発生する塩酸を完全に除去した。さらに、60℃で3時間還流下攪拌した。反応混合物を氷冷水 500gに注ぎ反応を停止した。48%水酸化ナトリウム水溶液173g(2.08モル)で中和した後、溶媒を留去してα−モノラウリン硫酸塩を含む混合物282gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表3に示す。
0043
比較例2
α−モノラウリン166.3 g(0.61モル)とスルファミン酸58.5g(0.61モル)を 130℃で2時間攪拌混合した。反応混合物中の活性剤純分(酸性エプトン法)は0%であった。反応条件及び生成物の組成をまとめて表3に示す。
0044
比較例3
トリエチルアミン140g中に、0℃で液体SO3 20g(0.25モル)を15分で滴下し攪拌した。10℃に昇温した後、α−モノラウリン68.6g(0.25モル)を添加しさらに30℃で 4.5時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表3に示す。
0045
比較例4
ジオキサン240g中にα−モノラウリン68.6g(0.25モル)を加え、その中に15℃で液体SO3 24g(0.3モル)を15分で滴下し攪拌した。40℃に昇温しさらに1時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、20%水酸化ナトリウム水溶液64.4g(0.32モル)で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩111 gを得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表3に示す。
0046
0047
0048
0049
実施例10
DMF140 g中に、5℃で液体SO3 20g(0.25モル)を10分で滴下し攪拌した。10℃に昇温した後、α−モノラウリン68.6g(0.25モル)を添加しさらに30℃で2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表4に示す。
0050
実施例11
DMF140 g中に、5℃で液体SO3 16g(0.2モル)を10分で滴下し攪拌した。10℃に昇温した後、α−モノラウリン68.6g(0.25モル)を添加しさらに30℃で2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表4に示す。
0051
実施例12
DMF137.2 g中に10℃で液体SO3 12g(0.15モル)を滴下し、さらにα−モノラリン68.6g(0.25モル)を添加し攪拌した。30℃に昇温し2時間攪拌を続けた。反応混合物を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。反応条件及び生成物の組成をまとめて表4に示す。
0052
0053
注) *1:モノグリセリド1モルに対する量
実施例1から実施例12の結果により、従来技術を追試した比較例1〜4と比べて活性剤純分の量の多いモノグリセリド硫酸塩が提供されることがわかる。
0054
実施例13
DMF220 g中に、10℃で液体SO3 19.2g(0.24モル)を10分で滴下し攪拌した。α−モノラウリン54.9g(0.2 モル)を添加し1時間攪拌した。反応混合物の一部を氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和して中和生成物を得た。残りの反応混合物をさらに30℃で2時間攪拌した。これを氷水中に注いだ後、48%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶媒を留去して目的とするα−モノラウリン硫酸塩を得た。上記10℃及び30℃における生成物の組成をまとめて表5に示した。
0055
0056
実施例13の結果により、反応の熟成温度を変化させることにより生成するα−モノラウリン硫酸塩中のモノグリセリドジ硫酸塩とモノグリセリドモノ硫酸塩との比率を選択できることがわかる。
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