図面 (/)
請求項1
床に床面を覆う床シートを敷設する床シートの敷設方法であって、前記床面に突出された突出物が貫通する突出物貫入部が開口された型シートを床面に設置して前記突出物貫入部から床面に固定された突出物を突出させて固定し、前記突出物の輪郭および床の境界部の位置を前記型シートに写し取ってマーキングした後、前記型シートを床面から取り外し、床面に敷設される前記床シート上に前記型シートを重ね合わせ、前記マーキングに沿って床シートの前記突出物が突出する貫入部と前記床の境界部に対応する位置とを裁断し、前記床面に前記裁断された床シートを、前記貫入部から前記突出物を突出させるとともに前記床シートの縁部を床の境界部に沿わせ前記床面に固定することを特徴とする床シートの敷設方法。
請求項2
請求項1記載の床シートの敷設方法に用いる型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物に貫入される突出物貫入部がプリント又は開口されていることを特徴とする型シート。
請求項3
請求項2記載の型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物が貫入される突出物貫入部と、床へ固定するための複数の固定孔とがプリント又は開口されていることを特徴とする型シート。
技術分野
0002
従来、建築物等の床には、仕上げ材として樹脂等で形成されたクッションフロアを敷設する場合が多数ある。前記クッションフロアを床面に敷設するには、作業者が直接物差し等で床のクッションフロアの敷設位置各所の寸法を測定し、測定した寸法に基づいてクッションフロアに切断線をマーキングした後、該切断線にしたがってクッションフロアを切断し、所定の位置に固定することが一般的である。
0003
しかしながら、前記クッションフロアの敷設方法は、前記敷設位置の寸法測定の回数が多く、作業が面倒であった。また、トイレ等の狭隘な場所では、前記測定の作業性が悪く、誤差が大きくなることが懸念される。さらに、測定した寸法でクッションフロアに切断線をマーキングすることは、作業量が膨大になるため、作業能率の低下の原因となっていた。一方、床に突出物がある場合には、前記寸法測定およびクッションフロアへのマーキングに一層手間がかかるため、前記作業能率の低下が一層顕著となる上、マーキングの精度も低下することが懸念される。
0004
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、クッションフロア等の床シートが敷設される床面に型シートを設置して、該型シートに前記床面の形状を実寸で型取りすることにより、床シートの切断を正確かつ能率良く行なうことができる床シートの敷設方法およびそれに用いる型シートを提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0005
請求項1記載の発明では、床に床面を覆う床シートを敷設する床シートの敷設方法であって、前記床面に突出された突出物が貫通する突出物貫入部が開口された型シートを床面に設置して前記突出物貫入部から床面に固定された突出物を突出させて固定し、前記突出物の輪郭および床の境界部の位置を前記型シートに写し取ってマーキングした後、前記型シートを床面から取り外し、床面に敷設される前記床シート上に前記型シートを重ね合わせ、前記マーキングに沿って床シートの前記突出物が突出する貫入部と前記床の境界部に対応する位置とを裁断し、前記床面に前記裁断された床シートを、前記貫入部から前記突出物を突出させるとともに前記床シートの縁部を床の境界部に沿わせ前記床面に固定することを特徴とする床シートの敷設方法を前記課題の解決手段とした。
0006
請求項2記載の発明では、請求項1記載の床シートの敷設方法に用いる型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物に貫入される突出物貫入部がプリント又は開口されていることを特徴とする型シートを前記課題の解決手段とした。
0007
請求項3記載の発明では、請求項2記載の型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物が貫入される突出物貫入部と、床へ固定するための複数の固定孔とがプリント又は開口されていることを特徴とする型シートを前記課題の解決手段とした。
0008
請求項1記載の敷設方法によれば、型シートを床面の床シートの敷設位置にセットした状態で前記型シートに前記床面の形状を実寸で型取りする。床シートには、前記型シートに型取りされた裁断線で、切り込みが形成される。
0009
請求項2記載の型シートによれば、突出物貫入部を、型シートを床面にセットする前に開口させて突出物に貫入するので、型シートが簡単に位置決めされる。また、床面にセットした後に、縁部や突出物貫入部の形状を調整することにより、位置の調整も簡単である。
0010
請求項3記載の型シートによれば、請求項2記載の型シートの作用に加えて、固定孔を介して粘着テープ等で接着される。この際、固定孔は複数開口されているので、形状の複雑な床形状であっても、固定孔を使い分けることにより型シートを安定に固定することが可能である。また、開口した固定孔からは、床面が見えるので、型シートの位置決めに利用することができる。
0011
以下本発明の一実施例を、図ないし図を参照して説明する。
0013
図1に示すように、前記型紙1は、長方形状の紙であって、前記突出物貫入孔2の形成位置が中央部に、突出物貫入孔2の周囲の4箇所に固定孔3の形成位置がプリントされてなっている。また、型紙1は、長さ方向に補助型紙7を接続することにより長さを延長することができるようになっている。型紙1と補助型紙7とを接合する互いの接合端部には、のりしろ8の位置がプリントされている。なお、型紙1は、十分な塑性を有するものであれば、紙以外の素材で形成してもよい。
0014
前記突出物貫入孔2の形成位置には、型紙1の幅方向に沿った切断線が型紙1の長さ方向に複数本連続してプリントされ、かつ、型紙1の長さ方向両端の切断線の中央部から放射状に伸びる切断線が複数本プリントされている。なお、突出物貫入孔2の形成位置から、型紙1の長さ方向一側の端部までの間には、型紙1の幅方向の中心線の位置に中央裁断線9がプリントされている。
0015
なお、突出物貫入孔2の形成位置は、型紙1の中央部以外、型紙1の端部であってもよい。また、型紙1には、前記突出物貫入孔2以外、便器6に水洗のための水を供給する配管10等の形成位置をプリントしてもよい。
0017
なお、前記切断線の2等辺三角形は、前記補助型紙7にも、補助型紙7を型紙1に接続した際の前記中央裁断線9の延長線を挟む対向する位置で2箇所に描かれている。また、固定孔3の形成位置は、前述した以外の数であってもよく、固定孔3の形状は、前記2等辺三角形に限られたものではない。
0019
前記床5は、タイル等で覆われてなる平面視概略長方形の平坦面であって、中央部に便器6が設置され、該便器6より奥部に前記配管10が突設されている。以下、前記床5へのクッションフロア4の敷設方法を説明する。
0020
前記クッションフロア4の敷設方法は、概略、(1)前記型紙1を用いた型取り、(2)前記(1)の工程で取った型を元にしたクッションフロア4の裁断、(3)前記(2)の工程で裁断の完了したクッションフロア4の床5への固定の3工程でなっている。
0021
前記(1)の工程は、先ず、型紙1を裁断線で切断して、前記突出物貫入部2および固定孔3を開口する。次いで、開口の完了した型紙1を床5に設置して前記突出物貫入部2から前記便器6を突出させるとともに、この状態で型紙1を型取りに適切な位置で位置決めする。
0022
前記型紙1の位置決めは、型紙1を、前記のりしろ8を床5の入り口側に位置させ、かつ、のりしろ8の反対側を床5の奥側として設置する。そして、図2に示すように、型紙1を、突出物貫入孔2を便器6に貫入した状態で、便器6を中心として回転することにより、床5の特に奥側の部分に型紙1で覆われない部分を作らないようにする。
0023
なお、前記固定孔3からは、床5表面が見えるので、床5に引いたマーキングやタイル等の継ぎ目を型紙1の位置決めに利用することができる。
0024
前記位置決めが完了したら、図3に示すように、固定孔3に粘着テープ12を固定孔3を横断しかつ固定孔3の外側に延在するように接着して、型紙1と床5とを固定する。型紙1と床5との固定が完了したら、型紙1の前記のりしろ8に前記補助型紙7を接合して、前記型紙1と同様に位置決めの後、固定孔3を介して床5に固定する。
0025
前記固定が完了したら、図4および図5に示すように、前記固定孔3の輪郭および床5の境界部に前記型紙1又は補助型紙7を合わせてこれら型紙1又は補助型紙7の余剰分を折り込むとともに、該型紙1又は補助型紙7の折り込みの谷線に沿ってマーキングすることにより、床5全体の型を取る。図5に示すように、柱11の近傍も、まず、型紙1又は補助型紙7の余剰分を折り込むことにより、柱11の出隅部分をマーキングしておき、全体の型取りの完了して床5から取り外した後、前記出隅部分のマーキングを目印にして前記谷線が連続するようにマーキングを完成する。
0026
なお、配管10近傍は、図6に示すように、型紙1又は補助型紙7の配管10から一番近い縁部から切り込みを入れるとともに、配管10の位置する部分に放射状に切り込みを入れて、この切り込みを入れた部分を実際に配管10に嵌め込み、型紙1又は補助型紙7の余剰分を折り込み、マーキングする。
0027
前記(2)の工程は、先ず、型取りが完了した前記型紙1および補助型紙7を床5から取り外し、床5に敷設される前記クッションフロア4上に前記型紙1および補助型紙7を重ね合わせ、該重ね合わせた状態のまま、型紙1および補助型紙7とクッションフロア4とを、前記マーキングに沿って前記便器6が突出する突出物貫入孔2と前記床5の境界部に対応する前記谷線,配管10等の貫入部分を折り込んで形成した谷線,前記中央裁断線9を裁断する。前記重合時には、前記固定孔3を介して粘着テープ等で固定する。なお、突出物貫入孔2や配管10の貫入部分は、放射状に切り込まれている部分を粘着テープ等で接着して一体化した状態で、クッションフロア4の表面に重合する。
0028
クッションフロア4の裁断が完了したら、裁断されたクッションフロア4を、前記床5に前記突出物貫入孔2から前記便器6を突出させかつ前記クッションフロア4の縁部を床5の境界部に沿わせた状態にセットし、位置決めの完了後、入口側から順次奥側に向かって床5に両面テープ等で固定する。前記クッションフロア4の床5への固定は、接着剤等であってもよい。
0029
したがって、前記型シートの敷設方法およびそれに用いる型シートによれば、型取りにより型紙1の引かれたマーキングに沿ってクッションフロア4を裁断するので、クッションフロア4の裁断位置を実寸でしかも簡単に採寸することができ、クッションフロア4の裁断の精度が向上するとともに、型シートの敷設作業全体の作業能率が向上する。また、裁断された型紙1は、クッションフロア4の裁断に再使用することが出来るので、同形状に整形したクッションフロア4が複数必要な際には、採寸の手間が省け、作業能率が大幅に向上する。
発明の効果
0030
以上説明したように、請求項1記載の発明では、床に床面を覆う床シートを敷設する床シートの敷設方法であって、前記床面に突出された突出物が貫通する突出物貫入部が開口された型シートを床面に設置して前記突出物貫入部から床面に固定された突出物を突出させて固定し、前記突出物の輪郭および床の境界部の位置を前記型シートに写し取ってマーキングした後、前記型シートを床面から取り外し、床面に敷設される前記床シート上に前記型シートを重ね合わせ、前記マーキングに沿って床シートの前記突出物が突出する貫入部と前記床の境界部に対応する位置とを裁断し、前記床面に前記裁断された床シートを、前記貫入部から前記突出物を突出させるとともに前記床シートの縁部を床の境界部に沿わせ前記床面に固定することを特徴とするので、型取りを床面の状況に応じて実寸で行なうことができ、しかも、採寸は型シートにマーキングするのみであるから寸法の測定が殆ど不要となるので、敷設の作業精度および作業能率を向上することができる。また、裁断された型シートは、床シートの裁断に再使用することが出来るので、同形状に整形した床シートが複数必要な際には、採寸の手間が省け、作業能率が大幅に向上する。
0031
請求項2記載の発明では、請求項1記載の床シートの敷設方法に用いる型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物に貫入される突出物貫入部がプリント又は開口されていることを特徴とするので、突出物貫入部を開口して突出物に貫入することにより、型シートの設置位置を概略位置決めすることができるので、床シートの敷設の作業能率を向上することができる。
0032
請求項3記載の発明では、請求項2記載の型シートであって、床に敷設するための鋏等で切断可能な材質で形成された薄状体であって、床の突出物が貫入される突出物貫入部と、床へ固定するための複数の固定孔とがプリント又は開口されていることを特徴とするから、前記請求項2記載の型シートが奏する効果を有することは勿論、適切な固定孔を介して固定することにより、型シートをその縁部からのみならず所定の位置に安定に保持することができ、型取りの作業性を向上することができる。
図面の簡単な説明
0033
図1本発明の型紙を示す平面図である。
図2型紙の型取り時における位置決めを示す斜視図である。
図3前記図2の型紙の型取り時における固定方法を示す固定孔近傍の部分平面図である。
図4突出物貫入孔近傍に位置する型紙へのマーキングを示す手順図である。
図5柱近傍に位置する型紙へのマーキングを示す手順図である。
図6配管近傍に位置する型紙へのマーキングを示す手順図である。
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0034
1 型シート(型紙)
2突出物貫入孔
3固定孔
4床シート(クッションフロア)
5 床
6 突出物(便器)