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技術 酸素ポテンシャル自己制御型核燃料化合物

出願人 日本原子力研究所
発明者 室村忠純山下利之大内金二二谷訓子
出願日 1993年3月5日 (27年11ヶ月経過) 出願番号 1993-045300
公開日 1994年9月16日 (26年5ヶ月経過) 公開番号 1994-258477
状態 未査定
技術分野 原子炉燃料及び部品の製造
主要キーワード 原子力発電用 熱力学データ 純ジルコニウム 自己抑制 熱力学的性質 発電用原子炉 燃料条件 燃料化合物
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この項目の情報は公開日時点(1994年9月16日)のものです。
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目的

原子力発電用原子炉の性能を向上する核燃料

構成

98.3〜94.9重量%の二酸化物系核燃料化合物に1.7〜5.1重量%のモリブデン金属を分散して焼結することによって得られた二酸化物系核燃料化合物相とモリブデン金属相の2相化学平衡にある核燃料化合物。

概要

背景

現用発電用原子炉核燃料は、ウラン二酸化物(UO2 )であり、一部には、数%のガドリニア(Gd2 O3 )を添加したウラン二酸化物も利用されている。ウラン・プルトニウム混合二酸化物((U,Pu)O2 )もまた核燃料である。以下では、これらを二酸化物系核燃料化合物と称する。該核燃料化合物は、ジルコニア系合金またはステンレス製被覆管中に密閉し、原子炉での利用に供する。原子炉では、核燃料化合物中のウラン(U)及びプルトニウム(Pu)の核分裂により熱が発生し、この熱が発電に利用される。

核燃料化合物中のウラン及びプルトニウムは、核分裂により核分裂生成物FP)と称する元素群となる。核分裂生成物(FP)は、二酸化物系核燃料化合物においては殆んどが核燃料化合物の他方の成分である酸素(O)と結合し酸化物となり、核燃料化合物中に溶解・固定される。しかし核分裂生成物(FP)の一部は、酸素と殆ど結合しないパラジウムロジウムルテニウム等の白金族元素であり、そのためもあって化学結合できない酸素が生じる事になる。この事から、被覆管内部の酸素圧が上昇する。当業者は、この現象を核燃料の酸素ポテンシャルの上昇と称する。

概要

原子力発電用原子炉の性能を向上する核燃料。

98.3〜94.9重量%の二酸化物系核燃料化合物に1.7〜5.1重量%のモリブデン金属を分散して焼結することによって得られた二酸化物系核燃料化合物相とモリブデン金属相の2相化学平衡にある核燃料化合物。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
1件

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請求項1

98.3〜94.9重量%の二酸化物核燃料化合物に1.7〜5.1重量%のモリブデン金属を分散焼結し、該二酸化物系核燃料化合物相とモリブデン金属相の2相化学平衡にある事を特徴とする核燃料化合物。

請求項2

該二酸化物系核燃料化合物は、ウラン二酸化物(UO2 )、ガドリニア(Gd2 O3 )添加ウラン二酸化物及びウラン・プルトニウム混合二酸化物((U,Pu)O2 )である請求項1に記載の核燃料化合物。

技術分野

0001

本発明は、原子力発電用原子炉の性能向上を目的とする核燃料に関する。さらには、燃焼度向上に伴う酸素ポテンシャル自己抑制能力を持つ組成相平衡状態を持った核燃料に関する。

背景技術

0002

現用発電用原子炉の核燃料は、ウラン二酸化物(UO2 )であり、一部には、数%のガドリニア(Gd2 O3 )を添加したウラン二酸化物も利用されている。ウラン・プルトニウム混合二酸化物((U,Pu)O2 )もまた核燃料である。以下では、これらを二酸化物系核燃料化合物と称する。該核燃料化合物は、ジルコニア系合金またはステンレス製被覆管中に密閉し、原子炉での利用に供する。原子炉では、核燃料化合物中のウラン(U)及びプルトニウム(Pu)の核分裂により熱が発生し、この熱が発電に利用される。

0003

核燃料化合物中のウラン及びプルトニウムは、核分裂により核分裂生成物FP)と称する元素群となる。核分裂生成物(FP)は、二酸化物系核燃料化合物においては殆んどが核燃料化合物の他方の成分である酸素(O)と結合し酸化物となり、核燃料化合物中に溶解・固定される。しかし核分裂生成物(FP)の一部は、酸素と殆ど結合しないパラジウムロジウムルテニウム等の白金族元素であり、そのためもあって化学結合できない酸素が生じる事になる。この事から、被覆管内部の酸素圧が上昇する。当業者は、この現象を核燃料の酸素ポテンシャルの上昇と称する。

発明が解決しようとする課題

0004

該酸素ポテンシャルの上昇は、核燃料の安全性に大きな影響を与える次のような問題を生じさせる。すなわち、二酸化物系核燃料化合物を密閉した被覆管は酸素ポテンシャルの上昇により酸化される事になり、その寿命を著しく低下させるおそれがある。また、酸素ポテンシャルの上昇は、核燃料化合物中での核分裂生成物(FP)等の拡散速度を高くし、核燃料化合物の焼結クリープ、焼しまり、核分裂ガス放出、スエリング体積膨張)等を促進する。特に、核分裂ガス放出は、被覆管内のガス圧力を上昇する。さらにまた、近年進められている高燃焼度化は、核燃料中に上述の化学結合できない酸素量を増大させ、上記問題をさらに重大化する畏れがある。このため、原子炉で核分裂に供される二酸化物系核燃料化合物の酸素ポテンシャルの抑制法を早急に開発する必要に迫られている。

0005

被覆管内部に純ジルコニウム金属の内張りを施す方法があり、これに酸素ポテンシャルの上昇を抑制する働きがある。すなわち、内張りは、酸素と化学反応し酸素ポテンシャルの上昇を抑制する効果が期待できる。しかし、被覆管の表面温度は約250〜300℃と低いため、酸素ポテンシャル抑制効果は制限され、効果的な酸素ポテンシャル抑制法の開発が望まれている。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、核分裂による二酸化物系核燃料化合物の酸素ポテンシャル上昇を抑制するのみならず、核分裂中に酸素ポテンシャルを一定に自己制御できる新しい核燃料化合物を提供する事である。

0007

酸素ポテンシャルを自己制御できる新しい二酸化物系核燃料化合物は、以下の3燃料条件満足する必要がある。

0008

燃料条件−I:現用の核燃料製造技術に大きな影響を及ぼさない。

0009

燃料条件−II:核分裂で生成する化学結合しない酸素の捕集能力を持ち、酸素ポテンシャルを適切な値に制御できる。

0010

燃料条件−III:核分裂により該二酸化物系核燃料化合物に予測を超える物理的、化学的変化が無い。

0011

本発明者は、従来の二酸化物系核燃料化合物の核分裂効果と酸素ポテンシャルの関連を研究し、適切な酸素捕集剤を二酸化物系核燃料化合物に加える事により酸素ポテンシャルを適切な値に制御できる事を見出した。すなわち、二酸化物系核燃料化合物の製造条件、核分裂生成物の化学的挙動及び種々の元素と化合物の熱力学データの比較検討から、モリブデン金属を二酸化物系核燃料化合物中に均一に分散した燃料化合物が酸素ポテンシャルを自己制御する能力を持っている事を見出した。

0012

以下にウラン二酸化物を例にさらに詳しく述べる。1モルのウラン二酸化物(UO2 、270グラム/モル)が原子炉で核分裂すると0.01グラムアトム(0.16グラム)の化学結合しない酸素が生じる。また、下記式(1)の化学反応により32グラムの酸素(O2 )を捕集するためには、96グラムのモリブデン(Mo)金属が必要となる。従って、1グラムのウラン二酸化物の核分裂で生じる化学結合しない酸素を捕集するには、1.8×10-3グラムのモリブデン金属が必要となる事がわかる。

0013

Mo+O2 =MoO2 ………………………………………(1)
以上から、二酸化物系核燃料化合物中の目的燃焼度(%)を考慮し、下記式(2)で与えられる必要最低量以上のモリブデン金属をウラン二酸化物に添加して得られる核燃料化合物は、適切な酸素ポテンシャルに自己制御する能力を持っている事を見出した。換言すると、ウラン二酸化物(UO2 )とモリブデン(Mo)金属が熱力学的に化学的平衡にある、いわゆる2相共存状態の核燃料化合物が、適切な酸素ポテンシャルに自己制御する能力を持っている事を見出した。

0014

必要最低モリブデン金属量=ウラン二酸化物重量×
目的燃焼度×10-2×1.8×10-3 ……………………………(2)
但し、ウラン二酸化物の初期ウラン量のうちパーセント表示した核分裂割合を燃焼度と称し、予め計画された燃焼度を目的燃焼度と定義する。例えば、1グラムのウラン二酸化物に対し燃焼度が10%とすると、必要最低モリブデン金属量は0.18ミリグラムである。

0015

ここではウラン二酸化物(UO2 )及びウラン・プルトニウム混合二酸化物((U,Pu)O2 )を例に検討した。核分裂前のウラン二酸化物(UO2 )はT=1373K(1100℃)で酸素ポテンシャル=−320〜−390kJ/molO2 を持ち、またウラン・プルトニウム混合二酸化物((U,Pu)O2 )は酸素ポテンシャル=−270〜−380kJ/mol O2 を持っている。一方、該2相共存状態の核燃料化合物では、酸素ポテンシャルは熱力学的に式(1)の化学反応により下記式(3)によって温度(T)のみにより制御される。

0016

酸素ポテンシャル(kJ/mol O2 )=−588 −0.0192Tlog T
+0.233 T ……………(3)
ここで、kJ/mol O2 は酸素ポテンシャルの単位であり、Tは絶対温度である。式(3)によりT=1373K(1100℃)では燃焼度によらず酸素ポテンシャルは−360kJ/mol O2 に制御できる。この値は、上記の照射前のウラン二酸化物及びウラン・プルトニウム混合二酸化物の酸素ポテンシャルの中位にある。これらの事は、該2相共存状態の核燃料化合物が成立するならば、燃焼度によらず酸素ポテンシャルを適切な値に自己制御できる事を示している。

0017

本発明のウラン二酸化物(UO2 )とモリブデン金属(Mo)の2相共存状態の核燃料化合物の成立性を明らかにするため、現用の核燃料化合物の製造条件による調製を試みた。以下に、詳細を述べる。

0018

目的燃焼度を10%とし、式(2)から算出される必要最低モリブデン金属量の100倍及び300倍量を添加した試料を下記の要領で調製した。100倍量のモリブデン金属を添加した試料はウラン二酸化物4.4グラムとモリブデン金属79ミリグラムに相当するモリブデン酸アンモン〔(NH4 )6 Mo7 O24・4H2 O〕146ミリグラムを硝酸溶液に溶解し、また300倍量のモリブデン金属を添加した試料はウラン二酸化物4.4グラムとモリブデン金属237ミリグラムに相当するモリブデン酸アンモン439ミリグラムを硝酸溶液に溶解し、各々加熱して蒸発乾固した。次に、これら乾固物を約700℃のヘリウム気流中で熱分解した。得られた生成物を500kg/cm2 の圧力で直径8mmのペレット成型した。このペレットを現用の製造条件に倣い1700℃の8%水素+92%ヘリウム気流中で還元した。生成物は粉砕し、生成相の同定のためX線回折に供した。また一部は鏡面に研磨し、顕微鏡観察に供した。

0019

X線回折から、得られた試料の何れにも格子定数5.470オングストローム蛍石型構造のウラン二酸化物と格子定数3.147オングストロームの体心立方構造のモリブデン金属の2相のみの存在を確認した。顕微鏡観察から、ウラン二酸化物が主たる相であり、その結晶粒界及び粒内にモリブデン金属が分散・析出している事を確認した。以上により、98.3〜94.9重量%範囲のウラン二酸化物と1.7〜5.1重量%の範囲のモリブデン金属が化学平衡し2相共存状態の核燃料化合物が成立する事は明らかであり、また現用の製造条件で該核燃料化合物が製造できる事も明らかであり、上記の燃料条件−Iを満足する。

0020

また、ウラン二酸化物とモリブデン金属の2相が共存している事から、ウラン二酸化物は原子炉中で従来通りの核燃料化合物として作用する事は明らかであり、さらにまた、モリブデン金属は式(1)の化学反応によって酸素捕集剤として作用し、式(2)に従って酸素ポテンシャルを制御する事は化学平衡から明らかであり、上記の燃料条件−IIを満足する。

0021

さらにまた、モリブデン金属は核分裂生成物の一部であり、その燃料化合物中における挙動は十分知られており、特に新たな化合物の析出等の問題を生じない事は、本発明者の研究からも明らかであり、上記の燃料条件−III を満足する。本発明では、二酸化物系核燃料化合物の酸素ポテンシャルを式(1)の化学平衡を利用して制御している。この目的のために添加するモリブデン金属量は、理論的には目的燃焼度に対して式(3)から算出される必要量で十分であるが、通常の例に倣い、実際には必要量の大過剰を添加し制御の有効性を維持する事とする。実施例では燃焼度10%に必要なモリブデン金属量の100〜300倍を添加し該2相共存状態の核燃料化合物が生成する事を確認した。

0022

実施例ではモリブデン金属の添加による2相共存状態の核燃料化合物の成立性を示したが、モリブデンと同様な化学的性質及び熱力学的性質を有するタングステン(W)を利用しても同様な効果が期待できる事は当業者には明らかである。この際には、式(1),(2),(3)は各々以下の式(1)a ,(2)a ,(3)a に書換える。

0023

W+O2 =WO2 ……………………………………………(1)a
必要最低タングステン金属量=ウラン二酸化物重量
×目的燃焼度/100× 3.4×10-3…(2)a
酸素ポテンシャル(kJ/mol O2 )=−548 +0.153 T …………(3)a
式(3)a より、例えば1100℃(1373K)では、酸素ポテンシャルは−340kJ/mol O2 に制御できる。この値は、燃料条件−IIを満足する。

0024

実施例では、核燃料化合物がウラン二酸化物の場合の成立性を検討した。この結果がガドリニア添加ウラン二酸化物、ウラン・プルトニウム混合二酸化物等の核燃料化合物にも適用できる事は、当業者には明らかである。

0025

式(3)及び(3)a は、下記文献から得た。

0026

O. Kubaschewski and E.LL. Evans, [Metallurgical Thermochemistry],Table E., Pergamon Press, London, 1958

発明の効果

0027

本発明の新しい核燃料化合物は、二酸化物系核燃料化合物相とモリブデン金属相の2相共存状態にあり、以下の効果がある。

0028

本発明の2相共存状態の核燃料化合物は、酸素ポテンシャルを燃焼度によらず温度のみで制御できる。

0029

制御された酸素ポテンシャルは、核分裂前の核燃料化合物のそれとほぼ一致する。

0030

酸素ポテンシャルは燃焼度によらず一定に制御されるので、核燃料の安定性を向上させる事ができ、かつ燃焼度の向上が容易である。また、核燃料の安定性評価は容易となる。

0031

熱伝導性の悪い酸化物に金属を添加する事により、副次的に熱伝導の向上が期待できる。

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