図面 (/)
目的
構成
概要
背景
従来の配線及び電極に用いられるクロム膜のウェットエッチング方法では、クロム膜のエッチング液として、硝酸第二セリウムアンモニウムと硝酸の混合液等を用いてエッチングしており、フォトレジスト膜のパターニング処理条件も、一般的な処理条件で処理していた。
本来、クロム膜とフォトレジスト膜の密着性は良く、フォトレジスト膜下へのアンダーカット(サイドエッチ)が入りにくく、図9(a),(b)に示すように、クロム膜2のエッジ部は垂直又はやや逆テーパ状になってしまうのが、一般的である。
一方、フォトレジスト膜3のパターニング処理条件を一般的な処理条件に代えてポストベーキング時間を短くコントロールすることにより、フォトレジスト膜3のクロム膜2の密着力を弱める方法や、エッチング液中の硝酸濃度を高くし、フォトレジスト膜3の剥れを促進させる方法により、クロム膜2のアンダーカットを入り易くし、テーパ状に加工するウェットエッチング方法が実験レベルで提案されている(信学技報EID90−129、53頁−58頁、1991年参照)。
概要
配線及び電極等に用いられるクロム膜の上層膜欠陥を防止し、絶縁不良や断線等の膜欠陥がなく安定性に優れ、実用,量産に適した配線や電極を実現する。
基板1上に、クロム膜2を成膜し、フォトレジスト膜3をパターンニングする。この時のパターンニング条件は、一般的な処理条件で行う。次に、このフォトレジスト膜3を、温度70℃の純水に10分間浸漬処理する高親水化処理を施す。これによりクロム膜2とフォトレジスト膜3の界面の親水性が高まり、ウェットエッチング時のエッチング液が、この界面に浸み入み易くなりクロム膜2のテーパ化が実現する。尚、この方法は、純水温度と浸漬時間のみが、主な影響因子で、コントロール性に秀れており、安定性,再現性が良好である。
目的
本発明の目的は、絶縁不良や断線等の発生がなく、再現性,安定性が良く実用,量産に適した配線や電極等が得られるウェットエッチング方法を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 3件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
0001
本発明はウェットエッチング方法に関し、特に配線及び電極に用いられるクロム膜のウェットエッチング方法に関する。
背景技術
0002
従来の配線及び電極に用いられるクロム膜のウェットエッチング方法では、クロム膜のエッチング液として、硝酸第二セリウムアンモニウムと硝酸の混合液等を用いてエッチングしており、フォトレジスト膜のパターニング処理条件も、一般的な処理条件で処理していた。
0003
本来、クロム膜とフォトレジスト膜の密着性は良く、フォトレジスト膜下へのアンダーカット(サイドエッチ)が入りにくく、図9(a),(b)に示すように、クロム膜2のエッジ部は垂直又はやや逆テーパ状になってしまうのが、一般的である。
0004
一方、フォトレジスト膜3のパターニング処理条件を一般的な処理条件に代えてポストベーキング時間を短くコントロールすることにより、フォトレジスト膜3のクロム膜2の密着力を弱める方法や、エッチング液中の硝酸濃度を高くし、フォトレジスト膜3の剥れを促進させる方法により、クロム膜2のアンダーカットを入り易くし、テーパ状に加工するウェットエッチング方法が実験レベルで提案されている(信学技報EID90−129、53頁−58頁、1991年参照)。
発明が解決しようとする課題
0005
この従来の一般的なクロム膜のウェットエッチング方法では、クロム膜の断面が垂直又はやや逆テーパ状になるため上層膜を形成した場合に、ステップカバレージが悪く絶縁不良や断線等の膜欠陥を誘発するという問題点があった。
0006
一方、実験レベルで提案されているフォトレジスト膜のポストベーキング時間を短くコントロールすることでフォトレジスト膜とクロム膜の結合を抑え密着力を低下させる方法では、フォトレジスト膜とクロム膜の結合力(密着力)を均一に再現性よくコントロールするのは困難であり、ポストベーキング時間以外の影響因子、つまり(1)レジスト塗布前の工程温度、(2)塗布前のベーク温度と時間、(3)ポストベーク温度、(4)現像工程完了からエッチングまでの放置時間等の因子が大きく影響し、例えば、(4)については、図7に示すように、従来の方法では、テーパ角度がエッチングまでの放置時間により大きく変化し、テーパ化しにくくなる。このように、他の影響因子が大きく影響し、繰り返し実験においても、図8に示すように、従来の方法では、同一条件でテーパ角度が10〜90°まで大きくばらつき、再現性,安定性が悪くそのテーパ形状は、図10及び図11(a),(b)に示すように、輪郭が不均一な鋸歯状の形状を呈する場合も多く発生し、実用上,量産上大きな問題点になっていた。
0007
本発明の目的は、絶縁不良や断線等の発生がなく、再現性,安定性が良く実用,量産に適した配線や電極等が得られるウェットエッチング方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0008
本発明のウェットエッチング方法は、基板上にスパッタにてクロム膜を成膜する工程と、該クロム膜上にフォトレジスト膜を塗布し露光,現像して該フォトレジスト膜をパターニングし前記クロム膜を露出させる工程と、該クロム膜と前記フォトレジスト膜の界面の親水性を高める高親水化処理を施す工程と、前記クロム膜をウェットエッチングし該クロム膜をテーパを有するパターンにパターンニングする工程とを有する。
0010
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
0011
図1は本発明の一実施例によりテーパ状にパターニングされたクロム膜の断面図、図2(a),(b)は図1のフォトレジスト膜剥離後の平面図及びその断面図、図3は本発明の一実施例の工程図、図4(a)〜(d)は図3のそれぞれの工程に対応する断面図である。まず、図3のPR塗布工程S1で図4(a)に示すように、基板1上にクロム膜2をスパッタにて成膜し、このクロム膜2上にフォトレジスト膜3を塗布する。
0012
次に、露光工程S2,現像工程S3を経ることにより、図4(b)に示すように、フォトレジスト膜3をパターニングし、クロム膜2を露出させる。この時のフォトレジスト膜3のパターニング条件、すなわち、塗布前ベーク,プリベーク,ポストベーク等の処理条件は、全て、一般的処理条件で特に特殊な処理条件にする必要はない。
0013
次に、高親水化処理工程S4でフォトレジスト膜3を温度70℃の純水に10分間浸漬し高親水化処理する。この高親水化処理により、図4(c)に示すように、フォトレジスト膜3のクロム膜2との界面が十分に親水性を高める構造となる。
0014
次に、エッチング工程S5で硝酸第二セリウムアンモニウム(17.0wt%)と硝酸(20.0wt%)を混合したクロムのエッチング液を用いてクロム膜2をウェットエッチングすることにより、図4(d),図1及び図2(a),(b)に示すように、テーパ角度約10°のテーパ状を呈し輪郭がなめらかなクロム膜2が得られる。
0015
次に、高親水化処理の純水温度と浸漬時間の関係について実験結果をもとに説明する。
0016
図5は図3の高親水化処理工程での70℃温度純水浸漬時間とエッチング後のテーパ角度との関係を示す特性図である。図5に示すように、浸漬時間が2分以下では、テーパ角度が90〜10°であり2分以上では10°で一定となる。このように、浸漬時間がある値をこえるとテーパ角は一定となり親水性が十分に高まった状態、即ち飽和状態となる。
0017
図6は図3の高親水化処理工程での高親水化処理の最適条件範囲を説明する浸漬時間と純水温度との関係を示す特性図である。一方、図6に示すように、親水化処理飽和時間は純水温度が高い程短時間で到達し、純水温度が低い程長時間を要する。
0018
この実験結果より、高親水化処理条件は図6の親水化処理飽和領域内の条件を採用することにより安定した再現性のよいクロム膜のテーパ形状が得られることが分る。
0019
図7は本発明と従来例のエッチングまでの放置時間とテーパ角度との関係を示す特性図、図8は本発明と従来例のウェットエッチング方法の再現性を説明する繰返し実験回数とテーパ角度との関係を示す特性図である。
0020
一方、図7に示すように、従来例では現像工程完了からエッチングまでの放置時間がテーパ角度に影響を与える大きな因子となっているが、本発明ではその影響は小さくなっており、図8に示すように、繰返し実験においてもテーパ角度のばらつきは小さく、再現性,安定性が良く実用,量産に適した方法であることが分る。
発明の効果
0021
以上説明したように本発明は、クロム膜のエッチング工程の前にクロム膜とフォトレジスト膜の界面の高親水化処理を施すことによりクロム膜をテーパ角度約10°のテーパ状を呈し輪郭をなめらかに形成することができるので、上層膜を形成した場合に、絶縁不良や断線等の膜欠陥がなく再現性,安定性に優れ実用,量産に適した配線や電極等を実現できるという効果がある。
図面の簡単な説明
0022
図1本発明の一実施例によりテーパ状にパターンニングされたクロム膜の断面図である。
図2(a),(b)は図1のフォトレジスト膜剥離後の平面図及びその断面図である。
図3本発明の一実施例の工程図である。
図4図3のそれぞれの工程に対応する断面図である。
図5図3の高親水化処理工程での70℃温純水浸漬時間とエッチング後のテーパ角度との関係を示す特性図である。
図6図3の高親水化処理工程での高親水化処理の最適条件範囲を説明する浸漬時間と純水温度との関係を示す特性図である。
図7本発明と従来例のエッチングまでの放置時間とテーパ角度との関係を示す特性図である。
図8本発明と従来例のウェットエッチング方法の再現性を説明する繰返し実験回数とテーパ角度との関係を示す特性図である。
図9(a),(b)は従来の一般的なウェットエッチング方法によりパターンニングされたクロム膜のジャストエッチ時の断面図及びオーバーエッチ時の断面図である。
図10従来の実験レベルのウェットエッチング方法によりテーパ状にパターンニングされたクロム膜の一例の断面図である。
図11(a),(b)は図10のフォトレジスト膜剥離後の平面図及びその断面図である。
--
0023
1基板
2クロム膜
3 フォトレジスト膜
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成