図面 (/)
概要
背景
従来から、シャーシダイナモメータを使用して実路を走行した場合と同様の状態を作り出し、自動車車両の種々な試験が行われている。特に車内の振動や騒音の測定は、実路に合せたプロペラシャフトトルク(以下、「ペラシャフトトルク」と略称する)などの出力トルク相当で車両を加減速して測定する必要がある。図1は、従来のシャーシダイナモメータの制御装置を示すものであって、シャーシダイナモメータ上で実路に合せてペラシャフトトルク相当で車両1を加減速するために、車両1のタイヤと接するローラ3に連結され駆動されるダイナモメータ2は車速設定Vsに基づく車両速度制御部5による速度制御と、車両1のエンジンスロットルの開度はストローク設定Ssに基づくストローク制御部6によるスロットルアクチェータ4のストローク制御とによって、指定のペラシャフトトルク値を得ることにより、車両1の振動や騒音の測定を行なっていた。すなわち、車両1の速度制御はタイヤと接するローラ3と連結され駆動されるダイナモメータ2の負帰還速度制御によって行ない、また、車両1のエンジンのスロットルの開度制御はスロットルアクチェータ4の負帰還ストローク制御をもってそれぞれ別個に行ない、ロードセル13により検出しストレインアンプ14を介して計測されたダイナモメータ2の反力と、車両1の加速度(dv/dt)を用いて加減速時における車両1相当の慣性分との負荷が、演算増幅器15によってローラ(3)面駆動力に変換され、更に、掛算器16においてr/i比(r:車両1のタイヤ半径i:車両(1)のディファレンシャルの差動比)を掛算してペラシャフトトルクに換算されて表示される表示器9を見ながらそれぞれの制御を行ない指定されたペラシャフトトルク値を得て、振動や騒音の測定を行なっていた。
概要
シャーシダイナモメータ上で、車両から指定された出力トルクを維持した状態で車両速度の制御が容易に行なえること。
車速が制御される供試車両に連結され、車速に応じた走行抵抗に基づく回転トルクを負荷するダイナモメータからなるシャーシダイナモメータの制御装置であって、車速を制御するエンジンスロットル開度のストローク制御のマイナー制御部に、出力リミッタ付き車両速度制御部からなる車両速度制御のメジャー部を付加する。
目的
本発明は、シャーシダイナモメータ上で、車両から指定された出力トルクを維持した状態で車両速度の制御が容易に行なえるシャシーダイナモメータの制御装置を提供するものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
ストローク制御によりエンジンスロットルの開度を制御して車速が制御される供試車両に連結され、車速に応じた走行抵抗に基づく回転トルクを車両に負荷するダイナモメータからなるシャーシダイナモメータの制御装置方式において、前記ストローク制御のマイナー制御部に付加した、車速設定値と車速検出値との偏差値により制御される車両速度制御のメジャー制御部と、前記ダイナモメータの反力と車速変化時における慣性力から車両の出力トルクを演算する出力トルク演算部と、前記車両速度制御のメジャー制御部内に設置した、車両の出力トルク設定値と前記出力トルク演算値との偏差値による制御出力値をリミッタ値とする出力リミッタ付き車両速度制御部と、を具備したことを特徴とするシャシーダイナモメータの制御装置。
請求項2
前記出力トルク演算部を、ダイナモメータの反力と車速変化時における慣性力とからなるローラ面駆動力と、r/i比(r:供試車両のタイヤ半径,i:デファレンシャルの差動比)あるいはrとの掛算により車両のプロペラシャフトあるいはタイヤ軸トルクを演算する演算装置で構成するとともに、前記出力トルク設定値をプロペラシャフトトルク値あるいはタイヤ軸トルク値としたことを特徴とする請求項1記載のシャシーダイナモメータの制御装置。
請求項3
請求項4
前記ダイナモメータの反力は、ロードセルにより検出したことを特徴とする請求項1又は2記載ののシャシーダイナモメータの制御装置。
技術分野
0001
シャーシダイナモメータ上で実路を走行した場合と同様な状態を作り出し、車両から指定された出力トルク値を維持した状態で車両速度(車速)を制御して、車内の振動や騒音を測定するシャーシダイナモメータの制御装置に関する。
背景技術
0002
従来から、シャーシダイナモメータを使用して実路を走行した場合と同様の状態を作り出し、自動車車両の種々な試験が行われている。特に車内の振動や騒音の測定は、実路に合せたプロペラシャフトトルク(以下、「ペラシャフトトルク」と略称する)などの出力トルク相当で車両を加減速して測定する必要がある。図1は、従来のシャーシダイナモメータの制御装置を示すものであって、シャーシダイナモメータ上で実路に合せてペラシャフトトルク相当で車両1を加減速するために、車両1のタイヤと接するローラ3に連結され駆動されるダイナモメータ2は車速設定Vsに基づく車両速度制御部5による速度制御と、車両1のエンジンスロットルの開度はストローク設定Ssに基づくストローク制御部6によるスロットルアクチェータ4のストローク制御とによって、指定のペラシャフトトルク値を得ることにより、車両1の振動や騒音の測定を行なっていた。すなわち、車両1の速度制御はタイヤと接するローラ3と連結され駆動されるダイナモメータ2の負帰還速度制御によって行ない、また、車両1のエンジンのスロットルの開度制御はスロットルアクチェータ4の負帰還ストローク制御をもってそれぞれ別個に行ない、ロードセル13により検出しストレインアンプ14を介して計測されたダイナモメータ2の反力と、車両1の加速度(dv/dt)を用いて加減速時における車両1相当の慣性分との負荷が、演算増幅器15によってローラ(3)面駆動力に変換され、更に、掛算器16においてr/i比(r:車両1のタイヤ半径i:車両(1)のディファレンシャルの差動比)を掛算してペラシャフトトルクに換算されて表示される表示器9を見ながらそれぞれの制御を行ない指定されたペラシャフトトルク値を得て、振動や騒音の測定を行なっていた。
発明が解決しようとする課題
0003
車両の振動や騒音の測定は、車両から指定されたペラシャフトトルクあるいはタイヤ軸トルクなど指定された出力トルクを維持した状態で車両を加減速させることが必要であるから、従来の制御装置(図1)ではどうしても車両速度とスロットル開度との制御を別個に行わざるを得ないので、所定の出力トルクを維持した状態で車両速度を加減速させることは極めて困難であった。
0004
本発明は、シャーシダイナモメータ上で、車両から指定された出力トルクを維持した状態で車両速度の制御が容易に行なえるシャシーダイナモメータの制御装置を提供するものである。
0006
(2).車両のエンジンスロットルの開度制御は、スロットル開度を制御するスロットルアクチェータのストローク制御のマイナー制御部に車両速度制御のメジャー制御部を付加して、車両速度を制御して管理する。
0007
(3).車両の出力トルク(ペラシャフトトルクあるいはタイヤ軸トルク)の計測は、ロードセルで検出しストレインアンプから得られるダイナモメータの反力と、車両加速度(dv/dt)から得られる加減速時における車両相当の慣性分との負荷からなるローラ面駆動力に、車両のタイヤ半径(r)、デファレンシャルの差動比(i)のr/i比、あるいは車両のタイヤ半径(r)のみを乗じた演算から得る。
0008
(4).車両の加減速時において、指定した出力トルクを得るために、設定したトルクリミッタ設定値と先に演算した車両の出力トルク値を比較し、その比較出力によって出力リミッタ付き車両速度制御部のリミッタ値を制御することによりストローク制御部のストロークを制御して、エンジンスロットル開度を制御する。
0010
以下、車両から指定される出力トルクを「ペラシャフトトルク」とした実施例について、図面を参照して説明する。
0011
図2において、供試車両1は、ストロ−ク制御部6によって制御されるスロットルアクチェ−タ4によりスロットルワイヤ18を介してスロットルの開度が制御され、その車速Vrが制御される。ダイナモメ−タ2は、走行抵抗設定器12から車速Vrに応じた走行抵抗Rlに基づく回転トルクをトルク制御部7の制御によってカップリング17、ロ−ラ3を介して車両1に負荷するものであり、その負荷量に相当する反力がロ−ドセル13及びストレインアンプ14を介して検出される。
0012
出力リミッタ付き車両速度制御部5は、車両1の車速設定値Vsと車速検出値Vrとの偏差値によって制御されるものであって、その出力リミッタ値Vlはペラシャフトルク設定値Tsと実効ペラシャフトトルク値Trとの偏差値により制御されるペラシャフトトルクリミッタ制御部8の出力(*A)により制御され、前記ストロ−ク制御部6の負帰還制御のストロ−ク設定値として与えるものである。
0013
表示器9は、前記走行抵抗Rlに基づく負荷量に相当するダイナモメ−タ2の反力(F1)と、車両1の加減速時に負荷される車両相当の慣性分(F2,加速度dv/dtに比例)との演算増幅器15での和演算で得られるロ−ラ面駆動力(F=F1+F2)、その駆動力(F)にr/i比(r;タイヤ半径i;デファレンシャルの差動比)を乗算して得られる実効ペラシャフトトルクTrを表示するものである。
0014
パルスピックアップ(pp)10は、ダイナモメ−タ2の回転速度すなわち車両1の車速を検出し、周波数-電圧変換回路11を介して車速検出値Vrとして、出力リミッタ付き車両速度制御部5に負帰還制御させるためのものである。すなわち、ストロ−ク制御6のマイナ−制御部に車両速度制御5のメジャ−制御部を付加してストローク制御によるエンジンスロットルの開度の制御により、車両1の車速を制御し管理するためのものである。
0015
なお、車両1のタイヤ軸トルクは、演算増幅器15で得られるローラ面駆動力(F)にタイヤ半径rのみを掛算すれば簡単に得られるので、ペラシャフトトルク設定をタイヤ軸トルク設定とすることができる。
0017
A.ペラシャフトトルクTrを所定値Tsに維持した状態で車両1を加速させる制御 [図3,(t0 〜t1)区間]
(1).時刻t0 において、車両1の車速設定Vsと指定する所定のペラシャフトトルク値Tsを設定すると、ペラシャフトトルクリミッタ制御部8において、所定のペラシャフトトルク値Tsと実効ペラシャフトトルク値Trとの偏差値による制御出力Vl(*A)が、出力リミッタ付き車両速度制御部5の出力リミッタの正負リミッタ値(±Vl)となる。このとき、出力リミッタ付き車両速度制御部5における車速設定値Vsと車速検出値Vtとの関係はVs>Vtであるから、該出力リミッタ付き車両速度制御部5の制御出力は正リミッタ値(+Vl)に制限されることになる。したがって、車両1は、出力リミッタ付き車両速度制御部5の正リミッタ値(+Vl)に応じたストローク制御部6の制御によりスロットル開度が開かれて加速制御される。
0018
(2).その後、ペラシャフトトルクリミッタ制御部8の制御出力Vl値は、所定のペラシャフトトルク設定値Tsに応じた値に固定される。すなわち、車両速度制御部5の出力リミッタ値は所定の出力ペラシャフトトルク設定値Tsに応じた値(+Vl)なる。
0019
(3).したがって、出力リミッタ付き車両速度制御部5における車速設定値Vsと車速検出値Vrとの比較出力は、常に,正リミッタ値(+Vl)に制限されることになる。このことは、実効ペラシャフトトルクTrをその設定値Tsに維持した状態で、前記出力リミッタ値(+Vl)によるストローク制御によりスロットル開度の制御が行われ、車両1は設定車速Vsになるまで加速されることになる。
0020
(4).よって、この区間(t0 〜t1)はトルクリミッタ値が制御されるトルクリミッタ制御期間となり、実効ペラシャフトトルクTrを所定値Tsに一定制御すること、すなわち加速トルク一定の制御が行なわれる。
0021
(5).車速Vrが設定速度Vsに近づく(t1時刻)と、車両速度制御部5の出力値が正リミッタ値(+Vl)に比べ小さくなるので、ストローク制御部6によるエンジンスロットルの開度が絞られ、車両1の加速度(dv/dt)も零となり車速Vrは設定速度Vsで運転される。このとき、ペラシャフトトルクTrも車速Vrを設定速度Vsに維持するに必要な一定トルクとなる。[図3,(t1〜t2)区間]
(6).以上のごとく、車両1の加速時においては、所定ペラシャフトトルクTsを大きく設定すれば、設定速度Vsに達する迄の時間(t0 〜t1 )は短時間となり、小さく設定すれば長時間を要することになる。
0022
B.ペラシャフトトルクTrを所定値Tsに維持した状態で車両1を所定の速度から減速させる制御[図3,(t2〜t3)区間]
(1).時刻t2 において、車両1の車速設定Vs'と指定する所定のペラシャフトトルク値Tsを設定すると、ペラシャフトトルクリミッタ制御部8において、所定のペラシャフトトルク値Tsと実効ペラシャフトトルク値Trとの偏差値による制御出力Vl(*A)が、出力リミッタ付き車両速度制御部5の出力リミッタの正負リミッタ値(±Vl)となる。このとき、出力リミッタ付き車両速度制御部5における車速設定値Vs'と車速検出値Vtとの関係はVs'<Vtであるから、該出力リミッタ付き車両速度制御部5の制御出力は負リミッタ値(−Vl)に制限されることになる。したがって、車両1は、出力リミッタ付き車両速度制御部5の負リミッタ値(−Vl)に応じたストローク制御部6の制御によりスロットル開度が絞られて減速制御される。
0023
(2).その後、ペラシャフトトルクリミッタ制御部8の制御出力Vl値は、所定のペラシャフトトルク設定値Tsに応じた値に固定される。すなわち、車両速度制御部5の出力リミッタ値は所定の出力ペラシャフトトルク設定値Tsに応じた値(−Vl)なる。
0024
(3).したがって、出力リミッタ付き車両速度制御部5における車速設定値Vsと車速検出値Vrとの比較出力は、常に,正リミッタ値(−Vl)に制限されることになる。このことは、実効ペラシャフトトルクTrをその設定値Tsに維持した状態で、前記出力リミッタ値(−Vl)によるストローク制御によりスロットル開度の制御が行われ、車両1は設定車速Vs'になるまで減速されることになる。
0025
(4).よって、この区間(t2 〜t3)はトルクリミッタ値が制御されるトルクリミッタ制御期間となり、実効ペラシャフトトルクTrを所定値Tsに一定制御すること、すなわち減速トルク一定の制御が行なわれる。
0026
(5).車速Vrが設定速度Vs'に近づく(t3時刻)と、車両速度制御部5の出力値が負リミッタ値(−Vl)に比べ小さくなるので、ストローク制御部6によるエンジンスロットルの開度が徐々に開かれ、車両1の減速度(dv/dt)も零となり車速Vrは設定速度Vs'で運転される。このとき、ペラシャフトトルクTrも車速Vrを設定速度Vs'に維持するに必要な一定トルクとなる。[図3,(t2〜t3)区間]
(6).以上のごとく、車両1の減速時においては、所定ペラシャフトトルクTsを大きく設定すれば、設定速度Vs'に達する迄の時間(t2 〜t3 )は短時間となり、小さく設定すれば長時間を要することになる。
発明の効果
0027
以上のように、本発明によれば、次のような効果を奏するものである。
0028
(1).供試車両から指定される出力トルクである加速トルク、減速トルク、及び一定車速維持値が、それらの設定器によって任意に独立して設定することができる。
0029
(2).極めて実路に近い走行シミュレーションが繰り返し可能となり、車両の車内振動、騒音が再現性よく測定することができる。
0030
(3).ダイナモメータの出力トルク制御、及びスロットル開度制御による速度制御は、加速中、一定車速維持中、減速中のいずれにおいても制御切換えをすることなく任意に独立して行なうことができるので、制御切換えなどのショックを供試車両に与えることがない。