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技術 耐摩耗性超硬合金

出願人 テイボー株式会社
発明者 工藤邦男
出願日 1992年10月13日 (27年8ヶ月経過) 出願番号 1992-274371
公開日 1994年5月10日 (26年1ヶ月経過) 公開番号 1994-128679
状態 未査定
技術分野 ダイヤモンド又は金属化合物を含有する合金 粉末冶金 金属質材料の表面への固相拡散
主要キーワード 小型工具 熱的要因 三次元切削 チャンファ角 処理工具 縦型電気炉 拡散表面 複炭化物
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この項目の情報は公開日時点(1994年5月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

目的

工具表層部に耐摩耗性に劣るFexCoyWzCのような脆弱複炭化物が生成されることのないように抑制して、耐摩耗性に優れるものを得る。

構成

WC基超硬合金表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にした。

概要

背景

例えば超硬工具の場合、摩耗の原因の一つに挙げられる拡散摩耗は、加工中の切削熱により、被削材中のFe元素微量元素工具中へ拡散し、逆に、超硬工具のバインダー元素であるCo元素と入れかわる。

その結果、超硬工具成分の結合力が弱くなり、WC粒子脱落する機構や、切り屑のFe元素が超硬工具側へ拡散移動することによって、工具表層部にはFexCoyWzCのような脆弱複炭化物が生成されるため、摩耗を促進すると言われており、現在では、このような摩耗機構が一般的となっている。

本発明者は、前記の拡散摩耗機構を確認するため、予め、超硬工具にFe拡散表面処理を行い、切削実験による工具摩耗への影響を調べると共に、EPMAおよびX線回折を用いて工具表層部のFe拡散侵入深さと生成複炭化物の組成との関係も調べ、この処理工具と未処理工具を比較検討した結果、処理工具では、切り屑のFe元素が超硬工具側へ拡散移動することが抑制され、且つ、脆弱な複炭化物の生成が抑制されることを知見し、本発明を完成したものである。

概要

工具表層部に耐摩耗性に劣るFexCoyWzCのような脆弱な複炭化物が生成されることのないように抑制して、耐摩耗性に優れるものを得る。

WC基超硬合金表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にした。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
1件

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請求項1

WC基超硬合金表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にしたことを特徴とする耐摩耗性超硬合金。

請求項2

富化層におけるFe系化合物が、Fe2Cおよび/またはFe−Si−C系化合物であることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性超硬合金。

技術分野

0001

本発明は例えば超硬工具金型ダイス等に有用な耐摩耗性超硬合金に関する。

背景技術

0002

例えば超硬工具の場合、摩耗の原因の一つに挙げられる拡散摩耗は、加工中の切削熱により、被削材中のFe元素微量元素工具中へ拡散し、逆に、超硬工具のバインダー元素であるCo元素と入れかわる。

0003

その結果、超硬工具成分の結合力が弱くなり、WC粒子脱落する機構や、切り屑のFe元素が超硬工具側へ拡散移動することによって、工具表層部にはFexCoyWzCのような脆弱複炭化物が生成されるため、摩耗を促進すると言われており、現在では、このような摩耗機構が一般的となっている。

0004

本発明者は、前記の拡散摩耗機構を確認するため、予め、超硬工具にFe拡散表面処理を行い、切削実験による工具摩耗への影響を調べると共に、EPMAおよびX線回折を用いて工具表層部のFe拡散侵入深さと生成複炭化物の組成との関係も調べ、この処理工具と未処理工具を比較検討した結果、処理工具では、切り屑のFe元素が超硬工具側へ拡散移動することが抑制され、且つ、脆弱な複炭化物の生成が抑制されることを知見し、本発明を完成したものである。

発明が解決しようとする課題

0005

解決しようとする課題は、例えば加工中の切削熱により、被削材および切り屑のFe元素が超硬工具側へ拡散移動して、工具表層部に耐摩耗性に劣るFexCoyWzCのような脆弱な複炭化物が生成されることを避けられないでいる点である。

課題を解決するための手段

0006

本発明は前記の課題を解決するために、WC基超硬合金の表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にしたことを特徴とする。

0007

そして、富化層におけるFe系化合物を、Fe2Cおよび/またはFe−Si−C系化合物にしたことを特徴とする。

0008

また、本発明における富化層は、Coを含まないFe系化合物の含有量が表面側から内部に向けて減少するところの傾斜層状を呈している。この場合、超硬母材とFe系化合物との結合力が内部に向けて強くなるため、Fe系化合物が母材から剥離することがない。

0009

この富化層の厚みは、1μmに満たない場合、被削材および切り屑からのFe元素の拡散移動を抑制しきれないことや、高硬度であるFe−Si−C系化合物による表面硬度上昇効果も現れない。一方、500 μmを超える場合には、Fe系化合物が剥離しやすくなり、逆に摩耗が促進されることになる。そして、富化層におけるFe系化合物の組成比率は、2重量%に満たないと超硬表面硬度が上がらず、50重量%を超えると超硬母材とFe系化合物との結合力が低下し、Fe系化合物が剥離して、逆に摩耗が促進されてしまう。

0010

WC基超硬合金の表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にしてあるため、被削材および切り屑からのFe元素の拡散移動を抑制できると共に、従来の超硬合金に比べて高硬度を有するものであり、しかも、Fe系化合物が剥離せず、超硬母材とFe系化合物との結合力が強く、耐摩耗性に優れている。

0011

富化層におけるFe系化合物を、Fe2Cおよび/またはFe−Si−C系化合物にしてあるため、Fe2Cによる劈開性のある潤滑作用を有して耐摩耗性が向上し、そして、Fe−Si−C系化合物による硬度がHv1800〜2000と高硬度で耐摩耗性が向上する。(従来の超硬合金の硬度はHv1500〜1800)

0012

本発明の耐摩耗性超硬合金について、超硬工具を例に説明する。本発明のFe拡散工具は次のように作製した。

0013

市販品の超硬工具TX10(P10)、形状はSNMN432 を用いた。この工具をアセトン脱脂した後、ブラスト装置を用いて工具表面を粗面化させた。ブラスト条件は、空気圧5Kg/cm2で、距離約100 mmのところからWA砥粒(#30)で行った。その後、超硬工具表面に純鉄高純度化学研究所製:純度99.5%以上、100メッシュ以下)をプラズマ溶射装置(メテコAR−1000、出力65V、500 A)で溶射させた。被膜厚さは、200 μmを目標とした。尚、溶射後の超硬工具表面は約80℃程度であり、工具へのダメージは確認されなかった。

0014

このFe溶射工具をカーボンルツボに入れ、真空度0.133 Paの縦型電気炉中で加熱した。拡散させるための熱処理条件は、加熱温度800 ℃と900 ℃、加熱時間10分および30分で行った。処理後、サンドペーパー(#1500)を用いて余分なFeを除去し、ダイヤモンドハンドラッパー(#2000)を用いてブラストによる切れ刃微細損傷を除去するため、切れ刃をチャンファ角20゜、チャンファ幅0.02mmに仕上げ拡散処理工具(以下、処理工具と称する)を成型した。

0015

比較のための比較品(以下、未処理工具と称する)は、市販品の同じ超硬工具TX10(P10)、形状も同じSNMN432 であり、チャンファ角20゜、チャンファ幅0.02mmに仕上げた。

0016

旋削実験は、旋盤を用いて、長手外周三次元切削で行った。被削材は、炭素含有量による影響を見るためにS45CとS55Cを用いた。切り込みは、1mm、送り0.16mm/revで行った。工具摩耗は、ダイヤルゲージ付き小型工具顕微鏡オリンパスSTM)と触針式粗さ計(東京精密:MD−SR5A)を用いて、最大クレータ摩耗深さが0.03mmの寿命基準に達するまで行い、V−T線図を求め、比較品の未処理工具と本発明の処理工具とを比較した。尚、実験後の工具は、走査型電子顕微鏡日本電子製:T−20)で摩耗部の写真観察を行った。

0017

そして、本発明の処理工具表層部のFe拡散侵入深さおよび化合物の同定をした。Feの拡散侵入深さは、処理工具を切断し樹脂埋め後、断面をダイヤモンドペーパー(#1500)で研磨した同工具をX線マイクロアナライザー(日本電子製:JSM35C)でFe濃度から測定した。拡散による化合物の組成は、処理工具表面をX線回折装置(理学電気製RAD−γAローターフレックスRu−200)を用いて行った。X線源は、黒鉛モノクロメーターで単色化したCuKα(波長λ=1.541743A゜)を用いた。X線の管電圧管電流を、それぞれ40Kv、80〜100 mAの条件で測定し、回折パターンによりJCPDSカードと対比させて同定した。

0018

図1および2は、被削材S45Cを切削した時のクレータ摩耗のV−T線図を示している。この図1により、本発明の処理工具は比較品の未処理工具と比べて、各切削速度において1.9 〜4.1 倍寿命が延びていることが分かる。また、800 ℃:10分と900 ℃:10分の処理工具とでは、900 ℃:10分の処理工具の方が寿命は僅かに延びる。

0019

この原因は、Fe拡散侵入深さと組成の違いであると考えられる。尚、図2は、拡散処理時間を長くし(30分)、拡散量を増加させた場合のV−T線図を示している。図1と同様に、処理工具の寿命は、未処理工具より延びるが、切削速度150 m/minでは処理時間10分より両工具とも短くなる。

0020

図3および4は、被削材S55Cを切削した時のクレータ摩耗のV−T線図を示している。この図3により、全体的に工具寿命は、S45Cの時の工具寿命より1/8〜1/3程度、寿命は短くなるが、同じ傾向が得られた。

0021

S55Cは、炭素含有量がS45Cより多いために材料の機械的強度増し、その結果、切削温度が上昇したことと、加工中、被削材中の炭素が、Fe拡散処理で生じた複炭化物と反応し、炭素量の多い組成になったことが原因と考えられる。

0022

次に、拡散処理時間を30分にした処理工具の結果を図4に示す。この図4により、処理工具の寿命は未処理工具よりも延びることが分かる。また、処理温度800 ℃の処理工具は、900 ℃処理した処理工具と比較して、寿命は1.2 〜2倍程度さらに延びる。これは、拡散温度拡散時間によってFeの侵入深さや、工具表面層に生成した複炭化物の違いが寿命に差を生じさせた結果と考えられる。

0023

次に、切削速度別に求めた未処理工具の寿命に対する処理工具の寿命増加率図5および6に示す。この図5により、S45Cの場合、処理工具はいずれの条件でも未処理工具より2〜4倍寿命が延びていることが分かる。特に、900 ℃:10分の処理工具は、150 m/minで415 %寿命が延び、本発明の処理工具は耐クレータ摩耗性の効果が高いことを示している。

0024

このように、150 m/minの速度域では、工具寿命に違いが見られるが、250 m/minでは、切削熱の影響が大きく、工具表面改質効果より工具母材の熱軟化の影響が大きく現れ、未処理工具に対して2.5 倍程度の寿命増加となった。このことは、処理工具の耐クレータ摩耗性の効果は加工限界速度があることを示している。

0025

そして、図6により、S55Cの場合、処理工具の寿命は、いずれも未処理工具よりも延びる。800 ℃:10分の処理工具と800 ℃:30分の処理工具を比べると、S45Cの場合とは全く逆の結果が見られる。また、900 ℃:10分の処理工具と900 ℃:30分の処理工具を比較すると、150 m/minでは、900 ℃:10分の処理工具の方が1.6 倍以上も延びる。

0026

図7には、拡散反応生成物層厚に相当するFe拡散侵入深さと工具寿命の関係を示している。Fe拡散侵入深さは、800 ℃:10分の処理工具が一番浅く、以下、900 ℃:10分、900 ℃:30分、800 ℃:30分の処理工具の順に、工具内部へのFe拡散が深くなる。一般的に温度が高く、保持時間が長いほど拡散は進行するが、今回の場合は、同じ拡散処理時間30分でも、拡散温度800 ℃より900 ℃の方がFe拡散侵入深さは少なかった。これは、拡散温度が高くなると拡散速度が速く、また、複炭化物の生成速度も速くなる。その結果、複炭化物が障壁となりFe元素の拡散侵入深さが抑制されたものと思われる。

0027

しかし、工具寿命は、Fe拡散侵入深さが13μm付近で工具寿命が最も延び、それ以上深くなると寿命は逆に短くなる。この現象は切削速度150 m/minで顕著に現れるが、250 m/min以上では切削中の熱的要因が大きく、その効果は小さくなる。これは、処理工具の耐クレータ摩耗性への効果に、最適なFe拡散侵入深さが存在することを意味している。

0028

図8には、拡散処理を行った処理工具表面のX線回折パターンの一例を示している。処理工具表面には、C6Fe2O12、Fe2C、Fe−Si−C、Feの存在が確認される。これらの組成により、工具にFeを拡散処理することによって、工具寿命が延びた原因は、未処理工具では見られなかった劈開性のある潤滑剤としてのFe2Cと、高硬度で耐摩耗性に優れたFe−Si−Cが生成した結果と思われる。

0029

図9には、外径100 mmのテストピースを旋盤にて摩擦速度150 m/minの速さで回転させ、このテストピースに10mmの幅で線接触するように、試料としての未処理試料と、本発明の前記処理工具と同一組成処理試料(900 ℃:10分処理)を、荷重1Kgで加圧して摩耗試験した結果を示している。これにより、未処理試料に比べて拡散処理した処理試料は、耐摩耗性に優れていることが分かる。

0030

A.請求項1により、WC基超硬合金の表面下1〜500 μmの範囲にCoを含まないFe系化合物からなる富化層を形成すると共に、この富化層における前記Fe系化合物の組成比率を2〜50重量%にしてあるため、被削材および切り屑からのFe元素の拡散移動を抑制できると共に、従来の超硬合金に比べて高硬度を有するものであり、しかも、Fe系化合物が剥離せず、超硬母材とFe系化合物との結合力が強く、耐摩耗性に優れている。

0031

B.請求項2により、富化層におけるFe系化合物を、Fe2Cおよび/またはFe−Si−C系化合物にしてあるため、Fe2Cによる劈開性のある潤滑作用を有して耐摩耗性が向上し、そして、Fe−Si−C系化合物による硬度がHv1800〜2000と高硬度で耐摩耗性が向上する。

図面の簡単な説明

0032

図1未処理工具と拡散時間10分の処理工具におけるV−T線図。
図2未処理工具と拡散時間30分の処理工具におけるV−T線図。
図3未処理工具と拡散時間10分の処理工具におけるV−T線図。
図4未処理工具と拡散時間30分の処理工具におけるV−T線図。
図5切削速度と未処理工具に対する処理工具の寿命増加率を示すグラフ
図6切削速度と未処理工具に対する処理工具の寿命増加率を示すグラフ。
図7Fe拡散侵入深さと寿命時間の関係を示すグラフ。
図8X線回折パターン
図9未処理試料と処理試料の磨耗の程度を示すグラフ。

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