図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(1994年4月26日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

目的

広範囲操舵条件運転者の負担を軽減できる操舵を可能にする。

構成

トーションバー9を有するステアリング機構1を設け、オイルポンプ33に接続のロータリバルブ16を入力軸出力軸の間に一方に被押圧部を突設、他方に押圧部を備えるバルブ駆動機構15を設け、トーションバーの捩れ方向にロータリバルブを回転させ得られるアシスト力と逆方向に得られるアシスト力との目標アシストを設定して設定アシスト力となるよう押圧子駆動機構を設け、ロータリバルブの作動角に対するロータリバルブの圧力を制御し、ハンドル操舵力を広範囲条件で負担の軽減が図れる。センタリング制御時、アシスト力を徐々に上昇させると共に低下させ、ハンドル戻し動作を滑らかに行なう。ハンドル操作に必要な目標トルクを、ハンドル角速度ポジティブフィードバックして設定により、ハンドル力に対しハンドル角位相を進めた進相制御が行なえる。

概要

背景

自動車には、運転者の軽いハンドル操作によって操舵が行なえるように、油圧式パワーステアリング装置装備しているものがある。

このパワーステアリング装置は、ハンドルにつながる入力軸操舵輪前輪)につながる出力軸とをトーションバーによって連結し、油圧アシスト系を介入して入力軸の回転力を前輪の操舵力として伝達するようにしている。

アシスト系には、トーションバーの捩れに応じて相対変位するロータリバルブが入力軸と出力軸の間に設けられ、ロータリバルブには、エンジン駆動式のオイルポンプ及び前輪を操舵方向に駆動するパワーシリンダが接続されている。そして、ハンドルの回転で相対変位するロータリバルブによって得られる油圧をパワーシリンダへ供給し、アシスト力を発生させている。

即ち、ハンドルを回転させると、入力軸及びトーションバーを介して出力軸が回転する。この時、出力軸は前輪の路面抵抗によって回転が妨げられ、その路面抵抗の分トーションバーが捩じられ、入力軸はトーションバーの捩じれ角の分余分に回転することになる。

これにより、入力軸と出力軸との間に設けられたロータリバルブには回転差(相対変位)が生じ、この回転差によって発生する油圧がパワーシリンダのシリンダ室に供給される。パワーシリンダに油圧が供給されることにより、ハンドルの回転方向に前輪が操舵され、操舵力が軽くなるようになっている。

一方、従来のパワーステアリング装置では、アシスト系に反力を発生させる反力機構と、この反力機構を制御するコントロールバルブとを設け、ハンドルの手応えを油圧により可変にしてハンドルの切り戻し性を向上させるものがある。

この反力機構を説明する。

入力軸(もしくは出力軸)には、径方向の両側に突出する一対の突部が設けられ、この突部は軸線方向に沿って二対備えられている。

出力軸(もしくは入力軸)には、軸方向一方側の一対の突部を押圧付勢して入力軸を一方向から相対回転中立位置に回転させる第一反力ピストンが設けられ、第一反力ピストンは入力軸の軸心を挾んで対角位置に配されている。更に出力軸には、軸方向他方側の一対の突部を押圧付勢して入力軸を他方向から相対回転中立位置に回転させる第二反力ピストンが設けられ、第二反力ピストンは第一反力ピストンと対称状態で入力軸の軸心を挾んで対角位置に配されている。

第一反力ピストン及び第二反力ピストンを入力軸の突部に当接させることで入力軸の回転力、即ちハンドルの操舵力に反力を付加し、コントロールバルブによって第一反力ピストン及び第二反力ピストンの駆動油圧を制御することでハンドルの手応えが可変となる。

概要

広範囲操舵条件で運転者の負担を軽減できる操舵を可能にする。

トーションバー9を有するステアリング機構1を設け、オイルポンプ33に接続のロータリバルブ16を入力軸と出力軸の間に一方に被押圧部を突設、他方に押圧部を備えるバルブ駆動機構15を設け、トーションバーの捩れ方向にロータリバルブを回転させ得られるアシスト力と逆方向に得られるアシスト力との目標アシストを設定して設定アシスト力となるよう押圧子駆動機構を設け、ロータリバルブの作動角に対するロータリバルブの圧力を制御し、ハンドルの操舵力を広範囲条件で負担の軽減が図れる。センタリング制御時、アシスト力を徐々に上昇させると共に低下させ、ハンドル戻し動作を滑らかに行なう。ハンドル操作に必要な目標トルクを、ハンドル角速度ポジティブフィードバックして設定により、ハンドル力に対しハンドル角位相を進めた進相制御が行なえる。

目的

本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、広範囲の操舵条件で運転者の負担を少なくして操舵条件に合った操舵を可能にするパワーステアリング装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

操舵輪につながる出力軸トーションバーの一端部に連結すると共にハンドルにつながる入力軸をトーションバーの他端部に連結してなり、前記ハンドルの操舵操作にしたがって前記操舵輪を操舵するステアリング機構と、所定の油圧を発生させる油圧発生部と、前記ステアリング機構の前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記油圧発生部に接続されて前記ハンドルの操舵操作時における前記トーションバーの捩じれにしたがい相対変位して油圧のアシスト力を出力するロータリバルブと、該ロータリバルブからの油圧で前記操舵輪を操舵方向に駆動するシリンダ機構と、前記ステアリング機構の前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、該入力軸もしくは該出力軸の一方に突設された被押圧部を有すると共に該被押圧部を軸方向両側に押圧するために該入力軸もしくは該出力軸の他方側に具えられた押圧子を有し、該押圧子の駆動による前記被押圧部の押圧で前記トーションバーに独立した捩じりモーメントを発生させるバルブ駆動機構と、該バルブ駆動機構の前記押圧子を電磁弁励磁によって駆動させる押圧子駆動手段と、前記トーションバーの捩じれ方向と同方向に前記ロータリバルブを回転させることで得られるアシスト力と前記トーションバーの捩じれ方向と逆方向に前記ロータリバルブを回転させることで得られるアシスト力との目標値である目標アシスト力が設定されると共に、ハンドルの操舵操作時に該目標アシスト力となるように前記バルブ駆動機構の前記押圧子を駆動させるべく、前記電磁弁の励磁を行なう制御手段とを備え、該制御手段は、車両の速度が所定値以下の低速域で前記ハンドルを中立状態に操舵させるアシスト力を発生させるセンタリング制御機能、前記低速域で前記ハンドルの操舵方向と同方向にアシスト力を発生させる操舵力制御機能、および車両の速度が所定値以上の高速域で前記ハンドルの操舵方向と同方向もしくは逆方向にアシスト力を発生させる操舵反力制御機能を有し、該制御手段は、ハンドル操作に必要な目標トルクを、ハンドル角速度ポジティブフィードバックして設定することにより、ハンドル力に対してハンドル角位相を進めた進相制御をおこなう手段を備えたことを特徴とする車輛パワーステアリング装置

技術分野

0001

本発明は、例えば自動車前輪操舵するために用いられる車両用パワーステアリング装置に関する。

背景技術

0002

自動車には、運転者の軽いハンドル操作によって操舵が行なえるように、油圧式パワーステアリング装置装備しているものがある。

0003

このパワーステアリング装置は、ハンドルにつながる入力軸操舵輪(前輪)につながる出力軸とをトーションバーによって連結し、油圧アシスト系を介入して入力軸の回転力を前輪の操舵力として伝達するようにしている。

0004

アシスト系には、トーションバーの捩れに応じて相対変位するロータリバルブが入力軸と出力軸の間に設けられ、ロータリバルブには、エンジン駆動式のオイルポンプ及び前輪を操舵方向に駆動するパワーシリンダが接続されている。そして、ハンドルの回転で相対変位するロータリバルブによって得られる油圧をパワーシリンダへ供給し、アシスト力を発生させている。

0005

即ち、ハンドルを回転させると、入力軸及びトーションバーを介して出力軸が回転する。この時、出力軸は前輪の路面抵抗によって回転が妨げられ、その路面抵抗の分トーションバーが捩じられ、入力軸はトーションバーの捩じれ角の分余分に回転することになる。

0006

これにより、入力軸と出力軸との間に設けられたロータリバルブには回転差(相対変位)が生じ、この回転差によって発生する油圧がパワーシリンダのシリンダ室に供給される。パワーシリンダに油圧が供給されることにより、ハンドルの回転方向に前輪が操舵され、操舵力が軽くなるようになっている。

0007

一方、従来のパワーステアリング装置では、アシスト系に反力を発生させる反力機構と、この反力機構を制御するコントロールバルブとを設け、ハンドルの手応えを油圧により可変にしてハンドルの切り戻し性を向上させるものがある。

0008

この反力機構を説明する。

0009

入力軸(もしくは出力軸)には、径方向の両側に突出する一対の突部が設けられ、この突部は軸線方向に沿って二対備えられている。

0010

出力軸(もしくは入力軸)には、軸方向一方側の一対の突部を押圧付勢して入力軸を一方向から相対回転中立位置に回転させる第一反力ピストンが設けられ、第一反力ピストンは入力軸の軸心を挾んで対角位置に配されている。更に出力軸には、軸方向他方側の一対の突部を押圧付勢して入力軸を他方向から相対回転中立位置に回転させる第二反力ピストンが設けられ、第二反力ピストンは第一反力ピストンと対称状態で入力軸の軸心を挾んで対角位置に配されている。

0011

第一反力ピストン及び第二反力ピストンを入力軸の突部に当接させることで入力軸の回転力、即ちハンドルの操舵力に反力を付加し、コントロールバルブによって第一反力ピストン及び第二反力ピストンの駆動油圧を制御することでハンドルの手応えが可変となる。

発明が解決しようとする課題

0012

従来のパワーステアリング装置では、ハンドルの回転に伴なうトーションバーの捩じれ具合により、ロータリバルブの作動角とロータリバルブからの発生油圧の関係が一義的に決定されている。このため、ロータリバルブの変位だけでは操舵力が適切にコントロールできず、操舵力の可変幅制約が生じていた。

0013

また、反力機構の第一反力ピストン及び第二反力ピストンを駆動するコントロールバルブの油圧制御は、ハンドルの操舵角及び車速により決定されたマップに基づいて一義的に行なわれている。このため、反力機構における操舵力の可変幅にも制約が生じていた。

0014

また、従来のパワーステアリング装置の反力機構は一対の突部が入力軸(もしくは出力軸)に設けられ、この一対の突部が入力軸(もしくは出力軸)の軸方向に二段に並設され、各々の径方向突部に対して反力ピストンが備えられているので、パワーステアリング装置が軸方向に長くなり軽量コンパクト化を阻害していた。

0015

更に、反力機構はハンドルの操舵力に反力を与えるだけであるため運転者がハンドルから手を放すとハンドルは戻らず、特にハンドルを大きく操舵した状態からの据え切り戻し時にあっては、運転者は大きな操舵戻しの負担を強いられていた。

0016

本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、広範囲操舵条件で運転者の負担を少なくして操舵条件に合った操舵を可能にするパワーステアリング装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

斯かる目的を達成する本発明の構成は操舵輪につながる出力軸をトーションバーの一端部に連結すると共にハンドルにつながる入力軸をトーションバーの他端部に連結してなり、前記ハンドルの操舵操作にしたがって前記操舵輪を操舵するステアリング機構と、所定の油圧を発生させる油圧発生部と、前記ステアリング機構の前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記油圧発生部に接続されて前記ハンドルの操舵操作時における前記トーションバーの捩じれにしたがい相対変位して油圧のアシスト力を出力するロータリバルブと、該ロータリバルブからの油圧で前記操舵輪を操舵方向に駆動するシリンダ機構と、前記ステアリング機構の前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、該入力軸もしくは該出力軸の一方に突設された被押圧部を有すると共に該被押圧部を軸方向両側に押圧するために該入力軸もしくは該出力軸の他方側に具えられた押圧子を有し、該押圧子の駆動による前記被押圧部の押圧で前記トーションバーに独立した捩じりモーメントを発生させるバルブ駆動機構と、該バルブ駆動機構の前記押圧子を電磁弁励磁によって駆動させる押圧子駆動手段と、前記トーションバーの捩じれ方向と同方向に前記ロータリバルブを回転させることで得られるアシスト力と前記トーションバーの捩じれ方向と逆方向に前記ロータリバルブを回転させることで得られるアシスト力との目標値である目標アシスト力が設定されると共に、ハンドルの操舵操作時に該目標アシスト力となるように前記バルブ駆動機構の前記押圧子を駆動させるべく、前記電磁弁の励磁を行なう制御手段とを備え、該制御手段は、車両の速度が所定値以下の低速域で前記ハンドルを中立状態に操舵させるアシスト力を発生させるセンタリング制御機能、前記低速域で前記ハンドルの操舵方向と同方向にアシスト力を発生させる操舵力制御機能、および車両の速度が所定値以上の高速域で前記ハンドルの操舵方向と同方向もしくは逆方向にアシスト力を発生させる操舵反力制御機能を有し、該制御手段は、ハンドル操作に必要な目標トルクを、ハンドル角速度ポジティブフィードバックして設定することにより、ハンドル力に対してハンドル角位相を進めた進相制御をおこなう手段を備えたことを特徴とする。

0018

ハンドルを操舵操作すると、路面抵抗との差分捩じられようとするトーションバーは、バルブ駆動機構によって目標アシスト力となるように所定の方向に捩じられる。これにより、当初はバルブ駆動機構によりロータリバルブが駆動され、その後、路面抵抗との差分で捩じられるトーションバーによってロータリバルブが駆動され、シリンダ機構に必要な油圧が供給されていく。

0019

この時得られる操舵力は、ハンドル操作によって捩じられるトーションバーの作動角の領域におけるロータリバルブの出力による操舵力と、バルブ駆動機構の押圧子によってロータリバルブがトーションバーの捩じれ方向(同位相:作動角増加)に回転させることで生じる軽い操舵力(ハンドル操作による操舵よりもロータリバルブの圧力が早く立ち上がることによる)と、バルブ駆動機構の押圧子によってロータリバルブがトーションバーの捩じれ方向と逆の方向(逆位相:作動角減少)に回転されることで生じる重い操舵力(ハンドル操作による操舵よりもロータリバルブの圧力が遅く立ち上がることによる)とを組み合わせた広範囲の領域で変化する。

0020

ハンドル操作に必要となる目標トルクは、ハンドル角速度をポジティブフィードバックして求められるので、ハンドル力よりもハンドル角の位相が進んだ進相制御がなされることになる。

0021

以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1には本発明の一実施例に係るパワーステアリング装置の全体構成、図2には自動車の操舵輪(左右の前輪)を操舵するステアリング機構を表わす断面、図3には図2中のIII −III 線矢視、図4には図2中のIV−IV線矢視を示してある。

0022

図2において、2はステアリング機構1を構成する例えばラック&ピニオン式のステアリングギヤであり、ステアリングギヤ2はケーシング3にラック4及びピニオン5を内蔵した構造となっている。

0023

図1に示すように、ラック4の一方の端部は、ステアリングロッド6、タイロッド6a及びナックル6bを介して一方の前輪8に連結されている。また、ラック4の他方の端部は、ステアリングロッド6、パワーシリンダ装置(シリンダ機構)7,タイロッド6a及びナックル6bを介して他方の前輪8に連結されている。

0024

ステアリングギヤ2のピニオン5には、アウトプットシャフト5a(出力軸)を介してトーションバー9の下端部が連結されている。トーションバー9の上端部は、ステアリングギヤ2の上部に設けられたバルブユニット10を貫通してインプットシャフト11(入力軸)に連結されている。またインプットシャフト11の端部は、ステアリングシャフト12を介してハンドル13に連結されている。ハンドル13から回転変位が入力されると、ステアリングシャフト12、トーションバー9、ピニオン5、ラック4及びステアリングロッド6を介して左右の前輪8が操舵されるようになっている。

0025

バルブユニット10は、ステアリングギヤ2の上部にトーションバー9を囲むようにハウジング14が据付けられ、このステアリングギヤ2の上部からハウジング14内にかけての部分に、バルブ駆動アクチュエータ15(バルブ駆動機構)及びロータリバルブ16が下側から順に設けられている。

0026

ロータリバルブ16は、ハウジング14の内面に筒状のアウターバルブ17が回転可能に設けられ、インプットシャフト11にアウターバルブ17と組み合う筒状のインナーバルブ18が一体に設けられてなる。つまり、ロータリバルブ16は、ハンドル13からの回転操作によってトーションバー9が捩じれると、アウターバルブ17とインナーバルブ18との間で相対的な変位が発生する構成となっている。

0027

アウターバルブ17に形成されている流入ポート17aはハウジング3に設けられた流入口体19に連通し、インナーバルブ18に形成されている流出ポート18aはハウジング3に設けられた流出口体20に連通している。またアウターバルブ17に形成されている出力ポート(図示省略)は、ハウジング3に設けられた一対の出力ポート部21,22に連通している。出力ポート部21,22はパワーシリンダ装置7に接続されている。

0028

パワーシリンダ装置7は、図1に示すように、シリンダ23にはシリンダ23を貫通するようにピストンロッド24が摺動自在に設けられ、このピストンロッド24の一部にシリンダ23を長手方向両側(左右)に仕切るようにピストン25が設けられている。ピストン25で仕切られた左右の室25a,25bと連通する一対の入力ポート26,27が、流路28,29を介して出力ポート部21,22に接続されている。

0029

ハウジング3の流入口体19は、流路30および分流ユニット31(1つの入口部31aと2つの出口部31b,31bとがオリフィス付の流路31c,31cで接続されている)を介して、自動車の走行用エンジン32で駆動されるリリーフバルブ付のオイルポンプ33(油圧発生部)に接続されている。またハウジング3の流出口体20は流路34を介してオイルリザーバ35に接続され、パワーシリンダ装置7に対する油圧回路が構成されている。

0030

ロータリバルブ16のアウターバルブ17とインナーバルブ18とが相対的に変位すると、油圧回路によって、操舵力及び操舵方向に応じた油圧がロータリバルブ16からパワーシリンダ装置7の室25a,25bに供給される。つまり、前輪8は油圧でアシストされながら操舵される。なお、オイルポンプ33はポンプ回転数に応じてロータリバルブ16への吐出流量が変化する特性を持ったポンプが用いられている。

0031

バルブ駆動アクチュエータ15を説明する。

0032

インプットシャフト11の下端部(インナーバルブ18の直下の軸部分)には延長部分37が形成され、延長部分37はインプットシャフト11の下端部分がトーションバー9の軸心方向に沿って下方へ延長された状態になっている。この延長部分37の周囲のケーシング3は大径部分となり、大径部分内には円形の室47が形成されている。この室47の内部には、アウトプットシャフト5aと一体に連結された中空の円形な大径部38が回転自在に収容されている。大径部38はロータリバルブ16のアウターバルブ17にピン36を介して連結されている。大径部38の外周面の全体にはインナースリーブ39が嵌め込まれ、このインナースリーブ39と対向する室41の内周面にはアウタースリーブ40が回転自在に嵌め込まれている。

0033

図3図4に示すように、大径部38の内部には、大径部38の貫通孔38aにおける円周方向の180度隔たった対称の2か所の地点から、それぞれ半径方向の外側に延びる偏平凹部状の室41が形成されている。

0034

大径部38で覆われた延長部分37には、円周方向の180度隔たった対称の2か所の地点から半径方向の外側に張出す板状の張出し部42(被押圧部)がそれぞれ形成されている。張出し部42はいずれも室41の長さおよび幅寸法よりも小さな外形に形成され、張出し部42は室41内に同心的に遊嵌されている。板状の張出し部42と偏平な室41との隙間は、ロータリバルブ16の作動角を補償するに必要な領域が設定できる寸法に定められ、トーションバー9がインプットシャフト11に対して所定角度の範囲で捩じられるようになっている。

0035

また大径部38の室41を挾む両側の部分には、張出し部42を挾んで直列に連なるように、孔部、例えば4つの円形の孔部43が対称に形成されている。これら各孔部43には、対称をなしてそれぞれプランジャ44a,44b(押圧子)が軸方向に摺動自在に嵌挿されている。各プランジャ44a,44bが先端中央には突起42aが形成され、突起42aにより張出し部42の板面部分が押圧されるようになっている。また各プランジャ44a,44bの全長は、孔部43の長さ寸法よりも短く設定され、プランジャ44a,44bの後端面とインナスリーブ39とで囲まれた孔部分にはそれぞれ油圧室45,46が形成されている。以下、これら対称な4つの油圧室45,46のうち、室41に対して時計方向後側の2つのものを第1油圧室45、室41に対して時計方向前側の2つのものを第2油圧室46と記載する。

0036

図2に示すように、インナスリーブ39の外周面の上部には第1環状油路48が設けられ、インナスリーブ39の外周面の下部には第2環状油路49が設けられている。第1環状油路48は、図3に示すように、各第1油圧室45の位置と対応するインナスリーブ39にそれぞれ設けられた第1孔路50aを介して2つの第1油圧室45に連通している。また第2環状油路49は、図4に示すように、各第2油圧室46の位置と対応するインナスリーブ39に設けられた第2孔路50bを介して2つの第2油圧室46に連通している。

0037

図2に示すように、アウタスリーブ40の外周面の上部には第1環状油路51が設けられ、アウタスリーブ40の外周面の下部には第2環状油路52が設けられている。なお、図中の符号で53は、第1環状油路51の上段、第1環状油路51と第2環状油路52との間及び第2環状油路52の下段にそれぞれ設けられた油路シール用のOリングである。

0038

図3に示すように、アウタスリーブ40の第1環状油路51は、ケーシング3に形成された第1入出口体54に連通し、アウタスリーブ40の第2環状油路52はケーシング3に形成された第2入出口体55に連通している。

0039

第1入出口体54および第2入出口体55は、それぞれ流路56,57、圧力調整弁で構成される第1,第2の制御弁58,59および分流ユニット60(1つの入口部60aと2つの出口部60b,60bとがオリフィス付の流路60c,60cで接続されている)を介して、前記分流ユニット31のもう一方の出口部31bに接続され、第1,第2の制御弁58,59の作動により、分流ユニット31,60で分けたオイルポンプ33からの油圧が入出口体54あるいは入出口体55に供給されるようになっている。なお、各制御弁58,59の戻り部は、流路34によりオイルリザーバ35につながっている。

0040

インナスリーブ39の第1環状油路48とアウタスリーブ40の第1環状油路51とは、アウタスリーブ40に設けられた第1連通孔61,61を介して連通している。さらにインナスリーブ39の第2環状油路49とアウタスリーブ40の第2環状油路52とは、アウタスリーブ40に設けられた第2連通孔62,62を介して連通している。

0041

以上のように構成された油圧回路64(押圧子駆動手段)における第1および第2の制御弁58,59の作動と第1および第2の油圧室45,46への油圧の作用との状況を図5図6に基づいて説明する。図5(a),(b),(c)には第1および第2油圧室45,46への油圧の作用状況、図6(a),(b),(c)には図5に対応したプランジャ44a,44bの動作を概略的に示してある。

0042

第1および第2の制御弁58,59が作動しない時は、第1油圧室45および第2油圧室46に油圧は作用しない。

0043

第1の制御弁58のみが作動した時は図5(a),図6(a)に示すように、オイルポンプ33からの圧油が第1油圧室45に供給され、プランジャ44bが張出し部42を押圧し、トーションバー9に例えばロータリバルブ16の正転方向(右方向)の捩じりモーメントを発生させるようにしてある。即ち、図24で示されるように、ロータリバルブ16のバルブ作動角微少に増加させていく。

0044

第2の制御弁59のみが作動した時は、図5(b),図6(b)に示すように、オイルポンプ33からの圧油が第2油圧室46に供給され、プランジャ44aが張出し部42を押圧し、トーションバー9に例えばロータリバルブ16の逆転方向(左方向)の捩じりモーメントを発生させるようにしてある。

0045

従って、第1および第2の制御弁58,59の切換動により、トーションバー9に独立して捩じりモーメントを発生させることができる。

0046

第1および第2の制御弁58,59が作動した時は、図5(c),図6(c)に示すように、オイルポンプ33からの圧油が第1および第2油圧室45,46に供給され、プランジャ44a,44bが張出し部42を両側から押圧する。この状態では、トーションバー9の等価剛性が高められ、例えばハンドル13の中立付近時における手応え感と安定感を増すことができる。

0047

第1および第2の制御弁58,59は、図7に示したマップのように、制御電圧(V)が増加するにしたがって第1および第2入出口体54,55に供給される圧力が高くなる制御弁が用いられている。

0048

第1および第2の制御弁58,59のソレノイド部58a,59aには、マイクロコンピュータおよびその周辺回路から構成される制御手段としてのコントロールユニット(ECU)70が接続されている。ECU70には自動車の走行速度(車速:Vel)を検出する車速センサ71、ハンドル13の操舵角(ハンドル角:θh)を検出するハンドル角センサ72、ハンドル13に作用するトルク操舵トルク:tq2)を検出するトルクセンサ73が接続されている。

0049

この制御系により、トーションバー9の捩じれ方向と同じ方向にロータリバルブ16を回転させることで得られるアシスト力と、トーションバー9の捩じれ方向と逆の方向にロータリバルブ16を回転させることで得られるアシスト力とによって目標のアシスト力の範囲を設定し、このアシスト力になるようにプランジャ44a,44bを駆動し、トーションバー9に必要な捩じりモーメントを発生させるようにしている。

0050

このため、ECU70には、ハンドル13が正転(右)か逆転(左)に操作されているかを判断する機能、このときのハンドル13の操作に必要な目標トルクを求める機能が設定されている。これによって目標のアシスト力の範囲、すなわちハンドル13の操舵によって捩じられるトーションバー9で得られるアシスト力に、トーションバー9の捩じれ方向と同じ方向にロータリバルブ16を回転させることで得られるアシスト力と、トーションバー9の捩じれ方向と逆の方向にロータリバルブ16を回転させることで得られるアシスト力とを組合わせたアシスト力領域が設定されるようになっている。

0051

またECU70には、ハンドル13の操舵力をコントロールするモードにするかハンドル13の中立を保つセンタリングモードにするか否かを判断する機能、ソレノイド部58a,59aの制御電圧値演算する機能が設定されている。

0052

さらにECU70には、現在のハンドル13のハンドル角の変動(ハンドル角速度:θh)を判断する機能、第1の制御弁58を上記演算結果にしたがって作動(ロータリバルブ16の相対変位の方向と同じ方向にトーションバー9に捩じりモーメントを発生)させる機能、第2の制御弁59を上記演算結果にしたがって作動(ロータリバルブ16の相対変位の方向と逆の方向にトーションバー9に捩じりモーメントを発生)させる機能が設定されている。これにより、目標のアシスト力になるべく、プランジャ44a,44bを駆動して、必要な捩じりモーメントをトーションバー9に発生させるようにしている。

0053

次に、ECU70内の制御動作図8乃至図21に基づいて具体的に説明する。図8乃至図20にはパワーステアリング装置の制御フローチャートを示してある。また、図21にはパワーステアリング装置の低速側のアシスト制御におけるタイミングチャートを示してある。

0054

ECU70はイグニッションキースイッチ(IG)のON信号によって起動される。

0055

テップS1において初期値設定がなされ、各制御フラグが0(非実行側)に設定されると共に、全ての変数が0に設定される。また、各種係数が予め設定された値でセットされる。

0056

ステップS2においてハンドル13の中立信号(Hc値)が読み込まれ、ステップS3においてハンドル角センサ72から検出されるハンドル角θhが読み込まれる。その後ステップS4におけるハンドル角計算ルーチンでハンドル角θhが計算される。

0057

ステップS4におけるハンドル角計算ルーチンを図13に基づいて説明する。ステップS4では、ハンドル13のHc値がONになるまではハンドル角θhを0とし、大舵角に操舵されたままIGがONになった時の安全性を確保する。

0058

図13に示すように、ステップS4−1でHc値がONか否かが判断され、Hc値がONと判断された場合ステップS4−2でハンドル角θhを0にし、ステップS4−3でハンドル中立フラグHcflagの状態を判断する。ステップS4−3でHcflag=0、即ちハンドル13が中立ではないと判断された場合、ステップS4−4でHcflag=1、即ちハンドル13が中立であるとしてメインフローチャートに戻り、ステップS4−3でHcflag=0ではないと判断された場合、そのままメインのフローチャートに戻る。

0059

一方、ステップS4−1でHc値がONではないと判断された場合、ステップS4−5でHcflag=0か否かが判断され、Hcflag=0であればステップS4−6でハンドル角θhを0にしてメインのフローチャートに戻る。ステップS4−5でHcflag=0でないと判断された場合、ステップS4−7でハンドル13が右操左操舵かが判断される。右操舵であればステップS4−8でハンドル角θhに読み込み値加算(θh=θh+CNT)してメインのフローチャートに戻り、左操舵であればステップS4−9でハンドル角θhに読み込み値を減算(θh=θh−CNT)してメインのフローチャートに戻る。

0060

ステップS4では、最終的にHc値がONになるまではハンドル角θhを0にし、その後の処理で制御の実行開始条件とならないようにしている。

0061

メインのフローチャートに戻り、図8に示すように、ステップS5,S6,S7でハンドル角速度θh、車速センサ71で検出される車速Vel、トルクセンサ73で検出される操舵トルクtq2が読み込まれる。

0062

ステップS8で車速Velが15km/h以上か否かが判断され、車速Velが15km/h以上であった場合、ステップS9で車速フラグ(Vflag)=1とし高速側の反力制御を実行可能にする。ステップS8で車速Velが15km/hに満たないと判断された場合、ステップS10で車速Velが10km/h以下か否かが判断される。車速Velが10km/h以下であった場合、ステップS11でVflag=0とし低速側の制御を実行可能にする。ステップS9及びステップS11でVflagを0または1にセットした後、ステップS12でVflagの状況を判断し、Vflag=1の場合、ステップS13における高速走行時の操舵反力制御(操舵反力機能:後述)を実行し、Vflag=1ではない場合、図9に示したメインのフローチャートを実行する。

0063

車速Velが10km/h以下の場合、低速側のアシスト制御となり、運転条件によって、ハンドル13を中立に保つ状態にアシストするセンタリング制御(センタリング制御機能)と、ハンドル13の操舵力をアシストする操舵力制御(操舵力制御機能)とが実行される。

0064

図9に示すように、ステップS14でセンタリング制御中か否か、即ちセンタリングフラグCflag=1か否かが判断され、センタリングフラグCflag=1ではない場合、ステップS15で操舵トルクtq2の制御判定トルクしきい値Tq0を、予め設定された値であるTq00の値とする。センタリングフラグCflag=1の場合、ステップS16で操舵トルクtq2の制御判定トルクしきい値Tq0を、予め設定された値であるTq00に係数Kc(例えば2〜4)を乗じた値(Tq00<KcTq00)とする。

0065

即ち、図21(b)に一点鎖線で示すように、センタリング制御中(Cflag=1)は制御判定トルクしきい値Tq0を大きくし、ハンドル13の慣性等により操舵トルクtq2が大きく逆向きになっても、制御判定トルクしきい値Tq0の範囲内とし、センタリング制御が続行されるようにしている。

0066

ステップS15もしくはステップS16で操舵力制御もしくはセンタリング制御での操舵トルクtq2の制御判定トルクしきい値Tq0が設定された後、ステップS17の制御設定ルーチンで操舵力制御を行なうかセンタリング制御を行なうかを決める。

0067

ステップS17における制御設定ルーチンを図14に基づいて説明する。ステップS17では、操舵力制御を行なうか(操舵力制御フラグtqflag=1とする)、操舵力制御をリセット状態にして(tqflag=0)センタリング制御を実行可能にするかを決める。

0068

図14に示すように、ステップS17−1で操舵トルクの絶対値|tq2|が制御判定トルクしきい値Tq0以上か否か判断される。運転開始直後は、前述のステップS14においてCflag=1ではないと判断されるため、制御判定トルクしきい値Tq0は設定値Tq00となる。

0069

操舵トルクtq2の絶対値|tq2|が制御判定トルクしきい値Tq0以上の場合、ステップS17−2で操舵力制御フラグtqflagを1にセットし操舵力制御を実行可能にする。次にステップS17−3で制御タイマtqTを0にすると共に、ステップS17−4でCflag=0としてセンタリング制御をリセットし、メインのフローチャートに戻る。

0070

ステップS17−1で操舵トルクtq2の絶対値|tq2|が制御判定トルクしきい値Tq0よりも小さいと判断された場合、ステップS17−5で第1および第2の制御弁58,59を作動させるソレノイド部58a,59aへの指令制御電圧Volが0か否かを判断する。既に、指令制御電圧Volが出力されている場合、メインのフローチャートに戻る。ステップS17−5で指令制御電圧Volが0であると判断された場合、ステップS17−6で制御タイマtqTをカウントし(tqTCNT)、ステップS17−7で制御タイマtqTの値が0.5秒以上か否かを判断する。制御タイマtqTが0.5秒に達していない場合、メインのフローチャートに戻り、制御タイマtqTが0.5秒以上であった場合、ステップS17−8で操舵力制御フラグtqflag=0(操舵力制御リセット)としセンタリング制御を実行可能にしてメインのフローチャートに戻る。

0071

つまり、指令制御電圧Volが0Vで、且つ操舵トルクtq2の絶対値|tq2|が制御判定トルクしきい値Tq0よりも小さい状態が0.5秒以上となった時(図21における区間A参照)、センタリング制御が実行可能になる。また、操舵トルクtq2の絶対値|tq2|が制御判定トルクしきい値Tq0以上であれば、即操舵力制御を実行可能にする。

0072

これにより、ハンドル13の操舵中トルク変動によって制御判定トルクしきい値Tq0よりも操舵トルクtq2の値が一時的に小さくなっても、短時間(0.5秒未満)であればセンタリング制御に移行することがない。また、操舵トルクtq2の値が制御判定トルクしきい値Tq0以上となった場合、瞬時に操舵力制御に移行できるので、センタリング制御であっても直ちにハンドル13を停止させることができる。

0073

ステップS17で制御設定ルーチンを実行した後、ステップS18で操舵力制御フラグtqflag=1か否かが判断され、操舵力制御フラグtqflag=1の場合、図10で示した操舵力制御を実行し、操舵力制御フラグtqflag=1ではない、即ち操舵力制御フラグtqflag=0の場合、図11図12で示したセンタリング制御を実行する。

0074

図10で示した操舵力制御を説明する。

0075

図9のステップS18で操舵力制御フラグtqflag=1であると判断された場合、ステップS19の方向決定ルーチンで操舵方向を決定する。

0076

ステップS19における方向決定ルーチンを図15に基づいて説明する。このステップS19の操舵方向の決定は、操舵トルクtq2の判定を逆向きの制御判定トルクしきい値(±Tq0)で行ない、且つハンドル角速度θhの判定を逆向きのハンドル角速度の値で行なうものである。

0077

図15に示すように、ステップS19−1で操舵トルクtq2が(負側の制御判定トルクしきい値)−Tq0以上か否かが判断され、操舵トルクtq2が負側の制御判定トルクしきい値−Tq0以上(正側に向う)であれば右操舵状態とし、ステップS19−2でハンドル角速度θhが−5deg/S以上か否かを判断する。

0078

実際に右操舵状態であればハンドル角速度θhは−5deg/Sより大きくなるため、ステップS19−3で操舵方向フラグtflag=0(左操舵)か否かを判断し、操舵方向フラグtflag=0であればステップS19−4で前回目標操舵トルク(後述する)とのトルク差dtq1(初期値は0にセットされている)を0にし、ステップS19−5で操舵方向フラグtflag=1として右操舵制御とする。右操舵となっていない場合、ハンドル角速度θh≦−5deg/Sとなりそのままメインのフローチャートに戻る。ステップS19−3で操舵方向フラグtflag=0でないと判断された場合、そのまま進みステップS19−5で操舵方向フラグtflag=1として右操舵制御とする。

0079

つまり、操舵方向フラグtflag=1として右操舵制御とする場合、図22実線で示すように、操舵トルクtq2の判定は左操舵側の制御判定トルクしきい値−Tq0で行ない、且つハンドル角速度θhの判定は左操舵側のマイナスのハンドル角速度の値で行なう。

0080

ステップS19−1で操舵トルクtq2が負側の制御判定トルク値−Tq0以上ではないと判断された場合、ステップS19−6で操舵トルクtq2が正側の制御判定トルクしきい値Tq0以下か否かが判断され、操舵トルクtq2が正側の制御判定トルクしきい値Tq0以下(負側に向う)であれば左操舵状態とし、ステップS19−7でハンドル角速度θhが5deg/S以上か否かを判断する。ステップS19−6で操舵トルクtq2が正側の制御判定トルクしきい値Tq0以下ではないと判断された場合、及びステップS19−7でハンドル角速度θhが5deg/S以上であると判断された場合、左操舵状態とならないためメインのフローチャートに戻る。

0081

実際に左操舵状態であればハンドル角速度θhは5deg/Sより小さくなるため、ステップS19−8で操舵方向フラグtflag=0(右操舵)か否かを判断し、操舵方向フラグtflag=1であればステップS19−9でトルク差dtq1を0にし、ステップS19−10で操舵方向フラグtflag=0として左操舵制御とする。ステップS19−8で操舵方向フラグtflag=1でないと判断された場合、そのまま進みステップS19−10で操舵方向フラグtflag=0として左操舵制御とする。

0082

つまり、操舵方向フラグtflag=0として左操舵制御とする場合、図22点線で示すように、操舵トルクtq2の判定は右操舵側の制御判定トルクしきい値Tq0で行ない、且つハンドル角速度θhの判定は右操舵側のプラスのハンドル角速度の値で行なう。

0083

従って、操舵力制御の操舵方向を決定する際、操舵トルクtq2の判定を逆向きの制御判定トルクしきい値(±Tq0)で行ない、且つハンドル角速度θhの判定を逆向きのハンドル角速度の値で行なうようにしたため、種々外乱ノイズ等により操舵トルク変動およびハンドル角速度変動が生じて操舵トルクtq2およびハンドル角速度θhが一時的に正,負に変化しても、操舵方向が繰り返し変化すること(ハンチング現象)がなくなり、操舵方向の切換えが速やかに行なえる。ハンチング現象をなくすため、フィルタ回路を構成することも考えられるが、この場合、操舵方向の決定に遅れが生じてしまう。

0084

メインのフローチャートに戻り、ステップS19の方向決定ルーチンで操舵方向が決定されると、ステップS20で操舵方向フラグtflag=1か否かが判断される。操舵方向に応じ、ステップS21(tflag=1)もしくはステップS22(tflag=0)で目標操舵トルクttqと操舵トルクtq2のトルク差dtq2を演算する。

0085

低速側の操舵力制御における目標操舵トルクttqは予め設定された値で、図8のステップS1においてセットされている。

0086

右操舵(操舵方向フラグtqflag=1)の場合、ステップS21で操舵トルクtq2の値から目標操舵トルクttqの値を減じてトルク差dtq2とする。左操舵(操舵方向フラグtqflag=0)の場合、ステップS22で操舵トルクtq2の値に目標操舵トルクttqの値を加え、負状態にしたものをトルク差dtq2とする。

0087

操舵方向に応じてトルク差dtq2を演算した後、ステップS23,ステップS24のトルク制御電圧計算ルーチンで第1および第2の制御弁58,59へ出力する指令制御電圧Volを計算する。なお、ステップS23,ステップS24は同一処理を行なうものである。

0088

ステップS23,ステップS24におけるトルク制御電圧計算ルーチンを図16に基づいて説明する。このステップS23,ステップS24の指令制御電圧Volの決定は、目標操舵トルクttqとのトルク差dtq2が前回のトルク差dtq1よりも大きい正の値の場合、指令制御電圧Volを高くし、逆に前回よりも小さい場合、時間の経過によって指令制御電圧Volを低くしていくものである。

0089

図16に示すように、ステップS23−1でトルク差dtq2が正の値か否かが判断され、正の値の場合、ステップS23−2でトルク差dtq2と前回のトルク差dtq1(初回の場合dtq1は0にセットされている)とが比較される。ステップS23−2でトルク差dtq2が前回のトルク差dtq1以上と判断された場合、ステップS23−3でトルク差dtq2が50を越えるか否かが判断され、トルク差dtq2の上限50が設定される。トルク差dtq2が50以下の場合、そのままステップS23−4に進み、トルク差dtq2が50を越える場合ステップS23−5でトルク差dtq2を50としてステップS23−4に進む。ステップS23−4でdtq1をdtq2に置き換え、トルク差dtq2の値をトルク差dtq1とする。次に、ステップS23−6でトルク差dtq1にトルク制御比例係数KT を乗じ、第1および第2の制御弁58,59の不感帯部分の電圧2.5Vを加えて指令制御電圧Volとする。

0090

ステップS23−1でトルク差dtq2が負の値と判断された場合、もしくは、ステップS23−2でトルク差dtq2が前回のトルク差dtq1よりも小さいと判断された場合、ステップS23−7で前回のトルク差dtq1を1ポイント下げる。前回のトルク差dtq1は正の値を保つ必要があるため、ステップS23−8で前回のトルク差dtq1が正の値か否かが判断される。前回のトルク差dtq1が正の値の場合そのままステップS23−9に進み、負の値の場合ステップS23−10で前回のトルク差dtq1を0にしてステップS23−9に進む。ステップS23−9で指令制御電圧Volが2.5V以下か否かが判断され、2.5V以下の場合ステップS23−11で指令制御電圧Volを0Vに置き換えてメインのフローチャートに戻る。ステップS23−9で指令制御電圧Volが2.5Vを越えていると判断された場合、ステップS23−12でトルク差dtq1にトルク制御比例係数KT を乗じ、第1および第2の制御弁58,59の不感帯部分の電圧2.5Vを加えて指令制御電圧Volとする。

0091

ステップS23−6およびステップS23−12で指令制御電圧Volを演算した後、ステップS23−13で指令制御電圧Volが3.5Vを越えるか否かが判断され、指令制御電圧Volの上限が設定される。指令制御電圧Volが3.5V以下の場合そのままメインのフローチャートに戻り、指令制御電圧Volが3.5Vを越える場合ステップS23−14で指令制御電圧Volを3.5Vとしてメインのフローチャートに戻る。

0092

つまり、トルク差dtq2が前回のトルク差dtq1より大きい正の値の時にこの値の上限を50に設定して指令制御電圧Volを演算し、トルク差dtq2が負の値の時に前回のトルク差dtq1を1ポイント下げて指令制御電圧Volを演算し、操舵中の操舵トルクtq2の変動により目標操舵トルクttqとの差が大きい時にのみ、指令制御電圧Volを高くし、差が負の時には時間の経過により指令制御電圧Volを徐々に低くしている。

0093

これにより、操舵中に操舵トルク変動があっても、指令制御電圧Volの変動頻度を少なくすることができる。

0094

メインのフローチャートに戻り、ステップS23,ステップS24で指令制御電圧Volを計算した後、右操舵の場合、ステップS25で指令制御電圧Volを出力し、左操舵の場合、ステップS26で指令制御電圧Volを出力する。即ち、ステップS25では、第1の制御弁58のソレノイド部58a(以下第1の制御弁58と称する)に指令制御電圧Volを出力すると共に第2の制御弁59のソレノイド部59a(以下第2の制御弁59と称する)に0Vを出力し、右操舵時におけるハンドル13の操舵力をアシストする。ステップS26では、第2の制御弁59に指令制御電圧Volを出力すると共に第1の制御弁58に0Vを出力し、左操舵時におけるハンドル13の操舵力をアシストする。

0095

以上により、低速側における操舵力制御が実行される。

0096

次に、図11図12に基づいて低速側におけるセンタリング制御を説明する。センタリング制御は、ハンドル13を中立位置に戻す状態に制御するもので、ハンドル13から手を放した場合でもハンドル13を中立位置に操舵させるようにするものである。

0097

図9で示したステップS18で操舵力制御フラグTqflag=1ではないと判断された場合、図11で示したステップS27でハンドル角θhの絶対値|θh|が120deg 以上か否かが判断される。絶対値|θh|が120deg 以上の場合、図12で示したフローチャートを実行する。

0098

絶対値|θh|が120deg 以上の場合、図12に示すように、ステップS28でセンタリングフラグCflag=0か否かが判断される。最初、センタリングフラグCflag=0であるので、ステップS29でセンタリングフラグCflag=1とすると共に、ステップS30で指令制御電圧Volを3.5Vに設定する。指令制御電圧Volを3.5Vに設定した後、ステップS31でハンドル角θhが0以上か否かが判断される。ハンドル角θhが0以上の場合ステップS32で戻し方向フラグHaflag=1として右側戻し(左方向に操舵して戻す)とし、ハンドル角θhが負の場合ステップS33で戻し方向フラグHaflag=0として左側戻し(右方向に操舵して戻す)とする。ステップS32,ステップS33で戻し方向フラグHaflagを設定した後、図11で示したステップS34におけるセンタリング制御出力ルーチンを実行する。

0099

ステップS31で、ハンドル角θhの絶対値|θh|が120deg 以上(ステップS27:図11)の時のハンドル角θhの正負を判断し、この時の判断結果に応じてハンドル13の戻し方向をステップS32,ステップS33で設定しているため、ハンドル角θhが小さくなった時にタイヤのこじり等でハンドル角の正負が逆になっても戻し方向は変化しない。

0100

ステップS34におけるセンタリング制御出力ルーチンを図19に基づいて説明する。

0101

図19に示すように、ステップS34−1で戻し方向フラグHaflag=1か否かが判断され、右側戻し(Haflag=1)の場合、ステップS34−2で第2の制御弁59に指令制御電圧Volを出力すると共に第1の制御弁58に0Vを出力する。(図21(d)において左制御電圧が立ち上がるB区間参照。)逆に左側戻し(Haflag=0)の場合、ステップS34−3で第1の制御弁58に指令制御電圧Volを出力すると共に第2の制御弁59に0Vを出力する。ステップS34−2,ステップS34−3で指令制御電圧Volを出力した後、メインのフローチャートに戻る。

0102

メインのフローチャートに戻った後、図8図9図11のフローチャートを経て図12のステップS28でセンタリングフラグCflag=0か否かが判断され、この時はセンタリングフラグCflag=1であるのでステップS35の指令制御電圧スローアップルーチンを実行する。

0103

図18に基づいてステップS35の指令制御電圧スローアップルーチンを説明する。指令制御電圧スローアップルーチンでは、センタリング制御開始時における指令制御電圧Volを徐々に上昇させ、ハンドル13の戻り始めをスムーズに開始する。

0104

図18に示すように、ステップS35−1で指令制御電圧Volが4.9Vを越えるか否かが判断され、4.9V以下の場合、ステップS35−2で指令制御電圧Volに0.02V加えて新たな指令制御電圧Volとし図11のステップS34に進む。指令制御電圧Volが4.9Vになるまでこれを繰り返して指令制御電圧Volを0.02Vずつ上昇させる(図21(d)における区間C参照)。指令制御電圧Volが4.9Vを越えた場合、ステップS35−3で指令制御電圧Volを4.9Vにして図11のステップS34に進み、指令制御電圧Volは、図11のステップS27でハンドル角θhの絶対値|θh|が120deg 未満になるまで4.9Vに保たれる(図21における区間D参照)。

0105

メインのフローチャートに戻り、センタリング制御が進み図11で示したステップS27でハンドル角θhの絶対値|θh|が120deg 未満となったと判断された場合、ステップS36でセンタリングフラグCflag=0か否かが判断される。

0106

ステップS36でセンタリングフラグCflag=0と判断された場合、ステップS34に進み、センタリングフラグCflag=1と判断された場合、ステップS37でハンドル角θhの絶対値|θh|が45deg 以上か否かが判断される。絶対値|θh|が45deg 以上、即ちハンドル角θhの絶対値|θh|が45deg 以上120deg 未満のとき、ステップS38でセンタングフラグCflag=1か否かが判断され、センタリングフラグCflag=1の場合ステップS35で指令制御電圧スローアップルーチンを実行し、センタリングフラグCflag=1ではない場合ステップS39の指令制御電圧スローダウンルーチンを実行する。

0107

図17に基づいてステップS39の指令制御電圧スローダウンルーチンを説明する。指令制御スローダウンルーチンでは、センタリング制御終了時における指令制御電圧Volを二段階に分けて徐々に低下させ、ハンドル13を滑かに停止させる。

0108

図17に示すように、ステップS39−1で指令制御電圧Volが3.3V以上か否かが判断され、3.3V以上の場合、ステップS39−2で指令制御電圧Volを0.02V減じて新たな指令制御電圧Volとし、図11のステップS34に進む。指令制御電圧Volが3.3V未満になるまでこれを繰り返して指令制御電圧Volを0.02Vずつ低下させる(図21(d)における区間E参照)。

0109

ステップS39−1で指令制御電圧Volが3.3V未満であると判断された場合、ステップS39−3で指令制御電圧Volが2.3V以上か否かが判断され、2.3V以上の場合、ステップS39−4で指令制御電圧Volを0.005V減じて新たな指令制御電圧Volとし、図11のステップS34に進む。指令制御電圧Volが2.3V未満になるまでこれを繰り返して指令制御電圧Volを0.005Vずつ低下させる(図21(d)における区間F参照)。

0110

指令制御電圧Volが低下してステップS39−3で2.3V未満と判断されると、ステップS39−5で指令制御電圧Volを0Vとし、ステップS39−6でセンタリングフラグCflag=0としてメインのフローチャートに戻る。

0111

一方、図11で示したステップS37でハンドル角θhの絶対値|θh|が45deg 未満と判断された場合、ステップS40でセンタリングフラグCflag=2か否かが判断される。センタリングフラグCflag=2の場合ステップS39に進み、センタリングフラグCflag=2でない場合、ステップS41でセンタリングフラグCflag=2としてステップS34に進む。

0112

センタリングフラグCflag=2は、ハンドル角θhの絶対値|θh|が一度45deg 未満になった際におけるステップS39の指令制御電圧スローダウンルーチンの実行フラグである。即ち、ハンドル角θhの絶対値|θh|が45deg 未満になった場合センタリングフラグCflag=2とし、その後外乱等によりハンドル13を戻し過ぎてハンドル角θhの絶対値|θh|が45deg 以上になっても、ステップS38のCflag=1が否となり、ステップS39の指令制御電圧スローダウンルーチンに進むようになっている。

0113

以上により、低速側におけるセンタリング制御が実行される。このセンタリング制御では、ハンドル13を手放し状態にしても制御弁58,59によってトーションバー9に捩じりモーメントを発生させ、ハンドル13を中立位置に操舵することができるので、据え切り時の負担を大幅に軽くすることができると共に、ハンドル13が操舵されたままで放置されることはない。

0114

また、このセンタリング制御では、ハンドル角θhの絶対値|θh|が120deg 以上の時のハンドル角θhの正負によってハンドル13の戻し方向を決定しているため、ハンドル13が中立付近で方向が変わっても制御方向は変化せず、タイヤのこじり等を見越してハンドル13を逆側に過制御し(図21(a)中p点)てハンドル13を確実に中立近傍に戻すことができる。

0115

また、ハンドル13の戻し始めには指令制御電圧Volを徐々に上昇させ、ハンドル13が中立付近になった時には指令制御電圧Volを2段階に分けて徐々に低下させているため、ハンドル13の戻り始め及び停止を滑らかにすることが出来るとともに、停止時におけるハンドル13の急激な動きを防止することができる。

0116

次に、車速Velが15km/h以上における高速側の操舵反力制御を説明する。

0117

図8におけるステップS12でVflag=1である、即ち車速Velが15km/h以上であると判断された場合、ステップS13の操舵反力制御ルーチンを実行する。

0118

ステップS12における操舵反力制御ルーチンを図20に基づいて説明する。ステップS12の操舵反力の制御は、車速Vel及びハンドル角θhにより目標操舵トルクtqを求め、目標操舵トルクtqと実際の操舵トルクtq2との差に応じて指令制御電圧Volの出力値と制御方向を決めるものである。

0119

図20に示すように、ステップS13−1で現在の車速Vel及びハンドル角θhに適した目標トルクtqを演算する。目標トルクtqは、図23に示す現在の車速Velに対応した車速感応ハンドル角トルク係数KTVとハンドル角θhを乗じて求めてもよいが、本実施例では、ハンドル角速度をポジティブフィードバックすることにより下式のように目標トルクtq0設定して、ハンドル力よりもハンドル角の位相の進んだ進相制御を行うものである。但し、重くなる方向を正としているので、進相側は負となる。

0120

tq0=Ygg・KTV−(dθh/dt)・Khv
但し、Yggは、次式で定義される。
Ygg=θh/kk8
但し、kk8は横加速度1Gにおけるハンドル角であり、図31に示すマップから求められる。尚、kk8は、次式で定義される。
ハンドル角={g(1+kv2)L/ v2}×ρ×57.3
但し、gは重力加速度、kはスタビリティーファクター、vは車速、Lはホィールベース、ρはステアリングギヤ比である。

0121

また、Khvは、進相係数であり、図32に示すマップにより求められる。従って、目標トルクtq0は、図31からkk8が読み込まれてハンドル角θhで割りYggが求められ、更に、図23で示したVel−KTVマップから現在の車速Velに応じた車速感応ハンドル角トルク係数KTVが読み込まれ、これらが掛け合わされ、その積から、図32のマップにより定義される進相係数Khvを乗じたハンドル角速度(dθh/dt)を減算して求められる。その後、ステップS13−2で操舵トルクtq2から目標トルクtq0を減じてトルク差dtq2を求める。

0122

次に、このように目標トルクtq0を設定すると、どのような進相制御が行われるのか説明する。但し、簡単のために、ハンドル力とハンドル角だけのモデルを考察することにする。即ち、ドライバーが走行中にハンドル力により、車輛を操舵していると定義すると、ハンドル力に対する車輛の応答は、図29のように表現される。但し、図29中において、G(S)は車輛伝達特性、Hfはハンドル力、θhはハンドル角、dψ/dtは車輛のヨーレイト、Kは変換係数である。ここで、ハンドル角速度によってハンドル力へのポジティブフィードバックを加えると、図30のように表現される。但し、KVはフィードバック係数である。

0123

図30における点線枠で示すハンドル力Hfに対するハンドル角θhとの伝達関数G(S)を求めると、次式のようになる。
G(S)=θh/Hf
ここで、
θh=K・(Hf+KVS・θh)
θh=KHf+KKVS・θh
(1−KKVS)θh=KHf
θh/Hf=K/(1−KKVS)

0124

故に、
G(S)=θh/Hf=K/(1−KKVS)
ここで、S=iωとおくと次式のように、展開される。但し、Sはラプラス演算子である。
G(S)=K/(1−iωKKV)
=K/(1−iωKKV)×{(1+iωKKV)/(1+iωKKV)}
=(K+iωK2KV)/(1−i2K2KV2)
=K/(1+ω2K2KV2)+iωK2KV/(1+ω2K2KV2)

0125

また、位相tanφは、次式のように求められる。
tanφ=ωK2KV/K=ωKKV
このように、ハンドル角速度のポジティブフィードバックを加えることにより、位相tanφは正の値となり、従って、ハンドル力に対するハンドル角の位相が進み、ひいては、車輛のヨーレイトも位相が進むことになる。

0126

実際に進相制御を行った結果について、図33及び図34に示す。図33は、ハンドル力に対するヨーレイトの位相を示し、また、図34は、ハンドル力に対するハンドル角の位相を示している。図33及び図34において進相制御を行った場合を実線で、進相制御を行わなかった場合を破線で示すように、低周波領域(0.5Hz以下)では、進相制御を行った方が、行わなかった場合に比較して位相が約20%進んでいることが判る。また、高周波領域(2.0Hz以上)では、更に位相が進んでいることが判る。ここで、図33及び図34横軸に示す周波数は、ハンドルの操舵周波数に相当するものである。例えば、1Hzであれば、1秒間にハンドルを切って戻す操舵に相当するものである。但し、実際の操舵には、低周波成分から高周波成分までが含まれているので、フーリェ変換により求めている。一般的な操舵に含まれる主成分は0.1〜0.2Hz程度である。

0127

このように進相制御では、ハンドルに対する入力に対して、車輛の応答の位相が進相するので、ハンドルの操舵から車輛が応答するまでの応答時間がほとんど無くなるような制御となり、結果的に、運転者は自分の思った通りに車輛を操舵できるような感覚、つまり、よりスムーズで自然な操舵感が得られることになるのである。一方、運転者は、余分なハンドル操作が不要となるので、僅かなハンドル力により大きく車輛を操舵できることになる。

0128

続き、ステップS13−3でトルク差dtq2が右操舵側の設定値−dtq以上か否かが判断され、設定値−dtq以上の場合ステップS13−4で操舵方向フラグtflag=1とし右操舵制御としてステップS13−5に進む。ステップS13−3でトルク差dtq2が設定値−dtqより小さいと判断された場合、ステップS13−6でトルク差dtq2が左操舵側の設定値dtq以下か否かが判断される。トルク差dtq2が設定値dtq以下の場合ステップS13−7で操舵方向フラグtflag=0とし左操舵制御としてステップS13−5に進み、トルク差dtq2が設定値を越える場合そのままステップS13−5に進む。

0129

ここで、設定値を±dtqとしたのは、設定値に幅を持たせ、外乱等によってトルク変動が一時的に発生しても操舵方向が変わらないようにしたためである。

0130

操舵方向が決定された後、ステップS13−5で指令制御電圧Volが演算される。即ち、トルク差dtq2の絶対値|dtq2|から設定値dtqを減じ、この値に係数KoVを乗じて指令制御電圧Volとする。

0131

ステップS13−8で指令制御電圧Volが負であるか否かが判断され、負の場合ステップS13−9で指令制御電圧Volを0にしてステップS13−10に進み、正の場合ステップS13−11で指令制御電圧Volに制御弁の不感帯電圧2.5Vを加え新たな指令制御電圧VolとしてステップS13−10に進む。

0132

ステップS13−10で操舵方向フラグtflag=1か否かが判断され、操舵方向フラグtflag=1の場合、ステップS13−12で第1の制御弁58に指令制御電圧Volが出力されると共に第2の制御弁59に0Vが出力され、操舵方向フラグtflag=0の場合、ステップS13−13で第1の制御弁58に0Vが出力されると共に第2の制御弁59に指令制御電圧Volが出力される。

0133

つまり、高速側の操舵反力制御では、目標トルクtqと操舵トルクtq2のトルク差dtq2により制御方向及び指令制御電圧Volを決定し、操舵トルクtq2が大きい場合(特に操舵開始時)はアシスト制御となり、操舵トルクtq2が小さい場合は反力制御となり、リニアな操舵力が得られる。

0134

上述した、低速側における操舵力制御、センタリング制御、および高速側における操舵反力制御により、据え切りから高速走行、スポーツ走行など、いかなる操舵条件でも負担の少ないハンドル操作を実現することができる。

0135

なお、上述した制御において得られるロータリバルブ16の発生油圧の特性は、図25の線図に示されるように、プランジャ44a,44bによる制御が無い時を基準に、プランジャ44aによる同位相制御による油圧域と、プランジャ44bによる逆位相制御による油圧域とを上下限に加えた広範囲な油圧領域となる。

0136

例えば据え切り操舵の場合、従来のパワーステアリング装置は図26の(a)に示されるように操舵の切り始めが重く、操舵角の全域に渡ってかなり大きな操舵力を必要とするが、この発明の制御を適用すると図26の(b)に示されるように操舵の切り始めを軽く、しかも操舵角に応じて操舵力が変化する特性が得られる。さらにスラローム走行の操舵の場合、図27の(a)に示されるようにヒステリシスが大きく、中立付近の手応え感に欠けるが、この発明の制御を適用すると図27の(b)に示されるようにヒステリシスを小さく、中立付近の手応え感がある特性が得られる。

0137

よって、長距離高速走行、運転者の高齢化環境条件に対応できる上、さらには四輪駆動車四輪操舵車等、付加機能が装備される自動車においても、ステアリング操作の負担を軽減することができる。

0138

なお、上記実施例では、2つの制御弁58,59を用いてプランジャ44a,44bを駆動したが、これに限らず、図28に示されるように4ポート位置切換え電磁切換弁75を用いて上記実施例と同様にプランジャ44a,44bを駆動するようにしても、同様の効果を奏する。

0139

また上記実施例では、張出し部をインプットシャフトに設け、プランジャをアウトプットシャフトに設けたが、これに限らず、インプットシャフトにプランジャを設け、アウトプットシャフトに張出し部を設けて、トーションバーを捩じりモーメントを発生させるようにしてもよい。

発明の効果

0140

本発明の車両用パワーステアリング装置では、操舵力の可変幅を格段に広くすることができ、据え切り戻し時の運転者の負担を大幅に軽減し、高速走行、スポーツ走行など運転条件に応じた操舵力を得ることができる。したがって、長距離高速走行、運転者の高齢化などの環境条件に対応でき、さらには、四輪駆動車、四輪操舵車など、付加機能が装備される自動車においても、ハンドル操作の負担を軽減することができる。

0141

また、バルブ駆動機構の被押圧部材入出力軸周方向両側から押圧子によって押圧されるため、バルブ駆動機構が入出力軸の軸方向に長くなることがなく、装置の軽量コンパクト化が図れる。

0142

更に、進相制御を行うことにより、車輛の応答遅れがほとんどなくなり、運転者は自分の思ったとおりに操舵できるスムーズな操舵感を得られると同時に余分なハンドル操作から開放されることになる。

図面の簡単な説明

0143

図1本発明の一実施例に係るパワーステアリング装置の全体構成図。
図2ステアリング機構の断面図。
図3図2中のIII −III 線矢視図。
図4図2中のIV−IV線矢視図。
図5油圧室への油圧の作用説明図。
図6図5に対応したプランジャの動作説明図。
図7制御弁の制御電圧に応じた吐出圧力の特性のマップを表わすグラフ
図8パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図9パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図10パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図11パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図12パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図13パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図14パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図15パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図16パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図17パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図18パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図19パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図20パワーステアリング装置の制御フローチャート。
図21パワーステアリング装置の低速側のアシスト制御におけるタイミングチャート。
図22操舵トルクの判定状況を説明する線図。
図23車速に応じた車速感応ハンドル角トルク係数のマップを表わすグラフ。
図24ロータリバルブの作動角が進み側に変位したときの状態を表わす断面図。
図25作動角が変化したロータリバルブの入出圧力を表わすグラフ。
図26据切り操舵時の操舵力を従来と比較して表わすグラフ。
図27スラローム走行操舵時の操舵力を従来と比較して表わすグラフ。
図28本発明の他実施例に係るパワーステアリング装置の全体構成図。
図29ハンドル力に対する車輛の応答を示す説明図である。
図30ハンドル力に対してハンドル角速度をポジティブフィードバックした場合の車輛の応答を示す説明図である。
図31横加速度1Gにおけるハンドル角を示すkk8のマップである。
図32進相係数を示すマップである。
図33ハンドル力に対するヨーレイトの位相を示すグラフである。
図34ハンドル力に対するハンドル角の位相を示すグラフである。

--

0144

1ステアリング機構
5aアウトプットシャフト
7パワーシリンダ装置
8前輪
9トーションバー
11インプットシャフト
13ハンドル
15バルブ駆動アクチュエータ
16ロータリバルブ
33オイルポンプ
42張出し部
44a,44bプランジャ
58 第1の制御弁
59 第2の制御弁
64油圧回路
70コントロールユニット(ECU)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 井関農機株式会社の「 作業車両」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】作業装置への作業資材の補給を容易に行うことのできる作業車両を提供する。【解決手段】作業車両(10)は、複数の車輪(11a),(12a)を備え、圃場(100)を走行可能な走行車体(1)と、走行車... 詳細

  • 株式会社ショーワの「 操舵装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】運転者が操舵限界への到達を認識できる小型の操舵装置を提供する。【解決手段】運転者が操作するステアリングホイール11と一体で回転するステアリング軸21と、ステアリング軸21を中心として配置された... 詳細

  • 国立大学法人群馬大学の「 EPS用制御装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】運転者の不快感を低減するEPS用制御装置を提供する。【解決手段】この発明のEPS用制御装置は、トルクセンサが出力するトルクセンサ出力を用いて操舵トルク(TS)の位相を補償する第1の制御を行うと... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ